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2019年6月22日 (土)

弱者寄り添い番組の罠、裏に反権力思想

1465373699270  日本のテレビを見ていて感じることがあります。政治報道番組の偏向ぶりはもちろんですが、それは今回省きます。

 一つは企画の貧困さ、毎回同じような企画でお笑いタレントを中心に使い、町歩きや食べ歩きをだらだらと放映する。余り金がかからないし、シナリオも勝手にお笑いタレントがアドリブで作ってしまう。プロデューサーも楽ですね。

 もう一つは弱者寄り添い番組。今回のブログの主題です。例えば障害者や被災者。彼らを取り上げるのはもちろん構わないし、その実態を視聴者に知らせるのは必要でしょう。ただその場合、彼らに寄り添いすぎる傾向が目立ちます。つまり取り上げた手前、インパクトを強くするため、過剰な演出をする場合があります。

Voa_herman__20110411_temporary_houses_fo  例えば被災者のための仮設住宅の住民に「困ったことはないでしょうか?」とインタビューする。そうすると被災者は幾つか不満を漏らします。それは当たり前、仮設住宅暮らしはもといた住居とは違うのですから。それなのにインタビュアーは「それはお困りでしょうね。行政はもう少し考えて欲しいですね」というように、避難民に寄り添う発言をします。そして不満の内容を繰り返します。

 それはそれでいいとしましょう。しかしそこで終わりです。これでは素人だって取材できます。「行政はもう少し考えて欲しいですね」というなら、行政のところへ足を運んで、行政にそのことを伝え、行政側の意見も聞くべきです。そしてその意見も含めて番組を完成させるべきでしょう。

 アベノミクスの効果でマクロでは好景気が続いています。最近少し陰りが出て来たとは言え、民主党政権の時より多くの指標が好転しています。その景気判断を庶民に問う、と言う番組も良くあります。レポーターが「景気の実感としてはどうお考えですか」というような質問をする。そうすると殆どの人は「景気がいいという実感はありません」と答えます。

Do0wiiuqaarerm  それはそうでしょう、バブル期ではないのですから。年率10%も給料が上がれば別ですが、目に見えて良くなることはあり得ません。それにもし実感があったとしても、ふつう「景気は良いです」とは答えないでしょう。それが一般の人の心理ですね。それでも番組では「一般の人にとって景気は良いという実感はありません」と括ってしまいます。

 年金2000万円不足問題が出て来て、特集を組んだ番組があります。低年金受給者を出演させ、「水を流しながらの洗い物は水道代がもったいなくて出来ない」「毎日の食費代に十分な年金額ではないので大変」「医療費など心配で病気も出来ない」などという発言を取り上げていました。だからこそ2,000万円とは言わないが、それなりの蓄えが必要でしょう。そう言う観点での番組内での補足は全くありません。

 事ほどさように、弱者に寄り添うのは良いが、寄り添う姿勢だけ見せて、「自分たちはメディアだから正義感で報道しているのだ、そしてこう言う実態に至ったのは国のせいだ、行政のせいだ、何とかしろ」、と暗に反権力を謳い視聴者を洗脳しているように思えます。

 弱者の救済は必要ですし、そのための施策は充実させなければなりません。そのために国や地方自治体は多くの福祉予算を計上し、施策を実行しているのです。もちろん十分ではない部分はあるでしょう。その点の指摘は必要ですが、上記のような一般化した形で取り上げても意味がありません。責任のないメディアの常套手段です。

 そしてこう言う報道ですっぽり抜け落ちてしまうのが財政的観点、そうです収入の面、弱者救済や福祉の充実にはお金がかかります。そこを外した報道は意味がありません。寧ろメディアはそうした国や地方自治体の収入(主として税)を増やしていくため、様々な提案をしていくべきでしょう。だが今は野党と同一歩調で、それとは逆の姿勢を見せているようです。

 急速に進む少子化の現状を踏まえれば、いかに国が最善の努力を払っても、税収は減り、福祉の充実は困難になっていきます。ですから政府も本当はそのことを国民にしっかり伝えて、甘い夢を与えない方がいいように思います。今回の年金2000万円不足報告書も、実はその意味が含まれていたように思います。

 そうは言っても選挙で選ばれた、国会議員による議院内閣制の日本、他の先進国同様ポピュリズム化している現状では、選挙に負ければいくら良い政策でも通しにくくなるのが現状です。悪夢のようなかつての政権に戻さないためにも、二の足を踏むのも仕方ありません。ですから我々国民は、政府の明らかに出来ない部分の意図をくみ取り、「自助、共助、公助」の順番を間違えることがなく、しっかり自立していくことが求められるでしょう。

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