文政権、宗主国中国の施策にますます近づくのか
国内では昨日東京で新型コロナウイルス新規感染者数が224人と、過去最高を記録したと大騒ぎになっています。全国でも300人を超え、いよいよ第2波の襲来を予告するものかもしれません。今日の新規感染者数の数字が注目されます。
さて視点を一歩国外に向けますと、韓国は最近WTOへ日本を提訴など、多少の反日の動きはありますが、一時ほどではないようです。その理由はボルトン暴露本の影響や北朝鮮による挑発など、日本以外の事案が多くなっているからかもしれません。
そこで本日は最近の韓国事情を産経新聞のコラム「加藤達也の虎穴に入らずんば」から引用して紹介します。タイトルは『韓国に“北朝鮮安全維持法”ができないことを願う』(7/07)です。
文在寅政権が誕生した2017年、韓国では民主化運動を扱った映画が相次いでヒットした。
「1987、ある闘いの真実(邦題)」は北朝鮮のスパイと疑われた学生運動家が取り調べ中に拷問死した1987年の事件に材を取った作品だ。一方「タクシー運転手 約束は海を越えて(同)」は80年5月の光州事件を取材した実在のドイツ人記者と、記者を現場の光州まで乗せて案内したタクシードライバーの体験に基づく。どちらもエンターテインメントとして、よくできた作品だったが、韓国での大ヒット、高評価の背景にはさらに別の要素もあったはずだ。
当時を生きた韓国人にとって、「民主化」の歴史は「独裁」と闘った物語として記憶に刻まれている。
2つの作品は韓国人の“誇らしい共通体験”をくすぐるツボにはまり、朴槿恵前大統領を権力の座から引きずりおろし、文政権を誕生させた“ロウソク革命”の主人公だと高揚した国民に深く刺さったのだろう。
× × ×
2つの韓流「民主化」映画に触れたのは、中国に弾圧される香港の民主派が、デモで政権交代を引き起こした韓国の姿や、映画から勇気を得たという話を聞いたからだ。
韓国メディアによれば、香港の政治団体「香港衆志(デモシスト)」の幹部だった黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏らは先月、韓国の進歩系政党の国会議員と対談した際、「香港の人々も映画『1987』を見て勇気を得た」「(朴前大統領の弾劾を求めた)ロウソク集会の報道にも多く触れ、感動した」と話した。
黄氏らの思いを聞いた後で、文政権の中国に対する姿勢を見ると、香港のご期待に沿えず、切なくなってくる。文政権はむしろ民主化に退行し、独善的な規制強化に向かってきた。
例えば慰安婦問題や、日本統治時代の歴史的事象について政権が「よし」とする見解以外、異論をはさむことを罰則付きで禁じようとしている。
さらに今月中の創設が予定されている「高位公職者犯罪捜査処」は国会議員や裁判官を含む高級公務員の犯罪を取り締まる専門機関だ。政権の利益に反する捜査を進める現在の検察幹部などは「職権乱用罪」が“乱用”されて真っ先にターゲットにされかねない。
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ところで、中国が香港から表現の自由を奪うために導入した「香港国家安全維持法」の威力はすさまじい。施行翌日の1日には抗議デモの参加者ら約370人が逮捕され、市民の間に十分な萎縮効果を生んだ。
これは処罰規定の適用が広範かつ曖昧で、香港に住んでいない外国人にも適用、起訴される恐れすらあるとみられる。スイス・ジュネーブの国連人権理事会では中国が法を施行した直後の先月30日、日本のほか英仏独など27カ国が高度な自治を保障した「一国二制度」を弱体化させると懸念する共同声明を出した。
だが韓国はこの声明に加わらなかった。韓国は日米欧と共有すべき価値観を捨て、中朝のような独裁的な権威主義チームに入ったと解すべきなのだろうか。
民主主義の根幹である表現の自由を制限する一方で、権力の独占を図る法令や制度を持ちたがっているようにも見える文政権。実は香港民主派に冷たいだけではない。自由を求めて北から逃れてきた自国民が風船で北へビラを飛ばすことを禁じ捜査させるなど、脱北者にはもっと冷たい。
北の利益を損なった自国民を北に引き渡すのではと不安視されるが、これは中国の利益を損なった香港人を香港で拘束して中国に送る仕組みと同じだ。古来、国造りの範を中国にならい、国家よりも「民族」を重視する文政権。近いうち、韓国に“北朝鮮安全維持法”が出現するのかな?
まさに文政権の最近の施策は、中国の施策に近いものがあると言ってもいいのかもしれません。そして以前このブログでも指摘したように、文大統領の腹の中は「同胞北朝鮮、そして宗主国中国」への憧憬が溢れているように見えます。
もちろん米韓同盟のもと、朝鮮戦争での戦争相手国である北朝鮮や中国と、停戦状態である現在、おいそれと手をつなぐことはできないでしょう。しかも北や中国は文政権を無視しているのが現状です。
ただ想いが募れば焦がれる相手と結ばれると思っているのか、その思いを伝える手段として中朝の体制に近づいているとすれば、民主国家や自国民に対する最大の冒涜となります。このままそのリスクを抱えながら突っ走るのか、文政権の今後の動向は、引き続き注視していかねばならないでしょう。
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