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2018年8月23日 (木)

憲法について考える

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 最近安倍首相の口から憲法改正の取り組み方について、幾つか提案がなされ、来月(9月)の総裁選の争点にも浮上しています。この日本国憲法をどう取り扱うのかで、与野党、マスコミそれぞれが持論を展開しています。一昔前までの当たらず触らずから、改正か否かへと一歩踏み出してきているようです。

 ただ多くの野党や護憲派知識人、左翼系マスコミなどは改正には否定的で、特に立憲民主党枝野代表などのように、「安倍政権の元での改憲は反対」と言う訳のわからない否定論者も居ます。その大きな理由としては、第9条の「戦争の放棄」にかかる部分で、平和憲法の象徴としている、この9条の変更や削除に強く反対し、守ろうという意思からのようです。

 この日本国憲法は、日本の国会(帝国議会)で審議可決され、1946年11月3日に交付され、翌年の5月3日に施行されました。ただその起草はその当時日本を占領していた、GHQの手によるものとされ、国会での審議もGHQの監視下で行なわれたため、完全に日本独自のものでは無いという背景があります。

 特に賛否が渦巻く第9条は、明らかに日本の防衛力の壊滅的弱体化を狙ったものであり、他の弱体化案件の中でも最高レベルのものと言えます。条文をそのまま読めば、自衛のための軍まで否定されるような条文ですが、国会審議中一部修正(「前項の目的を達するため」と言う条文を2項文頭に追加)により、解釈の仕方によっては自衛のための軍は憲法に違反しない、ということになりました。そして朝鮮戦争の勃発によりGHQが警察予備隊の創設を指令し、それがその後の自衛隊の創設に繋がったのは有名な話です。

 しかし憲法学者の中には、自衛隊は違憲だと言う人も多く居て、特に集団的自衛権を解釈改憲として取り込んだ時点から、その意見が強さを増してきました。平和安全法制の審議では、自民党が招聘した憲法学者が3人とも、集団的自衛権は違憲だと証言しました。国連憲章下で認められている集団的自衛権ですが、日本国憲法下では違憲だというのです。平和安全法制は国会で可決したものの、これを機会に自衛隊を憲法に明記しようとする見解が、安倍首相を中心として自民党内に出て来て、今日に至ったわけです。

 もともと世界の200前後の国の中で戦争放棄は謳っても、戦力の保持や交戦権の否定を行なっている国は殆どありません。終戦直後の戦勝国から押しつけられた、まさに押しつけ憲法だから、こういう条文が有り得たのでしょう。この条文の意図するところは、独立国家を放棄しろ、と言うことに他なりません。当時米国が日本の属国化を望んだのかどうかは解りませんが、国を守る軍を持つなと言うことは、独立を認めないとほぼ等しいことになります。(何と当時共産党が、そういった理由で反対したのは有名です。今では真逆ですが)

 護憲派の人たちはこの点を理解せず、ただ平和憲法を持つのは日本だけだ。武力行使をしなければ、攻めても来られないはずだ、と高を括っている様子があります。そして戦後70年以上平和が続いたのは、平和憲法のおかげだと言います。国際関係はそんな甘いものではありません。日米安全保障条約と自衛隊の抑止力があって、辛うじて攻め込まれていないだけでしょう。

 戦後韓国に李承晩ラインを強引に引かれ、多くの日本漁船が拿捕され、漁民に死傷者も出し、竹島の占拠を許してしまいました。北朝鮮には多くの人たちを拉致されました。ソ連には終戦後、満州に残留していた50万人以上の兵士を、シベリアに抑留され強制労働を余儀なくされました。その内5万人以上の死者を出したと言います。ロシアとの間の北方4島は手つかずのまま、尖閣海域は連日のように中国の公船や漁船に荒らされています。韓国との間の慰安婦問題や徴用工問題、中国の日本人や日本の施設を狙った暴力デモも起きています。

 占領が解けて独立後も、以上のような様々な周辺国との軋轢を生じていますが、その度に日本政府は「遺憾だ」とか「抗議する」と言っていますが、全く焼け石に水。なぜなら外交力は軍事力の背景が必須だからです。憲法によって手枷足枷の自衛力を周辺国は見ていて、絶対に軍事的反撃や威嚇は無いと、高を括らせているのです。

 軍事大国になれというのではありません。寧ろ現状の国力ではそれは無理でしょう。ただ今のままではこれからますます複雑化し高まっていく脅威に対しては余りにも無力です。憲法9条を改正し、本当の意味で自力で国を守れるようにしていかなければなりません。米国との同盟を続けるのは必須ですが、日本独自の軍事力、情報力を確立していくことが今後の国際情勢の変化に対応するためには、強く求められます。

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憲法9条

(1)日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又(また)は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

(2)前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。


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