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2018年10月28日 (日)

弱いから戦争に走ったのかも知れない

 1853年浦賀にペリーが4艘の艦隊を引き連れて来港しました。いわゆる黒船の来航です。それまでの徳川幕府による鎖国の方針を覆す、開港の要請です。そして翌年日米和親条約、5年後日本は屈して日米修好通商条約を結びます。関税自主権等のない不平等条約です。その後薩英戦争で薩摩藩が英国に、下関砲撃事件で長州が4カ国の連合艦隊に敗れ、軍事力の差を見せつけられます。

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 明治維新を経て、欧米列強の軍事力と、それを背景とした植民地の窮状を目の当たりに見た日本は、富国強兵とそのための殖産興業にひた走ります。そして維新後僅か27年で日清戦争、37年で日露戦争に勝利します。

 ただこの両戦争は、局地戦での戦いであり、それに日清戦争の後は大国ロシア、フランス、ドイツの3国干渉を受けます。また日露戦争は米国の斡旋もあり終結できた、かなりきわどい勝利でもありました。

 いずれにしてもこの2つの戦争に勝利し、大国の仲間入りをした日本は、続く第1次世界大戦に際しても、先に締結した日英同盟の関連で、連合国側に付き、戦勝国の仲間として、敗戦国ドイツのアジアでの権益を引き継ぎました。

 第一次世界大戦中の日本は、戦時特需に沸き、領土や権益も最大になりましたが、やがて特需も去り、徐々に深刻な不況に陥って行きます。資源や耕地も少なく、人口が多い日本は、満州に活路を求めます。またロシア革命によるソ連共産党の脅威もあり、朝鮮防衛の盾として満州が重要になります。そうした大陸進出に対し、同時に支那の権益を狙う米国が、やがて反発し始めます。

 米国主導の1921年のワシントン会議にて、日本が継続を望んだ日英同盟を廃し、日米英仏の4カ国条約の締結に追い込まれます。更には海軍軍縮条約、所謂9カ国条約で米英の艦船に対し日本は6割に抑えられます。

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 その後1923年関東大震災で大きなダメージを受けた日本は、ますます経済的に苦境に陥りますが、追い打ちをかけるように、翌年米国で排日を目的とした移民法が成立します。そして1929年の世界恐慌と続く不況は、ますます満州への進出を不可欠たらしめます。そんな中1930年ロンドン条約で補助艦や巡洋艦で、またもや対米7割弱と決められました。

 そして1931年満州事変、翌年満州国の建国と続く日本の行動に、国際連盟加盟国はノーを突きつけ、結果日本は連盟脱退へと進みます。満州では北はソ連、南は中国国民党に紛れた中共の共産党の侵攻が深刻となり、対ソ連をにらんで1936年日独防共協定を締結します。そして更に翌年中国側の仕掛けた盧溝橋事件で、支那事変が始まります。

 石油を始め、くず鉄など戦略的物資の大半を輸入していた米国が、1939年ついに日米通商航海条約の破棄を通告。禁輸制裁へと舵を切ります。たまらぬ日本は石油ゴムを求めて、南部仏印へ進駐。破竹の勢いだったドイツを横目で見て、1940年日独伊3国同盟を締結。これがドイツの敵国米英の日本叩きの決定打となります。そして米国は石油禁輸を決定します。

 もう一つ忘れてならないのは、日本の暗号が日米開戦前に既に米国に解読されていたことです。例の最後通牒に等しいハルノートも、暗号で日本の事情をよく知った上で、日本に提示されたのは間違いありません。当時の米国大統領ルーズベルトは、親支那で、アジアの黄色い猿を叩きたくて仕方が無かった、と言われています。不戦を公約に大統領選を戦ったルーズベルトにとって、叩くきっかけが欲しかったのです。

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 したがって真珠湾攻撃も知っていた、それでわざと攻撃させた、しかも日本の大使館員の大きなミスで、宣戦布告が遅れたのも、極めて都合が良く、これが米国国民を奮い立たせるのに極めて有効だった。それが事実のようです。

 こうしてみると日本は、①資源がなく土地も狭い、貧乏国だった。②条約締結に対しいつも負けて、不利な締結を余儀なくされていた。③その結果、軍事力は抑えられて軍人は不満を抱いた。④戦略構想力が弱く、不利な状況ばかり作っていた。⑤暗号解読に見るように、情報力が決定的に弱かった。

 ですから、結局無謀な戦争に走ってしまったわけです。もちろん戦争に善悪はありませんし、結果論を後から述べても仕方ありませんが、軍の独走だけでなく、様々な要因が大戦に走らせたのは事実でしょう。しかも強いからではなく、弱さの究極の結果として。

 国も国民一人ひとりも、強くなければなりません。そして経済力も、軍事力も、情報力も、戦略策定能力も。それらの強さが相手に戦う意志を喪失させ、戦争抑止力となる、「強く」そう思います。

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