日本も覇権と支配の中国リスクから身を守ろう
中国では各国に先駆けて新型コロナウィルスの収束に向かっている、という報道が出ていますが、そもそも発生源の国ですし、発生初期段階の隠蔽もありって最も早く感染爆発を経験した国でもあります。しかし感染爆発が起こると独裁国家の強み(?)を発揮してのロックダウンをいち早く施行し、2か月半かけて収束を完了したと声高に語っています。だが再燃の恐れは消え去っていないでしょう。
それはさておき、こうした国内状況のなか中国は、アメリカによる中国批判や損害賠償請求の動きをよそ目に、いち早く「マスク外交」を始めたようです。しかしEUなどは、中国の傲慢な姿勢に対中施策の見直しを始めました。産経新聞のパリ特派員三井美奈氏のレポート「中国の「マスク外交」裏目に 欧州で相次ぐ反発、偽ニュース疑惑も」を以下に取り上げます。
【パリ=三井美奈】新型コロナウイルスが広がる欧州で、中国への警戒論が急浮上している。中国が医療品不足の国を支援する「マスク外交」に乗じ、メディアや政治家の対中批判を封じ込め、西洋に対する「中国の優位」を押し付けようとするからだ。当面は中国に依存せざるを得ない欧州連合(EU)も、対中姿勢の見直しに動いた。
イタリアでは3月、中国外務省がマスク支援について公表したツイッター映像に、偽造疑惑が沸騰した。
住民がベランダで歌い、拍手する映像で、「中国国歌が演奏される中、『ありがとう、中国』と声をあわせるイタリア人」と紹介された。だが、同じ映像が伊紙のウェブサイトにあったことが、報道で判明した。伊国民が、ウイルスと闘う医師や看護師に拍手を送った様子を報じたもので、中国とは関係がない。
EUのボレル外交安保上級代表は声明で「『寛容な政治』と見せながら、影響力拡大を狙う動きがある。欧州は自衛すべき」と中国を牽制(けんせい)した。
■西洋への説教
今月24日付のフランス紙ルモンドは「マスク外交の失敗」という論説を掲載した。「西欧民主主義を見下すような説教」を繰り返す宣伝外交が反発を招いたという見方だ。中国が発表する感染情報への疑念も指摘した。
習近平政権の「中国の物語を上手に語れ」という外交方針に沿って、コロナ危機では在欧州の中国大使館がツイッター発信をフル回転した。在仏大使館は「欧州の感染拡大は、個人主義とエゴのせい」「フランスの介護施設は入居者を見捨て、餓死させた」と書き込み、ルドリアン仏外相が大使に直接抗議した。だが、中国外務省報道官は「フランスが、中国への誤解を晴らすよう望む」とはねつけ、大使館はツイッターで西欧批判を続けている。
スペインやオランダでは中国からのマスクや検査キットに大量の不良品が見つかったが、中国側は「中国で認証されていないメーカーの製品」「使い方に問題がある」の反論一色だ。
■中国依存の脱皮
EU各国は当面、マスクや検査キットは中国に頼らざるを得ない。それでも23日の首脳会議では、中国を念頭に、外国投資に対する監視強化を確認した。コロナ危機で弱体化した企業に、「一帯一路」の買収攻勢をかける可能性がある、との懸念からだ。医療品生産で、中国依存から脱皮する必要性でも合意した。
EUは昨年、「中国は競争相手」とする外交戦略を発表した。コロナ危機で対中警戒は高まっており、今秋に予定される習近平国家主席の訪欧を前に、対中戦略を見直す可能性が出ている。
■外交関係より共産党方針を重視 ボンダズ仏戦略研究財団研究員
中国の「マスク外交」についてアントワーヌ・ボンダズ仏戦略研究財団研究員に話を聞いた。
◇
コロナ危機の間、在仏中国大使館はフランスへの情報攻勢を強めた。現大使は、武漢の元副市長で共産党の要人。かつて中国はEU大国の独仏への遠慮があったが、外交関係より共産党の方針を公然と重視するようになった。
中国はアフリカなどで医療支援外交の長い歴史があり、「マスク外交」はその延長だ。習近平国家主席は「健康シルクロード」を掲げ、2017年には世界保健機関(WHO)と協力の覚書を結んだ。同年8月には北京でWHOフォーラムを開いた。国益のためだ。
習氏は3月、イタリアのコンテ首相に欧州での「健康シルクロード」建設意欲を示した。イタリアはEU支援の遅れで、中国の影響力が強まった。「一帯一路」に続き、EUに新たな分断を生む可能性がある。EUは早急に結束立て直しの必要がある。
■異質な中国の「強権資本主義」 グローバル公共政策研究所のベナー所長
中国のマスク外交についてグローバル公共政策研究所のトルステン・ベナー所長にも話を聞いた。
◇
新型コロナウイルス危機で欧州連合(EU)は貿易のみならず、マスクなど医療品供給でも中国頼みであることが露呈された。中国はそれを政治の「武器」に変えた。メディアが中国に少しでも疑念を示すと、批判を浴びせて封じ込めようとする。
メルケル独首相はかつて、EUと中国がよい経済関係を結べば、外交関係も円滑になると考えていた。それは、幻想だと示された。地球温暖化対策などで中国との協力は必要でも、中国の「強権資本主義」は、欧州の民主主義とはまったく異質なものなのだ。
EU各国は第5世代(5G)移動通信システムで、英国に続いて中国の華為技術(ファーウェイ)の導入容認に傾いていたが、中国の高圧的な外交が顕著になり、見直しに動くだろう。安全保障にかかわる重要分野では、中国に依存してはいけないということが、今回はっきり示された。
この記事が示す通り、中国の一帯一路の戦略の中にこうした医療資源外交を組み込み、マスクなどシェアーが高い中国の医療関連品を武器に、優位にしかも高圧的に進めようとしています。それ以外の外交案件でも、中国の優位性を傲慢な姿勢で各国に迫れば、当然対中姿勢の見直しは進むでしょう。
日本もマスクなどあまりに中国に依存している物資を、医療に限らず早急に見直した方がいいと思います。それは一党独裁の共産主義国家の必然である、覇権と支配をいみじくもこの世界的危機で正体を現した、この「中国リスク」から身を守ることになります。手痛いダメージを受ける前に。
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