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2019年6月29日 (土)

G20と日本国憲法、理想と現実

Img_01039c9eeaf4e10cb72eb6dbdc18e4551751  G20首脳会議が大阪で開かれています。世界の主要国のトップが出そろい、経済や貿易、データ流通、環境などのテーマに沿って、各国間の合意を得るため、議長国の日本を中心にして、活発な議論が行なわれています。

 しかし合意と言っても各国様々な状況と思惑があり、一筋縄では行きません。むしろそれぞれの国の国益がぶつかり合う場ですから、理想的な合意は望むらくもないでしょう。このような状況を見るに付け、憲法前文「崇高な理想」の文言が思い出されます。前文の後半の部分を抜き出します。

 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。

 われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。

 日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。

26939  どうでしょうか、「崇高な理想」ではあっても、現実の国際社会は真逆の状況と思われます。現実に合わせた文言だとさしずめ次のようになるのではないでしょうか。

 日本国民は、恒久の主権の確保と独立を念願し、国際関係を支配する各国のパワー状況を深く自覚するのであつて、国益を第一とする諸国民の言動に留意し、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を未だ続けている国の存在する国際社会において、それらを否定し、指摘できる国としての地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。

 われらは、国際社会に於いて、自国のことのみに専念し他国を無視または威嚇している国もあることを前提に、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従、自国の主権を維持しつつも、他国を一方的に攻撃、批難しないことが各国の責務であると強く主張していくことを国是としたい

 日本国民は、全力をあげてこの目的を達成することを誓ふ。(一部カット)

 憲法前文は理想を謳うものですから、「崇高な理想」を掲げるのは良いにしても、余りにも現実離れしていてはその意味も薄れます。

Download-3_20190629133901  これ以外にも第9条の「戦争の放棄」も、現実の国際社会の中では全く相容れないものですが、これについては米国トランプ大統領日米安全保障条約に関する発言についての、以下のブルームバーグの記事が注目に値します。

 ブルームバーグは6月25日、「トランプ大統領が日米安全保障条約を破棄する可能性について側近に漏らしていた」と報じた。続く26日にはFOXビジネスニュースの電話インタビューで、トランプ大統領本人が「日本が攻撃された時、アメリカは第3次世界大戦を戦い、猛烈な犠牲を払うことになるが、アメリカが攻撃されて救援が必要なとき、日本はソニーのテレビで見物するだけだ」と安保条約への不満を公言した。

 私はこれを彼の一連のジョーク的発言として捉えるのではなく、むしろ「日本はしっかり自国の防衛を考えろ、そのためには米国に頼りっぱなしではダメだろう、ちゃんと金をかけて国を守れ」と言っているのだと思います。

 そして「アメリカに押しつけられた憲法を、後生大事に守っていないで、他国に頼らず自立して、周辺国の覇権に対応して欲しい、それが同盟国としての役割だろう」と言っているのではないかと、勝手に勘ぐっています。

 まあそこまで深い考えの持ち主かどうかは分りませんが、ひょっとしたらそうかも知れませんね。日本核武装容認論を仄めかした人ですから。そしてこの9条についてもその原文と、現実を踏まえての改正条文案を以下に示します。

 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

 日本国民は、国際社会における正義と秩序と安全を希求し、かつ国の主権と独立を維持する目的のため、国権の発動たる自衛のための戦争と武力の行使を、国際紛争を解決する手段として、国際法に基づき遂行する権利を有する

 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力を、必要かつ十分に保持する(一部カット)

 わざわざ謳わなくても、国際社会の中では、個別的、集団的自衛権双方とも認められていますが、上記のように明記すればより分りやすくなるでしょう。いずれにしてもG20だけでなく、現実の国際社会の様々な動きを見ていけば、理想を追うだけではなく、現実も踏まえた憲法が必要だということを、改めて実感しますね。

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