国民マナーでの収束、今後も果たしてこれでいいのか
今日にも関東一都三県と北海道で継続されていた、新型コロナウィルスの感染症に対する緊急事態宣言が解除され、全国での解除となる見通しです。先日も取り上げたように、自粛の強制や罰則、ロックダウンなしに収束できたのは誇るべきことでしょう。
つまりこの収束は、政府や行政の対応が特によかったわけではありません。本来ならば強制措置があれば、ここまでの感染者や死者を出さず、台湾やベトナムのように大幅に感染を抑えられていたかもしれません。
東大名誉教授の北岡伸一氏は読売新聞のコラムで、今回のコロナへの政府の対応に対し「非常時の想定が不十分で、強制措置をもってコロナに対応することができなかった」と苦言を呈し次のように語っています。
欧州の民主主義国家より日本の感染対策がうまくいったのは、国民の普段からのマナーや、自発的な協力によるところが大きい。
多くの日本人は民主主義について、「個々人の目の前の利益を大事にすること」だと誤解している。非常時に私権を制限しなければ公共の利益が損なわれるかもしれないということを理解せずにきた。この点を理解し、これから来る災害に備える法的な整備を進めることが重要だ。
現在ほとんどの日本人は現憲法下の3原則「基本的人権の尊重・国民主権・平和主義」のもとで教育を受け、育ってきました。ただし「国家」や「憲法」について、その本来の目的までも詳しく教育はされていないのではないでしょうか。 以下に「国家」と「憲法」の解説の一部を抜粋します。
「国家」・・・一般に,一定の領土と国民と排他的な統治組織とをもつ政治共同体をいい、また一定の地域 (領土) を基礎に固有の統治権によって統治される継続的な公組織的共同社会。(ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典)
「憲法」・・・国の最高法規。形式的に最も困難な手続で変更されるのが通常であり、国の法秩序の頂点にある法。内容的には国民の国家における地位、国家の統治機構およびその運営の根本について定める。(百科事典マイペディア)
「国家」にとって重要なことは、「固有な統治権」つまり「主権」であり、その主権とは、排他的な他国から「独立」した権利だと言うことです。「憲法」はその「国家」を構成する国民の地位や、「国家」の統治機構について定めた最高法規、と言うことです。
「憲法」3原則の「基本的人権の尊重・国民主権」は国民の地位に関する項目ですが、「平和主義」は統治の運営原則だと思われます。ただ忘れがちになるのは「基本的人権の尊重・国民主権」は「公共の利益」を伴わなければならないと言ことでしょう。「公共の利益」は次のように解釈されています。
社会全体にとっての利益を指す。一般的には「公共の福祉」と表現される。憲法13条は国民の権利が尊重されるのは「公共の福祉に反しない限り」と規定し、社会全体の利益のバランスを取る場合に、個人の権利が一定程度制限されることがあると定めている。
つまりここが重要なのですが、「国家」が未曽有の危機に面したとき、その国民全体を守り、国の主権を失わないためには、ある程度「私権」を制限しても、「公共の利益」を優先しなければならないこともありうる、と言うことです。これが所謂「緊急事態条項」と言われる、「憲法」に不可欠な条項なのです。
しかし左派の人たちはなぜかこの「私権」にこだわり、つまり「基本的人権」にこだわり、9条の改正どころか「緊急事態条項」の追加も拒んでいます。「国民主権」が奪わるのではないか、と前時代的に考えているのかもしれませんが、「私」を重んじるあまり「公」が毀損され、ひいては「国家」を危うくする恐れがあります。
今回はたまたま戦いの相手が「ウイルス」だったので、国民のマナーの良さと協力心だけで戦えたのでしょうが、相手が「テロ組織」や「東日本大震災をしのぐ大災害」、最悪の場合「敵国」だったら、果たして「私権」を守れと言い続けられるでしょうか。「公共の利益」が吹っ飛び「国家」が危うくなりかけているのを横目に見るだけで。
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