米韓同盟亀裂の文政権 北朝鮮も見切ったか
今回は龍谷大教授李相哲氏の講演「米韓同盟亀裂の文政権 北朝鮮も見切ったか」(大阪「正論」懇話会 9/9)を取り上げます。
大阪市北区のホテル阪急インターナショナルで2日、大阪「正論」懇話会の第56回講演会が行われ、李相哲・龍谷大教授が「岐路に立つ朝鮮半島-日本はどう向き合うのか」と題して講演した。講演内容の要旨は次の通り。
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北朝鮮の対外宣伝サイト「わが民族同士」に8月28日、こんな映像論評が掲載された。「南朝鮮(韓国)の人民は、進歩勢力は民主運動家でクリーンだと考えているようだが、まったくの間違いで米帝国より醜い存在だ」とし、韓国で法相に指名されたチョ国(グク)氏について「勉強のできない娘を大学に不正入学させた最低の奴だ」と非難した。
この論評が意味するのは、北朝鮮は文在寅(ムン・ジェイン)政権を信用していない、見切っているということではないか。今後、内閣直属の朝鮮中央通信や党中央委員会が運営する労働新聞に同じ論調が出てきたら、文政権と決裂するシグナルだろう。
2018年4月、文大統領と金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は軍事境界線にある板門店(パンムンジョム)で首脳会談を行い「南北10・4宣言を誠実に履行する」と約束した。これは07年10月、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時に南北が合意した経済協力のことで、開城工業団地の拡充や、南北の鉄道連結など多岐にわたるが、実現しなかった。文氏は18年9月には平壌での南北首脳会談で再び経済協力を約束したが、履行できていない。北朝鮮が今年5月からまたミサイルを撃ち始めたのは、文氏に約束の履行を迫っているのだと私は理解している。
文政権は、トランプ米大統領と金氏の合意によって制裁が緩和すれば、すぐに経済協力を実行できるよう準備していた。しかし、今年2月にハノイで行われた米朝会談は物別れとなった。
これは金氏に非核化の意志がないとわかったからだが、北朝鮮は一度もこの問題に関しては嘘を言っていない。金氏が言う「朝鮮半島の非核化」とは、北朝鮮だけでなく韓国も非核化しろということだ。韓国は米の核の傘の下にある。いつでも核を持ち込める在韓米軍を追い出せという意味なのは明らかだが、文氏はトランプ氏に「金氏は非核化に確固たる意志がある」と伝えていた。
韓国が日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA=ジーソミア)を破棄したことで、文氏の基本姿勢は反米だとはっきりした。GSOMIAは日韓の軍事連携を重視する米が主導して日韓が締結した。米国は国防総省、国務省ともに失望を強く表明し懸念を示し、韓国国内でも「自害行為」と批判されている。これに対し、韓国政府は駐韓米大使を呼び出す異例の行動に出て、米の反発を買った。本音では、米軍が韓国に嫌気をさして出ていくことを望んでいるのではないか。
日本の安倍首相は韓国以外とは良い外交関係を築いている。韓国とうまくやっていくためには、歴史問題を取り合わないことだ。歴史というものはひとりひとり違う目で過去をみるものだ。文氏は歴史問題で一回決着を付けただけでは駄目だというが、一回決着したものをもう一回議論しようとする人とは付き合えない。
日韓は、慰安婦問題も徴用工問題もすでに決着を付けている。その問題に関して日本は一切取り合わず、韓国とエンドレスの議論をしないことが大事だ。文氏は最近「日本が協力的な態度をとれば話し合いに応じる」などと言っているが、これは前提が間違っている。日本は徴用工問題で、韓国側に日韓請求権協定に基づく協議を働きかけてきた。それを無視しておいて、文氏は今になって話し合おうという。
また、戦後日本は韓国に迷惑をかけたからと、特別扱いしてきた。日本の財界には、鉄鋼や自動車、電子産業などで韓国を無償で支援してきた人たちがいた。それが2国間で甘えの構造をつくったと思う。今回、輸出管理上の優遇措置をとるホワイト国リストから韓国を外したのは、普通の国へのスタートだ。
日本人は他人と争うのを避けてあいまいにするが、韓国とは事実に基づき間違いを指摘していかなければ、正常な関係は築けない。
その通りです。日本の国益を考えれば、もう韓国を特別扱いするのはやめて、普通の国同士の関係にする必要があります。つまりギブに対してはテイク、誹謗中傷に対しては報復処置、反日行為に対しては断固たる制裁です。そうしなければ大人になり切れないこの国は甘えとタカリと告げ口を続けるのです。徹底的に報復のための制裁をして行くべきでしょう。
李 相哲(り そうてつ )は、中国・朝鮮族出身のメディア史学者。日本国籍を取得している。 東アジアの新聞史、朝鮮半島問題に詳しい。1998年より、龍谷大学社会学部教員。
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