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2020年5月 2日 (土)

アビガンが「特例承認」されない残念な理由

Img_21af06238bf24c57b7d202dfca04829c9856  今更言うまでもないでしょうが日本は法治国家です。法律を守らねばなりません。ところが法律に書かれていないことが現実に起こった場合は困ります。又その法律の立て付けが悪かった場合、例えば今回の「改正インフルエンザ等特別措置法」のように、本来は新型コロナウィルスの早期の感染拡大収束が目的なのに、その効力が十分発揮できない、というようなことが起こります。

 一方法律に書かれていないことによる不具合の直近のいい例に、「アビガンの特例承認ができない」ということが挙げられます。ことは安倍首相の国会の答弁で明らかになりました。4月28日付の産経新聞の記事から抜粋します。

 安倍晋三首相は28日の衆院予算委員会で、新型コロナウイルス治療薬の有力候補とされる国産の新型インフルエンザ薬「アビガン」に「特例承認」を適用できないことについて、「政府内でも相当議論してきた。『(新型インフル薬として)日本で承認されているのだから(適用できるのではないか)』と私も言ったが、日本の法令上できない」と説明した。公明党の斉藤鉄夫幹事長の質問に答えた。

 米製薬会社がエボラ出血熱の治療目的で開発した「レムデシビル」については特例承認を適用しようとしているのに、なぜ日本の法令上アビガンが使用できないのでしょうか。作家でブロガーの長谷川七重氏の4月30日付けのコラムから抜粋して引用します。

何というか、頭痛がします。日本の国権の最高機関は「国会」であります。内閣に付随する行政府は、国会が作った法律に従って国を統治すると決まっています。

ですから、つまり今「アビガン使える」という現実にならないのは「アビガン使える」という法律がないからです。国会が「アビガン使える」と《法律》をつくれば、厚労省はその法律に従って「アビガン使える」という《現実》をつくるというのが、日本の手順です。

つまり「国会が作った法律を 行政府が現実化している」訳で、行政ができないのは法律がないからになります。

歴史を紐解けばバイアグラは、「特例承認」で超特急で承認されています。今回「レムデシビル」はバイアグラと同様に「特例承認」されるそうです。これは外国で承認された薬だからです。

つまり、日本の「特例承認」というのは外国で承認された薬には適用できるが、国内で承認された薬を別の病気にも使えるようにする時には適用できないようです。

ですから、私は「アビガン使えるようにならない」のは、法律の不備であると思います。つまり今動くべきは国会ですので、安倍首相は厚労省ではなくて国会に要請するのが筋です。安倍首相もパニックになっているのでしょうか?

心配になってきました。

 ここで薬事法の第14条の3「特例承認」の条文を見てみます。

第14条の承認の申請者が製造販売をしようとする物が、次の各号のいずれにも該当する医薬品又は医療機器として政令で定めるものである場合には、厚生労働大臣は、同条第2項、第5項、第6項及び第8項の規定にかかわらず、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、その品目に係る同条の承認を与えることができる。

一     国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある疾病のまん延その他の健康被害の拡大を防止するため緊急に使用されることが必要な医薬品又は医療機器であり、かつ、当該医薬品又は医療機器の使用以外に適当な方法がないこと。

二     その用途に関し、外国(医薬品又は医療機器の品質、有効性及び安全性を確保する上で本邦と同等の水準にあると認められる医薬品又は医療機器の製造販売の承認の制度又はこれに相当する制度を有している国として政令で定めるものに限る。)において、販売し、授与し、並びに販売又は授与の目的で貯蔵し、及び陳列することが認められている医薬品又は医療機器であること。

 法律の条文は何とも読みにくいものですが、第1項の「その疫病の医薬品」と第2項の「外国で承認されたもの」と言うことに引っかかるようです。一方国内の承認はしていないのに海外に無償提供すると言っています。朝日新聞デジタルから引用します。

 菅義偉官房長官は3日、新型コロナウイルス感染症の治療薬の候補の一つに挙がっている新型インフルエンザ薬「アビガン」(一般名ファビピラビル)を、臨床研究を希望する海外の国に無償提供する方針を明らかにした。現時点で、外交ルートを通じて約30カ国から提供要請があるという。

 「臨床研究拡大」の目的だそうです。日本でも臨床研究が主目的で「患者自身が希望し、病院の倫理委員会で認められれば使用できる」と政府は述べて、実際に使用もされて疾病の改善例も報告されているようです。

 確かにもともとは「新型インフルエンザ治療薬」で開発されたという経緯と、「催奇形性」という副作用を引き起こす可能性がある点で、使用は注意を要するとは思いますが、国の認可が下りていなければ医師と患者の自由な判断で使うことはできません。政府が言う「倫理委員会」のハードルがどんなものかわかりませんが、患者の改善例も出て来ていることを考えれば、最終的には病院や医師の判断で使用できるように法律を変えれば済むことではないかと思いますね。

 法律は守らなければなりませんが、法を順守することが特にこういった緊急時には、却ってある種の障害になるようならば、それこそ立法府(国会)の先生方に仕事をしていただかなければなりません。ばかなスキャンダル合戦や些末な議論をするのではなく。

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