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2019年6月10日 (月)

教育行政改革と教科書

Maxresdefault-2_2  国の教育行政は2006年第一次安倍政権のもと、それまでの教育勅語に代え現日本国憲法の理念を大きく取り入れた「旧教育基本法」(1947年施行)を改定し、「新教育基本法」を公布、施行することにより、新たな展開をスタートさせました。その前文は以下の通りであり、下線部がその主たる変更部分です。

 我々日本国民は、たゆまぬ努力によって築いてきた民主的で文化的な国家を更に発展させるとともに、世界の平和と人類の福祉の向上に貢献することを願うものである。

 我々は、この理想を実現するため、個人の尊厳を重んじ、真理と正義を希求し、公共の精神を尊び、豊かな人間性と創造性を備えた人間の育成を期するとともに、伝統を継承し、新しい文化の創造を目指す教育を推進する。

 ここに、我々は、日本国憲法 の精神にのっとり、我が国の未来を切り拓く教育の基本を確立し、その振興を図るため、この法律を制定する。

 そして「家庭教育」や「幼児教育」の条項の追加や、第16条には「教育行政は、国と地方公共団体との適切な役割分担及び相互の協力の下、公正かつ適正に行われなければならない」、と記述して教育行政の責任の明確化を謳っています。

 旧教育基本法のもと、戦後一貫して国を対抗すべき権力と見なし、国の働きかけを不当介入と拒絶し、左翼思想に凝り固まった日教組による教育がなされた結果、公共心や愛国心の欠如、伝統や文化の軽視という、どこの国でも教育の大きな目的部分である、重要な部分が欠落した人作りとなっていました。その一つの具体例が国旗、国歌への冒涜です(この対応は新教育基本法より早く、国旗国歌法を1999年公布)

Download-3_2  それらの弊害を除去し、公共心や愛国心をもち、日本古来の伝統や文化を重んじる、豊かな人間性と創造性を備えた人の育成のために、改訂がなされたのです。

 この新基本法は大方の賛同を得られましたが、当然のごとく左界隈、例によって弁護士会が反対の狼煙を上げています。福島県弁護士会の当時の会長岩渕敬氏の声明文の概要を以下に示します。

 「改正」法案は、次に指摘する様に、教育基本法を「権力」を拘束することを目的とした法から、子ども・親・市民に対して命令する法へと、その性格を根本的に変容する内容であり、「改正」に名を借りつつ、実は基本法とは全く異なる目的・理念に基づく新たな法規範の制定を目指すものとなっている。

 そもそも基本法は、教育に対して国家が介入し、一元的な価値観や一方的な観念を国民に植えつける教育が招いた、我が国自身や近隣諸国の惨禍を反省し、教育の根本法規として、子どもが自由かつ独立の人格として成長するために、必要な理念と基本原則を明らかにする法として制定された。従って、当然に、基本法の名宛人は国家等の教育行政機関となっている。基本法の、この教育行政機関を拘束する法規範であるとの性格は、決して変容させてはならないものである。

 これを見ると「教育基本法の第一の目的は教育行政機関の不当介入を拘束するものであり、教育そのものは教育者に任せ口出しするな」と言っているようなものです。その結果が上記の問題をもたらした反省は全くありません。それに戦前の教育が戦争を招いたような物言いが見られますが、戦争はあらゆる要素が入り交じって発生するものなのに、短絡過ぎる考えでしょう。

 それ以外にもいろいろ述べていますが、要は従来の日教組的教育の踏襲を狙っているだけのものです。教育を受ける対象者への人格形成目的や、日本の未来を担う子供たちの育成という観点が抜け落ちています。

 いずれにしてもこの改正を受けて、新しい学習指導要領のもと、「教科書」、特に中学校の歴史や公民の教科書の改訂の動きが、「新しい歴史教科書をつくる会」を中心に始められました。そこで従来の「自虐史観」に満ちた記述を一変し、我が国を愛し、日本の歴史の特色を分りやすく記述した、歴史教科書や、「愛国心」や「公共の精神」を掲げた公民教科書を製作しました。

1235087_1_2_1  ところが文部科学省の検定に合格しても、採用は0.1%にも満たない結果に終わりました(2011年実績)。それはこの教科書採択の手順の複雑さと、採択の慣習にありました。以下に杉原誠四郎氏著の「保守の使命」から引用します。

 例えば採択のためには、検定合格した教科書を見本本として各地の教育委員会等、採択決定者に送らなければならない。文科省の定める規則によれば、例えば「つくる会」の歴史教科書の場合、12,600冊ほど無償で配布しなければならなかった。そして注文を得たところ、つまり採択してくれたところの冊数の合計は900冊であった。

 公民教科書では約600冊の注文を受けるのに同じく12,600冊の無償配布が事実上義務付けられている。これは、明らかに既存の教科書会社の既得権益を擁護する制度であり、教科書発行の新規参加を事実上拒絶した制度である。教科書の改善のために、教科書の新規参入しようとしても、費用の上で参入できなくなっている。

 このような制度は少しでも新規参入がやりやすくなるように、改善すべきである。今のままでは新規参入は事実上不可能である。その新規参入が事実上できないようにしておいて、日教組状態の教科書市場の下、既存の教科書会社はせっせと偏向した教科書を発行して独占的に売り続けている。子供たちや国民のための教科書制度になっていない。

 せっかく教育基本法を変えて新しい指導要領を導入しても、教科書を変えなければ、教師だけで何とかなるものでもないでしょう。日本に蔓延する既得権益による参入障壁のひとつが、ここにも見られるようです。

 教育委員会や校長などの、採択決定者の思想までは完全には変わっていないのかも知れません。いずれにしろ、日教組をはじめとする左翼陣営が作り上げた岩盤を崩すのは、なかなか大変なようです。

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