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2019年10月17日 (木)

曺国辞任、文在寅が食らった強烈な「しっぺ返し」

Tyoguku  今回は東京通信大教授重村智計氏のコラム『曺国辞任、文在寅が食らった強烈な「しっぺ返し」』(iRONNA 10/17)を取り上げます。文政権がこの先どうなるのか興味があるところです。

 韓国の曺国(チョ・グク)法相が辞任した。就任からわずか35日目のことだった。曺氏の辞任もそうだが、韓国政治には必ず裏があって、陰謀と落とし所が待ち受けている。法相辞任会見と大統領声明で、真実は語られなかった。

 曺氏は自身と家族の不徳を国民に謝罪せず、大統領への感謝も見せなかった。文在寅(ムン・ジェイン)大統領もまた、国民を忘れてしまったようだ。

 2人の発言は、曺氏の更迭が突然であった事実を物語っている。その証拠に、後任も決まっていない。後任を決める時間もなかったのである。

 突然の辞任の理由について、日本経済新聞の恩地洋介記者は「ある革新系新聞社が実施した世論調査で文氏の支持率は32%にとどまった」が「報道は見送られた」と明らかにした。こうした事実は、普段から地道に取材していなければ入手できない。

 これまで革新系メディアの世論調査は、政権が有利になるように結果を操作した。だが、32%ではさすがに操作のしようもない。操作すれば、社内から漏れるため報道できなかったわけだ。

 韓国では、文在寅政権を支える「進歩派」「革新派」と呼ばれる左派の岩盤勢力が有権者の35%を占める一方、保守派の岩盤支持は25%程度とみられていた。それが、32%まで支持率が落ち込んだことは、左派岩盤層の崩壊を意味する。

 一方で、野党第1党の自由韓国党が支持率を35%に伸ばしてしまった。国民は曺氏に愛想をつかし、検察改革にも関心のないことが明らかになったため、文大統領は慌ててサムスンや現代自動車の視察に出かけ、経済対策を強調した。

 「曺国政局」第1ラウンドは明らかに文大統領の敗北で、検察の勝利だ。左派はデモと大集会を連日仕掛けることで朴槿恵(パク・クネ)政権を引きずり下ろし、政権を運営してきた。

 今度は、事件の指揮を執る尹錫悦(ユン・ソクヨル)検事総長を追い詰めるため、実際は10万人程度の「300万人集会」で検察庁前に陣取り、圧力を強めた。その上で、尹氏を「検察改革に応じなかった」として解任する計画だったが、保守勢力も数十万人の「300万人集会」やデモで対抗し、「曺国解任」を求めた。

 この動きでも分かるように、韓国は自由民主主義国家ではなく、単なる「儒教民主主義国家」である。民主主義は、ルール・オブ・ロー(法治主義)が原則だ。

 集会とデモを武器に政治を動かすのは、中国の「民衆裁判」か「大衆動員」と同じだ。韓国の儒教では「法治」が無視され、賄賂と特権乱用が横行する。曺氏の家族による推薦状偽造や不正入試こそが、「儒教民主主義」の病巣である。

 報道の自由も抑圧され、政府に批判的な新聞は朝鮮日報と文化日報だけだ。編成権を労働組合に握られ、政府批判に転じたテレビ局もある。

 韓国の歴史は、3・1独立運動や四月革命、日韓基本条約に反対した6・3学生デモ、70年代から80年代の民主化闘争、87年の民主化運動、そして朴槿恵政権打倒のロウソク集会など、デモや集会、宣言を正義として神話化している。これが、韓国政治の後進性を表している。

 大規模なデモや集会は、言論や報道の自由が抑圧されている国にとって必要だが、民主主義国家では言論や報道、自由選挙、議会での論争が基本になる。

For1910120002m1  文大統領も曺氏も、まさか大規模デモと集会の手法が自分たちの支持率激減につながるとは夢にも思わなかったであろう。保守勢力が左派と同じ手法を使ったことで、神通力を失ってしまったのである。

 「儒教政治」とは権威主義の政治であり、権力者が権力を示し、恐れられなければ国民は従わない。検事総長の解任や野党議員の逮捕などの強権を発動しないと、文大統領はレームダック(死に体)化へと向かう。

 いずれにしろ、文大統領は、尹氏と手打ちせざるをえない状況だ。2021年7月まで任期を残す尹氏を更迭しない代わりに、曺氏を不起訴にする「取引」を持ち掛けるだろう。

 そうすれば、曺氏は来年4月の総選挙に出馬できる。当選できれば、政治力を回復するのは難しくない。

一方、文大統領が解任に踏み切れば、尹氏は「ヒーロー」となって総選挙に出馬しかねない。だから、総選挙が終わるまでは解任できない。ただ、総選挙後に解任しても、尹氏は次期大統領候補に浮上してしまう。

 そのような思惑が交錯する中、大統領と検事総長の手打ちとなる材料の一つが「国会先進化法」だ。

 韓国国会は乱闘騒ぎが絶えなかった。この状況を抑えるために、与野党が合意して法案を成立させた。

 ところが、最近も乱闘が絶えず、「先進化法」に違反に該当する国会議員は与野党合わせて30人にも上った。この中に多数いる野党幹部を多く起訴してほしい、というのが文大統領の「尹氏続投」の条件だ。

 もう一つの「大統領の陰謀」は選挙法の改正だ。韓国国会は一院制で、小選挙区比例代表並立制を採用している。

 そこで法改正により、比例代表選出の議席を増やすことで野党勢力を抑え、弱小だった極左勢力を躍進させようとしている。全ては、国会で3分の2の支持勢力を確保し、文大統領悲願の憲法改正を実現するためだ。

 ところで、尹氏が総選挙や大統領選挙に出馬するシナリオには、無理がある。尹氏の出馬には左派の岩盤勢力が反対するため、与党の共に民主党からでは不可能だからだ。

 かといって、保守野党の自由韓国党からの出馬も難しい。尹氏は朴前大統領を逮捕した検事だから、朴前大統領の与党だったセヌリ党の流れをくむ最大野党からの立候補を保守の岩盤勢力が許さない。あとは第三の勢力から出馬するしかないが、それでは大統領当選はおぼつかない。

 法相辞任では成功した保守勢力だが、先の見通しは立っていない。岩盤支持が25%しかないのに、分裂状態にあるからだ。

 それに、保守勢力には、朴政権崩壊の際に朴前大統領の追放を支持した政治家がいる。岩盤層は彼らを「裏切り者」と呼び、決して許さない。

 政権を奪還するには、保守政治家が「反朴」「親朴」の怨念を超えて団結しないとまず無理だろう。保守統合を実現できるのは、朴槿恵しかいない。

 拘置所に収監されていた朴前大統領は現在、左肩手術後のリハビリ治療のため、入院中だ。その病院から声明を発表し、保守の大同団結を呼びかければ可能だ。

 声明では「不徳を国民に謝罪し、反朴姿勢をとった保守政治家も愛国者だ。尹検事総長も許す」と述べる。そして、「国家を救うために反朴・親朴の対立を乗り越え団結してほしい」と訴えればいい。

 韓国では、朴前大統領にこうした行動を取るよう説得している人たちもいる。彼女は偉大な政治家として歴史に残れるかどうか、最後のチャンスを迎えている。

 韓国と北朝鮮を40年以上取材してきた経験からすれば、韓国民の一つの問題に対する関心は3カ月以上続かないと筆者は常に主張してきた。次から次に大事件が起こり、前の事件がかき消されるからだ。

 結局、今回も徴用工や慰安婦問題、「ホワイト国」除外などに対する反日運動は消え去った。だから、燃え盛っているうちに、韓国に手を出すと、日本は大やけどしてしまう。

 日本の歴代首相が教科書問題や慰安婦問題に慌てて対応して、失敗した歴史が物語る。時間をかけて対応するのが、韓国と北朝鮮への「駆け引きの原則」なのだ。

 高みの見物を決め込めるほどの距離感と、茶番劇との理解。そして儒教文化に関する知識と、左派の悪意を見抜く判断力。韓国政治の解釈には、これらを踏まえて将来を見通す力が必要なのである。

重村智計氏:東京通信大教授、早稲田大名誉教授。昭和20年、中国・遼寧省生まれ。毎日新聞記者としてソウル特派員、ワシントン特派員、論説委員などを歴任。朝鮮半島情勢や米国のアジア政策を専門に研究している。

 重村氏の指摘のように、日本は他国から仕掛けられた案件への対応は「慌てて対応」で失敗してきましたが、最近になって尖閣諸島への中国公船の接近に対する対応や北方領土問題への取り組み、竹島奪還や拉致被害者奪還への動きを見るにつけ、日本側から動かなければならない案件への対応は、「慌てて対応」ではなく、真逆の腰の引けた対応でありほとんど前に進んでいません。

 韓国国内の政治の動きに一喜一憂する必要はありませんが、その影響が日本に及ぶとき、毅然とした対応を取り続けていただきたいと思いますね。韓国の問題点が「儒教政治」で情緒優先の法治無視でしょうが、日本の問題点はこの「腰砕け対応外交」と言えると思います。

 韓国の政治が革新(共産主義)から保守に代わるのは望ましいことと思いますが、かといって反日志向は変わらないので、「将来を見通す力」を十分備えて今以上に毅然とした対応を続けて欲しいことを切に願います。

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