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2020年4月20日 (月)

コロナ対策、日本のやり方は時代遅れと警鐘する東大教授

Ae4f5ce38871c310b5da90ae2d6e1428393aa9c5  今回も新型コロナウィルスの日本の感染症対策に警鐘を鳴らす日経ビジネスの記事を取り上げます。東京大学先端科学技術研究センター名誉教授児玉龍彦氏へのインタビュー記事で、タイトルは『新型コロナ対策「検査、隔離、GPS追跡」の東アジア型を』です。

 新型コロナウイルスの感染拡大が続いている。クラスター追跡や外出自粛で、日本は感染拡大を防げるのか。東京大学の児玉龍彦名誉教授は「日本は非常に古い対策モデルから抜け出せていない」と言う。「大規模検査、隔離、GPS追跡」という東アジア型の対策の必要性を訴える児玉氏に、解説してもらった。

―クラスター対策や外出自粛要請など、日本のこれまでの対応をどう評価していますか。

 非常に古いモデルの感染対策から抜け出せていない。東アジアは遺伝子工学と情報科学に立脚した新しいモデルで対応しています。日本は中国・武漢の封鎖を1月に見てから抜本的な対策を打てていません。

―武漢や、他の東アジア諸国の対応を参考にできていない、ということですか。

 そうです。

 1月18日、中国の感染症研究の第一人者である鍾南山先生が武漢入りしたとき、3つのことを発見しました。1つは、院内感染が起こっていること、2つ目は医療従事者約10人が感染していること、3つ目は病院でPCR検査が1件も行われていないということでした。それで血相を変えて北京に戻り対策を進言したのです。

 中国は、感染集積地域と非感染集積地域を分けて、感染集積地域に徹底的に医療資源を投下しました。5万4000人もの医師や看護師が武漢に送られたといわれています。それから、医療機関の患者や医療従事者に対してPCR検査を実施して陽性の人をあぶりだして隔離しました。病院を“きれい”にして院内感染を防いだのです。

病院や介護施設で徹底したPCR検査を

―ライブハウスや夜の街よりも病院でクラスターが起きる方がよっぽど深刻なんですね。

 ライブハウスでのクラスターというのはいわゆるインフルエンザ型の感染です。寒冷地の換気の悪いところで起こることが、昔から知られています。春になって換気が良くなればあまり問題にならない。

 今、日本では病院や介護施設ですごく感染が広がっている。若い人がいっぱい外に出ているとか、夜の街で感染が広がっているとか言われますが、亡くなっている人や感染した人の多くは、病院や介護施設にいた方なのです。

 日本がまずすべきことは、そこで働く人や入所者をPCR検査することです。例えば、100床以上あるような大きな病院で、発熱している人、忙しく患者を見ている外来医師などを徹底的に検査します。それで陽性の人は隔離して医療崩壊を防ぐ。

―PCR検査の人材や機器が足りないといわれていますが、検査数を増やすことはできますか。

 足りないなんてことは全くありません。

 東京大学や理化学研究所だけでもPCR検査の機械は数百台あります。1日当たり数万の検査をできるキャパシティーを持っています。今、感染防止対策としてキャンパスを閉鎖している大学がありますが、PCR検査の機器を持っているところは、感染防御の教育をした上で、検査に協力する体制にして動かすべきです。

0h9cxayztpzkxfge6voozg31fycm8d3vco2bxngy ―一律の外出自粛では、あまり効果がないということですか。

 外出自粛は一過性の患者減らしで、時間稼ぎにすぎません。また緩めると患者数が増えます。みんな自粛は2週間程度かなと勘違いしているようですが、最低でも3カ月はかかります。大規模検査をして院内感染を防ぐと同時に、どこが感染集積地なのか把握して手を打たなければなりません。

中国平安保険は3億人分のGPS情報

 中国は感染集積地域である武漢を封鎖しましたが、非感染集積地域ではPCR検査や個人のGPS追跡などで、感染を個別に封じ込めているんです。

 中国はこのウイルスの性質をよく分かっています。そんなに感染しやすいウイルスではないけれど、症状がない人も多いので検査しないと分からない。だから検査を徹底してやる。しかし、都市を全部封鎖すると経済の活力がなくなってしまうから、非感染集積地域では個別にGPS追跡をしながら経済活動を維持する。このようにメリハリをつけています。

 中国には中国平安保険という会社があり、その会社はもともとGPSを利用した3億人分くらいの位置情報を持っているようです。そういうインフラを生かせばGPS追跡は簡単にできるでしょう。

 日本のように一人一人聞き取って紙に書いて、というのは非常に古い調査方法です。今、世界ではGPSによる追跡が当たり前です。誰がどこに行ったのかがつぶさに分かる。

 韓国やマレーシアなどもGPSを使っています。これらの国では感染者は出ていますが、すぐその人の行動範囲を特定して、周りで感染が出ていないか検査しています。

 マレーシアは、最初、都市封鎖に近いことをやりました。ところが封鎖を解こうとすると患者は増えるし、長引くと経済的な打撃が大きい。そこで封鎖を少し緩めてGPS追跡を始めたのです。

マレーシアの「パンデミック番号」

―GPSで個人の行動を特定すると、人権や個人情報保護の問題が出てきませんか。

 マレーシアでは、個人に「パンデミック番号」という番号を振って、保険証などとはひも付けられないようにしています。だから、日本でいえば「マイナンバー」で管理してはいけないわけです。

 それから建物や住宅も別の番号を付けて、匿名化する。もう一つ大事なのは、例えば政府の首脳などもみんなGPS追跡の対象に含めることです。こうすることで情報管理が厳しくなり、個人情報も強く守られるでしょう。

 2003年に重症急性呼吸器症候群(SARS)が流行したとき、日本はアジア各国を指導する立場だったんです。でもそれから十数年たち、遺伝子工学と情報科学が発展することで世界はすっかり変わってしまいました。

―中国の対応には見習うべきものもあると思いますが、初期対応の遅れや情報隠蔽を指摘する声もあります。

 英国の雑誌などに報告された経緯を見る限り、中国の初期対応は早いと思います。また、情報開示に問題点があるとしても、それは中国に限らない。日本も感染者数をしっかり把握しているのでしょうか。

 私の知る限り、中国では、昨年の12月頃に武漢の食品市場の周りで肺炎が増えていると分かった。そして1月7日に研究者が新しいウイルスを見つけ、1月10日にはウイルスのゲノムの配列が分かりました。そこから1週間くらいでスイスの医薬品大手ロシュのPCR検査キットが配られたんです。それくらいのスピード感なんです。

インフラを支える人を重点的に守る

 日本では、感染していない人の移動を見て、全体の動きを減らそうとしています。いわばビッグデータで対応しようとしているわけですが、時代遅れです。これは全然意味がない。渋谷駅周辺の人の移動が何%減ったというのを見たところで、病院や介護施設での感染拡大を追えていなければ意味がありません。

 先ほど話した中国平安保険は、年間8000億円程度を情報取得のための研究開発に投じているそうです。ですから情報インフラがもう全然日本と違う。GAFA(グーグル、アマゾン・ドット・コム、フェイスブック、アップル)や中国企業は、そういうところが主戦場になっています。特に中国平安保険はそれを医療に応用しようとしています。こういうのを精密医療といいます。これは今後の鍵になります。

―日本はこれからどうすればいいのでしょうか。

 4つあります。1つ目は先ほど言った病院や介護施設でのPCR検査の徹底。2つ目はドライブスルー型の検査をすること。日本財団は「船の科学館」などで1万床のベッドを用意するようですが、その前でドライブスルー型の検査をして、陽性ならそこに入所してもらえばいい。このように、症状が軽い感染者をどんどんさばく施設が必要です。

 3つ目は、先ほどのGPS追跡です。繰り返しますが、個人情報や倫理を守って実施することが必要です。4つ目は社会インフラを支える人が感染しないような配慮をすることです。ガス、水道、電気、輸送、食品など、社会生活のインフラを支える人を重点的に守る。そういう方たちはPCR検査もすぐできるようにするし、(過去に感染したことがあるかを調べる)抗体検査もすぐできるようにする。

PCR検査と抗体検査の強化を

 今、私たちが一番力を入れているのが抗体検査です。PCR検査では偽陰性(陽性にもかかわらず、陰性の結果が出る)も出ますから、抗体検査と組み合わせます。

 抗体の中には2種類あって、IgMという感染初期に出てくる抗体と、免疫ができてくると出てくるIgGという抗体があります。

 IgMの数値が上がっている人はまだウイルス感染が続いている可能性が高いので隔離する。IgGの数値が上がってくれば感染した後に治っている、というのが分かり、社会復帰もできる。この両方を測れて、しかも大量に処理できる仕組みをつくることが我々の関心事です。

 今、ヨーロッパでは免疫があることを証明する「免疫パスポート」の導入が議論されています。感染して治癒した人には積極的に社会活動に復帰してもらおうという狙いです。PCR検査と抗体検査は一体でやらないとだめです。

 児玉氏の解説には重要な点がいくつかあります。まず一つは特に医療関係者の感染防止に重点を置く。クラスターではライブハウスなどより病院や介護施設が危ない。院内感染を拡大しないため医療従事者へのPCR検査を徹底すること。

 二つ目はGPSを利用しての行動追跡を取り入れること。外出自粛とビッグデータによる集団の解析では感染拡大防止にはあまり意味を持たない。(もちろん個人情報の取り扱いには注意するよう、マレーシアの例も出しています。)

 それ以外にも示唆のとんだ指摘が多くありますが、いずれにしても今の日本のやり方は非常に時代遅れで、感染拡大は抑えられないと、暗に指摘しているようです。インタビュアーの「中国での初期対応の遅れや情報隠蔽」という質問に関しては、それよりその後の対応の早さをむしろ評価していて、同時に「日本も感染者数をしっかり把握しているのでしょうか」と言っているのが印象的です。隠ぺいと把握の精度とは違うように思いますが・・・。

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