コロナを機に「薬をもらうためだけの病院通い」の無駄を省こう
このブログをご覧の方の中に医師、特にかかりつけ医の方がいらっしゃるかもしれません。その方には申し訳ないと思いますが、これから取り上げる内容は、処方箋の問題点です。
実際私も血圧降下剤などいくつかの薬を処方していただいていますが、毎回同じ薬で、しかも数年にわたって服用し続けているのに、それを入手するには「医師に診察を受けて処方箋を書いてもらう」必要があるのです。
そのたびに病院に行き、診察を受け、診察費を払わなければなりません。かつ一般の開業医では海外出張等特別な事情がない限り一か月分しかもらえません。私が海外に居住したとき、その国では薬局で簡単に買えました。
その理由と、新型コロナウィルス感染拡大のこの時期、一時的にその規制が緩和されていますので、規制緩和の実情を弁護士ドットコムのコラムから以下に引用します。
コロナ問題を機に「薬をもらうためだけの病院通い」が終わる可能性 一時的な規制緩和実現(3/23)
新型コロナウイルス の感染拡大が続く中で、2月28日付けの厚労省通知「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その2)」にて、病院、薬局に行かずに薬をもらうことが、臨時的に認められるようになりました。
本来、医師法20条、歯科医師法20条にて、診察なしでの処方せん交付は禁止されています。今回、この規制が緩和されました。これまで毎回、薬をもらうためだけに、病院に通わなければならない、といったやり方が、一時的なものとはいえ、変わるということは、今後の医療のあり方を考える意味で、大きなインパクトがあります。
- 受診をせずに、どう薬をもらえるようになったのか
病院、薬局には、病気の方が集まっています。パンデミックとなっている現在、病院の待合室にコロナに感染している患者さんがいる可能性は否定できません。軽症の風邪で受診した結果、コロナに感染してしまうこともあるかもしれません。また、コロナに対する治療法は見つかっておりませんので、受診したところで対症療法しかできない状況があります。
このような状況で、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの疾患は、1~2日薬を飲まなかったとしても、すぐには自覚症状が出ないことも多いため、受診の優先順位が下がってしまうこともあります。しかし、薬を服用していないと病状悪化し、ある日突然脳卒中になってしまうこともあります。
そこで、臨時的な規制緩和により受診なしで薬をもらえるようになりました。手順は以下の通りです。
患者(コロナの疑いなし、継続的に薬をもらっている、比較的状態安定)→病院へ連絡
病院→薬局へ処方せんFAX または、病院→患者→薬局もOK
薬局→患者へ宅配便または薬剤師が在宅訪問
料金は後日(振込対応もできるかも)
- 何度も病院に来てもらわないと、病院経営が苦しくなるという台所事情
今回、一時的にでも規制緩和されたことで、将来的な緩和の実験にもなります。
日本では、1~3か月に1回、病院受診することが多いです。
カナダ、フランス、オーストラリアなどでは、3か月分くらい処方されますが、1枚の処方箋で何度も薬を調剤してもらえる制度があります。これを、リフィル処方せんと言います。リフィル処方せんがあれば、病院受診なしで何度も薬局で調剤を受けられるので、病院受診は年1回程度ということもあります。
日本では、日本医師会などがリフィル処方せんに反対しているため、まだ実現できておりません。反対の理由としては、医師が患者の状態を把握するためには継続的な受診が必要というものです。裏の理由としては、病院に何度も来てもらわないと、病院の経営が苦しくなるからだともいわれています。いわゆる「利権」の考え方です。
「利権」の動きを考えるため、一つの例をあげてみます。
医師や薬剤師などは、講演会での講師料、記事執筆の原稿料または研究の援助のためなど、製薬メーカーから資金提供を受けていることがあります。現在、学会発表、論文発表の際には、どのメーカーからどのように資金提供を受けたのか公開する必要があります。
しかし、医療制度を決める社会保障審議会、厚生科学審議会、薬事・食品衛生審議会、中央社会保険医療協議会などでは、審議委員の受けた資金提供の公開は求められておりません。審議委員の発言が、製薬メーカーの利益のために動いているように見えることもあります。
ただし、規制がすべて悪いわけではありません。患者の安全のために規制しているという面もあります。
たとえば、楽天の三木谷氏が、厚生労働省を相手取った訴訟に勝訴し、インターネットによる医薬品販売が解禁されました。
しかし、2019年9月に公表された「平成30年度医薬品販売制度実態把握調査結果について」によると、店舗販売に対し、インターネット販売では、法令順守率が低いとの結果となっていました。
特に医薬品に対する相談に適切な有資格者が対応した割合において、インターネット販売では大きく劣っていました。薬の副作用、飲み合わせの悪い組み合わせ、薬を飲んではいけない疾患は非常に多岐にわたります。きちんと勉強し、国家資格試験に合格した人でないと、これらを把握し、適切な対応をすることはほぼ不可能です。
- オンライン診療、服薬指導も変化を促す一大要因に
最後に、IT化の進展も含めた大きな流れを考えてみましょう。2018年より、条件付きでオンライン診療が解禁されています。
ただし、2020年3月現在、国家戦略特区を除き、オンライン服薬指導は認められていません。そのため、オンライン診療を受けた後、処方箋を持って薬局に行かなければなりません。 2019年11月医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律(略して改正医薬品医療機器等法、もっと略して改正薬機法)が可決・成立しました。2020年9月より、オンライン服薬指導が開始予定です。
これにより、医師の往診、薬剤師の在宅訪問服薬指導の負担軽減となり、患者にとっても便利になる可能性があります。
今回の一時的な規制緩和をきっかけに本格的な規制緩和の機運が高まり、リモート診療、リモート服薬指導や、リフィル処方せんのような新たな流れが大きく進むのであれば、医療の世界は劇的に変わるかもしれません。
このコラムの中で述べられている「インターネット販売」については、極めて一般的な薬品にとどめ、機が熟してきてから徐々にその範囲を広げればいいのではないかと思います。つまり購入者があまり疑問や質問を要するようなものは先に延ばしたらいいでしょう。
またオンライン診療や、オンライン服薬指導などは将来的には拡大していくでしょう。
それより、まずかかりつけ医と言われている開業医で毎回処方してもらう薬を、少なくとも3か月に一度とか、半年に一度にしてもらって、それで減少する診察料の補填は、薬価も含めて医療制度全体で検討したらどうでしょうか。
そこで気になるのは日本医師会による「利権」の部分です。その医療制度の再検討に立ちはだかる壁にならないとは限りません。今回のコロナ感染の治療に関しても、検査が進まないのはまさか病院側が受け入れを渋っているのが主因ではないでしょうね。そのバックに日本医師会がいたら、と勘繰ってしまうのは私だけでしょうか。
とにかく薬を入手するためだけ、診察と言っても血圧測定だけ(私の場合はそうです)、それだけのために病院に行かなければならないという無駄は、是非省きたいものです。
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