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2020年5月22日 (金)

尖閣諸島守る緊急事態の宣言を

Https___imgixproxyn8sjp_dsxbzo5687963002  中国公船による、日本の尖閣諸島の領海や接続領域における威嚇航行は、ほぼ毎日のように行われており、新型コロナウィルスの感染拡大中も、性懲りもなく継続しています。そのたびに海上保安庁の巡視船が警告を発し、また政府も抗議を申し入れているようですが、全く意に介すつもりはありません。

 今月8日には領海に侵入した中国公船が日本漁船を追尾した際、海上保安庁の巡視船が行った漁船の安全確保のための行動を、逆に中国報道官は11日「違法な妨害を行った」と非難し、「日本は釣魚島の問題において新たな騒ぎを起こさないよう希望する」と、とんでもない報道をしています(このブログでも取り上げています)。

 このような中国の不当な覇権行為に対し、海洋学に詳しい東海大学教授の山田義彦氏が、産経新聞の「正論」に寄稿していますので以下に引用紹介します。タイトルは「尖閣諸島守る緊急事態の宣言を」(5/22)です。

 尖閣諸島に緊急事態宣言を発すべきである。中国海警局の警備船は、頻繁にわが国の領海に侵入し、日本漁船を排除しようとしている。これは、尖閣諸島におけるわが国の施政を揺るがす重大な事態なのだ。

≪新型コロナに乗じた中国≫

 中国は、全世界で対応に追われる新型コロナウイルス禍を利用し、アジアの海洋支配に向けて大きく動き出した。その目標を達成するために、尖閣諸島を奪取しようとしているのである。

 南シナ海においては人工島を築き、軍事拠点化し、周辺海域も含めた実効支配体制を盤石なものとしたうえで、スプラトリー諸島を南沙区、パラセル諸島を西沙区とする行政区を設け、施政下に組み入れたことを国の内外に示した。

 東シナ海においては尖閣諸島が日本の施政の下にないとし、日本の領有権を国際社会に向け否定している。そのために執拗(しつよう)に領海への侵入を繰り返し、中国の国内法の執行を試みている。

 5月8日、中国海警局の警備船4隻が、尖閣諸島魚釣島沖約12キロの日本の領海内に侵入を目論(もくろ)んでいるのを海上保安庁の巡視船が把握した。今年に入って8回目の領海侵入であり、海保は、いつものように警告し、領海外に退出を促す体制をとった。しかし、今回の中国の狙いは、単に領海を脅かすことではなかった。領海に入った4隻のうち2隻は、付近で操業していた日本の漁船に接近し、漁船を追尾したのだ。

 漁船には3人の与那国島の漁師が乗船していた。海保巡視船が急行したため、中国警備船は領海外へと出て事なきを得たが、わが国の漁師が危険にさらされた。翌9日にも2隻が再び領海内に侵入し、海保の退去勧告を無視し、10日夕刻まで領海内にとどまった。

 そして、11日、中国外交部の趙立堅副報道局長は、記者会見の席上、「日本の漁船は中国の領海で違法に操業していたため海域から出るよう求めた。日本の海上保安庁の違法な妨害にも断固として対応した。日本側に外交ルートを通じて中国の主権を侵害しないように申し入れた」と述べた。

≪中国の狙いは日米の分断≫

 中国の真の狙いは、この記者会見にあった。尖閣諸島は中国の領土であり、施政下にあると宣言したのだ。中国警備船は、今年に入り、連日、尖閣諸島周辺の接続水域内に姿を現していた。2020年1月から4月までに尖閣諸島周辺の領海および接続水域内で確認された中国の警備船は、延べ409隻であり、同期比としては、過去最多となっていた。

 趙副報道局長は、さらに「この問題で新たな争いごとを作り出さないようにし、実際の行動で東シナ海情勢の安定を守るよう求める」と日本を批判し、「両国は新型コロナウイルスの対策に全力で取り組むことで、友好協力関係を一層発展させるべきだ」と述べた。新型コロナウイルス騒ぎを利用し、尖閣諸島侵略に向け大きく動き出したのである。

 中国側の狙いは、日米の分断にある。尖閣諸島が危機的な状況になった場合、日米安全保障条約によって、わが国は米国の支援を受けることができる。米国の後ろ盾は、中国に対する抑止力として効果的だ。しかし、日米安保による米国の支援は、日本の施政下にある地域だけだ。北方領土や竹島のように施政下にないと判断されると、米国の支援も期待できない。中国は、米国が日本を支援する法的根拠を崩している。

 現在、客観的に尖閣諸島が日本の施政下にあると明言できるだろうか。尖閣諸島には入島も許されず、国家による利用計画もない。島や周辺海域の調査・研究活動のみならず環境調査などの平和的な利用すら認められていないのだ。

≪国民の命が危険にさらされ≫

 尖閣諸島の警備体制においては既に中国の方が一枚上だ。海保は尖閣諸島専従部隊を組織し、警備を強化したが、中国海警局は、5千トンの大型警備船を中心に海保の勢力を上回っている。また中国海警局は、中央軍事委員会に組み入れられ、軍事機関となり海保が対抗できる相手ではないのだ。しかし現行の憲法では、自衛隊が独自に防衛するにも制約が多い。

 南シナ海においては、海域の管轄権を争うベトナムの漁船を沈没させるなど、実力行使に出ている。このままでは、わが国の漁民も拿捕(だほ)され、命の危険にさらされることになるだろう。

 与那国町議会と石垣市議会は、共に、中国に抗議し、政府に警戒態勢の強化を要望する意見書を全会一致で可決し、内閣総理大臣や県知事らに提出する。政府は、国境離島で暮らす人々の願いに、具体的な策を示し応えてほしい。

 早急に日本人が常駐するなど尖閣諸島が、日本の施政下であることを示す行為が必要である。まずは海洋調査船を送り、海底資源、漁業資源の調査を行い、国連海洋法に基づく、主権、施政権を明確に打ち出さなければならない。すでに猶予はない。領土を失い、あるいは国民の命が奪われてからでは遅いのだ。

 政府、外務省や防衛省は、一般市民である大学教授に言われるまでもなく、領土を侵攻されそうになっているこの緊急事態を有事ととらえ、緊急対応を取るべきでしょう。ましてや与那国町や石垣氏と言った近隣市、町の要望があれば尚更です。

 ここで疑問なのは、何で市、町であって沖縄県ではないのでしょうか。親中国の県知事だからでしょうか。竹島に対する島根県知事とはかなり対応が異なりますね。いずれにしろ、領土問題は国の領域、国から先に対処方針を地方に説明せず、地方からの要望が先に出るのをどう思っているのでしょうか。

 恐らく政府は従来通り中国の出方を心配して、慎重に事を構えているのかもしれません。が、このままでは山田教授の懸念の通り、中国の思惑に乗ってしまい、最後には島を失うのではないでしょうか。それと同時に日本漁民の漁場も奪われることになります。どうか普通の国の対応をしていただきたい、そう願うのみです。

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