資質なき大臣は国益を毀損する
小泉純一郎首相の退任から第2次安倍内閣誕生まで、日本の首相はほぼ1年ごとに交代してきました。小泉首相の前も、中曽根康弘首相退任から14年で10人の首相交代がありました。世界の主要各国のトップが、ほぼ10年前後の任期を務める中、日本のトップは日替わり定食のように、次々に代わってきました。これでは長期的展望を以て、戦略的に政策をこなすわけにはいきません。漸く今の安倍政権は少し長くその地位を保っています。
首相だけでなく、閣僚たる各省トップの大臣に至っては、選挙の度ごとと言っていいほど、ころころ変わります。もちろんこれには政権の支持率回復や向上のため、内閣を一新という政局判断に加え、大臣のポストの与党議員へのバランス配分という事情も、兼ね備わっているからでしょう。
ですが、各省に於いて確かに次官という官僚のトップがいるにしても、原則的には大臣がその省の最上位の職位として、日本の潜在力の維持向上のため旗を振る必要があります。そのためには少なくともその省の行政内容については、かなりの知識と経験を積んでいなければならないと私は考えます。
特に外務省や防衛省に於いては、海外との直接間接の戦略的な駆け引きをもって交渉が繰り返され、その度に日本の国益を守る判断をしなければならないので、特に知見と度量が求められます。
ところが歴代の大臣は他の閣僚と同様、内閣改造の度に代わる例も多く、またそれほど知見経験のない人が務める場合も多いように思います。かつての田中真紀子外務相のように知見もない上に官僚とぶつかって、早々に辞任した人もいます。
防衛相でも最近の例で自民党女性議員の稲田朋美氏や現閣僚の岩屋毅氏も、その知見経験のなさに伴う不規則発言が多く、甚だ心許ない任命です。そこはやはり自衛官出身の中谷元氏や、外務関連の議員経験の長い小野寺五典氏を、長期に任命し続けた方が余程よかったのではないかと思います。
もちろんその他の省でも、的確と思えない人の就任も多く、途中で辞任を余儀なくされた人もいます。つまりかなりの大臣が適材適所ではないのです。現閣僚では桜田義孝氏が好例ですね。いくら五輪担当といえども、このような人を選んでしまうのは、当選回数重視の派閥均衡人事が相変わらず行なわれているからです。
大臣になる人は、それ以前の少なくとも5年以上はその道の研究と現場経験を積み重ね、細かい点は官僚に譲るとしても、少なくとも大筋に於いて官僚と堂々と議論でき、指示命令も可能なレベルとなる必要があると思います。そして一旦大臣となれば、やはり少なくとも3年以上、出来れば5年は大臣を続け、米国、中国、ロシアの閣僚達と伍して戦える人であって欲しいと思います。ちなみにロシアのラブロフ外相など15年も続けています。
そのためにはその道に知見経験なき人は大臣になれない、と言う共通認識を国会議員全員に持たせるべく、国会改革のテーマの一つに組み入れる必要があると思います。そして桜田大臣のような人は絶対大臣となれないようにすべきだと思いますね。
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