戦後日本の戦力保存と共産思想、ドイツとの対比で見て
令和の世になって戦後三四半世紀が過ぎようとしている今も、戦前の日本、特に軍の暴挙を指摘する声は絶えません。戦前あれだけ軍の側に立って戦争を煽った朝日新聞などのメディアが、今や軍批判の先鋒であり、憲法9条の擁護の旗振り役を演じているのは、何とも皮肉でありかつ理不尽とも言える身の振りようと言えます。
そして戦争の責任追及と戦後処理をめぐる問題は、今日でも日独両国の比較を以て論議を呼んでいます。その多くの意見が「戦後のドイツ(西ドイツ)は徹底して非ナチス化を実行した。そしてきちんと戦後、対戦国や被災国に謝罪している。それに対して日本は・・・」と日本の戦前の侵略の批判や対戦国の謝罪が、ドイツより劣っているような物言いです。
しかしこの比較意見には二つの問題点があります。まず一つ、軍への批判にはGHQによる陸海軍の解体に見るように完全に壊滅されましたし、戦争責任に関しても極東国際軍事裁判(所謂東京裁判)で徹底的に追求、処罰されました。
二つ目の対戦国への謝罪や賠償についても、十分に対応してきています。ただ残念ながら韓国に見られるように、対戦国でもないのに何度謝罪しても「たかり」目的のため、何度も謝罪を求める非民主的な国があって、これが異様に目立つわけで、ドイツの対戦国のように殆どが民主主義国ですんなり謝罪を受け入れられるのとは大きく異なります。日本でも米、英、蘭等の対戦国は、もはや何の文句や要求をしてきていません。
ここで更に留意すべき点は、一つ目の「非ナチス化」に関係するのですが、ドイツはナチスを徹底批判しましたが、国防軍そのものは「お構いなし」とされ、旧ドイツ兵により「国防軍潔白論」が作り上げられたと言います(学会のレベルでは1980年代に一応の否定的な結論となったようです。)日本のように陸海軍とも解体されたわけではありません。これはソ連共産主義の影響で東西に分かれたという、国内かつ国際情勢の影響が色濃くあったことでしょう。
この点は、未だに自衛隊と憲法9条の相克に悩む日本とは、完全に異なる点です。日本はサンフランシスコ講和条約で、GHQによる占領から独立した際、憲法取り扱いの実質的権利は日本に戻り、その改正に伴い軍の保有も望めたのに、時の経済優先の吉田内閣がそれを拒んだことが、今の状況を作ってしまった大きな理由となっています。
いずれにしろドイツとの比較論に於いては、寧ろ日本の方が戦争責任を多く追及されかつその影響も大きかったことが窺えます。とくにこの軍即ち防衛に関する処理の違いは、今でも日本にとってドイツより過酷な結果となっています。
更にはドイツが東西に分断されたこと、それ自体は大変不幸なことですが、西ドイツにとっては共産主義は敵対する思想で、その出現を阻止することが国の目的ともなり、日本のように共産主義思想が蔓延することなく戦後数十年を経過できたことは、逆に幸運だったとも言えるかも知れません。
そしてベルリンの壁が崩れ、ソ連の崩壊と共に西ドイツ主導で東西ドイツが統一できたことが、ドイツ全体の共産化が完全に防止できた大きな所以ともなっています。
私は戦前を知らない人間ですが、確かに大東亜戦争に走ったその原因は、米国の陰謀論はさておき、その時点での軍の暴走の面は多々あり、その責任は免れないと思います。しかしドイツが成し得たように、日本もその要因を、軍の指導部と軍隊そのものの二つにわけ、軍の指導部に責任を取らせても、軍を構成する兵には「お構いなし」とすべきだったのではないかと思います。
もちろんGHQが日本を過度に恐れ、日本の完全な弱体化のため軍全体を解体したのですが、警察予備隊という軍に準じる組織の再生は途中で認めたのですから、講和条約後速やかに軍隊を再編すべきでしたし、そのための憲法改正手続きを着手すべきでした。
そして日本の戦争目的の一つとされる、ロシア革命で生じた共産主義からの日本防衛という意味では、敗戦によって成し得なかったどころか、GHQの公職追放を機に一気に、反戦の名を借りた共産主義思想を持つ「戦争利得者」が要職を占領し、官僚や地方自治体、大学やマスコミに深く浸透していった結果、その影響が色濃く反映される世の中になってしまいました。
ここに明治以来の富国強兵と反共という日本の目指す目標が瓦解してしまったわけです。こう見ると同じ戦勝国の敗戦国への対応としても、ドイツと日本ではやはり、ヨーロッパと極東、白人と黄色人種の違いから、占領政策自体異なっていたことが見て取れます。
と、過去のことを言っても仕方がありません。今の時点では民主主義国家の原則に則って、真の主権の確保と独立という観点から、国の維持発展と国の防衛の必要性を真摯に説き、粛々と憲法を改正し、国内にはびこる共産主義思想の排除と自衛隊の合憲化を目指すしかありません。そのためまずは身近な問題として電波オークションを実現し、テレビの左傾化を是正することで、テレビ視聴者の多くの高齢者達から、共産主義的思想を排除していくしかありません。日本が壊される前に。
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