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2020年5月31日 (日)

香港問題、米中の激突の中、民主国家として日本のとる態度は?

News3990467_50  中国共産党は全国人民代表大会(全人代)で、反体制派を取り締まる「国家安全法」を、香港で新たに導入する決定を採択しました。このニュースは日本でも大きく取り上げられ、当の香港のみならず、台湾でも野党を含めて非難の嵐が巻き起こっています。

 そしてもちろん民主国家の雄を自任するアメリカは、トランプ大統領を筆頭に大々的な非難を繰り返し、香港への優遇処置の撤廃に言及しました。それに対し日本は「憂慮」を表明しただけで、米英の態度とは一線を画しています。

 このアメリカの非難に中国は当然反発しています。貿易戦争、コロナ非難合戦に続く米中のこの問題の争点を、ジャーナリスト長谷川幸洋氏がzakzakに寄稿した記事から引用します。タイトルは『習政権「米との激突は不可避」とみて強硬策!? 「国家安全法」で香港締め付けを強化する中国』(5/30)です。

 中国が、香港への締め付けを一段と強化している。中国共産党は全国人民代表大会(全人代)で、反体制派を取り締まる「国家安全法」を、香港で新たに導入する決定を採択した。

 これが実現すれば、デモや集会はもちろん、ネットでの中国批判も摘発され「一国二制度」は崩壊したも同然になるだろう。香港では抗議のデモも起きたが、米国や台湾などへ移住を目指す市民が急増している、という。

 なぜ、習近平政権は、ここで強硬策に出たのか。

 香港は9月に議会に相当する立法会選挙を控えている。2019年11月の区議会選挙でボロ負けした習政権が「悪夢の再来」を恐れた点が1つ。再び負けるようなことがあれば、政権が決定的打撃を被るのは避けられない。

 それ以上に重要なのは、習政権が「米国との激突は不可避」とみて、力でねじ伏せる方針に転換した可能性だ。

 これまでは曲がりなりにも、民主派勢力の取り締まりは香港の特別行政府に任せてきた。北京政府が直接、弾圧に乗り出せば「米国が黙っていない」とみたからだ。

 昨年は米国との貿易交渉も進行中で、米国を必要以上に刺激するのは避けたかった。だが、新型コロナウイルス問題で事態は変わった。

 交渉が終わったわけではないが、「世界が大恐慌以来の不況に突入する」とみられるなか、貿易交渉の重要度は下がっている。「街中が大火事になっているなら、小屋が燃えても大した意味はない」のと同じだ。

 中国共産党の重要文書が相次いで欧米メディアに流出し、政権基盤も揺らいでいる。そうであれば、「この際、強硬策で求心力を回復しよう」と考えたとしても、おかしくない。

 ドナルド・トランプ米政権はどうするのか。

 手綱を緩めるどころか、さらに習政権を追撃するだろう。そのサインもある。米国防総省が5月20日、新たな対中政策文書を発表し、習政権を厳しく批判したのだ。

 「中国に対する米国の戦略的アプローチ」という表題が付けられた16ページの報告書は「1979年の国交樹立以来、米国は中国が経済的、政治的、社会的に開かれ、国際社会で責任ある国になるという前提で政策を展開してきた」と書き出している。

 そんなアプローチは、「経済的かつ政治的改革を圧殺する中国共産党の意思を過小評価していた」と反省したうえで、「トランプ政権は中共の意図を目を見開いて分析し、摩擦の激化も覚悟しつつ『競争的アプローチ』を採用する」と宣言した。

 見逃せないのは、「静かな外交が成果を出せないなら、米国は自国の利益を守るために、適切なコストも費やして、対中圧力を強め、必要な行動をとる」と断言した部分だ。言い換えれば、「軍事的オプションも辞さない」とも読み取れる異例の表現だった。

 トランプ政権がここまで腹を固めたとなると、習政権も後には引けないだろう。香港問題は新型コロナと同じく、米中関係最大のホットゾーンになってきた。

 長谷川氏の言う通りだとすれば、かなりきな臭い様相を帯びて来ていることになりますが、トランプ大統領も中国報道部も、口先外交に長けている点は衆目一致するところですから、一気呵成に険悪化に進むことはないでしょうが、かと言って侮ることはできません。トランプ大統領は大統領選挙を控えて矛を収められない、習近平主席は長期政権の足場を固めたい、両者の思惑がぶつかり、ともに簡単には引けない状況です。

 アメリカは香港が中国に返還された1997年に「香港政策法」を、昨年中国の香港に対する逃亡犯条例改正案の成立の動きへのけん制がきっかけとなり「香港人権・民主主義法」を、成立させ中国の動きを監視してきました。今回の中国共産党の「国家安全法」の香港適用は、まさにこの法の下での香港への優遇処置停止を容認するものとなります。以下にその内容をNHKニュースから引用します。

トランプ大統領は29日、ホワイトハウスで中国政策について会見し、中国が香港で反政府的な動きを取り締まる「国家安全法制」の導入を決めたことについて、「一国二制度を一国一制度に変えた」と批判しました。

そのうえで、これに関わった中国と香港の当局者に制裁を科す方針を示すとともに、アメリカが国内法で香港に認めた貿易面などの優遇措置の停止に向けた手続きを始めると明らかにしました。

対象については、「犯罪人の引き渡しから輸出管理までアメリカと香港との取り決めの全般にわたる」としています。

Img_c45353c8c3019b878f33d4d8c28c62aa1138  当の香港ではこうした動きに対してどう反応しているのでしょうか。香港の活動家で「民主化の女神」と呼ばれている周庭(アグネス・チョウ)氏に対する、福島かおり氏のインタビュー記事がhanadaプラスに掲載されていますので以下に引用転載します。

(福島香織)パンデミックの猛威は世界中でまだ続いているが、香港は感染者がゼロの日が続き、新型コロナ肺炎感染予防を理由とした規制が少しずつ緩和し始めている。

香港が新型コロナ肺炎の感染拡大を意外に早く抑えこむことに成功した秘密はどこにあったのか。そして、新型コロナ肺炎の鎮静化に伴い、香港の自由と民主を求めるデモは再び力を盛り返し、秋に予定されている立法会選挙の結果につながっていくのだろうか。

香港の社会運動家で、香港自決派の政党、香港衆志(デモシスト)常務委員の周庭(アグネス・チョウ)さんに、電話でインタビューした。

習近平は手を緩めない

──いま、香港の新型コロナの状況はどうなっているでしょう?

周庭 全体としては落ち着いてきています。香港政府の話が事実だとすると、日本を含め、ほかの国と比べても、状況はさほど厳しくありません。5月11日まで23日間、新たな域内感染者はゼロでした。

ですが、それは「香港政府の政策がよかったから」という評価にはつながっていません。それよりも香港政府は「防疫」の建前で、緊急の政策やルールを整備したのですが、それを悪用して、昨年から続くデモの支援者たちに圧力をかけているように思います。

たとえば、レストランの営業時はテーブルとテーブルの距離は最低1.5メートル開けるというルールを作りました。4人以上の人が集まると、全部違法集会になるという法律もできました。

香港政府は「防疫」という理由でこういう規則をつくるわけですが、実際はデモシンパのレストランやデモ支持者を集中的に取り締まるため、弾圧に利用されている気がします。

日本の人たちは、新型コロナ肺炎の感染拡大を防ぐために合理的な措置を取っていると思うかもしれませんが、こうしたルール、法の執行のやり方をみると、すごく非合理的で不公平なのです。

3月末から導入された5人以上の集会禁止法も、香港のデモ派の若者たちの取り締まりに悪用されていると思います。

ひたひたと進む香港の監視社会化

――気になるのは、新型コロナウイルス対策として、感染者の監視のやり方です。香港への入境者に対して、QRコード付きリストバンドとGPSで隔離期間中に外に出たらわかるようになっていて、しかも隔離期間中に外に出たら罰金2.5万香港ドルに禁固6カ月と厳しい罰則も科されます。新型コロナ肺炎後の監視社会化につながりそうで、ちょっと怖いんですが。

周庭 あのシステムは抜け穴がいっぱいあります。香港のメディアでも報じられていますが、パスワードの発行が遅れたり、簡単に腕から外れたりして、十分に機能していません。リストバンドをしたまま、普通にスーパーに行ったりレストランに行ったり、隔離施設から逃亡したりする人がたくさんいます。

結局、隔離指示に従うかどうかというのは、その人の意識次第なんですよ。あの政策自体はあまり有効ではないと思います。今回のコロナ対策については、政府はあまり大したことをやっていません。 

それより、香港警察がもともとやっているデモ参加者に対する盗聴や、メールやSNSへの侵入やハッキングのほうが怖いですね。デモに参加して捕まったときに没収した携帯電話やパソコンのデータを悪用されたり、そっちのほうが香港の監視社会化の例だと思います。

中国は法治国家ではない

──最近、中国の中央政府駐香港聯絡弁公室(中聯弁)の駱恵寧主任が、国家安全条例の成立を急ぐように公式に発言しましたね(編集注:インタビュー時は成立前)。2003年のSARSのあとも国家安全条例を成立させようという圧力がありましたが、新型コロナ肺炎に乗じて、今度こそ中国は本気で国家安全条例を成立させるつもりじゃないでしょうか。これは、逃亡犯条例改正以上に香港にとっては危険じゃないでしょうか。

周庭 国家安全条例は本当に怖いです。新型コロナがあってもなくても、中国は今年、基本法23条に基づく国家安全条例の成立をやろうとしていたと思います。国家安全条例をつくれば、国家政権転覆煽動罪や国家分裂罪のような罪で、民主活動家や中国に批判的な人たちを政治犯として捕まえることができます。

最近、香港の立法会で親中派が本当にやりたい放題なんです。議席の過半数を占めていますから、通したい政策はがんがん通せる。国家安全条例を含めて、次々と香港をコントロールしようとするような法律を可決しようという動きが出ています。たとえば国歌法が審議されて決まりそうになっていて、それに民主派議員が一所懸命抵抗しています。

――中国は香港の憲法を自分たちの都合の良いように解釈して変えてしまったのです。香港政府はこれに抵抗もせず、あっさりこの変更を受け入れてしまいました。これはあまりにひどいですね。

周庭 このやり方をみれば、中国政府は自分たちを法治国家だという資格はないと思いますね。自分の好きなように憲法や法律を解釈したりしたら、法律が存在していないと同じでしょう。中国が法治国家でないという証です。逃亡犯条例改正、国歌法、国家安全条例、全部香港の法治を破壊する危ない法律です。

もちろん、国家安全条例があってもなくても、すでに香港警察は中国の公安警察のように、いろんな理由をこじつけて、市民を逮捕したり弾圧したりしています。でも、この条例ができれば逮捕する理由、弾圧する根拠がもう一つ増える、ということです。逃亡犯条例改正も国歌法も国家安全条例も、全部私たちにとっては認められないものです。

 共産党政権の意向に従えばOK、そうでなければ処罰や拘束を含む弾圧が課せられる社会、これが共産党に支配された社会の現実です。中国では政治の面だけでなく、経済的な面でも完全な階級制で格差社会、共産党員に有利で、一般国民でも農民戸籍者と都市戸籍者の差別社会、これが中国共産党国家の現実です。

 香港もそんな国にさせられようとしたら、知見のある人々は抵抗するのが当たり前でしょう。香港の先にあるだろう台湾でも全く同様です。共産党員だけの帝国社会、それも完全なヒエラルキー制度、それを恐れて徹底抗戦する香港、台湾の人たちに力を貸していくのが民主国家の役目だと思います。それに対し日本や、イギリス以外のヨーロッパの動きは鈍いようです。日本政府の動きに対しては産経新聞の「主張」の記事が以下のように述べています。抜粋して掲載します。

 トランプ氏が言う通り、一国二制度を「一国一制度」に変えたのは習政権だ。優遇撤廃で企業活動に支障が出るとしても、米国による再三の警告を中国が無視する以上、仕方あるまい。

 ジョンソン英首相もトランプ氏との電話会談で、一国二制度方式による返還を定めた中英共同宣言の義務に反すると批判した。両首脳はトランプ氏が議長を務める先進7カ国(G7)首脳会議で議論する重要性でも一致した。

 同感である。香港が国際金融センターであり続けるのは、自由な金融・商取引を保証する普遍的価値が一国二制度で保たれてきたからだ。日本の経済界もその利益を長年享受してきたのである。

 にもかかわらず、安倍晋三政権が強く非難しないのはどうしたことか。習氏の国賓来日にこだわっているためだとすれば問題だ。日本は欧米と同様、習政権に脅かされる「自由の砦(とりで)」を守り抜く責務があることを銘記すべきだ。

 自民党の部会では中国非難の決議を官房長官に提出、習主席の国賓訪日の再検討も求めています。野党各党も懸念の声を上げているようです。こうした中、安倍政権も「憂慮」表明にとどまらず、もう少し突っ込んだ意思を表明すべきでしょう。

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