国民自粛に頼る今の対応、本当にコロナを抑え込めるのか
新型コロナウイルスの感染拡大阻止のための緊急事態宣言発令後、昨日まで5日間にわたって東京都も全国も新たな感染者が拡大し続けています。陽性が確認されるのはほぼ2週間前に感染した人という話ですから、4月20日過ぎの新たな感染者の動向でこの宣言が有効かどうか判断されるということのようですが、それまで拡大し続けても何も手を打たないというのはあり得ないと思います。
それについては、西村経済再生担当相が10日、「東京都が要請した休業要請が徹底されない場合、更に強い処置も検討する」という考えを示し、また「感染拡大防止の観点から、さらに要請・指示をしなければならない段階になれば、専門家の意見を聞いて都道府県知事が判断できるように連携したい」と述べたようですが、これでは緊急事態宣言後の要請の権限が国と知事のどちらに重点があるのか分かりません。
小池都知事が「社長だと思っていたら、天の声がいろいろ聞こえてきて、中間管理職になったようだった」と口走ったようですが、まさに両者の関係をよく表しているようです。この背景には、国が宣言発令直前に特措法の運用面の指針となる基本的対処方針を改定、休業要請に関して「国と協議の上、外出自粛の効果を見極めた上で行う」とし、都が休業要請を想定していた業種の一部について「事業継続が求められる」と明記された、ということがあるようです。
いずれにしてもこの権限の主体がどこかという問題とともに、私権制限を伴う強制力がなく、罰則もない、そのため自粛要請しかできず休業補償もできない、という特措法の欠陥が露呈されています。橋下徹氏は今日のテレビ番組でこの特措法について聞かれ、「欠陥法律、クソ法律」とまで言ってこき下ろしていました。彼のツイートでも「ほんと特措法はクソ法律。政府が全権限とお金を含めての全責任を持てばいい」と発信しているようです。
他国で実施されて効果が上がっているとされる、個人名を特定するわけではないが、個人レベルでのGPSなどを使った行動追跡については、国民の監視につながるという理由で、野党やリベラル陣営だけではなく、大方の日本人の見方は日本人の体質には合わない、とみられているようです。あの櫻井よしこ氏も、「政治が国民の信頼を取り戻さない限り、国民を監視することには抵抗感はぬぐえない」と、まずは政治不信を払しょくすることが前提だと言って、行動追跡には否定的でした。
ですがこの緊急事態にもそうした一般論が通じるか、個人の行動追跡までは行かなくとも、休業要請の指示について国や地方の権限をより大きく命令に近くする、そのための休業補償はセットにする、個人の外出も警察にその理由を確認する権限を与え、明確に答えられない場合は家に帰る指示ができるようにする、等は必要だと考えます。
そうしなくても2週間後にはピークアウトし、5月6日までには収束していることをもちろん願いますが、かなり難しいのではないでしょうか。そうなればまだ自粛要請は続けなければなりません。それに国民がついていけるか、経済がますます痛まないか、心配になります。
そして上記のように、追加の対策が必要な場合「専門家の意見を聞いて」という言葉が政府から聞かれますが、専門家とてこの疫病は初めての経験です。むしろ政治の方が、国民の命と健康を守るために徹底的にこの疫病を抑え込む、という気概の姿勢を見せて対応して欲しいものです。大東亜戦争でミッドウェー海戦とともに戦局を一気に悪化させたガダルカナルの攻防。日本は兵力を惜しみ、兵の逐次投入をしたのがその大きな要因でした。今回の新型コロナウィルス、対策の逐次投入では抑え込めないような気がしてなりません。
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