「中国の言うことを信じるな」、入国拒否は当分続けよう
緊急事態宣言発令初日の昨日は、全国の新たな新型コロナウイルス感染者数が515人と過去最多を記録しました。ほぼ2週間前の感染によるものと言われていますが、いずれにしても大幅な増加です。今日は愛知県も緊急事態対象に加えるよう、国に要請したようです。昨日このブログで適用外になった理由を述べましたが、それより大村知事は河村名古屋市長や県民の声に屈したのでしょうか。いずれにせよ、これで福岡を含め3大都市圏がそろいました。これからは感染拡大に歯止めがかかるかが一番の課題です。
海外も欧米を中心に感染者数が激増していますが、発生源の中国ではNHKの報道によると『昨日新たに63人の感染と、2人の死亡が確認されたと発表しています。それ以外に陽性反応が出たものの、症状がないことを理由に感染者の統計に加えられていない「無症状」の感染者について新たに56人確認されたとしています。保健当局は「無症状」の感染者について累計の人数を明らかにしていませんが、9日の発表では合わせて1104人が経過観察の対象となっているとしています。』とのことです。
「無症状」の感染者を統計から外すとはどういうことでしょうか。それ以外にも感染者発生初期から隠ぺいがあったのでは、と言われている中国の報道のおかしさを、産経新聞台北支局長の矢板明夫氏のコラム「中国の言うことを信じるな」(JAPANForward 4/3)から以下に引用します。
中国・武漢発の新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るっている。3月末現在、イタリアの死者は既に1万人を超えた。米国では1日に2万人のペースで感染者が増えている。しかし、不思議なことに、感染が最初に起き、拡大した中国では、新たな感染者が少なく、感染した人々も「9割以上が完治した」と政府が発表している。
日本のメディアの中には、対策で成功した中国の経験を学ぶべきだといった論調も浮上している。しかし、世界中の国々が必死に努力している中、中国だけが感染者の数を劇的に抑えられるのは、どう考えても不自然だ。
外国メディアに現地取材許さず
中国国内の感染者数はすべて、官製メディアを通じて発表されている。北京には、世界中のメディアから派遣された数百人の外国人記者がいるが、中国政府は「感染防止」の名目で記者たちを北京に足止めし、新型コロナウイルスによる感染が確認された昨年末から、武漢のある湖北省など被災地での外国人記者の直接取材を不可能にしている。
そのうえで、真相を暴こうとする外国メディアに大きな圧力を加えている。中国政府は3月中旬、米紙ニューヨーク・タイムズ、ウォール・ストリート・ジャーナル、ワシントン・ポストの記者に対し、10日以内に記者証を返還するよう求め、事実上の国外退去を命じた。
米政府が国内に駐在する中国メディアスタッフの人数を制限したことに対する「報復措置」と発表されているが、コロナウイルスの感染が中国国内で拡大していることを隠すため、「いつも言うことを聞かない」米国人記者を追い出したのではないかともいわれている。
知識人が相次ぎ行方不明に
同時に、中国政府は3月1日から、インターネットの管理をさらに強化し、政府発表と内容の異なる書き込みを徹底的に削除した。また、コロナ問題の対応に絡み、政府に批判的なジャーナリストや知識人を次々と拘束している。1月に閉鎖された武漢市に潜入し、インターネットを通じて被災地の状況を報告していた弁護士の陳秋実氏は失踪してから2カ月を超え、元大学教師の許志永氏や企業家の任志強氏も行方が分からなくなっている。
国内で言論弾圧を徹底して行った上で、国際社会に対し「私たちは感染症に打ち勝った」と宣言している中国。その中国が発表した数字の真偽は今のところ誰も検証できない。中国政府の言うことを鵜呑みにするのは危険だ。
こうした外国ジャーナリストへの対応や、政府発表に異を唱える知識人への扱いからは、まさに統計操作や隠ぺいの疑いを加速させます。8日に封鎖が解かれた武漢市の状況を、読売新聞の上海、広州在住の二人の記者が本日の朝刊紙面で「実態見えず 武漢の疑念…無症状1~2万人試算も 生活 全面正常化遠く」と伝えています。以下に引用します。
中国の習近平政権は、湖北省武漢市の封鎖解除を、新型コロナウイルス封じ込めに向けた大きな成果として強調している。2か月半にわたる封鎖生活を強いられてきた住民は節目の日を歓迎する一方、感染実態への疑念を拭いきれないまま、手探りで生活の正常化に乗り出した。
■宣伝
中国中央テレビは、8日午前0時(日本時間午前1時)の時報とともに、幹線道路の封鎖が解かれ、やがて列車が武漢市内の駅に滑り込む様子を詳細に伝えた。
8日未明発の列車で仕事のため広東省広州市に戻った男性(42)は、武漢市の実家で足止めされていた。広州で取材に応じ、周囲で確認が相次ぐ感染者の存在におびえ、手持ちの食料が払底した封鎖下の生活を「今思うとあっという間だが、先が見えなくて苦しかった」と振り返った。
マスク姿で8日に記者会見した湖北省政府の曹広晶副省長は「武漢は76日間の封鎖を経て、決定的な進展に至った」と胸を張った。
習政権は、1100万人都市を即座に封鎖し、武漢市などに全国から4万人以上の医療チームを派遣して、臨時病院の建設などで医療態勢を一気に立て直した手法について、一党支配体制の強みを発揮した「制度の優位性」に結びつける宣伝も展開する。
■封鎖管理継続
しかし、この日の解除は、武漢からの人の流出を防ぐために運行を停止していた交通機関の再開が主眼だった。敷地内への出入りを制限する居住区ごとの封鎖管理は継続される。一部の飲食店は営業を再開したものの、店内での飲食は認められず、住民生活の全面的な正常化とはほど遠い、象徴的な意味合いが強い。
40歳代の女性体育講師は電話取材に「封鎖解除と言われても、外にも自由に出られず、気持ちは晴れない」と複雑な思いを語った。
武漢市では3月18日に新規感染者がゼロとなり、一時は9000人を超えた重症患者は4月6日現在で181人に減少した。それでも、4月に入っても新たな確認が続く無症状感染者の存在に、自発的に外出などを控える住民も多い。
武漢大学の専門家は6日、政府データを基に、武漢市の無症状の感染者数を「1万~2万人」と試算し、中国メディアを通じて警戒を呼びかけた。省政府も8日、「新規感染者ゼロは、リスクがゼロということではない」と改めて強調した。
■苦い記憶
住民らが手放しで喜べないのは、流行初期、市政府の情報公開の遅れが国内外への感染拡大を招いたという記憶が今も鮮明だからだ。
有力中国誌・財新(電子版)は3月下旬、武漢市内に8か所ある火葬場の一つで、3500個の骨つぼが準備されているのを確認したと伝えている。新型コロナによる市内の死者数の実態は、現時点で公表されている2572人をはるかに上回るのではないかとの疑念が広がっている。
中国外務省の趙立堅ジャオリージエン副報道局長は8日の定例記者会見で、流行初期に当局の情報隠蔽があったとする指摘について、「まったく事実に即していない」と否定した。
■ 緩む中国 観光地混雑
中国では、新型コロナウイルスの感染拡大が下火になったとして、営業を再開した観光地に人が殺到するなど緩みも見える。
中国観光研究院の推計によると、清明節に合わせた3連休(4~6日)の国内の観光客数は、前年同期比61・4%減ながら延べ4325万4000人に上った。国営新華社通信によると、世界遺産にも登録されている安徽省の景勝地・黄山では5日、入場客数が午前8時前に1日上限の2万人に達し、以降の入場が禁止となった。ほかにも上海市や陝西省などの観光地で同様の現象が起きたといい、専門家が「巣ごもり生活」からの解放ムードに注意を呼びかけている。
中国本土の7日の新規感染者数は62人で、前日の倍近くに増加した。うち海外からの帰国者は59人と圧倒的に多い。6日には、ロシア沿海地方から黒竜江省綏芬河市に移動した中国人20人が新型コロナに感染していることが確認された。綏芬河市当局は8日から、再度すべての集合住宅地を封鎖して住民の外出を制限する措置に踏み切った。
こうした中国の状況は感染収束と感染の潜伏が同居した状態で、それも政府の隠ぺい体質がもたらしたものとして、住民の不安を煽っている構図だと思います。他国の事より足元の日本の感染拡大を食い止めることの方が重要ですが、こと中国に限っては政府の発表は信用できません。中国からの入国拒否は当分続ける必要があるものと思います。
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