疑惑の法相よりむしろ危ない文在寅の対日「タマネギ政策」
今回は、曺国(チョ・グク)氏の法務大臣任命を強行した文在寅大統領に関する、田中秀臣氏のコラム『疑惑の法相よりむしろ危ない文在寅の対日「タマネギ政策」』(iRONNA 09/10)を取り上げます。
韓国の「疑惑のデパート」ともいえる曺国(チョ・グク)前大統領府民情首席秘書官が9日、法相に任命された。この人事は、文在寅(ムン・ジェイン)大統領がマスコミや野党の反対を押し切って強行したと報じられている。
曺氏をめぐる疑惑は複数あるが、特に注目を浴びている問題が2件ある。一つは、東洋(トンヤン)大で教授を務める曺氏の妻が、娘の釜山(プサン)大大学院入試について不正を行った問題である。
娘が医学部受験をする際に「娘が東洋大から総長賞を受けた」と、曺氏の妻が受験書類に記入した。ところが、この表彰の事実はない。
さらに、問題発覚後、曺氏の妻が東洋大の総長に事実隠蔽(いんぺい)を電話で依頼したとされている。韓国の検察は、既に曺氏の妻を私文書偽造の罪で在宅起訴している。
もう一つは、曺氏の家族が行った私設ファンドへの投資が不正ではないか、というものだ。このファンドは、家族の投資を受けた後、公共事業で多額の収益を得ている。
問題の焦点は、曺氏の政治的影響力がどの程度関与しているかにあるようだ。この投資問題については、やはり検察が既に動いていて、私設ファンドの代表らに横領容疑で逮捕状を請求しているという。
曺氏については、疑惑が次から次へと出てくるので、韓国国内で「タマネギ男」と揶揄(やゆ)されているらしい。でも、本当にただのタマネギならば、むいてもむいても疑惑だけで、最終的には空っぽになってしまうだけだ。
個人的には、他国のこのようなスキャンダルには、いつもは関心がない。だが、今回ばかりは日本への飛び火を懸念している。
曺氏の問題をめぐって、韓国国内的には、司法改革を断行したい文政権と検察側とのバトルとして描かれている。文政権の一応の「お題目」は、政権による検察や裁判官などへの政治的介入や癒着の払拭(ふっしょく)であった。
日本との関連でいえば、いわゆる「元徴用工」問題で、日本企業の責任と賠償を認めた裁判所の判断を最も重要視していることにも表れている。この司法判断を、「三権分立」ゆえに「何もできない」と政治的不介入を主張し、もって日本との国際法上の取り決めや常識を無視していいとする態度を、文政権は採用している。
要するに、国内向けに「正義」を主張する材料で、日本を利用しているのだろう。「反日」は韓国政治において、簡単な人気取りの手法だからだ。
反日的な政策は、輸出管理問題を境に大きく沸騰した。日本への露骨な報復措置である「ホワイト国」外しや、国際的な多国間交渉における場違いな日本批判、文大統領自身による度重なる日本批判、そして軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄などは、韓国経済にほとんど影響を与えない輸出管理問題への対応としてはあまりにも過剰である。この過剰に反応する背景は、反日政策が世論受けするからだろう。
報道の経済学には「悪魔理論」というものがある。世論の支持を受けやすい報道の在り方として、悪魔を政府とし、天使は政府を批判する側にしたうえで、常に悪魔が負けるシナリオが好まれる。韓国の場合では、この通常の悪魔理論に加えて、日本を「悪魔」に仕立てることで、日本を批判する側が「天使」になる構造がそもそも存在しているようだ。
実際に輸出管理問題が生じてからというもの、そしてGSOMIA破棄に至るまで、文政権の支持率は上昇に転じた。ただし、現在はまだ支持率が不支持率を上回っているが、曺氏の疑惑報道を受けた支持率低下に伴い、不支持率との差はほとんどなくなりつつある。
ところで、曺氏もまた「反日」的発言をする政治家として知られていた。ジャーナリストの崔碩栄(チェ・スギョン)氏は『週刊文春』の記事で、曺氏が「元徴用工判決を非難するものは『親日派』である」とレッテルを貼ることなどで、韓国民を「反日」に誘導している典型的な人物と評価している。
文大統領が曺氏の法相任命を強行した動機については、もちろん多様な解釈が可能だ。筆者はその解釈の一つとして、曺氏の法相任命によって支持率がさらに低下しても、「反日」的な政策をてこにして、再浮上することを目論んでいるのではないか、と思っている。
つまり、任命することの政治的ダメージを、「反日」的な政策でまた補おうとするのではないか。しかも、前者のダメージが大きいほど、後者の「反日」政策もまた大きなインパクトを有するものになるのではないか、という懸念を持っている。
一つの可能性でしかないが、例えば、来年の東京五輪・パラリンピックに関して、日本側の対応をより国際的な規模の枠組みで批判してくる可能性はないだろうか。
既に、パラリンピックのメダルが旭日旗に似た「放射光背(ほうしゃこうはい)」であるとして、韓国の大韓障害者体育会が対応を求めていた。また、旭日旗の五輪会場持ち込み問題についても、現状よりも大きな騒動になってしまわないか。
また、文政権は日本をそれほど重視していないから、日本の保守層が主張するほど「反日」的な政策を採用してはいない、そう見えるだけだ、という主張にも記憶がある。だが、問題を重視していないこと自体が問題なのである。曺氏のタマネギよりも、文政権の対日政策の「空洞(タマネギ政策)」の方がよほど深刻である。
これに加えて、日本の識者や世論の一部には「韓国政府の政策を批判したら嫌韓である」という理解しがたい風潮が生まれている。この風潮と相まってしまえば、問題のさらなる複雑化は防げそうにない。
日本ではこれだけ疑惑があれば、と言うよりこの数分の一の疑惑でも閣僚にはできないでしょう。いかに異常な人事かがわかります。それほど文政権に反対の立場の人を徹底的に法で縛りたいのでしょう。
もう一つ、田中氏が指摘している「韓国政府の政策を批判したら嫌韓である」、という風潮をネガティブに捉えていますが、私は結構なことだと思います。今迄殊の外いいようにやられても、「友好関係を保とう」などとしていた日本の対応を、しっかり国際関係の中での常識対応、つまり「やられたらやり返す」ことにしなければ、今までと同じ「舐められ続ける」ことになります。「反日には、嫌韓、非韓、絶韓で対応」がこれからの日本の対応にしたいものです。
(よろしければ下記バナーの応援クリックをお願いします。)
(お手数ですがこちらもポチッとクリックをお願いします)
« 似て非なるアメリカと国際連合 | トップページ | 韓国経済に忍び寄る「Dの恐怖」 »
「海外、政治」カテゴリの記事
- 「元徴用工」問題 岸田政権は法と史実に基づき毅然とした対応を 謝罪は断固拒否せよ、誤るべきは韓国だ(2023.02.06)
- 疑惑まみれの韓国野党代表で反日の急先鋒李在明氏 保守政権下の執拗な追求で「防弾政治」を崩されるか (2023.01.29)
- 元徴用工・強制動員説を声高に唱える韓国の市民団体が掘った盛大な墓穴 彼等の取り上げた資料が否定する強制動員説(2023.01.21)
- ロシアの高官二人の日本に対する発言、独裁国家のまさに唯我独尊の極みだ(2023.01.20)
- 米国下院議長選挙、ようやくマッカーシー氏に決定。その結果は中国を警戒させ台湾を喜ばせたようだ(2023.01.17)