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2019年9月

2019年9月30日 (月)

「日本謝罪しろ」が国際法的におかしい理由

Images_20190915135901  今回は前回と同じ経営科学出版編集人の上島嘉郎氏の『「日本謝罪しろ」が国際法的におかしい理由』を取り上げます。「謝罪と反省」を言い続けた70余年、ここで一つの区切りをつけたいと思います。

◇ 


 最近の徴用工問題をめぐる韓国の問題は目に余りますが、あれはすでに解決済みの問題である、ということはすでにあなたも知っていると思います。

 では、日本の敵だった連合国側にいたソ連と中国に関しては賠償問題はどうやって解決していたか知っていますか?

 ソ連とは、領土問題は棚上げにされながらも1956年に日ソ共同宣言を締結しました。この第6項には「ソヴィエト社会主義共和国は、日本国に対し一切の賠償請求権を放棄する」とあります。

 また中国・北京政府とも1972年に「日中共同声明」を締結。その第5項にこうあります。「中華人民共和国政府は、中日両国国民の友好のために、日本国に対する戦争賠償の請求を放棄することを宣言する」

 つまり、ソ連も中国も日本への賠償請求権を放棄していたということです。では次のような場合は国際法上どうなるのでしょうか?これらの賠償請求権が放棄された時点で、「予見されなかった事案」や「その後に浮上した問題」が起きた場合です。

 実はこの場合にも国際法上、日本は何の追求もされません。もし連合国の中の誰かが新たに請求しようとしたらの責任はその国の政府にあります。つまり、例えば中国人が日本に新たな戦時賠償を求めるとすれば、その請求先は日本ではなく「中国政府」だということです。

C_as20190730003817_comm  これは「日韓請求権協定」を結んでいる韓国の場合だってもちろん同じです。ですから、総理大臣が靖国参拝することにいちいち中国や韓国が口を挟む権利なんてありませんし、先の大戦について謝罪する必要もありません。ましてや慰安婦や徴用工問題をめぐって賠償金を支払うなんてもってのほかです。

 しかし、実際の日本政府はこれまで散々謝罪を繰り返し、律儀に賠償金も支払い、また謝罪を要求される、これの繰り返しです。いい加減あなたもうんざりしていることでしょう。なぜ日本はこれまで謝罪を繰り返してきたのか?

 それは「東京裁判で日本が不利になる証拠ばかりが一方的に採用されてきた」ということを、謝罪している政治家・官僚・外交官といった本人たちが知らないからです…

 エリートといわれる彼らが知らないくらいですから、当然、日本国民の多くがまだまだ「日本はアジアに侵略していた」と思い込んでいます。「どんな証拠が採用され、却下されたのか?」真実を知る人が増えない限り、中国・韓国の宣伝に私たちの子供や孫世代までが苦しめられ続けられることになります…

 本当はもっと堂々としていいはずなのに、自分の歴史に自信をもてない日本人は、相手に譲歩し続け、萎縮し、実際に世界でのプレゼンスを徐々に失っているのが今の日本です…

 そして譲歩し謝罪を続ける一つの要素、その「東京裁判」が戦勝国が敗戦国を徹底的一方的に悪者、つまり犯罪国家にした裁判であり、その証拠の一つに前回取り上げた「明治維新から見た東京裁判」を挙げているのです。
 
 日本を一方的に貶めた東京裁判史観からの脱却、そしてGHQのWGIPによる自虐史観からの脱却が、自主憲法の制定と相まって、戦後の日本に取り残された最大の課題であるのは間違いありません。独立国にはあるまじき「譲歩と謝罪」のくびきから解放され、いわゆる普通の国になるためにも。

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2019年9月29日 (日)

明治維新から見た東京裁判

Download-7_20190911174801  今回は経営科学出版編集人上島嘉郎氏のコラム「明治維新から見た東京裁判」を取り上げます。日本の戦争犯罪を取り上げたこの裁判、今ではその意図的で不当な実態が明らかにされています、この記事もその一つです。

 「そもそも東京裁判とは何なのか?」と思われている方も多いかもしれません。もちろん、学校の教科書的な説明をするなら「正義の民主主義国家・アメリカが太平洋戦争でアジアを侵略した日本の戦争犯罪を裁いた」ということになるのでしょう。

 ですが、それではイマイチ「東京裁判の意味」までは見えてきません。

 本当に「東京裁判の意味」を知ろうと思うとペリー来航と明治維新にまで遡ることになります。

 1856年に来航したペリー艦隊を機に日本は江戸の鎖国体制をやめ、国際社会に放り出されることになりました。あなたも知っての通り「明治維新」です。しかし、この当時の国際社会はそれはそれは凄まじいものでした。

 ちょうど第二次産業革命の時代を迎えた西欧列強がどんどん技術革新を進め、世界の工業、貿易、植民地から生まれる富のほとんどを白人が手中に収めていました。

 こう言えばまだあっさりしています。

 しかし実際には苛烈な人種差別があり、白人による原住民の殺戮や掠奪の嵐でした。西欧列強の富は、世界人口の7割を占める有色人種から奪い取る形で膨らんでいったわけです。

 そのような国際情勢のもとで有色人種の中で唯一日本だけがアジアで最初に近代化に成功したのです。「西欧列強の白人不敗の神話」を日本が初めて根底から覆したのです。

 それだけではありません。

 日本はアジアの植民地解放まで担うようになりました。しかし、欧米列強からしたら、自分たちの富の源泉である植民地が無くなってはたまりません。こうして20世紀に入ってアジア解放を担う日本vs 植民地を守りたい欧米列強という構図が出来上がっていったわけです。

 1941年12月8日に開戦した大東亜戦争はその歴史の流れの帰結です。結局、人道にもとる2発の原爆を投下され、日本は物理的な戦闘には敗れることになりました。

 しかし、ここからさらに問題がこじれ始めます。

 欧米列強からすれば約半世紀にわたる日本への恨みが募っています。実際、この戦争が終わってからアジアの国々が次々と独立していきました。欧米列強は何としても日本に復讐をしたい、そのための舞台として用意されたのが「東京裁判」だったわけです。

 長年の日本への恨みから行われたこの裁判はもはや何でもアリでした。インド独立連盟の指導者であるA・M・ナイル氏は東京裁判についてこう述べています。

「検察側は、最初から偏見を持って臨み、日本は戦争犯罪を犯したと決めてかかって、それを裏付ける証拠しか集めようとしなかったことが明らかになっていった。」

 また中国の作家であり比較文化学者である金文学氏はこう言っています。

「本質的に東京裁判は西洋世界の日本に対する「報復」以外のなにものでもありませんでした。」

 このような東京裁判を批判する世界の声は挙げればきりがありません。しかし、なぜか日本でだけそのような声が学校や大手マスコミから聞かれることはありません。一体、東京裁判ではいかなる不正が行われていたのか…?

「突如ピタリと止まった同時通訳が37年後に公開…連合国が知られたくなかった不都合な中身」

 それは昭和21年5月14日(火)、公判5日目のこと。ある異常事態が起こった。日本側の弁護人の1人、ブレイクニー弁護士が話し始めた途端、ピタリと通訳が止まったのである。

Images-15  ブレイクニー弁護士は当然それには気付かず、そのまま英語で「かなり熱の入った様子で」弁論を続けていた。新聞記者を含む、傍聴席に座る日本人にはそこで何が話されているのかは、わからなかった。その後の検察側の発言も、日本語通訳はないまま…

 ここで日本弁護団・副団長の清瀬一郎弁護人が発言台に立ち、強い口調でこう抗議した。

「法廷での裁判長の裁定や検察官、米弁護人の発言内容は、その場で日本語に通訳してもらわないと、被告たちには何が言われているのか判らない。条例には、審問及び、それに関する手続は、英語と被告の国語を以て行う、とある点に注意してもらいたい」

 “英語と日本語の同時通訳を行う”というのは、この裁判が始まるときにあらかじめ決められていた約束だった。

 それが守られないとなれば、“そもそも法廷の審理が成り立たない”一大事である。清瀬弁護人はその当たり前のことを指摘したのだった。それに対し裁判長は「正確に翻訳をするために一旦保留をした」と発言し、午前の審理は終わった。

 その後、午後の法廷はなぜか定刻より遅れて開廷された。どうやら休憩中、裁判官同士で“何か重大な話”が交わされたらしい。そして引き続きなんらかの議論があったが、いずれも日本語に通訳されないまま、午後の休憩に入ってしまった。

Images-16  法廷再開後、清瀬弁護人が再び立ち上がった。

「法廷ではその都度通訳してもらいたい。先刻の中国検察官の弁論も何を云われているのか判らないので、被告は必要な異議申し立てもできない。休憩中、向検察官の弁論は一体何だったのか、と疑念を持った者もいた。善い事も悪い事も、法廷での進行の内容が判らないのでは、フェア・トライアル(公正な裁判)とは云えない」と再度抗議した。

 これに対して裁判長は「必要な翻訳はできるだけ早い機会に提供する」と答えて、この論争を打ち切った。

 その後になっても、いっこうに裁判長が約束したこの日の日本語訳が配られることはなかった… 日本文速記録しか読んでいない者や英語力の乏しい日本人傍聴人には、その内容が何だったのか、ほとんど判らないままで終わってしまった。

 しかも当時の一般国民はGHQによって「プレスコード」と呼ばれる報道規制が敷かれていたことも知らない…

 当然、このような異常事態が起こっているということが新聞マスコミから報じられることもなかった、、、

 あのとき、東京裁判の法廷では、何が議論されていたのであろうか…?その内容を一般国民が初めて知れるようになったのは、それから37年経った昭和58年…講談社企画・製作、東宝東和配給のドキュメンタリー映画「東京裁判」が公開されたときである…

 映像の中でブレイクニー弁護人は云う。

「国家の行為である戦争の個人責任を問う事は、法律的に誤りである。なぜならば、国際法は国家に対して適用されるものであって、個人に対してではない。個人による戦争行為という新しい犯罪を、この法廷が裁くのは誤りである。

(中略)

真珠湾攻撃でキッド提督が亡くなったことが殺人罪(訴因39)になるならば、我々はヒロシマに原爆を投下した者の名を挙げることができる。投下を計画した参謀長の名も承知している。その国の元首の名前も、我々は承知している。彼等は殺人罪を意識していたか。してはいまい。我々もそう思う。それは、彼等の戦闘行為が正義で、敵の行為が不正義だからではなく、戦争自体が犯罪ではないからである。何の罪科で、いかなる証拠で、戦争による殺人が違法なのか。原爆を投下した者がいる!この投下を計画し、その実行を命じ、これを黙認した者がいる!その人たちが裁いている」

 これが、打ち切られた通訳の内容だ。

 真珠湾攻撃が戦争犯罪なら、原爆投下も同じように戦争犯罪のはずだろう!という真っ当な正論だった。

 しかし、このことがGHQの占領下で公になることはなかった…

 たとえ法廷での論争であり、単なる一弁護士の意見にせよ、「正論」が日本人の間に知れ渡る事を恐れた連合国側は、通訳者に同時通訳の一時中止を命じたのだった。

 だからこそ、裁判長が清瀬弁護人に口では約束しながら、日本語訳は配布されないままに終わってしまったのである。

 そして正論をぶつけたブレイクニー弁護人が担当した東郷茂徳はA級戦犯の烙印を押され禁固二十年の刑を受けて獄死、梅津美治郎もまたA級戦犯・終身禁固刑を言い渡され、服役中に直腸癌により病没した。

 これがまかり通ったのが、東京裁判であった…

 東京裁判の法廷の現場で行われた不正はこんなもんじゃありません。

・検察側資料は伝聞でもなんでも証拠資料として採用するのに、弁護側資料はなんと7~8割方が却下され、

・中国共産党に関する資料にいたってはなんと75点中74点が却下され、(それらの証拠を見比べれば「満洲事変や盧溝橋事件が中国共産党の仕業だった」ということは明らかです)

・パール判事は全員の無罪を主張した上で「復讐の欲望を満たすために、単に法律的な手続きを踏んだに過ぎないというようなやり方は、国際正義の観念とは縁遠い。こんな“儀式化された復讐”は瞬時の満足感を得るだけのものであって、究極的には後悔を伴うこと必然である」と強く非難しています。

 実際、アメリカのルーズベルト大統領は「それは彼らの犯罪的な、野蛮な指導者に対しては処罰を加え、報復を加えることを意味する」(1943年2月12日)と、終戦前の段階から、あらかじめ日本に報復をすることを宣言しています。

 ですが、残念ながら、では実際に法廷内でどのように事実が捻じ曲げられたかということを、学校が教えてくれることも、マスコミが報じてくれることもありません。

 なので、真実を学んでる人とそうでない人で、そもそもの事実認識が異なっています。だから、あったなかったの水掛け論が戦後繰り返されているわけですが、あなたもこれまであの戦争について聞いてきた話が「一方的に日本を悪者にしようとしている」ということに薄々気づいているのではないでしょうか?

 そもそも、歴史の真実はこの東京裁判で論じることを封殺されたにも関わらず、その根本の事実が取り上げられることはまずありません。ですから、私たち一般人の目から見れば、本当は何が真実なのか分からないのも当然でしょう…

 東京裁判については、一言でいえば戦勝国の敗戦国に対する戦争犯罪訴求裁判ですが、その判決に至るプロセスは完全に戦勝国、特にアメリカの一方的な罪状押し付けであったことが、明らかになっています。

 この戦争、日本が全く悪くなかったということはもちろんありませんが、逆にすべて日本が悪かったこともないでしょう。しかし判決は日本のすべてが悪、そして個人の責任までも問う異常な判決だったわけです。

 今になってこの問題を取り上げるのは、対アメリカへの抗議のためではなく、むしろ日本人への真実の伝達と言う意味が大きいと思われます。今更とは思いますが、しかし日本人の中にも東京裁判史観からいまだ抜け出せず、一方的に日本が悪かった、いつまでも謝罪を続けなくてはいけない、と言う自虐にまみれた人もいることは事実です。反日活動家・共産思想にかぶれた人は別にして、こうした人たちから自虐の洗脳を解かなくてはならないと強く思います。

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2019年9月28日 (土)

中国でカリスマ経営者が次々に退いていく理由

 今回は元産経新聞記者でジャーナリストの福島香織氏のコラム「中国でカリスマ経営者が次々に退いていく理由」(JBpress 9/26)を取り上げます。副題は「瀕死の中国経済、“ICU入り”で延命措置」です。米中貿易戦争がその背景にあるのでしょうか。以下に氏の記事を紹介します。

Maxresdefault-3_20190928104301  9月10、アリババ創始者で会長だった馬雲(ジャック・マー)が予告どおり引退し、アリババ経営から完全に離れた。ちょうど55歳の誕生日であり、その前後には、中国メディアが彼の功績や評伝を書き立てた。また浙江省杭州から「功勲杭州人」という栄誉ある称号を送られたなど、ポジティブニュースとしてその引退が報じられている。

 だが、その10日後、杭州政府が100人の官僚を「政務事務代表」として、アリババやAI監視カメラメーカーのハイクビジョン(海康威視)、民族自動車企業の吉利など100の重点民営企業内に駐在させると発表した。口の悪いネット民たちは「地主を追い出して田畑を接収しようとしている」と噂した。

 その後、IT企業、テンセント(騰訊)創始者の馬化騰やレノボ(聯想集団)創始者の柳伝志が、馬雲のあとを追うように次々とビジネスの現場から去ることがあきらかになった。こうした“早期退職”は決して早々とセカンドライフを楽しみたいから、といった理由からではなさそうだ。民営企業からカリスマ創始者たちを追い出し、政府官僚による直接支配が始まりつつある。中国民営企業の大手術が始まっているのだ。

 だが、この大手術、失敗するのではないか。「中国経済のICU(集中治療室)入り」と言う人もいる。ICUに入ったまま脳死する可能性もあるかもしれない中国民営経済の危機的状況について、まとめておきたい。

テンセント、レノボの代表も退く

 テンセントの創始者で董事会主席、CEOの馬化騰は9月19日、テンセントの子会社で個人信用情報などを扱う騰訊征信の法定代表職から外れることになった。経営上の問題ではなく、社内の事情によるという。もちろん全面的な退職ではないが、馬雲引退の直後だけに、中共政治のサインと受け取られた。芝麻信用で知られるアントフィナンシャルの会長・井賢棟もこのタイミングで引退を表明した。

 続いてレノボ会長の柳伝志も聯想ホールディングス(天津)の法定代表、役員の職を辞任した。柳伝志は17企業の法定代表、7企業の株主、8企業の役員を務めていたが、そうした役職も大部分が取り消されたという。聯想側は、子会社については随時業務の進行に合わせて、調整、整理しており、今回の人事などは企業としての正常な業務措置だという。

 柳伝志の後任は、深セン市瑞竜和実業有限公司の法人代表である張欣が務める。聯想ホールディングス(天津)は2011年11月に資本金50億人民元で登記され、聯想ホールディングス株式会社と深セン市瑞竜和実業有限公司が50%ずつ出資していた。

 ちなみにレノボグループの筆頭株主は聯想ホールディングス株式会社で25.81%の株を保有、この会社がグループのコアとして北京に登記されている。この北京の聯想ホールディングスの5大株主は中国科学院独資会社・中国科学院ホールディングス、北京聯持志遠管理コンサルティングセンター、中国泛海ホールディングス集団、北京聯恒永信投資センター、柳伝志個人で、合わせて76.81%の株を保有している。

中国共産党が民営企業の改造に着手

 こういった動きについて、チャイナウォッチャーたちの間では、中国共産党政権がいよいよ民営企業の改造に着手した、という見方が出ている。英国のフィナンシャル・タイムズによれば、アリババ傘下の芝麻信用と騰訊征信は、かつて中国政府に顧客ローンのデータを提供することを拒否しており、馬雲と馬化騰の一線からの撤退と関係あるとみられている。

 米国の政府系ラジオ局、ラジオ・フリー・アジア(RFA)は、こうした動きは中国共産党政府がクレジットローンに関するすべての情報を独占して管理するためのもので、同時に当局が民営企業と工商界の企業に対する改造を行い、実質的にコントロールするためのものだ、という見方を紹介している。

 昨年(2018年)、中国政府はアリペイ(支付宝)に対して顧客勘定の100%の中銀準備預金を義務付けた。これは顧客保護の観点から必要という建前だが、実際はアリペイ口座の余剰資金運用によるアリババの儲けを政府に差し出せ、という意味でもあった。中国「証券時報」によれば、今年6月、7月に国有資産委員管理委員会書記の郝鵬が馬雲と馬化騰に直接、中央企業と民営企業の融合を命じ、中央企業+ネットの混合改造モデルを強化せよと通達したとか。

 ほぼ同じころ、民営企業が多い浙江省杭州市や山西省太原市、北京市などは、政府官僚や党委員会の民営企業に対する干渉を強化する政策を打ち出した。杭州市は、民営100企業内に市政府官僚駐在事務所を開設、太原市では財務管理部門をテスト的に接収するなどの方法で経営にコミットし始めた。北京では党委員会が民営企業内の「党建設工作」展開状況の調査を開始するという通達を出した。

 こうした動きは、建前上は、民営企業の腐敗や野放図な経営を共産党が厳しく管理し、指導するというものだが、実質は、政治上は民営企業を絞め殺し、経済上は民営企業の私有財産を接収するということに他ならない。

計画経済に立ち戻る習近平政権

Xiguoqi1  習近平政権が経済政策の目玉として打ち出している国有企業改革は、いわゆる「混合企業改革」と言われるもので、汚職や不正経営、経営破たんを理由に民営企業の経営権を国有企業に接収させることで、国有企業を大規模化して市場独占化を進め、国有企業を通じて共産党が市場に対するコントロールを強化するものだ。

 これは改革開放期の「国退民進」(国有企業を民営企業に移行することで市場経済化を進める)とは真逆の方向性だとして「国進民退」政策だと言われた。あるいは50年代の「公私合営」政策への回帰とも言われた。この結果、民営企業家たちが委縮し、今の中国経済の急減速の主要な原因の1つになったというアナリストは少なくない。

 目下、米中貿易戦争の行方は中国にとって楽観的な観測を許さない。確実に中国経済にボディーブローのように効いており、経済統計上にもはっきりと予想以上の中国急減速がみてとれる。

 首相の李克強は9月16日、ロシア訪問前にロシアの国営通信社、イタルタス通信に対して、今年通年の中国経済成長が、全人代の政府活動報告で目標に掲げた6~6.5%を達成できずに6%を切る見通しであることを語っている。党中央内部ではその責任を習近平に求める声も強い。一方、習近平政権としては、この経済危機を“計画経済”に立ち戻ることで乗り越えようとしている。その表れが、今年に入っての民営企業のカリスマ創始者の現場からの排除や、党官僚の進駐や財務の接収などの動きだと見られている。

中国経済はすでに瀕死の状態?

 ラジオ・フリー・アジアのコラムニスト、梁京が書いた「中国経済がICU(集中治療室)に入った」というタイトルのコラムを読み、なるほど、と思った。ちょっと引用して紹介したい。

「中国共産党70周年前夜、当局は大型民営企業の直接支配を急ぎ始めた。しかし、中央宣伝部はこういう重大事態の展開について、なんら発表していない。これは中国共産党が50年代に鳴り物入りで行った『公私合営』とはっきりした対比をなしている。つまり当局もわかっているのだ。国家が民営企業に進駐して干渉することが決してよいことではないということを」

「・・・中国の民営企業の経営者たちは党に搾取されっぱなしでいることに甘んじてはいなかった。(元北京の政商であった)郭文貴は造反して米国タカ派の支持を得るようになったが、以降、大型民営企業の経営者の政治的不忠義は中国共産党の悩みの種となっていた」

「現在、共産党が民営企業のコントロール強化を急いでいる背景には、米中貿易戦争が89年の天安門事件以来最悪の危機を中国経済にもたらしていることが大きい。豚肉価格が高騰し、食糧生産規模も年々縮小している。中国は悪性インフレに陥る可能性が高い。・・・中国経済はすでに瀕死に直面している」

「では、かつてゴードン・チャン(2001年に「やがて中国の崩壊が始まる」を書いたエコノミスト)が予測したように、いよいよ中国経済は崩壊するのか?・・・中国経済が崩壊する可能性は実際に増大しているが、さらに大きな可能性は、中国経済がかつて前例のない実験を行う可能性だ。・・・私はそれを“ICU経済”と呼ぼう。つまり共産党による経済管制による延命だ」

 以前、中国の体制側アナリストと雑談をしたとき「バブル崩壊もミンスキー・モーメントも自由主義市場経済の体制で起こるもので、統制経済では起こりえない。だから習近平政権の党による市場コントロール強化政策は正しい」という見方を説明された。梁京の言う“ICU経済”はまさにこのアナリストの説明と同じで、経済を絶対安静にして、呼吸も心拍も中国共産党によって管理して延命しようということだろう。

 梁京は、この共産党による完全なる経済コントロール、“ICU経済”実験を継続するためには2つの条件が必要だという。ハイテク技術、デジタル貨幣などの技術。そして外部世界の中国経済が崩壊しないでほしいという強い願いである。つまりICUで、たとえ多臓器不全でも延命させるためには、それだけの先端医療技術とそれを強く願う周囲の意志が重要だ、ということである。

 だが、延命と回復は全く違う。国際社会の大勢が「中国経済が破たんすれば大変だ、破綻させてはならない」と思っており、中国はハイテク技術と極権体制を持っている。確かに延命は可能かもしれない。だが回復しない経済をただ維持するためだけに、いったい中国はどれだけの犠牲を払うことになるのか。

 今、中国は、老衰で死期間近い、中国の特色ある社会主義市場経済体に、西側グローバル市場で生き抜いてきた民営企業の臓器を移植して延命を図る大手術を行おうとしている、と例えることができる。本当に救わねばならないのは民営企業の方ではないか?

「もし中国人が、中共が自然死を迎える方策を探せないのなら、中国経済はある種の“ICU病室”で奇跡の“長寿”をかなえるかもしれないが、その“奇跡”はすべての人にとって巨大な厄災を意味する」(梁京)

 この厄災を防ぐためにどうするか。それが今考えるべきことではないか、と思う。

 厄災を防ぐためにどうするか、極めて大きな課題ですが、少なくとも共産党による計画経済体制では間違いなく失敗するでしょう。競争を内包しない経済は、恐らく利権と賄賂の温床にはなっても、持続的成長には程遠い気がします。

 確かに中国経済の崩壊が及ぼすその影響は計り知れません。中国人自身ももちろんそれを望まないでしょうから、中から懸命な人々が出てきて、世界に迷惑をばらまく共産党主導のこの「ICU治療室」内の中国経済を死から救ってほしいと思います。

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2019年9月27日 (金)

文在寅氏、NYで米大統領に土下座外交

20190924at51s_o  今回はジャーナリスト高濱賛氏のコラム「文在寅氏、NYで米大統領に土下座外交」(JBpress 9/26)を取り上げます。国連総会で会談した両氏、その内容について高濱氏は以下のように記述しています。

お世辞連発の文在寅大統領

 日韓関係ばかりか、米韓関係にも暗雲が立ち込めるなか、韓国の文在寅大統領は、1159キロの長旅を厭わず、ニューヨークに飛び、ドナルド・トランプ大統領と会談した。

 3か月ぶりの米韓首脳会談は1時間余にわたって行われた。

 冒頭10分間はトランプ流の記者団を前にした公開会談。トランプ大統領は外国首脳との会談の際によくやる。

 トランプ大統領はそこでこれから始まる会談で何を話すかを紹介し、相手にも話させるのだが、8割から9割は自分の言いたいことを喋る。さらに記者団からの質問に応じる。

 この公開会談で自分のペースに相手を完全に引き込むのだ。

 前回のワシントンでの文在寅大統領との会談(5月22日)では差しの会談時間は冒頭の公開会談(両大統領夫人も同席)にほとんど費やされ、実際の差しの会談は2分間だったという「非公式記録」すらある。

 トランプ氏が文在寅大統領の北朝鮮寄り・中国急接近スタンスや誇張発言(虚偽も含めた)に腹を立てていたからだったという話までワシントンではまことしやかに流れた。

 さて、今回の会談は文在寅大統領もトランプ流になれたのだろう。公開会談で一気に喋った。

「最後にお会いしてから3か月が経つが、トランプ大統領と再会できたことは大きな喜びだ」

「大統領の板門店訪問は大統領が行動によって平和を示した歴史的瞬間(a historic moment)として長く受け継がれるだろう」

「私は、大統領の想像力と大胆な決断に日頃から驚き入っている(marvel at your imagination and bold decision-making)と言わざるを得ない」

「大統領のリーダーシップのおかげで、南北朝鮮関係は大きな進展を遂げることができました。そしてそれが米朝間の対話を導き出せました」

「4回目の米朝首脳会談に向けて近いうちに米朝間で実務協議が始まることを期待しています。4回目の米朝首脳会談が実現すれば、おそらく世界史における真の歴史的瞬間(a truely historic moment in world history)になるものと期待しています」

「朝鮮半島における完全な非核化に向けての大転換(a great transformation)になるでしょう」

 以上の発言はホワイトハウスが公表した議事録を訳したもの。韓国側の通訳が多少脚色しているのかもしれない。

 それにしてもこの大げさなトランプ絶賛はどうだろう。

「歴史的瞬間」「想像力と大胆な決断力」「世界史における歴史的な瞬間」――。

 トランプ氏に応援団的存在のフォックス・ニュースのキャスターでもここまでは言わない。

反米容共大統領に何が起きた

 文在寅大統領に一体何が起こったのだろうか。

 米韓関係をフォローしてきた米政府元高官は、現在文在寅氏が置かれて状況についてこう分析する。

「米国務省や国家安全保障会議(NSC)の対朝鮮担当者たちはこう見ている」

「文在寅氏の支持率は40%。韓国歴代政権の支持率としては危険水域に突入している。来年4月の議会選挙を控えて与党幹部たちは大敗するのではないかと危機感を募らせている」

「理由はいくつかある。文在寅氏がごり押しして法務長官にしたチョ・グク氏一族のスキャンダル疑惑に対する検察当局の捜査。結果次第ではチョ・グク氏の逮捕・起訴だってありうる」

「次が朝鮮民族の和解を旗頭に進めてきた文在寅氏の対北朝鮮外交の頓挫だ。ハノイでの米朝首脳会談以降、北朝鮮とは没交渉。北朝鮮メディアは文在寅政権を強い口調で非難し続けている」

「国民世論は今や文在寅大統領の政治外交センスすら疑い始めている。それに追い打ちをかけたのが修復不可能に近い日韓関係だ」

「文在寅氏は日本がもっと柔軟姿勢を見せると思っていた。大変な誤算だった」

「それでも突っ張る文在寅氏も同氏と対立する日本政府も『正気の沙汰ではない』と考える米政府関係者も少なくない」

「こうした見方を踏まえて、ニューヨーク・タイムズも社説ページに寄稿記者、E・タミー・キム氏の論考を載せている」

「米中の間で『バランス外交』を目指した文在寅大統領は、中国ににじり寄ったものの、習近平主席は、終始、消極的な対応だ。訪韓を要請したが反応なし。対中外交は空回り状態だ」

「経済面に目を転じると、韓国経済は米中貿易戦争や日韓軋轢のあおりを受けてますます危うい状況になっている」

「一言で言えば、この左翼政権は、任期5年の中間点に差しかかる前から『レイムダック』化している」

「唯一の拠り所は、韓国国内に根強い反日機運だが、これを緩和させない限り、日韓関係は改善しない」

「無理に政府指導で抑制すれば(周辺を筋金入りの反日分子で固めているだけに政府としては動けない)、世論のバックラッシュを招く」

「内憂外患の文在寅大統領が国連総会出席とはいえ、この時期になぜトランプ大統領と会談するのか。韓国の青瓦台も外務省当局も作戦には苦慮したはずだ」

情報機関の極秘情報で電撃訪米決める

 韓国メディアによれば、当初は国連総会には李洛淵首相が出席することになっていたという。

 それが急遽、文在寅大統領になったのは、「北朝鮮の非核化を巡って米朝実務者協議が迫っている」との韓国情報機関の極秘報告があったからだという。

Photo_20190926175801  文在寅氏にとって、「危機脱出」の数少ない材料は米朝間の非核化交渉の再開だ。元々米朝の橋渡しをしたのは自分だという自負がある。

 その後、非核化よりも南北朝鮮和解を優先したことでトランプ大統領だけでなく米政権もへそを曲げている。米韓同盟関係に亀裂が入った遠因にもなっている。

 米韓同盟修復の材料に新たな動きは役立つかもしれないという思惑が文在寅大統領にはあったに違いない。

 文在寅大統領が自ら米国に飛び、トランプ大統領と会う必要があると判断したのだ。だが手ぶらでは行けない。

 用意したのは、米国製軍事装備購入増加、在韓米軍駐留費分担増額に対するコミットメントだった。

 さらに公開会談で文在寅大統領が口にした米国産天然ガス(LNG)導入契約と米韓自動車企業間の自動運転技術締結だった。

「外交交渉も成否はすべてカネでなんぼ」のトランプ大統領を納得させるための苦肉の策だった。すべてはパッチワーク(つぎはぎ細工)にすぎない。

 文在寅大統領は23日、ソウルを立つ空港に見送りに来た日系のハリー・ハリス駐韓米大使にこう言った。

「最近の日韓関係の困難が米韓関係に影響を及ぼしてはいけない」

 だが、この程度のカネで悪化が続く日韓関係を放置したまま、揺らぐ米韓同盟が立て直せるのか。

 前述の米政府元高官の答えは「ノー」だ。

NYタイムズは仲介を助言

 1時間余の首脳会談で両首脳は、日韓関係、特に韓国が8月に破棄を決めた日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)についてのやりとは全くなかったのだろうか。

 首脳会談後、韓国政府高官は「GSOMIAについての言及はなかった」と述べている。

 だが自分の分身、チョ・グク氏が検察当局の厳しい追及を受けている真っ只中、非核化を巡る米朝協議再開が迫ったからと言って、1159キロも離れたニューヨークにまで飛んでくるだろうか。

 米韓同盟にも密接に関わり合いを持っているGSOMIA問題や日韓関係についてトランプ大統領と話し合わない方がおかしい。

 トランプ大統領にしてもそうだ。びっしり詰まった日程の中で文在寅大統領と話すからには日本がらみのアジェンダが取り上げるのは大統領としての外交のイロハだ。

 大嫌いだが、トランプ大統領が一番気にしているのはニューヨーク・タイムズだ。そのニューヨーク・タイムズは、前述の論考でこう指摘している。

「韓国のGSOMIA破棄決定で日韓の対立は危険な局面に入った。日韓の対立が両国の経済や安全保障、地域における米国の国益にとって損失なことは明白だ」

「日韓が自らの愚行を理解するのに米国の助けはいらない。米政府はもっと前に仲介に入るべきだったのに、はとんど関心を示してこなかった」

「日韓が正気に返るようにトランプ政権が強く働きかけるべきだ」

新たに迫り来る「ウクライナゲート」

 もっとも文在寅大統領とニューヨークで会ったトランプ大統領も外憂内患の症状では文大統領に引けを取らない。

 米中貿易戦争、ホルムズ海峡でのイランとの緊張関係激化といった外交案件のほか、ロシアゲート疑惑は一応晴れたものの、今度は「ウクライナゲート」疑惑が急浮上している。

 トランプ氏がジョー・バイデン前副大統領の次男のウクライナ国内での行動を調査するようにゼレンスキー大統領に圧力をかけていたとの疑惑だ。

 民主党は「国家安全保障への裏切りだ」(ペロシ下院議長)と弾劾を前提とした調査を行うことを正式決定している。

 上院は共和党が多数派だから弾劾決議は上院で退けられそうだが、再選を目指すトランプ大統領にとっては大きな障害になってきそうだ。

 そうした中でトランプ大統領がニューヨーク滞在した3日間に個別に会談した外国首脳は13人(中南米諸国との首脳とは一緒に会談)。

GSOMIA破棄撤回は「一石二鳥」

 トランプ大統領にとってはこのくそ忙しい時にギクシャクした関係が続いている韓国の文在寅大統領と、込み入った話などする余裕はなかったのだろうか。

 米外交オブザーバーの一人は、文在寅大統領の今回の訪米の舞台裏を総括してこう解説する。

「文在寅大統領は、日韓関係打開でトランプ大統領に何らかの形で仲介してもらう以外に糸口はないとは思っているのだろう」

「だが政権内の反日分子に囲まれてなかなか言えない。トランプ大統領も頼まれなけば動かない」

「文在寅大統領は、8月に決定したGSOMIA破棄決定を撤回すれば、安倍晋三首相も態度を軟化させ、トランプ大統領も喜ぶことは知っている。これが米韓同盟を軌道に戻す最善策になる」

「日韓関係、米韓関係を正常化させる上では『一石二鳥』の策なのだが、国内状況からみて文在寅大統領にできるか、だ」

 このオブザーバ―も前述の米政府元高官も今回の米韓首脳会談でトランプ大統領からGSOMIAについて言及があったに違いないと見ている。

 オブザーバーはこう筆者にコメントしている。

「あのトランプの激しい気性から推し量るに、言わないわけがないよ。表(記者発表など)には出さないことを条件に『GSOMIA破棄決定を大統領権限で撤回したらどうか』とね」

「大統領とは何でもできるというのがトランプ氏の政治哲学だからね。文在寅大統領ならできるという論法だ。元々GSOMIAを締結した時も当時の大統領はこっそりやったそうじゃないか」

 さて、この2人の韓国通の読みが当たっているかどうか。

 これを裏付けるスクープをものにするのは、米国メディアか、それとも韓国メディア、あるいは日本メディアか。

 GSOMIA破棄決定を大統領権限で撤回したとしても、韓国が最も問題にしている「ホワイト国除外」を日本はもとに戻すことはないでしょう。そもそも日本の主張は、韓国における戦略物資の管理の問題なのですから、GSOMIAとは性格の違う問題。韓国が管理改善を現実的に実施しない限り、ホワイト国には当然戻せないはずです。

 それに日韓関係の正常化には、やはり徴用工問題を外すわけにはいきません。更には慰安婦合意の撤回を元に戻すことが重要でしょう。そうして初めて日本の主張、つまり国際条約の遵守に戻るわけですから。

 しかしそれは文政権の生命線を断つに等しい政策転換です。絶対にできないものと思われます。つまり文政権が国際条約を遵守する新たな政権に変わらないかぎり、日韓関係の正常化は無理だと思います。日本は急ぐ必要はありません。相手の政治状況が変わるまで「非韓三原則」を貫けばよいと、そう思います。

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2019年9月26日 (木)

小泉進次郎に語ってほしかった「セクシー」じゃない話

As20190923001463_comm  今回は上武大ビジネス情報学部教授、経済学者の田中秀臣氏のコラム『小泉進次郎に語ってほしかった「セクシー」じゃない話』を取り上げます。

就任以来、何かと話題になる小泉進次郎環境相だが、外交デビューでの「セクシー発言」が物議を醸している。その報道では発言を切り取られていて、経緯が伝わっていないという批判も確かに理解できる。ただ、セクシー発言の説明が「やぼ」だとしても、世界に向けて話すべきことが進次郎氏にはあったはずだ。

と言う文言で切り出す田中氏の記事が以下に続きます。

 小泉進次郎環境相が、国連総会の環境関連会議に先だって行われた共同記者会見に関するロイター通信の報道を、テレビ朝日が次のような見出しをつけて報じた。

「気候変動問題はセクシーに」小泉大臣が国連で演説

 またハフィントンポスト日本版も『小泉進次郎・環境相、気候変動への対策は「sexyでなければ」ニューヨークで発言』という見出しを付けている。

 小泉氏が英語で記者たちに述べた発言であり、具体的には「気候変動のような大規模な問題に取り組むには、楽しく、クールで、そしてセクシーでなければいけない」というものだった。この「セクシー」部分は、ロイターやテレビ朝日、ハフポスト日本版でも同じだが、実は隣に同席した国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)の事務局長だったコスタリカの外交官、クリスティアナ・フィゲレス氏の発言を引き取る形で述べたのである。

 もちろん、この場合の「セクシー」は性的な語感よりも、かっこいいというニュアンスで使用されている。また、テレ朝の見出しだけ見ると誤解するが、小泉氏の「セクシー」発言は、国連での演説ではなく、記者会見で出たものだ。

 ちなみに、フィゲレス氏は「環境対策をセクシー」にというのが従来の持論だ。例えば、若い人の消費スタイルについて、二酸化炭素を排出抑制する低炭素な商品や、脱炭素化社会に向けた商品などへの需要に転換することを、フィゲレス氏は主張している。

 そのライフスタイルの転換が、セクシーである方が若い人にも受け入れやすく、若い人が消費の変化を主導しやすい、というのがフィゲレス氏の持論である。フィゲレス氏の「セクシー」という言葉も「かっこいい」「イケてる」を意味する。

O0700040014597518971  ところで、「セクシー発言」で注目すべき点が二つある。一つは、小泉氏が相変わらず「かっこいいこと」は言うが「薄っぺらい」という点だ。

 確かにインターネットでは、上記の報道が「切り取り記事」で印象操作を伴うという指摘がある。だが、元々のロイターの記事を読むと、フィゲレス氏の発言を小泉氏が援用しようがしまいが、趣旨には関係ないことが分かる。

 要するに、気候変動対策を、セクシーでもクールでも「楽しく」でも、表現上では何とも言えるが、小泉氏は言うだけで、日本政府は積極的に気候変動問題に対処していない、ということをロイターの記事は言いたいだけだ。簡単に言えば、小泉氏の薄っぺらさ、実体の伴わない点を指摘しているのである。

 もう一つは、テレ朝、そして朝日新聞をパートナー企業に持つハフポスト日本版の報道の仕方にある。つまり、これら朝日系列のメディアが小泉氏に批判的な外信記事を紹介したということだ。今までは小泉氏の動向を批判的に言及した印象があまりなかっただけに「新鮮」である。

 朝日新聞社による直近の全国世論調査では、「ポスト安倍」にふさわしい政治家として小泉氏がトップに挙げられ、2位の石破茂元自民党幹事長が水をあけられる状況が続いている。ひょっとしたら、「朝日的なるもの」では、そろそろ小泉氏をここでけん制しておく必要でも出てきたのかもしれない。

 朝日に限らず、日本のメディアの報道姿勢は基本的に「悪魔理論」である。あくまで正義はマスコミで、悪は政府であった。

 これまで、安倍政権とわりと距離を置く発言をしてきた小泉氏が入閣したことで、初めはご祝儀的に高めておきながら、後で地に叩き落とすという、いつものウルトラワンパターンな日本メディアのお家芸を発揮するのだろうか。今後の推移がどうなるか興味深い。

 さて、小泉氏のセクシー発言が「薄っぺらい」というか、「ええかっこしい」だな、という点は先ほど指摘した。「薄っぺらい」とか「ええかっこしい」という、筆者のような率直な言葉こそ使っていないが、ロイターの記事も先述のように同様の趣旨であろう。

 小泉氏はセクシー発言の中で、1997年に採択された京都議定書以来、目立った行動も強いリーダーシップも日本政府は取ってこなかったという趣旨を述べたうえで「今この場から変わる」と宣言した。だが、ロイターは、この小泉発言には何の具体性もないと指摘している。

 データを見ると、日本は、先進7カ国(G7)の中で唯一新しい火力発電所を増やす計画があり、アジアにその火力発電を輸出していることがその理由だという。国連のアントニオ・グテレス事務総長やフィゲレス氏らの「行動こそ重要である」という旨の発言を援用までしている。

 特に、グテレス氏は直近の演説で「格好のいい演説(Fancy Speech)よりも行動が重要」という旨の発言をしていた。ロイターはまさに小泉氏の発言を「格好のいい演説」あるいは「しゃれた演説」そのものとして捉えたのだろう。

 日本のエネルギー対策は、日本国民の生活と同時に、世界の環境問題との利害調整の中で追求されている。小泉氏が述べるべきは、ええかっこしいのセクシー発言よりも、自国の立場に関する丁寧な解説だったろう。

 あるいは、彼が本当に日本のエネルギー政策を大胆に転換させたいならば、その点を具体的に話すべきだったのではないか。小泉氏のセクシー発言は本当に空虚な発言そのものである。

 小泉進次郎氏が今までも大衆受けする「格好いい」発言をしてきたのは事実です。そして今までは政権中枢に身を置いていない気軽さもあって、そういった発言もできていたのでしょう。政治を深く読み解かない国民にとっては、抽象論でも、うわべだけの言葉でも、若く人気のある政治家が言うのだから、拍手してきたのでしょう。

 しかしこれからは大臣としての力量が問われます。理想論ではなく、現実に立脚した、しかも効果と実現性の高い政策を周りを説得しながら立案実行しなければなりません。

 まだ若い彼にはこれからその能力を身に着けることも可能でしょうが、その気にならなければ今までと同じ「薄っぺらい」ままで終わるかもしれません。人気先行の小泉氏を見る専門家の目は厳しいと思います。

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2019年9月25日 (水)

韓国の「終わりなき旅」はなぜ反日にたどり着くのか

Maxresdefault-1_20190924205701  今回はジャーナリスト重村智計氏のコラム『韓国の「終わりなき旅」はなぜ反日にたどり着くのか。』(ironna9/24)を取り上げます。新聞記者としてソウル特派員を経験した氏が、その経験も踏まえていわゆる「韓国病」に関し詳述しています。

「韓国政治を見ていると、まるで『韓流(はんりゅう)ドラマ』のようだ」。ある情報番組の出演者がそう語っていた。それもそのはずで、韓流ドラマには韓国の政治と社会文化への批判が込められている。作家やドラマの脚本家が題材とするのは「韓国病」だ。

 大統領の側近や家族が繰り広げる不正入学や不正投資、論文盗用疑惑は、権力者や金持ちにつきまとう社会悪であり、進歩派、保守派を問わず共通する病理だ。韓国政治の背後には「正統性の喪失」や「アイデンティティー探し」など、政治と社会が抱える「解決できない韓国病」がある。

 韓国は、民主的な政治体制でなければ、民主的な社会でもない。民主化闘争をした立派な政治家や指導者がいるではないか、という指摘は大きな誤解だ。民主化運動家は民主的な大統領ではなかったからだ。長年にわたって韓国を取材し続けた筆者の結論である。

 民主化闘争をした金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権の方が、政治家や言論人に対する盗聴を多く仕掛け、弾圧も非常に巧妙に行われた。だが、保守系政治家にも、「清廉潔白」な人物は五本の指で数える程しかいなかった。国民のために戦って「刑務所に入る覚悟」は薄い一方で、賄賂と職権乱用は日常茶飯事だった。

 民主主義の基本は言論の自由と報道の自由だが、韓国ではどちらも制限されている。大統領の家族による、不正蓄財して海外に逃避した疑惑や、日本の超保守的な大学を卒業した事実、それに「北朝鮮にいる大統領の親族が事実上の人質になっている」といった報道などできるわけがない。

 政権を批判する新聞社は税務調査によって脅され、社長が脱税の罪で収監された。韓国では、日本と安倍晋三首相を一方的に激しく非難するが、日本弁護や安倍首相を評価する発言は封じられる。

 慰安婦や徴用工に疑問を呈する発言に至っては命がけだ。『反日種族主義』の主著者であるソウル大の李栄勲(イ・ヨンフン)名誉教授らは謝罪を強要され、暴行まで受けた。儒教的論理は白か黒かの二元論争が得意で、「正義」や歴史の立て直しの「倫理」を求め、中庸な解決や主張を排除する。

 本来であれば、民主主義の原則は「あなたの意見には反対だが、あなたが主張する権利は命に代えても擁護する」という言葉で表現される。韓国では、この原則を貫くのが難しい。

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長を批判すれば、インターネット上で総攻撃に遭う。批判の声を上げた者に対しては、ネットで誹謗(ひぼう)中傷や個人攻撃が大々的に行われる。これが韓国の「儒教的民主主義」のリアルだ。

 韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は9月9日、曺国(チョ・クグ)前大統領府民情首席秘書官を法相に任命した。韓国の国会では、大統領の指名した閣僚候補に対する人事聴聞会を開くことはできても、就任を完全に拒否する権限がない。独裁的で非民主的なシステムだ。

 三権分立の米国では、議会に閣僚任命を拒否する権限がある。民主主義には、自由選挙で選ばれた役職にしか権限を与えない、という思想がある。だから、米国では選挙で選ばれない閣僚は、議会の承認なしには就任できない。

 この基準から考えれば、韓国では三権分立は機能していない。大統領は強大な権限を有し、側近には権力型の不正腐敗が絶えない。韓国の政治学は、この現象を「権威主義政治」「権力型腐敗」と呼ぶ。

 新しい法相は家族の大学不正入学や不正投資に加え、本人の修士論文盗作疑惑を指摘された。疑惑の解明や、議会で決議の無いまま閣僚を任命したことは、民主主義の原則に反する。日本は議院内閣制なので、基本的には選挙で選ばれた議員から閣僚が任命される。

 韓国では、『韓国人』『韓国人とは何か』『韓国の現住所』など、韓国人のアイデンティティーを探す出版物や新聞連載が人気だった。この背景には、韓国の正統性と韓国人のアイデンティティーを探す「終わりのない旅」がある。

 やや否定的に表現すると「韓国人のアイデンティティー喪失」だ。だからこそ、「反日」が手っ取り早い「アイデンティティー探し」になる。

 韓国の儒教文化で最も大切な価値観に据えられるのが、正統性である。韓国は1945年の独立から、国家の正統性の根拠作りに悩んだ。

 北朝鮮のように「日本帝国主義に勝利した英雄」はいなかった。中国で結成された大韓民国臨時政府を正統性の根拠にしたが、参加した人々の思いと勇気は理解しても、組織の実態は必ずしも褒められたものではなかった、と多くの人は知っていた。

 それゆえ、当時の若者や知識層は北朝鮮の持つ正統性に魅力を感じた。北朝鮮を支持すれば投獄されるので、新聞記者やキリスト教会の司祭や牧師に身を隠し生き残った。

 これが今に続く、独立後の「進歩派」「革新派」と呼ばれる韓国左派の源流である。韓国の左派勢力の誕生は「アイデンティティー探し」の一面にもあったのだ。

 その半面、韓国政府は「反共」を韓国人のアイデンティティーとして強調してきた。一般の国民は、朝鮮戦争の「犠牲者」としての北朝鮮への恨みが、アイデンティティーになった。だが、冷戦崩壊と世代交代により、このアイデンティティーがすっかり色あせてしまった。

 韓国社会では、日本に協力した「植民地世代」と、戦後生まれの「解放世代」「ハングル世代」の世代間対立と葛藤が繰り返された。この世代間対立は、今もなお激しく続いている。

 「独裁支持世代対民主化世代」「維新世代対民生学連世代」「386世代」など、世代間対立を表現する多くのスローガンが創られた。これらの言葉の背後には、正しいアイデンティティー探しの「病理」が隠れていた。

 文政権を支えるアイデンティティーは、「朴正煕(パク・チョンヒ)政権の否定」と、1965年に締結された「日韓基本条約の破棄」の理論である。娘の朴槿恵(パク・クネ)前大統領を権力腐敗の象徴として徹底的にいじめ、自分たちの正統性とアイデンティティーを確立しようとしたのも当然だ。

 だから、徴用工判決と慰安婦問題が、日韓基本条約を見直し、65年体制を破棄する戦略と運動を盛り上げる突破口になると思っている。だが、日本メディアのソウル特派員は、誰もこの「悪だくみ」を指摘しようとしない。

 韓国の政治混乱と日韓関係悪化の背後には、「儒教的正統性」の混乱とアイデンティティー喪失という「韓国病」がある。このリアルを見落として、韓国政治は語れない。

 朝日新聞の記者だった田中明さんは日本における韓国研究の権威者であり、慰安婦問題での一時的な「金配り解決」を痛烈に批判したが、日本政府は耳を貸さなかった。また、アジア女性基金の発足当時の理事には、韓国語もできず、韓国人の心も知らない人たちが選ばれたにもかかわらず、田中さんを理事にすることもなかった。

 この反省を踏まえれば、安倍政権の「国際法(条約)に従うべき」という主張は正しい。日本政府の政策立案者たちは、韓国の主張の背景にある政治文化の病巣と、国民のアイデンティティー喪失という病理を全く理解せず、放置し続けた。これからは「日韓友好」や「対話」の美名に騙されてはいけない。

 国家同士の対話と友好は、相手を尊重しながら、徹底した対立と論争を続け、違いを乗り越え妥協できるとの「覚悟」から生まれる。相手の主張を何でも受け入れるのは、友好ではない。

 日韓民衆の自由往来が実現してから、わずか30年しかたっていない。歴史の時間尺度から考えれば、日本側には「遠くて遠い関係」というリアルな認識が必要だ。当然短時間で解決する問題ではなく、時間のかかる息の長い隣国関係だとの理解を求めたい。

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 氏の言うように時間尺度から考えて、韓国は「遠くて遠い関係」であるけれども、距離的には「最も近い関係」にあります。距離的にも遠い関係であったならば、どんなに良かったことか、と恨み節を唱えても仕方ありません。

 ただ一つの、そして最も大事な付き合い方は、筑波大学大学院教授の古田博司氏の唱えた「韓国に対しては『助けない、教えない、関わらない』を『非韓三原則』にして日本への甘えを断ち切ることが肝要」に尽きると思います。

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2019年9月24日 (火)

いじめ自殺と戦後教育

1  今回は明治大学名誉教授・入江隆則氏のコラム「いじめと戦う重要性を教えよ」(正論8/30)を取り上げます。最近のいじめは陰湿さを増し、自殺する被害者も増えています。こうしたいじめの要因の一つに、戦後教育があると氏は述べています。以下その記事を紹介します。

 岐阜市立中学3年の男子生徒がいじめを苦にして今年7月にマンションから飛び降りて自殺した。一昨年には兵庫県尼崎市立中学の女子生徒が、いじめられた末に自殺をしたようだし、その前年には新潟県立高校の男子生徒がやはり似たような理由で自殺している。

 報道されることがなく、表面化していない同様な事件の数は多いはずだから、「いじめ自殺」の問題は現在の教育界の極めて深刻な課題の一つといっていいだろう。

 ≪あらゆる人生の段階で≫

 それが重要な問題だというのは、いじめられる側においての「戦うことの重要性」が教育現場においても、あるいはさまざまなメディアでもほとんど意識されておらず、したがって指摘されていないからである。

 学校の校長や担任教師、地域の教育委員会の人々が、もっと早く問題の所在を把握し、いじめをやめさせるようにしていればよかったのにそうしなかったのが悪かった-という点が、すべてだとの認識で、この問題が論議されているような気がする。

 これがなぜ悪いかというと、人間社会のいじめの問題は、単に小中学校や高校においてだけではなく、われわれが生まれて死ぬまでのあらゆる人生の段階で、社会の中に大同小異、常に存在する問題だからである。

 したがっていじめられている生徒への教育としては、彼あるいは彼女に「いじめと戦うことの重要性」を教えることこそが、もっとも重要であるのにそれが理解されておらず、実行されてもいないのである。

 ここで、私自身の少年時代の経験を語ることをお許しいただきたい。私は昭和10年の横浜の生まれである。だから6歳のときに大東亜戦争が始まった。当時国民学校と呼ばれていた小学校の4年生のときに、戦火を避けるため父の生まれ故郷の島根県の山間部に家族とともに疎開をした。

 今では信じがたいことだが、当時その地域には電気もなく、新聞も3日は遅れてくる僻地(へきち)だった。方言も横浜の言葉とは違い、意思もよく通じなかった。体も弱かったので、一対一で田舎の子供と喧嘩(けんか)をしてもかなわない。

 ≪真っ当な声が無視され≫

 峠を越え4キロの道を歩いて小学校に通う途中、毎日十数人の悪ガキによっていじめられていた。崖から下に突き落とされ、「上がってこい」と言われて木の枝や蔦(つた)をにぎって苦労をして崖を上がっていくと、私に向かって並んで小便をしていて、それを頭から浴びるというようなことが日常茶飯だった。こういう具合に散々土地の子供たちにいじめられたので、この状態にどう対処するかというのが大問題だった。

 その時の私がどうしたのかというと、ほかにもう一人いじめられっ子がいたので、彼と相談をして、どうすればガキ大将をぶん殴ることができるかを考えぬいたのである。その結果われわれは少しずつ仲間を増やしていき、ある日その全員で、ガキ大将を殴りつけることができた。それは村の神社の前の広場だったが、今でも忘れられない記念すべき日となった。

 この経験が私のその後の人生の中で極めて重要な原体験になったのはいうまでもない。この時点で「人生に於(お)ける戦うことの重要性」を学んだからである。

 さて話を、冒頭で述べた岐阜市立中学校でのいじめ自殺の問題に戻すが、報道を読む限りでは、いじめられている子供に対して「戦え」という指導は一切行われなかったようである。同じクラスの女子生徒が「私も一緒に戦います。先生、力を貸してください」とつづって提出した事実があったようだが、その至極真っ当な声は無視されてしまったようである。

 ≪戦後教育の深刻な問題隠され≫

 それはどんな時にも「戦うことは良くない」という認識があったからではないかと思われる。なぜそんな認識があったかという点にこそ、すでに75年になんなんとする、この国の戦後教育の深刻な問題が隠されているのである。

 日本における戦後という時代の特色の一つは、「平和、平和」という掛け声があらゆる場面で連呼されてきた時代だった。これはむろん、米国による洗脳だったのだが、そういう背後の状況は隠蔽(いんぺい)されて、広く「平和ボケ」と称される現象が発生し、その原因となった「平和教」とでもいうべき一種の宗教的とでもいうほかない感情が広がってしまった。

 米国によって書かれて、押し付けられた日本国憲法を厳守し、とりわけその第9条を、世界遺産として残そうというような奇妙な運動が起こっているのも、今に残るその残滓(ざんし)であろう。

 昭和時代について書いている歴史家の多くは、日本人の眼で見るのではなくて、敵国だった米国人の眼で見ているケースが多い。だからこそ「東京裁判史観」だとか「自虐史観」によっていると非難されているわけだ。私はその非難を正しいと思っている。悪い慣習を糾(ただ)すことこそが今日の重要課題なのである。

 私も入江氏ほどひどくはありませんが、同様な経験はあります。私の場合も仲間を見つけ、いじめの相手を殴り返しました。いじめやそれに似た行為は、学校だけでなくほとんどの人が経験しているのではないでしょうか。それに対し何もできずに死を選んでしまう、これほど弱い人間はありません。

 入江氏の言う通り9条教信者などは「攻められたら逃げる、逃げ切れなかったら殺されても仕方がない」などと、動物の本能すら失った発言を繰り返しています。そういう人間こそ実際の戦いの場面に遭遇したら、助かりたい一心で逃げまどい、逃げ切れなかったら命乞いをして助かろうとするに違いありません。

 これからは、攻められたら身を守るため戦う、いじめられたらいじめから逃れるために戦う、そういう教えを、学校も、家庭もすべきでしょう。

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2019年9月23日 (月)

文大統領、“タマネギ男”法相任命を余儀なくされた呪縛

2  今回は法政大学大学院教授真壁昭夫氏のコラム『韓国・文大統領、「タマネギ男」の法相任命を余儀なくされた呪縛』(DIAMOND ONLINE)を取り上げます。その理由がどうあれ日本にとってどうでもいいことでしょうが、いくら無法国家の韓国と言えども最高指導者のこう言った無謀な自己都合とも思える人事を、国民がすんなり受け入れるかどうか、興味のある所でもあります。氏の言う通りまずは静観でしょう。でもそれだけでいいか、それはこのブログの最後に記します。

むいてもむいても不正疑惑が出てくる“タマネギ男”を法相に強硬任命

 9日、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、同氏の最側近であり後継者とみられる曺国(チョ・グク)・前民情首席秘書官を法相に強硬任命した。韓国国内でチョ氏は、むいてもむいても不正疑惑が出てくるため“タマネギ男”と揶揄(やゆ)されている。

 今回、疑惑が噴出する人物を主要閣僚に任命することは異例だ。文氏にとってはかなり大きな賭けともいえるだろう。

 もともと文氏は生粋の左派政治家だ。学生時代、同氏は“開発独裁”を進めた朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領に反対する民主化運動に身を投じた。弁護士になった後も市民運動や人権問題に深く携わった。このバックグラウンドを生かして、文氏は、朴槿恵(パク・クネ)前大統領を権力の座から追い落とし大統領に就任した。

 文氏が重用してきたチョ氏は検察改革を進め、市民団体などからの期待を集めてきた。一方、現時点でチョ氏には数々の疑惑がある。チョ氏の妻は検察当局から起訴されている。ただ、今のところ、不正が事実と認定されたわけではない。その状況下、文氏は市民団体の支持をバックに、チョ氏の任命を強行することを選択した。

 チョ氏の法相任命についての世論調査を見ると、反対がやや過半を上回っているものの、見方が真っ二つに割れているという状況だ。文大統領とすれば、一時的に韓国世論が分裂しても、“反日”“南北統一”という国民の多くが賛同するテーマを叫び続けることで、この難局を乗り越えられると読んだのだろう。

 確かに、現在の状況を分析すると、韓国の世論はすぐに文大統領の退陣を求めることは考えにくい。しかし、文大統領が行った思い切った最低賃金引き上げなどの経済政策で、韓国経済が今後うまく運営できるかには疑問符が付く。文大統領にとって、これからの経済運営はより重要になることは間違いない。

韓国政治に重大な影響を与える市民団体

Pyh2019072009880001300_p2  不正疑惑が浮上してきたチョ氏を法相に強行任命した背景の1つとして、左派の大統領である文氏を支持してきた市民団体の意向が、今回の決定にかなりの影響を与えたことがあるようだ。

 これまでにも韓国の市民団体は、保守派政治家が財閥企業などと癒着することを糾弾してきた。その影響力はとても強い。市民団体が扇動した“ろうそくデモ”によって、朴前大統領が弾劾され、現在、身柄を拘留されているのは、その影響力を確認する良い例といえる。

 市民団体などが文氏を支持してきた1つの要因として、検察改革があげられる。文氏はチョ氏に検察改革をゆだね、政権の意向に沿わない検事らを追いやった。市民団体などにとって、そうした動き自体が、文政権が過去の政治と決別し、より公平な社会を目指していることと映っただろう。市民団体がチョ氏を擁護してきた1つの重要なファクターだ。

 2日、チョ氏は疑惑釈明のための記者会見を開き、50回にもわたって「知らなかった」と述べた。会見後、チョ氏の法相任命に反対する意見は減り賛成が増えた。チョ氏が本当に不正を働いたか否かが客観的に証明されない中、文氏に有言実行を求める市民団体などの考えは一段と強まったといえる。また、チョ氏が8時間以上をかけて記者の質問に答えたことも任命への賛成が増加する一因になったとの見方もある。

 この状況下、文氏がチョ氏の任命を見送ることは難しかったのだろう。9月10日の時点で、チョ氏の法相任命への反対は49.6%、賛成が46.6%だ。その他の世論調査を見ても、圧倒的大多数がチョ氏の法相任命に反対しているわけではない。

 左派政治家の文氏が、支持基盤である市民団体に背を向けることは考えられない。

 保守派の政治家などが文氏への批判を強め、その圧力に押されるようにして文氏が検察改革を任せてきたチョ氏の法相任命を見送れば、市民団体などは文氏を見放すことになるかもしれない。同氏はそれを避けなければならない。結果的に文氏は市民団体などの意向を優先し、疑惑が噴出する人物を法相に任命したということだろう。

混乱深まる韓国の政治・経済

 今回の文氏の意思決定が、韓国社会に与えるマグニチュードは決して小さくないだろう。チョ氏の強行任命を受けて、韓国の世論は従来以上にまとまりを欠き、割れてしまっている。それに追い打ちをかけるように、輸出の減少など、韓国経済の基礎的条件=ファンダメンタルズが急速に悪化している。

 その背景には多くの要因がある。外部要因として、韓国最大の輸出先である中国経済が減速していることがある。それに加えて、米中の貿易摩擦により世界のサプライチェーンが混乱している。韓国産業通商資源省は輸出減少に関して、わが国の対韓輸出管理見直しの影響は限定的である一方、米中の貿易摩擦の影響が大きいとしている。

 国内では、文大統領が無理やりに最低賃金を大幅に引き上げたことで、雇用・所得環境が悪化してしまった。左派政権の下、韓国で労働争議が激化するなどし、企業経営に下押し圧力がかかる展開も軽視できない。日韓関係の悪化、労使問題などから韓国から撤退する日本企業もある。

 本来、文氏は冷静にこの状況に向き合わなければならない。具体的には、規制の緩和などを行い、経営資源が先端分野に再配分されやすい状況を目指すことが大切だ。長い目で見ると、そうした取り組みが、富が公平に再配分される環境を整え、市民の不満解消につながるだろう。

 しかし、文氏は、“保革分断”といわれるように利害対立を激化させている。わが国が輸出制度を見直したことを受けてサムスン電子などのトップは、政府との協議よりも訪日を優先した。文氏は企業経営者からの信頼も失ったといえる。また、韓国では海外投資家の株式保有比率が高い。政治の不安定感が高まると、海外の投資家はリスク削減から株を売り、急速に資金が海外に流出する恐れもある。

 文大統領が多様な利害を調整し、国を一つにまとめることは難しくなっている。

 リーマンショック後の日本が経験したように、政治が混乱すると、市場参加者が長期の視点で経済の展開を考え、リスクをとることは難しくなる。それは、経済の成長に必要なアニマルスピリットの醸成を阻害する。その状況が続くと、経済は低迷し、社会全体で不満が蓄積されてしまうだろう。

一段と高まる韓国の先行き懸念

 今後の韓国経済を考えると、政治の混乱が経済を圧迫し、さらに政治対立が激化するというような悪循環に向かいつつあるように見える。今後、韓国の経済成長率は低下し、所得環境は一段と悪化する可能性がある。その展開が現実のものとなれば、文氏を支持してきた人々も、徐々に政権批判に転じることも想定される。

 文氏は世論からの批判に対応するために、市民団体などにとって聞こえの良い主張を続けつつ、チョ氏の検察改革断行を支えるものとみられる。検察改革は市民団体などの求めに応じることに加え、大統領任期を終えた文氏が身の安全を確保するためにも重要だ。

 同時に、文大統領は増大する世論の不満が自らに向かわないよう、必死に国民の目線を海外などに向かせようとするだろう。その策の1つとして、対日強硬姿勢のさらなる鮮明化が考えられる。文政権を取り囲む状況が悪化すればするほど、韓国は一方的かつ身勝手な態度でわが国を批判する可能性がある。日本はそうした展開を念頭に、より多くの国際世論を味方につけなければならない。

 日本が、韓国に対して感情的に振る舞うことに利益はない。

 それは、韓国の反日感情を刺激し、日米韓の安全保障の連携にさらなるほころびをもたらす可能性がある。それよりも、わが国は韓国の社会心理に変化が表れる“機会”に目を向けたほうがいい。保守派や経済界に加え、従来は文氏を支持してきた大学生などからも政権批判が増えつつある。

 日本はそうした変化をとらえ、韓国との冷静かつ真剣な対話の糸口を探ればよい。その上で、わが国は、過去に日韓の政府が合意した最終的かつ不可逆的な合意が、国同士の信頼関係をつなぎ、強化する礎であるとの相互理解を目指すべきだ。

 文大統領の下、韓国はさらに険しい茨(いばら)の道を歩んでいるように見える。韓国の野党はチョ氏の強行任命を“史上最悪の人事”とまで非難している。朝鮮半島というセンシティブな場所に位置する韓国が、どのように政治と経済の落ち着きを目指すか、先行きはますます見通しづらくなった。

 他国のことながら、韓国のことが心配だ。

 真壁氏の言う「他国のことながら、 韓国のことが心配だ」。これが日本の左派だけでなく大学教授等いわゆる知識人の優等生的考え方でしょう。日本上位の上から目線、とまでは言えなくとも、主語が違うのではないか、と思ってしまいます。

 少なくとも今を千載一遇の機会ととらえ、徹底して日本批判を繰り返す韓国、国内での反日活動のみならず、WTOなどのあらゆる外交の場で、日本を悪者にした告げ口外交を続け、また世界中に慰安婦像などの設置をし続ける韓国。この傍若無人な国家を挙げての反日活動を、それこそ日本は心配しなければなりません。

 それに対し真壁氏は「韓国の社会心理に変化が表れる“機会”に目を向けたほうがいい」「そうした変化をとらえ、韓国との冷静かつ真剣な対話の糸口を探ればよい」などと言いますが、今までそうしてきた日本の腰砕け対応が、今の傲慢な反日韓国を作ったという側面があります。

 そうではなくて外交の場で韓国が告げ口をすれば、その論理的矛盾点を徹底的についた主張・反論を繰り返す。韓国が日本へ反日対応をすれば、国際的な批判など気にせず、すかさずその報復的な経済制裁、金融制裁を実行する。つまり今まで封印されてきた、国益を守るための徹底した戦術(いわゆるトランプ流)でもって対応する必要があります。

 そうしなければこの国際社会で大人になり切れない韓国をそれこそ「心配」し続けることになるでしょう。

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2019年9月22日 (日)

“告げ口”に意気込む韓国 原発処理水に旭日旗

3_20190921161301  今回は産経新聞ソウル支局名村隆寛氏のコラム『“告げ口”に意気込む韓国 原発処理水に旭日旗』(9/21)を取り上げます。韓国が躍起になって日本を陥れる為に、ことあるごとに告げ口を言いふらしているそのさまを、体験を交えてレポートしています。

 日本政府による輸出管理厳格化などに対し、事実上の“報復措置”を連発している韓国が、舞台を国際社会に広げている。日本たたきの材料は、東京電力福島第1原発からの処理水の問題や、東京五輪での旭日旗の競技場持ち込みなど。第三者に“告げ口”をし、国際社会を巻き込んで自身の主張を正当化させようとする韓国特有の日本攻撃が、まさに今、展開されている。

「全世界的に不安増幅」

 オーストリア・ウィーンでの国際原子力機関(IAEA)年次総会初日の16日、東京電力福島第1原発での放射性物質を含む処理水の処分をめぐり、日韓の間で批判の応酬があった。

 名指しは避けつつも、「放射性物質で汚染された水の処理をめぐって科学的根拠のない批判を受けることがある」と指摘した日本の竹本直一IT・科学技術担当相に対し、韓国科学技術情報通信省の文美玉(ムン・ミオク)第1次官は次のように反論した。

 「日本政府高官が最近、『原発汚染水の海洋放出は避けられない』と言った。海洋放出が決定した場合、全地球的な海洋環境に影響を及ぼし得る重大な国際問題だ。IAEAと加盟国の共同の役割が必要だ。福島原発汚染水の処理問題が全世界的に不安感を増幅させている」

 現地からの情報によれば、韓国側は終始「処理水」ではなく「汚染水」との表現を繰り返し、海洋放出の恐怖感を強調。日本側は「汚染水を浄化した処理水であり、事実に基づかない主張だ」と否定した。議場は異様な雰囲気に包まれたという。

激しく告げ口開始

 原発の汚染水への懸念があることは認めざるを得ず、日本側は国際社会への透明性確保やIAEAと協力しての適切な対処を約束した。だが、韓国は高濃度汚染水の海洋放出を想起させる表現を使い、処分方法が未定であるために「世界中で恐怖と不安が高まっている」と不安をあおるかのように国際会議の場で訴えた。

福島第1原発の「汚染水」について韓国政府が公的な国際舞台で言及したのはこの時が初めてだった。言い換えれば、韓国は処理水をめぐり国際社会に日本の非をふれて回る“告げ口”を始めたわけだ。

 場面は変わるが、翌17日の昼過ぎ、ソウル中心部の地下鉄1号線市庁駅のホームで初老の男性から「日本の記者だよね」と声をかけられた。聞くと、今年の夏にソウル市内で開かれた文在寅(ムン・ジェイン)政権に対する抗議集会の場で筆者から名刺を受け取ったという。顔は覚えていなかいが、心当たりはあった。

 ソウル南郊の水原市に住んでいるという彼は地下鉄に乗るやら突然、説教を始めた。要約すると次の2点である。

 「安倍(晋三首相)は韓日関係改善に向けて考え直さねばならない」

 「福島原発の汚染水は国際的な大問題である」

 IAEA総会についての韓国メディアの報道を見たのか、総会で韓国が主張した内容をこの男性は車内で主張し始めた。「イルボン(日本)! イルボン!」と何度も言うので、周囲の視線が集まった。「電車の中だから少し静かにしましょう」と言うと、一時はおとなしくしてくれたが、目的地である6駅先まで、話に付き合わされた。

鬼の首取ったように

 個人的な些細(ささい)な話ではあるが、韓国ではこのようにIAEAという国際機関の総会の場で韓国政府が日本を批判したことを機に、韓国政府の主張が一気に「国際社会の強い憂慮」へと膨張している。意見が対立する相手を第三者(今回はIAEA加盟国)の前で批判し、自分の意見がいかに真っ当なものかを訴える。

 欧米で慰安婦問題などをめぐって日本を批判し続けた朴槿恵(パク・クネ)前大統領の“告げ口外交”を思い出すが、今回はその比ではない。日本政府による韓国への輸出管理厳格化の措置に対する反発もあるのだろう。告げ口を超えた“言いふらし”であり、かつ露骨だ。

 地下鉄車内で説教した男性ではないが、日本が困っていると見るや、まるで鬼の首を取ったように得々として「韓国の正しさ」と「日本の至らなさ」を訴え、相手に分からせようと懸命になる。韓国社会でよく経験することだ。

日本たたきの好機

 「汚染水」に加え韓国が世界に触れ回っていることがもう一つある。東京五輪・パラリンピックでの旭日旗の扱いをめぐる問題だ。

 東京五輪・パラリンピック組織委員会が旭日旗の競技場への持ち込みを禁止しない方針を示したことについて、韓国文化体育観光省は今月、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長に書簡を送り、「深い失望と憂慮」を表明。旭日旗使用の不当性を説明し、使用禁止措置を要請した。

 書簡は、旭日旗が「日本帝国主義のアジア侵略戦争時に使われた日本軍の旗で、現在も日本国内で極右団体の外国人に対する差別や嫌悪の集会などに使用されている」と主張。「ナチスのハーケンクロイツ(カギ十字)が第2次大戦の悪夢を思い出させるように、旭日旗は日本の侵略を受けた韓国や中国、東南アジアなどに歴史の傷を想起させる明白な政治的象徴だ」と批判している。

 韓国は中国や北朝鮮にも同調を求め、五輪での旭日旗排斥に躍起となっている。韓国で旭日旗に並々ならぬ執着心を持っている専門家に、誠信女子大学の徐敬徳(ソ・ギョンドク)教授がいる。数年前に日本人炭鉱労働者の写真を「日本に強制労働を強いられた韓国人」として、ニューヨーク・タイムズスクエアの電光広告に載せるという大誤報に関わった人物だ。

 韓国メディアによれば、徐氏はバッハ会長と205のIOC加盟国・地域にメールを送り、「旭日旗はハーケンクロイツと同じ戦犯旗」と訴えた。また、AP通信やニューヨーク・タイムズなど世界のメディア31社へのメールで、東京五輪・パラリンピックでの競技場への旭日旗持ち込みを止めさせるよう要請したという。

 「旭日旗は政治的な意味での宣伝とは無関係」との日本の認識にもかかわらず、徐氏は「いかなる種類の示威行動、政治的宣伝活動も認められない」という五輪憲章の内容を強調し、旭日旗使用の問題点を説明したそうだ。旭日旗に異常なほどに反応する徐氏なら、やりそうなことだ。

 ただ、徐氏は韓国紙にこうも語っている。「国際社会で日本が戦犯国であることを公論化する最高の機会だ。今後も日本の妄言を願う」。旭日旗の排斥よりも、問題の拡散や炎上を願っているかのようだ。こうした韓国の官民による日本への難癖や主張に、国際社会が同調しているかどうかは分からない。

Maxresdefault_20190921161401  もうここまでくると、ただただ日本を嫌悪し陥れようとしている、韓国の反日勢力の実態が透けて見えてきます。つまり史実や根拠はどうでもいいのです。原発の処理水にしても、旭日旗にしても批判する科学的または歴史的根拠はありません。

 こんなやくざな国と論争することさえ憚れる気はしますが、百回同じことを言えばウソでも信じ込まれる恐れはあります。絶対に放っては置けません。徹底的に反論するとともに、韓国の非、例えば韓国原発の処理水の放射線量がかなり高いことなど、逆襲のネタもきっちり抑え、報復をいとわず主張することが必要だと思います。

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2019年9月21日 (土)

日韓 WTOを舞台とする戦いは・・

Images-3_20190921105001  今回はフリーライターの清水典之氏によるコラム「日本と韓国 WTOを舞台とする争いの現在地」(出典NEWSポスト、zakzak 9/20 より)を取り上げます。執拗に日本に言いがかりをつけ続ける韓国。様々な国際的なイベントの中で、事実関係は二の次で日本を貶めるために告げ口を続ける韓国。しかしこのWTO提訴は日本も多くの案件で逆に韓国を提訴しています。このコラムではその実態について次のように述べています。

 韓国政府は9月11日、「日本の半導体材料の輸出規制強化は不当」として世界貿易機関(WTO)に提訴した。このところ日本のメディアでは、「WTO」という言葉が日韓関係に絡んで頻繁に登場するようになっている。

 奇しくも同日、日本製産業用バルブに対する韓国の反ダンピング(不当廉売)課税は不当として日本政府がWTOに提訴した件で、WTO上級委員会(2審にあたる)は韓国側の協定違反を認定し、是正勧告を出した。

 この問題では日本が勝訴したと思いきや、韓国産業通商資源部が「韓国が最終的に大部分で勝訴した」と発表したため、日韓のメディアでちょっとした騒動になった。本当はどっちが勝ったのか。貿易問題に詳しい高橋洋一・嘉悦大教授はこう断言する。

 「反ダンピング課税の是正を求めて提訴し、是正勧告の判決が出たのだから、部分的に韓国の主張が認められようとも、日本の勝ちであることは間違いありません」

 しかし、韓国が今後、WTOの是正勧告に従わない可能性もあるのではないか。

 「15か月以内に勧告に従わず是正しない場合、(日本側が)対抗措置をとることが認められています。どんな措置をとるかはそのとき考えればいいことです」(高橋教授)

 韓国が反ダンピング課税を是正せず、日本が対抗措置をとったら、それを受けた韓国側が「元徴用工問題に対する報復だ」と再び言い出す可能性は十分にある。

 今年4月、福島県など東日本の8県産水産物に対する、放射能汚染を理由とする韓国の禁輸措置が非科学的であるとWTOに訴えていた件では、日本が敗訴したことは記憶に新しい。が、実は他にも日韓間でWTOを舞台に争う案件がある。

Images-4  韓国は2004年から、自動車や半導体製造設備の部品に使う日本製ステンレス棒鋼に約15%の反ダンピング課税をかけている。日本政府は韓国の措置を不当として、2018年6月にWTOに提訴した。日本経済新聞(2018年6月18日付)によると、対象製品の韓国市場でのシェアは、2002年の51%から2016年には13%にまで激減したという。

 さらに2018年11月14日に日本政府は、韓国政府が自国の造船会社に対し過剰な金融支援を行っているとして、WTOに提訴した。韓国は2015年に造船会社の大宇造船海洋に対し約1兆2000億円にも及ぶ公的支援を実施し、海運会社にも船舶の購入を支援してきた。過剰な公的支援によって、韓国の造船会社は採算が取れないような安い価格で受注が可能になり、市場を歪め、公正な競争を阻害してきたというのが日本側の主張である。

 韓国造船業のダンピングは長年にわたって日本の造船業界内で不満がくすぶり続けてきた問題で、過去においては欧州委員会も韓国をWTOに提訴し、一部違反とする判決が出ているが、日本もようやくここにきて提訴した格好だ。

 今回の半導体材料の輸出規制強化に関する提訴は韓国側からだが、それ以外はすべて日本側からの提訴である。しかし、ここ数年の間にWTOへの提訴がこれほど頻発しているのはなぜか。国際政治学者の六辻彰二氏はこう解説する。

 「背景に元徴用工訴訟があるのは間違いありません。今までは、日韓でくすぶる問題があっても、日米韓の同盟関係があるので穏便に処理しようとしてきましたが、元徴用工訴訟を契機に政府は方針を変えたということです。

 たとえば、竹島問題については、日本は国際司法裁判所に提訴しようとしていますが、両国が合意しないと裁判にならないのに対し、WTOの場合は2国間での協議が決裂すれば、否が応でもWTOによる審理にかけられます。だから、使い勝手が良く、それでWTO提訴が続いているのです。日本側としては、韓国の不公正さを国際社会にアピールするのが狙いと考えられます」

 日本産水産物の禁輸問題では、日本の水産物が放射能で汚染されているかのような誤ったイメージが広がってしまう懸念が指摘された。WTOの裁定は、貿易面に限らず国のイメージを左右する可能性がある。今後も論理的な主張を積み重ね、勝訴が続くことを期待したい。

 韓国の提訴は「言いがかり」、日本の提訴は「科学的、論理的に正当なもの」、と決めつけることはできないかもしれませんが、限りなくそれに近いものと思われます。

 徴用工判決をはじめ、昨年来加速された韓国の反日行動、それに対し漸く日本も反攻の狼煙(のろし)を上げました。しかし言いがかりに対し言いがかりでは、国際社会ではただの喧嘩としか見られません。しっかりとした根拠をもとに、徹底的に韓国の非を叩いてほしいと思います。

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2019年9月20日 (金)

川崎市会議員の主張する「人権尊重のまちづくり条例」の問題点

20190625231604  今回は川崎市市会議員三宅隆介氏のコラム『「(仮称)川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」について』を取り上げます。民族差別の言動を「ヘイト」と名付け、外国人、特に半島出身者へのヘイトを防止しようと言う、人権擁護活動が盛んにおこなわれています。この川崎市の動きも、多分に彼らの活動が背景にあるものと思われます。以下三宅氏の主張を紹介します。

<川崎のイメージを損ねる悍(オゾ)ましきデモ騒ぎ>

 去る令和元年6月24日、川崎市は「(仮称)川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」の素案を公表しました。

 川崎市では、平成25年5月12日から平成28年1月31日までの期間、計12回にわたり、JR川崎駅前の繁華街を中心とする川崎市内で、在日韓国・朝鮮人の排斥を訴えるデモが実施されました。

 中でも、平成27年11月8日と平成28年1月31日のデモは、それぞれ、「川崎発!日本浄化デモ」、「川崎発!日本浄化デモ第二弾」などと銘が打たれ、在日韓国・朝鮮人を対象に、「ゴキブリ朝鮮人は出て行け」「じわじわ真綿で首を絞めてやるからよ」「川崎に住むごみ、ウジ虫、ダニを駆逐するデモを行うことになりました」などの文言が発せられ、拡声機等を複数台使用するなどして騒々しくなされました。

 デモに反対する者らや警察官が多数いたことで現場は騒然とし、その光景は川崎市の都市イメージ向上に努めてきたものたちにとって、とても看過できるものではありませんでした。

<言葉の定義の大切さ>

 これを受け、川崎市議会では平成28年3月18日に「あらゆる差別の撤廃に向けたまちづくりの推進に関する決議」が賛成多数で可決されたのですが、当時、市議会では唯ひとり私だけが反対をしました。

 その理由は、むろん民族差別はあってはなりませんが、「ヘイト」の定義を曖昧にしたまま“反ヘイト”を理由(口実)に日本国民の民族的主張が抑圧されることがあってはなりませんし、また「ヘイト」の定義を曖昧にしたまま“反ヘイト”を利用して特定の国家民族の政治的主張が肯定されたり、非日本民族の行状が隠蔽されたりしてはならないと考えたからです。

 何よりも定義が曖昧なまま言葉が独り歩きするようなことになれば、まさに「言論の自由」そのものを危うくする可能性があるにもかかわらず、未だ多くのメディアは「ヘイト」という言葉を明確に定義しないまま反ヘイト路線での報道を行っています。

 ときに日本のメディアは言葉に対して不誠実なところがあり、当該問題を論じるに当たってはそのことを強く指摘せざるを得ないと思います。

 例えば、典型的な事例として、いわゆる「体罰問題」があります。多くのメディアは「体罰」と「暴力」の違いを曖昧にしたまま「体罰は悪である」と断罪します。しかしながら、私は「体罰」を「子どもの進歩を目的とした有形力」と定義し、子どもの進歩を目的としない有形力を「暴力=虐待」と定義しています。因みに「進歩」とは「正しい理性(正しい精神の技術)の獲得」を意味します。

 このように、言葉が明確に定義されていれば「体罰は(ハードウェアとして)善である」ことが解り、体罰の仕方、即ちソフトウェアによっては善悪に分かれることが理解できます。もしもその体罰によって進歩とは無関係に子どもが大怪我をしたのであれば、それは体罰ではなく暴力であり虐待ということになります。つまり、体罰はその有形力の行使の仕方によって善悪に分かれるということです。

 もっと身近な事例を示すと、例えば医療ミスによって手術中に患者が亡くなったとします。むろん、お亡くなりになった患者さんやご遺族は実に不幸なことですが、それはあくまでも医療行為の仕方(ソフトウェア)に問題があったわけですが、だからといって医療制度というハードウェアそのものを廃止しようという議論にはならないはずです。

 ところが、「体罰問題」になると、なぜか日本のメディアは忽ちにこうした思考回路がショートします。だから、「ヘイト」という言葉が明確に定義されないままに、決議だの条例だの法制化だのという流れが加速しないように拙速な市議会の決議案に反対し、一石を投じようとしたわけです。

<国の法律と川崎市の条例素案>

 川崎市議会が「あらゆる差別の撤廃に向けたまちづくりの推進に関する決議」を可決した後、即ちその年の6月には、やはり前述の二つのデモ(平成27年11月8日と平成28年1月31日のデモ)が転機となり、横浜地方裁判所川崎支部は「デモ禁止の仮処分決定」(平成28年6月2日)を下し、国においては『本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律』(平成28年6月3日。以下「差別解消法」という。)が施行されました。

 因みに、この「差別解消法」を、数年前にその成立が危惧された、いわゆる『人権擁護法案』の焼き直し法ではないかと懸念するむきもありますが、その条文を読む限りあくまでも理念法ですので焼き直し法とは言い難いと思います。

 今回、川崎市が示した「(仮称)川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」の素案は、基本的に「差別解消法」に準拠しています。準拠されていないのは、

 いわゆる「罰則規定」の部分です。この罰則規定については、メディアを中心に「言論の自由」の侵害が危惧されているところです。

 川崎市当局によれば、この条例が対象としているのは、あくまでも「デモや街頭での演説における本邦外出身者に対する不当な差別的言動」であり、デモや街頭以外の、例えばネットやSNSでの投稿は対象としていない、とのことです。

 なお、公共空間におけるデモや街頭での発言を、もしも川崎市当局が不当と判断(「差別解消法」の規定に基づくほか、更に一定の要件を設け限定を加えて判断)した場合は、次のような条例上の手続きがとられるとのことです。

まず、市長は「差別防止対策等審査会」の意見を聴き、条例上の違反行為を行わないように対象者に「勧告」を行う

 ↓

対象者がその勧告に従わなかった場合、市長は再び「差別防止対策等審査会」の意見を聴き、条例上の違反行為を行わないように今度は「命令」を下す

 ↓

それでも対象者が従わなかった場合、市長は対象者の氏名又は団体の名称、住所、団体の代表者等の氏名のほか、命令の内容その他規則で定める事項を公表する

 ↓

そこではじめて市長は対象者を刑事告発することとなり、検察当局が起訴するかどうかの判断をし、起訴した場合、裁判所が罰則の是非を決定するという流れです。

<放置すれば、再び『人権擁護法案』を求める機運が…>

 基本的に私は、本来このような条例はないほうがよいと考えております。とはいえ、川崎市で起きているような「悍ましきデモ騒ぎ」をこのまま放置しておけば、川崎市の都市イメージを損ねることになるとして、市長は全国初となる「罰則付き条例」の制定を決心したのだと推察します。

 そして私が最も危惧しているのは、今回のような「悍ましきデモ騒ぎ」を行政が放置してしまうことで、やがてまたかつての『人権擁護法案』のような、川崎市の条例素案など問題にならないほどの恐ろしき規制法令を求める機運が高まりかねないことです。

 例えば『人権擁護法案』は、人権擁護委員がその言動(日本人による非日本人に対する政治的批判)を“人権侵害”と一方的に認定すれば、裁判所の令状なしにその対象者を連行できる、という警察以上の権限を人権擁護委員に付与しようという恐ろしい法案でした。

 もしもそのような法令が成立するようなことになれば、かえって日本国民による「非日本人に対する政治的批判」が抑圧されることになり、「言論の自由」どころの話ではなくなります。

 したがって、このような法令を求める機運が再び高まるまえに、地域の安全と秩序を預かる地方行政が何らかの措置を講じることは当然の対応であると考えます。

<目的どおりに運用させるのが議会の務め>

 一方、川崎市議会を含め地方議会の多くは、議席の過半数を首長与党によって占められております。よって今後は、川崎市が制定しようとしているような、非日本人に対する不当な言動を伴うデモを取り締まることを目的とした条例が、次々と全国の地方自治体で制定されていくことが予測されます。

 ご承知のとおり、多くの自治体首長が実績づくりのために先進条例として他都市で制定されたものと同様の条例を制定していくのが現在の地方行政の実態です。川崎市が制定しようとしている「(仮称)川崎市差別のない人権尊重の まちづくり条例」もまた、その先駆けとなるものです。

 そのとき、日本国民の「デモの自由」や「言論の自由」を損なうことなく当該条例を運用することができるのかどうか、そのことがまさに問われるところです。

 例えば、罰則を科すに当たっては、科される側に反論の機会が与えられなければならないでしょうし、指弾する勢力の行状について、科される側による説明が十分に為されることも必要でしょう。なによりも罰則は明確な定義により対象が限定されたものでなければならないと思います。

 また、解釈の裁量余地が広ければ広いほど執権者の政治的恣意による運用が可能となり、当該条例が外国勢力による我が国への政治介入の格好の道具にされてしまうことにもつながりかねませんが、当該条例が「差別解消法」の枠を出ない限り、今のところ、その心配はなさそうです。

 ただし、仮に素案のまま当該条例が制定されることになるとしても、私は川崎市議会において、次のことだけは主張していきたいと思っています。

1. たとえ当該条例が制定されようとも、当該条例を利用し、特定の国家・民族・国際団体などが、我が国において我が国に対する政治的主張を展開し、それにより我が国の政治が「彼らの利益」を擁護・拡大するように動かされることが  あってはならない。もしもそれを可能にするような立法行為であるならば、それこそ外患誘致に等しく、決して許されることではない。

2. 日本民族とは基幹民族に外来要素が徐々に加わりつつ生成されるものだが、日本民族も非日本民族も共に民族差別を行ってはならず、当然そうした民族差別は取り締まられる社会にしていかねばならない。ゆえに非日本民族による  日本民族への差別もまた許されない。

Images-2_20190917112401 3. そもそも差別的行為とみられるような活動が我が国において頻繁に起きているのは、非日本民族による日本民族に対する差別行為と、これを政治が野放しにしてきたことに起因している。まずはその認識を持つ必要がある。むろん日本民族基幹の前提で諸民族が共存していける社会が望ましいものであることに異論はない。しかし、そこで重要になるのが、いずこの国においても本邦外出身者はその国において分をわきまえることである。「分」とは即ち「ここは他所様の国であるという慎み」とも言えるが、そのことは日本国民が外国に居住した場合も同様である。

4. 我が国は国籍と民族がほぼ一致している世界でも稀な国家である。つまり民族が国民であり、国民が民族であり、民族国民国家であることが我が国の姿なのである。日本国民の主幹民族である日本民族は、主幹民族としての存在を維持し発展させる根源的権利を有している。

5. 4のような理由から「帰化」とは数世代を経たのちに日本民族に統合されることが前提となる。むろん異民族が国民として存在することは否定されないが、それは占領憲法の第一条においても規定されているように、天皇を日本国と日本国民統合の象徴として奉戴する前提においてである。

<結言>

 歴史を振り返りますと、我が国は第一次世界大戦後のパリ講和会議においても、あるいは大東亜会議においても、「諸民族の平等」を確固として主張してきました。そして諸民族が自国の流儀(文化)を主権的権利として自国の内に守り発展させることも支持してきました。

 非日本民族が我が国において良き隣人として日本民族と共存していける環境を整えることは我が国の政治においてもちろん必要なことであると考えますが、大東亜戦争に敗戦して以降、我が国では日本民族の民族的権利と主張の抑圧によって非日本民族の横暴を日本民族が容認させられる形での共存が強要されてきました。例えば、東京裁判史観、教科書捏造、靖国破壊をはじめとする内政干渉への屈伏がそうであったように。

 近年芽生えてきたそれらに対する日本国民の自覚と抵抗を、もしも「ヘイト」と呼ぶのであれば、それは日本民族への差別・抑圧構造を維持しようとする勢力のあがきに過ぎません。だからこそ、行政も議員もメディアも、今後一切「ヘイト」の語を使用するべきではないと考えているわけです。正しい国語を使わず、外国語を安易に使用することは日本民族に対する差別行為といってよい。因みに、「差別解消法」にも、川崎市が制定しようとしている当該条例(素案)にも、その条文上「ヘイト」という言葉は使用されていないことを付しておきます。

 川崎市が制定しようとしている「(仮称)川崎市差別のない 人権尊重のまちづくり条例」は、前述の二回の「悍ましきデモ(平成27年11月8日と 平成28年1月31日のデモ)」が二度とこの川崎で繰り返されないことを目的としていますが、これまで述べてきたとおり、今後、素案のまま条例が成立し施行されようとも、その運用には徹底した監視の目を注いでいくことが市議会議員として当然の「責務」だと考えます。

 例えば、行政が違反行為に対して勧告や命令、さらには公表や刑事告発といった措置を講じる場合には、当然のことながら市議会の常任委員会にも報告がなされるはずです。そうした機会を逐一逃すことなく、条例が適正に運用されているのかを監視していかなければならないと思います。日本国民たる「川崎市民」のために…

 三宅議員のご意見ご高察に敬意を称するとともに、賛同します。ともすれば民族問題が入れば理念や情緒優先の考えが先走るきらいがあります。そこは三宅議員の言う通り、「ここは日本だ」という大前提で論理的に事を進める必要があるでしょう。今後のご活躍を大いに期待したいと思います。

 そして三宅氏の「大東亜戦争に敗戦して以降、我が国では日本民族の民族的権利と主張の抑圧によって非日本民族の横暴を日本民族が容認させられる形での共存が強要されてきました。例えば、東京裁判史観、教科書捏造、靖国破壊をはじめとする内政干渉への屈伏がそうであったように。」という主張にわれわれ日本人は深く反省し、新たな日本人としてのアイデンティティを醸成する必要があるのではないかと思います。

 多くの日本人、とりわけ日本より外国を擁護する知識人やマスコミは、日本で行われている外国人に対する差別的発言は目の敵のように騒いで取り上げますが、南北朝鮮で行われている日本に対する差別的言動は、それより数倍も酷いものだということを知らないか、知っていても見て見ぬふりをしています。日本だけが先走ってそれこそ表現の自由を押さえつけるような愚を犯さないようにしなければならないと思います。

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2019年9月19日 (木)

「反日原理主義者文在寅」の失敗したバランス政策

4dcba_1641_8e0ec47e_5512379a  今回は、現在コーネル大学博士号課程にいる若手女性国際政治学者イエン・ア・ジョ氏の主張を記述した、米国在住のジャーナリスト高濱賛氏によるコラム「韓国のタリバン、文大統領を一刀両断」(JBpress)を取り上げます。「文在寅」大統領は「反日原理主義者」のような言動を繰り返すため、アフガニスタンの「イスラム原理主義者」の「タリバン」と比喩されているようです。

 ◇

曺国氏を法務長官にしたいわけ

「韓国のタリバン」とまで言われている反日原理主義者、文在寅大統領が不正疑惑だらけの腹心曺国(チョ・グク)前民情首席補佐官*1を予定通り、法務長官に任命した。

(*1=民情首席補佐官とは、大統領の側近中の側近が就くポスト。国内の情報・世論対策、国政全般の情報活動総括、政府高官の監督・司法警察組織の統括で大統領を直接補佐する。文在寅氏もかって廬武鉉大統領の民情首席補佐官だった。)

 米国で言えば、不正疑惑の大統領首席補佐官だった人物を「司法の番人」にしたようなものだ。

 不正疑惑だらけのドナルド・トランプ大統領には慣れっこになっている米国民にとっても「文在寅とかいう容共大統領は何を考えているのか」という反応だ。

 ワシントンの「コリア・ハンド」(韓国通)はこう見ている。

「この人事は文在寅氏にとっては最大の賭けだ。失敗すれば政権は崩壊する。政権の終わりの始まりになるかもしれない」

 なぜ、文在寅大統領が曺国氏の任命に固執したか。この韓国通は続ける。

「歴代大統領は、絶対的権限を持った検察を使って反対政党の前任者を刑務所に送り込んできた。汚職や収賄は韓国社会ではつきもの。誰でも叩けば埃は出る」

「現職大統領が検察に目配りすれば、大統領経験者でも刑務所送りにできる」

「文在寅政権の後に保守政権が出てくれば、文在寅氏も同じような目に遭うのは必至。それを防ぐには法律で絶対的権限を持つ検察当局の権限を弱める司法改革が必要になってくる」

「司法改革を実現するキーパーソンが腹心の曺国氏。不正疑惑に遭おうが遭うまいがどうしても法務長官につかせたかったのだろう」

「文在寅大統領は、この賭けに勝っても負けてもそう長くはなくなった」

文氏と共に一掃される「386世代」

 かってハーバード大学客員研究員だったこともある朝鮮情勢に詳しい研究者は筆者にこう指摘している。

「文在寅政権は、左翼・反日・反米の『386世代』*2が牛耳る政権だということを忘れてはならない。彼らは青瓦台で文大統領、李洛淵・国務総理、蘆英敏・大統領秘書室長の周囲を固めている」

「南北に分かれた民族同胞が一つになる、つまり南北朝鮮統一こそが最優先課題だと考えている」

「北朝鮮の核廃絶には熱心ではない。文大統領が北朝鮮の非核化よりも南北の関係改善に重きを置いているのはそのためだ」

「南北朝鮮統一が実現できるのであれば、北の核の存続も厭わない。それどころか『核つき南北統一朝鮮』をも目論んでいるかもしれない」

(*2=全斗煥政権を倒す原動力となった民主化運動若年層。1960年代生まれで当時30代、80年代には大学生だった世代のこと。90年代にできた造語。当時売れていたインテルの32ビットマイクロプロセッサー「Intel 386」をもじっている。)

 裏を返せば、この「386世代」が去らない限り、ここまで拗れた日韓関係の改善はあり得ないということだ。反日のみならず反米志向は今後ますます強まっていくだろう。

Photo_20190916170101 次期政権で美人学者が中枢を担う?

 そうした中で今米国のアジア問題専門家の間で注目されている論文がある。

 この論文を読んだ元米外交官の一人は、「彼女は文在寅が政権を去った後には韓国政府の中枢で働く存在になる」とまで褒めちぎっている。

 論文のタイトルは『Moon's Failed Balancing Act』(失敗した文在寅のバランス政策)

 執筆者は在米のイエン・ア・ジョ氏。現在コーネル大学博士号課程にいる若手女性国際政治学者だ。

 写真をご覧になればお分かりの通り、なかなかチャーミングな女性だ。

 オランダの名門ユトレッチ大学を経て、オックスフォード大学院で国際政治学で修士号を取得、コーネル大学大学院に進んでいる。

 これまで韓国国連代表部軍縮担当顧問などを歴任。現在は峨山政策研究所*3発行の英文『峨山フォーラム』副編集長を兼務している。英語が堪能なイエン氏は編集責任を任される一方、随時健筆を振るっている。

(*3=2008年に韓国の現代財閥を築いた鄭周英氏の6男で現代重工業の大株主、鄭夢準氏が設立した韓国有数の超党派シンクタンク。鄭夢準氏は元国会議員。ジョンズ・ホプキンズ大学で国際政治学博士号を取得。)

 イエン氏は韓国生まれだが、韓国では高等教育を受けていないようだ。略歴には英語と朝鮮語のバイリンガル、フランス語は日常会話ができると記されている。

 この論文は6600字。公表されたのは8月28日だ。

 韓国情報と米国情報を読み解き、しかもソウルではなく、ニューヨーク・イサカ(コーネル大学所在地)で米研究者たちの助言を得て書き上げた論文は「岡目八目的」視点に満ちあふれている。

 文在寅大統領の二国間、多国間外交の現状を記述する中で、韓国が外交的チャレンジにどう対処するか――進歩派(与党)と保守派(野党)との分裂が拡大している点を強調している。

 与党と野党は、米朝関係、日韓関係、米中貿易戦争でことごとく対立している。イエン氏は、日韓関係を巡る韓国内分裂についてこう分析している。

「今韓国内で起こっている論争は、なぜ日韓関係はここまでこじれてしまったのか、誰の責任なのか、そしていかに対処するかを巡っての論争だ。保守派の主張はこうだ」

「日韓関係の亀裂を生じさせた責任は、状況に効果的に対処できず、日本に貿易面で攻勢を仕かける引き金を引かせた文政権にある」

「その理由ははっきりした計略も計画もないままに、警戒すべき兆候を無視し、戦略的には何らの対処策も講じなかった」

「一方、進歩派の主張はこうだ」

「文政権が非論理的で非生産的だったからこうした現状を招いたという批判は全く当たらない。悪いのは日本だ」

「韓国の最高裁判決をタテに貿易面で報復措置に出た。日本の報復措置は分別ある外交においては非民主的戦術以外の何物でもない」

 現状打開に向けて韓国はどう行動すべきか。イエン氏はここでも韓国内は分裂していると指摘している。

「保守派は『目には目を的な報復行為は避け、米国が仲介する外交的決着を進めるべきだ』と主張している。一方、進歩派は米国の仲介には難色を示している」

「米国の仲介は韓国にとっては好ましい結果を生みそうにないという理由からだ」

「進歩派はこう見ている」

「日米は今や戦略的諸問題では米韓とは比較にならないほど近い関係にある。米国が打ち出しているインド太平洋戦略構想、対北朝鮮制裁、中国大企業ファーウェイ問題でも日米は完全に一致している」

「それに比べて韓国はこの3点では米国の主張を受け入れるのには消極的だ」

脱線した「ツートラック戦略」

 イエン氏は文在寅大統領がなぜ反日スタンスをとり続けているかについてこう指摘している。

「文在寅大統領は当初、対日政策では『ツートラック戦略』の実施を考えていた。つまり、歴史認識問題と通商・安全保障問題とを分けて行おうとした」

「だが前政権が日本政府との間に交わした慰安婦合意を精査するよう命じたところからおかしくなってきた」

「合意には瑕疵があると結論づけた。同合意の修正や日本との再交渉には言及しなかったが、結局同合意で設置された半官半民の『和解・いやし財団』は解散させてしまった」

「それに加えて文在寅大統領は徴用工問題の再検討を言い出した。安倍晋三政権はすべて解決済みの問題だと反発。その結果、歴史認識問題は貿易問題と絡み合ってしまった」

「文在寅大統領の刺々しいトリックは、植民地時代の行動を悔い改めようとしない日本の強情さに対する韓国民の反発に火をつけてしまった」

「世論調査では韓国民の50%が日本は友好国ではないと答え、80%が安倍首相を嫌いだと言い、75%が日本人は信用できないと答えた。82%が日韓関係は悪いと答えた」

 イエン氏はこうした韓国内の状況を詳細に記述。これを受けて韓国政府がどう対応したかに触れている。

「文在寅政権は日本の動きに対抗するため国力を総動員した。だが世界貿易機関(WTO)や東南アジア諸国連合(ASEAN)拡大首脳会議などの場で対日批判をしたが他の国々は韓国の主張を支持しなかった」

「米国に仲介役を要請したが米国は日韓のいざこざには関心を示そうとしなかった」

米中を天秤にかけた外交

 イエン氏によれば、文在寅大統領の外交方針は、「Balanced Diplomacy」(均衡の取れた外交)だ。米国との同盟関係を堅持しつつ、中国に接近する外交である。

「文在寅大統領は2017年にこう発言している」

「韓国にとって中国との関係は、ただ単に経済協力面だけではなく、戦略的協力面でもより重要になってきた。北朝鮮の核を平和裏に廃棄するうえで中国との関係は重要だからだ。そのため我が政権は米中との均衡のとれた外交関係を追求するのだ」

「ところが2019年の6月から8月にかけての2か月間は、韓国にとっては全身麻痺の混乱状態に陥った」

「中国の習近平国家主席は北朝鮮の平壌を訪問し、金正日朝鮮労働党委員長が喉から手が出るほど欲しがっていた外交的お墨付きを与えた。文在寅大統領の再度の訪韓要請は断っているにもかかわらずだ」

「トランプ大統領は板門店で第3回目の会談を行ったが、両首脳はそこにいた文在寅大統領を無視、その後、金正恩委員長は文大統領を公然と非難している」

「安倍首相は大阪で開かれたG20(金融・世界経済に関する首脳会合)出席のため訪日した文大統領との首脳会談を拒否。日本は韓国の半導体製造に不可欠な3品目の対韓輸出管理体制を強化した」

「折からの米中貿易戦争のあおりを受けて米中からの対韓プレッシャーは強まり、米中は韓国にどちらにつくかと迫ってきている」

「まさに文在寅大統領を取り巻く国際環境は、日韓関係のみならず、米中との関係でも厳しさを増している」

「文在寅大統領の「均衡のとれた外交」が言うは易く、行うは難しであることを実証してしまった」

「警戒警報を見落としていた」

 だが、文在寅大統領が辞めるとすれば、この「均衡のとれた外交」が失敗したからではない。曺国人事への国民世論に火がつき、反文在寅機運が燎原の火のように韓国全土に広がった時だろう。

 それを受けて来年4月の議会選挙で与党が惨敗した時かもしれない。弾劾の動きも出てくるかもしれない。

 その時、政権の座に返り咲いた保守党は「均衡のとれた外交」に代わるどのような外交を展開するのか。

 イエン氏は新政権の出方に直接、言及してはいない。しかし、現状を保守派の政治家や識者がどう見ているかを指摘することで文在寅大統領政権に取って代わる保守党がどのような外交を展開するかを示唆している。

「保守派もまた日本政府の対応が均衡を欠く(Disproportionate)であるとは見ている。だが保守派は、文政権は日本に貿易面で引き金を引くのを止めさせるだけの効果的措置を採るのを怠った、と指摘している」

「対日関係の悪化状況を示す警戒警報を無視、状況が悪化し、取り返しのつかない事態になるのを放置していたわけだ」

 日韓関係を正常に戻すために保守派はどうするか。

「保守派はいかなる形式による日韓同士の『売り言葉に買い言葉』(Tit-for-tat)には反対だ。やはり米国に仲介役を演じてもらう外交的解決しかないと見ている」

「保守派は米国の仲介が韓国にとって都合の良いものではないかもしれない。今や日本と米国との距離は韓国とは比べ物にならないほど親密だからだ」

「米国に(公正な)仲介役を頼むうえで韓国に必要なことは、例えば今注目を集めているホルムズ海峡を航行する船舶を守る有志連合に参加し、米国の同盟国であることを強調することだ」

 日韓関係を正常化させるにはやはり米国の仲介役、つまり助けが必要。そのためには米国との同盟国をここで明確に示せ――が保守党の外交方針というわけだ。

 つまり「均衡のとれた外交」から「米韓同盟強化」への転換ということになる。

 だが、米中を天秤にかける文在寅大統領の「均衡の取れた外交」「朝鮮民族第一主義」の熱に酔いしれてきた韓国の「衆愚」がおいそれと米韓同盟強化についていけるかどうか。米韓日三角同盟に回帰できるかどうか。

 このあたりは予見しがたい。いずれにせよ、イエン氏の論文が米国のアジア通に注目されている理由が分かるような気がする。

◇ 

 確かにイエン氏は客観的な視座に立った日米韓、特に韓国の現状と、今後執るべき対応を述べていますが、しかしあくまで韓国系アメリカ人、戦後一貫した韓国のドグマのような反日の対応については、韓国側の視点しか持ち合わせていないと思われます。

 つまり今後韓国が保守政権に転換しようとも、韓国人の根っこにある「恨」の情念は消え去ることなく、決して真の友好関係に至らないという前提が恐らく抜けていると思われます。

 そしてその「恨」を拭い去るには、小学生の時から徹底的に教育している「反日思想」、その由来が「韓国は善、日本は悪」と言う前提で作り上げた捏造日韓関係史にあることです。それを変えない限り韓国は変わらないし、日本もそれゆえに「非韓」を貫かなければ、と思います。

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2019年9月18日 (水)

反捕鯨というファシズム

Img_d1b4af2a00541daa2e613cf5f4a533191761 今回は韓国の話題を離れて、先日国際捕鯨委員会(IWC)から脱退した日本が、商業捕鯨を再開したことにちなみ、産経新聞文化部の桑原聡氏のコラム「反捕鯨というファシズム」(JAPANForward)を取り上げます。この脱退劇は韓国への輸出管理強化とともに、日本の今までの主体性のないお人好し外交を打破する、一つの象徴として見てもいいものと考えます。

◇ 

 民主主義国家とそこに暮らす人々の共通の敵とは、左右の全体主義ではないか。この敵と戦うために、知恵を絞り、手を取り合うことが何よりも求められるのに、クジラをめぐっては民主主義国家のリーダーと目される国々と国民が、率先して全体主義に傾き、自分たちの意に沿わぬ国々に圧力をかけている。

 人間は地球環境の一部であり、環境を破壊すれば、いずれ人間も滅亡する。本能を失い理性に支配されるようになった人間は、産業革命以降、利益に目がくらみ、再生不能になるレベルの環境破壊をやってきた。動物にしろ植物にしろ、これまでにいくつの種を絶滅させてきたことか。こうした反省を踏まえ、地球環境保護のため世界レベルで議論し協調しようと、さまざまな国際機関が設立された。第二次世界大戦後に設立された国際捕鯨委員会(IWC)もその一つだ。

 クジラ資源の持続的利用と捕鯨産業の秩序ある発展を図ることを目的に捕鯨国を中心に設立されたものの、いつのまにやら、それが反捕鯨国に牛耳られ、一頭たりともクジラを捕獲すべきでないという主張がまかり通るようになった。

 絶滅の可能性があるクジラの捕獲を禁ずるのは当然だ。しかし、ミンククジラのように絶滅の危機を抜けたとされるクジラを、科学的調査に基づいた枠の中で捕獲することまで環境保護の美名のもとに禁じることには、疑問を感じざるをえない。

根底には優生思想が

 人間は他の生物の命をいただかないと生きてゆけない。そこに菜食、肉食の差はない。それゆえ、環境破壊につながらぬように注意を払いながら、他の生き物を捕獲・採取・飼養・栽培してその命をいただく。それがわれわれの生き方の基本だろう。

 アメリカ、イギリス、オーストラリアなどの反捕鯨国は、捕鯨の全面禁止を主張する。その昔、彼らは灯火用燃料、機械用潤滑油など多様な用途があった鯨油ほしさに、大西洋、次いで太平洋で乱獲を重ね、クジラを絶滅寸前にまで追い込んだ。ところが、石油が鯨油に代わるようになり、産業としてのうまみがなくなると、利に敏(さと)い彼らは捕鯨から早々に撤退し、食べるためにクジラを捕獲する国々を「野蛮」と非難するようになった。クジラのすべてを大切に利用してきた日本人に対して無礼だ。「お前たちにだけは言われたくない」と私は思う。

 かくいう私は山口県下関市の近郊に生まれ育った。昭和30年代、裕福ではなかったわが家の食卓にもっとも多くのぼった肉はクジラだった。小学校の給食にもよく出てきた。赤身は網焼きか竜田揚げにしてショウガ醤油(じょうゆ)で、オバケと呼ばれる尾っぽの白い部分はゆでて酢みそでいただいた。クジラは庶民の日常食であり、貴重なタンパク源だった。下関市には捕鯨で知られた大洋漁業(現マルハニチロ)の拠点があったため、おそらく日本のどこよりも鯨肉を安価に入手できたのではなかろうか。クジラは哺乳類ではあるが、魚屋で売られていた。

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 反捕鯨国の言い分は「知能の高いクジラは人間の友人だ。それを殺すなんてもってのほか」というもので、ほとんどカルト宗教の域に達している。そもそも本当にクジラは知能が高いのだろうか。自分たちがいだく勝手な幻想をもとに、他国を折伏するような行為は慎んでほしい。それにだ、ここがもっとも大事な点なのだが、知能の高さによって、保護すべき動物と食べてもよい動物とに仕分けする思想は、優生思想と同根ではないか。それはクジラを捕獲して食べる民族とその文化に対するあからさまな差別につながっている。彼らはクジラ保護を訴えることで、自身が差別主義者であると宣言しているのだ。こんな相手に、これまでわが国が蓄積してきた科学的データをもとに商業捕鯨の再開を訴えたところで、何も変わるはずがない。相手はカルトだ。私はIWC脱退の決断を断固支持したい。

 そもそも戦後日本人は、国際連合をはじめとする国際機関を妙にありがたがるところがある。昭和8年に国際連盟を脱退、ドイツ、イタリアとの枢軸結成に突き進み、その結果味わった悲劇と屈辱がトラウマになっているのかもしれない。IWC脱退の決断は、戦後日本人が国際機関幻想から目覚めるよい機会になるかもしれない。そして間違いなく、これから反捕鯨国や先鋭的な環境保護団体からさまざまな攻撃が仕掛けられてくるだろう。ひるむな日本! 闘え日本! 商業捕鯨再開は、文化の多様性を守る闘いののろしだ。

クジラ食文化の効果的PRを

 平成5年5月25日付の本紙夕刊に興味深い人物が登場している。上方落語の笑福亭猿笑(現・円笑)さんである。同年5月4日、米国のニューヨーク・タイムズに「なぜ捕鯨を悪と決めつけるのか」と米国民に問いかける意見広告を出したのだ。「鯨くらい食べなくてもいいではなく、自分たちの手で鯨の文化を守る必要があるんです」「食べ物のことで、どうして外国人に文句を言われるのか」と猿笑さんは動機を語っている。掲載費用約100万円はポケットマネーだった。

 商業捕鯨が再開された7月1日、京都市に暮らす円笑さんに電話で感想を聞いた。最初に尋ねたのは、26年前の意見広告に対する反応についてだ。大学教授らアメリカのインテリから約380通の反論がエアメールで届き、そのほとんどは「日本は野蛮な国だ」という感情的な非難だったという。再開について円笑さんはこう語った。

 「当時、(環境保護団体)グリーンピースの人々とも話し合う機会がありましたが、クジラを環境保護のシンボルに仕立て上げる彼らに捕鯨国の文化に対する敬意はいっさい感じられませんでした。クジラをめぐる事態はあの当時のまま今日に至りました。IWC脱退という決断は致し方ないと思います。気がかりなのは、わが国でクジラの食文化が断絶していることです。せっかく商業捕鯨を再開しても、需要がなければどうにもならない。政府は若い人に向けた効果的なPRの戦略を練るべきでしょう」

 最後に自戒を込めて反捕鯨国の人々にモンテーニュの言葉をささげておきたい。

《本当に我々は、自分の住む国の思想習慣の実際ないし理想のほかには、真理および道理の標準をもっていないようである》(第1巻第31章「カンニバルについて」)

 ◇

 昭和40年ころまでの我が家の食卓でもクジラが肉の代表だったのを覚えています。牛肉など高くて食べられなかったからでしょう。ところがそれから十数年後には、高級食材となっていました。桑原氏の言われる通り日本人の食文化からは遠い存在になってしまった感じは強くします。

 ところで桑原氏のコラムの趣旨は、他国の食文化に過剰に干渉する国際機関の理不尽さと、そこから脱退することへの肯定論だと思いますが、私も賛同します。

 クジラではありませんがイルカについても「セーリングのワールドカップ江の島大会の開会式でイルカのショーが開かれたことに対して、国際団体や参加選手から批判が集中し、日本セーリング連盟が11日に謝罪した。」という事案がありました。

 サーカスでよくみられる、ゾウやライオン、またその他の動物のショーも禁止の流れが起きているようです。確かに動物を愛護する観点から言えば、ショーを演じさせること、まして食することは残酷と映るのでしょう。

 しかし、では牛肉や豚肉、鶏肉はいいのでしょうか。自然の中での殺戮ではなく、人間が飼育しているものならいいのでしょうか。結局この問題は神学論争に近いと思います。ただ一つ言えることは、客観的に国際的な犯罪だと認識が及ばない限り「その国の食文化に干渉しないでほしい」、と言うことに尽きるように思います。

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2019年9月17日 (火)

ボルトン解任で「日本の核武装」が現実的になった

O0660036814024036447  今回はグローバル・イッシューズ総合研究所代表吉川圭一氏のコラム『ボルトン解任で「日本の核武装」が現実的になった』(iRONNA9/13)を取り上げます。 解任劇の裏事情であるトランプ大統領との見解の相違や、解任による影響などが詳述されています。

 9月10日、ボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が解任された。その深層を分析してみると、トランプ政権の実態が見えてくる。そして、それは日米安保の大幅な見直しにもつながっていく可能性が極めて高いのである。

 そもそもボルトン氏が前任者のマクマスター氏に代わって国家安全保障会議(NSC)の大統領補佐官になったのは、ポンペオ氏が中央情報局(CIA)長官からティラーソン氏に代わって国務長官になるのと、ほとんど同時だった。部下を戦死させたくない制服軍人のマクマスター氏と石油会社の社長だったティラーソン氏は、共に対イラン強硬路線に反対だった。

 ボルトン、ポンペオ両氏は、共にタカ派として知られていた。北朝鮮に対しても先制攻撃論者だったが、二人ともNSCの大統領補佐官や国務長官に任命される前後から、トランプ政権が目指していた北朝鮮との対話路線に積極的になった。つまり、この人事は明らかに対イラン強硬派シフトであったのだ。

 日本にとっては残念ながら、この段階で少なくともイラン問題が米国の目から見て解決するまで「二正面作戦」を避けるためにも、北朝鮮とは融和路線を進むことが、トランプ政権の方針だった。

 だがトランプ政権は、サウジアラビア人記者、カショギ氏殺害事件を契機として、サウジの協力を得るのが難しくなった。欧州(おうしゅう)諸国を巻き込んだ対イラン有志連合の形成にも手間取っている。いずれにしてもトランプ大統領は、少なくとも2020年の再選までは、流血の大惨事を避けたいと本気で考えているようである。

 と言うよりも、トランプ氏はこれまでワシントン既成勢力が行ってきた政治を改め、例えば外交に関しては過度な世界への介入を止めることを主張して大統領になった。そして、マクマスター氏ら制服軍人を含めた既存のワシントンの官僚や政治家を徐々に廃して、この公約の方向に自らの政権を変化させてきた。

 ところが、ボルトン氏は印象とは違って、トランプ政権の中では珍しいくらいのワシントン既成勢力派だった。その中では最もタカ派的で、また個人としては真面目な理想主義者だったにすぎない。

 それに対して、ポンペオ氏は2010年に下院議員になった元弁護士で、しかも将来は大統領の地位を狙っているとも言われている。ポンペオ氏がトランプ氏の方針に忠実だったのは当然だったかもしれない。

 実は、ボルトン氏もこれまで多くの同僚たちとの摩擦が問題になったことはあっても、上司との関係は常に良好だった。しかし年齢も70歳。国家に対する最後の奉仕という気持ちもあったかもしれないし、いずれにしても個人としては実に真面目な理想主義者である。そのため、ボルトン氏は次第にトランプ氏の思惑を外れて対イラン、対北朝鮮その他で、強硬路線をひた走り始めた。

 ここで同氏がワシントン既成政治派だったことの影響が出てくる。多くの元同僚を集めることで、NSCを彼は乗っ取ってしまったのだ。イランへの限定的空爆が行われそうになったのも、ボルトン氏がトランプ大統領に正確な情報―100人規模の戦死者が出ることなどを直前まで知らせなかったためだった。このような状況は、その数カ月前から始まっていた。

 やはりワシントン既成勢力の一員というべき制服軍人のマティス氏が国防長官を解任されてから、国防長官代行だったシャナハン氏は、民間企業出身でワシントン政治に慣れていなかった。そのためボルトン氏に影響されることが多かった。

 そこでシャナハン氏を解任し、ポンペオ氏と学生時代から親しいエスパー氏が国防長官に任命される人事が、イラン空爆の直前に行われた。そこでイラン空爆が直前に中止された経緯がある。

 実はエスパー氏も制服軍人なのだが、少なくとも対中強硬派で、しかも宇宙軍創設には積極論者だった。ワシントン既成勢力である古いタイプの軍人や国防省官僚らが、ポストの奪い合いなどを嫌って宇宙軍創設に反対しているうちに、米国は宇宙軍で中国やロシアに後れをとってしまっていた。そこで宇宙軍を創設することもワシントン既成勢力打破を目的とするトランプ政権の重要な役割だった。

 それを任されていたのが、ボーイングの元副社長で、理系でキャリアを積んだシャナハン氏だった。彼であれば制服軍人以上に上手くできたかもしれない。

 さらに、仮に日米安保の大幅な見直しが行われることがあれば、どの在日米軍基地が本当に米国にとって必要で、どれは撤退させてもよい―といった計算も、コンピューターのプロである彼であれば、できるだけ多くの基地を守りたい制服軍人よりも的確にできただろう。

 しかし、理系の彼はワシントン政治のプロであるボルトン氏に影響されすぎた。そこでシャナハン氏も解任され、ポンペオ氏に近く、部下を戦死させることを嫌う制服軍人であるエスパー氏が国防長官になった。これはボルトン氏とのバランスをとるためだったと思われる。

 しかし、ボルトン氏は自らの理想と信念をひた走り続けた。イラン、北朝鮮、日本であまり報道されていないベネズエラなどに対して、これまで以上に強硬路線を主張した。そのため軍事境界線で行われた3回目の米朝会談のときは、モンゴルに出張させられていたほどである。

 このような摩擦が何度も続き、ボルトン氏の解任の最後の決め手になったのは、9月7日、数日後に予定されていたアフガンのタリバン勢力とのキャンプデービッド和平協議を、トランプ政権がキャンセルせざるを得なくなったことだと言われている。これはテロ勢力との和解に反対する強硬派のボルトン氏によるリークも大きな原因の一つであるとワシントンでは考えられている。

 このアフガンからの撤退問題に関しては、トランプ氏は大統領になる前から、正規軍を民間軍事会社に置き換えることを構想している。それは当然、制服軍人を中心としたワシントン既成勢力が嫌うことである。リークはボルトン氏からだけのものだったのだろうか?

 いずれにしても副補佐官、クッパーマン氏がしばらくは大統領補佐官代行になることになった。ボルトン氏に近すぎる彼が正式に大統領補佐官になる可能性は低いが、ないとは言えないようにも思う。彼はシャナハン氏と同様、ボーイングと非常に縁深く、宇宙軍の創設や世界の米軍展開見直しなどにおける活躍が期待できるからである。

 ほかにボルトン氏の後任として名前が挙がっているのは、みな今までイランや北朝鮮との対話路線で活動してきた人ばかりである。いずれにしても、今後のトランプ政権はアクシデントがない限り、当面はイランとも北朝鮮とも対話路線でいくことになるだろう。

 その結果として、米国まで届く核ミサイルさえ持たなければ、核武装したままの北朝鮮と米国が和解する事態も考えられないわけではない。そうなれば日本は北朝鮮の核の脅威に常に曝(さら)されることになる。

ボルトン氏がいてくれれば、日本に味方してくれるのに―と考える日本の保守派は多いかもしれない。しかし、そう一概には言えないだろう。

 ボルトン氏は米国の愛国者で米国の国益を何よりも重視してきた。日本が国連安保理常任理事国になることを積極的に支援し始めたのも、彼が主導したイラク戦争が中国の反対で国連による容認決議がとれなくなってからであり、ブッシュ一世政権時代は湾岸戦争に中国も国連で容認したこともあり、その後の日本の安保理常任理事国入りに積極的ではなかった。

 拉致問題に非常に積極的に協力してくれたのも、北朝鮮を追い詰めるための手段だ。そしてボルトン氏も実は沖縄米軍基地撤退論者だったはずなのである!

 この最後の問題も、私のワシントン時代の経験からすると、制服軍人以外のワシントン既成勢力―特に国務省の官僚の共通認識に実は、なってしまっているように思う。ボルトン氏と言えどもワシントン既成勢力の、それも国務省高官の一人である。

 そのワシントン既成勢力を打倒することが歴史的使命であるトランプ政権もまた、米国が世界に広げすぎた手を縮めて、その分の予算で国内の格差問題などに注力することが目的だ。 

 そう考えると、シャナハン氏、クッパーマン氏といった理系のプロ的な人々が、米国の外交政策を取り仕切るようになったときが、米国が日本に日米安保の大幅な見直しを要求してくるときなのではないかと思う。

 その際に米国は、核を持ったままの北朝鮮と和解し、日本は常に北朝鮮による核の脅威の下におかれるかもしれない。

 日本は、それに備えて憲法を改正し、軍事力を増強するしかないだろう。だが日本の力だけで足りるだろうか?

 一縷(いちる)の望みは今の米国の「反中」は本気だということだ。南シナ海でも航行の自由作戦を繰り返し、ボルトン氏の沖縄米軍撤退論も、その替わりに台湾に米軍基地を置くことを主張していた。中国だけではなく、中東方面での有事を考えるとき、在日米軍基地はロジスティクスの拠点として重要なものも多く、そんなに多くの在日米軍基地を削減できるか疑問もある。

 今の米中の経済摩擦は、単なる貿易や技術の問題だけではない。通信技術の問題は、軍事力による世界覇権―特に宇宙軍やサイバーの問題と密接に関係している。

 むしろここに、日本が米国に協力できる部分があるのではないか? 技術的な問題の一部だとしても、日米共同の宇宙戦やサイバー戦が行えるようになれば、中国や北朝鮮の核の脅威も低減させることができるかもしれない。

 いずれにしても米国から購入するような形でも、もう日本も核武装も考える時期だと思う。それはワシントン既成勢力が、最も嫌がることではある。しかし彼らを打倒する歴史的使命を帯びたトランプ氏は、2016年の予備選挙の最中に一度とはいえ、口に出しているのだ。

 もし実はワシントン既成勢力の一員だったボルトン氏が、大統領補佐官のままだったら、それを許してくれただろうか?

 今回の「ボルトン失脚劇」は、タカ派とハト派の対立というより、ワシントン既成勢力とトランプ改革政治の対立だった。いずれにしても制服軍人以外は、両者共にそろそろ在日米軍基地の大幅な見直しを考えていることは共通している。

 しかしトランプ氏には日本の核武装も含めた既成勢力とは異なるビジョンがある。これからも日本はトランプ政権の人事その他の動向を注視し、その先手を打って協力するようにしていかなければ、世界の中で生き残ることができなくなってしまうだろう。 

Images-1_20190915212201  日本の核武装については内外ともに制約が大きく、現時点では現実味がないものと思われます。それより先に非核三原則を廃し、ひとまず持ち込むことを容認しなければなりません。同時に憲法を改正し、通常戦力の強化、特に攻撃力の格段の強化が必要でしょう。

 ただ日本の西側に核保有国が3国もあり、韓国も核武装を検討しているとすれば、力のバランス上避けて通れない課題になる可能性はあります。そのためにも以前のブログで紹介した、「核兵器を作る能力」の保持は絶対に必要になるでしょう。

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2019年9月16日 (月)

日米に見捨てられ…韓国富裕層が逃げ出す「有事シナリオ」とは

Hqdefault_20190915204501  今回は国際投資アナリストの大原浩氏のコラム『日米に見捨てられ…韓国富裕層が逃げ出す「有事シナリオ」とは』(zakzak9/15)を取り上げます。韓国崩壊が経済面から迫ってきている様子が詳述されています。

 いわゆる「元徴用工」訴訟の異常判決や、旭日旗、福島第1原発の処理水問題へのイチャモンなど、数々の「反日」行為を棚に上げ、日本政府の輸出管理強化に逆上する韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権。過剰反応の背景には、日本に依存する韓国経済の危機的状況があるという。国際投資アナリストの大原浩氏は寄稿で、日本と米国に見捨てられ、外国人投資家、そして国内富裕層まで逃げ出す「有事のシナリオ」を解き明かす。

 日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄決定は、日韓だけでなく、米韓関係にも大きな亀裂を生じさせた。かなりの確率で在韓米軍の「完全撤退」が行われることになるであろうから、軍事的・政治的に韓国は終焉(しゅうえん)への道を歩んでいるといえる。

 文政権のでたらめぶりは、色々なメディアで語りつくされた感もあるが、経済についてはどうだろうか。軍事的・政治的問題がなくても、すでにピークアウトしていて、崩壊寸前であることに注意すべきである。

 日本が行った安全保障上の必要に基づく輸出管理強化に対して「輸出規制だ」「報復だ」と言いながら天地がひっくり返るほどの大騒ぎをしたのは、「日本からの輸入」が韓国経済の生命線であるからなのだ。

 2018年の1人当たり国内総生産(GDP)は、韓国が約3万1346ドル(約339万円)、日本が約3万9306ドル(約425万円)なので、韓国はほぼ日本の8割にまで達している。韓国人にすれば鼻高々であろう。

 人口は日本の半分弱であるが、「統一朝鮮を実現したら、日本を追い抜ける」などという誇大妄想は、文大統領の頭の中だけではなく、経済や世界を知らないガラパゴスな左翼の人々の頭の中にも巣食っていると思われる。

 しかし、共産主義中国の例をみると、「米国を追い抜く」などという誇大妄想を抱いたとたん、「貿易戦争」で叩き潰されようとしている。結局、中国の繁栄というのは「米国のふんどしで相撲をとっていた」ものだった。米国市場でのビジネスと技術に極度に依存していた「砂上の楼閣」であることが分かった。

 同様に、日本の輸出管理に過剰反応するのも、韓国の経済的繁栄が「日本のふんどしで相撲をとっている」に過ぎないことを、政権幹部や財界人たちがよく分かっているからだ。

 ごくわずかの品目の輸出管理を日本が強化しただけでも、韓国経済が重大なダメージをこうむるのであるから、トランプ政権が中国に仕掛けたような「貿易戦争」を日本が仕掛けてきたら、韓国経済は一瞬にして崩壊すると彼らが心配するのは無理もないし、事実そうなる可能性が高い。

 簡単に言えば、韓国経済というのは、日本から材料、工作機械、製造ノウハウ、特許などを導入して組み立て作業を行う「製造受託」によって成り立ってきた。それらの費用を日本側に支払わなければならないため、戦後ほぼ一貫して対日貿易は赤字だった。

 日本に完成品を輸出して赤字を穴埋めしたいのはやまやまなのだが、日本では韓国製品はなかなか売れない。自動車がその典型だ。

 1997年の通貨危機で国際通貨基金(IMF)の管理下に入り、事実上「経済破綻」した国なので、国際的信用力が乏しい。さらに、IMF管理になってから、少数の財閥に富が集中し、2011年の10大財閥のGDPに占める比率は7割~8割であった。

 主要輸出企業の株式の過半、金融機関の株式の7割から8割は外国人が保有しているとされ、韓国経済発展の果実は、財閥と外国人がほぼ独占し、一般庶民は貧しいまま捨て置かれ、社会保障も経済協力開発機構(OECD)諸国で最低の水準といわれる。

 貧しい一般庶民が、財閥や外国人とつながった保守派政権を嫌い、「共産主義の楽園」という妄想を振りまく左翼を支持するのも、ある意味仕方がないのかもしれない。

Smile_20190915204501  97年の通貨危機以来、大きな利益を上げた外国人は、在韓米軍が完全撤退する前に手じまいしたいと思っているし、韓国財閥の幹部たちは「共産主義化された国家」での資本家に対するひどい扱いを恐れて、国外脱出の準備を進めているはずである。もともと韓国の富裕層は、子弟を海外に留学させて市民権を得させるなどして有事に備えているのだ。

 

 文政権は発足直後は羊の皮をかぶっていましたが、次第にその本領を発揮し始め、昨年後半からはいよいよ親北反日の共産思想を隠さなくなり、日米から急速に離れつつあります。

 しかし資本主義の枠組みの中で発展してきた資本家や自由を経験した富裕層の人たちは、おそらく文政権の本質を見極めて、大原氏の言う通り韓国を逃れる準備をしているに違いありません。いよいよ韓国崩壊に向け秒読みが開始されたのではないでしょうか。

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2019年9月15日 (日)

そこに「自分の言葉」はあるか…原爆投下に関して

 今回は経営科学出版編集人の上島嘉郎氏の「そこに「自分の言葉」はあるか…原爆投下に関して」を取り上げます。戦後の日本、米国の戦争犯罪をひた隠しにするため、GHQによる占領政策ですべて日本が悪かったという自虐を植え付けられ、口を封じられて自分の言葉を失った日本人への警鐘が綴られています。

E62f9bd1d6cc5120a6dd452ea03a1e5c  「自分の言葉」ということに拘って書いてきました。原爆投下に関しても、今日の私たちは果たして「自分の言葉」で語り得ているでしょうか。

「安らかに眠ってください過ちは繰り返しませぬから」

 これは広島市の原爆死没者慰霊碑の碑文です。碑文についてよく「主語がない」と云われますが、広島市の回答は次のようなものです。

〈碑文の趣旨は、原爆の犠牲者は、単に一国・一民族の犠牲者ではなく、人類全体の平和のいしずえとなって祀られており、その原爆の犠牲者に対して反核の平和を誓うのは、全世界の人々でなくてはならないというものです。つまり、碑文の中の「過ち」とは一個人や一国の行為を指すものではなく、人類全体が犯した戦争や核兵器使用などを指しています。碑が完成した昭和27年(1952年)から今日まで、碑文は被爆者や広島市民だけではなく核兵器廃絶と世界平和実現を求める全世界の人々にとって祈りと誓いの原点であり続けています。〉(同市HP)

 さらに、〈被害者である日本が「過ち」を犯したかのような文言となっており、 改めるべきではないか〉という問いかけには、〈今日では、碑文に対する疑問の声はほとんど聞かれず、本市としては碑文の修正は全く考えておりません〉と回答しています(同)。

 碑文に対する疑問の声はほとんど聞かれない、というのですが、実際はそうではないでしょう。そうでないからこそHPに回答を載せているわけで、広島市が「疑問の声」に斟酌しないだけではないかと私は思います。

 さて、動物の鳴き真似師として、また俳優として活躍した三代目江戸家猫八さんを御存知でしょうか。テレビ時代劇「鬼平犯科帳」[主演・中村吉右衛門]で密偵の彦十を演じていた人と云えば思い出される方も多いでしょう。

 猫八さんは、昭和20(1945)年8月6日の広島への原爆投下に遭遇していました。猫八さんは、召集され陸軍の船舶砲兵団(「暁部隊」)に所属し、北はアリューシャンから南はラバウルと戦地を巡り、当時は広島の宇品に駐屯していました。

 広島の中心地から離れていましたが、「ピカドン」の閃光は青空よりも明るく、猫八さんが咄嗟に防空壕に逃げ込もうとしたとき、「ドーン」という爆発音に続いて猛烈な爆風が襲ってきました。

K02-1  猫八さんは公用兵で、比治山町にある船舶砲兵団司令部との連絡係が任務でした。上官から状況把握を命じられ、市内に向かった猫八さんは御幸橋まで来て愕然とします。そのときの光景は終生脳裏を離れなかったといいます。

 瓦礫の山となった町。道々には焼け焦げて息絶え絶えの人々が親や子の名を呼びながら彷徨っている――。

 猫八さんは上官に報告後、軍の救護隊の一員として再び市内に入ります。中心部に行くにつれ死傷者の数が増え、目も当てられない惨状です。

「兵隊さん、助けてください」

「水をください」

「熱い、痛い」

 辛うじて生きている人々から痛みに耐える唸りや呻き、泣き声が洩れます。

 猫八さんは「耳を塞ぎたい気持ち」を堪え、懸命に救護に当たりました。猫八さんは被爆直後の市内でどれほどの放射線を浴びたのか…。

 戦後、原爆症と闘いながら人気芸人として再起した猫八さんは、このときの体験を『キノコ雲から這い出した猫』(平成7[1995]年、中央公論社)という本にまとめました。

 実は、猫八さんが聞いた、被爆者が今際の際(いまわのきわ)に言い残した言葉は「助けてください」や「水をください」だけではありませんでした。はっきり、「兵隊さん、きっとこの仇をとってください」という言葉があったのです。

 猫八さんの回想だけでなく、こうした言葉は「広島原爆戦災誌」(広島平和記念資料館編纂)にも記されています。

 たとえば、賀茂海軍衛生学校練習生隊の西家明男氏の証言。

〈(前略)長蛇の列の負傷者に対して、「少しの辛棒ですから待ってください。」と、われわれは励まし、元気をつけるようにつとめたが、無差別に虐殺したアメリカに対する憎しみと怒りの声は激しく、「何時かは、きっとこの復讐はしてやりますぞ。」とか、「兵隊さん、きっとこの仇を取ってください。」などと女も子供も興奮し、敵愾心に満ちて叫ぶのも当然のことに思われた。(中略)

「クソッ! アメリカの奴、おぼえておけ。」と、なかばやけっぱちの人、また、「アメリカは無茶をしますのう。」と、憎いがどうにもならんといったような、複雑な表情で話しかける人、「こんなことをされて、一生忘れァせんぞ。」と、負けても忘れないという意味にもとれる言葉など、内心勝利をあきらめたような言葉もあった。〉

 当時の高野源進広島県知事は原爆投下の翌7日に「告諭」として次のように訴えました。

〈(前略)今次災害に際し不幸にも相当数の戦災死者を出せり、衷心より哀悼の意を表し、その冥福を祈ると共に其の仇敵に酬ゆる道は断乎驕敵を撃砕するにあるを銘記せよ、吾等はあくまでも最後の戦勝を信じ凡ゆる難苦を克服して大皇戦に挺身せむ。〉

 原爆投下について、日本人が「自分の言葉」で語るのならば、まずは

「仇をとってください」

「仇敵に酬ゆる道は断乎驕敵を撃砕するにある」

 という、当時の日本人の"憤怒"を無かったことにしてはならない。

 時間をかけてその感情を押し殺し、原爆投下を人類全体の過ちとして受け止め、二度と繰り返さぬと誓ったのが原爆死没者慰霊碑の碑文だとして、そこからこぼれ落ちる、あるいは溢れ出る父祖たちの怒りが厳然と存在したことを戦後の私たちは記憶にとどめる必要があります。

 原爆投下は天災ではありません。投下した「敵国」があり、その敵国が今日の我が国の最大の同盟国であるという現実をいかに受け止めるか。

 広島市は、原爆の犠牲者は、単に一国・一民族の犠牲者ではないといますが、これは観念的なもので、現実に犠牲になったのは我が日本国と日本人です。

 また〈原爆の犠牲者に対して反核の平和を誓うのは、全世界の人々でなくてはならない〉というのは一方的な願望でしかなく、現行憲法の前文〈平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意し〉たのと同じく、戦争と平和の間の葛藤を深く見つめた上で、自らの強い意志を刻んだ言葉とは到底思えません。

 他国の善意や良識を前提にした偽善の態度、現実の困難を背負う覚悟のない者が「普遍的価値」「人類共通の理想」なるものを掲げて安逸を貪る態度です。

 「自分の言葉」を失った戦後の日本人の正体がこれです。

 17世紀英国の政治思想家ホッブズは「戦争は人間にとって本性的なものである。自然のままに放っておけば必ず戦争状態になり、それがいつまでも続く」と語りました。

 誤解を恐れずに云えば、これが人類の生態であり、戦争と戦争の間の時間を平和と呼ぶのが歴史の常態で、自分たちの国とその大切な歴史を守るためには、他国の人々と観念的な理想論に頼っているわけにいかないのです。

 「過ちは繰り返しませぬから」といくら誓っても、それは内なる安逸に過ぎない――。

 まったくその通りだと思います。今の時点では第一の同盟国であるアメリカを無視するわけにはいきませんが、そのアメリカに戦後日本人としての精神を徹底的に弱体化されたのは事実です。そして今もその影響は色濃く残っています。戦前までの強い日本人、覚悟ある日本人を取り戻す、それが今特に肝要なことだと思います。

〈戦後の日本人は、過ぐる大戦とそこに至る日本の近現代史について、いまだに自分の言葉で語り始めていない。〉(江藤淳)

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2019年9月14日 (土)

『反日種族主義』主著者が初めて語る…韓国の「絶対不変の敵対感情」

Download-6_20190911160101  今回は以前取り上げたシンシアリー氏のブログにも出てきた、「反日種族主義」の著者イ・ヨンフン氏に対するインタビュー記事『反日種族主義』主著者が初めて語る…韓国の「絶対不変の敵対感情」FNNPRIME 9/11、執筆:FNNソウル支局長 渡邊康弘氏)を取り上げます。

 韓国で異例のベストセラーとなった『反日種族主義』。その主著者であるソウル大学のイ・ヨンフン元教授が、ソウルの外信記者クラブで会見した。著書の発売以降、イ元教授がメディアの質問を受けるのは初めての事だ。会見には我々日本メディアを含む外信記者クラブ所属の海外メディアのみが参加した。『反日種族主義』は、日本による統治や慰安婦問題、いわゆる徴用工問題について、当時の法令解釈や統計データを元に、韓国での定説をことごとく覆す本だ。近く日本語版も出版される予定で、日本での関心も高い。ここでは本の詳細は割愛し、会見でイ元教授が何を語ったのか、日本以外の海外メディアが何を聞きたがったのか、可能な限り詳細にレポートする。なお教授の発言は太字とする。

1945年の解放は韓国人が主体的に成し遂げた業績ではない

 イ元教授が会見冒頭で語ったのは、意外にも日本統治時代の話ではなかった。

「19世紀以来中華帝国の解体とともに朝鮮王朝も深刻な解体、崩壊危機に入ったと考える。その結果が1910年大韓帝国の日本併合だった。1945年の日本統治からの解放と1948年の大韓民国独立は韓国人が主体的に成し遂げた政治的業績ではない。それは日本帝国主義がアメリカと衝突して広がった世界史的事件だった」

「私が言おうとしている事は、この言葉の中に十分含まれている」

 イ教授が指摘したのは、日本人から見れば教科書通りの当たり前の事だが、韓国人にとって最もつらい歴史的事実だ。韓国憲法は韓国について、1919年の3・1独立運動の後に発足した「大韓民国臨時政府」の法統を継承する国家だと規定している。文在寅政権は、3・1運動から100年となる今年を重要視し、1919年を建国の日にしたいとの思惑を隠さない。だがイ元教授は、日本がアメリカに敗戦したという、いわば「棚ボタ」で独立した事を直視しなければならないと強調した。これは重要なポイントだ。冒頭発言には続きがある。

「韓国人は自分のアイデンティティで今深刻な混乱を経験している」「深刻な歴史的アイデンティティの混乱と、望ましい歴史的アイデンティティの摸索で、韓国社会と政治が深刻な葛藤を体験している」

 韓国人が抱えるアイデンティティの混乱とは何なのか?それは質疑応答で明らかになっていく。

反日種族主義とは無条件かつ絶対不変の敵対感情

 欧米の記者からは、なぜこの本を書いたのかという基本的な質問が飛んだ。

「韓国人は日本に対して強烈な敵対感情を持っている。それは歴史的に受け継いだのだ。多くの韓国人は朝鮮王朝を非常に美しい高尚な人の国だと考えている。そして非常に不道徳で暴力的な日本帝国主義が入ってきて朝鮮王朝を滅亡させたと考えている」

「これが歴史の本を通じて私たちの幼い世代に教育されている。そういう歴史教育、歴史意識を持っていては、決して大韓民国は先進社会、先進国として発展することが出来ないだろう。なぜなら先進社会・先進政治になるということは隣国との友好的協力関係を前提にするためだ。そういう私たちの未来を遮る反日感情が限界に到達したという危機感でこの本を書くことになった」

 またニューヨークタイムズの記者は、前出の韓国人のアイデンティティの混乱とはどのようなものかと質問した。

「本に対して肯定的な反応を見せる人は、韓国の自由市民だと考える」「ところが自由市民を代弁するという自由韓国党(※最大野党・保守系)はこの本に対していかなるコメントもしていない。 換言すれば韓国の自由市民を代表する歴史意識はまだ確立されていないし、政治化されていない。」

「この本は韓国の歴史教育と日本との外交政策に対して多くの問題点を指摘する。しかし国会では全く問題になっていない。それを問題化するほどの知性と器量がある政治勢力が存在しないのだ。この事実が韓国の歴史的アイデンティティがどれくらい深刻に混乱の渦中にあるのかを反証している」

「反日種族主義を簡単に定義すれば、それは無条件に絶対不変の敵対感情を指す」「韓国人はまだ中世的な善と悪の観念で、日本との関係を認識して評価している。 私の孫娘が幼稚園に行ってきたある日私に話した。『おじいさん、日本は私たちの敵だよ』と。今韓国の小学校で全教組(※韓国の教職員の組合)の教師を通じて日本に対してどんな教育がなされているのか、皆さんには現場をチェックしてみることを望む」「悪の、敵の教育が行われている。洗脳を通じて伝えられる不変の敵対感情、それが種族主義の核心だ」

 イ教授の回答はやや難解なので解説が必要だろう。

 北朝鮮には事実かどうかはともかく「金日成主席が抗日パルチザンとして戦った」という「建国神話」が存在する。しかし韓国には日本と全面的に戦った史実は無い。自らの力で独立を勝ち取った歴史が無いから、アイデンティティは揺らぐ。だからこそ「日本と戦った独立の英雄達がいた」という物語に縋らなければならないし、そのためには日本は「悪」でなければならない。しかし『反日種族主義』で主張される日本統治を認めてしまえば「日本=悪」が揺らぐ。一方「日本=悪」をドグマにして、「絶対不変の敵対感情」を抱いたままでは、先進的な社会の基本である「隣国との友好協力関係」が途絶える。このジレンマを乗り越えられる政治家・リーダーが、保守にも革新にもいない事が、韓国のアイデンティティを混乱させているという事なのだろう。

 また、韓国の教育の問題を厳しく指摘しているのが印象的だ。

日本統治時代ジェノサイドに値する犯罪は無かった

Images-14  会見では、長年韓国で取材を続ける著名なイギリス人ジャーナリストからこんな質問も飛んだ。

 Q ドイツは戦争犯罪に対して十分に謝罪したが、日本はそうではないと考えられる。ドイツはユダヤ人虐殺と第二次世界大戦を勃発させ、日本は台湾と韓国を植民支配して東アジアで戦争を起こした。両国は似ていると考えるのか?日本の謝罪は充分で補償もしたと考えるのか?

「日本が韓国を支配した35年または40年の間、ジェノサイドに値する犯罪は無かったと考える」

「もちろん3.1運動当時日本の警察が暴力的制圧を行った問題や堤岩里教会問題(※3・1運動鎮圧の過程で発生した日本軍による住民殺害事件)がある。ただ、それを意図的に計画されたジェノサイドだとは言いにくい」

「第2次世界大戦の時、韓国は日本と戦争していない。サンフランシスコ条約締結の際も韓国は連合国としての地位を認められることは無かった。国際的に韓国は合法的に日本帝国に編入された領土と認められた。韓国人は連合国の一員として日本と戦ったという意識から自由になる必要がある」

韓国で頻繁に語られる「ドイツは何度も謝罪したのに日本はまともに謝罪もしない。ドイツを見習え」との批判を、真っ向から否定したのだ。

日韓関係はどうあるべきか

 日本メディアからは、日韓関係の今後についても質問が出た。

「韓日関係は非常に難しい状況に置かれていて、その原因は韓国政府が提供したと考える。文在寅政府は否認するだろうが、政府は1965年度に締結した両国関係の基本協約に違反したと考える。その違反を正当化しており、今の危機的な状況を韓国政府が、または韓国国民が、韓国政治が今後賢明に解いていかなければなければならない。また、日本政府も時間を設けて待ち、協力する態勢になっているように見える。難しい問題は韓国内部にある。私たちは私たちの問題を自ら解決していくべきだと考える」

 イ元教授の話はどうしても日本政府寄りに聞こえる。だが専門は経済史学であり、イデオロギーというよりも数十年に及ぶ法令や統計資料、当事者の証言などの学術的な検証を踏まえた主張とも言える。

 実は記者会見の大半は「慰安婦問題」に関する質問に充てられていた。

 長くなったので、慰安婦問題については稿を改めてお伝えする。

 様々な書籍や資料から、併合時代の歴史や戦後の真実の日韓関係史を読み解いていれば、イ元教授の話は「日本政府寄り」ではなくて、「歴史の事実をつかんでいる」まっとうな見解だと素直に思います。

 つまりイ元教授の言う通り、ほとんどの韓国人は「建国神話」を求め、「日本と戦った独立の英雄達がいた」ことにしたく、そのためには理由の如何に問わず併合をした日本は「悪」でなければならないし、結果的に「絶対不変の敵対感情」を抱くことになります。それを子供の時から教育の場で、家庭で、社会で叩き込まれれば、間違いなく韓国人のアイデンティティになるでしょう。

 今の文政権はとりわけその道をひた走る政権です。ですから彼の政権、そして彼と同様な考えを持つ政権が続く限り、反対勢力を抑圧し、親日残差を一掃するよう政策を続けるでしょう。イ元教授のようなグループがいても、彼の目指す「先進社会・先進政治」には到底なれないでしょう。ですから韓国が劇的に変わらない限り日本は徹底的に「非韓三原則(教えない、助けない、関わらない)を続ける必要があります。

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2019年9月13日 (金)

世界史的転換期に戦略的外交を

9ed24879859602439108a7066b7182731  今回は文化人類学者で静岡大学教授の楊海英氏によるコラム「世界史的転換期に戦略的外交を」(正論 9/10)を取り上げます。 

 「弱国に外交なし」。これは国家間で死活の戦いが繰り広げられていた春秋戦国時代のシナの謀略家たちの認識だった。日本外交も今、ある種の岐路に直面しているように見える。大国ゆえの、独特の悩みであり、千載一遇のチャンスでもある。大国であっても、戦略的な判断を間違えば、没落を招く危険性も常に付きまとっている。それは、対中外交である。

 ≪歴史に学び逆行するな≫

 現在、中国の特別行政区と位置づけられている香港で大規模抗議デモが続いている。既に3カ月過ぎたが、まだ終息の見通しが立っていない。本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案に反発したことが発端となり、たまりにたまった香港人の不満が爆発した。8月18日にも170万人に上る人々が抵抗の烽火をあげ(主催側発表)、北京当局に善処を求めた。しかし、共産党政権とその香港の御用官吏たちは対話に応じようとせずに、頑(かたく)なな姿勢を崩していない。

 こうした強権的な政治手法は1989年初夏の天安門事件を彷彿(ほうふつ)とさせる。私は事件直前の3月末まで北京に滞在していたが、民主化を希求する市民や学生たちと、共産党当局との間に横たわる巨大な溝が両者の対話を不可能にしていた。民主化は共産党政権の正統性を揺るがしかねないから、絶望感が漂っていた。結局、当局は人民解放軍を出動させて市民と学生を虐殺した。公開された在北京イギリス大使館の外交文書は犠牲者数は数千人から1万人に達すると伝えている。香港の上空を覆い被さっている暴力の暗雲は北京から漂ってきたものである。

 このような世界史的大転換期に差し掛かった時期において、日本の対中外交には世界の潮流と逆行しているような姿勢が再び現れ始めている。香港人が奮戦している真っ最中に、河野太郎外相は北京で中国の王毅外相と会談し、来春における習近平国家主席の国賓としての来日を成功させようと確認し合ったという。これと前後して、公明党の山口那津男代表も中国を訪れて宥和(ゆうわ)的行動を取っていた。

 河野氏も山口氏も香港情勢に懸念を示したとされるが、ガスマスクをかぶり容赦なく襲い掛かる警察と本土寄りの黒社会(暴力団)に抵抗する若者たちの傷に塩をぬる行為のように見えて仕方ない。このような折に世界最大の独裁国家の独裁的指導者を民主主義国家の日本に国賓として招待する大義名分はどこにあるのだろうか。

Images-13  ≪感謝どころか反日運動招く≫

 外交的対応を間違えた前例は既に日本にある。天安門事件後に西側諸国はそろって中国に制裁を科していたが、いち早く風穴を開けたのは日本である。日本は天皇陛下(現上皇陛下)のご訪中を実現し経済的協力も惜しまなかった。

 共産党政権を追い込むよりも、建設的関与が続けば、豊かな中産階級が成長し、いずれ民主化は実現する、と天真爛漫(らんまん)な夢を見ていた。力を付けた中国は日本に感謝するどころか、逆に反日運動を展開し、日本製品不買運動を発動した。覇権主義的な海洋進出も活発化し、公船を頻繁に沖縄県尖閣諸島沖に侵入させているし、南シナ海に軍事要塞を構築して、東南アジア諸国を恐喝している。もっとも、中国に強大化の機会を与えてしまったのは日本だけではない。アメリカも当時のブッシュ政権は時の実力者、トウ小平と裏で握手し、巨大な市場での商いの利権を優先していたのである。

 対内的には暴虐的政治手法を放棄せず、対外的には帝国主義的拡張を続ける中国をアメリカとその同盟国は今や本格的に封じ込め、場合によっては体制転換まで繋(つな)げようとしている。安倍晋三首相が唱えている「インド太平洋構想」(当初は「インド太平洋戦略」)も中国の膨張を抑えるのが目的である。アメリカ主導の対中戦略の構築と、「国賓」としての習氏招待の外交活動に齟齬(そご)が生じている以上、日本の外務担当者には国民に対して説明する義務がある。

 暴力を最大の政治的特徴とする中国は社会主義政権である。イギリスの歴史家で前世紀の動乱に注目したエリック・ホブズボームがその名著『20世紀の歴史』(ちくま学芸文庫)を執筆している最中に、天安門事件は勃発した。「天安門事件は西側の世界を凍りつかせた」とし、その思想的根源は社会主義革命に由来する。

 ≪注視されている日本外交≫

 ロシアの「十月革命の悲劇は、まさに、無慈悲で、残忍で、指令で動く類の社会主義しか生み出せなかった」とホブズボームは断じる。ロシア革命から始まり、中国と北朝鮮などの社会主義国家は、どれも反人道的な罪を無数に犯し続けてきたし、香港やウイグル等少数民族に対する弾圧も例外ではない。21世紀に入っても前世紀の暴力と決別しようとしない専制主義の中国に対し民主主義の日本は先進国らしい、戦略的外交を進めなければならないのではないか。

 来春満開する桜に、香港の若い学生たちの血が滲(し)み出ないことを祈りつつ、大国日本の外交に注視しなければならない。

 戦後日本の外交は「謝罪外交」と言われるように、卑屈で自虐に満ちた外交でした。対戦国に迷惑をかけたという理由ですが、戦争に迷惑も何もありません。日米戦争は日本が仕掛けた侵略戦争、という説がまかり通っていますが、最近の研究では実際はアメリカのルーズベルトの陰謀だったという説が急浮上してきています。そうであれば日本は逆に米英に迷惑を被ったと言えるのではないでしょうか。

 そして戦勝国が勝手に定義した「人道に対する罪」だの「平和に対する罪」を一方的に負わされた、世紀の極悪裁判「極東国際軍事裁判(東京裁判)」が「謝罪外交」の大きな理由の一つです。

 加えて敗戦国の日本は、米国を中心としたGHQの占領政策の下、軍を壊滅され、自虐史観を徹底的に叩き込まれ、プレスコードによる言論封殺をされ、公職追放により蘇った共産主義思想の持ち主により、反軍反日思想が蔓延する、いわゆるお花畑国家になってしまったのです。軍事力の背景なき外交は弱腰、腰砕け外交を助長します。

 今こそ日本の国益を考えた外交を展開しなければなりません。日本の西に位置する覇権国家群と対等に外交展開するためにも、軍の再整備をして行く必要があると思われます。そのためにもそれを阻害してやまない、お花畑9条教信者を何とかしなくてはならないでしょう。

 楊 海英(よう かいえい、ヤン・ハイイン)は、中華人民共和国内モンゴル自治区(南モンゴル)出身の文化人類学者。モンゴル名はオーノス・チョクト、日本に帰化した後の日本名は大野旭で、「楊海英」は中国のペンネームである。

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2019年9月12日 (木)

米韓同盟亀裂の文政権 北朝鮮も見切ったか

Images-10_20190910164201  今回は龍谷大教授李相哲氏の講演「米韓同盟亀裂の文政権 北朝鮮も見切ったか」(大阪「正論」懇話会 9/9)を取り上げます。

 大阪市北区のホテル阪急インターナショナルで2日、大阪「正論」懇話会の第56回講演会が行われ、李相哲・龍谷大教授が「岐路に立つ朝鮮半島-日本はどう向き合うのか」と題して講演した。講演内容の要旨は次の通り。

 北朝鮮の対外宣伝サイト「わが民族同士」に8月28日、こんな映像論評が掲載された。「南朝鮮(韓国)の人民は、進歩勢力は民主運動家でクリーンだと考えているようだが、まったくの間違いで米帝国より醜い存在だ」とし、韓国で法相に指名されたチョ国(グク)氏について「勉強のできない娘を大学に不正入学させた最低の奴だ」と非難した。

 この論評が意味するのは、北朝鮮は文在寅(ムン・ジェイン)政権を信用していない、見切っているということではないか。今後、内閣直属の朝鮮中央通信や党中央委員会が運営する労働新聞に同じ論調が出てきたら、文政権と決裂するシグナルだろう。

D2pttnouwae165_  なぜ、これほど北朝鮮が怒っているのか。

 2018年4月、文大統領と金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は軍事境界線にある板門店(パンムンジョム)で首脳会談を行い「南北10・4宣言を誠実に履行する」と約束した。これは07年10月、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時に南北が合意した経済協力のことで、開城工業団地の拡充や、南北の鉄道連結など多岐にわたるが、実現しなかった。文氏は18年9月には平壌での南北首脳会談で再び経済協力を約束したが、履行できていない。北朝鮮が今年5月からまたミサイルを撃ち始めたのは、文氏に約束の履行を迫っているのだと私は理解している。

 文政権は、トランプ米大統領と金氏の合意によって制裁が緩和すれば、すぐに経済協力を実行できるよう準備していた。しかし、今年2月にハノイで行われた米朝会談は物別れとなった。

 これは金氏に非核化の意志がないとわかったからだが、北朝鮮は一度もこの問題に関しては嘘を言っていない。金氏が言う「朝鮮半島の非核化」とは、北朝鮮だけでなく韓国も非核化しろということだ。韓国は米の核の傘の下にある。いつでも核を持ち込める在韓米軍を追い出せという意味なのは明らかだが、文氏はトランプ氏に「金氏は非核化に確固たる意志がある」と伝えていた。

 韓国が日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA=ジーソミア)を破棄したことで、文氏の基本姿勢は反米だとはっきりした。GSOMIAは日韓の軍事連携を重視する米が主導して日韓が締結した。米国は国防総省、国務省ともに失望を強く表明し懸念を示し、韓国国内でも「自害行為」と批判されている。これに対し、韓国政府は駐韓米大使を呼び出す異例の行動に出て、米の反発を買った。本音では、米軍が韓国に嫌気をさして出ていくことを望んでいるのではないか。

 日本の安倍首相は韓国以外とは良い外交関係を築いている。韓国とうまくやっていくためには、歴史問題を取り合わないことだ。歴史というものはひとりひとり違う目で過去をみるものだ。文氏は歴史問題で一回決着を付けただけでは駄目だというが、一回決着したものをもう一回議論しようとする人とは付き合えない。

 日韓は、慰安婦問題も徴用工問題もすでに決着を付けている。その問題に関して日本は一切取り合わず、韓国とエンドレスの議論をしないことが大事だ。文氏は最近「日本が協力的な態度をとれば話し合いに応じる」などと言っているが、これは前提が間違っている。日本は徴用工問題で、韓国側に日韓請求権協定に基づく協議を働きかけてきた。それを無視しておいて、文氏は今になって話し合おうという。

 また、戦後日本は韓国に迷惑をかけたからと、特別扱いしてきた。日本の財界には、鉄鋼や自動車、電子産業などで韓国を無償で支援してきた人たちがいた。それが2国間で甘えの構造をつくったと思う。今回、輸出管理上の優遇措置をとるホワイト国リストから韓国を外したのは、普通の国へのスタートだ。

 日本人は他人と争うのを避けてあいまいにするが、韓国とは事実に基づき間違いを指摘していかなければ、正常な関係は築けない。

 その通りです。日本の国益を考えれば、もう韓国を特別扱いするのはやめて、普通の国同士の関係にする必要があります。つまりギブに対してはテイク、誹謗中傷に対しては報復処置、反日行為に対しては断固たる制裁です。そうしなければ大人になり切れないこの国は甘えとタカリと告げ口を続けるのです。徹底的に報復のための制裁をして行くべきでしょう。

李 相哲(り そうてつ )は、中国・朝鮮族出身のメディア史学者。日本国籍を取得している。 東アジアの新聞史、朝鮮半島問題に詳しい。1998年より、龍谷大学社会学部教員。

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2019年9月11日 (水)

韓国経済に忍び寄る「Dの恐怖」

0369  今回は玉置直司氏によるコラム『韓国経済に忍び寄る「Dの恐怖」』(JBpress 9/10)を取り上げます。消費者物価初のマイナス、高齢化、低成長と最近の韓国経済の実態が綴られています。

「あの頃の日本経済について聞きたい」

 9月に入って急にこんな問い合わせが、韓国の産業界やメディア関係者から増えている。

 ついこの間までは、日本政府による韓国向け輸出規制強化や日韓関係についてが圧倒的な話題に中心だったが、突然、変わってきた。

 その理由は、「Dの恐怖」だ。

「あの頃」というのは、日本が長期経済低迷に見舞われた「失われた20年」当時のことだ。「Dの恐怖」とは、韓国での本格的なデフレが始まったのではないかという懸念だ。

消費者物価上昇率マイナス0.04%

 2019年9月3日、韓国の統計庁は、「8月の消費者物価動向」を発表した。消費者物価上昇率は小数点以下1桁までの「公式発表」では前年同月比0.0%。2桁までみるとマイナス0.04%だった。

 1965年に韓国政府が統計を作成し始めてから、消費者物価が公式発表数字で0.0%になるのも、実際にマイナスになったのも初めてだった。

 統計庁の発表の前後、韓国内では、文在寅(ムン・ジェイン=1953年生)大統領の側近で9日に法相に任命された曺国(チョ・グク=1965年生)前青瓦台(大統領府)民情首席秘書官の各種の疑惑を巡る問題にメディアの関心が集中していた。

 そんな中でも、企業人や経済記者の間では、この「消費者物価マイナス」を「衝撃的な発表」を受け止めた。「毎日経済新聞」は「Dの恐怖襲来」と大きく報じた。

 韓国の消費者物価上昇率は2019年1月に同0.8%となり、それ以来1%を下回る水準が続いていた。ついにこれがマイナスになったのだ。

生活実感は・・・

 韓国での生活実感はどうか?

 2000年代前半までは、韓国も「インフレを警戒する」雰囲気が強まった。

 モノやサービスの価格は、かなりのペースで上昇した。一方で、タクシーや地下鉄、バスの料金、電気、ガス料金など政府が抑えていた。

 最近は、これが逆になっている。

 大手スーパーに行っても、ネットを見てもモノの価格は下がっている気がする。飲食店の価格も上昇が止まったり、「価格破壊型」の店が登場したりする。

 逆に、タクシー、地下鉄、バス料金などは上昇している。

 全体的に言えば、「どんどん上昇する」という実感はなくなっている。かと言って「本格的なデフレが始まった」という実感はない。

 1990年代後半の日本の方が「デフレ」の実感はずっとあった。

8月だけか、広がる不安心理

 韓国内でも、8月1か月だけの消費者物価上昇率で、「本格的なデフレが始まった」という報道はほとんどない。

 2018年の8月は猛暑で野菜の価格などが上昇しており、2019年の8月の消費者物価にはこの野菜類などの値上がり分なども反映してはいる。

 それでも、「そう言えば・・・」と思い当たるふしも少なくない。

 モノやサービスの値下がりはあちこちで目に付く。ネット小売業者は、販売不振をカバーするために価格の引き下げや、配送量の無料化など実質的な「値下げ策」を打っている。

 韓国紙デスクは「企業業績の悪化や世界経済の先行きに対する不安感、株価下落、不動産価格の先行きに対する不透明感などが消費心理にマイナスの影響を与えている」という。

「朝鮮日報」は「最近の日本製品不買運動も消費市場に悪材だ。産業通商資源部は“日本製品不買運動の影響で衣料品の売り上げが大きく減り、7月の百貨店全体の売り上げが前年同月比4%減少した”と分析した」と報じた。

 韓国内の雰囲気は、「1か月だけの数字」ということではないのだ。

「韓国も日本がかつて経験したような長期経済停滞になるのではないか?」

もうすぐ始まる人口減少

 こんな懸念が強まっている背景には、このところ芳しくない統計発表が続いたこともある。

 消費者物価動向が出た前日の9月2日、統計庁は「世界と韓国の人口の現況および展望」という発表をした。

 韓国の人口は2019年現在で5171万人で2028年には5194万人と、この間はわずかに増加する。しかしその後は減少に転じ、2067年には3919万人になると予想した。1300万人も減る計算だ。

 この間、韓国では急速に少子高齢化が進む。65歳以上の人口構成比は2040年に33.9%から2045年には37%になり世界最高水準になる。

 さらに2067年には、46.5%になる。

 同時に、生産年齢人口構成比は2012年の73.4%をピークに減少に転じているが、2019年72.7%、2040年56.3%、2067年45.4%と急降下するのだ。

 生産年齢人口の減少は急速で、これも「長期経済停滞」への懸念を呼んでいる。

 こうした急速な少子高齢化を緩和できる可能性にも言及している。

「南北統一」だ。

 南北を合わせた場合、生産年齢人口構成比は、2019年72.0%から2067年には51.4%へと減少するがそれでも韓国だけの数字より6ポイント高いという。

経済成長率は1%台に下落か?

 芳しくない統計といえば、8月の消費者物価動向が発表になった9月3日、韓国銀行(中央銀行)は、2019年4~6月期の国民所得(暫定値)を発表した。

 GDP成長率は前期比1.0%で7月に発表した速報値よりも0.1ポイント下方修正した。

 韓国のGDP成長率は、1~3月期に前期比マイナス0.4%となった。このため、4~6月期は1%をかなり超える数字になるとの見方もあったが、1.0%増にとどまった。

 これにより2019年のGDP成長率は2%を下回る水準になるとの見方がさらに強まったきた。

 消費者物価上昇率マイナス転換、少子高齢化、成長率鈍化に加え、輸出低迷、企業業績悪化、株価下落、ウォン安・・・。

「毎日の経済面が暗い内容ばかりで、明るい経済ニュースを探せと記者に指示してもなかなか出てこない」。韓国紙デスクは嘆く。

積極財政で景気てこ入れ

 8月の消費者物価同行が発表になった9月3日、企画財政部と韓国銀行の幹部が「マクロ政策協議会」という緊急会議を開いた。

 この席で、消費者物価がマイナスになったことについて、農水産物や石油価格の下落による一時的な数字だと分析、日本型の長期景気停滞期に入ったとの見方を否定した。

 だが、こうした見方に対して、政府系シンクタンクのKDI(韓国開発研究院)は、9月9日に発表した「経済動向」報告書で、韓国経済全般について「最近、内外需要が萎縮して全般的に不振だ」と述べた。

 政府が、農水産物や石油価格など「供給面」の一時的な事情だと分析するのに対し、「需要減」も原因だとの見方を示した。

 専門家の分析はともかく、政府としては「Dの恐怖」などという物騒な言葉が出ている以上は、何とかこれを打ち消さないといけない。

 といって、妙手があるわけでもなく、結局、「財政頼み」にならざるを得ない。

 政府は、8月末、2020年度の予算規模を2019年比で9.3%増やして513兆5000億ウォン(1円=11ウォン)規模とする方針を決めた。

 予算規模が500兆ウォンを超えるのは初めてだ。雇用対策や少子高齢化に伴う対策費など保健福祉労働関連予算が12.8%増の181兆6000億ウォンに膨れ上がるほか、インフラ整備費用も同12.9%増の22兆3000億ウォンに増える。

 積極財政で、経済を何とか下支えし、2020年4月の総選挙で勝利したいという意欲が強くにじむ予算編成になった。

 日本の事情に詳しいエコノミストはこう話す。

「日本も物価下落と少子高齢化が急速に進み、政府は超積極予算を組んだ。景気回復にはつながらず、財政悪化がどんどん進んでしまった」

「今の韓国も経済が悪化しているのだから、積極財政に乗り出すのは良いが、どこまで効果が上がるのか。日本がたどった道を歩むことだけは避けたいが・・・」

Download-4_20190910110701  もう一つ。韓国で最も懸念が強まっているのが、「不動産」の先行きだ。

 家計負債は1500兆ウォンを超えてしまった。その多くは不動産向けだ。いったいどうやって返済するのか?

 日本型不況を恐れる大きな理由はここにある。

「D(=デフレ)の恐怖」が、韓国を徘徊している。

 30年前、日本もバブルの崩壊とともに一気に低成長に突入しました。生産年齢人口の頭打ちから減少へ、それが一つの原因となり経済政策の失敗も重なって、円高による輸出企業への負荷の増大、株や不動産などの資産価格の暴落を経て、デフレが国内経済を襲い失われた20年の到来へとつながりました。

 韓国も当時の日本によく似ています。しかし少子化のスピードは日本より高く、福祉政策もいまいち、国民は借金にあえいでいる状況は日本より格段に厳しいと言えます。文政権下での経済政策は当時の日本と同様失敗の連続です。

 そして韓国経済は日米の投資や技術協力のおかげという面が大きい。その日本や米国に楯突いて自ら墓穴を掘っている現状では、数年後は地獄に陥るでしょう。まさに自業自得のなせる業です。

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2019年9月10日 (火)

疑惑の法相よりむしろ危ない文在寅の対日「タマネギ政策」

00048093hdk  今回は、曺国(チョ・グク)氏の法務大臣任命を強行した文在寅大統領に関する、田中秀臣氏のコラム『疑惑の法相よりむしろ危ない文在寅の対日「タマネギ政策」』(iRONNA 09/10)を取り上げます。

 韓国の「疑惑のデパート」ともいえる曺国(チョ・グク)前大統領府民情首席秘書官が9日、法相に任命された。この人事は、文在寅(ムン・ジェイン)大統領がマスコミや野党の反対を押し切って強行したと報じられている。

 曺氏をめぐる疑惑は複数あるが、特に注目を浴びている問題が2件ある。一つは、東洋(トンヤン)大で教授を務める曺氏の妻が、娘の釜山(プサン)大大学院入試について不正を行った問題である。

 娘が医学部受験をする際に「娘が東洋大から総長賞を受けた」と、曺氏の妻が受験書類に記入した。ところが、この表彰の事実はない。

 さらに、問題発覚後、曺氏の妻が東洋大の総長に事実隠蔽(いんぺい)を電話で依頼したとされている。韓国の検察は、既に曺氏の妻を私文書偽造の罪で在宅起訴している。

Download-5_20190910113701  もう一つは、曺氏の家族が行った私設ファンドへの投資が不正ではないか、というものだ。このファンドは、家族の投資を受けた後、公共事業で多額の収益を得ている。

 問題の焦点は、曺氏の政治的影響力がどの程度関与しているかにあるようだ。この投資問題については、やはり検察が既に動いていて、私設ファンドの代表らに横領容疑で逮捕状を請求しているという。

 曺氏については、疑惑が次から次へと出てくるので、韓国国内で「タマネギ男」と揶揄(やゆ)されているらしい。でも、本当にただのタマネギならば、むいてもむいても疑惑だけで、最終的には空っぽになってしまうだけだ。

 個人的には、他国のこのようなスキャンダルには、いつもは関心がない。だが、今回ばかりは日本への飛び火を懸念している。

 曺氏の問題をめぐって、韓国国内的には、司法改革を断行したい文政権と検察側とのバトルとして描かれている。文政権の一応の「お題目」は、政権による検察や裁判官などへの政治的介入や癒着の払拭(ふっしょく)であった。

 日本との関連でいえば、いわゆる「元徴用工」問題で、日本企業の責任と賠償を認めた裁判所の判断を最も重要視していることにも表れている。この司法判断を、「三権分立」ゆえに「何もできない」と政治的不介入を主張し、もって日本との国際法上の取り決めや常識を無視していいとする態度を、文政権は採用している。

 要するに、国内向けに「正義」を主張する材料で、日本を利用しているのだろう。「反日」は韓国政治において、簡単な人気取りの手法だからだ。

 反日的な政策は、輸出管理問題を境に大きく沸騰した。日本への露骨な報復措置である「ホワイト国」外しや、国際的な多国間交渉における場違いな日本批判、文大統領自身による度重なる日本批判、そして軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄などは、韓国経済にほとんど影響を与えない輸出管理問題への対応としてはあまりにも過剰である。この過剰に反応する背景は、反日政策が世論受けするからだろう。

 報道の経済学には「悪魔理論」というものがある。世論の支持を受けやすい報道の在り方として、悪魔を政府とし、天使は政府を批判する側にしたうえで、常に悪魔が負けるシナリオが好まれる。韓国の場合では、この通常の悪魔理論に加えて、日本を「悪魔」に仕立てることで、日本を批判する側が「天使」になる構造がそもそも存在しているようだ。

 実際に輸出管理問題が生じてからというもの、そしてGSOMIA破棄に至るまで、文政権の支持率は上昇に転じた。ただし、現在はまだ支持率が不支持率を上回っているが、曺氏の疑惑報道を受けた支持率低下に伴い、不支持率との差はほとんどなくなりつつある。

 ところで、曺氏もまた「反日」的発言をする政治家として知られていた。ジャーナリストの崔碩栄(チェ・スギョン)氏は『週刊文春』の記事で、曺氏が「元徴用工判決を非難するものは『親日派』である」とレッテルを貼ることなどで、韓国民を「反日」に誘導している典型的な人物と評価している。

 文大統領が曺氏の法相任命を強行した動機については、もちろん多様な解釈が可能だ。筆者はその解釈の一つとして、曺氏の法相任命によって支持率がさらに低下しても、「反日」的な政策をてこにして、再浮上することを目論んでいるのではないか、と思っている。

 つまり、任命することの政治的ダメージを、「反日」的な政策でまた補おうとするのではないか。しかも、前者のダメージが大きいほど、後者の「反日」政策もまた大きなインパクトを有するものになるのではないか、という懸念を持っている。

 一つの可能性でしかないが、例えば、来年の東京五輪・パラリンピックに関して、日本側の対応をより国際的な規模の枠組みで批判してくる可能性はないだろうか。

 既に、パラリンピックのメダルが旭日旗に似た「放射光背(ほうしゃこうはい)」であるとして、韓国の大韓障害者体育会が対応を求めていた。また、旭日旗の五輪会場持ち込み問題についても、現状よりも大きな騒動になってしまわないか。

 また、文政権は日本をそれほど重視していないから、日本の保守層が主張するほど「反日」的な政策を採用してはいない、そう見えるだけだ、という主張にも記憶がある。だが、問題を重視していないこと自体が問題なのである。曺氏のタマネギよりも、文政権の対日政策の「空洞(タマネギ政策)」の方がよほど深刻である。

 これに加えて、日本の識者や世論の一部には「韓国政府の政策を批判したら嫌韓である」という理解しがたい風潮が生まれている。この風潮と相まってしまえば、問題のさらなる複雑化は防げそうにない。

 日本ではこれだけ疑惑があれば、と言うよりこの数分の一の疑惑でも閣僚にはできないでしょう。いかに異常な人事かがわかります。それほど文政権に反対の立場の人を徹底的に法で縛りたいのでしょう。

 もう一つ、田中氏が指摘している「韓国政府の政策を批判したら嫌韓である」、という風潮をネガティブに捉えていますが、私は結構なことだと思います。今迄殊の外いいようにやられても、「友好関係を保とう」などとしていた日本の対応を、しっかり国際関係の中での常識対応、つまり「やられたらやり返す」ことにしなければ、今までと同じ「舐められ続ける」ことになります。「反日には、嫌韓、非韓、絶韓で対応」がこれからの日本の対応にしたいものです。

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2019年9月 9日 (月)

似て非なるアメリカと国際連合

130624_87524_2640x360  今回は国連がテーマです。元駐米大使・加藤良三氏の「似て非なるアメリカと国際連合」(正論2019.8.28)を取り上げます。

 日本では国連の通りがよい。五輪とノーベル賞も同様だ。しかしアメリカではだいぶ違う。多くのアメリカ国民は国連の存在を知らないのではなかろうか?

 国連創立の経緯から言えば、第二次大戦中、枢軸国との戦争を終わらせるという意味での「平和目的」で、当時の米英中心の連合国側によって構想された組織である。従って53条、107条の枢軸国に対する「敵国条項」が残っている。しかし、時代の変遷によって、これは死文化し、1995年、露中を含む賛成国多数で次回憲章改正の際、削除されることが決まっている。

 ≪安保理決定が加盟国拘束≫

 構想段階では戦争終了後、米、英、ソ連、中華民国の4者が警察官となって平和を守るという発想だった。その後フランスが加わった5常任理事国の安保理が出来上がった。

 そこには国際社会の一体化、組織化を追求する理想や理念も確かにあった。国際連盟がうまく機能しなかったことへの反省から「正戦」という概念は無くなり、およそ「武力行使は違法」となった。

 それまで絶対であった国家の主権も制限を受けることになり、安保理の決定が加盟国を法的に拘束するという条項(25条)が設けられた。国際法、国際組織法の観点からは画期的なことといえる。

 しかし、およそ組織は規模が大きくなるほど機関決定の「正当性」は増すが、適時的確に決定に至る「実効性」は低下する。193の国連加盟国数に照らせば、憲章下の実質的最高決定機関である安保理のメンバー数を15(常任5+非常任10)に絞る規模感は組織論的には妥当だったと思われる。

 国連創設に当たり国連(United Nations)の構造モデルとしてアメリカ(United States)が当時のルーズベルト米大統領やチャーチル英首相の念頭にあったことを明示する資料は見当たらないようだ。

 それでもアメリカと国連が構造的に似ているところはあるような気もする。例えば、アメリカでの基本単位は州(国連では加盟国に当たる)であり、州には高度の自立性がある。連邦憲法で列挙された国防、条約締結、一部の税、貨幣鋳造など一定の事項以外の権限は全て州にある。教育に関する権限を連邦は持たない。教育は国(連邦)に任せるなという民意がアメリカにはあるようだ。死刑の有無も各州の判断に委ねられている。

 軍になるとアメリカの州は独自の軍隊を有する。さらに「ミリシア」(義勇軍)がある。これらは国家の有事の際、動員されて連邦軍に組み込まれる。一方、国連軍は、独自の常備軍が存在するのではなく、いざというときに加盟国が提供する軍の寄せ集めである。

 ≪民主性に欠ける安保理≫

 ただ組織論から見て国連とアメリカが決定的に違う点がある。制度次元の「民主性」である。

 前述したとおり、国連の最高決定機関である安保理の規模感(常任、非常任理事国合わせて15)は組織の実効性担保の上で妥当と思われるが、米英仏ソ中の5カ国を常任(つまり終身。非常任理事国は2年ごとの選挙にさらされる)とし、「拒否権」を付与した。

 これは民主主義的制度と相いれない。実際、そのつけは巨大であった。5カ国の間に共通の価値観があればともかく、発足直後から米英仏とソは水と油であり、71年に中華民国が中華人民共和国に入れ替わってからは米英仏対ソ中の3対2に色分けされた。

 これでは大事の時に国連が機能するはずがなかった。自由民主主義側が犯した取り返しのつかない戦略的誤りであり、国際安全保障の根幹にかかる国連の実効性は当てにならないままである。

 今日の国際情勢に照らして、米英仏露中だけが世界を代表して規格外の特権を享受する資格のある5カ国と誰が信じるだろうか?

 アメリカはそれ自体が国際社会の縮図といえる国柄である。何だかんだといわれるが民主主義が健全に機能している代表国である。近年ではイラク戦争の折などにアメリカの「ユニラテラリズム」(単独行動主義)が批判を呼んだ。しかし、時に行き過ぎがあるかもしれないが、危急の時に「能動的単独行動主義」を取る国と構造的要因のために「受動的」多数国間主義(マルチラテラリズム)、すなわち、「拱手傍観(きょうしゅぼうかん)」に陥らざるを得ない組織のいずれを恃(たの)むのか。答えはおのずと明らかだろう。

 ≪緊迫下で姿見えぬ国連≫

 今、日米同盟の信頼性、実効性を維持し強化するのは、基本的価値観の観点からも投資効率の観点からも最も妥当で合理的な選択だろう。日本国民は言わず語らず、そこをのみ込んでいると思うが、昨今の緊迫を増す国際情勢の下で国連の姿が見えないのはどうしたことだろう?

 近年国際社会のより高度な組織化、一体化を目指すはずの国連の理念とは逆に世界は宗教的信条、非理性的感性と行動が幅を利かせる中世的世界に先祖返りしようというのだろうか。

 加藤氏は国連とアメリカを対比させ、類似点と相違点を述べていますが、アメリカにおける州と、国連における加盟国の関係は似て非なるものでしかありません。国連の機構の説明にはこの比較は有効でも、そもそも比較対象とするのは無理でしょう。

 それより日本にとって国連と言う存在は国益にかなうものかという視点で考える必要があります。まず安全保障面に関して言えば、安保理常任理事国の存在とその拒否権保有という仕組みがあり、それはまったく民主的な仕組みではなく、そのため世界の安全保障にほとんど寄与していないという現実があり、加藤氏の指摘の通り、日米同盟のほうがより日本にとっては有効であること。

 さらにこのコラムでは触れていませんが人権理事会などの下部組織が、一部の国にその委員長や委員のポストを握られ、またはその委員会等で一部の国の意見のごり押し等が行われている等、民主的な運営とは程遠い実態があり、時に日本がその非難の対象にされることが多い点も指摘されています。

 私は多くの日本人が「国連中心主義」的考えを持ち、国連に期待していて、多くの分担金を受けもっている現実があるように思いますが、加藤氏の指摘のように国連の真の実態をつぶさに見れば、日本の国益にプラスになることは少ないと思わざるを得ません。もう一度国益に照らしてみて国連にどう対応していくのがベストか、考えてみる必要がありそうです。

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2019年9月 8日 (日)

旭日旗で自傷行為に走る韓国人のなぜ

Img_2b9ef3b99bf9c4cd54224c5d7674daf61042  今回は韓国人アン・ヨンヒ氏のコラム「旭日旗で自傷行為に走る韓国人のなぜ」 (JBpress9/3)を紹介します。韓国人の異常さがよく理解できます。

 韓国は日本をホワイトリストから排除し、日韓のGSOMIA(軍事情報に関する包括的保全協定)は破棄した。

 日本が韓国をホワイトリストから排除する決定をしてから、ずっと韓国では日本製品不買運動が続いている。

 韓国人は日本を好きになってはいけないという考え方に洗脳されているかのように行動している人たちが増えている。

 これまでは日本について考えもしなかった人たちが、にわかに日本嫌いになり日本製品を目の敵にし始めた。

 これまでも心の奥底に日本が嫌いな要素があって、それがホワイトリスト除外というニュースをきっかけに一気に噴き出たのかもしれない。

 最近、韓国では日常会話の中に政治の話が入り、日本はどうだとかという話になると、好き嫌いが克明に表れる。

 韓国の時計の針は今逆戻りしている。

 文在寅大統領は、ともすると李舜臣将軍の話を持ち出すし、若者たちは「独立運動はできなかったけれど不買運動はできる」と、今の日本製品不買運動を独立運動に見立てている。

 李舜臣将軍は朝鮮時代の英雄で、豊臣秀吉が朝鮮出兵したときに朝鮮側を勝利に導いた人物だ。韓国の光化門に刀を差して立っている銅像の人物である。

 もちろん、日本の植民地時代を経験したのでそれを考えるとどうしても日本を許せなくなる気持ちは分かる。

 しかし、反日不買運動によって被害を被っているのは日本政府ではなく、韓国人である。これは誰が見ても明らかなのに反日感情のせいでタブー視されている。

 批判や指摘を受け入れられず、そういうことを指摘する韓国人に対して、土着倭寇とか、お前は日本人か、日本へ帰れ、親日派、売国奴と罵る。

 さて、今回テーマにしているのは、旭日旗である。

 正直、韓国人には「旭日昇天旗」といって馴染みのある言葉であるが、日本の若者はこの言葉を聞いた人はどれだけいるのだろう。

 とにかく、現在韓国は旭日旗というと毛嫌いする。日本が軍国主義に戻ったと思ってしまうからだ。

 安倍晋三政権を嫌うのも平和憲法を変えて戦争ができる国にしようとしているからだ。

 韓国の与党・共に民主党は先日、釜山にある国連軍参戦記念塔を非難した。

 ここは、1950年から1953年までの朝鮮戦争で犠牲になった国連軍を記念するために作られた造形物である。

 共に民主党が問題にしたのは、その記念物の中の梁の部分が旭日旗に似ているということだった。

 共に民主党の釜山地域委員会は、「偶然というには旭日旗に酷似している」とし、真相を徹底して調べて撤去すべきだと主張。

 建物を上空から見ると「似ていなくもない」。だけど、そんなこと言ったら、こんな形はいくらでもある形ではないか。それに、これは日本の植民地時代に作られたものでもなく、国連軍に感謝して建てられた造形物なのだ。

 特に、文在寅政権になってからこうした非常識な世論がまかり通るようになって、特に「反日=愛国」という公式が成り立つ雰囲気になっているので、さらに深刻になっている。

 ある韓国女優がロシア旅行に行ってサーカスのフォトゾーンで写真を撮ったところ、それを見た人たちが旭日旗が連想されると炎上した。親日派だと罵倒された。

 一生懸命弁明したが、SNSであまりにも炎上してしまったので、当の写真は削除された。

 また、韓国で活躍するフランス人ユーチューバーは円形にストライプ模様が入ったTシャツを着たというだけで旭日旗の模様を着ていると罵られ、結局該当の動画は削除し、読者たちには謝罪した。

 写真を見ると、ストライプは赤でもなく緑だったのにだ。

 清州市庁の本館の天井の構造物が旭日旗を連想させると炎上したこともあった。幸い建物を取り壊すことはなかったが、こうしたことで揉めるということ自体が狂っているのではないか。

Imageasset  ディズニー映画「ダンボ」が公開された時、映画のポスターも問題になった。

 ダンボが飛んでいる後ろの背景の模様が旭日旗の模様にそっくりだったからだ。

 かのナッツ姫で有名な大韓航空を所有する韓進グループのチョ・ウォンテ(ナッツ姫の実兄)会長のインタビュー写真も炎上した。

 航空機のエンジンの前でインタビュー写真を撮ったのだが、これを旭日旗だという人たちがいたのだ。

 コンビニのGS25のコンビニ弁当についてるシールも旭日旗模様だと炎上し、デザインを変更させたこともある。

 また、済州島の橋梁の造形物が問題となった。

 済州島には小さな丘が多く、そこから日が昇る時にもれる朝日を描写しただけなのに、それが旭日旗を連想させると炎上した。

 韓国内だけならまだしも、米国のロサンゼルスにある公立高校の外壁に描かれた絵が旭日旗を連想させると非難する人たちもいた。

 マクドナルドのハッピーミルおもちゃセットでスヌーピーの落下傘が旭日旗の模様だとし、マクドナルド不買運動の話が出たりもした。

 第2次世界大戦の時、日本の陸海軍が使っていたのが、旭日旗である。1954年以降は陸上自衛隊と海上自衛隊の旗として使用している。これだけでも日本人は過去を反省していないという。

 実際、昨年10月韓国が主催した国際観艦式に海上自衛隊による旭日旗の掲揚を自粛するよう求め、日本が応じず不参加したこともある。

 だから、韓国ではこうした模様の入ったTシャツを着て街を闊歩したりすることをタブー視する。

 それが行き過ぎて、旭日旗に似た朝日マークを見るだけで集団ヒステリーを引き起こす韓国人がいることは確かだ。

 しかし、いつも言っていることだが、それがニュースで大きく取り上げられるからと言って、韓国人全員に同じ傾向があるわけではない点を強調しておきたい。

 韓国人全員に同じ傾向があるわけではないのは分かりますが、少なくともかなりの韓国人が、こうした異常な反応を示すのは間違いありません。仮に他国の軍旗に嫌悪感を感じても、それを傷つけたり焼いたり、挙句の果てには他国にある旭日旗に似た肖像に文句をつけると言うに至っては、半ば狂っているとしか思えません。

 こうした韓国人はフィクションに基づいた史実とは異なる歴史観によって作られた、いわゆる洗脳された人たちでしょう。戦前実際に日本軍に直接ひどい目にあったという経験者ではない、そうした環境を全く知らない人たちが、戦犯旗、戦犯旗と騒いでいるのは、まさに作られた感情です。とても相手にできません。

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2019年9月 7日 (土)

核兵器「作る能力」だけは持て

Img_0_m  今回は核兵器に関するテーマです。正確に言えば作る能力に関してですが、防衛大学校名誉教授の佐瀬昌盛氏にコラム『核兵器「作る能力」だけは持て』(正論)を取り上げます。

 トランプ米大統領は昨年10月20日、旧ソ連との間で1987年に締結されたINF(中距離核戦力)全廃条約からの離脱方針を表明していたが、今月2日にそれが実行された。

 憂鬱な季節が再来する。

 ≪苦しんだ当時の西ドイツ≫

 INF全廃条約が結ばれたのは87年12月だが、最も困難な立場に苦しんだのは当時の西ドイツである。第二次大戦後にドイツは東西に分断され、それぞれが対立する軍事同盟(北大西洋条約機構<NATO>、ワルシャワ条約機構)に属しそれぞれに米国、ソ連の中距離核が配備されていたからだ。

 東にはソ連の中距離核SS3が、西には米国の中距離弾道核パーシングIIや、地上発射式巡航ミサイルのトマホークが配備されていた。

 これに心を痛めたシュミット西独首相はNATOに働きかけ、「二重決議」の生みの親となる。一方でワ条約機構に核軍縮を呼びかけ、他方で東側の軍縮意欲を刺激するため、西側に米国の中距離、準中距離弾道核を配備するとの計画である。

 米ソ交渉は難渋を極めた。が、西ドイツは苦しみ甲斐(がい)があった。というのも、ソ連の中距離核・SS20の射程は最短で2700キロ、最長で5000キロとみられていたが(英国国際戦略研「ミリタリー・バランス」1980/81年版)、かりにSS20がソ連西端のミンスクに配備されると、西ドイツのミュンヘンには容易に到達するはずだったからである。

Download-3_20190903184601  今日の問題に立ち戻る。米国がINF全廃条約から離脱した前日、トランプ大統領は声明を発し、「(ロシアによる)条約違反は相応の結果を伴わなければならない。ほぼ6年間の外交交渉と30回以上の会談を重ねて、INF全廃条約を受け入れるよう説得したがそれは不可能であった。もういい」と述べている。

 他方、ロシアのプーチン大統領は8月5日声明で、INF全廃条約が消滅した結果、「万人にとって根源的な危険」が生じていると語っている。必要なのは、国際安全保障政策における「コモンセンス」だというわけで、米露両国間に一致が生まれないなら、軍拡競争が再開されるだろうという。

 要するに、米露首脳間で雪解けが始まる気配は、当分、ない。

 ≪ロシア、中国、北朝鮮の動向≫

 INF全廃条約はその第2条5項で、中距離ミサイルとはその射程が「1000キロメートルを超えるが、5500キロメートルを超えない」地上発射弾道ミサイルと規定している。

 現在、中距離弾道ミサイル保有国は英国、イスラエル、イラン、インド、北朝鮮、ロシア、中国、パキスタン、フランスの9カ国である。このうち、INF全廃条約誕生以前に中距離ミサイルを持っていたのは、英国、ロシア(ソ連)、中国、北朝鮮、フランスの5カ国である。

 日米間には日米安保条約があり、英仏はG7(先進7カ国)首脳会議でわが国と同席する。ロシアはG8時代にはそのメンバーであったが、2014年以降は参加資格を停止されている。とすればロシア、中国、北朝鮮の3カ国はわが国にとっての同盟国ではない。だから、わが国はこの3カ国に対しては、安全保障政策上、特段の注意を払う必要がある。

 これまでのところ、最も新しい「防衛白書」(平成30年版)には「北朝鮮の核・ミサイルに対する認識」として、「北朝鮮が核・ミサイルの廃棄に向けて具体的にどのような行動をとるのかをしっかり見極めていく必要」が強調されている。当然のことだ。

 ≪極東配備ならわが国に到達≫

 中国については、「従来から、具体的な装備の保有状況、…国防予算の内訳の詳細などについて明らかにしていない」し、その「公表国防費は、1989年度から毎年速いペースで増加しており、…1989年度から30年間で約51倍、2008年度から10年間で約2・7倍となっている」とある。

 中距離ミサイルについてはどうか。同じく平成30年版「防衛白書」には、北朝鮮の保有する「スカッドERは、…射程は約1000キロに達するとみられており、わが国の一部がその射程内に入るとみられる」とあり、同じくノドンについては「射程約1300キロに達するとみられており、わが国のほぼ全域がその射程内に入るとみられる」(傍点筆者)とある。

 中国についても、「わが国を含むアジア太平洋地域を射程に収めるIRBM/MRBM(中距離/準中距離弾道ミサイル)…は、通常・核両方の弾頭を搭載することが可能」だと書かれている。

 ロシアについてはストルテンベルグNATO事務総長が8月7日、新型中距離ミサイル・SSC8の配備がINF全廃条約違反と断定、「これは世界の安全を損なう」と批判した。中距離ミサイルである以上、極東に配備されれば、わが国にも到達する。

 核兵器を「作らず、持たず、持ち込ませず」、でいいか。「作らず」とも、「作る能力」だけは持つべきだろう。私の持論である。

 私も佐瀬氏の意見に賛同します。核保有国そして弾道ミサイル保有国に西側全面を囲まれた日本が丸腰では、いかにも心もとない。いくら日米同盟のもと、米軍の核に頼る、いわゆる核の傘についても、当然のことながら日本の管理下にはありません。国の安全保障の根幹的な部分を他国に頼るなどと言うことは、独立国として如何なものでしょうか。

 このブログで再三申し上げていますが、国の外交交渉力は経済力より軍事力のほうが遥かに強力です。ロシアや北朝鮮を見れば一目瞭然です。逆に憲法の制約もあり、軍事力の後ろ盾が弱い日本は、常に他国から舐められ強請られタカラれてきているではありませんか。

 まずは非核三原則を撤廃し、核の保有の議論を始めるべきです。そしてそのためには佐藤氏の主張するように作る能力の保持に向けてスタートを切りたいものです。

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2019年9月 6日 (金)

韓国・文在寅政権の「軌道修正」に、日本が乗ってはいけない理由


  今回は長谷川幸洋氏の『韓国・文在寅政権の「軌道修正」に、日本が乗ってはいけない理由』(現代ビジネス)を取り上げます。

   反日で突っ走る韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権が、日本にすり寄ってきた。日本の輸出管理強化と韓国の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄をセットで見直す案を出してきたのだ。もちろん、日本がこれに応じる必要はない。

文在寅政権は、もうアメリカに「見放されてしまった」可能性

 文政権は、よほど動揺しているようだ。訪韓した河村建夫・元官房長官(日韓議員連盟幹事長)に対して、李洛淵(イ・ナギョン)首相は「輸出管理強化とGSOMIA破棄をセットで解決したい」という考えを示した。

 日本が韓国に対する輸出管理を元の仕組みに戻せば、韓国も日本とのGSOMIA破棄を見直す、という提案である。中身はともかく、これまでの強硬路線を修正するような発言が文政権の首脳から出たのは、初めてである。

 これに対して、安倍晋三首相は9月3日、根本にある「いわゆる元徴用工問題」の解決が最優先として、応じない考えを示した。

 日本が輸出管理を強化したのは、韓国の不適切な管理が理由で、安全保障上の懸念があるためだ。韓国側の発表でも、4年間に156件もの不適切事例が見つかっている(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/66554)。一方、GSOMIAは北朝鮮の脅威を念頭にした防衛協力の枠組みである。

 この2つの問題は直接、関係がない。ただ、親北容共の文政権とすれば、ともに「北朝鮮を敵視するのは許せない」という話になるのだろう。日本から見れば、どちらも「文政権は信頼できない」という話にほかならない。

 したがって、安倍首相が文政権に対して「まずは徴用工問題を解決してくれ」と求めたのは、当然である。徴用工に関する韓国の最高裁判決は、1965年の日韓請求権協定を無視している。韓国が国と国の約束を守らない現状では、信頼関係の根幹が崩れており、何を議論したところで、まともな話はできないからだ。

 そうだとしても、今回の提案は文政権が現状打開を模索し始めた兆候かもしれない。いくら反日運動を盛り上げても、韓国経済への打撃が和らぐわけではない。GSOMIA破棄は、米国のトランプ政権を本気で怒らせてしまった。このままでは国が立ち行かない、とみたのではないか。

 そこで、なんとか面子を保ちながら、日本との関係を修復して、米国の怒りもなだめたい。そんな思惑がにじみ出ている。文政権の「軌道修正」をどう見るか。ここでは、細かい現状分析をひとまず措いて、歴史的な観点から評価してみよう。

歴史にみる「朝鮮半島のサバイバル」

 結論から言えば、文政権が軌道修正を図ったとしても、不思議ではない。彼らは自分たちの都合が悪くなれば、いつだって豹変する。

 朝鮮半島の人々はもともと主体性がなく、その時々で他国を都合よく利用して、生き延びてきた。苦境に追い込まれると、日本や中国、米国、ロシアといった周辺の大国を巻き込むことで、サバイバルしてきたのである。

 本来、民族の独立を大切にして、自国の文化と歴史にプライドを持つ普通の国であれば、他国の干渉はできるだけ排し、自分たちの力で国を守り、発展を目指すのが当然である。ところが、朝鮮半島は歴史的にそうではなかった。

 いくつか、例を挙げよう。以下の歴史的記述は、主に評論家の石平氏が著した『韓民族こそ歴史の加害者である』(飛鳥新社、2016年)に基づいている。

 古くは、日本が戦闘に巻き込まれた663年の「白村江の戦い」がそうだった。当時の朝鮮半島は百済と新羅、高句麗という3つの国に分かれて、互いに領土拡張を目指し、激しい勢力争いを繰り返していた。

 そんな中、百済との戦いに負けた新羅は捲土重来を期して、隣の大国である唐を味方にする策謀を考えた。これに成功して唐の支援を得ると、唐・新羅連合軍は660年、さっそく攻撃を開始して、百済を滅ぼしてしまった。

 ところが、残った百済の遺民たちは国の再興を期して、海を隔てた日本に支援を求めた。当時の大和朝廷はこれを受け入れ、3度にわたって計42000人もの大軍を朝鮮半島に派兵した。だが、唐・新羅連合軍には勝てず、大敗を喫してしまった。これが、白村江の戦いである。

 なぜ、大和朝廷は国が滅亡した後に百済の遺民を支援したのか。そこは歴史の謎だ。だが、ここで重要なのは、新羅も百済もそれぞれ異民族の中国と日本に支援を求めて、ライバルを蹴落とそうとした点である。相手は同じ朝鮮民族なのに、他民族の力を借りて、やっつけようとしたのである。

 唐の支援を得るために、新羅は唐に「絶対の忠誠」を誓っている。もともと中国に朝貢する冊封国だったが、官僚の制服から暦まで中国のものを採用したくらいだ。自分たちを「小さな中国」とみなして誇る「小中華」という言葉もある。他国を利用するためには、プライドも何もかも捨てるのは、古来から朝鮮伝統の芸風である。

 1274年と1281年の2度にわたる「元寇」では、朝鮮が中国の属国として軍事侵攻に協力した。朝鮮王朝である高麗は、高麗軍を編成して元軍とともに侵攻した。対馬や壱岐島では、武士だけでなく、非戦闘員の農民を含めて多くの日本人が虐殺された。

 これについて、石平氏は「日本軍の『戦争犯罪』を厳しく追及している韓国政府と韓国人は自分たちの祖先が実行した虐殺と戦争犯罪に対して、かつて一度でも反省したことがあるか。…謝ったことがあるだろうか。もちろん皆無である」と指摘している(前掲書、106ページ)。

 2度目の侵攻は、高麗王朝内の政争で、宗主国であるモンゴルへの不忠を疑われた王が自分への信頼を取り戻すために、モンゴル皇帝のフビライに日本への再侵攻を促した結果だった。自分が生き延びるために、日本攻撃をそそのかしたのである。

生き残るための「常套手段」

 1894年の日清戦争は、どうだったか。

 日本と清が対立するきっかけになったのは、1882年の壬午(じんご)軍乱だった。朝鮮内部での政争で親清派がライバルを倒すために、清に軍事介入を要請し、政権奪取に成功した。清は政変が収まった後も、朝鮮に部隊を駐留させて影響力を行使した。

 84年になると、今度は反清・反政府の勢力が、邦人保護を名目に駐留していた日本兵の協力を得て、クーデターを決行した。これが「甲申(こうしん)政変」である。これで朝鮮半島における影響力をめぐって、日本と清の対立が深まっていった。

 そこへ94年に起きたのが「東学党の乱」だった。「東学」という新興宗教の信者である農民が反乱を起こして、全羅道という地方を制圧した反乱である。

 朝鮮政府は鎮圧するために、清に出兵を頼んだ。清は要請に応じて出兵し、反乱を鎮圧した。ここでも中国頼みだった。すると、日本も邦人保護を理由に出兵した。日本は朝鮮半島における清の勢力拡大を警戒していたので、絶好のチャンスと捉えて出兵し、農民の反乱が収まった後も居残った。

 日本は朝鮮に内政改革を要求し、応じないとみるや、朝鮮政府内の親清派勢力を一掃する。それで、清との対立が決定的になり、日清戦争に発展した。先に見たように、対立のきっかけは、親清であれ反清であれ、朝鮮が清や日本に介入を求めたからだった。

 歴史を振り返ると、朝鮮という国は何度も他国を頼り、ときには他国の力を借りて自国のライバルや別の国を攻撃し、自らの生き残りを図ってきた。

 石平氏は「古代から現代まで長い歴史の中で、半島内で紛争や覇権争いが起きるたびに、外国勢を自分たちの内紛に巻き込んで、散々に利用するのは、半島国家が多用する常套手段であり、韓民族の不変の習性」と書いている(前掲書、9ページ)。

 さて、そうだとすれば、いまの文政権の行動もよく分かる。

 そもそも、反日運動は「自分たちの生き残りのため」なのだ。さすがに、いまの時代に武力は使えないから、代わりに悪口をあちこちで言い募って、政権の求心力維持を図る。韓国お得意の「告げ口外交」は、いまに始まった話ではなく、古代からそうだった。

「巻き込み戦略」に応じてはならない

 普通の国は「自国の平和と繁栄のために、自分たちが何をすべきか」と考える。ところが、韓国はそうでなく「自国の平和と繁栄、生き残りのために、他国をどう利用するか」と考えるのだ。実に特異な国である。その表れが、現段階では反日運動にほかならない。

 それが行き過ぎると、しっぺ返しに遭う。日本の輸出管理強化は、まさにそれだ。韓国は日本と親密な経済関係を築いたからこそ発展してきたのに、反日運動を盛り上げて、日本を失いかけている。日本は韓国から遠ざかろうとしている。

 すると、韓国はGSOMIAを破棄した。これは韓国伝統の「他国を巻き込む戦略」から見れば、間違いだった、と言えるだろう。日本を上手に利用するには、日本との関係を維持しておかなければならなかったはずだ。

 たとえば、ミサイル発射のような北朝鮮の重大情報をつかめなくても、GSOMIAを破棄した韓国は日本のせいにできなくなってしまうのだ。

 GSOMIA破棄は米国も怒らせ、自分たちの墓穴を掘る結果になってしまった。そうと気づいて、あわてて輸出管理強化とGSOMIA破棄の見直しを言い出した。それが、いまの局面である。

 輸出管理強化とGSOMIA破棄はまさに、韓国と日本が関係を薄めていく方向を向いている。そうであるとすれば、韓国には間違いであっても、日本には、それこそが望ましい。韓国が日本を利用しようにも、そうはいかなくなるからだ。

 そこに気付いたからこそ、文政権は見直しを言い出したのかもしれない。「生き残るためには他国を利用する」という自分たちの「DNAに染み付いた伝統芸」を記憶の彼方から思い出して「対日関係を薄めるのではなく、逆に深める必要がある」と気付いた可能性がある。

 そうであれば、なおさら日本はその手に乗ってはならない。

 韓国の反日運動は「日本を巻き込む戦略」の裏返しにすぎない。悪口を言って、自分が有利になろうとするのだ。そんな反日運動を、日本が心配する必要はまったくない。逆に、親日運動が起きたところで、日本が感謝する必要もさらさらない。

 韓国は歴史的に日本に支援を求めたことも、逆に攻撃したこともある。いま文政権の韓国に近寄って、ろくなことはない。ここは、安倍政権がそうしているように、無視するのが一番である。

  日本も長谷川氏の言うように無視するのが一番。こと有る毎に言いがかりをつけ自己を正当化し相手を罵倒する国とは関わらないことが一番。非韓三原則、教えない、助けない、関わらないことが、今こそもっとも必要な対応です。

 

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2019年9月 5日 (木)

韓国社会「嘘は種族を結束させるトーテムみたいなもの」

 今回はシンシアリー氏のブログ「嘘は種族を結束させるトーテムみたいなもの」を紹介します。韓国出身の氏による韓国内部に潜む反日思想の赤裸々な実態が綴られています。

 本ブログでも、映画や小説、ドラマがある種の「証拠」として韓国の反日思想を支える柱になっていることを、指摘してきました。特に映画は1000万人以上の観客を動員することもあり、その影響力は凄いとしか言いようがありません。

 映画も小説も、そのストーリー展開に説得力をもたせるために、著者にとって科学や歴史などの知識が必要になることもあります。でも、フィクションはフィクション。物語のためにある程度の知識が必要であるだけです。それが、歴史の証拠や根拠にはなれません。

 しかし、韓国ではそれらのフィクションが証拠となります。「反日種族主義」のイ・ヨンフン教授は、「人の感情を刺激できる文学作品こそが反日種族主義を頂点まで引っ張り上げる」と指摘しています。そういう嘘が、まるでシャーマニズムでいうトーテムのような役割を果たす、というのです。

 本エントリーのソース記事では、イ・ヨンフン教授は「アリラン」の問題を指摘しています。韓国で350万部以上売れた小説で、作家チョ・ジョンレ氏は「民族統一のために植民地時代を直視した」とし、これを歴史小説だとしていますが・・その内容は、ありもしない「朝鮮人虐殺」などが入っています。

<「反日種族主義」を書いたイ・ヨンフン前ソウル大経済学科教授は、本のタイトルに民族ではなく種族という言葉を用いた。韓国の長い歴史の中で避けて通れない価値が、物質と肉体を中心としたシャーマニズムだと見たからである。

彼は「種族は、隣人を悪の種族と感覚する、客観的論評が許されない不変の敵対感情だ」、「嘘は種族を結束するトーテムの役割を果たし、独立した個人の意味である民族と区別された、種族はそれ自体で一つの集団」と定義した。

一例として、過去50年間、私たちは、教科書にて、全国の土地の40%が総督府に収奪されたと学んだが、この数値を証明できるのか、記録があるのかとイ前教授は問う。最初に誰かがその数値を作り出し、伝承され、相手への漠然​​とした否定的な感情を増幅させることで種族注意を実現するというのが彼の主張だ。

著者は、人の感情を揺るがす文学こそが、反日種族主義を頂点にまで上げた分水嶺だと指摘し、代表的な操作の歴史小説として350万部以上が売れたチョジョンレ氏の「アリラン」を挙げた・・>

 「アリラン」は日本を絶対悪として書いており、軍が朝鮮人労働者4000人を一気に殺すなど、大規模の虐殺シーンも2ヶ所出てくるものの、「歴史小説と言いながらも最小限の事実にも基づいていない」ものであると、イ・ヨンフン教授は主張します。

 アリランの作家チョ・ジョンレ氏は、マネートゥデイ(ソース記事)との電話通話で「あの著者(イ・ヨンフン氏)とは何も話したくない」「売国奴とは何も話さない」と話しました。

 「バカバカしい」と思われるでしょうけど、実際にそういう社会で10年20年と暮らしてみると、バカバカしいとか良いとか悪いとかそんなことより、「疲れる」と思うようになります。社会の様々な側面にウリとナムがあり、この「種族主義」に似た力が、かならず何かの形で作用しているからです。

 こうした韓国社会で疲れ切ったシンシアリー氏は日本に安住の地を求め、韓国人から見た韓国の異常さを、書籍(日本に来る前からの著書も多い)にし、ブログにして発信しています。これもその一つで、韓国人はフィクションであろうがそれを事実として信じてしまう習癖のようなものを述べています。

 ですから併合時代の歴史も「日本が悪」と言う前提で作り上げたフィクションを、教育の場で、イベントの場で、映画や演劇の場で、繰り返し叩き込まれた結果、多くの人がそれが真実と思い込んでしまっている。ですから反日の芽が少しでも芽吹けば、一気に狂ったような反日行動を取るのでしょう。

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2019年9月 4日 (水)

あおり運転暴行、自らハマった「囚人のジレンマ」

Images-9  今回は政治から少し離れて、最近特にメディアを騒がせているあおり運転についてのコラム、上武大学ビジネス情報学部教授田中秀臣氏の『あおり運転暴行、自らハマった「囚人のジレンマ」』を取り上げます。

 お盆休みの日本列島の注目を集めた事件は、茨城県の常磐自動車道で起きた「あおり運転暴行事件」だろう。若い男性が運転する乗用車に対して、白いSUV(スポーツタイプ多目的車)タイプの高級外車が過剰なあおり運転を繰り返したドライブレコーダーの映像が、SNS(会員制交流サイト)などで拡散した。

 しまいには、男性の車の前に入るなどして停止させたそのSUVから男女2人が出てきて、中年の男の方が、若い男性に暴行を加えた。その一部始終は録画され、その日のニュースやインターネットで大きな反響を招いた。

 あおり運転のうえに暴行した中年の男は数日後、傷害の疑いで全国に指名手配され、やがて大阪市内で逮捕された。この逮捕時の様子も近くの住民によって動画で収録されて、SNSやテレビなどで多くの国民が目にすることになった。

 筆者も仕事で高速道路を利用することがよくある。自分で運転する場合もあるが、ラジオやテレビに出演するときは、タクシーに身を任せることも多い。

 日常的に高速で運転していると気が付くことは、普段はあおり運転をあまり経験しないことだ。無茶な運転をする人はそれほどおらず、特に平日は日ごろ高速を利用している人が多いのか、流れがスムーズで、互いに無理をしない印象が強い。

 今までも高速で運転していて、幅寄せや急激なブレーキ、パッシングなどを受けることは、それほど多くはなかった。単に運がいいだけなのかもしれないが、日本の実態調査を確認すると、高速で起きているあおり運転は全体の1割ほどで、それほど多くない。このような個人的経験もあって、今回の事件は極めて衝撃的だった。

 警視庁交通局交通指導課の矢武陽子氏が、ここ最近のあおり運転を統計的にまとめている(「日本におけるあおり運転の事例調査」2019年)。この調査は限られた期間と事例ではあったが、いくつか興味深い点が見て取れる。

 まず、あおり運転の加害者は、同調査の対象期間中は全て男性であり、被害者もまた大半が男性であった。加害者の年齢では、30代が最も多く、50代にも2番目のピークが存在する。被害者は40代が最も多い。

 この調査で興味深いのは、経済的な階層分析に近い視点があることだ。被害者と加害者の車種や車の価格による分類をしている。

 その分類によると、加害者の40%が500万円以上の四輪車に乗っていたことだ(2番目に多いのは200万円以上499万円までの四輪車で29%)。一方被害者は、高級車両(500万円以上の四輪車)はわずか10%で、調査対象の中で最もウエートが低い。

 被害者の車種で一番多かったのが、200万円から499万円までの四輪車で40%、次いで200万円未満の四輪車が35%となり、合わせて8割近くになる。トラックは被害、加害両方ともに1割程度である。

 つまり、中高年の高級車を運転している男性が、中年の比較的安い車に乗っている多くの場合は男性をあおっているということが、この調査からイメージとして浮かび上がる。今後、この典型例が正しいかどうか、より緻密で包括的な調査が行われることを期待したい。

 あおり運転の発生しやすい時間について、ドイツなどの研究では、車が集中する通勤時間帯だという。ただし日本の上記調査だと、時間帯・曜日では目立った違いがない。

 あおり運転が発生するメカニズムは、「怒り」だという。「路上の激怒=ロードレイジ」と専門的には名付けられている。

 このロードレイジが発生するメカニズムは、道路という公共空間と運転手が互いに閉ざされている匿名性の高い空間にいることが、環境的要因として重要視されている。この場合、交通心理学や社会心理学からの視点は、それぞれの専門家の考察を参考にすべきだ。

 特に、道幅の広い公共道路では多くの人が参入する。交通心理学では、このとき多くの人との交流が突然に発生することで、対人行動が攻撃的なものになりやすいという。いわば、過剰警戒しているのである。

 また、車の中にいるために、互いがコミュニケーションを取りにくい状況にある。例えば、道を譲ってくれたときには、譲られた車が軽くクラクションを鳴らしたり、ハザードランプをつけたりして、相手に「あいさつ」することがあるだろう。

 だが、この軽いクラクションやハザードさえも、ひょっとしたら相手には違うメッセージを伝えている可能性がある。あるいは、譲られた車がその「習慣」を知らなかったために、「せっかく道を譲ったのになんのあいさつもない」と不満に思うこともあるかもしれない。

 実際、コミュニケーションが十分に取れないときに、対人関係で最適な行動をすることは非常に難しい。経済学で「囚人のジレンマ」といわれる状況がそれにあたる。共同で犯罪を行った者たちが全く連絡を取ることができない取調室に入れられたときに発生する事例である。

 警察は、おのおのの共犯者に「お前だけが自白すれば罪を許し、相手は罰する」という取引を持ち出す。互いに黙秘した方が有利なのに、互いが連絡を取れないために確認できる手段がない。結局、それぞれが自白してしまい、「自分だけが自白して罪を逃れる」という選択肢が実現されず、両方が最も重い罪を科されるというジレンマである。

 車の運転は、「暗黙の了解」ともいえる共通ルールを互いに守っている限り、このような極端な「囚人のジレンマ」に陥ることはない。また、相手の顔もしぐさもはっきり確認できない運転中では、運転手の持つ匿名性が過剰な攻撃に移りやすい要因であることも、専門家は指摘している。

 先の調査では、「路上の激怒」の引き金は、進行を邪魔されたり、割り込まれた場合などが4割ほどに上る。これに車内でのジェスチャー(指を立てるなど)や信号無視などを加えると7割を超える。

 では、経済学の見地からはどのようなことが言えるだろうか。まず、広い公共道路に多くの人が自由に参入可能であり、彼らを排除することが難しいことが、注目に値する。これは典型的なフリーライダー(ただ乗り)が発生しやすい状況である。

 あおり運転をする人には「怒り」を発揮するメリットがある。対して、「怒り」にはさらなるストレスを招き、他者の批判を被(こうむ)るというコストも存在する。

 このメリットがコストよりも大きいときに、「路上の激怒」は発生する。何車線もある広い道であおり運転が起きやすいのは、「怒り」を示した後に、それこそ現場からすぐに走って逃げることがしやすいからではないか。これが「路上の激怒」のコストを引き下げる。

 今回の常磐道の「あおり暴行事件」は、被害者のドライブレコーダーに一部始終が記録されていたために、加害者は逃げることができなかった。これは「路上の激怒」のコストを高める役割を担っている。「怒り」を鎮める有効な手段の一つは、暴力の可視化と記録なのかもしれない。

 前の車がのろいと思う運転をしているときなど、多少のイライラ感が起こるのはよくあることです。逆に後続車に接近されて、パッシングされた経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。しかし高速道路上で車を止めてまで、怒鳴り散らしたり暴力に訴えるなど、そもそも自分にも命にかかわる危険があることはすっかり忘れています。これは「怒り」を通り越して「鬼畜の仕業」と言うほかありません。

 今回はドライブレコーダーの映像が動かぬ証拠となりました。私もこういった事件から身を守るため、ドライブレコーダーを予約しました。カー用品店舗では取り付けに一か月近く待たされます。だがいまや車の必需品と言えなくもありません。すべての車がドライブレコーダーを敷設し、あおり運転の状況を記録するようになれば、あおりはかなり減るようになるものと思われます。もちろん法の厳格化も必要ですが。

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2019年9月 3日 (火)

韓国「慰安婦の日」徴用工団体同士が怒鳴り合った背景

Mig_20190902211601  今回は元『FRIDAY』『週刊文春』記者で、現在フリージャーナリストの赤石晋一郎氏のコラム、『韓国「慰安婦の日」 徴用工団体同士が怒鳴り合った背景』(NEWS ポストセブン 8/29)を取り上げます。韓国の反日団体にも様々なグループがあり、その辺の事情を詳しく解説しています。

 この夏、韓国では激しい「No JAPAN」運動が展開された。ところが、反日の理由の一つとなっている徴用工問題では、韓国国内も一枚岩ではないようだ。韓国の「慰安婦の日」に開催されたシンポジウムで起きた“事件”について、ジャーナリストの赤石晋一郎氏がリポートする。

 * * *

Image  8月14日は韓国では「慰安婦の日」とされている。真夏の炎天下となったこの日、韓国内では各地で記念シンポジウムが開催されていた。ソウル市内の中心部に位置する禅寺(チョゲサ)では「強制動員問題解決のための国際会議 解放74年、強制動員問題の過去、現在、未来」と題された集会が行なわれていた。ソウル特派員が解説する。

「このシンポジウムは徴用工問題についての国際会議という触れ込みでした。開催者の名前こそ『共同行動』と連帯組織のようになっていましたが、実質的には民族問題研究所という市民団体が主導したようです」

 民族問題研究所は「徴用工版の挺対協(旧・韓国挺身隊問題対策協議会、現・日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯)」と呼ばれる市民団体だ。反日色を前面に打ち出す「植民地歴史博物館」を運営するとともに、日本製鉄相手の徴用工裁判を支援している団体としても知られる。昨年の徴用工裁判で日本企業に賠償命令を出した韓国大法院判決を受け、韓国内では徴用工裁判の立役者としてその発言力が大きくなっている。

 この日のシンポジウムには、韓国の市民運動家などが多数参加した。日本からは矢野秀樹氏(日本強制動員共同行動事務局長)らがゲストスピーカーとして名を連ねていた。民族問題研究所が提唱する「徴用工問題で日韓市民が連帯する」ということを意識した国際会議だったようだ。

 ところがシンポジウムは、開始早々から不穏な空気に包まれた。民族問題研究所傘下にある太平洋戦争被害者補償推進協議会・共同代表である李熙子(イ・ヒジャ)氏は強い口調でこう演説した。

「大法院判決により日韓関係は悪化していますが、こうした葛藤を経てこそ未来が見えるはずです。(徴用工)被害者を無視してはいけないのです!」

 すると堰を切ったように、会場内から次々と李氏を批判する怒声が上がったのだ。

「自分たちだけが、徴用工問題をやってきたかのように語るのはおかしいだろ!」

「被害者を無視しているのは、民族問題研究所も同じだ!」

 聴衆の一部が席から立ち上がり、強い口調で抗議を繰り返す。司会を務める民族問題研究所大概協力室長・金英丸(キム・ヨンファン)氏がマイクで制止を呼びかける。

「座ってください! 座ってください! (場内の声は)無視しましょう! あなた達はいつでもそうだ」

 騒然とした空気となった場内はシンポジウムどころではなくなっていた。

 激しい抗議を繰り返していたのが、日帝被害者報償連合会・会長の金仁成(キム・インソン)氏、そしてもう一人がアジア太平洋戦争犠牲者韓国被害者団体の崔容相(チェ・ヨンサム)事務局長だった。いずれも徴用工問題を訴える団体のリーダーとして戦後補償問題に取り組む人物だ。団体関係者が言う。

「被害者団体の間では、民族問題研究所や李熙子氏に対する不満が渦巻いているのです。彼女らが徴用工問題を我が物顔で仕切り始め、メディアで世論をリードする。徴用工問題で日韓関係を最悪にまで追い込んだことも、他の被害者団体のメンバーからすれば耐え難いことなのです」

 実は韓国大法院判決が出た徴用工裁判は、その判決で問題が解決するという類いのものではない。例えば、昨年判決を受けた日本製鉄裁判の原告は4名とごくわずかしかいない。だから彼らが賠償金を得たとしても、残された数万人にも及ぶ他の徴用工の問題は解決したことにならないのだ。逆に日韓関係を無用に悪化させる原因にしかならない。むしろ日韓基本条約に則り、正当な手続きを踏むべきだと考える被害者団体も多いのだ。

 例えば金仁成氏は韓国の大統領府である青瓦台前では、毎週“火曜日デモ”を開催し、日韓基本条約に基づく「韓国政府の補償責任」の追及を続けている。

 崔容相氏は昨年12月20日、徴用工被害者と遺族1103人(当時。現在は1800人を超える)を原告として、韓国政府を相手取り1人あたり1億ウォン(約880万円)の補償金を求める訴訟をソウル中央地裁に起こしている。崔容相氏は、『週刊ポスト』(2019年3月15日号)でこう語っていた。

「現在、民族問題研究所は被害者団体のふりをして、テレビを通じて原告探しまで行なっています。しかし、なぜ民族団体研究所の呼びかけに応じて被害者が集まらないといけないのでしょうか。彼らの方針どおりに日本企業を訴えても被害者にはひとつもプラスにならない。なぜなら日韓関係が悪化すれば日本政府や日本企業はますます頑なになるでしょう。それによって残された徴用工問題の被害者が賠償を受ける機会が潰えてしまう可能性が高くなる。一部の被害者だけが補償を受け、他は置き去りにされるという不平等が起こる」(一部要約)

 徴用工問題を訴える団体の間では当時から、徴用工裁判が日韓関係を悪化させることへの危惧があった。改めてシンポジウム当日に崔氏に話を聞くと、「このままでは被害者団体が民族問題研究所に乗っ取られてしまうと思い、抗議している」と話した。

 騒然としていた会場内だったが、日本人の矢野氏がマイクを握ったことで一旦静寂を取り戻した。矢野氏は次のような演説をした。

「1965年からの長いトンネル、民主化の闘いを超えて2018年に(徴用工裁判の)判決が出ました。あきらめず闘ったことが局面を拓いた。いまが最後の局面なのです。被害者の人権を回復する道は必ずあります。日韓関係は厳しい局面ですが、必ず理解は広がります」 しかし、続いて民族問題研究所研究員の金敏喆(キム・ミンチョル)氏がマイクを握ると、再び怒声が飛び交い始めた。

「被害者団体を分裂させたのは誰のせいだ!」

「なぜ被害者を無視する!」

 この光景が示すのは、強い不満を抱く相手が「民族問題研究所」であるということだ。民族問題研究所傘下にある太平洋戦争被害者補償推進協議会などの被害者団体は、数十人程度のメンバーしかいない少数団体だ。一方で日帝被害者報償連合会やアジア太平洋戦争犠牲者韓国被害者団体は数万人規模の被害者・遺族で構成される。少数派が徴用工補償運動をリードする歪な構造が、この対立を深刻にしているようだ。

 金仁成氏らの激しい抗議に対して、会場内にいた民族問題研究所のスタッフや、関係者が猛烈に反論を始めた。

「ここは被害者団体が話をする場所ではない!」

「必要であればみなさんで別の団体を作ってください。私達は私達でやります」

 徴用工のシンポジウムから排除しようとするかのような言葉を並べ始めたのだ。私はこうした言葉に徴用工問題の本質がよく表われているように思えた。つまり徴用工問題は、市民団体(ここでは民族問題研究所)が反日活動をしたいが為の“道具”でしかないということなのだ。

 しかも彼らが元徴用工の救済を第一に考えているのかといえばそれも違う。前述のように他の団体の声を無視し続けていることに、それは象徴されているだろう。常に市民団体が掲げる反日イデオロギーが優先され、当事者の声が無視され続ける、という日韓・歴史問題における不条理がここでも見て取ることができた。

 結局、シンポジウムでは対立は解消されないまま終了した。こうした背景を知っているはずの韓国メディアも、反日を標榜している民族問題研究所への批判を行なわないため、徴用工問題はますます歪な形へと発展していってしまう。なぜシンポジウムで抗議活動をしたのか、金仁成氏に話を聞いた。

「14日のシンポジウムでは、民族問題研究所が北朝鮮労務者も入れて徴用工問題を提起しようと考えていると聞いて、これは大きな問題だと思い抗議に行くことにしたのです。なぜ私たち被害者団体が置き去りにされたまま、そんな重要で危険なことまで勝手に始めるのか。これは打破しなくてはいけない、という危機感を持ちました。市民活動家が被害者団体を無視して日韓関係を悪くしている現状は、間違っていると思います」

 反日政策を掲げる文在寅大統領のもと、民族問題研究所などの市民団体・活動家はその発言権を大きくしていった。そして、彼らの背後には常に北朝鮮の姿が見え隠れしているのだ──。

“反日イデオロギー”に苦しめられているのは、決して日本サイドだけではない。韓国の徴用工関連団体もまた同様に苦しめられているのだ。

 徴用工の個人賠償請求問題をめぐり、日本企業にその賠償を求めようとする団体と、日韓基本条約のもと韓国政府に請求しようとする団体に大きく2分されているようです。そして前者は北朝鮮ともつながる団体で反日イデオロギーに徹した団体、それに対し後者の方は日韓関係の悪化を危惧し、また多くの徴用工の支援をしている、そんな内容が見て取れます。

 当然国際法を念頭に置いた後者の団体のほうが、日本にとっては好ましいとは思いますが、もともと徴用工という概念そのものが韓国側の勝手な解釈であり、「旧朝鮮半島出身労働者」が徴用工としてひどい扱いを受けた証拠はないと言われています。

 このように日本としては日韓基本条約締結時から、徴用を受けた人がいると韓国に押し切られた部分が、今でも日本側の汚点として残ってしまっています。思い込みや勝手な認識ではなく、その時の労働実態をあらゆる資料を基に明確にし、それをもとにこの問題の解決を図る必要があると思います。

 それにしても日本の日本強制動員共同行動事務局の事務局長がわざわざソウルに出向き、このシンポジウムで応援スピーチをするとは、完全な売国奴ですね。日本に棲むこうした反日の売国奴は、是非メディアに取り上げその行動の背景と実体を、日本国民に公開すべきだと思います。

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2019年9月 2日 (月)

半島のシナリオ研究を進める時

Nishihara_2007_2_1_1  今回も日韓関係に関して、平和安全保障研究所理事長・西原正氏のコラム「半島のシナリオ研究を進める時」(正論09.02)を取り上げます。今までとほぼ同様な見方と意見が述べられていますが、とりわけ日本側の明確な意思を示すことと、対韓政策のシナリオ作りをすべきだという部分は、強く共感します。

  ≪新たな亀裂の象徴的意味≫

 去る8月22日に韓国は日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA(ジーソミア))の破棄を決定し、日韓関係に新たな亀裂を加えた。米国とともに、両国が忍耐強い交渉の成果として、2016年に軍事情報を共有する「日韓準同盟」とも言える協定を結んだが、文在寅政権の思慮に欠ける誤断で11月には効力を失うことになる。

 協定が破棄となっても、日本は実質的にはそれほどの実害がないが、韓国の方が情報入手の点で大きな損失となるようだ。とはいえ、協定は日米韓連携の象徴的意味を持つ。北朝鮮の弾道ミサイル発射および着地状況の情報交換よりも、3国間の首脳、防衛相、外相レベルの意見の共有や発信がより重要であった。

 協定の破棄によって3国間の安全保障協力が円滑に行かなくなり、逆に中露朝はそれだけ有利な立場に立つことができる。北朝鮮は早速、日韓不和の間隙をつくかのように8月24日、短距離弾道ミサイルと思われる2発の飛翔(ひしょう)体を発射した。同協定の破棄は東アジアの力の均衡を日米韓側に不利にさせることになる。

 米国が新任のエスパー国防長官をソウルに派遣してまで韓国に対して同協定にとどまるよう説得したが、失敗した。トランプ大統領が文大統領に対して怒りを表明したのは当然である。

 ≪韓国内の嫌日機運を牽制せよ≫

 安倍晋三政権はこれまでのところ韓国の決定に関しての反応は極力抑え気味でいるが、文政権の反日姿勢(というより嫌日姿勢というべき)には強い不信感を持っている。日本側は、慰安婦支援財団や慰安婦像の問題、元徴用工への賠償などで、韓国側が1965年の日韓基本条約や日韓請求権協定を順守する気がないことを問題にしてきた。それらの件および日本から輸入した半導体材料を韓国が軍事目的転用疑惑国に輸出してきた状況から、安倍政権は韓国が規則を守らない、信用できない国と断定した。7月7日のテレビ番組で安倍首相は「国際的な約束を守らないのであれば、貿易管理でも守れないと思うのは当然」とも述べていた。

 日本は韓国内の反日(嫌日)機運を少しでも牽制(けんせい)して弱める方策をとるべきである。そのためには政府高官が談話なり記者会見やテレビ会見なりを通して、韓国政府の主張の誤りや約束の不履行を指摘し、韓国国民に「文在寅政権が間違っているのだ」ということを喧伝(けんでん)すべきではないだろうか。

 この他にも、「大使館前の慰安婦像設置は、外国公館前での侮辱行為を禁じたウィーン条約に違反しており、韓国の国際的評価を著しく下げている」「慰安婦問題で韓国は日本を非難しているが、ベトナム戦争での韓国兵士の起こした問題には賠償は払われていないのはなぜか」「元徴用工への賠償問題で、大法院が日本企業に賠償支払いを命じた判決は日韓請求権協定という国家間の約束に違反している」などの広報外交を積極的に進めるべきである。

 また日本政府は、なぜ日本が韓国を半導体材料の輸出優遇国(「ホワイト国」)の地位を剥奪したのかの理由も明確に述べるべきである。韓国の反日運動に参加している人たちの多くが、韓国が輸出ルール違反をしているため、日本が韓国を優遇国から外したということを知らないといわれる。韓国の国会には、韓国企業による疑惑国への輸出件数が過去3年3カ月の間に142件あったとの報告がなされたのだから、この国連安保理決議違反の事実をもっと広く知らせるべきである。ここでも「これを放置すれば、韓国の国際的評価が下がるし、それを管理しない日本の評価が下がる」と。

 ≪中露の対韓接近にも警戒を≫

 日米韓の連携が低下すれば、日米の結束をそれだけ強くすることが重要になる。その点で言えば、まず日本は朝鮮半島の将来に関しての共通のシナリオを作成する上で、トランプ氏が北朝鮮による日本海における弾道ミサイル実験を容認していることに異論を唱えるべきである。また日韓のGSOMIAは正式には破棄されるとしても、非公式には日本は韓国と軍事情報を共有することもできる。そうしたことを通して徐々に日米韓の連携のための信頼回復を構築できるのではないか。

Download-2_20190902163101  さらに文政権のGSOMIA離脱とともに、日韓、米韓、中韓、それに韓朝関係が冷却化し韓国の孤立化が進んでいる。日本による朝鮮半島のシナリオ研究は緊急性を増している。

 韓国が中露に接近するとは考えにくいが、米韓関係が弱まれば、中露の対韓接近は強まるであろう。そうなれば、米韓合同軍事演習の中止、THAAD(終末高高度防衛ミサイル)配備の中止、在韓米軍の部分撤退などに進むかもしれない。これらの過程で、韓国内が親日米勢力と親中朝勢力とに分裂して不安定な政権運営が強いられるかもしれない。

 日本は北朝鮮や中国に対抗して、韓国なしでも日米同盟をさらに強化していくべきである。 

 今まで述べてきた通り、西原氏も日本が韓国に対して執った諸施策に関し、理由をきちんと説明するなり、韓国の日本に対する様々な反日行為に対して、しっかりと反論するなり、対外的な発信を明確にしなければなりません。余りにも説明や主張が少なすぎると思います。

 そして更に氏が言うように、半島に対する対応を出たとこ勝負で終わらせるのではなく、戦略的にシナリオをしっかり構築していく必要があります。こういう外交案件は与野党の垣根を越えて、全議員が一丸となって妙案づくりに励むのが必要ではないでしょうか。残念ながら政権の批判とスキャンダル追及しか頭にない野党議員に、望むのは無理かもしれませんが。

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2019年9月 1日 (日)

「事実誤認 空虚な大統領演説」李相哲氏のコラムから

O0480058014358585196_20190901140401  今回は文政権に批判的な発言を続けている、中国・朝鮮族出身で日本に帰化した龍谷大学教授李相哲氏の、シリーズ「こわれゆく国家」の第6回、「事実誤認 空虚な大統領演説」(産経新聞実録シリーズ 9/01付)を取り上げます。

 韓国の政治は毎年、大統領が行う4回の演説によって動くといわれる。

 年頭の辞、3月1日の独立記念日の辞、日本の朝鮮半島統治からの解放記念日にあたる8月15日の光復節の慶祝辞、年末に国会でおこなう施政演説だ。 

 なかでも光復節の演説は大統領が日本とどのような関係を築くつもりなのか、歴史に対してどのような認識を持っているかを測る材料となるため日本でも注目される。

 今年の光復節で文在寅(ムン・ジェイン)はわざわざソウルから車で1時間半の距離にある独立記念館を訪ね、慶祝の辞を述べた。スーツでなく民族衣装を身にまとった文は、演壇に立つと悲壮感すら漂う声でこう言った。 

 「(私は韓国を)誰も揺るがすことのできない国にすることを誓う」

 その後、こう続けた。「しかし(われわれは)そのような国を実現できていない。(なぜかといえば)十分に強くなっていないからだ」。ここで韓国を揺るがす「誰も」が日本を指すのは明らかだった。

盗人たけだけしく

 日本の対韓輸出管理厳格化の方針が示されたばかりのタイミングにしては、日本への批判は抑制されていたとの評だったが、文の本音はその2週間ほど前に開かれた緊急会議で吐露されていたといえるだろう。

 日本政府が輸出管理厳格化を閣議決定した8月2日、文は「加害者の日本が盗っ人たけだけしく大声をあげるのを決して座視しない」と言い放ち、多くの日本人を驚愕(きょうがく)させた。

 日本語への翻訳過程で生じた誤解という指摘もあったが歪曲(わいきょく)されたわけではない。

 文は、日本が「賊反荷杖(ジョクパンハジャン)」の態度をとっていると発言。「賊反荷杖」は「泥棒が逆上してむちを振り上げる」という意味だ。日本では使わない熟語なので「盗っ人たけだけしい」と翻訳されてもおかしくない。

 この日の発言でさらに問題だったのは、つぎのくだりだ。

 「(日本の措置は)強制労働禁止と三権分立に基づく民主主義という人類の普遍的な価値と国際法の大原則に違反する行為だ」

 あたかも現在、日本がどこかで強制労働を強いているかのようだ。

37d20558ccff79187c18135e94b70f68 過去と現在が混在

 「文の意識には過去と現在が混在している」とよくいわれるが、それはこのような言葉遣いに起因する。

 それゆえ韓国内でも「空虚な言葉の饗宴(きょうえん)だ」(最大野党、自由韓国党議員の全希卿(チョン・ヒギョン))との批判の声があがる。同党のスポークスマン、閔庚旭(ミン・ギョンウク)は「文政権になって韓国はむしろ誰もが揺るがすことのできる国になってしまった」と語る。

 韓国政治で大統領の言葉は国の方針であり、立場そのものだが、文の使う表現に疑問符が付けられることはしばしば起こる。

 7月に開かれた大統領府首席補佐官会議で文はこう述べた。

 「過去史(歴史)問題は韓日関係においてポケットの中の錐(きり)のようにわれわれを突き刺す」

 ポケットの中の錐(嚢中之錐=のうちゅうのきり)は、本来「才能のある人は凡人の中に隠れていても目立ってしまう」という意味だ。司馬遷の『史記』に由来する。本来の意味通りに解釈すると「(日韓関係は)誰か才能のある人間(錐)がわれわれを突き刺す」という意味だ。

 今年の光復節ではこんな場面もあった。韓国の代表的な民族主義団体である「光復会」会長が「日本の経済報復によく対処している文大統領に拍手をおくろう」と発言した。自由韓国党代表、黄教安(ファン・ギョアン)がこれを拒否すると、黄は「無礼だ」と批判された。

 閔はこう嘆いた。「北朝鮮では金正恩(キム・ジョンウン)が演説すれば代議員らが起立し拍手しながら歓呼する。与党はそれを夢見ているのだろうか」

 文大統領の発言は、国のトップと言う立場にしては、あり得ない物言いが多い、との批判は、日本の報道番組の中で、政治専門でもないコメンテーターでも、口をそろえて言います。それほど異様な物言いが多い。

 加えて李教授が指摘しているように、過去と現在が混在してしまって、過去の行為を現在の視点で評価し、批判しています。それが成り立つならば、すべて欧米の白人国家は、過去の植民地時代の様々な行為を批判されなければならないことになります。

 ましてやその批判が歴史の歪曲、捏造に基づいているものであれば、むしろ犯罪行為に近いと言えます。それを堂々と国際発信している文大統領は、トランプ氏の発言にあるように「なんで、あんな人が大統領になったんだろうか」と言わざるを得ません。

 それを選んだのは韓国民です。根っからの反日国家、それも捏造歴史教育を子供のころから延々と続け、反日国民を量産している国家。そんな国家と友好関係はとても築けません。日本人もようやくわかり始めて来たのではないでしょうか。

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