「事実誤認 空虚な大統領演説」李相哲氏のコラムから
今回は文政権に批判的な発言を続けている、中国・朝鮮族出身で日本に帰化した龍谷大学教授李相哲氏の、シリーズ「こわれゆく国家」の第6回、「事実誤認 空虚な大統領演説」(産経新聞実録シリーズ 9/01付)を取り上げます。
韓国の政治は毎年、大統領が行う4回の演説によって動くといわれる。
年頭の辞、3月1日の独立記念日の辞、日本の朝鮮半島統治からの解放記念日にあたる8月15日の光復節の慶祝辞、年末に国会でおこなう施政演説だ。
なかでも光復節の演説は大統領が日本とどのような関係を築くつもりなのか、歴史に対してどのような認識を持っているかを測る材料となるため日本でも注目される。
今年の光復節で文在寅(ムン・ジェイン)はわざわざソウルから車で1時間半の距離にある独立記念館を訪ね、慶祝の辞を述べた。スーツでなく民族衣装を身にまとった文は、演壇に立つと悲壮感すら漂う声でこう言った。
「(私は韓国を)誰も揺るがすことのできない国にすることを誓う」
その後、こう続けた。「しかし(われわれは)そのような国を実現できていない。(なぜかといえば)十分に強くなっていないからだ」。ここで韓国を揺るがす「誰も」が日本を指すのは明らかだった。
盗人たけだけしく
日本の対韓輸出管理厳格化の方針が示されたばかりのタイミングにしては、日本への批判は抑制されていたとの評だったが、文の本音はその2週間ほど前に開かれた緊急会議で吐露されていたといえるだろう。
日本政府が輸出管理厳格化を閣議決定した8月2日、文は「加害者の日本が盗っ人たけだけしく大声をあげるのを決して座視しない」と言い放ち、多くの日本人を驚愕(きょうがく)させた。
日本語への翻訳過程で生じた誤解という指摘もあったが歪曲(わいきょく)されたわけではない。
文は、日本が「賊反荷杖(ジョクパンハジャン)」の態度をとっていると発言。「賊反荷杖」は「泥棒が逆上してむちを振り上げる」という意味だ。日本では使わない熟語なので「盗っ人たけだけしい」と翻訳されてもおかしくない。
この日の発言でさらに問題だったのは、つぎのくだりだ。
「(日本の措置は)強制労働禁止と三権分立に基づく民主主義という人類の普遍的な価値と国際法の大原則に違反する行為だ」
あたかも現在、日本がどこかで強制労働を強いているかのようだ。
「文の意識には過去と現在が混在している」とよくいわれるが、それはこのような言葉遣いに起因する。
それゆえ韓国内でも「空虚な言葉の饗宴(きょうえん)だ」(最大野党、自由韓国党議員の全希卿(チョン・ヒギョン))との批判の声があがる。同党のスポークスマン、閔庚旭(ミン・ギョンウク)は「文政権になって韓国はむしろ誰もが揺るがすことのできる国になってしまった」と語る。
韓国政治で大統領の言葉は国の方針であり、立場そのものだが、文の使う表現に疑問符が付けられることはしばしば起こる。
7月に開かれた大統領府首席補佐官会議で文はこう述べた。
「過去史(歴史)問題は韓日関係においてポケットの中の錐(きり)のようにわれわれを突き刺す」
ポケットの中の錐(嚢中之錐=のうちゅうのきり)は、本来「才能のある人は凡人の中に隠れていても目立ってしまう」という意味だ。司馬遷の『史記』に由来する。本来の意味通りに解釈すると「(日韓関係は)誰か才能のある人間(錐)がわれわれを突き刺す」という意味だ。
今年の光復節ではこんな場面もあった。韓国の代表的な民族主義団体である「光復会」会長が「日本の経済報復によく対処している文大統領に拍手をおくろう」と発言した。自由韓国党代表、黄教安(ファン・ギョアン)がこれを拒否すると、黄は「無礼だ」と批判された。
閔はこう嘆いた。「北朝鮮では金正恩(キム・ジョンウン)が演説すれば代議員らが起立し拍手しながら歓呼する。与党はそれを夢見ているのだろうか」
文大統領の発言は、国のトップと言う立場にしては、あり得ない物言いが多い、との批判は、日本の報道番組の中で、政治専門でもないコメンテーターでも、口をそろえて言います。それほど異様な物言いが多い。
加えて李教授が指摘しているように、過去と現在が混在してしまって、過去の行為を現在の視点で評価し、批判しています。それが成り立つならば、すべて欧米の白人国家は、過去の植民地時代の様々な行為を批判されなければならないことになります。
ましてやその批判が歴史の歪曲、捏造に基づいているものであれば、むしろ犯罪行為に近いと言えます。それを堂々と国際発信している文大統領は、トランプ氏の発言にあるように「なんで、あんな人が大統領になったんだろうか」と言わざるを得ません。
それを選んだのは韓国民です。根っからの反日国家、それも捏造歴史教育を子供のころから延々と続け、反日国民を量産している国家。そんな国家と友好関係はとても築けません。日本人もようやくわかり始めて来たのではないでしょうか。
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