緊急事態宣言、そのタイミングを逸するな
今月13日、改正特措法が成立、施行されたことに伴い、新型コロナウィルスに対する緊急事態宣言を出せる準備が整いました。産経新聞の社説ではそのタイミングを誤らないようにと次のように述べています。
緊急事態宣言は、新型ウイルスの感染封じ込めのため、政府や都道府県に多くの対応手段を与えるものだ。感染拡大のペースが上がるなど、悪い変化の兆しが出てくれば、首相は緊急事態宣言を積極的に考えなくてはならない。タイミングが遅れれば、感染拡大を止められず、法改正の努力が意味をなさなくなる。
この緊急事態宣言に対しては、私権を制限する措置を伴うとして極めて慎重に考えるべきだという意見が国会でも多く出た。
平時であれば私権の制限は望ましくない。だが今は、免疫を持たず、決定的な治療薬やワクチンもない中で、人々は新型ウイルスの脅威にさらされている。
国民の生命と健康を守り、経済社会の秩序を維持するには感染拡大を阻むことが必要だ。それなくして、国民の私権を守ることは難しい。
政府や都道府県は、権限を増したいがために緊急事態宣言に基づく措置をとるわけではない。国民や社会を救うための時限的な措置である。それを理解しない非現実的な批判に、首相や政府が影響を受けては、新型ウイルスとの戦いで後手に回ることになる。
これまで事態を楽観していたトランプ米大統領は、米国内での感染拡大を受け、国家非常事態を宣言した。最大500億ドルの連邦予算を用意する。
トランプ氏は「連邦政府の力を最大限使えるようにする」と語った。このような全力投球の姿勢が危機を乗り切るために欠かせない。日本も必要に応じて臨機応変に、思い切った措置を講じていかねばならない。
最も大切なことは、新型ウイルスの国内蔓延(まんえん)を防ぐことだ。大流行になってから緊急事態宣言をしても手遅れになる。
今やアメリカ以上に感染者が続出している西ヨーロッパ、1000人を超す死者を出しているイタリアでは、全土に外出制限令を出し食料品や薬品を取り扱う店以外は、閉店の処置をとっています。スペインでも同様、昨日全土で外出を制限する緊急事態宣言が出されています。フランスでも飲食店や映画館などの封鎖処置がとられました。
今朝のテレビで橋下徹氏が「弁護士の立場から言えば、日本は法治国家だが、政府の今までの自粛要請や休校要請は、法に基づくものではなく、あくまで要請。だが政府からの要請は受ける側にとっては相当の重みをもつ。当然他が自粛しているのに自分たちだけがイベントを実施したり、営業したりすれば、批判やバッシングを受ける恐れが多い。従って過度に自粛してしまう現象も起こり、経済も必要以上に委縮する。だから特措法によってきちんと法の下に自粛させれば、法治国家としての正当なやり方となる。」と言っていましたが、なるほどそういう見方もあるのだと思います。
しかし昨夜の安倍首相の会見では緊急事態宣言を出した欧米各国と比較しながら「現時点で緊急事態を宣言する状況ではないと判断しています」と述べています。また仮に出したからと言って、実際に現場で指示、運用していくのは自治体の長となるので、大村愛知県知事のように「相当な私権制限がかかるので、劇薬ということは間違いない。そこに至らないように我々はしっかりと医療体制の確保、検査の確保をやっていくことだと思っています」と述べて、最も多くの死者を出していながら緊急事態の認識のない知事もいます。こうした自治体の長の下で特措法の運用がうまくいくのかと言う懸念もありそうです。
いずれにしてもいざと言う時の体制は曲がりなりにも整ったわけですから、感染の急拡大や死者の急増は絶対に食い止め、早く収束に向かうよう、特措法の運用をタイミングを逸せず実施していただきたいと思いますね。
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