日本古来の宗教界を揺るがす、神社本庁と現地神社の抗争とは
宗教界は一般の人にはあずかり知らぬところで内部がよく見えません。神道は古来からある日本人の信仰の対象で、その祭祀施設である神社は全国各所に多数存在しています。実態はよくわかりませんが、それを包括する宗教法人として「神社本庁」があるそうです。「神社本庁」をWIKIPEDIAから以下に引用します。
神社本庁(じんじゃほんちょう)は、神宮(伊勢神宮)を本宗とし、日本各地の神社を包括する宗教法人。「庁」と付くが、官公庁ではなく宗教法人法に基づく文部科学大臣所轄の包括宗教法人である
神社本庁は、神道系の宗教団体として日本最大であり、約8万社ある日本の神社のうち主要なものなど7万9千社以上が加盟している。都道府県ごとに神社庁を持つ。内務省の外局であった神祇院の後継的存在であり、宗教法人法に基づく包括宗教法人である。
神社本庁の宗教法人としての規則である「神社本庁庁規」では、神社本庁の目的を、包括下の神社の管理・指導、神社神道の宣揚・神社祭祀の執行・信者(氏子)の教化育成・本宗である伊勢神宮の奉賛・神職の養成・冊子の発行頒布を通じた広報活動などとしている
所謂全国の神社の総元締めのような役割を担った存在のようですが、その「神社本庁」に絡む騒動が今発生しているようです。DIAMOND ONLINEの記事から引用します。タイトルは『神社本庁激震!“こんぴらさん”が離脱、「本庁は天皇陛下に不敬極まる」』(宮原啓彰氏6/12)です。
金刀比羅宮は5日付で神社本庁に離脱の通知書(写真)を送付。宗教法人法に基づく認証手続きを経て、早ければ今秋にも離脱が認められる運びだ。
「こんぴらさん」の呼び名と参道の785段(奥社まで1368段)もの石段で有名な、香川県の金刀比羅宮が、全国8万社の神社を包括する宗教法人、神社本庁の傘下からの離脱を決めたことが12日、ダイヤモンド編集部の取材で分かった。背景には、不祥事や疑惑が続出する神社本庁への反発がある。
全国約600社の総本宮が離脱の衝撃
「明治神宮(東京都)が2004年、神社本庁を離脱(10年に復帰)したとき以来の衝撃だ」と、神社本庁関係者は嘆く。
それもそのはず。金刀比羅宮は全国各地におよそ600社ある金刀比羅神社(琴平神社、事比羅神社、金比羅神社)の総本宮。海上安全の守り神として江戸時代にお伊勢参りと並んで「こんぴら参り」が盛んとなるなど、現代にいたるまで多くの信仰を集めている。
そんな讃岐の大神社が神社本庁からの離脱を決めた理由は、本編集部が報じた、神社本庁の不動産売買を巡る神社界上層部と業者の癒着疑惑を始め、神社本庁で相次いで発覚する不祥事への嫌悪感がある。
さらに、昨年の天皇陛下の即位に伴う大嘗祭当日祭にお供えする臨時の神社本庁幣帛(へいはく)料が、金刀比羅宮に届けられなかったことがダメ押しになったという。金刀比羅宮は「決して許されない無礼な行いであり、天皇陛下に対して不敬極まりない行為である」と憤りを隠さない。
問題は、近年、金刀比羅宮と同じく神社本庁への反発から離脱する大神社が続出していることだ。
昨年、織田信長を主祭神とする京都市の別表神社、建勲神社が離脱。また、2017年には本編集部が神社本庁からの離脱をスクープした大相撲の前身発祥の地、富岡八幡宮(東京都)において、離脱を決めた女性宮司が実弟から日本刀で惨殺されるという事件も起きた。
殺害された女性宮司は事件の直前、本編集部の取材に応じ、神社本庁の腐敗を訴え、「(神社本庁の実質的トップである)田中恆清氏が神社本庁総長になったころから組織が急激におかしくなった」ことなどが離脱の理由と明かしていた。
このほか、全国4万社という神社界の最大勢力、「八幡宮」の総本宮、宇佐神宮(大分県)でも、神社本庁執行部が送り込んだ子飼いの宮司と地元神社関係者や住民らが対立し、18年には市民団体が宮司退任を求める署名活動を始めた。
さらにここにきて、各地の下部組織である各県神社庁からも神社本庁への非難の声がにわかに高まっている。
今年3月、熱田神宮を抱く愛知県神社庁が「神社本庁内における一連の疑惑は、(中略)もはや看過できない」という決議書を神社本庁に提出したほか、4月には神奈川県神社庁と福島県神社庁が、不動産売買疑惑や幹部職員の不倫疑惑に対し、「包括下の全国神社の名誉を著しく損ねる」とする決議書を出し、さらに九州地区の6県の神社庁が連名で、神社本庁が新型コロナへの危機管理対応を激しく非難する緊急提案書を提出した。
「現在の神社本庁執行部への不信感が強い、熱田神宮や出雲大社が金刀比羅宮に続けば、神社本庁は文字通り瓦解しかねない」と前出の神社本庁関係者。一方、神社本庁教化広報部は、金刀比羅宮の離脱理由について「分からない」とした。神社界の自浄が求められている。
どこの世界にもある、人事と金銭がらみの内部紛争(実際には中央と現地との戦い)のような感じです。宗教界とて内実は似たようなものかもしれません。キリスト教でも様々な内部抗争があるように聞いています。
そしてかつてはヨーロッパにおけるキリスト教は、教会を中心として法王と為政者の権威の象徴とされていましたし、日本でも戦国時代までは仏教が政治権力さえも獲得し、栄華を極めていました。信者の方には申し訳ありませんが、その権威とカネのために信者獲得に奔走してきたと言っていい部分があり、今でもその片鱗がうかがえます。
ところでこの記事の中にある富岡八幡宮での殺人事件の被害者が「神社本庁の腐敗を訴え、それが脱退につながった」とありますが、「自身の宮司承認を認めてもらえないことが原因で神社本庁を脱退した」、というDIAMOND ONLINE以外の記事もあり、このコラムが本当に本庁と神社側双方の、公平な主張を伝えているかどうかは分かりません。その点を考慮して読む必要はありそうです。
ただ抗争があるのは事実のようです。部外者がとやかく言うことでもありませんが、各地の神社訪問を楽しみにしている者としては、こういった抗争は見たくも聞きたくもありません。明治神宮など離脱しても復帰するまであまり影響のなかった神社もあるようなので、現状のような神社本庁の存在が本当に必要なのかどうか、検証の時期かもしれません。
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- 日本古来の宗教界を揺るがす、神社本庁と現地神社の抗争とは(2020.06.23)