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2020年6月 7日 (日)

香港問題で激化する米中衝突、日本の選択は・・・

2020052000237650diamond0002view  中国は5月28日、全人代最終日に「国家安全法」の香港への適用を決定しました。その決定に米国を始め西側の多くの国が反発したのは周知の通りです。それに対し日本のとった態度は?

 まず中国のこの問題への動きと西側諸国、特にアメリカの反応をBusinessJournalに寄稿したジャーナリスト宮崎正弘氏の記事から引用します。タイトルは「中国、香港の自由剥奪で西側と全面対立…共産党幹部自ら資産逃避で国際金融センターを破壊」(6/04)です。

5月28日、全人代(全国人民代表大会)最終日。世界中が注目したのは「香港国家安全条例」が採決されるかどうかだった。

日本のメディアは「香港安全法」と書いたが、香港基本法への追加条項であって、同23条は「分裂や政権転覆の動きを禁じる法律を香港政府自らが制定しなければならない」としているための追加条例だ。ゆえに、この稿では「香港国家安全条例」とする。

米国は強い語句を選んだ対応をとる。直前にも、マイク・ポンペオ米国務長官は「横暴かつ破滅的」で「香港が保障された高度な自治の終焉の前兆だ」と強く非難していた。しかし、全人代で香港国家安全条例はあっさりと採択された。賛成2878、反対1。棄権6、無効票が1だった。

同法は事実上の「治安維持法」である。この反動的措置によって、中国は西側すべてを敵に回した。これまでにも香港の知識人や若者は反対を表明してデモ、集会を連続開催してきた。直前の27日にも、動きを察知したポンペオは「香港では中国政府が約束した自治が維持されていない」として、「もし採択されたら、従来香港に供与してきた特別措置を剥奪する」と牽制を加えていた。

米国は国際金融センターとしての香港に対して税率などで特権的な地位を与え、駐在米国人は8万を超える。英国、カナダ、オーストラリアの外相は連名で反対の立場を明確にし、EU(欧州連合)議会も「香港基本法を遵守すべき」と批判した。

吹き荒れるチャイナ・バッシング

米国は実際に制裁準備に入った。英国もこれまで華為技術(ファーウェイ)の扱いに曖昧だった態度をガラリと改め、中国の5G排斥に舵を切り替えた。クリス・パッテン前香港総督は「中国は香港を裏切った。西側はこの中国の無謀を冷笑しているだけでは済まされない」と語気を強めた。パッテンは1997年7月1日の香港返還直前まで香港総督を務めた。

「一国二制度を50年保証するとした1984年の『英中合意』を無視し、香港基本法に謳われた2047年までの香港の高度の自治の保障、言論の自由を踏みにじる暴挙」と英国が批判のオクターブを上げ、英国籍パスポートを持つ香港人の優遇策延長を確約したことは注目すべきだ。香港の旧宗主国だけに、発言に重みがある。

昨年11月にドナルド・トランプ米大統領が署名し成立した「香港人権民主法」では、「香港の高度な自治が維持されない場合、中国は義務を履行していないとして、特権を剥奪できる」と明示してきたのだ。それを無視する習近平国家主席の暴慢さは、米国がコロナ禍で痛めつけられているので、チャンスと踏んだからだ。

米国におけるコロナ死者が10万人を超えた。トランプ政権は「covid 19」とか「新型肺炎」とかの曖昧表現をせず、ずばり「武漢コロナ」「中国ウイルス」と呼称してきた。米議会にも米国の左派メディアにも、チャイナ・バッシングが吹き荒れている。

中国は即座に強い反論を繰り出した。趙立堅・外交部報道官は「いかなる外国の干渉も受け入れない。外部勢力が香港に干渉する間違った行動を取れば、対抗措置を取って反撃する。これは中国の内政問題だ」と強調した。

中国・全人代の3つの論点

さて、全人代の総括だが、実はほかに3つの大きな論点がある。

第一は、GDP(国内総生産)成長率の目標値が明示されなかったこと。第1四半期はマイナス6.8%と報告され、IMF(国際通貨基金)は通年で中国の経済成長は1.5%になると予測した。

しかし、その程度で済むのか? 雇用が特に懸念され、李克強首相は最終日の記者会見で「9億の労働者人口、雇用を守り、雇用機会を創造する」と釈明に追われた。

第二は、景気刺激策を遂行するための無謀な財政措置である。まずは金利の低め誘導、中小企業への融資拡大など、主に企業支援の政策である。新しく債務となる財政支出は合計5.5兆元(邦貨換算で82兆5000億円)となる。これは、中国GDPの4.1%に相当する。

リーマン・ショック以来、最大の財政支出となるが、ここに加えて地方政府の特別債の発行を認め、1兆元の枠をもうけた。

第三に、李克強の基調演説から台湾「平和的統一」の文言が消えたことだ。台湾総統に再選された蔡英文は、就任式で「(中国の唱える)一国両制度には反対」と明確なメッセージを出しているが、中国は意外にも沈黙がちなのだ。ポンペオは蔡英文再任に祝電を送り、前途を称えた。

中国はいかなる反応を示すか、注目された。台湾海峡へ中国海軍の艦船が出没し、領空接近は日常の風景だが、このところ空母打撃群を頻度激しく当該海域へ派遣して、背後にある米軍を牽制してきた。

「台湾統一」は「92年合意」の履行とセットだったが、「台湾独立のいかなる行動にも反対する」という文言だけが残った。ただし、「92年合意」を中国側はあったと言い張っているだけで、台湾はその合意の存在も認めていない。

同時に進行している事態は、米国の対台湾武器供与である。ジェット戦闘機、戦車に加え、潜水艦建造技術と魚雷を供与する。高性能の魚雷MK48を18発。このMK48魚雷は、一発で駆逐艦を撃沈できる。輸出金額は1億8000万ドルとなる。

米国はこれまで、台湾への武器供与に関してハイテク兵器を極力避けてきた。 理由は、台湾軍幹部が政権に反対する国民党の幹部でもあり、北京とつながる中華思想のメンタリティが強く、北京に軍事機密を漏洩しかねないからだった。

一方、蔡英文は香港の民主派とその活動を支持し、できる限りの支援を惜しまないと表明した。「香港大乱」以後、香港から台湾へ移住した人々は昨年に5500名、今年は1月から3月までですでに2400名を超えている。この中には、弾圧された銅鑼湾書店の経営者も含まれている。

“香港から資産逃避”に透ける共産党幹部の本音

ところで、自由が締め付けられ、国際金融センターのポジションを失うことになる香港で何が起きているか? 香港国家安全条例が話題となった前後から、中国共産党幹部ら富裕層の香港からの資産逃亡が本格化していた。

これまでは香港の口座を利用しての送金、取引、企業買収などが目的だったが、およそ5000億ドルと見積もられる富裕層(ほとんどが中国共産党幹部)の香港預金は米国を避けて、シンガポール、ロンドン、スイスへ向かった。

これは、国際金融センターの地位を自ら破壊する行為でもある。富裕層は全人代で打ち出された香港の治安維持強化という方向に賛同を示しつつも、本音では不安視し、大切な資産はもっと安全な場所へ移管しておこうという強迫観念に取り憑かれたのだ。

マイナスになることはわかっていても、中国は強硬路線を捨てられない。国際的に四面楚歌でも対外活動を強硬路線で展開しなければ、習近平政権は国内で孤立するという矛盾を抱えているからだ。

 中国の国家安全法制香港適用決定の後、先日のブログでも紹介した通り自民党の部会では中国非難の決議を官房長官に提出、習主席の国賓訪日の再検討も求めています。野党各党も共産党を含め懸念の声を上げました。

 ただし政府の動きは鈍く「憂慮」表明にとどまっていましたが、それとともに、欧米の中国を批判する共同声明に、参加を打診されたが拒否するという、なんとも信じがたい態度をとっていたことが分かりました。本日7日付の産経新聞から引用します。タイトルは「日本、中国批判に参加拒否 香港安全法巡る共同声明 習主席訪日へ配慮か」です。

 香港への国家安全法制の導入を巡り、中国を厳しく批判する米国や英国などの共同声明に日本政府も参加を打診されたが、拒否していたことが6日分かった。複数の関係国当局者が明らかにした。中国と関係改善を目指す日本側は欧米諸国に追随しないことで配慮を示したが、米国など関係国の間では日本の対応に失望の声が出ている。

 新型コロナウイルス感染拡大などで当面見合わせとなった中国の習近平国家主席の国賓訪日実現に向け、中国を過度に刺激するのを回避する狙いがあるとみられる。ただ香港を巡り欧米各国が中国との対立を深める中、日本の決断は欧米諸国との亀裂を生む恐れがある。

 米英両国とオーストラリア、カナダの4カ国は中国が同法制導入を決定した5月28日に共同声明を発表。中国に「深い懸念」を表明し、一国二制度方式による香港返還を定めた1984年の中英共同宣言に反する行為だと強く批判した。

 習近平主席の来日招聘は、中国との関係改善により日中の経済交流の維持拡大を目指すことが、その底流にあるものと思われます。

 しかし中国との関係悪化のもとは、10年前の中国漁船の尖閣沖での日本の巡視船への体当たり事件にあり、船長逮捕が中国の開き直りかつ言いがかりを呼びよせたことが、その原点になっています。しかしそれに対し、時の政府が民主党政権であったこともあり、「自虐」の対応そのもので毅然とした対応を取らず、在中国の多くの日本企業や店舗が反日デモで破壊されました。まさに中国の掌の上で転がされた事件でした。

 その後日本における尖閣諸島の国有化で、関係悪化が最高点に達したのです。しかしこの国有化はもともと石原慎太郎元東京都知事が、政府の尖閣に対する無策を按じ、それまでの個人所有を公的所有にしようという発想から生まれたことであり、それより国が所有したほうがいいと、当時の野田政権がとった施策であり、中国がとやかく言う問題では全くなかったのです。

 それを当時の胡錦涛主席の国有化中止の要請を、野田元首相が断ったことに中国は逆切れし、ほとんど中国主導での関係悪化につながったのは周知の通りです。安倍政権になって、最初の首脳会談での習近平氏の仏頂面を今でも思い出す人も多いでしょう。

 数年前から中国も経済の屈折点を迎え、かつ日米の分断を図る目的で、日中関係の改善を加速したいという意思表示を始めたのに日本も乗じて、習近平氏の国賓招聘の話が持ち上がってきたのです。

 経済交流拡大は日本にとってもいいことでしょうが、日米の分断に乗ることはありません。しかも中国は尖閣沖への連日の海警部公船による威嚇航行を続けています。こんな国のトップをなぜ国賓として迎えなければならないのでしょう。

 日本の選択は間違いなく「民主国家」であって、間違えても「独裁国家」ではありません。この共同声明参加拒否に見られる、どっちつかずの曖昧な対応は将来に禍根を残すことでしょう。そしてその根底に「自虐」があるとすれば、もういい加減にしたら、と思いますね。

 前回のブログでも申し上げたように、独裁政権により中国で苦しむ貧困層や、チベット、ウイグルの異民族の人、又武力で威嚇される香港、台湾や東南アジアの人たちのことを考えて、この独裁政権の崩壊に一役買って出るくらいの「覚悟」が欲しいと思います。経済、つまり「金」に目を奪われることなく。

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