東京五輪、新型コロナと延期問題
今月22日、IOCが東京五輪の開催を延期を含めて検討と、初めて延期に言及しました。産経新聞の記事から引用します。
新型コロナウイルス感染拡大が世界的に深刻化している状況を受け、国際オリンピック委員会(IOC)は22日、臨時理事会を開催。東京五輪の開催について今後、延期も含めてさまざまな状況に応じた対策を検討することが分かった。1カ月程度で結論を出すという。米国の陸上競技連盟は21日、東京五輪の開催延期を要請した。20日には米水泳連盟も延期を求めており、競技力に加え、スポンサーやテレビ放送権などを通じてもIOCに強い影響力を持つ米国の主要2競技団体が態度を明確にしたことで、IOCや大会組織委員会が「予定通り開催」との立場を崩さない7月24日の開幕に暗雲が漂い始めた。
これを受けて日本は勿論、各国の競技団体やメディアが様々な反応を示していますが、おおむね延期に賛同の意見が多く、あとは早く結論をという声が多方面から出ています。
日本のテレビメディアでは、この報道を一斉に取り上げ、延期された場合のその時期の予測からそれぞれの長所短所、また選手、会場、費用対応に関しての様々な問題点を、例によって決定する前から侃々諤々やっています。
特にアスリートファーストの観点からか、延期の時期によってさまざまな問題とその対応について、事細かに議題にしていますが、いずれにしろ決まったらそれに対応するしかないのに、その前から予測議論のオンパレードです。
とにかくこの問題のもとは、未知の疫病がもたらすものです。ですから時期については、ひとえにこの新型コロナウィルスの収束がカギを握るものです。収束のためには感染防止対策の効果とワクチンや治療薬の開発が大きなファクターになりますが、その収束も世界的な規模で行われなければなりません。それを踏まえての時期の決定ですから、困難を極めるでしょう。
中止の選択肢はない、という理由は、五輪の収益金が各国の競技連盟に配られるということも大きいようですが、もちろん開催国の日本の経済的な効果も大きな要素となります。日本としては絶対開催したいのは異論がないでしょうし、その点でIOCも日本も考えが一致したのでしょう。
ところでコロナの収束がなければ当然選手も観客も、健康への脅威が存在するので開催できないのは当然でしょうが、この議論の中に開催都市の住民への言及が少ないように思います。テレビの報道番組のコメンテーターの中には、「東京都民の立場として、収束していない国の選手や観客を招くことは、都民の健康を守るうえで脅威になるので許容できない」という人もいますが、残念ながらこういう視点で発言する人はほとんどいません。ましてや今の時点でも何としても予定通り開催を訴える人さえいます。
22日、政府や埼玉県の大規模イベント中止の要請を無視して開催した、さいたまスーパーアリーナでのK-1イベントに見るように、その主催者や観衆のこの疫病に対する見方が甘い人たちがまだまだいます。感染者に発熱患者が出た、という新聞記事が出ましたが、感染したかどうか注目に値します。
日本の医療体制は十分だ、日本人は政府の要請に積極的に応じ欧米とは違う、という甘い考えがあるとしたら、その根底にオーバーシュートの芽はあると言わざるを得ません。いずれにしろ新型コロナウィルスを他人事と思ってはいけないと改めて感じます。
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