鬼が笑うか、来年9月の安倍首相の後継選び
新型コロナウイルスの感染拡大が全国を覆いつつある中、昨日東京都を除いた形でGoToトラベルキャンペーンが、今月22日からスタートすることになりました。昨日のこのブログで様々な疑問や批判のある中、なぜ実施に踏み切ったのか、その背景を取り上げました。
一方昨日の全国の新規感染者数は597人と、一昨日の数値622人を下回りましたが、相変わらず非常に多い数字で、第1波の緊急事態宣言下の数字レベルで推移しています。この先22日までに過去最高値720人を上回ることがあれば、このキャンペーンはどうなるのでしょうか。
それはそれとして話は変わりますが、安倍総理の任期もあと1年余りを残すのみとなりました。続投を予想する向きもありますが、もうそろそろ休まれた方がいいという気がします。そこでその後継は誰になるのか興味がわくところですが、野党の中で代わる人材が全くと言っていないところから、やはり自民党の議員がなるのでしょう。
マスコミ関係者の大方の予想は、安倍首相の推す岸田氏と、党員に人気の高い石破氏の両氏のどちらかに絞られています。産経新聞の記事からその両氏の最近の動向を見てみます。タイトルは『岸田・石破氏が大阪夏の陣 ポスト安倍…自民府連取り込みに懸命』(7/17)で、以下に引用します。
「ポスト安倍」を目指す自民党の岸田文雄政調会長と石破茂元幹事長が大阪府連との連携強化に乗り出している。大阪は独自の新型コロナウイルス対策などで注目される吉村洋文知事が副代表を務める日本維新の会の本拠地。次期総裁選を見据え、維新の勢いに戦々恐々とする府連を取り込みたい両氏の思惑も透ける。
■同じ日に会合参加
「しっかり関西・大阪の皆さまと力と心を合わせて努力をしていきたい」。岸田氏は17日、大阪市内のホテルで開かれた府連所属の国会議員や地方議員、経済界との会合でこう強調し、連携強化に意欲を示した。
会合は「新型コロナで疲弊する現場の声を聴いてもらう」(府連幹部)ために開かれたが、裏の目的は岸田氏と府連とのパイプづくりだ。衆院大阪15区選出で岸田派(宏池会)に所属する竹本直一IT政策担当相は「国のトップに立つ可能性が極めて高い」と派閥領袖の宣伝に躍起だった。
一方、石破氏も同日、東京・永田町の事務所からテレビ会議形式で府連組織との会合に参加。吉村氏の最近の活躍ぶりに触れつつ、「維新の力はすごいが、(大阪の自民党に)厳しい時こそ党として支援しなければならない」と述べ、維新旋風に直面する地元議員を勇気づけた。
参加者からは石破派(水月会)として新型コロナの提言をまとめ、政調会長を務める岸田氏へ提出を求める意見も挙がったという。
■官邸・維新の「蜜月」余波
両氏の府連への接近には、首相官邸と維新との「蜜月」も関係している。
大阪では憲法改正などで維新と歩調を合わせる安倍晋三首相や菅義偉官房長官に反感を抱く自民党関係者が少なくない。特に岸田派は大阪選出の国会議員を3人抱えており、維新人気を放置すれば総裁選に向けて遠心力が働きかねないことから、派幹部は「岸田氏の大阪入りの機会を増やしたい」と語る。
一方、石破派に大阪選出の国会議員はいないが、首相と距離がある石破氏はこれまで官邸に対抗するかのように大阪を訪れ、府連との信頼関係を構築してきた。ある地元議員は「石破氏は集会に頻繁に来てくれるが、首相に近い岸田氏は選挙応援にはめったに来てくれない」と述べ、岸田氏を牽制する。
平成30年の総裁選で石破氏は大阪で「決起集会」を開いて1千人を超える聴衆を集めており、岸田氏は大阪での支持の掘り起こしが課題となりそうだ。
1年余りを残している段階で、両陣営とも大阪での党員の支持獲得にしのぎを削っているという見方を示しています。事実なのか記者の憶測なのかは不明ですが、一国のトップに立つのは大変なことなのでしょう。ただ大学入試ではありませんが、トップに立つのが目的では駄目でしょう。トップに立って何をなすべきか、そのあたりの理念や政策を明らかにすることがより重要だと思いますね。
一方、井戸端会議の域からは出ないと思われますが、この二人と共にそれ以外の候補者も含めて、 週刊ポストに掲載された記事を取り上げてみます。タイトルからしてあまり気に入りませんが『安倍首相が後継者選び失敗 自民党「四分五裂」相関図』(7/11)を以下に引用掲載します。
「次の総理」は誰になるのか──歴代最長政権となった安倍晋三・首相にとって“後継者選び”は何よりも「求心力」を維持できる道具だったはずだ。しかし、コロナ対応で安倍首相の重用する後継候補が何の成果も挙げられず、一気に「遠心力」が生まれ始めた。“だったら俺にやらせろ”──。都知事選を圧勝した小池百合子氏が国政復帰を見据えるなか、自民党は四分五裂の状態に陥りつつある。
その最大の原因は、安倍首相が「後継者選び」に失敗したことだ。歴代最長政権を誇る安倍首相にとって、「後継者選び」は自らの権力維持の重要な手段のはずだった。
かつて中曽根康弘・首相(在任5年)は3人の後継者を競わせ、最後は「中曽根裁定」で竹下登氏を後継総裁に指名する力を維持した。小泉純一郎・首相(在任5年5か月)も安倍氏を後継者として養成し、総裁選で圧勝させた。
安倍首相が後継者に据えようとしてきたのが岸田文雄・政調会長だ。面長の顔に顎を隠せない小さなアベノマスクを国会でも議員会館でも着用し続けて首相に“忠誠”を示していることで知られる。首相は自分に決して逆らわない岸田氏であれば、退陣後も「院政」を敷けると考えていた。
ところが、その判断は裏目に出た。自民党内に“ボロ神輿は担げない”という不満が広がったからだ。岸田後継に最も反発したのが菅義偉・官房長官と二階俊博・自民党幹事長だとみられている。
「菅さんは岸田さんと同じ派閥にいたことがあるが、“何がやりたいのかわからない”と政治家としての評価は最低レベルで、“発信力がないから選挙に勝てない”と総理にふさわしくないと考えている。二階さんも同じ党三役として、岸田さんの調整能力の乏しさに失望している」(自民党役員経験者)
安倍首相が昨年の内閣改造でその岸田氏を幹事長に起用して後継レールに乗せようとしたときも、二階―菅ラインが阻止。以来、2人と首相との溝が深まっている。
コロナ対策の給付金でも岸田氏は力量不足を露呈した。首相と会談して所得が減少した世帯への「30万円」給付を決めたと胸を張ったものの、二階氏や公明党に「一律10万円」給付へと一晩でひっくり返された。それを誤魔化そうと〈自民党としても当初から訴えてきた10万円一律給付を前倒しで実施する〉とSNSで発言して恥を上塗りする始末だった。政治評論家・有馬晴海氏が語る。
「岸田氏は外相や自民党政調会長など要職を歴任してきたが、これといった実績は残していない。政界の名門家系の3世議員で宮沢家の親戚というだけで派閥の会長になった。俗に存在感がない人を毒にも薬にもならないというが、政治家の場合は国民にとって毒にしかならない。国難の中でリーダーシップを取れる人物ではないという評価は政界に広く定着している」
“その程度の人物”が総理・総裁候補とあって、「岸田を担ぐならオレが」と首相のお膝元の最大派閥・細田派では、西村康稔・新型コロナ担当相、稲田朋美・幹事長代行、下村博文・選対委員長、萩生田光一・文科相らがポスト安倍に意欲を見せ始めたのだ。
西村氏が新型コロナ対応で出番が増えて知名度を上げると、下村氏と稲田氏はコロナ後の社会を考える「新たな国家ビジョンを考える議員連盟」を設立。“初の女性首相”を目指す稲田氏は他にも「女性議員飛躍の会」や「伝統と創造の会」などを主宰して勢力拡大に動いている。3人とは派内でライバル関係にある萩生田氏も意欲ありと見られている。
第二派閥の麻生派からは河野太郎・防衛相が「岸田後継」に反旗を翻した。新型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備中止を表明し、「次は出る、と言っている」と事実上の総裁選出馬を表明。「岸田支持で派内を一本化したい麻生さんは出馬を止めるだろうが、河野さんは聞く耳持たない」(麻生派議員)という。
安倍首相が後継者の人選を見誤ったことで、細田派、麻生派の主流派から我も我もと“自称後継者”が出現して政権に遠心力が働いている。
それだけではない。コロナ危機は総裁レースの様相を一変させた。岸田氏に次いで首相の覚えがめでたい総理候補とされていた加藤勝信・厚労相はコロナ対策が後手後手に回って評価を下げ、茂木敏充・外相も外交場面そのものがなくなって存在感を失い、レースから脱落しかかっている。
◆石破総理だけはマズい…
それでもなお、安倍首相は岸田後継を諦めていないとされる。理由は「石破さんだけは絶対に総理にしたくないから」(安倍側近)という。
ポスト安倍では岸田氏が地盤沈下する一方で、首相の「政敵」である石破茂・元幹事長が最右翼に浮上し、新聞の世論調査の「次の総理にふさわしい人」で他に水をあけて1位に位置している。
官邸が警戒しているのは総理・総裁選びと検察の動きが連動することだ。河井克行・前法相と案里夫妻の選挙買収事件をめぐる東京地検特捜部の捜査は、自民党本部から夫妻に流れた1億5000万円の“買収資金”の流れの解明を目指している。ターゲットは自民党首脳部だ。
公選法では、「買収行為をさせる目的をもって金銭・物品の交付を行った者」も「買収交付罪」に問われる(221条)。自民党側で河井夫妻に1億5000万円もの資金を交付すると決裁した者にも捜査が及ぶ可能性があるのだ。
買収の舞台となった昨年の参院選で安倍事務所は案里陣営に4人の秘書を派遣し、案里氏の後援会長だった町議も、克行氏から「安倍さんからです」とカネを渡されたと証言している。それだけに特捜部は巨額の党資金の決裁に安倍サイドがどう関わっていたかを注目しているとされる。
かつて田中角栄内閣の跡を継いだ三木武夫首相は、ロッキード事件が発覚すると政敵の田中前首相を守らずに検察捜査にゴーサインを出した。
「今回の選挙買収事件が自民党中枢に波及し、11月危機と重なって次が石破首相になると、“第2の三木”となって捜査を安倍勢力の弱体化に利用しかねない。そうした懸念があるだけに、石破後継を阻止して安倍総理の意向に従う後継者を選ばなければならない」
首相周辺にはそうした警戒の声がある。麻生太郎・副総理の「9月解散、10月選挙」論も石破後継阻止という首相サイドの思惑と一致する。永田町には、解散論の裏に安倍―麻生への「政権禅譲」シナリオがあると囁かれている。
「11月危機で退陣に追い込まれる前に、安倍首相が麻生氏に首相の座を禅譲し、麻生内閣が五輪中止など安倍政権の残務整理をする。9月解散で自民党が議席を減らせば総理交代の口実になるし、一度選挙をやれば自民党議員は当面選挙の心配がなくなるから、来年の総裁選では人気のない岸田氏を総裁に担ぎやすい」(自民党関係者)
麻生リリーフ首相の後に、岸田“傀儡”政権をつくるシナリオだ。
そして、自民党の外からは、東京都知事選で圧勝し、“いつ国政に復帰すべきか”とひそかに野心を燃やす小池百合子氏が、自民党の人材不足を象徴する総理選びの迷走を、舌なめずりしながら見つめている。
麻生さんや小池さんが出てくるあたり、井戸端会議レベルでやや唐突な感じがしないでもありませんが、一つの意見として参考にはなりそうです。
それはそれとして現首相の安倍氏には、あと1年余りの間にぜひやりたいことをやり通していただきたいと思います。憲法改正も重要ですが、効果と実現性を考えた場合、国会の改革が喫緊の課題ではないでしょうか。
国会の運営を真に国民のための法制定が迅速かつ効果的にできるよう、国権の最高機関の本来の機能を果たす場にすべき「新しい国会運営法」なるものを、是非制定願いたいと思います。野党の反対も予想されますが、本質的には国民のためと言う大義がありますから、強行採決をしても立法化すべきだと思います。これが最大の花道となるのではないでしょうか。
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