サイバー攻撃、加害者だけでなく被害者になった中国
昨日のこのブログで米国国務長官ポンぺオ氏が、中国による米国へのサイバー攻撃を非難する記事を取り扱いましたが、その中国もあるグループによってサイバー攻撃を受けているようです。16日付のNEWSポストセブンの記事から引用します。タイトルは「新型コロナで疑惑の研究所やWHO関係機関にサイバー攻撃」です。
米国を中心に、新型コロナウイルスは中国の疫学問題専門の武漢ウイルス研究所から流出したとの見方が広がっているなか、同研究所を狙うサイバー攻撃が激化しており、中国当局は警戒を強めている。サイバーテロを仕掛けているのは極右過激派集団とみられており、彼らの標的は中国寄りの姿勢をとる世界保健機関(WHO)や米マイクロソフトの創始者のビル・ゲイツ氏夫妻が創設したビル&メリンダ・ゲイツ財団なども含まれているという。
香港の英字紙『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』が右翼過激主義を監視する「SITEインテリジェンスグループ」の報告書をもとに報じたところでは、武漢ウイルス学研究所は何者かのサイバー攻撃を受けているのだという。
従業員のメールアドレスとログイン資格情報、テレグラムチャンネル、ツイッターアカウント、掲示板など数百件の情報が漏洩しており、研究所側がコンピュータ―の管理体制の修正や補強に追われている。
また、WHOでも同じグループからとみられるサイバー攻撃を受けており、約450のWHO職員の電子メールアドレスとパスワードが漏洩したことを確認したという。サイバー攻撃は現役の職員のほか、すでに退職した職員のコンピューターシステムにまで及んでおり、彼らがメール通信した人たちのシステムにもイオ場をきたしているという。
WHO関係者は「サイバー攻撃の件数は前年同期と比べて、5倍以上になっている。しかし、データが最新ではなかったので、世界各国のWHOの下部機構のシステムは被害を免れていたのが、不幸中の幸いだ」と述べている。
SITEインテリジェンスグループのエグゼクティブ・ディレクターであるリタ・カッツ氏は、「極右コミュニティにとって重要なのは、データが自分の目的に向けて使用できることです。つまりコロナウイルスが武漢の研究所で生成され、意図的に拡散されたとの陰謀論が広がることなのです」と指摘している。
一方、中国のハッカーグループによって、米疾病管理予防センターや米国立衛生研究所も攻撃されていたとの報告もある。
米メディアは「米連邦捜査局(FBI)は4月下旬、外国の国家的支援を受けたハッカー集団が米疾病管理予防センターや米国立衛生研究所、米食品医薬品局のコンピューターシステムに侵入し、開発中の新型肺炎治療のワクチンや治療方法などについての情報を集めようとしていた」と報道した。FBIはハッカー集団がどの国から支援を受けているのかなど、その詳細は明らかにしていない。だが、一部メディアはFBIの内部情報として、「中国人民解放軍の傘下にあるサイバーテロ攻撃部隊」と伝えている。
この記事では「SITEインテリジェンスグループ」が、武漢研究所などへの攻撃は極右グループが仕掛けたという見方をしているとしていますが、その実態は明確にされていません。いずれにしろ中国は一方的にサイバー攻撃をする加害者ではなく、被害者でもあると言うことです。
またこの記事では、新型コロナウイルスが武漢研究所から生成、拡散されたという説を「陰謀論」としていますが、報告書記載の「SITEインテリジェンスグループ」が、中国政府寄りと指摘される『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』誌の内部組織と言うことから、米国などの武漢研究所原因説の動きをけん制したい思惑があるものと思われます。
いずれにしろ、今や物理的手段での意図的な攻撃が、国際監視の下でほぼ封印されてきていることから、サイバーインテリジェンスを駆使した情報争奪戦の世界へと大きく変わってきているようです。こうした攻撃の証拠確定が困難でかつ被害も大きいことからも、今後ますますサイバー戦争は拡大 していくものと思われます。
おそらく日本はこの分野では米中に大きく遅れていることと思われます。早急にこの分野の専門家や研究機関を育成すべきでしょう。
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