偏ったテレビ報道 - 「行政代執行」
昨日の昼のテレビ、「たけしのテレビタックル」で行政代執行の話題が取り上げられていました。この番組、時々「ちまたの大問題」と称して、身近な話題を取り上げ、いろいろな見解を持ったコメンテーターが出演するので、思ったほど偏りがなく、よく見る番組の一つです。
報道された行政代執行の二つの事例を記憶していますが、その一つは例の「ゴミ屋敷」の事例。100回にも及ぶ行政側の説得にも拘わらず、大量のゴミを放置しているその家の住人が、代執行をされているシーンです。
もう一つは確か九州の高速道路で、その通り道に当たったミカン農家が、これも行政側の説得に応じず、最終的に山の切り崩しの代執行を受けるシーンです。こちらは代執行当日も、農家の主人が身体を張って阻止しようとしていたが、最後には数人がかりで、現場から外に出されるシーンも映っていました。
ゴミの撤去の件は、言うまでも無く、異臭や衛生面での近隣への迷惑が、具体的な形で及ぶ問題ですから、コメンテーターからも、執行側への苦情はもちろん出ませんでした。話題はもっぱらどの時点で執行の判断を下すか、とか、執行後再びゴミをため始めた住人もいて、それをどうするべきかとか、そんな意見でした。
しかしミカン農家の場合は、これをやむを得ないとする、北川正恭氏や中田宏氏等の意見と、行政側はやり過ぎだという、大竹まこと氏らの意見に分かれました。このミカン農家の主人は執行後も「戦いは終わっていない」と、行政側との闘争をにおわせていました。それに対し大竹氏は出演している弁護士の一人に、「闘争の手伝いを依頼してきたら受けるか?」と質問したところ、「まず勝てないので受けない」と返されたので、言葉は覚えていませんが、批判的態度を返していました。
公共の利益と、個人の財産のどちらを優先するか、難しい面もありますが、「成田闘争」の時のように、両者が真っ向から対立しても、両者とも損です。このミカン農家の事例も、代執行の判断が下されたのだから、ミカン農家の方ももう少し柔軟な態度であるべきだったろう、とは思いましたね。弁護士も勝ち目がないと思われる闘争などせずに。
この番組で大きく疑問に感じたことが一つ。それはレポーターがすべて代執行される側の意見のみインタビューしていること。行政側の意見としては、ゴミ屋敷の件で100回説得に出向いたこと(これも事前に聞いていたようで、インタビューのシーンは無し)以外、全く聞いていないのです。ミカン農家の件はゼロでした。(ただ聞いたけど映像にしなかったのかも知れませんが)。これでは視聴者は、執行される側に心情的に寄り添うことにもなりかねません。
特にミカン農家の場合、執行後畑が分断され、片方からもう一方へ行くのに、大回りをしなくてはいけなくなったとか、分断された後鹿がよく出て来て、木の幹を食い荒らすとか、インタビューに答えていました。それを聞いての先ほどのサヨクコメンテーター大竹氏の発言となっています。これでは完全にミカン農家側へ寄り添いますよね。
筆者のようにそのつもりで見ていると、こんなに偏向報道されているんだ、と思いますが、何も考えていない人には、行政はなんて酷いことをするのだ、と言う印象を与えてしまいます。弁護士が「勝てない」と言ったり、北川氏、中田氏が行政の立場を述べたので、まだ良いのですが、それがなければ行政の横暴と捉えられかねません。
政治だけでなく社会問題も、公平な意見の聴取を行なうことが肝要です。意図的に偏向した番組作りは論外ですが、意図せざるところに偏向が生じる、と番組制作側は留意すべきです。
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