感染拡大の防止目的が忘れ去られた、国と都の休業対象要請範囲の議論
改正特措法に基づく緊急事態宣言が発令された後、国と東京都との休業を要請する対象について意見が分かれ、協議が続いたそうです。昨日協議の合意を受け、本日小池都知事が休業要請の具体的内容を発表するようです。その内容を産経新聞の記事を一部抜粋して引用します。
関係者によると、都は国との協議を経て、当初案で休業要請対象だった施設のうち百貨店の一部売り場やホームセンターを除外。居酒屋は午後8時までの短縮営業とし、酒類提供は午後7時までとする方向で最終調整している。ネットカフェやパチンコ店などを休業要請対象に含める見通し。
休業補償の点や他府県とのバランスの問題があるかもしれませんが、緊急事態宣言発令の目的は、新型コロナウイルスの感染拡大を避け、医療崩壊を防ぎ、人命を守ることにあり、早期拡大防止によってその結果として経済の破綻を防ぐことにあると思っています。ですから休業補償で国と都との間や、都府県同士で意見が食い違うとすれば、ここは国が一括して休業補償するべきではないか、と思います。国民への20万円や30万円の個別支給より直接的であり、重要ではないでしょうか。
それを逆に、経済に影響が出ないようにできるだけ指示命令ではなく自粛に抑えよう、しかもその自粛要請の範囲を狭めようと国が言っているその本意が、休業補償を抑えたいということにあるとすれば、何をかいわんやです。この改正新型インフルエンザ等対策特別措置法の目的、つまり「新型コロナウイルスの急速な感染拡大に備える」ということに結果的に反してしまうことになるでしょう。
日本の緊急事態宣言の効果について海外の反応はおおむね懐疑的です。海外在住(英国)のWHO関係の日本人からも、この内容ではまず抑えられないだろう、という評価もあります。それは強制力や罰則がなく、あくまで要請にとどまっている部分です。それでも国のトップの出す宣言と言う重みはあり、日本人の行動特性から、出さないよりはるかにいいとは思いますし、このブログでも早く出すように、と述べてきました。
そしてふたを開ければ休業対象要請の範囲についての国と東京都の意見の相違です。私見ですが、まず第一に休業対象要請範囲は知事に任せるべきだと思います。国よりはるかにその事情に通じているはずですから。第二にネットカフェやパチンコ店は要請出来て、居酒屋は要請できないのはなぜでしょうか。
いくら8時以降は閉店と言っても、居酒屋は3密で一番感染しやすい場所の一つと思います。それに居酒屋を要請対象から外したとして、どれだけの国内経済的な影響があるのでしょうか。意味がよくわかりません。
いずれにせよ、連日500人を超える感染者が増えている現状は、日本人の行動特性をもってしても、もはや危機的状況と思われます。そして都会地区において、通勤時の混雑や電車内の密接接触は続いています。先日述べたように、これからさらに感染が拡大して行ったときに、何か手立てがあるのでしょうか。そうなっても私権制限や罰則が容易にできないと思います。何故なら野党や弁護士や多くのマスコミ関係者が反対の大合唱をするからです。そして医療崩壊、恐ろしいシナリオです。
ですから東京都知事の最初の考えのように、まず休業対象の範囲を最大限広げて、少しでも人と人との接触を最大限に抑える。今更ですが、そうしたほうがよかったように思います。でも決まったことは仕方ありませんね。8割人との接触を避ければ感染は急速に終息に向かうという、北海道大学の教授の見解がありますが、仕事での自宅業務を徹底しなければ難しいでしょう。99%の人が、人との接触を55%抑えても、1%でも勝手な行動を取る人がいれば収束は難しい、という人もいました。本当に要請のみに基づいた対応、これでこの緊急事態を乗り切れるか、推移を見守るしかありません。
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