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2019年9月 7日 (土)

核兵器「作る能力」だけは持て

Img_0_m  今回は核兵器に関するテーマです。正確に言えば作る能力に関してですが、防衛大学校名誉教授の佐瀬昌盛氏にコラム『核兵器「作る能力」だけは持て』(正論)を取り上げます。

 トランプ米大統領は昨年10月20日、旧ソ連との間で1987年に締結されたINF(中距離核戦力)全廃条約からの離脱方針を表明していたが、今月2日にそれが実行された。

 憂鬱な季節が再来する。

 ≪苦しんだ当時の西ドイツ≫

 INF全廃条約が結ばれたのは87年12月だが、最も困難な立場に苦しんだのは当時の西ドイツである。第二次大戦後にドイツは東西に分断され、それぞれが対立する軍事同盟(北大西洋条約機構<NATO>、ワルシャワ条約機構)に属しそれぞれに米国、ソ連の中距離核が配備されていたからだ。

 東にはソ連の中距離核SS3が、西には米国の中距離弾道核パーシングIIや、地上発射式巡航ミサイルのトマホークが配備されていた。

 これに心を痛めたシュミット西独首相はNATOに働きかけ、「二重決議」の生みの親となる。一方でワ条約機構に核軍縮を呼びかけ、他方で東側の軍縮意欲を刺激するため、西側に米国の中距離、準中距離弾道核を配備するとの計画である。

 米ソ交渉は難渋を極めた。が、西ドイツは苦しみ甲斐(がい)があった。というのも、ソ連の中距離核・SS20の射程は最短で2700キロ、最長で5000キロとみられていたが(英国国際戦略研「ミリタリー・バランス」1980/81年版)、かりにSS20がソ連西端のミンスクに配備されると、西ドイツのミュンヘンには容易に到達するはずだったからである。

Download-3_20190903184601  今日の問題に立ち戻る。米国がINF全廃条約から離脱した前日、トランプ大統領は声明を発し、「(ロシアによる)条約違反は相応の結果を伴わなければならない。ほぼ6年間の外交交渉と30回以上の会談を重ねて、INF全廃条約を受け入れるよう説得したがそれは不可能であった。もういい」と述べている。

 他方、ロシアのプーチン大統領は8月5日声明で、INF全廃条約が消滅した結果、「万人にとって根源的な危険」が生じていると語っている。必要なのは、国際安全保障政策における「コモンセンス」だというわけで、米露両国間に一致が生まれないなら、軍拡競争が再開されるだろうという。

 要するに、米露首脳間で雪解けが始まる気配は、当分、ない。

 ≪ロシア、中国、北朝鮮の動向≫

 INF全廃条約はその第2条5項で、中距離ミサイルとはその射程が「1000キロメートルを超えるが、5500キロメートルを超えない」地上発射弾道ミサイルと規定している。

 現在、中距離弾道ミサイル保有国は英国、イスラエル、イラン、インド、北朝鮮、ロシア、中国、パキスタン、フランスの9カ国である。このうち、INF全廃条約誕生以前に中距離ミサイルを持っていたのは、英国、ロシア(ソ連)、中国、北朝鮮、フランスの5カ国である。

 日米間には日米安保条約があり、英仏はG7(先進7カ国)首脳会議でわが国と同席する。ロシアはG8時代にはそのメンバーであったが、2014年以降は参加資格を停止されている。とすればロシア、中国、北朝鮮の3カ国はわが国にとっての同盟国ではない。だから、わが国はこの3カ国に対しては、安全保障政策上、特段の注意を払う必要がある。

 これまでのところ、最も新しい「防衛白書」(平成30年版)には「北朝鮮の核・ミサイルに対する認識」として、「北朝鮮が核・ミサイルの廃棄に向けて具体的にどのような行動をとるのかをしっかり見極めていく必要」が強調されている。当然のことだ。

 ≪極東配備ならわが国に到達≫

 中国については、「従来から、具体的な装備の保有状況、…国防予算の内訳の詳細などについて明らかにしていない」し、その「公表国防費は、1989年度から毎年速いペースで増加しており、…1989年度から30年間で約51倍、2008年度から10年間で約2・7倍となっている」とある。

 中距離ミサイルについてはどうか。同じく平成30年版「防衛白書」には、北朝鮮の保有する「スカッドERは、…射程は約1000キロに達するとみられており、わが国の一部がその射程内に入るとみられる」とあり、同じくノドンについては「射程約1300キロに達するとみられており、わが国のほぼ全域がその射程内に入るとみられる」(傍点筆者)とある。

 中国についても、「わが国を含むアジア太平洋地域を射程に収めるIRBM/MRBM(中距離/準中距離弾道ミサイル)…は、通常・核両方の弾頭を搭載することが可能」だと書かれている。

 ロシアについてはストルテンベルグNATO事務総長が8月7日、新型中距離ミサイル・SSC8の配備がINF全廃条約違反と断定、「これは世界の安全を損なう」と批判した。中距離ミサイルである以上、極東に配備されれば、わが国にも到達する。

 核兵器を「作らず、持たず、持ち込ませず」、でいいか。「作らず」とも、「作る能力」だけは持つべきだろう。私の持論である。

 私も佐瀬氏の意見に賛同します。核保有国そして弾道ミサイル保有国に西側全面を囲まれた日本が丸腰では、いかにも心もとない。いくら日米同盟のもと、米軍の核に頼る、いわゆる核の傘についても、当然のことながら日本の管理下にはありません。国の安全保障の根幹的な部分を他国に頼るなどと言うことは、独立国として如何なものでしょうか。

 このブログで再三申し上げていますが、国の外交交渉力は経済力より軍事力のほうが遥かに強力です。ロシアや北朝鮮を見れば一目瞭然です。逆に憲法の制約もあり、軍事力の後ろ盾が弱い日本は、常に他国から舐められ強請られタカラれてきているではありませんか。

 まずは非核三原則を撤廃し、核の保有の議論を始めるべきです。そしてそのためには佐藤氏の主張するように作る能力の保持に向けてスタートを切りたいものです。

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