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2020年9月

2020年9月30日 (水)

文在寅の「北朝鮮寄り」言動に世界が呆れ…ついに韓国が「孤立」した

10_20200929162601  北朝鮮の韓国職員の射殺事件の対応をめぐり、韓国内で議論が渦巻いている中、文在寅大統領が国連総会で演説しました。持論の朝鮮戦争の終結宣言に訴求しましたが、また米国などへの連絡なしに行ったスタンドプレーと見られ、不信感を増大させたようです。

 就任以来親北路線を踏襲し、その結果として日米などの北朝鮮の核開発を懸念する国からは、信頼関係を損ね続けている文大統領。その辺りの最近の事情を法政大学大学院教授の真壁昭夫氏のコラムから引用します。タイトルは『文在寅の「北朝鮮寄り」言動に世界が呆れ…ついに韓国が「孤立」した そのせいで株価も下がっています』(マネー現代 9/28)です。

国連総会演説の波紋

9月24日、韓国の中小企業や新興企業が多く上場する、“コスダック指数”が前日比4.3%下落した。

その背景の一つとして、南北境界線付近の海域で北朝鮮軍が韓国人男性を射殺した事件のインパクトは大きい。

韓国は、北朝鮮による自国民殺害の事実を把握していたと報道されているが、特に目立った対応策をとらなかった。

また、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は国連総会の演説で朝鮮戦争の“終戦宣言”を訴えた。

それについて、韓国は事前に米国などへ連絡をしなかったといわれえている。

事の真偽はともかくとして、そうした行為は米国をはじめ主要国の不信感を高めることになりかねない。

国際社会における韓国の孤立感は徐々に高まりつつあるようだ。

世界の主要投資家は米韓関係の不安定感が高まる展開を警戒し、韓国株を売った。

欧米でコロナウイルスの感染が拡大し、米国の景気回復に息切れ感が出始めたことの影響も大きい。

自国を取り巻く不確定要素が増える中、文大統領は安全保障、経済運営、国際情勢への対応などの点で明確な指針を出せていない。

米国は文政権に明確に立場を示すよう圧力を強めている。

その状況下、外需依存度の高い韓国経済が自力で安定を目指すことは容易ではないだろう。

南北宥和を重視する文大統領への不安

9月24日のコスダック指数の下落には、文大統領の対北朝鮮政策への懸念を強める投資家心理が影響した。

南北の宥和を過度に優先し、国民の安心感を支えることが難しくなるという投資家の懸念が高まり、相対的に経営基盤が弱い新興企業などの株が売られた。

米国の株価下落の影響に加えて、文政権の政策リスクを警戒する投資家が増えていることは軽視できない。

同日、韓国国防部は海洋水産部職員の男性が22日に北朝鮮軍によって射殺され遺体が焼かれたことを発表した。

韓国国内の報道によると、22日の時点で韓国軍は男性が北朝鮮側の海域で漂流していたことを確認していた。

韓国軍は、その後の展開もリアルタイムで把握し、大統領府(青瓦台)に報告したという。

しかし、文政権は対応をとらなかった。

6月に南国の共同事務所を爆破して以降、文氏が目指す南北宥和は行き詰まった。

その後も文政権は対話を呼びかけているが、北朝鮮は応じていない。

つまり、北朝鮮が韓国の主導する宥和や統一に賛同するとは考えられない。

また、北朝鮮はコロナウイルスの流入を防ぐために不法入国者に対する強硬措置を辞さない方針であるとも伝えられている。

そう考えると、なぜ、文政権がいち早く救出に動かなかったかがわからない。

それに加えて、文氏は国連総会での演説(事前収録)で「朝鮮戦争の終戦宣言を実現したい」と述べた。

文氏の見解に関して、「北朝鮮が核開発をあきらめていない状況下で終戦を目指すのは考えられない」と指摘する安全保障の専門家は多い。

南北宥和を重視するあまり、文政権は自ら国際世論から遠ざかっているように映る。

米国が迫る“ショウ・ザ・フラッグ”

南北宥和への不安に加えて、世界の主要投資家は米韓関係の先行きにも注目している。

足許、米国商務省はインテルとAMDに対して、一部半導体製品のファーウェイへの供給を認めた。

米国が許容できる範囲で自国企業の利益を優先することは自然なことだ。

その一方で、米国は同様の許可申請を行ったサムスン電子とSKハイニックスには供給を認めていない。

複数の要因が考えられる中、米国政府内で文政権への不信感が高まっていることは軽視できない。

10月、米国のポンペオ国務長官は韓国を訪問した後、東京で日豪印の外相と“自由で開かれたインド太平洋”構想の推進などに関する会合を開く。

それは、対中包囲網の強化を狙った取り組みだ。

本来、米国の同盟国である韓国がその会合に呼ばれてもおかしくはない。

しかし、米国は4カ国会談に韓国を招かない。

それが意味することは、米国が“安全保障は米国、経済運営は中国、外交面では北朝鮮”の姿勢をとり続ける文大統領に、立場を明確化するよう圧力をかけている。

韓国が米国の陣営にしっかりと参画する意思を表明しなければ、韓国が汎用型の半導体などを中心に対中輸出を増やし、景気の持ち直しを目指すことは難しいかもしれない。

米国の大手信用格付け業者は、コロナウイルスによる世界的な需要低迷によって韓国の自動車や鉄鋼企業の信用力が悪化する恐れがあると指摘している。

それに加えて、閣僚のスキャンダルや北朝鮮問題が社会心理を悪化させている。

文政権がその状況を改善させる展開は想定しづらく、世論は同氏への批判や不満を一段と強める可能性が高まっている。

 文在寅大統領就任から3年4か月余りを経て、今までの親北路線や経済社会主義化の付けが回って来たようです。加えて閣僚や文政権寄りの市民団体のスキャンダルが続き、最近では不支持率が支持率を上回ったという情報もあります。レームダックの兆候が顕著になってきました。

 こうした国内事情に加え、特に米国の信頼が急速に落ちていることが、政権の末期症状に輪をかけています。起死回生を狙って再び反日行動を畳みかけてくることが予想されますが、前安倍政権に続いて菅政権もしっかりとした対応をすることでしょう。文政権、韓国左派政権の崩壊は近いかもしれません。

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2020年9月29日 (火)

え!本当? 中国共産党が「習主席の失脚」を画策…暗殺の危機も!

Hqdefault_20200929114301  中国共産党の最近の相次ぐ覇権行為に、怒りを覚えている人は多いと思います。日本の政界でも二階自民党幹事長のように、そういった行為には目をつぶり、ひたすら親中国の姿勢を崩さない人もいますが、大方の政界人は快く思っていないでしょう。と、思いたいですね。

 昨日のこのブログでも触れましたが、日本は中国との経済的な結びつきが大きくなりすぎました。ちょうどバブルのはじけた時期、グローバル化の波も手伝って我先にと中国に進出し、今や1万数千社、漸くチャイナリスクとコスト高のため、中国から移転企業が増え始めたところです。

 その中国で政変?と聞いてもピンときませんが、昨日のzakzakの記事で、ジャーナリストの加賀孝英氏が寄稿したコラムが目に留まりました。タイトルは『中国共産党が「習主席の失脚」を画策…暗殺の危機も!? 幹部がトランプ政権に新型コロナの秘密データを不正リーク』(スクープ最前線)で、真偽のほどはよくわかりませんが、以下に引用します。

 11月の米大統領選に直結する、ドナルド・トランプ大統領(共和党)と、ジョー・バイデン前副大統領(民主党)による第1回テレビ討論会が29日夜(日本時間30日午前)、開かれる。ただ、どちらが勝利しても、新型コロナウイルスの世界的大流行(パンデミック)を引き起こしながら、軍事的覇権拡大を進める、習近平国家主席率いる中国共産党に対する、米国の怒りは止まらない。こうしたなか、中国内部で「習主席の失脚」を画策する動きがあるという。「親中派」を抱える菅義偉政権への影響とは。ジャーナリストの加賀孝英氏による最新リポート。

*****

Maxresdefault-1_20200929114401  「習主席が危ない。引きずり下ろし工作が激化している」「習氏は生き残りをかけて日米分断に必死だ」「中国のスパイと媚中議員が官邸工作に入った。菅首相は危ない」

 外事警察関係者はそう語った。

 前回の「スクープ最前線」(9月14日発行、台湾緊迫)では、次の極秘情報を報告した。

 ◇トランプ大統領は11月の大統領選前に、南シナ海にある中国の埋め立て軍事基地に対する奇襲爆撃攻撃作戦に「GO!」の決断を下す。中国は「100%勝てない」と震え上がっている。

 ◇習氏は「米国にやられて失脚する」前に攻撃を決断、軍に対して「10月と11月にXデー」を設定、「台湾急襲統一(侵略)作戦」と同時に、日本固有の領土である「沖縄県・尖閣諸島奪取作戦」を同時決行する危険がある。

 全世界が今、米中軍事衝突の危機に緊張している。

 トランプ氏は「習氏がいる限り、中国の暴挙は終わらない」と確信し、習氏率いる中国共産党独裁国家を潰す気だ。以下の重大事項が、米国によって進められている。

 (1)世界全体で3000万人以上が感染し、死者は99万人以上。新型コロナウイルスの感染拡大は、中国が発生源であり、「中国ベッタリ」と揶揄(やゆ)されるテドロス・アダノム事務局長率いる世界保健機関(WHO)の責任だ。国際司法機関に「人類に対する罪」で告発する。

 (2)米国は、コロナ禍の責任を絶対中国にとらせる。米国は全世界の銀行などにある中国共産党幹部の隠し資産を凍結している。総額約1000兆円らしい。全額をコロナウイルス感染の賠償金として没収して被害国で分配する。

 (3)米国と日本、オーストラリア、インドによる、シーレーンを守る中国包囲網「QUAD(日米豪印戦略対話)」に将来、英国やカナダ、EU(欧州連合)、台湾を入れ、民主主義国を結集し、中国完全排除の新たなサプライチェーンを構築する。米国中心のグローバル経済圏から中国を追放し、息の根を止める。

 (4)バチカンのローマ法王に、ともに中国と対峙(たいじ)するように要請した。マイク・ポンペオ米国務長官は「中国ではキリスト教徒を含め、あらゆる宗教の信徒が迫害、攻撃されている」「(中国共産党は)神を党に従わせて、習氏を世俗的な神に祭り上げようとしている」と訴え、聖戦を宣言している。

 中国は絶体絶命だ。

 キース・クラック米国務次官が17日から19日まで、1979年の米台国交断絶後、最高位の国務省高官として台湾を訪問した。クラック氏は蔡英文総統と面会し、李登輝元総統の告別式に参列した。

 中国は半狂乱だ。中国国営放送「中国中央テレビ(CCTV)」は18日、国防部の任国強報道官が米国に対して「死路一条!(お前は死ぬだけだ!)」と叫ぶ声を大々的に報道した。他のメディアも続き、人民の反米感情を煽りに煽った。だが、失敗した。なぜか。

 ■菅首相は「国賓来日中止」明言を 米は懸念

 重大情報がある。習氏が危ない。暗殺の危機すらある。焦点は、WHO内で7月に設立された「コロナウイルスの発生源、中国などの初期対応を検証する独立調査委員会」だ。11月に中間報告が発表される。以下、日米情報当局関係者から入手した驚愕(きょうがく)情報だ。

 「中国共産党幹部らは、習氏を見限った。このままでは中国は破滅する。幹部らは米国に、新型コロナウイルスの秘密データ(=発生場所、作成した犯人、中国の隠蔽工作)をリークしてきた。習氏に責任を取らせ、主席から引きずり下ろし、米国との関係改善を図るためだ。さらに、習氏と習氏一派のスキャンダル(隠し資産の場所、愛人宅の住所、彼らと通じた米政治家の不正の証拠など)まで渡してきた。力ずくだ。居座れば習氏は危ない」

 米国は、菅首相が「大物媚中議員に首根っこを押さえられているのではないか?」と懸念している。それは25日夜の日中首脳電話会談でも、翌26日朝の国連総会でのビデオ映像による一般討論演説でも、南シナ海や香港、台湾、沖縄県・尖閣諸島の問題をとり上げ、中国の暴挙を具体的に批判しないからだ。

 菅首相、外交姿勢はハッキリすべきだ。せめて、「習氏の『国賓』来日は中止する」と、毅然(きぜん)たる態度で明言していただきたい。

 先述の「真偽のほどはよくわからない」とはいえ、まさに「あらまほし」(そうあることが望ましい、好ましい、理想的だ)と言える予測です。習近平氏だけの問題ではないにしろ、彼が国家主席になってから「中国の夢」を語って「偉大なる中華圏の実現」を目指し、少数民族の同化作戦や南シナ海での海洋進出、そして軍事基地化、更には香港一国二制度の破壊等、矢継ぎ早に人権蹂躙、侵略行為を強化し始めたのは事実です。

 ですから加賀氏のこのコラムの通りになれば、世界は一気に緊張の糸が緩むでしょうし、中国共産党の力も弱体化は否めないでしょう。日本企業の更なる撤退を、早急に推し進める必要があります。中国経済の減退は日本を含む世界経済に大きな影響が出るでしょうが、コロナ過よりもまだましかもしれません。何よりチャイナリスクがなくなることは世界にとって朗報です。

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2020年9月28日 (月)

日系企業1700社が中国から移転へ 日本政府の支援策受け

Images-5_20200927203601  米中の対立の狭間で日本の立ち位置、とりわけ対中姿勢の取り方が菅政権の大きな外交課題になっています。もちろん日米同盟下にある強固な米国との関係からは、中国とはつかず離れずという姿勢を取らざるを得ないでしょう。

 ただ香港問題やウイグル・モンゴル問題、それに最近の台湾への中国の強硬な態度など、アメリカが中国に特に関心を寄せている問題に対し、アメリカから何らかのシグナルがあれば、無視できないのも事実です。

 産経新聞など保守的な新聞では、「習近平国家主席の国賓来日を白紙撤回せよ」、というように、中国に強く出ることを望んでいます。民主主義国家としては、度重なる中国の人権無視の政策は無視できないでしょうし、私もそう思います。

 しかし同時に経済に目を向ければ、1万社を超す中国への進出企業や、その他の中国との交易を主としている企業はあり、おいそれと敵対するわけにはいかな事情があります。従って時間はかかるにしても、半ば人質となっているその企業を、可能な限り撤退させるしかありません。

 実は「週刊ポストセブン」が報じる記事で、そのスタートが切られたことが分かりました。タイトルは『日系企業1700社が中国から移転へ 日本政府の支援策受け』(9/27)で以下に引用します。

Images-6_20200927203701  今年7月末現在、中国からの移転を決めた日系企業が約1700社に達していたことが明らかになった。米国政府系報道機関「ラジオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。

 新型コロナウイルスの大流行によって、中国内の日本企業などでの生産が滞り、日本に物品が届かなくなる“サプライチェーン(流通網)の寸断”が発生。これを受けて、日本政府は今年4月、中国進出日系企業のなかで、中国からの移転を決めた企業に補助金を出すことを決め、移転補助金の申請を受け付けていた。

 申請は2期に分けて行われており、6月末までの第1期期間中に移転補助金を申請した企業は87社で、政府は総額574億円を承認している。

 第2期分の締め切りは7月末で、合計1670社から申請が出され、総額では165億7000万ドル(約1兆8000億円)に達した。日本政府は当初、約2400億円の予算を計上していたが、今後、予算を増額するとみられる。

 中国メディアは日本政府のサプライチェーン強化策について、「日本企業が中国から離れるのは短期的には現実的ではない」と伝えていた。しかし、一方で山東大学金融学部の司令本教授は、「新型コロナウイルスの流行で、日本企業は中国にサプライチェーンを集中するのはデメリットが多いと同時に、中国における人件費の上昇や貿易障壁など多くの不確実性があることに改めて気が付き、その結果、中国離れが加速していったのではないか」と指摘している。

 帝国データバンクによると、中国に進出している日本企業は約1万3600社だが、今回の中国からの移転を決めた企業は1757社で、中国進出企業全体の約13%となる。

 また、日本貿易振興機構(JETRO)が2019年に実施した日本企業の調査では、中国での製造コストは日本を100とすると80だが、ベトナムは74、カンボジア65、ミャンマーは60となっており、中国の製造コスト高は否めない。

 これについて、RFAは専門家の話として、中国ではこの10年間で、人件費が大幅に上昇するなど、日系企業は中国での投資コスト高で苦しんでおり、このような状況下で年初から中国で新型コロナウイルスが大流行し、日本政府が中国からの移転を促進する政策を打ち出したことで、「渡りに船」とばかりに中国からの移転を決めた日系企業が多くなってきたのではないか、と報じている。

 記事によると移転を決めた企業はまだ全体の13%だそうですが、今後ともこの政策は強化してもらって、少なくとも過半の企業が移転することを望みます。第2期分までで、予算をはるかに超える補助金申請となっていることからも、予想以上に移転を望む企業が多いと言うことでしょう。

 コロナ対策で数百兆の予定外の出費をしていることからも、コロナの発生源国から早く撤退することが望まれます。そして人権だけではなく、外国企業への不当な扱いなど、世界でもリスクの最も高い国からは早く退散したほうがいいでしょう

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2020年9月27日 (日)

菅政権「デジタル庁」は20年来の「行政手続きのすべてをオンライン化する」公約実現を

R  菅政権が発足して10日余り、働く内閣そして改革内閣として、縦割り行政の打破を始め、今まで手を付けようとして遅々と進まなかった政策を掲げて誕生しました。中でも目玉はデジタル改革、知見の多い平井卓也氏をデジタル改革大臣に据えて、本格的にスタートしました。

 しかしこのデジタル改革、2001年にすでに「行政手続きのすべてをオンライン化する」という公約として謳われていたそうです。その詳細を辛口の評論で有名な、一橋大学名誉教授の野口悠紀雄氏が現代ビジネスに寄稿したコラムで述べています。タイトルは『菅政権新設の「デジタル庁」は20年来の公約違反を解消せよ…! 全行政手続きオンライン化はどうなった』(9/27)で以下に引用掲載します。

「行政手続きのすべてをオンライン化する」という2001年の公約が、いまだに実現されていない。デジタル庁の最初の仕事は、この公約違反状態を解消することだ。

その試金石は、外国では広く行われている運転免許証書き換えのオンライン化だ。それがすぐには難しいとしても、せめて自主返納 はオンライン化すべきだ。それさえできないのでは、事態は絶望的だ。

20年間放置されている公約

デジタル庁設置は、菅義偉内閣の目玉政策だ。

政府内部の仕事のオンライン化がもちろん必要だ。定額給付金でオンライン申請が混乱したこと、テレビ会議が満足にできなかったこと、そして感染者情報把握にいまだにファクスを使っていることなどが問題視された。そうした状況を改善することは、1日も早く必要なことだ。

国民の側からいえば、行政手続きのオンライン化を是非進めて欲しい。 

「2003年までに、国が提供する実質的にすべての行政手続きをインターネット経由で可能とする」。これは、政府の「eJapan 戦略」が2001年に決めたことだ。そのための法律まで作った。

では、この公約はどの程度実現できたか? 現在、政府手続きでオンライン化されているのは、わずか5%だ。ほぼ20年間の公約違反状態!

かくも長きにわたって、オンライン化は絵に描いた餅にすぎなかったのだ。行政手続きには、いまだに紙の書類とハンコが要求される。このため、在宅勤務が完結しない。

スイスのビジネススクールIMDが今年の6月に発表した「IMD世界競争力ランキング2020」で、日本は34位だった。これは、過去最低だ。日本は、1992年までは首位にいた。

デジタル技術では、日本は62位だった。対象は63の国・地域だから、最後から2番目ということになる。

デジタル庁 の最初の仕事は、上記の公約違反を早急に解消することだ。そのためにまず必要なのは反省だ。2001年 eJapan戦略の公約がなぜ実現できなかったのか? どこが問題だったのか?

政府は、この検証報告を2ヶ月以内にまとめるべきだ。反省なくして失敗を克服することはできない。

運転免許証書き換えのオンライン化を

行政手続きのオンライン化ができるかどうかの試金石は、運転免許証更新のオンライン化 だ。これができなければ、他のすべてをオンライン化できても、デジタル化は失敗といわざるをえない。

もともと、日本の運転免許証は、欧米に比べて厳格過ぎる。国によって交通事情は異なるから単純な比較はできないが、アメリカのカリフォルニア州では極めて簡単だ。私は、自分の車を試験場まで自分で運転して行って試験を受けた。

最初に免許を取得する場合はやむを得ないとしても、更新の手続きは、簡略化し、オンライン化すべきだ。視力検査は眼科医でできる。高齢者の認知テストもオンラインでできるはずだ。

私は、20年ほど前に、カリフォルニアの免許証を日本から更新したことがある。2013年1月にEU基準での改正となるまでは、ドイツやフランスの免許証は更新なしで、無期限に使えるものだった。改正後も、15年の期限だ。そして、更新もオンラインでできる国が多い。

世界的標準である更新のオンライン化が日本では簡単にはできないというのなら、せめて、運転免許証の自主返納 はオンラインでできるようにしてほしい。なぜ試験所や警察に出頭する必要があるのか、まったく理解できない。

運転免許証の自主返納では、何の試験も必要ない。本人確認と免許証の真正性が確保できればよい。これができなければ、他の手続きの オンライン化 ができるはずはない。

テストケースとして、まずこれをやってはどうか?これができれば、多くの人が歓迎するだろう。これさえできないというのであれば、事態は絶望的だ。デジタル庁など作っても、予算の無駄使いでしかない。

スマートフォンアプリ化では情報漏出の危険

運転免許証について、デジタル化との関連で政府は何をしようとしているか? 報道によると、運転免許証とマイナンバーの紐付けを行うことを検討しているそうだ。スマートフォンのアプリに保存することで、偽造防止や利用者の利便性向上につなげるのだという。

しかし、スマートフォンのアプリに保存することで利便性が向上するだろうか? その逆に、リスクが高まるのではないだろうか?

万一、スマートフォンを紛失した場合に、情報が漏出する危険がある。また、最近起こっているデジタル決済での預金不正引出し事件を考えると、スマートフォンを紛失しなくとも情報が漏出する危険がある

雇用調整助成金の申請システムなど、政府が作ったオンラインシステムには、情報漏洩事故を起こしたものがある。これを考えても、あまり信頼できない。私なら、こうした問題の深刻さを考えて、とてもこのアプリはダウンロードできない。

国民が望んでいるのは、こうしたことではなく、デジタル化による手続きの簡略化なのだ。

デジタル化とは既得権の切崩し

運転免許証のデジタル化が難しいのは、日本では免許証交付と更新が産業化してしまっているからだ。教習所を含めて、巨額の収入をあげ、膨大な職員を養っている。

高齢者の更新の場合には、安全確保の名目の下に、必要性の極めて疑わしい研修が義務付けられている。多くの人は、金を払ってもよいから教習所まで出向く時間はなしにしてほしいと思っているだろう。そして、コロナ下では、3密を回避したいと、切に願っているだろう。

しかし、これらをデジタル化すれば、現在の利権の多くは失われてしまう。だから決して簡単なことではないのだ。

この問題に限らず、日本におけるデジタル化とは、技術の問題というよりは、利権と既得権を切崩せるかという問題なのだ。これは、決して容易でない。一朝一夕に実現することではない。

まだファクスを使っている!

もう1つの問題は、仮にデジタル化しても、述べた適切なシステム作れるかどうかだ。これについて以下に述べよう。

9月6日公開の「厚生労働省のITシステムは、なぜこうも不具合が多いのか?」で述べたように、コロナ感染の状況を調査するためのシステムは、混迷を極めている。

最初は、NESIDという仕組みで情報を収集していた。これは、医療機関から保健所にファクスで感染届けを送り、それを保健所が集計して都道府県などに送るというシステムだった。ところが、感染が拡大してくると、ファクスではとても処理できなくなる。

そこで、HER-SYSというオンラインシステムが導入された。これは、発生、感染者の経過、濃厚接触者など、必要なデータをすべて処理するものだ。これによって、保健所の負担軽減を目指した。また、国や都道府県、保健所が情報を共有し、対策に生かすことが期待された。5月下旬から導入が始まり、保健所を設置する全国155自治体すべてに入力・閲覧権限が与えられた。

ところが、感染者が多い都市部で、この利用が広がっていないというのだ。9月21日の朝日新聞の記事「HER-SYS 道半ば」が伝えるところによると、東京都では、依然、保健所が医療機関から発生届をファクスで受け取り、HER-SYSに入力している。

横浜市も医療機関による入力は2割に満たず、残りは保健所の職員が打ち込む。大阪府でも保健所が発生届を入力している。保健所の業務量は、増えるだけだという。

デジタル化すればよいわけではない

なぜこんなことになってしまうのだろう?

細かい理由はいろいろあるが、要するに、「HER-SYS使いにくいから、保健所や公共団体にそっぽを向かれている」という単純なことのようだ。「HER-SYSは予算の無駄使い」と言わざるをえない。

いまもっとも緊急に必要な情報がこの有様だ。

「データに基づく判断が重要だ」とはしばしば言われる。まったくそのとおりだ。しかし、現在の日本では、データが迅速に得られず、信頼もできない、という状態なのだ。

接触感染アプリは、HER-SYSの情報をもとにして通知を行っている。HER-SYSが以上のような状況なので、接触感染アプリもほとんど役に立たないシステムになってしまっている。

これからも分かるように、「デジタル化すれば、それでよい」というものではない。使いやすく、効率的な仕組みでなければならない。

ついでに言えば、政府の統計サイトの使いにくさに、私は毎日のように悩まされている。利用者の観点など、まったく考慮されていない。使い方の説明をいくらよんでも分からない。

こうした状況を改善するには、9月13日公開の「日本のITが時代遅れになる根本原因はSIベンダーの言いなり体制」で指摘したように、ベンダーとの癒着を排し、丸投げを是正する必要がある。

しかし、そのためには、発注者が問題を理解する必要がある。これも容易なことではない。

デジタル庁の発足は「来年中」だという。コロナ関連の事案については、残念ながら、間に合わないだろう。

 野口氏の言う通り、使い勝手のいいフォームでなければ多くの人は使いません。しかもデジタル機器の取り扱いに疎い人はなおさらです。使いにくくなっているのは利用者側の視点で入力設計をしていないことでしょう。「SIベンダーの言いなり」と氏は指摘していますが、その通りかもしれません。

 私は以前勤めていた会社で、初めてパソコンを使った人間です。その当時のパソコンは、利用者自身でプログラムを組んで使う必要がありました。BASICというプログラム言語を使用していたのですが、そのマニュアルの出来が悪いことに辟易としていました。ユーザーフレンドリーでは全くなかったのです。つまりパソコンメーカーのSEが利用者側に立たずに、プロである自身の立場で作り込むからこうなってしまうのでしょう。野口氏が言いたいのはこう言うことだと思います。

 もう一つ「既得権との戦い」も指摘していますが、確かにデジタル化の狙いは時間とコストの無駄の削除ですから、その無駄の部分で仕事を得ていた企業や人は大きな影響を受けます。しかし国として最も重要な全体最適を考えれば、そうした無駄にぶら下がっている企業や人たちは、別の活路を見出すべきでしょう。

 それが自由主義社会の当たり前の姿だと思いますが、どっこいこの既得権を失う側から見れば、様々な妨害工作に出てくることは目に見えています。

 突然話が変わりますが地上波テレビの世界がその典型です。NHKを含め、6つのキー局で地方もすべて系列化し独占状態です。もっと言えばメディアの世界全体がこの既得権の巣窟だと思います。彼らは新聞、雑誌、地上波TV、CS、BS すべて系列で固めて、朝日新聞などはAbemaTVでネットまで系列化しています。彼らの多くが言論世界を牛耳って、日本人を思想的に一定方向に向けようとしているようです。少なくともテレビの世界だけは、この寡占状態の既得権を打破しなければならないと思います。

 話を戻してこの既得権、そこに目をつぶれば今までと同じ構図になってしまいます。菅首相や平井大臣、それに河野大臣の手腕を期待したいものです。

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2020年9月26日 (土)

反日日本人の思想の源流、コミンテルンによる日本共産党へのテーゼ

9_20200926114301  以前にもこのブログで述べた、戦前のアメリカと日本に入り込んだ、ソ連共産党が世界に共産主義を拡散しようと作り上げた国際共産党組織コミンテルン。もちろん日米以外にも、その矛先は多くの国に向けられましたが、とりわけ日本の共産主義化を狙っていたようです。

 共産主義化の第一ステップはその国の弱体化です。当時の国際情勢の中で、日本の弱体化を進める最も有効な手段は、対中・対米戦に向かわせることでした。そのためアメリカのルーズベルト政権に深く入り込み、中国の国民党にも共産主義者を入り込ませ、やがて日中戦争、大東亜戦争へ向かわせます。

 コミンテルンは、実はそれ以外にも日本に共産党を組織させ、日本の近代化は全くお粗末で、前近代のままだという教示を拡散することを狙っていました。その毒牙にかかったのが、当時のインテリと言われる進歩的知識人でした。

Lt000134966001121017_xlarge  その詳細を記した書籍が、谷沢永一氏の「反日的日本人の思想」です。この書籍の中では、日本の進歩的な識者と言われる人たちがなぜ強固な反日思想を持っているのか、又左翼共産主義にかぶれているのか、を明快に解き明かしています。その概要はこうです。

 詳細は省きますが、日本は明治維新以降欧米列強に植民地化されるのを阻止しようと、富国強兵、殖産興業に努めました。しかしロシアと言うアジア大陸の北に覇権国家があり、その脅威から日本を守るため、日清戦争、日露戦争を戦い、特に日露戦争はその当時の軍事大国で白人国家ロシアを、黄色人種が初めて破った戦争として歴史に残ります。

 しかしこれをロシア側から見れば大変な屈辱で、またロシア革命への遠因となりました。もちろん革命後の共産主義国家ソ連のスターリンにとっても、日本は第一の報復の相手となります。共産主義革命の世界への拡散を狙った、コミンテルンの標的になったことは火を見るより明らかでしょう。

 コミンテルンは日本にも共産党を組織させ、数々の画策を続けている中で、「日本における情勢と日本共産党についてのテーゼ」と題する文書を作って、日本共産党に授けました。以下谷沢氏の著書から引用します。

神のお告げ”となった運動方針書

 「日本における情勢と日本共産党の任務についてのテーゼ」と題する文書をつくって、日本共産党に授けたのは国際共産党組織(コミンテルン)です。

 ときに1932年4月でありましたから、以後、「三十二年テーゼ」と言いならわされるようになりました。テーゼとは、運動方針書、というほどの意味です。

 この文書は、日本語訳にして1万字あまり、400字詰め原稿用紙になおすと30枚足らず、そんなに詳しく長い記述ではありません。しかし、この文書がいったん日本に伝えられるや否や、わが国における(当時の)すべての共産主義者および同調者はひとり残らず、ただちに平伏し礼拝せんばかりに丸暗記して拳々服庸しました。もちろん共産主義者でない人たちは、こんな阿呆陀羅経を頭から問題にしませんでしたけれど、一方、たとえかすかにでも共産主義に近寄っていたひとびとは、全員こぞって神から与えられた聖典のように恭しく信仰しました。

 それから数えて60年(この書籍は1999年発売です)を超す今日に至るまで、わが国における左翼人であって、なおかつ「三十二年テーゼ」に多少とも批判の言辞を吐いた人はひとりもありません。たとえ一字一句でも、訂正の必要ありと申し立てた人はいないのです。それどころか、少しおかしいぞと、疑義を抱いた人もありません。

 それではなぜ彼らは神から与えられた聖典のように恭しく信仰し、疑義を抱かないのでしょうか。その理由を同書から引用します。

 日本の(当時の)左翼人は国際共産党組織(コミンテルン)に対して理も非もなく無批判に平伏しました。だから、そのお墨つきである「三十二年テーゼ」は天下至上の尊い賜わりものとなります。国際共産党組織はこの地上における最高貴尊の機関なのです。国際共産党組織が間違うことなど金輪際ありえません。国際共産党組織は常に正しく完全に無謬なのです。

 ゆえに「三十二年テーゼ」を疑うのは神を疑うにひとしい冒涜となります。「三十二年テーゼ」は絶対的に正しいと念じて、敬虔に拝脆しなければなりません。

 では、なぜ国際共産党組織は無謬なのか。それは国際共産主義運動の司令塔だからです。その司令塔に、なにゆえ絶対の服従を誓わなければならないのか。理論の筋道は、次のように組み立てられます。

① 共産主義の実現は、人類にとって最高至上なる幸福状態の達成である。

② ゆえに共産主義の闘士は、世界歴史が発展してゆく基本法則の見通しを誤りなく立てているのであるから、その世界認識は透徹していて無謬であり至当である。

③ それら闘士の先頭をゆく職業革命家は、レーニンが太鼓判を捺したように「もっともたしかな、経験に富み、鍛錬された」(邦訳『レーニン全集』5巻493頁)人たちであるから、絶対の信頼を寄せるに足る。

④ こういう職業革命家として、闘争の前衛である秀れた人たちをさらに指導する立場にある各国の代表は、これ以上のぞむべくもない最高の全智全能である。

⑤ その代表が寄り集って合議のうえ出される国際共産党組織の決定は、現代世界における最高至上の洞察であり指導理論である。

 この理論を丸々信じて疑わない、まるで一種の宗教ですね。それもほとんどカルトに近い。そしてこの「三十二年テーゼ」が規定した近代日本史とはどんなものかと言うと、これがまた完全捏造の代物です。

 確かに私の大学在学中に、共産主義を標榜する様々な学生組織があり、その中の日本社会主義青年同盟(社青同)解放派のリーダーが、ロシア革命を異常に礼賛している光景を見ましたが、共産主義思想が大学の教授、学生に広く拡散している様子が見て取れました。さてそれでは、問題の「三十二年テーゼ」には、一体どういうことが書き記されてあるのでしょうか。さしあたり近代日本史に関する論述としては、次のような章句が見られます。続けて引用します。

① 日本は強盗的帝国主義であり、現に帝国主義的強盗戦争をおこなっている。(「強盗」という評語が何回も何回も繰り返し出てきます)。

② 日本独占資本主義は絶対主義的な軍事的・封建的帝国主義であり、軍事的冒険主義である。(「封建的」と念を押しています)。

③ 日本の独占資本は、いまなお前資本主義的諸関係の緻密な網に絡みこまれている(「前資本主義的」と決めつけています)。

④ 日本の国内には封建制の強大な遺物、農民にたいする半封建的な搾取方法、が認められる(「封建制の強大な遺物」を指示し「半封建」と規定しています)。

⑤ 日本資本主義は、軍事的・警察的反動の状況のもとで、また国内における封建制の 遺物の基礎の上で育ってきた(繰り返し「封建制の遺物」が強調されます)。

⑥ 日本はフランスと共にソヴィエトの国に対する出征の発頭人としての役割を引きうけ、反ソヴィエト計画を持っている。

 一読しただけで、いわゆる社会科学的用語における錯乱が明らかでしょう。

 普通に『帝国主義論』と呼ばれているレーニンの著作は、正確な書名が『資本主義の最高の段階としての帝国主義』(全集22巻)なのです。その意味で日本は、帝国主義なんですね。

 日本の左翼人は、特にいちおう学者面している気取り屋は、実は、学者の風上にもおけぬ文字どおりの偽者でした。本来、学者の学者たる面目は、自分の乏しい能力を根かぎりふりしぼって、たとえ僅かでも創意工夫を世にさしだす努力のうえに成りたちます。その根本的な目標である独創を目指さず、「三十二年テーゼ」の奴隷に甘んじた阿呆者たちによって、いわゆる進歩派の論壇がおおいに栄えました。

 戦前・戦中においてすらなかなかの繁昌だったのですから、ましてや戦後は、左翼人が進歩的文化人としての装いをこらし、とんだりはねたりの大合唱となりました。その行きつくところが反目的日本人としての陰湿な論調です。日本という国を非難し、日本近代史を攻撃し、日本の国民性を貶める弾劾の論法こそ、彼らの至りついた究極の姿勢でした。繰り返しますが、そういう方向の議論は、すべて「三十二年テーゼ」の復唱であり言い換えであったのです。

 コミンテルンは既述の通り、日本以外にもその魔の手を伸ばしますが、とりわけ日本を徹底的な攻撃の相手としたのは、ソ連の南下と太平洋への進出の狙いだけではなく、日露戦争への報復が大きいと思います。日本の敗戦間際の参戦や北方領土の不当な占拠、そして北方領土に住む日本人への凌辱や強姦・略奪、満州兵のシベリア抑留と強制労働、すべて報復としか思えません。

 そして日本の敗戦によってGHQが占領政策を実施しますが、その施策の中での公職追放の後で復帰した、多くの敗戦利得者たる共産主義者や進歩的文化人が、この「三十二年テーゼ」を引っ提げて再登場し、過去の日本を非難し、攻撃し、弾劾し、罵倒し、侮蔑し続けて今日に至るのです。そして戦後はこの敗戦利得者に加え、GHQのプレスコードで徹底的に検閲され、一気に左翼の論調に切り替わった多くのメディアが、過去の日本だけでなく、時の政権への批判と、周辺国への謝罪要求をしつこいほど突き付けているのです。そこに日本人が日本を貶める、と言う他の国ではあまり見られない構図が出来上がっています。

 (ただ一つ運命的ともいえる日本にとって良かったことは、ソ連共産党からの占領を逃れ、共産化しなかったことでしょう。これはGHQの遺した最大の日本への貢献といえるでしょう。)

 日本は結局、ソ連の前身ロシアを恐れ、そのロシアの侵攻の防衛のために、日露戦争を戦い、朝鮮を併合し、満州に進出しました。そして革命を経て共産主義国家となったソ連から多くのスパイにかく乱され、前述のように日中戦争を泥沼化にし、米国のルーズベルト政権をほんろうしたコミンテルンによって、日米戦争へと突き進んだわけです。

 もちろん大東亜戦争の要因はそれだけではないにしろ、反共を掲げた日本が逆にソ連共産党に完敗した戦前・戦中の歴史だといえるかもしれません。そして今その共産主義の主役が中国共産党へと交代し、再び日本に立ちふさがっています。共産主義との戦いはまだまだ続くことになるでしょう。

 日韓併合の後始末というおまけもついて、戦後の日本に「謝罪に明け暮れる結果」を残した、何とも言い難いこの百年余りの歴史です。安倍元首相の遺した「戦後レジームからの脱却」をぜひとも達成したいと思いますが、そのためにもこの反日カルト集団を何とかして、日本を普通の国にして行く必要があります。

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2020年9月25日 (金)

独自OSもむなしく、ファーウェイがスマホ撤退か

7_20200922121301  最近メディアを騒がせている、米中戦争の一環として、中国のIT機器やアプリに対する米国トランプ政権の攻撃。その発端はファーウェイの情報窃取疑惑にあります。中国は2017年に「国家情報法」を制定し、国家の情報活動への協力をすべての組織に義務付けるようにしました。

 ファーウェイがこの法律に従い、他国で得た情報を中国共産党に提供することは、間違いないと思われます。特にアメリカはこの点に危機感を感じ、ファーウェイに対し、独自の制裁を課しています。とくに5Gに関しては、アメリカ以外にも多くの国が排除を決定しています。

 ファーウェイは5Gの基地局を始め、世界でも有数な通信設備機器企業であるとともに、スマートフォンでもその成長が著しく、昨年度は韓国ギャラクシーを抜いて世界一になりました。

 アメリカはさらにファーウェイへの部品やソフトの禁輸処置をとり、他の国にも参加を呼び掛けています。それにより昨年世界一の販売数に至ったファーウェイのスマホが大きな打撃を受けるようになりました。その詳細をディフェンスリサーチセンター研究委員の横山恭三がJBpressに寄稿したコラムから引用します。タイトルは『独自OSもむなしく、ファーウェイがスマホ撤退か 経営トップが敗北宣言、最先端技術で米国の壁厚く』(9/14)です。

 8月17日、米商務省産業安全保障局(Bureau of Industry and Security)(以下、BISという)は、中国のファーウェイと関連企業に対する禁輸措置を強化する声明を発出した。

 これにより、米国の技術やソフトウエアを使用して製造された半導体やソフトウエアのファーウェイへの供給が事実上、全面禁止となった。

 また、同声明においてファーウェイの関連企業38社をエンティティリスト(EL)に追加するとともに、これまでファーウェイなどに付与してきた暫定包括許可(TGL:Temporary General License)も失効した旨を明示した。

 ここで、なぜ米国がファーウェイに対する禁輸措置を強化するに至ったかについて、その原因を遠因・中間の原因・近因に分けて筆者の考えを簡単に説明する。

遠因:激しさを増している米中の対立は、覇権国・米国と新興国・中国の覇権争いであると筆者は見ている。

 米国の覇権を盤石にしてきたものは科学技術の発展であることは論をまたない。中国が米国の覇権に挑もうとするなら、科学技術の向上は必須である。

 このため、中国は、サイバースパイ活動などにより米国をはじめ先進国から最先端の技術情報を窃取していると米国は主張している。

中間の原因:中国政府は、米国の技術情報を窃取するために、自国の電気通信会社を通じて、米国で販売される中国製の電気通信の構成品及びシステムに、悪意のあるハードウエアまたはソフトウエアを埋め込む可能性があると米国は主張している。

 そして、第5世代移動通信システム(5G)などのハイテク技術を巡る米中の技術覇権争いの中で、中国を代表するテクノロジー企業であるファーウェイが米国による圧力の矢面に立っている。

近因:ファーウェイ製の電気通信機器が安全保障上の脅威であるとして、米国は、同盟国などに調達しないよう呼びかけ、5Gからファーウェイの機器を排除しようとした。

 しかし、同盟国の足並みが揃わず、かつ欧州やアジアでは、ファーウェイの機器を導入する国が多い状況において、米国はファーウェイに対する禁輸措置を講じ、ファーウェイの最先端半導体サプライチェーンの遮断を狙ったものである。

 さて、最近、ファーウェイがスマートフォン(以下、スマホ)事業から撤退する可能性を示唆する報道が2つあった。

 1つ目は台湾の電子業界紙である「電子時報」で、次のように報じた。

「中国の通信設備大手ファーウェイ・テクノロジーズの幹部は最近、モバイル端末事業から撤退する可能性があると台湾の半導体業界関係者に伝えたようだ」

「米国の禁輸措置強化によりファーウェイのスマホ事業が完全になくなる恐れがあることを示唆したものと受け止められている」(出典:電子時報2020/9/1)

 2つ目は、中国ITメディアの「36Kr Japan」で、次のように報じた。

「8月30日、アップル製品に精通するアナリスト郭明錤(Ming-Chi Kuo)氏が、天風国際証券のウィチャット(WeChat)公式アカウントにて、ファーウェイのサプライチェーンに関する分析リポートを発表した」

「それによると、『9月15日以降、ファーウェイはスマホの部品を調達できるかどうかにかかわらず、競争力と市場シェアで影響を受ける。最低でも市場シェアが減少し、最悪の場合は携帯電話市場から撤退することになるだろう』という」(出典:36Kr Japan 2020/9/1)

 上記の報道よりだいぶ前に、「ファーウェイの海外向けスマホの低迷は深刻である」とする報道もあった。

 中国メディア「財新」は、次のように報じた。

「ファーウェイ輪番会長の徐直軍氏はオンラインで開いた2019年度決算説明会(2020年3月31日)で、アメリカの輸出規制の影響で海外市場での携帯端末事業の売り上げが少なくとも100億ドル(約1兆750億円)失われたと説明」

「調達できなくなったアメリカ製品を代替するため、研究開発投資を大きく増やしたとした」

「そして、徐氏は『このような状況下で、我々は自らの生死を顧みずに2017年や2018年と同等の純利益率を追求することはできない。まずは空いた穴を埋め、サプライチェーンを再構築し、そのうえで生き延びることを第一の目標にしている』と語った」(出典:財新Biz&Tech 2020/4/3)

 本稿のテーマは、半導体とソフトウエアのサプライチェーンを完全に遮断されたファーウェイの動向を探ることにある。

 初めに、BIS声明の概要を述べ、次にファーウェイの最先端半導体の調達問題について述べ、最後にファーウェイの独自モバイルOS(基本ソフト)およびモバイルアプリの開発状況について述べる。

1.BISの声明の概要

(1)これまでのファーウェイへの輸出禁止措置に関する主要事象(時系列)

①2019年5月15日、BISは、ファーウェイと関連企業68社をBISが管理するエンティティリストに掲載した。

 これにより、これら企業への米国製品(物品、ソフトウエア、技術)の輸出・再輸出などは原則不許可となった。

②2019年5月20日、ロイターは、「前記①項の措置を受けて、グーグルはハードウエア、ソフトウエアおよび技術支援の移管を伴うファーウェイなどとのビジネスを一時停止する」と報じた。

③2020年5月15日、BISは、米輸出管理規則(EAR)の一般禁止事項を改正した。

 これにより、ファーウェイなどが設計し、米国の技術・ソフトウエアを用いて国外で製造された直接製品について、ファーウェイなどへの再輸出・米国外から輸出・国内移転をする際には、事前にBISの許可が必要となった。

④2020年5月18日、日本経済新聞は、「前記③の措置を受けて、半導体受託生産の世界最大手、台湾のTSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company)が、ファーウェイからの新規受注を停止した」と報じた。

 これまでに米国のファーウェイに対する禁輸措置の経緯は拙稿『米国のファーウェイ潰しは日本のチャンス』(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/61288)を参照されたい。

(2)今回の声明の背景

 BISは20年5月、米輸出管理規則(EAR)を改正し、ファーウェイが設計に関与し、製造に米国の技術を使う半導体の輸出を禁じるとした。

 当時、BISの念頭にあったのは、ファーウェイが自社で設計し、台湾の半導体大手であるTSMCが生産を担う高機能半導体であった。

 この措置により、米国の製造装置を使っているTSMCは、ファーウェイとの取引はできなくなった。

 しかし、この条件ではファーウェイが設計に関わらない汎用の半導体が規制の対象とならなかった。

 例えば、韓国のサムスン電子や台湾の聯発科技(メディアテック)などが設計する半導体を購入することが可能であった。

 そこで、今回の声明で、禁輸の対象を米国の技術がからむ半導体すべてに広げたものである。

 また、BISは、エンティティリスト掲載企業と契約済みの案件などについて、例外的に取引を暫定包括許可(TGL:Temporary General License)で一時的に許容していたが、今回の声明でTGLが終了したことを明らかにした。

 TGL終了について、マイク・ポンペオ米国務長官は、主にファーウェイの顧客など影響を受ける企業や個人に対し、調達先の変更や事業縮小のための時間を十分に与えたとして、「いまその時間は終わった」とコメントしている。

(3)今回の声明(禁輸措置の強化)の内容

 2020年8月17日、BISは、米輸出管理規則(EAR)の一般禁止事項を改正し、米国の技術・ソフトウエアに基づき米国外で製造された直接製品について、以下の取引を行う場合に、事前にBISの許可が必要とした。

①ファーウェイなどが生産または購入、注文する部品・装置の開発または製造に使用される場合。

②ファーウェイなどが「購入者」「中間荷受人」「最終荷受人」「最終使用者(エンドユーザー)」などの当事者である場合。

 また、BISは、上記改正に加え、ファーウェイの関連企業38社をエンティティリストに追加した。追加企業には、ファーウェイ・クラウド(Huawei Cloud)やファーウェイ・オープンラボ(Huawei OpenLab)など21カ国にまたがる海外子会社が含まれる。

 BISは、ファーウェイがこれら企業を通じて、現行規制を回避していると指摘する。

 また、これまでファーウェイなどに付与してきた暫定包括許可(TGL)が失効した旨を明示した。

(4)ファーウェイへの影響

 今回の声明(輸出禁止強化措置)により、ファーウェイは米国製の製造装置を使用している半導体製造企業からの半導体の調達が絶望的となった。

 また、米商務省は、既にファーウェイに対し、グーグルからのアップデートソフトウエアの一時的な提供許可を延長しない方針を示しており、またその期限も切れている。

 このため、ファーウェイは新規製品に「グーグルモバイルサービス」(注)を搭載できなくなった。それだけでなく、既発売製品についても、「グーグルモバイルサービス」のアップデートが不可能となった。

(注)グーグルモバイルサービスとは、米グーグルが提供するアプリなどをまとめたもので、他のアプリをインストールするための「グーグルプレイストア」のほか、「グーグル検索」「グーグル音声検索」「ユーチューブ」「Gmail」「グーグルマップ」などが含まれる。

2.最先端半導体の調達問題

 半導体集積回路(IC)は、回路線幅を細く、回路を小さくして、たくさんのトランジスタを集積することによって、消費電力を下げ、高速動作(性能)を向上させてきた。

 このため、トランジスタや集積回路(IC)が生まれてから、ずっと回路の微細化が進められてきた。

 10µm(ミクロン=1/100mm)時代から始まった集積回路(IC)はひたすら微細化を実現し、今最先端の製品技術は5nm(ナノメートル=10億分の1メートル)回路線幅の技術まで到達することができた。

 さて、ファーウェイのコンシューマー端末事業CEOの余承東(リチャード・ユー)氏は、「米国からの制裁により、9月15日以降、ファーウェイの独自ハイエンドチップ『麒麟Kirin』は生産停止となる」と述べた。

 米国がファーウェイの供給先に圧力をかけているため、傘下のハイシリコンは主力のKirinチップの生産が継続できない見通しだ。

 余承東氏は「AIチップを製造できなくなるのは我々にとって大きな打撃」だと述べた。

「Kirinチップの性能、コンピューティング能力は非常に強力だ。これは新しい技術であり、我々はこの分野でリードしている」と余氏は述べる。

 しかし、米国の規制により米国の技術を使用しているファウンドリ(半導体受託生産会社)がファーウェイのチップを生産することは禁止される。(出典:36Kr Japan 2020/8/27)

 ファーウェイの半導体チップを受託生産するTSMCは、7月の段階で9月15日以降のファーウェイへの供給はないとしていた。

 これにより、今秋発売予定のスマートフォン「Mate 40」に搭載する5G対応チップ「麒麟(Kirin)9000」が、ファーウェイにとって最後の「麒麟」シリーズのハイエンドチップになる可能性がある。

「麒麟9000」は、TSMCが5nm製造プロセスで生産している。

 現在、5nm回路線幅の半導体を製造できるのはTSMCとサムスン電子だけである。

 高度技術を有する2大メーカーであるTSMCとサムスン電子でさえも、アプライド・マテリアルズ、ラムリサーチ、KLAなどの米国製の製造装置なしでは半導体を製造できない。

 そのため、製造した半導体をファーウェイに出荷するには、米国に対して決して認可されない輸出許可を申請しなければならない。

 ファーウェイにとって残された道は半導体の国内調達である。

 そこで、中国は、自国のファウンドリ大手SMIC(Semiconductor Manufacturing International Corporation)に中国政府系のファンドから22億5000万ドル(約2400億円)を出資し、増産や技術開発に充てようとしている。

 しかし、SMICは、2019年第4四半期に、やっと14nmプロセスでのリスク製造(特定の顧客からのチップ製造の依頼を受けることなく企業独自に先行試験として行う製造)が始まったところである。

 これでは、ファーウェイが必要とする7nmや5nm回路線幅の半導体を製造することはできない。

 結局のところ、ファーウェイは最先端の半導体を調達する道は閉ざされたのである。

 ファーウェイには、旧世代のスマホを生産・販売するか、あるいはスマホ事業から撤退するかの2つの選択肢しか残されていない。

3.独自OSおよびアプリ開発状況

 これまでのファーウェイ製スマホは、OSにグーグルがライセンスフリーで提供しているアンドロイドを使用し、グーグルモバイルサービスを搭載していた。

 2019年5月20日、グーグルはファーウェイとのビジネスを一時停止すると発表した。しばらくは猶予期間があったが、2020年8月17日に暫定包括許可(TGL)が失効した。

 現在、ファーウェイは新製品にグーグルモバイルサービスを搭載できないだけでなく、オープンソースソフトウエアのアンドロイドのアップデートのサービスも提供できない厳しい状況にある。

 ところが、ファーウェイは、米国の禁輸措置によってグーグルとのビジネスが停止することを予測して、独自OSの開発を進めていた。

 2019年8月9日、ファーウェイは、中国・東莞市で開かれたファーウェイの開発者向けイベントで、ファーウェイの独自OS「HarmonyOS(中国語で鴻蒙)」を初公開した。

 中共系メディア英字紙グローバル・タイムズ(Global Times)は、「ファーウェイの自主開発する独自OSをテストするため、OPPO、Vivo、シャオミ(Xiaomi)を含む複数のスマートフォンメーカーが開発チームを派遣している」と報じた。

「HarmonyOS」を何とかモノにしようとする中国の意気込みが感じられる。

 しかし、OSを搭載しただけでは端末は使い物にならない。

 既に、ファーウェイは、他のメーカーの「グーグルプレイストア」や「アップルストア」に相当する独自のアプリ配信ストア「App Gallery」を搭載している。

「App Gallery」が世界に初めて公表されたのは2018年3月にパリで開催された「HUAWEI P20」の発表会である。

 

 そして、2018年10月には「App Gallery」の日本語版の搭載が開始された。

 しかし、10年以上の歴史がある「グーグルプレイストア」と比べるとアプリの数が圧倒的に少ないという厳しい状況にある。

 この状況を打破するために、ファーウェイは、アプリの開発者を募り、「App Gallery」を充実するために10億ドル(約1056億円)を投資する「Shining Star Program」を展開すると発表した。

 また、ファーウェイは、「グーグルモバイルサービス」に相当する「Huaweiモバイルサービス」を開発した。

 ファーウェイは、2019年9月19日、独ミュンヘンで開催された新製品発表会で、「グーグルモバイルサービス」の代わりに「Huaweiモバイルサービス」が搭載された最新モデルのスマホを公表した。

 ただし、同モデルのOSは、ファーウェイの独自「Harmony OS」ではなく、「Android 10」ベースの「EMUI 10」を採用していた。

 以上のようにファーウェイは独自のモバイルOSやモバイルアプリの開発により、米国の輸出禁止に対応しようとしている。

 過去にもアップルの「iOS」やアンドロイドに対抗する動きはあったが、いずれも失敗に終わっている。以下は、ITmedia NEWS(2020年7月3日)からの引用である。

「独自の道を歩み始めたファーウェイだが、過去にもiOSやAndroidに対抗する動きはあった」

「韓国Samsung ElectronicsやNTTドコモが中心となって開発が進められた『Tizen』や、米Mozilla Foundationが展開した『Firefox OS』、米Microsoftの『Windows 10 Mobile』などがそれに当たる」

「Tizenを除く2つのプラットフォームを採用した端末は日本でも発売されたが、鳴かず飛ばずのうちに、サービス提供を終了してしまった」

「原因はさまざまだが、立ち上げ当初に十分な数のアプリがなく、ユーザー数が伸び悩み、そのような状況を見てアプリ開発者が参画しづらい悪循環が起きていたことは共通している」

おわりに

 最先端半導体市場から締めだされた中国はスマートフォンや次世代通信規格「5G」向け機器の生産は難しくなり、米国とのハイテク覇権争いで敗北を喫しかねない。

 中国にとって国産化のペース加速が急務である。

 中国はハイテク産業の育成策「中国製造2025」で、半導体の国内自給率を2020年に40%、25年に70%まで高める目標を掲げているが、半導体市場動向調査会社である米ICインサイト(IC Insights)は、現在その3分の1しか達成できていないと予測している。

 また、同ICインサイトは、最先端半導体を製造するために不可欠な米国製の製造装置を使用することができない中国が、最先端半導体を自給自足できるまでの大きな進歩を遂げることは困難であろうという見方を示し、今後10年以内での自給自足の目標達成は難しいだろうとしている。

 ファーウェイの創業者兼CEOである任正非(レン・ジェンフェイ)氏は、最近負けを認めたかのような発言をしている。

 この発言は今年7月29日から31日にかけて上海交通大学、復旦大学などを訪問した際のものである。

「ファーウェイは、第5世代移動通信という(未知の世界を照らす台に)火を灯したかった。ところがマッチ棒を擦った途端、アメリカが振り下ろした棍棒に打ちのめされてしまった」

「当初は、われわれの法令遵守の手順に何か問題があったのではないかと考えを巡らせた。しかし2度、3度、4度と打ちのめされ、アメリカの一部の政治家はファーウェイの死を望んでいるのだとようやく気づいた」(出典:東洋経済オンライン2020/9/4)

 ファーウェイは、かつてZTEが厳しい条件で米商務省と和解(2018年6月12日)したように米国の軍門に下るのか。今後のなりゆきを見守るしかない。

 ファーウェイがこのままスマホをあきらめるかどうかはまだ分かりませんが、実はそれより日本のスマホが、相変わらずガラパゴスの状態から抜け出していないことの方が気になります。かつて半導体で世界を席巻し、携帯電話でもiモードなど独自の技術でヒットを飛ばした時期もありましたが、今では惨憺たる状況です。夢よもう一度の期待は無理でしょうか。

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2020年9月24日 (木)

菅総理の『自助論』に賛同する理由 国会で「エダノミクス」派と論戦を

Eihrhnu4aebrwb  今回は菅政権に閣僚として呼ばれるのではないか、と一時取りざたされた橋下徹氏のコラムを取り上げます。彼は2万%ないと言っていましたが、私は2億%ないと思っていました。

 それはともかくとして、今回取り上げたのは保守層の中には橋下嫌いの人も多いと思いますが、以前取り上げた田原総一朗氏と同様、これは!と思われる意見もあるからです。特に新型コロナ対策で彼の掲げた、特措法の欠陥、つまり「強制と補償」の欠落を言い当てた時、私の考えと完全に一致しました。それ以来彼独自の一方的な物言いに対し、意見が合わないときもありますが、彼の言動には少なからず注目をしています。

 そして今回取り上げるのは菅新総理に関する彼の見解です。PRESIDENT Onlineに寄稿した『橋下徹「僕が菅総理の『自助論』に賛同する理由」 国会で「エダノミクス」派と論戦を』(9/23)で以下に引用掲載します。

 ◇

 いよいよスタートした菅義偉政権。実務家・改革派をそろえた組閣人事で期待感が高まるが、「自助・共助・公助」に言及した菅氏のスピーチに違和感を示す人もいる。大阪府知事・大阪市長として大改革を進めた橋下徹氏はどう評価するか。プレジデント社の公式メールマガジン「橋下徹の『問題解決の授業』」(9月22日配信)から抜粋記事をお届けします。

*****

菅内閣が進めるのは「安倍政治の完成」である

 はっきり言うけど、菅総理にビジョンがないと言っているメディアはかなり危ないね。万年政権与党の自民党と万年野党の社会党で構成されていた1955年体制の政治から意識が抜け出せていないんだろう。

 自民党が万年政権与党だったときには、自民党内の総裁(=総理大臣)争いによって、ある種の政権交代(疑似政権交代)が起きていた。だから自民党内で総裁が変わるごとに、新総裁のビジョンというものが問われるのが当然だった。

 しかし、今は、形の上では与野党が政権交代する二大政党制を前提としている。

 ということは、自民党は党組織としてのビジョンを掲げて、誰が総裁になったとしてもそのビジョンを実現していくという組織マネジメントが必要になる。

 総裁の属人的なビジョンから、党の組織的なビジョンへ。

(略)

 菅さんは、7年8カ月の間、政府ナンバー2の官房長官として安倍政権を支えてきた。当然安倍政権の掲げたビジョンというものに、菅さんは関与もしているし責任も負っている。つまり安倍政権のビジョンは、菅さんのビジョンでもある。

(略)

 

 菅さんは、安倍政権を基本的には継承すると明言しているのだから、国家像もビジョンも安倍政権のものと同じということで明確だ。

 特にアベノミクスの3本の矢について、安倍さんは金融緩和と財政出動は実現した。他方、成長戦略と言われた規制改革のところが不十分だったと、これまでさんざんメディアや学者は批判していたじゃないか!!

 だから菅さんは、このアベノミクスで不十分だった規制改革に力を入れると宣言した。

 まさに菅さんは、安倍政治を完成に向けようとしているんだ。

 一人の政治家がなんでもかんでもすべて完璧に実現できるわけではない。改革のテーマが大きくなればなるほど、何人ものリーダーが連なって実現するしかない。

(略)

政治において最も重要な目標は国民が「飯を食っていけること」

 政治の目標や目的は考えれば考えるほど無限に出てくる。

 それでもその中から何か一つを選べと言われれば、やはり国民がきちんと「飯を食っていけること」になるだろう。

 ここでメディアを通じて政治評論をおこなう、いわゆるインテリたちの感覚とズレが生じる。

 というのは、政治評論をするインテリたちのほとんどは、飯を食うことに困っていない。だから政治に求める目標や目的が、どうしても「高尚」なものになってしまうんだ。

(略)

 しかし大多数の国民にとって一番重要なことは、ちゃんと飯を食っていけることなんだ。

(略)

 この「国民が飯を食っていけること」という政治の目標・目的から考えると、やはり「失業率の低下」が重要な指標だ。

(略)

 正規雇用者と非正規雇用者がどれだけ増えたか。この点でも安倍政権に対して、非正規雇用が増えただけ!! と批判する者が多い。

 しかし政治に100%の完璧を求めること自体、適切な評価とは言えない。安倍政権ではコロナ禍前までは約500万人の新規就業者が増えて、そのうち150万人が正規雇用の増、350万人が非正規雇用の増である。

 150万人も正規雇用が増えれば、60点の及第点には達するのではないだろうか?

(略)

自助を基本に成長を目指す菅政権か、成長を目指さない「エダノミクス」か?

 ここからは加点事由の話になるが、改革を推し進め、日本の国の潜在的成長率を高めれば、どんどん100点満点に近づいていく。

 雇用も増え、賃金も上昇する。

 菅政権にはこの方向性を目指してほしいというのが僕の論だが、これに対して、枝野幸男さん率いる新・立憲民主党は成長をことさら目指さないということらしい。

(略)

 さらに枝野さんは、菅さんが掲げる「自助」という言葉にも嫌悪感を示す。

 僕は菅さんと同じく、「まずは自分のことは自分でする」という自助がとりあえず基本だと思う。それは個人に責任を押し付けるという意味ではない。自助がなければ成長は生まれないし、さらに自分のことは自分でできる人を増やすことで、限られた税金を、支えが本当に必要な人にできる限り多く配分できるようになるからだ。

 支えが必要な人が多くなれば、支えるための税金がそれだけ必要になる。逆に自助の人が増えて支えが必要な人が少なくなれば、本当に支えが必要な人に多くの配分ができる。

 支える人をしっかりと支えるためにも、自分のことは自分でできる人を増やすべきだ、というのが僕の自助論だ。菅さんも同じだと思う。

 日本の国は成長を目指すのか、自助が基本なのか。

 この点は菅政権と新・立憲民主党で考え方が異なるようなので、まさにこの点を徹底的に国会論戦、党首討論して欲しい。最後は国民が選挙によってどちらの方向性でいくのかを選ぶことになる。

「おかしいよね」を指摘し実際に正すのが改革だ

 僕は成長を目指す派だし、自助が基本。菅さんもそのために徹底して改革をやるのだと思う。

 新規参入を阻んでいる規制が強すぎると、切磋琢磨が生じず成長しない。

 この点、菅さんには国家観がなく、思い付きだけの脈絡のない改革屋だという批判がある。

 アホか!!

 こういう批判をする輩は、改革の「か」の字もやったことのない連中だろう。

 そもそも規制改革とは脈絡のないもの。世の中にごまんとある既得権益を守る壁を、一つずつ見つけては打ち壊していく作業。一つ見つけては一つ正す。ほんと途方もない地道な作業の連続なんだ。

 改革をするのに必要なのは、本で得た知識ではない。「これおかしいよね」と感じる感性と、それを口に出せる勇気。おかしいことを口に出せたら、あとはそれを変えるのみ。

 しかしほとんどの政治家は、そのおかしいことを口に出せない。これまでのやり方をよしとしている人たちから批判を受けるのが嫌だからね。

 悪しき前例主義を改める!! おかしいことは変えなきゃならない!! までは誰でも言えること。

 じゃあ、どこがおかしいのか。どこを変えなければならないのか。ここを具体的に指摘できる政治家はほとんどいない。

 ここで新大臣に就任した河野太郎行革担当大臣が、深夜に及ぶ新閣僚の就任記者会見について「さっさとやめたらいい」と言い出した。

 素晴らしい!!

 これまでの多くの政治家たち、記者たち、官僚たちは、この深夜の記者会見を改めることがなかった。こんな深夜の記者会見くらいのことでも、おかしいとは誰も言い出さない。これが改革の難しさの象徴だね。

 人は皆、これまでやってきたことをそのまま続けてしまうのが普通だろう。これはおかしい! とは、なかなか指摘できない。

 そこを「これはおかしいよね」ということを口に出して、実際それを正そうと挑戦し続けてきたのが菅さんだ。

(略)

 何事に対しても、まずは自分で問題を把握し解決するように努力する。すなわち「自助」が先です。災害時がその典型で先ずは「自助」、そして近くの人同士の「共助」、最後にどうしようもなければ「公助」に頼る。これが普通の姿ではないかと思います。

 つまり一人では動けない高齢者や障がい者、生活困窮者や健康を害した人、幼児などの周りからの助けが必要な弱者は別にして、普通の健康な人であれば「自助」からスタートするのは当然だと思います。自ら努力しようとしない結果として収入が少ないのも、行政が悪い、政府が悪いと他人のせいにする、それではいくら行政サービスに税金を使っても足りません。国家や地方財政を食いつぶしてしまいます。

 以前も取り上げたことがありますが、よく選挙公約で福祉を充実させます、中小企業対策に力を入れます、教育の無償化を実現します等々、行政サービスのみを訴えていますが、サービスを充実させるためには十分な税収やその他の歳入が必要です。そのためには企業においても個人においても、しっかりとした歳入のもとになる付加価値を生み出さねばなりません。

 そのことが今一番日本に必要なことですし、「自助」「自立」を促すためにも、アンフェア―を生み出している、既得権を打破するための規制改革が必要だと考えます。

 更には「これ何かおかしいね」ということの改革も必要です。食料自給率が低いのに耕作放棄地が多い、折角国民に割り振ったマイナンバーが活用されない、偏向報道が言われて久しいのに放送改革が進まない、国会の酷さが目立つがその改革が一向に進まない、等々。菅新総理に頑張っていただきたいことが山積しています。

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2020年9月23日 (水)

菅総理の「韓国スルー」に狼狽する文在寅大統領

8_20200922170901  菅政権が発足して各種世論調査での支持率は、いずれも60%後半から70%台とかなり高い数字を出しています。国民世論の受け取り方として見れば、幸先良いスタートを切ったといっていいでしょう。

 菅総理に懸念される面があると言えば「外交」と言われていますが、早速その懸念を拭い去るように、各国の首脳との電話会談を矢継ぎ早に進めています。

 その中で、安倍政権時代に最悪の関係となった韓国とは、どう向き合うのでしょうか。その辺りの識者の目を通した見解を、元在韓国特命全権大使の武藤正敏氏が、JBpressに寄稿したコラムから見てみます。タイトルは『菅総理の「韓国スルー」に狼狽する文在寅大統領 文大統領に告ぐ、「外交辞令だけでは日韓関係は改善しない」』(9/21)で、以下に引用します。

 文在寅大統領は16日、菅新総理に就任を祝う書簡を送り、「韓日関係をさらに発展させるため共に努力していこう」と述べた。また、丁世均(チョン・セギュン)首相も祝いの書簡で、「未来志向の韓日関係発展のため対話と協力を強化しよう」と述べた。

 これに関して大統領府の報道官は、日本政府といつでも向かい合って座って対話し疎通する準備ができており、日本側の積極的な呼応を期待すると付け加えた。

 しかし、菅総理は何の反応も示さなかった。これについて朝鮮日報は、「菅総理の外交政策の基調が、『コリア・パッシング(排除)』に向かっているのではないかとの懸念がある」と報じ日本が反応しないことに不満を表明している。

菅総理が就任後初の記者会見で韓国に触れなかった理由

 確かに、菅総理は就任後初の記者会見で、米国、中国、ロシアに言及した。北朝鮮についても「拉致問題は前政権同様、最も重大な課題であると語った。しかし、周辺国の中で韓国にだけは言及がなかった。

 韓国は、文政権が祝いの書簡を送ったことで、日本との関係改善を働きかけていると言いたいのであろう。しかし、言行不一致が文政権の特徴でもある。文政権が「何を言うか」ではなく「何をするか」で判断しないと政策を誤ることになる。就任祝いの書簡の中できれいごとを述べても、実態が反映されていない。

 菅政権がなぜ文在寅政権に失望したかは前回の寄稿で明らかにした。

 慰安婦問題で、2015年の合意を実現するため、菅官房長官(当時)は元駐日大使の李丙ギ氏(当時。その後、朴槿恵大統領秘書室長)と合意内容の調整に尽力した。しかしこれを一方的に破棄したのが文在寅大統領である。そればかりでなく李丙ギ氏を逮捕し、拘束した。

 さらに朝鮮半島出身労働者(以下「元徴用工」)問題では、大法院の判決を誘導しておきながら、その判断は尊重しなければならないとして、日本企業の資産の現金化に進んでいる。

 こうした問題について文在寅大統領が態度を改めた兆候はない。それではいくら韓国側の対話の呼びかけに応じても成果はないであろう。

 日韓関係を悪くした元凶は安倍前総理でなく、文在寅大統領本人である。「韓国政府の行動を改めた時に初めて日韓関係の改善ができる」ということを文在寅氏がしっかり認識し、実際に行動に結びつけなくては日韓関係は前進しないのである。

祝いの書簡は最低限の外交辞令

 首脳の交代が関係改善に結びつくことはある。日本で鈴木善幸首相から引き継いだ中曽根康弘首相は、就任直後全斗煥(チョン・ドゥファン)大統領に就任の挨拶のため電話をした。当時、日韓関係は1982年6月に起きた第一次教科書問題のため最悪の状況にあったが、電話を受けた全斗煥大統領の嬉しそうな顔は今でも忘れられない。

 中曽根総理は、就任後最初の訪問国を米国ではなく韓国とし、やはり問題となっていた経済協力問題で合意したが、これを切っ掛けとして教科書問題も決着した。その後、中曽根―全の友情は終生続いた。

 そこには単に外交辞令ではなく、日韓関係に真摯に取り組もうとする両首脳の意思があった。しかし、文大統領の場合、安倍前総理の時代にも「日韓の協力や対話」に言及していたが、違法状態の徴用工問題を改める意思も、合意を一方的に破棄した慰安婦問題で対応を改める意思も示してこなかった。

 菅総理になって、「韓日関係を共に発展するべく努力していこう」と言っても、日韓関係を悪くする原因を自分で作っておきながら、これを改めずにどのように関係発展の努力をするというのか。これまで日本側は様々な交渉の局面で日韓関係を重視する立場から、韓国側に相当な譲歩を続けてきた。しかし、徴用工問題のように、日韓関係の根本を崩す行動、慰安婦のように最終的不可逆的合意を平気で破棄する行為を目の当たりにして、もはやこのような妥協はできないと悟ったのだ。これ以上韓国側が敷いたレールの上で日本側に譲歩を求めても、譲歩できるものではない。

 韓国メディアは「文大統領の祝いの書簡を無視する日本側はけしからん」と言いたいのであろう。日本側もいずれお礼の返書は出すだろうし、儀礼的な対応はするであろう。しかし、文大統領の基本的な対応方針が変わらなければ、書簡を機に関係改善に乗り出すような雰囲気ではない。

 日韓関係の改善に何が必要か考察する。

元徴用工問題の解決を望むなら、仲裁に応じるか、韓国側が独自に解決するかしかない

 文在寅政権は、元徴用工の問題を対話によって解決したいと言う。しかし、文在寅政権の言う「対話による解決」は韓国大法院の判決を前提に韓国側の提案に基づく解決案を協議しようというものであろう。

 菅総理は記者会見で韓国には言及しなかったが、留任した茂木敏充外相は日韓関係と元徴用工問題に言及、「国際法に違反しているのが韓国側であるのは間違いない」と述べた。同時に、「しっかりした対話の中で物事を解決していきたいとの方向は変わらない」とも述べた。これは、対話に言及しつつも「韓国側が違法状態を是正すべき」という従来の見解を改めて強調したものである。

 これまで韓国側の提案してきた案には、国際法違反の状態を解決するような、日本側にとって受け入れ可能な案はない。

 大法院判決並びに関連の判決及び手続により生じた、国際法違反の状態を解決するためには、まず、請求権協定に基づく仲裁に韓国政府が応じることが必要である。そのため、日本政府は19年1月9日韓国政府に仲裁に応じるよう要求した。しかし、韓国政府がこれに応じず日本企業の財産差し押さえ手続きが進んだことから5月20日、協定第3条2に基づき仲裁付託を通告した。それでも韓国政府は仲裁委員任命などの義務を履行していない。

 対話による解決を主張するのであれば、なぜ仲裁を受け入れないのか。あくまでも大法院の判決を尊重するという前提だからである。日韓の成り立つ重要な関係を、国内の手続きで勝手に改ざんし、「日本がこれを受け入れろ」と言ってもそうなるはずがない。

 そもそも、請求権協定では「すべての問題は解決した」としている。わけても元徴用工の問題は、国交正常化交渉の過程で日本側から個人補償の是非を韓国側に打診している。これに対し韓国側は、個人への補償は韓国側がやるので一括して韓国政府に請求権資金を渡すよう求めている。

 これを踏まえ韓国側は過去2度にわたって個人補償を行っている。また、文在寅大統領が秘書室長をやっていた盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権でも日本側に個人への補償をすることはできないと結論付けている。

 このような事実があるにも拘わらず、韓国側の解決案はいずれも日韓双方が出し合って基金を作り元徴用工に配布しようというものである。

 韓国政府は日本との基金案を宣伝し、韓国側の案に日本側が誠実に対応していないとの雰囲気を醸成してきたため、いまさら「韓国側が間違っていました」とは言えないのであろう。しかし、それは事実を認めず、責任も取らない文在寅政権の政治の宿命である。菅政権もこうした文在寅政権には付き合ってはいられない。

 ここで譲歩すれば、韓国側は「ゴネれば日本側が降りてくる」という新たな前例を作ることになるだろう。長期的に日韓関係を構築するためには、文在寅大統領の「ほほえみ外交」には乗らないほうが賢明である。

慰安婦問題の解決を妨害し、政治利用してきた正義連を排除することが不可欠

 請求権協定によって日韓の歴史的関係はすべて解決済みである。それは慰安婦問題も例外ではない。慰安婦だった女性は、貞操を奪われ、そのため家族からも見放され、恋愛、結婚の機会に恵まれず、子供も作ることができないという不幸な暮らしを強いられていた。それでも戦後20年近くが経ち、元慰安婦も少しずつ社会的に復帰しはじめた。そんな時に、韓国政府としては日韓交渉で慰安婦問題を大々的に取り上げ、元慰安婦を再び不幸の底に突き落とすことはできなかった。このため日本政府としても人道的に慰安婦問題に対応することにしたものである。

 それが「アジア女性基金」である。日本国民の募金で集められた基金と日本政府が出した基金で、償い金と医療費合わせて500万円を支給した。しかし、正義連(当時は挺対協)は、これは日本政府の資金ばかりでなく、日本政府が法的責任を認めたものではないとして元慰安婦に韓国政府からの見舞金を渡し、日本からの資金を受け取らないよう圧力をかけた。

 その際日本から償い金等を受け取った元慰安婦に対しては、「日本のカネを受け取るのは売春婦だった証である」として非難した。こうした非難は元慰安婦を最も傷つける発言である。なぜ、「日本からのカネは返しなさい。その代わり韓国政府のカネを渡す」と言えなかったのか。挺対協が慰安婦支援団体であったというより、政治活動を行い、寄付金を集めていた団体だったということである。

 ちなみにその後、韓国政府のおカネを受け取った元慰安婦のうち54人が日本からのおカネも受け取ったようである。挺対協が妨害していなかったならば、多くの元韓国人慰安婦は日本のおカネを受け取り問題は解決していたはずである。

 挺対協がどのような団体であったかは、その後正義連と改称した団体の尹美香(ユン・ミヒャン)前理事長の寄付金、政府補助金の横領、私的利用が証明している。

 代表的な元慰安婦活動家の李容洙(イ・ヨンス)氏は記者会見を行い、「尹美香氏は、政治的、個人的目的のため、自分たちを利用してきた」「処罰されなければならないと」批判した。そして次々とその不正が暴かれていった。

 しかし、政府与党は尹美香氏をかばい続け、尹氏は事件発覚後4カ月がたちやっと在宅起訴されたが、その罪状は実際の犯罪のほんの一部に限られており、未だ議員辞職もしていない。

 文大統領も「慰安婦問題の大義は否定してはならない」と問題の極少化に努め、正義連を守り抜く姿勢を維持している。

 2015年、日韓で慰安婦問題につき合意した。それまで慰安婦問題と言えば韓国政府は挺対協、正義連とのみ協議してきたが、朴槿恵政権はすべての元慰安婦に合意内容を説明、7割の元慰安婦がこれを受け入れた。しかし、文政権は韓国国民がこの合意を受け入れていないとして、これを破棄した。

 文政権は、慰安婦問題で被害者第一主義をうたっているが、実際には正義連と結託しているだけのことである。

 正義連の欺瞞性は、この度のスキャンダルで明らかになった。正義連が元慰安婦を代表していないことも露呈した。韓国政府このような正義連と手を切ることで、慰安婦問題に対しより客観的な対応ができるようになるであろう。

 慰安婦問題も日韓の問題というより、韓国の国内問題になりつつある。文政権が日本に何をするかより、韓国内でどのようになっているかを見れば、日本としてとるべき道もおのずと見えて来よう。

 ◇

 徴用工、慰安婦両案件に対する国際間の取り決めを簡単に覆し、赤外線レーダー照射事件など軍事的な挑発を繰り返す文政権に、何故歩み寄る必要があるのでしょうか。このブログでも何度も取り上げ、申し上げてきたこの厄介で面倒くさい隣国の厄災から逃れるためには、韓国側が解決策を行動で示すまで、完全無視しかありません。

 ですから菅政権の初期対応はこれでいいと思います。間違っても今までのような妥協に屈することがないよう、毅然とした外交対応をして行くことを期待します。そして韓国が解決策を提示し謝罪するまで、「友好国」という表現を決して使わないように願いたいと思います。現実には完全な「敵対国」ですから。

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2020年9月22日 (火)

中国の少数民族弾圧、チベット、ウイグルに続き内モンゴルまで

Magw200909_mongolthumb720xauto214002  中国共産党による少数民族の弾圧、迫害は広く世界に知れ渡っています。しかし日本での実態はというと、メジャーなメディアではわずかにしか報道されていません。そしてその人権蹂躙の酷さは目を覆うべきものなのに、日本で「人権派」と呼ばれる識者や弁護士は、なぜか声を上げません。

 日本の中での政権への「忖度」を、口やかましく非難する人たちが、中国共産党への「忖度」を最大限行っている構図が透けて見えます。

 中国共産党はチベット、ウイグルに続いて内モンゴルまでその魔の手を伸ばしています。アントニオ・グラセッフォ氏がNewsweek日本版に寄稿したコラム『内モンゴルの小中学校から母語教育を奪う中国共産党の非道』(9/10)を以下に引用掲載します。

<ウイグルやチベットに対する中国の人権侵害は国際社会に広く知られているが、内モンゴル自治区の実情はなかなか表に出てこない>

「モンゴル語はモンゴル人の一部。言語を失えば、民族のアイデンティティーを失う」。横断幕にはそう書かれていた。

中国北部の内モンゴル自治区政府は、この9月に始まる新年度から小中学校でのモンゴル語による授業を大幅に減らすと発表。これによって、語文(国語)、政治(道徳)、歴史の3教科が、標準中国語で教えられることになった。

この措置にモンゴル人の保護者が反発。新学期以降、子供を学校に送らなかった。モンゴル人の児童・生徒が約1000人いるナイマン旗地区では、新学期初日に登校した子供が10人にとどまった。

ネット上に公開された動画には、子供を学校から連れ帰ろうとするモンゴル人保護者と、これを阻止しようとする警官がにらみ合う場面を捉えたものもある。BBCによれば、抗議行動に対応するため数百人規模の警官が投入されたある地区では、数時間に及ぶにらみ合いの末に、保護者が警察のバリケードを突破して子供たちを連れ戻した。

モンゴル人の子供たちが「私たちの母語はモンゴル語!」「私たちは死ぬまでモンゴル人!」と叫んでいる動画もある。伝統衣装を着たモンゴル人男性がハラ・スルデと呼ばれる黒い旗を掲げている動画もあった。ハラ・スルデには、敵を倒すためにモンゴル人の精神と力を結集するという意味合いがある。

中国の憲法は、国内の「全ての民族は平等であり、国家は少数民族の合法的権利と利益を守る」と定めている。しかし中国当局は建国以来、少数民族の権利をゆっくりと奪ってきた。

今回の措置も少数民族の同化策の一環だ。モンゴルやウイグルなど少数民族の女性と結婚する漢民族の男性に、多額の手当を支給する地域もある。

内モンゴルの住民には信教の自由もない。中国で許されている仏教信仰は、共産党の中央統一戦線工作部の下にある中国仏教協会だけ。しかしモンゴル人の間に広まっているのは、ダライ・ラマを最高指導者とするチベット仏教だ。中国政府によるチベット仏教やダライ・ラマとの交流への制限は、チベット人だけでなくモンゴル人にも影響を及ぼしている。

国際社会では、新疆ウイグル自治区やチベット自治区に対する中国の人権侵害はよく知られている。それに比べると、内モンゴル自治区の実情はなかなか表に出てこない。

内モンゴル自治区に対する今回の中国の措置は、国境を接する民主主義国家のモンゴルでも大きな注目を集めている。モンゴルの人口は約330万人。内モンゴル自治区では人口約2600万人のうちモンゴル人が400万人を超えており、隣国のモンゴル人口を上回る。モンゴル人同士の情報共有や組織化を阻むため、中国国内で唯一のモンゴル語SNS「バイヌ」は既に当局に閉鎖された。

モンゴルの人々は、内モンゴル自治区の窮状を懸念している。だがモンゴルは中国に対して経済面で大きく依存しているため、強い姿勢には出られない。

モンゴルの輸出の8割以上が中国向けであることを利用し、中国が同国に経済的な制裁を加えたこともある。2016年にモンゴルがダライ・ラマ14世の訪問を受け入れると、中国はモンゴルからの輸入品に高関税を課した。

いま中国が国内に残るわずかなモンゴル文化を抑圧しても、モンゴルの人々は悔しさをのみ込みつつネットを通じて見つめるのが精いっぱいだ。

 チベット、ウイグルに続いて第3の少数民族地域にも、共産主義の浸透と漢民族の入植を図るため、独自の言語や宗教、文化を破壊し続ける中国共産党。これは数世紀前の、欧米の白人による南北アメリカやアフリカ、アジアの植民地と全く同じ構図です。

 ウイグルについては様々な報道がありますが、ここで改めて取り上げてみます。同じNewsweek日本版の記事から引用します。寄稿者はライハン・アサット(弁護士、米テゥルク系民族弁護士協会会長) 、ヨナー・ダイアモンド(ラウル・ワレンバーグ人権センター・法律顧問)、タイトルは『ウイグル人根絶やし計画を進める中国と我ら共犯者』(7/16)です。

6_20200922114201 <男性を収容し、女性に不妊手術を施し、子供を親から引き離すおぞましい民族抹殺計画。ウイグル人の強制労働で作られたブランド製品やその消費者にとっても他人事ではない>

最近伝えられた2つのおぞましいニュースで、中国政府が新疆ウイグル自治区で行なっているウイグル人弾圧の残虐極まりない実態と恐るべきスケールに世界はようやく気づいた。

1つは、米シンクタンクの調査で、ウイグル人女性に組織的に不妊手術が行われている実態が明らかになったこと。そしてもう1つは、米税関と国境警備局が新疆ウイグル自治区から発送されたかつらや付け毛など毛髪製品13トンを押収したというニュースだ。これらは収容所に入れられたウイグル人の髪を強制的に切って作られたと見られる。

この2つの出来事は世界の別の地域で過去に行われた残虐行為とぞっとするほど重なり合う。一部の国々が、少数民族や障害者、先住民に断種手術を強制してきたこと。そしてアウシュビッツ収容所の展示室のガラスの向こうに山積みにされた毛髪の山......。

ジェノサイド条約(中国も締約国だ)では、集団の構成員に以下のような行為を加えることをジェノサイド(集団虐殺)と定義している。(a)殺す、(b)重大な肉体的または精神的危害を加える、(c)集団の物理的な破壊をもたらす生活条件を故意に強いる、(d)集団内の出生を妨げることを目的とした措置を課す、(e)集団内の子供を強制的に他の集団に移す。このうちの1つでも当てはまればジェノサイドと見なされる。夥しい数の証拠が示す中国政府の組織的なウイグル人弾圧は、これら全ての項目に当てはまる。

でっち上げの罪で投獄

ウイグル人は、テュルク系の少数民族で、多くは世俗的なイスラム教徒だ。中国政府は100万人超のウイグル人を強制収容所や刑務所に入れてきた。被収容者は軍隊式の規律を強いられ、思想改造や自己批判を強要される。虐待、拷問、レイプは日常的に行われ、殺されることすらある。生存者の証言から浮かび上がるのは、殴る蹴るの暴行、電気ショック、水責め、心理的ないじめ、中身の分からない注射を打つといった蛮行がまかり通っていること。身体的・心理的に耐えがたい危害を加え続けて、ウイグル人の精神を破壊することが、強制収容所の目的なのだ。

中国政府は繰り返し、「彼らの血筋を断て、彼らのルーツを壊せ、彼らの人脈を断ち切り、起源を破壊せよ」と命じてきた。「逮捕すべき者は1人残さず逮捕せよ」とも。

ウイグル人の出生率を組織的に下げる計画が実施されてきたことも明らかになった。そこから見えてくるのは、ウイグル民族そのものを抹殺しようとする中国政府の意図だ。

ウイグル人弾圧を象徴的に示すのが、この記事の執筆者の1人、レイハン・アサットの兄エクパル・アサットがたどった運命だ。中国共産党は以前、彼を模範的な中国人と認め、ウイグル人住民と新疆ウイグル自治区当局の「橋渡し役」を務め、「建設的な力」になっていると褒めたたえていた。しかし彼は2016年に突然消息を絶ち、伝えられるところによると、「民族の憎悪をあおった」というでっち上げの罪に問われ、15年の刑を言い渡されて服役しているという。私たちは当局に裁判記録の開示を請求したが、なしのつぶてだ。

新疆ウイグル自治区は2017年、「産児制限違反の取締り強化」を打ち出し、それに関連して市町村当局に一連の措置を命じた。目標は「産児制限違反ゼロ」。2019年までに出産適齢期の女性の80%超に子宮内避妊具(IUD)を装着させるか不妊手術を受けさせる計画が実施されることになった。

当局の文書では、2019年と2020年に公費で何十万件もの不妊手術が実施されたことが報告されている。人口1人当たりでは、中国で「一人っ子政策」が実施されていた時期に、全土で強制的に実施された件数をはるかに上回る不妊手術が行われたことになる。

当局は、目標達成のために情報網を張り巡らし、出産可能な年齢の女性を次々に呼び出した。呼び出されれば、強制的な不妊手術を受けるか、収容所送りになるしかない。収容所に入れられれば、注射や人工妊娠中絶を強いられたり、中身の不明な薬を飲まされたりする。

統計を見ると、当局は順調に目標を達成しつつある。

2015年から2018年の間に、ウイグル人地域では、人口増加率が84%も減っている。それと反比例するように、公式データでは、新疆ウイグル自治区における不妊手術の実施率が急増し(中国の他の地域では急減)、それに関連した公的支出も増加している。

徹底した監視システム

自治区のある地域では、2017年と比べ、2018年には、不妊になった女性は124%、夫と死別した女性は117%増加している。また、新疆ウイグル自治区の人口は中国全体の1.8%を占めるにすぎないが、2018年には中国のIUD装着の80%が新疆ウイグル自治区で実施されている。

強制的に装着されたIUDは、当局の許可なしには抜去できない。無断ではずせば、刑務所送りだ。自治区の都市カシュガルでは、出産適齢期の既婚女性のうち、2019年に出産した人は約3%にすぎなかった。自治区内の一部地域の最新版の年次報告書には、組織的な断種キャンペーンを隠蔽するためか、出生率のデータが記載されていない。自治区当局は人口動態データが物議をかもしたため、公式ホームページを閉鎖した。名目上は産児制限違反の取締りと言いつつ、その対象と規模を見れば、ウイグル人の出生を妨げる意図は明らかだ。

男性を収容し、女性を不妊にすることで、中国政府はウイグル民族の血統を完全に絶やそうとしている。分かっているだけでも50万人のウイグル人の子供が親元から引き離され、「児童シェルター」と称する施設に入れられている。

このジェノサイドは極めて特殊な危険性をはらんでいる。高度な技術を駆使して効率的に民族浄化が行われ、なおかつ国際社会の目を巧妙に逸らしているからだ。

最も高度な技術を誇る警察国家が、宗教、家族、文化から人間関係に至るまで、ウイグル人の生活の隅々まで監視の目を光らせ、統制している。監視を効率化するため、新疆ウイグル自治区は網の目状の管理システムを導入。人口約500人単位で市町村を分割し、1区間ごとに警察署を置いて、住民のIDカード、顔、DNAサンプル、指紋、携帯電話を頻繁にチェックしている。

こうした監視を支援するのが、「一体化統合作戦プラットフォーム」(IJOP)だ。監視カメラの映像、スマートフォンなどから個人情報を収集・解析し、収容所送りの「危険分子」のリストを作成する。漢族の監視要員100万人超が、ウイグル人の動きを見張るアプリをダウンロードし、家族間のやりとりなどもチェックし、疑わしい内容があれば逐一当局に知らせている。

中国は世界で最も強引に個人情報に介入する大衆監視システムを運営しているが、国際社会がその実態を知ろうとしても、秘密のベールに閉ざされたままだ。今すぐ調査を実施し、ジェノサイドの性質、深度、スピードを明らかにしなければ、手遅れになる。

ウイグル人弾圧をジェノサイドと認定するかどうかは生死を分ける問題だ。1994年、米政府が延々と議論を続けた挙句に、ようやくルワンダの状況をジェノサイドと認めた時には、100万人近いツチ族が殺されていた。虐殺の嵐が吹き荒れていた1994年5月1日付けの米国務省の文書には、「ジェノサイドと分かれば、(米政府が)何らかの対応を取ることになる」と書かれている。

当時のビル・クリントン米大統領は、その4年後に生き残ったルワンダの人々を前に、米政府の歴史的な過ちを認め、「証拠を目前にしながら、ためらうようなことは二度と繰り返さない」と誓った。

今年5月に米上院で「ウイグル人権政策法案」が可決されたことは、アメリカが踏み出した建設的な一歩だ。これにより、またもや人道的な悲劇が繰り返されることを回避できるだろう。米政府が中国当局にマグニッキー法(「人権侵害や汚職に関与している」とみなす外国人に対して適用する法律)に基づく制裁を科すこと、さらにはジェノサイドなどの残虐行為に対して、正式に非難声明を出すことを盛り込んだこの法案は、上院で圧倒的多数の支持を得た。

誰もが共犯者に

米政府はこれまでに人権を侵害する監視システムの運営とウイグル人の収容所の拡大にかかわったとして、中国の高官4人と1つの機関を制裁対象に指定した。加えて、ウイグル人弾圧をジェノサイドに該当する行為として、正式に糾弾する必要がある。これはそう難しいことではないはずだ。その証拠に、米国務省のモーガン・オータガス報道官は「ウイグルの人々の身に起きていることは......ホロコースト(ナチスのユダヤ人虐殺)以降、私たちが目にした最悪の犯罪だろう」と述べている。

米政府がウイグル人弾圧をジェノサイドとして非難することはただの象徴的な行為ではない。ほかの国々も抗議に加わり、消費者もウイグル人の強制労働などで製造されている80の国際ブランドの製品の不買運動に協力するだろう。中国の工場でウイグル人に現代版の奴隷労働を強い、不当な利益をむさぼっているグローバル企業も、抗議の声が高まれば、サプライチェーンの見直しを迫られる。企業にはジェノサイドに加担して利益を上げるような行為を慎み、倫理的な調達を行うよう強力な圧力がかかるはずだ。

世界各地の人々が経済的にも社会的にも密接に結び付いている今の世界では、ジェノサイドが行われていることを知りつつ知らん顔をしていれば、ただの傍観者ではすまされない。黙っていれば、共犯者になる。

 「身の毛もよだつ」という表現が完全に当てはまる、このウィグル人への弾圧。中国軍による「通州事件」やソ連兵による「シベリア抑留」、朝鮮人による「引上げ者への蛮行」を連想します。日本の戦前の軍や併合国家での汚点についてはかなり誇大視し、捏造も加えて報道するNHKは、これらの事件を始め、ライダイハンやこのチベット、ウイグル、モンゴルの残虐な迫害事件の特集を組んだという記憶はありません。

 同じ公共放送である英国BBCは頻繁に取り上げているのに、NHKは何をそんなに中国に「忖度」しなければならないのでしょう。日本の国際的な人権への取り組みや報道の在り方の抜本的改革も、菅新政権の課題の一つではないでしょうか。

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2020年9月21日 (月)

吉永小百合さん以外にも「共産党の広告塔」、なぜ彼らは左翼に走るのか?

Imgb684372azik4zj  以前このブログで『小川榮太郎氏、吉永小百合さんは共産党の広告塔』という記事を掲載しました。小川氏によれば『「しんぶん赤旗」に見出し、記事として十回も登場している』とあります。そう言えば5月には小泉今日子さんも取り上げられ、このブログに紹介しました。そして日曜版の最新号(9月20日号)では檀れいさんが「ひと」欄に登場しています。

 「しんぶん赤旗」は勿論れっきとした日本共産党の機関紙です。少し前ですが2015年にiRONNAに掲載された記事を参考までに以下に掲載します。

 日本共産党中央委員会と「日本共産党」、「しんぶん赤旗」のホームページによると、しんぶん赤旗は日本共産党の機関紙「赤旗」(せっき)として1928年に創刊(月2回刊行)された。戦後に連合国軍総司令部(GHQ)による一時発行停止などを経て、54年に日刊となり、59年に日曜版を創刊。97年から現在の「しんぶん赤旗(あかはた)」に改題した。

 最盛期の1980年には日刊と日曜版をあわせた発行部数が350万部を超えていたが、2014年1月時点で121万部まで減少。今年1月の党大会で公表された部数は113万部で、減少傾向が続いている。大半は日曜版で日刊の赤旗は20万部前後とみられるが、同党中央委員会広報部の担当者はiRONNA編集部の取材に対し「内訳は公表していない」としている。

 取材記者は約300人にのぼり、政治部や社会部、経済部といった21部署、仙台や大阪、福岡など全国に9総支局、米ワシントンや北京など海外にも特派員が多数おり、一般紙とあまり変わりはない。その他、所属国会議員(衆参計35人)、地方議員(約2800人)、各企業で働いている党員などからも情報が集められるため、取材網は多岐にわたっている。(-中略-)

 ただ、政党助成金を受け取っていない共産党にとって赤旗の購読料が党財政の中心となっており、14年の全収入約225億円の8割以上の約194億円にのぼる。その他は寄付などで賄っているが、赤旗の部数減は党の収入減につながるだけに、年々深刻さを増している。

 実はこの記事の後も発行部数は減少を続け、昨年はついに「100万部割れ」となったようです。朝日新聞の片割れのような記事で成り立っているこの機関誌が減少することは、大いに結構なことだと思います。そして前回の衆議院選で立候補者数を減らしたのは、野党共闘と言う理由以外にも、この財政難が影響しているのかもしれません。

 ただその購読者確保のやり方は極めて酷く、最大の顧客層である全国の自治体の職員への「パワハラ勧誘」や「恐喝まがいの勧誘」が問題となっています。その詳細はこのブログでも『全国自治体を蚕食!血税で「赤旗」購読の異常』というタイトルで紹介しています。

 ところで吉永小百合さんのような芸能人以外にも、この赤旗の記事の常連として、室井佑月氏や青木理氏、山口二郎教授や浜矩子教授など、お馴染みの反日サヨクの面々が登場しています。

 話は変わりますが、吉永小百合さんはこの「しんぶん赤旗」に登場するようになったのは、小川栄太郎氏の『吉永小百合さんへの手紙』にも触れられていますが、彼女はさらに『左翼老人』の著者である森口朗氏が、月刊SPA!に寄稿した『「左翼老人」番外編・左翼思想を布教した著名人』(19/4/23)にも登場します。以下にその記事を引用掲載します。

52dbd7f9f7df8b13e826ebd98a41b3f0550x880 左翼思想が大きな地位を占める芸能界

 左翼思想が彼らの金になっているか、つまりそこに「利権」があるか否かは疑問ですが、業界に左翼が多いので、あまり政治に関心のない者まで、ふわっと左翼に侵されているのが、芸能界です。

 自民党参議院議員の山本一太氏が番組ホストを務める『山本一太の直滑降ストリーム』に俳優の故津川雅彦氏がゲストで登場したのですが、芸能界では珍しい保守派の彼は、「日本の映画人は左翼が多くてアメリカから学ぼうとしない」と嘆いていました。

 津川氏は主に映画で活躍した方だったので「映画人」と表現しましたが、これは芸能界に広くあてはまると考えます。

 関西落語の人としては最も全国的に有名であろう笑福亭鶴瓶氏は、東海テレビが創った『戦後70年 樹木希林ドキュメンタリーの旅』の第2回のゲストに呼ばれ、安倍内閣の安全保障関係法の制定に対して、

「これ、へんな方向に行ってますよ。そら変えなあかん法律はいっぱいあってもね、戦争放棄っていうのはもうこれ謳い文句で、絶対そうなんですが9条はいろたら(いじったら)あかんと思うんですよね」

「こんだけね、憲法をね、変えようとしていることに、違憲や言うてる人がこんなに多いのにもかかわらず、お前なにをしとんねん!っていう」

 と批判しました。落語には何の関係もなく彼は左翼思想を垂れ流したのです。普段、知性と逆のポジションにおり、フジテレビの生テレビでは下半身まで見せた男が、東海テレビでは安全保障を強化する政府を批判するのですから、テレビ局によっては左翼思想がどれほど大きな地位を占めているか解るというものです。

共産党に裁かれていた?地上波TV

 笑福亭鶴瓶氏に限らず地上波テレビに出ている人の中には、左翼に侵されている人が多いのですが、面白くもゾッとするのは「大岡越前」と「遠山の金さん」の主役、つまり(役とはいえ)事件を裁いた人が共産主義者だった点です。

 TBSの「大岡越前」は1970年から1999年まで『ナショナル劇場』で月曜日の20時台に放送されていたのですが、何と29年間一貫して加藤剛でした。彼は、バリバリの共産党支援者で今でも赤旗でそれを明らかにしています。

 これに対してテレビ朝日が長い間放送していた「遠山の金さんシリーズ」は、次々と主役を演じる人が変わっています。年齢によって、杉良太郎(1975年 – 1979年、全131話)、高橋英樹(1982年 – 1986年、全198話)、松方弘樹(1988年 – 1998年、全219話)を思い出す方も多いでしょうが、このシリーズで最初に主役をされたのは中村梅之助(1970年 – 1973年、全169話)(*敬称略)です。

 中村氏は、前進座という劇団に所属していたのですが、そこは1949年に劇団員全員(71名)が日本共産党に入党したという左翼中の左翼集団だったのです。制作したテレビ局がTBSとテレビ朝日(当時はNET)で主役が共産主義者と考えると、中身も今から考えると左に傾いていたのかもしれません。

朝鮮礼賛映画でメジャーになった吉永小百合氏

 吉永小百合さんには高齢者の中に大ファンが多く、女優の中で別格的な地位を持っています。

 しかし、政治的な発言も多く、原子力発電には反対の意思表示を明確にしていますし、沖縄県東村高江周辺のヘリパッド建設が問題になった時には、反対運動側に立ち「そんなに必要なら海兵隊を東京に持ってきたらどうかと思うくらい、申し訳ない気持ちがある」と週刊誌「女性自身」(2016年8月23,30日合併号)で話しています。

 吉永小百合さんが有するムードと今時の「左翼」イメージは合致しませんので、深く考えず「反原発は環境にいい」「軍備を放棄すると平和になる」とシンプルに考えているだけのように見えます。

 しかし、彼女がメジャーになった映画=『キューポラのある街』(監督:浦山桐郎)は北朝鮮への帰国を美化した北朝鮮礼賛映画でした。また、続編『未成年 続・キューポラのある街』(監督:野村孝)では、日本に残った日本人妻を主人公ジュン(吉永小百合)が説得して朝鮮民主主義人民共和国に渡らせるストーリーまで加えられたのです。

 ただし、2017年10月7日にしんぶん赤旗で「共産党に期待します」と明らかにした芸能人や作家、学者がいましたが、そこに名前はありませんでした。

アニメ界の大物も共産主義者か

 2017年10月7日にしんぶん赤旗で正直に「共産党に期待します」と明言した芸能関係者は以下のとおりです。

 いまむらいづみ(女優)、鵜澤 秀行(俳優)。大澤 豊(映画監督)、加藤 剛(俳優)、鈴木 瑞穂(俳優)、高畑 勲(アニメーション映画監督)、土橋 亨(映画監督)、中原ひとみ(俳優)、降旗 康男(映画監督)<*敬称略>。

 左翼っぽい芸能関係者たちも、今では共産党一筋の支持者ではなく、社民党や立憲民主党にもいい顔をしたいのかもしれません。

 ただ、ここにアニメ界の大物、故高畑勲氏がいたのには少々驚きがありました。彼は、宮崎駿氏と並ぶスタジオジブリの監督であり、『おもひでぽろぽろ』『平成狸合戦ぽんぽこ』『ホーホケキョとなりの山田くん』『かぐや姫の物語』などを監督しました。

 共産党支持を明言しなくても監督や主役に左翼っぽい人々は大勢います。戦前、共産主義が違法であったにも関わらず芸能界には共産主義者やそれに影響を受けた左翼っぽい人々が大勢いました。

 芸人的な仕事が現代よりもはるかに軽蔑されていましたから、反政府的、反社会的な思想が彼らに心地よかったのは理解できます。しかし、芸能人が職業として受け入れられている現代にあって、反政府的、反社会的な思想を振りまく姿勢は決して美しいものではありません。

 若い人々が、高齢者の先輩たちを(態度で表せないにしても)心の中で軽蔑し、決してファンを洗脳しないでいて欲しいと願っています。

 いわゆる名のある知識人たちが、共産党シンパになるのは森口氏の言うように軽い気持ちからなのでしょう。そしてこれも森口氏の言うように、彼らが左翼思想家や共産党シンパになるのは、彼らの「利権」とどうつながるのかは分かりません。ただ今の日本共産党はその真実の姿を仮面の下に隠し、弱者に寄り添うなどの甘い言葉で洗脳するのが、極めて得意な政党です。彼らにとって芸能人や芸能関係者は、知名度もあり又洗脳されやすい上得意に映るのかもしれません。

 彼ら芸能人に共産党の真の姿を知ったらどう思うか聞いてみたいものです。 いくら口でごまかしても彼ら共産党のDNAには、ソ連スターリン共産党やコミンテルン、中国毛沢東共産党の血が含まれています。そして今の習近平中国共産党の姿を見れば、それがどんなにひどい政党かわかるはずです。日本共産党は今では中国共産党の覇権主義を批判、異なる立場を鮮明にしています。ただそれも過去に、何度も付いたり離れたりしていますので、本音かどうかは分かりません。そんな得体の知れない政党に「期待する」ことは、国を壊すことになるのだと言うことを、早く気付いてほしいものです。

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2020年9月20日 (日)

韓国大法院最悪の“黒い歴史”となった徴用工裁判と推進した文政権

5166jtpl1l_sx350_bo1204203200_  韓国の李栄薫ソウル大元教授が執筆した『反日種族主義』、その第2弾である『反日種族主義との闘争』が、今月19日、日本でも発売されました。私も前作に続いて購入しました。まだ手元には届いていませんが。

 ご存じのように李栄薫氏は韓国における様々な歴史の捏造を取り上げ、多くの資料を基にそれを覆す記述をされています。韓国内での度重なる誹謗中傷にも挫けず、真実を語ろうというその気概には頭が下がる思いです。日本で韓国の捏造された歴史観をそのまま鵜呑みにしている、左派の識者や政治家に是非講読してもらいたいものです。

 その『反日種族主義との闘争』の記述をテーマにしたコラムを、産経新聞社編集委員の久保田るり子氏が寄稿していますので以下に引用します。タイトルは『「反日種族主義との闘争」が喝破した文政権の本質』(9/19)です。

 日韓両国でベストセラーとなった『反日種族主義』の第2弾、『反日種族主義との闘争』(以下『闘争』)日本語版が今週、発売になった。反日史観を徹底批判した前著は、韓国で反日勢力から罵倒の集中砲火を浴び、反論書は8冊も出た。この反論への再反論が第2弾だ。慰安婦が強制連行による「性奴隷」であったとの説や、いわゆる徴用工訴訟で日本企業に賠償を命じた韓国大法院(最高裁)判決などに対する、編著者の李栄薫(イ・ヨンフン)氏ら執筆陣の批判はさらに研ぎ澄まされたものになった。中国に傾斜する文在寅(ムン・ジェイン)政権の外交政策や反日教育への糾弾も盛り込まれ、左派政権批判の政治色を鮮明にした。

反日教育が教え込む「残忍な心性」

 韓国の首都ソウル市では2年前から小学5、6年生への慰安婦歴史教育を始めたという。そこには「朝から晩まで絶え間ない性暴力」といった表現がある。左派教組「全国教職員労働組合」(全教組)の働きかけなどによるものだ。

 これを李栄薫氏は『闘争』でこう批判する。

 「子供たちに限りなく残忍な心性を教え込んでいる」「日本との友好は永遠にできないという憎悪を植え付けるため、このような教育をしている」

 全教組の教師たちは日本大使館前の慰安婦集会に小学生を動員したこともあったといい、『闘争』では「うそと敵愾心と恐怖心」が子供たちの未来に落とす影と、その高い代償を懸念した。

文政権のルーツは毛沢東主義

 文在寅政権の政治の本質についても指摘した。

 文政権は新型コロナウイルス対策で支持率を上げたが、そのコロナ対策は政権の極端な親中傾斜を象徴したものだった。文政権は中国からの渡航の全面禁止を見合わせ、文大統領は習近平国家主席に慰労の電話をかけて「中国とわれわれは運命共同体だ」「中国の痛みは、そのままわれわれの痛みだ」とも述べている。

 李氏は「文大統領は韓国の未来を“中国の夢”の一環として設定しており、その点を機会あるごとにあらわにしている」と指摘。「彼が固執する理念の政治は韓国の自由民主主義が立脚する共和の枠を超えている」「受け入れることはできない」と述べた。

 朝鮮半島には、歴史的に中国に臣下の礼をとる「冊封体制」下にあった文化的遺伝子がある。だが『闘争』では、文政権の親中傾向は、1980年代の「民主化勢力」が広めた毛沢東主義にこそルーツがある-と喝破。「文政権とその支持勢力はヤヌス(古代ローマの双面神)の2つの顔を持っている。いや、すべての韓国人の顔がそうかもしれない。ひとつは中国に向け両手を広げて笑う親中事大主義者の顔。他の顔は、日本に向け、腕を組んで顔をしかめる反日種族主義の顔」だとして、文政権と反日に染まる韓国社会の核心に迫った。

徴用工問題への鋭い切り込み

 『闘争』で力点が置かれたのが、目下、日韓間で最大の外交争点となっている徴用工問題への歴史家としての分析だ。「徴用工とは一体、誰のことなのか」を史実に即して明確化。2018年10月の大法院による日本企業への賠償判決の内容や、それに対する文政権の立場について徹底的な批判を行った。

 同判決では、元徴用工を名乗る韓国人の原告4人が「反人道的な不法行為」で強制労働させられたと認定し、被告の日本製鉄(旧新日鉄住金)に対し1人当たり1億ウォン(約900万円)の賠償を命じた。

 日本では、この4人が徴用ではなく、募集に応募した募集工だった事実が、彼ら自身が日本で起こした訴訟記録などから広く知られている。にもかかわらず、彼らは韓国では「強制労働させられた」と主張しており、韓国の裁判では奴隷労働を強いられたことになっている。

 『闘争』の論証は、4人の出自から綿密に検証し、彼らが自らの募集に応じた労働者だったことを立証。4人に対して「日本企業による反人道的な不法行為」があったとする判決は全く成立しないことを示した。大法院が4人の労務実態をろくに調べず、「強制動員」の被害者だったと判定したことも暴露された。

 判決が大前提としたのは、「日本の植民地支配は不法」なものであったとする主張だ。しかし『闘争』では、韓国併合や日韓国交正常化の史実の検証から「半世紀後に一国の司法が相手国に賠償を命じることなどあり得ない」と断じ、判決の国際法上の不当性を突きつけた。

 また、判決が固執した日本に対する「個人請求権」は1965年の日韓請求権協定によってすでに消滅していることは国際法上、明白であるとした。このため『闘争』は、判決を、根拠や前提、国際法の観点などから不備だらけの、「触れただけでも崩れてしまう“きびがらの家”と同じ」であると総括。「判決は韓国大法院のぬぐい切れない“黒い歴史”となった。大法院の判事たちは恥をしらなければならない」と痛烈に批判した。

 さらに産経新聞は、ソウル支局の名村隆寛特派員が、李栄薫教授にインタビューした記事を掲載しています。タイトルは『「韓国が国民情緒に支配されている間は希望がない」「反日種族主義」の李栄薫氏単独インタビュー』(9/17)で以下に引用します。

 日本の朝鮮半島統治時代についての学術書で、昨年、日韓でベストセラーになった『反日種族主義』の編著者、李栄薫(イ・ヨンフン)ソウル大元教授が17日までに産経新聞のインタビューに応じ、日本絡みの歴史認識をめぐる韓国国内の現状などについて語った。同書の出版以降、韓国国内で猛批判を受けてきた李氏ら著者は今年5月、続編である『反日種族主義との闘争』を出版。批判を検証、具体的に反論した同書は17日、日本でも邦訳版(文藝春秋社)が販売された。以下はインタビューの一問一答。(ソウル 名村隆寛)

 『反日種族主義』の韓国での発刊から1年2カ月が経った。韓国社会にどれほど影響があったのか

 「韓国ではこれまで11万部が販売された。批判は予想通りあったが、われわれの研究への評価や共感も少なくない。『韓国人は非合理的だ』『日本との外交が感情的だ』『歴史を事実に基づかず歪曲(わいきょく)している』などの反響があった。反対派に比べ多数ではないが、大きな成果があったと感じている」

 著書への批判が熾烈(しれつ)だったと聞いている。執筆者らは市民団体や韓国メディアからの猛烈な非難を現在も浴び続け大変なようだが。メディアや出版界などへの影響は

 「苦労というよりも波乱に富んだ日々だった。テレビ局の記者が日曜日に私の自宅にやってきて強引に取材をしようとしたり、市民団体やネットメディアが他の執筆者の家など、個人情報を暴露するといった露骨な嫌がらせもあった。警察に出頭して事情聴取も受けた。告訴もされた。『反日種族主義』への反論本は9月上旬までで、すでに計8冊出版されている。だが、出版界での左派による一方的な支配は過ぎ去ったのではないか。『反日種族主義』を世に出した成果の一つではないかと思う」

 反論本の著者ら反対論者との公開討論はしないのか

 「正々堂々と討論すべきだ。批判本が出るたびに討論を試みた。すでに何度も公開討論を要求してきたが、討論には応じられていない。こちらの著者はわずか6人。相手側は(同調者を含む)数百人という少数対圧倒的多数にもかかわらずだ。批判勢力は自分たちだけで集まって討論している」

 その反論への「反論」として、韓国で今年5月に続編ともいえる『反日種族主義との闘争』が出版された。日本でも今月発売された

 「さまざまな反論が出たことに対し、『このまま黙ってはいられない』と思った。他の執筆陣も同様だ。一つひとつ事実や記録資料に基づき、具体的に反証、反論をした」

 文在寅(ムン・ジェイン)政権や韓国政府からの反応は。前法相のチョ・グク氏は昨年、「吐き気がしそうな本だ」と酷評したが

 「大統領府からの反応は特にない。圧力も受けていない」

 与党「共に民主党」の議員ら左派系は「国を売り渡した。売国行為」などと批判しているが、保守サイドからの反応はどうか。

 「残念ながら、保守系野党からの目立った反応はない。与党が大勝した4月の総選挙では保守系の候補が『親日派だ!』と猛批判を受けた末に落選した。保守系野党は政権与党を批判しても、問題が日本になると沈黙してしまう。個人的に会えば敬意を表してくれても、公開の場では国民の反日感情を考慮し、選挙で落選することを恐れて何も言わない。韓国政界での限界、野党の最も大きな限界だ」

 第1弾はベストセラーになったが、韓国の歴史研究家や韓日関係の専門家には必ずしも肯定的には見ていない者もいる。感情的な拒否感もある。これをどう変えていくのか。韓国は今後、どう変わっていくか

 「今の韓国には韓日関係や日本の専門家なんていないも同然だ。いるとしても、(真実を)分かっていても、言うべきことを言おうとはしない。国民情緒に支配されている間は希望がない。ただ、『反日種族主義』を読み、われわれに同感し支持している国民も少なくない。保守系メディアの中にはわれわれの主張を肯定的にとらえる論調も出てきている。韓国は現在、岐路に立っている」

 第2弾の『反日種族主義との闘争』では、いわゆる徴用工問題をめぐり日本企業に賠償を命じた韓国最高裁の判決(2018年)を特に強く批判しているが

 「判決文を読み、原告(4人)の主張の相当部分が嘘であると判断した。10年ほど前に原告と似たような主張をする人々に会い、嘘を感じ取った。前作では韓国最高裁判事に『虚偽の可能性が高い主張を検証しない裁判が有効なのか』と問うた。今回、原告の証言や経歴を検証し、彼らが主張する『給料をもらったことがない』『日本企業にだまされた』のではなく、『企業の募集広告に応募し、賃金を受け取っていた』ことが判明した」

 韓国最高裁判決に対し日本政府は「請求権問題の『完全かつ最終的』な解決を定めた日韓請求権協定に明らかに反している」との立場だ

 「その通りだ。原告が未払い賃金の支払いを求めるのなら、最初から請求権協定に従い、自分たちの国(韓国)を提訴すべきだった。(1990年代以降に)日本を相手取った日本での訴訟がそもそも、韓国の名誉をおとしめた。『反日種族主義との闘争』では、韓国最高裁の判決を『拭えない黒い歴史』と表現している。裁判官にはぜひ読んでほしい」

 執筆者(李栄薫氏ら)は元慰安婦や元徴用工の遺族らから名誉毀損(きそん)罪で刑事告訴された。対日歴史認識をめぐり、韓国ではこれまで、『親日派のための弁明』の著者である金完燮(キム・ワンソプ)氏の敗訴が確定し、『帝国の慰安婦』の著者、朴裕河(パク・ユハ)氏も2審で敗訴している。韓国の裁判はポピュリズムで左右される。不利なのでは

 「その通りだ。裁判の行方は分からないが、準備はしており覚悟はできている。韓国の裁判は法の原理や精神に従ってというよりも、政治的な視点の上に成り立っている面がある。状況は流動的だ」

 『反日種族主義』の出版のために、かえって韓国大統領府がかたくなになり、日韓関係に否定的な影響を与えたとの意見もあるが

 「それはない。むしろ逆だ。徴用工問題での日本企業の資産売却や、韓日の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄の可能性は高まった。だが、いずれも現時点では実現していない。われわれの著書が韓日関係悪化に火をつけたというよりも、韓国側での対日強硬姿勢は弱化したといえる」

 韓国では「韓日関係が悪いのは安倍(晋三前首相)のせいだ」という主張が多い。これをどう見るか

 「安倍氏に対する誤解だ。朴槿恵(パク・クネ)政権当時、朴氏は海外で安倍氏に批判的な反応を示した。慰安婦問題をめぐって日本がそれまで、何度も謝罪し、(日本政府主導で創設された)アジア女性基金からも元慰安婦の女性らにカネ(償い金)が支給された。それなのに、慰安婦問題をめぐり日本に要求を続けた。15年には日本と政府間合意をし、日本から10億円を受け取り、元慰安婦のための財団を作り彼女らにカネを支給した。だが、文在寅政権は財団を解散させた。国同士が約束をしていながら、これを一方的に破棄することは日本としては当然、受け入れられないことだろう。金を受け取っていながら、これを繰り返している。韓国のよからぬ政治、メディアの宣伝のせいだ。あってはならないことだ」

 元慰安婦の支援団体「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯」(正義連・旧韓国挺身隊問題対策協議会=挺対協)による不正疑惑で、正義連の前理事長で与党「共に民主党」の尹美香(ユン・ミヒャン)国会議員が横領や詐欺などの罪で在宅起訴された

 「正義連は元慰安婦の女性を利用した左派の運動団体に過ぎない。元慰安婦の声を代弁し、国民を代表しているかのように振舞ってきた。そして韓国政府を動かし、日本への謝罪と賠償の要求を続けるという現状を作った。独島(トクト=竹島の韓国での呼称)の領有権問題にも言えることだが、韓国は自ら問題に火をつけ煽って騒いでいる。軽はずみな行いだ。問題に一喜一憂せず、長い流れの中で歴史を見つめるべきだ」

 李栄薫氏の見解はまさに日本の保守論壇の言う、韓国に対する見解とほぼ同じです。そしてその見解の背景にはしっかりとした史実の研究、資料の下支えがあり、氏の見解の反対論者が氏と討論をしたがらない理由は、おそらくここにあるのだと思います。つまり反対論者側は彼らの主張に見合う証拠を何も持っていないからでしょう。

 李栄薫氏は、彼らの研究や出版に関し、韓国政府からの大きな圧力はないと言っていますし、日本政府もこの著書をもとに過度に介入するのは好ましくはありませんが、少なくとも多くのマスコミがそれを取り上げるべきだし、識者も特に韓国に肩入れしている人は講読すべきでしょう。

 間違ってはいけないのは、韓国には李栄薫氏や彼と同じような人はいるにしても、圧倒的多数の人は、韓国の教育や報道により、韓国の捏造した歴史観に染まり切っていると言うこと。そしてその最も反日的捏造歴史観を持ち、それをもとに政策を組み立てている文在寅大統領が、今政権の座についていることでしょう。

 菅政権はその事をしっかり踏まえて、対韓政策を進めなければなりません。そしてこれまでの謝罪外交とはきっぱりと縁を切り、韓国側が捏造した歴史をもって日本との外交を進めようとしたら、徹底的にそれを論破し、決して妥協しないことを望みます。その姿勢を日韓外交の基本に置くべき時期が来ていると、強く思います。

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2020年9月19日 (土)

世界の要人が丸裸!中国が集めていた驚愕の個人情報、安倍元首相の情報も

_810421_01810x421  菅新総理の肝いりで始めたデジタル改革、昨日のブログでも取り上げました。日本のデジタル化が世界の中でも遅れているのは周知の通りですが、逆に中国では恐ろしいほど進んでいます。ファーウェイやTikTokへの対応を見れば、インターネット先進国アメリカさえも脅威を感じるほど、中国のデジタル技術は最先端を突き進んでいるようです。

 中国のデジタル技術の進歩は勿論、共産党政権を維持するために、軍事、経済、治安の3つの面からの、必然的な要求からきているものと思われます。軍事は勿論、装備のハイテク化とインテリジェンスへの活用、経済に関しては他国の技術や経済情報の盗み取り、そして治安に関しては国民を個人レベルまで監視して、共産党への抵抗分子を排除するためです。

 そうした様々な情報収集の網が、国内に限らず外国へも伸びています。その辺りの詳細をジャーナリストの福島香織氏がJBpressにコラムを寄稿していますので引用します。タイトルは『世界の要人が丸裸!中国が集めていた驚愕の個人情報 国有系企業が240万人の個人データを収集、安倍元首相の情報も』(9/17)です。

 中国・深圳に拠点を置く国有系企業「振華数拠信息技術有限公司」(以下、振華データ)が世界の政界財界関係者、軍事関係者を含む240万人分の個人データを集めていたことが明らかになり、世界を震撼させている。すでに多くの専門家がそのデータの分析を進めており、データの入手方法や入手目的などについて議論が交わされている。

Images-4_20200919113501 世界の要人、軍事関係者の個人情報を収集

 オーストラリア放送(ABC)、英国デイリー・テレグラフ、インドのインディアン・エクスプレスなどが9月14日に報じたところによれば、北京大学滙豊商学院(深圳)で教鞭をとった経験がある米国人経済学者、フルブライト大学(ベトナム)のクリス・バルディング教授が、偶然このデータベースを発見し、告発した。

 問題の振華データは2017年に設立したばかりで、深圳のハイテク産業が集中する同市南山区に本部を置いている。業務は海外のさまざまなデータを収集・分析し、中国国内機構に提供するというもので、オフィシャルサイトでもそのように説明されていた(この騒動が表沙汰になった後は、同社の公式サイトは封鎖されている)。

 振華データのデータベースは通称「海外核心情報データベース」(OKIDB:Oversea Key Information Database)と呼ばれ、大きく人物データベース、機構データベース、コンサルティングデータベース、関連データベースの4つにわかれている。公式サイトでは、240万人分のデータがあると説明されていた。

 このうち人物データベースには、全世界の軍部、政界、ハイテク業界、メディアの関係者、民間組織リーダーなどのデータがそろっており、彼らのツイッター、フェイスブック、LinkedIn、インスタグラム、TikTok、ブログなどの資料を合わせて個人カルテが作成されている。

 さらに機構データベースでは、世界各国の核心的機構についての情報があり、それが人物データベースとリンクされている。

 報道を総合すると、振華データは中国政府および中国共産党、人民解放軍を主要顧客とし、世界の著名人の個人資料データベースを作ることを請け負っているという。

 ネットセキュリティー専門家たちが、バルディング教授が入手したデータを調べたところ、米国のトランプ大統領、英国のボリス・ジョンソン首相、日本の安倍晋三前首相、オーストラリアのモリソン首相、インドのモディ首相など世界の要人および軍人、ロイヤルファミリー、財界人、芸能人らの詳細な個人資料が含まれていることもわかった。また知名度は比較的低いが、経営者、学者、社会運動家、犯罪者などの個人情報もあったという。

振華データは政府との関わりを否定

 振華データの親会社は国有企業の振華電子集団で、本部は貴州省貴陽にある。貴州省といえば、ビッグデータ産業の新聖地として習近平の肝煎りで「貴安新区」が2014年に制定されたことを思い出す人がいるだろう。振華データの王雪峰CEOはもともとIBMに勤務し、かつて中国のSNS微信上で「データを利用した情報戦」を支持する発言をしたことがある。

 BBCが振華データのサイトを通じて関係者に連絡をとったところ、「メディアの報道は無から有を作り出している」と述べて報道内容を全面否定した。またインディアン・エクスプレスによると、ニューデリー駐在のある中国外交官が匿名で「中国が、かつて企業や個人が保持している個人情報の提供を要求したことはないし、これからもしない」とコメントしている。ただし中国当局と振華データとの関係についてはノーコメントだったという。

 当社は一民間企業であり、中国政府とも人民解放軍とも無関係であり、一般の商業行為に従事しているだけであり、メディアが歪曲して報道している、というのが振華データとしての公式の立場である。

ダークウェブサイトからも情報を入手か

 バルディング教授は昨年(2019年)、中国の大手ハイテク企業ファーウェイのリサーチを行う過程で、このデータベースを偶然見つけたという。最初は中国共産党の監視対象である運動家・活動家のデータだと思っていたが、調べていくうちに、対象が全世界の多種多様の要人であることに気付き、中国のネット監視やデータ収集能力、インテリジェンスへの投資とその影響力を過小評価してはならないと考え、告発を決心した。

 バルディング教授は振華データ関係者を通じて、データベースの複製を手に入れ、オーストラリアのネットセキュリティー企業「Internet 2.0」のロバート・ポッターCEOの協力を得てデータの中身を分析した。さらに世界各国、メディア、ジャーナリストに資料を提供し、報道するよう求めた。個人ブログサイトでも9月14日に声明を発表した。

 資料のほとんどは、ツイッターやフェイスブックなどの公開情報をもとに収集したものだったが、住所、電話番号、生年月日、職業履歴や家族構成、銀行口座の番号のみならず、中には銀行の取引記録や、診療カルテなど、非合法に入手したと思われる情報も含まれていたという。

 台湾・国防安全研究ネット作戦コンサルタント安全研究所の曽怡所長が米国の政府系放送局「ラジオ・フリー・アジア」の取材に答えて、こうしたデータはダークウェブサイトを通じて入手した可能性がある、と指摘していた。ダークウェブサイトとは、閉じられたネットワーク上に構築された匿名性の強いサイトで、ハッカーたちがコンピュータウイルスやハッキングツール、あるいは麻薬や犯罪に絡む取引をしており、一部国家のインテリジェンス機関関係者も出入りしているという。特定の対象者に対するハッキングや情報収集にからむ取引もダークウェブサイトで行われているとされる。

中国の情報収集力に世界が驚愕

 ABCによれば、振華データのデータベースは軍関係者の資料がきわめて興味深いという。例えば米国空母の軍官に関しては、特別に詳しい記述がある。このことから、このデータベースの主要ユーザーは人民解放軍だとみられている。

 また個人単体の情報だけでなく、人によっては人間関係も詳細に書き込まれている。たとえばボリス・ジョンソンの資料には、彼の大学時代の友人や密接な関係をもつ人間の名前、来歴などもあったという。

 国別で言うと、米国人が5万人以上、英国人が4万人、オーストラリア人が3.5万人、カナダ人が5000人、台湾人2900人、日本人も500人以上が含まれている。

 またデイリー・テレグラフの調べでは、データベースには英国や米国の軍艦がいつどこに停泊するかといった情報も収集されていたという。さらに英国の国防・情報・航空宇宙関連企業、BAEシステムズのロジャー・カー会長の個人情報や、英国の宇宙産システム関連のサイトからダウンロードされた資料などもまとめられていた。

 ほとんどがネットの公式情報の寄せ集めとはいえ、通常の手段では入手できない情報も多数含まれており、中国の情報収集力とデータベース構築力に世界が驚愕している。

 英国保守党のボブ・シーリィ議員は「振華データのこうしたやり方は、個人の弱点を探し出すためだろう」とデイリー・テレグラフにコメントしていた。

 振華データの情報収集のやり方は、かつて問題視された選挙コンサルティング企業ケンブリッジ・アナリティカの強化版、という指摘もある。ケンブリッジ・アナリティカは、2016年の米大統領選や、英国のEU離脱(ブレグジット)を問う国民投票で勝利側が利用したコンサル企業として一躍注目されたが、フェイスブックを利用した情報収集のやり方にプライバシー侵害の疑いがもたれていた。ロシアンゲートの情報操作に関わったとの疑いがかけられたこともあり、2018年5月に破産申請し、業務停止している。

 フェイスブックのスポークスマンはBBCに対し、振華データの情報収集のやり方は、フェイスブック利用規則に違反しており、たとえ公開資料であってもこのような使い方は許されない、とコメントしている。ツイッターも「振華データ」とはなんら情報共有協議をしていない」と語っている。

「政府による個人情報収集」を誰も止められない中国

 振華データのデータ収集のやり方は、たとえ営利目的の民間企業であっても当然問題があるのだが、やはり中国共産党政権下での国有系企業であるという点が、最大の懸念だろう。

 西側民主主義国家であれば、情報収集についても政府とメディアが牽制し合い、監視し合う関係にある。だが中国の場合、党と政府とメディアは一体であり、情報の悪用を世論によって監視する仕組みがない。

 理屈上は、政府がダークウェブから個人情報を収集すれば、メディアがスキャンダルとして暴き、世論によってその行為を正すことができる。逆にメディアが個人情報を違法に収集すれば、プライバシー侵害としてコンプライアンスとモラルを問われることになろう。

 シドニー科技大学の馮祟義教授はABCに対し、「中国には、ネット企業を含めていかなる企業も、すべての持ちうる個人情報を政府に提供することを義務付ける法律がある。中共(中国共産党)政権は統一戦線戦略を継続している。もし、あなたの個人情報が中共政権にわたり、あなたが反共的な思想の持ち主であるとわかれば、あなたを攻撃したり孤立させたりできるし、もし親共的な人物であると思えば、取り込む対象となり、党の代理人としてリクルートされるかもしれない」と語り、中国における個人情報データベースの脅威と影響力を指摘した。

 バルディング教授は、こうしたデータベースの存在は、中共中央と人民解放軍が民間ハイテク技術産業を利用して「超限戦」(非軍事的な要素を組み合わせた新しい戦争)の準備を進めていることの証左だと指摘している。こうしたデータベースが何をターゲットにしているかを調べていけば、中国のサイバー戦や国際社会における敵意の方向性がより明確にわかる、という。そう考えると、このデータベースがはらむ脅威はケンブリッジ・アナリティカどころの問題ではない、とも主張する。

 米国は国家安全を理由に、周辺国にも中国のインターネットや中国の科学技術を利用しないよう呼び掛け、ファーウェイはどこからも半導体供給を絶たれてついにスマートフォン事業撤退か、といった崖っぷちに追い詰められている。

 ファーウェイ製品には日本にもファンが多く、民間企業を政治的理由でここまで追い詰めなくとも、という同情論も耳にするが、振華データの問題をみると、中国企業に個人情報を預けることの恐ろしさを再認識させられる。

 やはり私たち西側の自由社会の住人は、中国共産党政権に支配されたハイテク企業とは共生できないのだ。

 菅首相は中国のこうした動きを深読みして、デジタル改革省の設置に動いたのではないでしょうが、周回遅れの日本のデジタル技術環境を憂えていることは間違いないでしょう。

 またこの「振華データ」のデータベースは、軍関係者の資料が多いとされていて、日本の関係者も含まれてはいますが、米英豪とは二桁違いと極めて少ないのは、敵ではない「軍事弱小国」と見ているからであって、決して友好国の証ではないことは火を見るより明らかでしょう。何しろ軍事力を持たず交戦権も否定する憲法を持っている国ですから。

 いずれにせよ自国民のみならず、他国の主だった人のデータを収集する、又それができる中国共産党は、各国の脅威の的です。民主国家では違法とされることを堂々とやってのける、まさに犯罪国家に等しいからです。

 それを食い止めるためにも、各国が協調して中国との情報機器や部品の交易を早急に止めていくしかありません。同時に日本としても情報流出を少しでも食い止めるよう、サイバーセキュリティ体制をしっかり構築する必要があります。周回遅れですから、全速力で先端を行く国家に追いつくような努力が欠かせません。

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2020年9月18日 (金)

菅政権の最注目政策「デジタル庁」 積年の課題に、ついに手をつけた

Https___imgixproxyn8sjp_dsxmzo6393981016  菅政権が発足して注目の省庁を担う閣僚が2人います。河野太郎行政・規制改革相と平井卓也デジタル改革相です。そのうち平井氏が担うデジタル庁は全くの新設です。

 日本は民間はさておき、行政のIT化やICT化は世界の先進国の中でも、かなり遅れているようです。それが行政のスピードを遅らせ、又無駄なコストの発生につながっています。

 最近の例では特別給付金の支給の対応があります。これは地方自治体の例で、私事で恐縮ですが、申請から受け取り(銀行振込)までなんと20日弱を要しました。申請した日が、ちょうど申請者が集中した日だったこともありますが、いかにも時間がかかりすぎです。

 恐らく申請書の準備発送にも、多大な行政の手がかかっているはずですし、返送された申請書のチェックにも、結構記入ミスがあったり、時間がかかっていたようです。これなどすべてネットで申請ページを作り、マイナンバーのような識別コードでオンラインで処理できれば、至極簡単に済むはずです。記入ミスだって入力中に警告が出せますし、何より発送や受け取りの手間が省けます。正直今頃何をやっているのだという気が強くしました。

 識者はネット難民の存在や、不正防止のための本人確認、そしてセキュリティーだのプライバシーだの御託を並べますが、それは技術や工夫でカバーできるでしょう。どうしてもツールが使いこなせない高齢者には、今までの対応が必要ですが、それでもかなりの手間が省けるでしょう。これは一つの例にすぎませんが、他にも幾らでも同様な例があります。それらに対しこのような膨大な時間とコストの無駄を省かなければ、いくら節税と言ってもまるで穴の開いたバケツです。ムダ金がどんどん捨てられて行きます。

 ですからこれからの行政のICT化、デジタル化は必須だと思います。しかしそれは以前から言われていることであって、未だにこの例のように進んでいません。その辺りの事情をジャーナリストの佃均氏が、現代ビジネスに寄稿したコラムから見てみます。タイトルは『菅政権の最注目政策「デジタル庁」に待つ茨の道 積年の課題に、ついに手をつけた』(9/15)で、以下に引用します。

Images-3_20200918095001 浮かんでは消えた「デジタル庁」構想

菅義偉官房長官が「デジタル庁」創設を検討――9月6日に第一報が流れた直後から、筆者の周辺では「どの省にぶら下げるのか」「長官はだれになるのか」の話題が飛び交った。早速、経産省、総務省、内閣府、内閣官房などの様子を探ったのだが、「話せることは何もありません」と素っ気ない。

新型コロナウイルス対策が引き金になって、これまで日本政府が標榜してきた「世界最高水準の電子政府」が掛け声に過ぎなかったことが露呈した。1人10万円の特別定額給付金の支給遅れと混乱、感染者情報管理システム「HER―SYS」や感染者接触確認用のスマホアプリ「COCOA」の機能不全、小中高校のオンライン授業で明るみに出たネットワーク環境の未整備などだ。

こうしたタイミングだっただけに、各省庁が持つデジタル関連の部局を集約して「デジタル庁」を創設する、という構想は時宜を得たものと受け止められた。ITの専門家ですら、フェイスブックやツイッターなどで「大いに歓迎」と公言している。新内閣の目玉施策として、まずは成功といったところだろう。

「デジタル庁」と似たような話はこれまでに何度もあった。古くは1985年の電気通信事業法と電電公社民営化の際、次は2000年の省庁再編の時だ。「情報省」に一元化したらどうか、いやそれではスパイの巣窟みたいなので、「情報通信省」はどうか……等々、出ては消え、消えては出た構想の既視感がある。

おそらく「デジタル庁」の基盤となるのは、まずは総務省の旧郵政セクション(情報流通行政局、総合通信基盤局、国際戦略局およびサイバーセキュリティ統括官)と経産省の商務情報産業局だ。

しかし単にオフィスを一つにするだけでは同床異夢、呉越同舟、船頭多くしてのコトワザ通りになってしまう。一方、組織をバラバラにすると施策の連続性が保てるか懸念される。予算の組み立て方、施策の実施方式など、各省が培ってきた文化があるし、若手官僚の士気がダウンすることにもなりかねない。

5年ほど前、あるIT関係の民間団体が総務・経産大臣に「情報通信省の創設」を提唱したところ、「まずはあなたたち民間で先行してやってください」と言われた、との裏話もある。政治家の側も官僚の縦割り意識に染まってしまうのは、官僚の協力を得るためにやむを得ないのか、それとも洗脳されてしまうのか、いずれにせよ「脱・縦割り」は口で言うほど簡単ではない。

2年や3年では軌道に乗らない

それでも「デジタル庁」を本気で目玉施策に据えるなら、菅氏は1年こっきりの暫定政権で終わる気はない、ということだ。これまで誰もなし得なかった「行政事務のIT革命」「デジタルガバメント」を実現するには、人手の作業(手書きの書類、押印、対面型手続き)を前提としている法律や制度、手続きを変えていかなければならないからだ。霞が関だけでなく、全国1740の地方公共団体、その外郭団体までに徹底するには、2年や3年で済むわけがない。

安倍首相が退陣表明したあと、霞ヶ関や永田町では「官邸を牛耳ってきた経産省が衰退し財務省が復活する」とか、「IT/ICT施策における総務省の巻き返しが始まる」などと喧伝された。それは、事態を下克上に見立てた演出のようなものかもしれない。

しかし菅氏が見据えているのは、安倍政権が「ポストコロナの1丁目1番地」と位置付けたデジタルガバメントの実現に違いない。7月17日、経済財政諮問会議が発表した「経済財政運営と改革の基本方針2020~危機の克服、そして新しい未来」(骨太方針2020)で打ち出した「デジタルニューディール」こそが施策の本丸にほかならない。

ある意味、民間のデジタル化、DX(デジタルトランスフォーメーション)は放っておいても進む。資本の論理と自由競争のなかで、デジタル化、DX化に乗り遅れれば、市場からの退場を余儀なくされるかもしれないからだ。政府の役割は、自由競争のアクセルを踏むための規制緩和と、行き過ぎた競争にブレーキをかける規制強化のバランスだ。

行政には、こうした競争原理が作用しない。あるのは「こうしなければならない」「これをやってはいけない」という規制ばかりで、しばしばそれが「四角四面で、融通が効かないお役所仕事」と批判される。しかし法治国家である以上、行政は法律に基づいて、正確に遂行されなければならない。

しかし、実はこうした「規則だらけ」の行政事務こそ、ITがフルに本領を発揮するフィールドなのだ。行政事務は法律と細則に基づいて処理されるからである。「法律は行政ITシステムの仕様書」と片山卓也氏(東京工業大学名誉教授、元北陸先端科学技術大学院大学学長)は指摘する。

もし行政手続きがネット化されたら…

縄張り争いで表向き「犬猿の仲」とされる経産省と総務省だが、「行政事務と行政手続きのDX化が喫緊の課題」という認識では一致している。政府機関システム基盤として新たに採用したAWS(Amazon Web Service)のパブリッククラウドを基礎に、総務省は電子行政システムの共通仕様を、経産省は官―民のシステム連携(ワンストップ/アトワンス/押印レス)を進めている。

ただ、両省が政策連携を話し合っているかというと、そうではない。実は内閣官房のIT総合戦略室が、両省の仲介役ないし司令塔の役目を果たしてきた。その裏付けは、2000年11月に制定された「IT基本法」(高度情報通信ネットワーク社会形成基本法)だ。

「IT基本法」は文字通り、IT/ICT/デジタルデータの利活用に関する基本的な指針をまとめたものの総称で、詳細は個別の法律となる。昨年12月に施行された「デジタル手続法」(情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律)がそのひとつで、個人の確定申告で領収書を不要としたり、マイナンバーとマイナポータルで押印を撤廃するなど、すでに実効性を持っている。

2018年8月現在、23府省が所管する約4万6000種類の行政手続きのうち、0.9%にあたる580種類の手続きが、総申請件数の99%を占めている。例えば確定申告、法人登記、不動産登記、住民票、戸籍にかかわる各種の手続きだ。マイナンバーとマイナポータルを活用すれば、対面型手続き、押印、書類添付が撤廃できる。行政続きの99%は、将来的にネットで完結できるのではないか、というのが内閣官房の考え方だ。

行政手続きのデジタル化には、人名・地名、固有名詞に使われている旧字体や異字体(いわゆる外字)はどうするのか、という問題がネックとなってきたが、IT総合戦略室は2017年に「MJ縮退文字」を用意した。明治以来の戸籍から拾った約6万の異字体を、1万種の標準字体にひも付けした文字コードの体系だ。

MJ縮退文字の字種数は、清・康熙帝の康熙55年(1716年)に成立した『康煕字典』の約5万字種を軽く上回る。経産省の外郭団体である情報処理推進機構(IPA)が2002年から15年の年月をかけて完成させ、現在は文字情報技術促進協議会から行政機関や民間企業に無償で提供されている。

この外字問題が技術的にクリアされたからこそ、2018年に安倍首相は「行政文書のデジタル化」「紙文書の廃止」を宣言し、「世界最先端IT国家創造宣言」という壮大な計画を打ち上げることができた。安倍総理の退陣表明を契機に「安倍政権にレガシーはあるのか」という批判も起きているが、菅氏がこれを引継ぎ完成させれば、ひょっとすると、意外なレガシーとなるかもしれない。

マイナンバーは結局どうする?

ただし、以上はすでに処方箋が出ているテーマで、「デジタル庁」をわざわざ創設してまで達成することかどうか、という疑問は残る。どうせならこれまでの電子行政システムを根本から見直し、例えば、いまだに有効性が疑問視されているマイナンバーカードの普及を断念するという荒技もあるだろう。まだまだ本格普及には至っていないブロックチェーンを、OECD先進国の先頭を切って実用化するという決断があってもいい。

実際、マイナンバーカード交付率の伸び悩みは決定的だ。総務省によると、今年3月1日時点の1973万枚(15.5%)から、8月1日には2324万枚(18.2%)と、5か月で350万枚増加した。だが特別定額給付金、マイナポイントという誘導策を講じても、月平均でたった70万枚の増加では、「2022年3月末までに9000万枚から1億枚」とする目標には程遠い。

そうこうしているうちに、カード不要論も出てくるに違いない。すでに銀行が預金通帳を廃止し、キャッシュカードなしで送受金できる時代だ。マイナンバーカードのデータをスマホに入れ、例えば指紋認証でログインするという奥の手もある。発注済みのICカードに要する費用は損切りして、数千万枚のカードを新規発行するコストと手間を省いてはどうか。

これまで何をやってもうまく行かなかったことを、「改善と改良」で解決しようとするのは止めたほうがいい。「イット革命」から20年来、遅々として進まなかったIT/ICT政策を変質・転換させるには、根本的に発想を見直して、総務・経産両省の官僚とは別の人材でスタートするのがいいかもしれない。

さて、以下はすべて予想の話ではあるが、デジタル庁の長官は誰になるのか。

政治家なら、岸田派ながら元IT担当大臣で「デジタル手続法」を成立させた平井卓也衆院議員の再起用があるかもしれない。民間からなら、元大林組で現内閣情報通信政策監(政府CIO)の三輪昭尚氏の横滑りもあるだろう。内閣官房には優秀なCIO補佐官が手ぐすねをひいている。

そして新庁は総務省か経産省の外局、というのが常識的なところだが、菅氏が本気で「省庁の縦割り打破」を貫くのなら、財務省に附属させるという奇手は……ないか。いずれにせよ、これが日本のIT政策を実効性あるものにできる最後のチャンスだ。

 佃均氏の予想で平井卓也氏は当たりです。デジタル庁の所属は未定で将来は省への格上げを狙っているようです。NHKニュースから引用します。

平井デジタル改革担当大臣は、初閣議のあとの記者会見で、デジタル庁の新設について、「大きなミッションになる。来年の通常国会までに関連する法案はいろいろあると思うが、IT基本法の改正やデジタル庁の設置法などを一気にやらないといけないので時間はタイトだがスピード感をもって臨みたい。既存の官庁と同じようなものを作るつもりは全くなく、民間からも新しい人材をたくさん取り入れ新しい省庁を作りたい」と述べました。

 つまりこれから新しく省庁づくりをするようです。ですから佃均氏の予想通り数年がかりの大プロジェクトになりますね。途中で頓挫、またはしり抜けにならないよう、しっかり取り進めていただきたいものです。菅政権の長期化も視野に入れての省庁づくりかも知れませんが。

 またまた私事ですが、少し前、ある委員会の地域の代表として、市役所の方たちを交えて仕事をしたことがあります。その時市から出された資料はすべてペーパー。毎月トータル数十ページものペーパーを、テーマごとに仕分けたものを20人以上の委員に配るわけです。そのための市役所の職員の手間は、想像を絶するものがあると思います。

 すべての委員がタブレットを持参し、資料をデジタルデータで受け取れば、コピー、仕分け、配布の手間は一度に省けます。このペーパー文化から崩していかなければなりません。やはり数年はかかるのは間違いないでしょうか。それでも進める価値はあります。平井大臣にはぜひ頑張って欲しいものです。

 ついでですが行政改革の面では、まずは官僚の仕事改革。国家官僚の多忙な第一の要因は、野党の国会質問の答弁づくりだと聞きます。これには国会改革が伴わなければなりません。国会は一つの会議体ですから、民間で行われているように、議論(質疑応答を含む)の対象はテーマの範囲内に限り、かつ質問側はA4のペーパー1枚に要約したものを予め提出しておき、答弁側もできるだけ官僚の手を煩わさずに、自分の言葉で簡潔に答える、そういう当たり前の会議体にすべきでしょう。そうすれば官僚の仕事はかなり整理され、本来の仕事に打ち込めます。現場、現物、現実を見る時間も持てるようになり、仕事の質の向上が図れるでしょう。

 まあ前例踏襲の長き文化を変えるのは大変です。しかしこれも一歩一歩進めなければなりません。国会の真の目的は最適な予算づくりと、国民のための法案作りです。政府非難の応酬や政局の利用の場となっている今の国会を、真の目的に合わせる仕組みづくりも、菅政権に期待したいものです。

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2020年9月17日 (木)

敵国を北朝鮮から日本へとシフトし始めた韓国、装備計画に見るその方向性

Images-2_20200917110601  昨日菅政権が発足しました。コロナ対策、規制緩和、地方再生、少子化対策、外交政策、就任会見では以上の大きな政策の柱が語られました。コロナ対策にはもちろん疫病の収束と共に経済の再生も含まれています。

 この中で安倍首相が最も実績作りをしたといわれる、外交課題も含まれていますが、菅新総理の経歴からはやや心配する声も聴かれます。そこは茂木外相がしっかりとサポートする必要があるでしょう。

 中でも現在課題山積の対中、対韓政策は重要です。その中で韓国を今回は取り上げます。近年の韓国の対日政策は、原則として反日に偏ったものと言っていいでしょう。特に文在寅政権になってからは、このブログでも取り上げている通り、事あるごとに反日対応を取っており、ついに徴用工裁判判決による日本企業への個人賠償請求をするに至って、日韓請求権協定に対する明らかに国際法に違反する対応を取ることにより、日韓関係の最悪な事態を引きおこしています。

 つまり、あくまでも最近の日韓関係の悪化の原因は韓国側にあるのであって、日本には非はありません。それなのに相変わらず、韓国政府そして韓国のマスコミはこぞって日本を誹謗中傷しています。もう完全に敵対国、いや敵国と言っていいでしょう。

 しかし敵国であるからには、その脅威の元である軍事的情報を精査するのは必須です。そしてその実態は看過できない状況のようです。軍事情報戦略研究所朝鮮半島分析チームによると、以下のような驚愕の調査結果が出されています。『日本の軍事費は日本以上、攻撃的軍拡に舵切った韓国』(JBpres 9/16)です。以下に引用して掲載します。

 韓国国防部が今年の8月に公表した国防中期計画(2021~2025年)によれば、韓国は、今後5年間で約27兆円を軍備に投じる。

 海軍では、3万トン級の小型空母、4000トン級原子力潜水艦、新たなイージス艦3隻および国産小型イージス艦6隻を海軍に追加するという壮大な計画である。

 保有している2隻の独島級強襲揚陸艦を改修すれば、3個空母群を編成できるとする見方もある。

 韓国軍のうち、特に海上兵力の増強が著しい。これらは、北の南侵を阻止するための防勢兵器というより攻勢的で外洋で作戦する兵器である。

 高価であり、軍事目的に使用される兵器が持つ能力は、その国家の軍事的な意志を明確に表わすものだ。

 近い将来に、高価で、南侵阻止ではない作戦に使用される兵器を持つということは、隣国の日本としても警戒する必要がある。

「韓国が何のために攻勢的な兵器を装備しようとするのか、主敵を変更し、新たな軍事戦略を構築しているのではないか」といった大きな疑問が生じていきている。

 では、実際はどうなのか。その現状・能力・脅威認識・軍事戦略について分析し評価する。

購入する兵器で軍事戦略が読める

 その国の軍事力の現状およびその整備の方向性を分析すれば、その国の軍事的な意志、具体的には、どのような脅威認識を持っているのか、どの国を主敵としているのか、数か国(多正面)対応なのかなどを読み取ることができる。

 特に、保有する兵器によって、戦い方が大きく変化する。

 従って、保有する兵器の能力と運用を考察すると、主敵となる国、軍事戦略の変化が具体的に分かる。

 防勢的な兵器から攻勢的な兵器へ、地上戦主体から海上戦重視へ、短距離攻撃能力から長距離攻撃能力の保持へ、沿岸防衛力から外洋作戦力の保持に変更が見られた場合には、それに注目し、「なぜか」と疑問を持って、その理由を解明しなければならない。

 一般的に国防力の整備には長期間を要する。

 相手の軍事力の脅威が顕在化してからでは、国民の生命財産を脅威にさらす可能性がある。周辺国の軍事力整備の動向には常に意を払っておかなければならない。

 通常、仮想敵国となる国々については、注目して分析するが、同盟国とみなす国については、分析の対象としない。

 韓国は、米国と同盟を結んでいる。日本にとって、「味方の味方は、味方」という認識があり脅威と考えている専門家は少ない。

 このため、韓国の軍事戦略や装備に対する関心は低い。

 しかしながら、文在寅政権となってから、今までの政治、外交的対立のみならず、防衛関係者の信頼関係も大幅に低下している。

 このような状況下で韓国が軍事戦略を大幅に変更したということは、隣国として注目する必要がある。

弱まった北朝鮮と中国への脅威認識

 朝鮮戦争開始時の韓国軍は極めて貧弱な装備しか保有せず、一方的に北朝鮮軍に蹂躙された。

 米国をはじめとした国連軍の本格的な介入がなければ、韓国は消滅し、金一族独裁政権の朝鮮に統一されていたであろう。

 1953年に締結された米韓相互防衛条約前文には「太平洋地域における平和と安全保障のために協力する」こととされているが、米韓同盟の戦略的目標は北朝鮮に対する抑止と韓国の防衛が具体的目標であった。

 9.11後の新たな戦略環境、中国軍の活動活発化、そして米国自身の軍トランスフォーメーションなどの影響を受け、米韓同盟も新たな戦略目標の策定が課題となってきている。

 日米同盟同様に、国際公共財として「戦略的柔軟性」を持つことが期待されている。

 このような中で、米韓の脅威認識のずれが顕在化しつつある。その一つが北朝鮮であり、もう一つは中国である。

 文在寅政権は南北融和を推進、2018年4月の板門店宣言およびこれに引き続き南北軍事合意を締結した。

 軍事合意では大規模演習について南北で協議するとしており、大規模な米韓合同軍事演習は2年間以上行われていない。

 さらに在韓米軍駐留経費増額交渉の行き詰まりから、米国のドナルド・トランプ大統領が在韓米軍を削減するのではないかとの噂も広がりつつある。

 北朝鮮に対する抑止力としての米韓連合軍の弱体化が進んでいる。

 中国問題はさらに深刻である。

 2015年に当時の朴槿恵大統領は、米英などの指導者級が参加しないなか、中国主催の「抗日戦勝70周年」式典にロシアのウラジーミル・プーチン大統領とともに出席した。

 また、2017年10月には文在寅大統領訪中の事前交渉において、次の「3つのノー」と言われる中韓合意文書を公表している。

  • 米国のミサイル防衛(MD)体制に加わらない。
  • 日米韓安保協力を軍事同盟に発展させない。
  • THAAD(終末高高度防衛ミサイル)の追加配備は検討しない。

 この3つは、自国の防衛力や米韓の同盟関係を弱め、中国におもねる内容になっている。

 北朝鮮および中国に対する脅威認識の差は、米韓連合軍の運用に大きな影響を及ぼす。

 米中対立が激化しつつある状況下において、在韓米軍の韓国以外における活動に協力しないどころか、在韓米軍の活動に何らかの制約を加えるようなことがあった場合、米韓対立は深刻化し、最終的には同盟の解消にまで及びかねない。

主敵意識は北朝鮮から日本へ

 文在寅政権発足後、「今の青瓦台が中・長期戦略に基づいて、安全保障政策を推進しているのか疑わしい」との意見をよく聞く。

 しかしながら、中・長期戦略に基づき外交・安全保障政策を推進していないのは文在寅政権だけではない。

 韓国政治は国民感情をあおって政権につき、その国民感情に引きずられ身動きが取れなくなるという傾向がある。

 国防白書における北朝鮮に対する脅威認識も政権によって大きく変化する。

 1990年代までは北朝鮮は「主敵」と表現されていた。金大中政権以後、革新政権では敵という言葉が削除され、保守政権では復活するという状況が継続している。

 文在寅政権が初めて示した2018国防白書では、前回、朴槿恵政権下の2016年版にあった「北韓の政権と軍は我々の敵である」という記述が削除された。

 それに代わって、「主権と領土、国民、財産を威嚇して侵害する勢力を敵と見なす」とする記述が新たに盛り込まれた。

 6隻の国産小型イージス艦の建造に関し、韓国の報道に極めて興味深いものがあった。

 その内容は、「海軍は北朝鮮の脅威だけでなく、中国の北海艦隊、東海艦隊、日本の海上自衛隊の2個護衛艦隊(機動艦隊)による脅威も考慮し、適切に対処できる戦力の整備を進めている」(注:同記事は削除され現在では確認できない)というものであった。

 日韓関係を見た場合、国際観艦式における旭日旗掲揚問題や哨戒機に対する射撃管制レーダー照射問題など、外交関係以上に防衛関係者の相互信頼が低下している。

 竹島領有権に関し対立している日本が「敵」とみなされるのは当然であろう。

すでに日本を敵と見なした装備計画

 令和2年度防衛白書等によれば、韓国軍は総兵力約60万人、陸軍兵力約46万人、戦車等約2800両、海軍艦艇約240隻、25.5万トン、海兵隊約2.9万人、空軍作戦機約620機である。

 北朝鮮という脅威に対し、陸上兵力が中心であり、沿岸防備のため小型艦艇を多く保有するのは国防力整備の観点から当然だ。

 ところが、2008年以降満載排水量1万トンを超えるイージス艦を3隻、2007年に2万トンに近い揚陸艦、『独島』を就役させた。

 これらの海軍兵器は、従来の対北朝鮮用兵器の概念を覆すものであり、どのように運用しようとしているのか疑問を生じさせる。

 日本の防衛関係者の中には「運用構想などない。単に日本が持っているよりも少しでも大きいものを持ちたい、というだけであろう」と述べる者もいたほどである。

 事実、韓国イージス艦の搭載ミサイルは「SM-2」のみであり、弾道ミサイル対処能力は保有していない。

 北朝鮮や中国の弾道ミサイルに対応できないことから、イージス艦の高度な洋上防空能力をどのようなシナリオで運用しようとしているのか不明である。

 米海軍は11隻の原子力空母を保有し、平時から米国国益に係る海域において継続的にプレゼンスを示す任務を果たしている。

 海洋を利用した柔軟な兵力投射能力の中枢としての空母の役割は大きい。

 さらに、空母には海洋権益保護の象徴という側面がある。広い排他的経済水域(EEZ)を保有している米国、フランス、ロシア、英国が空母を保有している。

 2隻目の空母を就役させた中国のEEZは日本よりも小さい。韓国のEEZは周辺海域の約47.5万平方キロに過ぎず、日本の約10分の1である。

 空母を保有しなければならないほど広範囲の海洋権益を持っているとは言えない。

 軍事力の整備にあたっては、一般的に、仮想敵国を想定するものではないとしつつも、具体的脅威に対し備えるのが常識である。

 韓国軍が北朝鮮を想定し、「三軸体系」として「キルチェーン」、「韓国型ミサイル防衛」および「大量反撃報復」能力を整備してきたのは、その観点から説得力を持つものであった。

 韓国の保有する弾道ミサイルの射程が、韓米協定の改定に伴い800キロとされ、西日本が射程内となったが、日本でそのことを危惧する意見も皆無であった。

 しかしながら、米韓同盟の見直しが進み、韓国の安全保障戦略が北朝鮮一辺倒から多極化する過程で、韓国が日本の脅威を強調し、対北戦略として全く不要な小型空母や原子力潜水艦の建造を進めることは、「日本を主敵とした軍事戦略である」と見るのが妥当であろう。

韓国空母機動部隊の能力と狙い

 韓国中央日報によれば、「韓国空母機動部隊は、小型空母、イージス艦2~3隻、小型国産ミニイージス艦2~3隻および原子力潜水艦で構成される」という。

 空母機動部隊の能力は、満載排水量4万5570トンの米強襲揚陸艦(LHA)が「F-35B」を16~20機程度搭載可能であることから、韓国小型空母のF-35B搭載機数は同程度と考えられる。

 カタパルトやスキージャンプ台を装備しない空母の航空機運用能力は低く、同時運用能力は搭載機数の3分の1程度の5~6機とみられる。

 空母防空用のCAP(Combat Air Patrol)所要を考慮すると、対地攻撃や対艦攻撃に充当できるF-35Bは数機になる。

 つまり、韓国の小型空母は攻撃力がきわめて限定的なのである。

 随伴する原子力潜水艦やイージス駆逐艦は、巡航ミサイルによる対地、対艦攻撃能力を保有し、空母の護衛が主任務となる。

 しかし、艦載の早期警戒機を保有しておらず、敵戦闘機情報の入手に欠け、防空能力は限定的である。

 また、随伴駆逐艦、潜水艦および搭載ヘリコプターによる対潜能力を保有する。

 しかしながら、対潜戦の特性上、攻撃を企図する潜水艦を完全に排除することは困難と考えられる。

 韓国空母機動部隊は、北朝鮮のほか、竹島または離於島(イオド)領有権問題対処、さらには将来的にはインド洋までの海上交通線防御を視野に入れているとされている。

 米原子力空母と比較すると、圧倒的に防空能力が低い。このため、味方の航空優勢圏下または航空機による脅威が低い海域で運用すべき兵器といえる。

 日本海、東シナ海および南シナ海は、地上航空機や潜水艦の脅威が高く、空母の航空機を活用するメリットよりも、空母護衛のために兵力を割かなければならないというデメリットの方が大きいと考えられる。

 韓国空母機動部隊は、韓国の威容を日本に見せつけるための空母という位置づけでよいであろう。

突然「敵」になりかねない韓国

 日韓関係は、政治分野のみならず経済、さらには安全保障分野においてもその不信感は拡大の一途を辿っている。

 このようななか、韓国国内では、小型空母保有への反対論もある。

 その主な内容は、韓国が従来の国防装備に加え、小型空母の建造および運用に係る莫大な経費負担、さらには、前述したように、その費用対効果への疑問があるからだ。

 韓国の2020年度国防費は前年比7.4%増の50兆1527億ウォン(約4兆7101億円)である。

 これは、日本の防衛予算5兆3133億円とほぼ同じである。

 今回決定された小型空母やF-35Bの購入を加えると、今後日本を上回るのは確実である。日本と比較するとGDP(国内総生産)が3分の1、国民数が約半分の韓国が日本と同等以上の国防費を支出している計算となる。

 韓国国民は壮大な軍事力整備のために、大きな犠牲を払っているのだ。

 小型空母や原子力潜水艦の建造を決定しても、軍事費の負担に耐えられないなどの状況の変化に応じ、性能低減(スペックダウン)や、運用経費削減のため稼働率が低下することが予想される。

 現時点で、揚陸艦「独島」の稼働率の低さは有名であり、搭載している発電機4機すべてが使用不能となり、洋上を漂流した事故も伝えられている。

 韓国が日本を脅威と捉え、防衛力を整備していくことは韓国の権利であり、これを止める手段はない。

 とはいえ、ここまでして、攻勢的で外洋で戦う準備を進める韓国軍の動きには、注意が必要であり、自衛隊が常時行っている警戒監視活動の対象には韓国を加えるべきである。

 ナポレオンは「真に恐れるべきは有能な敵ではなく無能な味方である」という名言を述べたが、本当に恐れなければならないのは何時敵に転ぶか分からない味方であろう。

 いつ敵に転ぶか、というよりすでに敵になっているとしか思えない対応を、繰り返しているではありませんか。未だ総合的軍事力は限定的だといえ、今後も敵対的政策を演出し国民を扇動すれば、かつての日本のようにメディアがこぞって対日戦を煽り、そのための軍事力の増強にプラスの世論が形成されるでしょう。

 この研究所の報告に出てくる、日本側の見方の甘さが大いに気になるところです。文政権下で仮想敵国は北朝鮮から日本にシフトしているかも知れない、という認識がありません。中国の脅威は計り知れないものがありますが、韓国とて決して侮れないものがあります。徴兵訓練もしていますし、戦時対応も緩み切った日本の国民より、いざとなれば韓国の方が上のような気がします。決して侮るなかれと、気を引き締めておかねばなりません。

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2020年9月16日 (水)

「世界一のチンピラ国家、中国」からどうやって足を洗うのか、日本

Dk_chinab2_01今回は内政を離れ、中国の問題を取り上げます。中国生まれで日本に帰化した拓殖大学客員教授で評論家の石平氏が、出身国中国を舌鋒鋭く批判した、月刊Hanadaプラスに寄稿したコラム『世界一のチンピラ国家、中国』(9/08)を以下に引用します。    

「自ら放火してから火事場泥棒をやり、自分たちへの責任追及は一切許さない。そしていつでもどこまでも、弱い国や人々をつかまえて思う存分いじめる」――これが私の出身国である某大陸国家の悪しき本性である。

デタラメを言って他国に責任を転嫁

個人にしても国にしても、災難や危機に際した時こそ、その人やその国の本性がよく表れてくる、と私は以前からそう思っているが、今回のコロナ禍に際して図らずとも、私の出身国である某大陸国家の悪しき本性は余すところなく露呈した。  

コロナ禍を作り出したのは紛れもなく中国である。武漢でコロナウイルスの感染拡大が発生したあと、中国政府が国際社会に対し情報を隠蔽して真実を隠した結果、ウイルスが世界中に拡散して爆発的な感染拡大を引き起こし、夥しい人命を奪い、人類社会に多大な被害をもたらした。   

しかし、世界の人々にそれほどの大災難をもたらして迷惑をかけまくったのに、当の中国政府は今日に至っても、国際社会に対してお詫びの一言もない。自分たちの落ち度や責任を認めようとは一切しない。それどころか彼らは、「ウイルスは米軍が武漢に持ち込んだ」との出鱈目を言って他国に責任を転嫁させている。あるいは、「武漢は最初の発病地ではあるが、必ずしもウイルスの発生源ではない」との詭弁を弄して世界の目を欺こうとしているのである。

5_20200915121901 放火してから火事場泥棒をやる

コロナ禍が発生した初期段階では、中国は世界各地でマスクなどの医療物資を買い占めて、各国における品不足の原因を作った。中国発のコロナウイルスが世界中で猛威を振るい大混乱を引き起こすと、今度は医療物資が不足する各国に不良品のマスクや正確率30%未満の検査キットなどを送りつけ、世界の「救世主」を気取る。言ってみればそれは、れっきとした放火犯が消防隊員に成りすましてさらなる悪事を働くようなものである。  

中国の悪辣さは、この程度に止まることはない。コロナ禍で世界が、特に「世界の警察」のアメリカが大混乱に陥っているなかで、中国政府はまさにこの混乱に乗じて、南シナ海で「行政区」を新設して覇権主義的拡張を加速化させたり、台湾海峡に軍艦を派遣して威嚇的な行動を繰り返したり、日本の尖閣周辺の領海に侵入して不当な領土要求を力尽くで通そうとするなど悪さの限りを尽くした。それは普通でいう火事場泥棒の恥ずるべき所為であるが、中国の場合、自分たちが放火してから火事場泥棒をやるのだから、さらにタチが悪い。

強きに弱く、弱きに強い習性

世界各国がコロナ禍の原因究明を求めると、ウイルスを世界中にばら撒いた中国は今度、必死になって責任逃れを図ろうとしている。そのなかでは、たとえば原因と責任の究明を強く主張するオーストラリアに対しては、中国政府が同国から輸入する大麦に法外な追加関税を発動したり、中国国民にオーストラリア旅行の自粛を呼びかけるなど、全く理不尽な報復措置に打って出るのである。その横暴さは目に余るが、一方、オーストラリア以上に中国に対する責任追及を強く主張するアメリカに対しては、決して同様な報復措置を取らない。強きに弱く弱きに強いというのは、まさに中国政府の一貫した習性である。  

そして、コロナ禍の混乱に乗じた形で、中国政府はより一層の弱者いじめを始めた。5月下旬に開かれた全人代で、習近平政権が「国家安全法」という悪法を香港に押し付ける暴挙に出たのである。この悪法が実施された暁には、香港の人権と自由は完全に奪われて、700万人以上の香港市民は中共政権の俎板の鯉となる。国際社会は到底それを許すことなどできない。

世界一の巨悪

このようにして、コロナウイルスの感染拡大以来の半年足らずの間に、すでに中国政府は数え切れないほどの悪行を重ねてきている。これらを一目見ただけで、中国という国はまさに世界一の巨悪であることがよくわかるであろう。彼らは自らに落ち度があっても一向に謝らないし、罪を犯してもそれを絶対認めない。悪いのは他国であって、自分たちはちっとも悪くないと常に思っている。放火も火事場泥棒も平気な顔でやるが、自分たちへの責任追及は一切許さない。そしていつでもどこまでも、弱い国や人々をつかまえて思う存分いじめるのである。  

そんな国のことを「ヤクザ国家」と呼びたいところだが、考えてみれば日本のヤクザでさえ、それほど卑怯でもなければそこまで堕落しているわけではないだろう。習近平の中国はもはや、「ヤクザのなかのチンピラ」と化しているのである。図体こそでかいが、心と頭はまさしくチンピラ、実に厄介な存在である。  

不幸にも、このように厄介な「チンピラ国家」を隣国に持ったのはわれら日本国である。このような国にどう対処していくのかは常にわれわれにとって頭痛のタネであり、避けては通れない重要な課題であろう。  

だからこそ月刊『Hanada』8月号から始まる私の連載は、中国に対処するための参考となる中国論や日本論を柱の一つとして展開していきたい。「彼を知り己を知れば百戦殆からず」である。(初出:月刊『Hanada』8月号)

 石平氏の連載楽しみですが、それは別として日本に帰化したとはいえ、中国に対してここまで言うからには、よほど腹に据えかねるものがあるのでしょう。そして未だ中国に在留しまたは出国を拒否された、石平氏と同様な思いを持つ中国の民主家は数多くいるのでしょう。

 日本は以前このブログでも取り上げましたが、中国に進出したり、又交易をしている会社が3万社を数え、経済的な結びつきが強すぎて、もはやこの「チンピラ国家」の仲間から足を洗うことができないようです。そのそぶりを見せたらそれこそ「指をつめろ」と脅されかねません。同時に日本国内でも経団連やその傘下の主要企業が足を洗うのを阻止しようと蠢いています。もちろん親中の政治家たちも。

 ですからこのどっぷりつかった経済関係を、どう解消していくのか。もちろん中国が体制変換してくれればいいでしょうが、そうならないなら民主国家としてどう対応していくのか、菅新政権の大きな課題です。

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2020年9月15日 (火)

「ワイドショー民」たちほど信用できないものはない

347ff_1585_3cb13876b18f38eb3cf5130841830  自民党総裁選は予想通り菅氏の圧勝でした。そして注目の2位争いは岸田氏に軍配が上がりました。4度目の挑戦になる石破氏は、おそらく過去最低の得票しか得られなかったのではないでしょうか。そのせいか石破応援団の落胆ぶりが報道されていました。

 前々回のこのブログで取り上げたように、「総理にしてはならない人」と党員も気づき始めたのでしょう。党員票さえ32%(読売新聞紙面記載の数字をもとに算出)と、前回の総裁選で45%を獲得し、安倍首相とほぼ互角の得票を得た勢いもなくなっています。

 菅新総理はさっそく記者会見上で、官庁の縦割り行政の打破、前例踏襲などの悪癖に取り組むと同時に、既得権益の打破や規制改革などを政策の柱にすると述べています。それに行政の業務効率化の推進のため、デジタル庁を新設したいとの言及もあります。いずれも賛同しますが、反対勢力の大きな壁が予想されます。潰されないように、是非ともその壁を打ち破っていただきたいと思います。

 ところで今回もテレビ報道の問題点を取り上げますが、この総裁選の前、マスコミ特に地上波テレビではどう報じられていたのでしょうか。上武大学ビジネス情報学部教授田中秀臣のコラム『内閣支持率爆上げ、「菅政権」も弄ばれるワイドショー民の不合理』(iRONNA 9/08)を以下に引用して掲載します。

 「ワイドショー民」たちほど信用できないものはないな。ここ数日、そういう言葉が自然と浮かんでくる。

 安倍晋三首相が健康を理由に辞任を表明した後に行ったマスコミ各社の世論調査で、内閣支持率が異例の急上昇を見せ、不支持率を大きく上回った。辞任前の各社調査では、不支持率が支持率を上回り、その差が拡大傾向にあったが、一変してしまった。

 特に、安倍政権の「宿敵」朝日新聞の世論調査では、7年8カ月の安倍政権を「評価する」声が71%に達した。安倍首相の辞任表明前と政策的な変化は全くないので、まさに世論が単に辞任報道を受けて意見変更したに他ならない。

 そしてこの「意見変更」により、「世論」の大部分が、いかにテレビや新聞などの印象だけで判断しているか、との疑いを強めることにもなる。政策本位の評価ではなく、テレビや新聞での印象に左右され、感情的に判断する世論のコア、これを個人的に「ワイドショー民」と呼んでいる。

 このワイドショー民とどこまで重なるか分からないが、この安倍政権に対する世論の在り方を分析している政治学者もいる。早稲田大政治経済学術院の河野勝教授の分析はその代表的なものである。

 河野氏の分析を紹介する前に、世論調査で筆者が問題にしている点をいくつか指摘したい。安倍政権に関する世論調査の動向を分析すると、20〜30代の若年層では、内閣支持率が安定的に高水準で推移している。一方で、世代が上になればなるほど、政権の年数経過によって支持率が下落傾向にあり、時には急落した後に反転することを繰り返している。

 安倍政権の経済政策の成果によって若年層の雇用状況が改善し、その状況が支持の高止まりを形成している、というのは分かりやすい仮説である。だが他方で、若年層より上の世代の支持率の急減少と回復という「支持率の循環」をどう説明すべきか。

 2点目はインターネットで熱い話題となっている消費税に関してだ。2014年4月と2019年10月に実施した消費税率引き上げが内閣支持率に大きな変化を示したかといえば、NHKの調査を含めてはっきりとしないのである。

 むしろワイドショーなどで、安保法制議論や首相主催の「桜を見る会」関係を「スキャンダル」として連日取り上げた方が勢いよく上下動を起こす。財政政策上の最大の課題が、さほど内閣支持率に有意な変化を与えていない。これは注目すべきことだ。

 実際に、河野氏は株価などと内閣支持率が連動していないことにも注目している。現在の日本では、安倍政権に考え方の近い層が厚く存在し、その層が政権の説明不足を求めて不支持を決めるという「合理的」な判断をしているというのだ。

 確かに各種世論調査では、「スキャンダル」的な動きがあるたびに「説明が足りない」とする割合が上昇し、そして他方で内閣支持率は低下し、不支持率が上昇する傾向にある。いわば潜在支持層の政権に対する「お灸効果」だ。

 そう見れば、今の国民の中には安倍政権と考えの近い支持層が非常に厚いのかもしれない。ただ、河野仮説のように本当に潜在的支持層の判断が「合理的」ならば、自分の利用できる情報を全て活用するはずだ。

 経済データだけその判断に影響を与えないということは、特定のバイアスが存在していて、「合理的」、あるいはそれほど賢明な判断をしているとはいえないのではないか。それを示す代表例が、冒頭でも紹介した今回の内閣支持率のジャンプアップだ。

 先述の通り、政権では、辞任表明以外に何の政策決定も起きていない。つまり、利用できるデータに変化がないにもかかわらず、世論の支持が大きく変わったのである。

 これこそ、まさにテレビのワイドショーの話題の取り上げ方で政治への印象が大きく影響されているのではないか。個人的には、世論のコアにあるワイドショー民の存在を裏付けているのではないかと思う。

 さらに、これまでは、ほとんどの世論調査で「ポスト安倍」候補は断トツで石破茂元幹事長だったが、最新では軒並み菅義偉(よしひで)官房長官がぶっちぎりの首位となっている。このことも、最近テレビの露出の多さに影響されたワイドショー民の選択の結果だろう。

 それでも筆者は前回で指摘したように、政策では石破氏や岸田文雄政調会長よりも菅氏の方が断然に優位だと考えているので「結果オーライ」だと黙っていればいいのかもしれない。しかし、このワイドショー民の存在が確かならば、最近ワイドショーが見せる「まき餌」を再びちらつかせる動きに注意すべきだろう。

 多くのマスコミが石破氏に好意的なのはほぼ自明である。その中のいくつかの媒体で、石破氏を消費減税派に、菅氏を消費増税派として、それを「反緊縮vs緊縮」までに仕立て上げようという動きもあるようだ。

 個人的には、金融緩和に否定的な石破氏が反緊縮派ということはありえないと思っている。それでも、この構図に煽られる人たちは多いだろう。

 確かに、10%の消費税率を維持したまま反緊縮政策を目指すことも理論としては十分可能だろう。全品目軽減税率を導入したり、定額給付金を国民全員や特定層に向けて配布する考えもある。携帯電話代やNHKの受信料を政策的に「大幅」減少させたり、貧困家庭への光熱費免除もあり得る。

 ただ、それらの政策を進めるために重要なのが、金融緩和のサポートだということは、言うまでもなく大前提になる。まさにこの考えに、菅氏が肯定的で、石破氏は否定的なのである。ワイドショーなどで見られる、消費税の在り方だけで両者を単純な対立図式とすることに、筆者が異論を唱える根拠でもある。

 消費税は重要な政策だが、それでも財政政策のオプションの一つにすぎず、それを硬直的に消費減税原理主義と捉えるのはおかしい。ただ、いずれにせよ、新型コロナ危機以後、「コロナ税」のような動きに徹底して反対を唱えることは、日本経済のことを考えれば最重要である。この点については、「菅政権」の動きを注視していかなければならない。

 一方、立憲民主党など野党が、選挙のたびに消費税の減税や廃止を主張するにもかかわらず、国会が開会すると事実上忘れてしまうことを何度も繰り返している。だが、懲りもせずこの種の「煽り」に引き込まれる人は多い。

 しかも、そのような「煽り」を批判しているだけなのに、なぜだか筆者が「消費増税賛成」や「消費税減税反対」派になってしまうようだ。個人的には、このようなタイプの人にならないことを多くの人に願うだけである。

 今朝のテレビの報道番組で、菅新総裁の誕生について町の人にインタビューしているのを見かけました。若い人は菅氏が規制改革などを掲げているのに関連して、経済が活性化して好循環が生まれると、好意的な反応を見せていましたが、高齢者はモリカケなどの件に関して、菅氏は調査を完了していると言っているのは問題だ、と発言していました。

 この高齢者こそまさにワイドショー民で、テレビに踊らされ無批判に受け止めているその姿だと思いました。そして若者の方が余程日本の将来を思っての現実的な見方をしていると感じました。テレビに毒されていないのだと感心するとともに、こういう若者がしっかり今後の日本を支えて行って欲しいと思った次第です。

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2020年9月14日 (月)

繰り返される報道被害~なぜメディアは「捏造」をやめられないのか~

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 今日は自民党総裁選です。地方の党員票も菅さん52票、石破さん27票、岸田さん8票で、菅さんが他を引き離しているようです。全党員の投票を含めた正規の総裁選であっても、菅さんの当選は固かったでしょう。

 ところで前々回は、NHKの偏向報道を取り上げましたが、NHKに限らず日本の地上波テレビ報道機関は偏向報道、更には捏造報道を繰り返しています。中韓のメディア工作がその一因でしょうが、遠い昔のGHQによるプレスコードの余波がいまだに残っていて、中国を含む戦勝国の批判、戦勝国ではないが朝鮮人への批判や、更には神国日本の宣伝やナショナリズムの宣伝など、禁止された項目を未だ無意識に守っている節もあります。

 その辺りの背景を、ライターの林智裕氏が9月1日に月刊Hanadaプラスに寄稿したコラムから引用掲載します。タイトルは『繰り返される報道被害~なぜメディアは「捏造」をやめられないのか~』です。      

発言の切り取り、事実の歪曲、捏造はもはや日常茶飯事。無責任に社会不安を扇動し風評被害をまき散らす。放送法は形骸化し罪に問われることもないためまさに「野放し状態」。時に炎上すればかたちだけの「謝罪」で、実態は多くが謝罪も訂正もなく被害者は苦しみ続け泣き寝入りせざるを得ない。繰り返される報道被害の深刻な実態を福島県からレポート。

社会不安を増大させるメディア

新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るい、日本にも大きな影響が出ている。在宅時間が増え、テレビを見る機会がいつもより増えた人も多いことだろう。しかしこの騒動の中でテレビ番組、特に新型コロナウイルスについて報じるワイドショーがSNSなどを中心に大きな批判を集めはじめている。

一例を挙げよう。フジテレビの情報番組「バイキング」とテレビ朝日の「羽鳥慎一モーニングショー」がそれぞれの5月19日の放送で、『5月17日、日曜日の東京・原宿の竹下通りと表参道の様子』として紹介した映像、および『JR蘇我駅(千葉市)に鉄道ファンが車両撮影のために大勢集まった』などとし、あたかも緊急事態宣言が大勢の人から無視されているかのように報道した。

しかし、これらいずれの番組も、使用した映像が実際には3月のものであったことが視聴者などからの相次ぐ指摘や抗議で判明し、謝罪に追い込まれた。

3_20200912142901 さらに、テレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」のコメンテーター玉川徹氏は、医療の専門家でもないにも関わらず医療に関する数々の持論を広く展開。現場の医療関係者などから強く批判されている。

また、同じくテレビ朝日「グッド!モーニング」に出演したヨーロッパ在住の日本人医師は、「編集で取材内容とはかなり異なった報道をされてしまい、放送を見て正直愕然としました」「映像が編集され真逆の意見として見えるように放送されてしまいとても悲しくなりました」「現場の生の声として、物資の手配と医療従事者への金銭面や精神面での補助に関しても強調してコメントさせていただきましたがそちらも全てカットされてしまいました」と自身のSNS上で悲痛に訴えたことが波紋を広げ、テレビ朝日はこの件でも謝罪することになった。

当然ながら、「非専門家である民間のテレビ局が、専門家の声を真逆の内容で広く国民に拡散すること」は、人の命や安全に大きなリスクになる。さらに、本来の考えを真逆の意見に「捏造報道」されてしまった医師は、この報道が原因で多くの批判まで受けてしまっていた。

この件は、多くの国民に健康に関わる深刻な誤解を広めたことと合わせ、もはや「報道被害」と呼ぶにふさわしい人権問題の一例といえる。

しかしながら、これらの例は氷山の一角に過ぎない。

同様の事例は以前から繰り返されており、特に、ダイヤモンドプリンセス号にはじまった日本での新型コロナウイルスによる社会不安増大に連動して悪化してきた。というよりもむしろ、メディア自身こそが社会不安を増大させてきた感すら否めない。

メディアは「自分達の『物語』ありきの報道姿勢」によって、事実と異なる虚偽すら用いて私たちに不安を与え、人々の意識や行動に大きな影響を与えてきた。平時でも、エビデンスの怪しい「健康法」が取り上げられるたびに、翌日のスーパーで特定商品の棚が空になった様子などは、多くの人が見聞きもしているだろう。

こうした積み重ねが、特に非常時には深刻な害をもたらした。

空になったスーパーの陳列棚を強調して不安を煽っては買い占めを誘発させ、本来不必要な検査を推奨しては行く必要のない人を病院に走らせ、医療機関の負荷と多くの人の感染リスクを増やした。

災害は、必ず本体とそれに伴う社会不安の2本立てでやってくる。歴史を少し学んだだけでも、社会不安が災害本体に全く劣らない深刻な被害を引き起こしてきたことはすぐに理解できる。

そうした中で、災害時に不安を増幅させるばかりの一部マスメディアは、結果として被害の拡大に一役かってしまっている。かつて武器商人が「死の商人」と呼ばれたことを思えば、そうしたメディアはさしずめ「不安の商人」と化してはいるのではないか。

そして残念ながら、当事者から何度も抗議され、そのたびに形ばかりの「謝罪」をしようとも、今後も同様の行為が繰り返されるであろうことは過去の実例から容易に推測できる。

それは、今回と同様に大きな社会不安が日本を襲った9年前、福島で起こった東京電力福島第一原子力発電所事故の報道に関した経験からも明らかだ。

何度も繰り返され、全く省みられてこなかった報道被害

9年前の東電原発事故当時からマスメディアは、何も変わってこなかった。

たとえば、先ほども例にあげたテレビ朝日の玉川徹氏は、津波で甚大な被害を受けた岩手県や宮城県地域の瓦礫の広域処理に「放射能汚染」を理由に真っ向から反対していた。

瓦礫の広域処理が議論になっていた当時から、「懸念するような汚染は起こらない、健康にリスクを与えるようなものではない」ことは科学的な根拠を持って説明されたが、一部メディアはそうした科学的事実に真っ向から反する誤解を国民に広めていた。

このときの玉川氏を振り返って、当時の環境大臣であった細野豪志議員は「環境相の時、震災瓦礫の広域処理に反対一色だったテレ朝の番組に出演した。玉川氏には発言を遮られたが、岩手、宮城のガレキの広域処理の必要性を訴えた。彼らの反対意見に屈していたら目標通り三年で処理することはできなかった」と批判した。

細野議員が言うように、仮に社会がワイドショー先導の非科学的な世論、感情論に引っ張られて広域処理が行き詰まっていたならば、被災地外の人々の「安全であるにも関わらず安心できない」などといった不条理な理由で、被災地の子どもたちは未だに瓦礫に囲まれての生活を余儀なくされていた可能性すらあった。

現在、震災瓦礫の広域処理は予定通り終了したが、当然ながら「放射能汚染による健康被害」などおこらなかったことは実際に処理した施設での実測データの裏付けを添えて明言しておく。

ところが、当時無責任に反対したコメンテーターや政治家などからはこの件にいまだに謝罪も訂正もなく、そればかりか、今の新型コロナウイルス関連でも似たような言動を繰り返している。当時、メディアの無責任な報道に苦しめられた側としては言葉もない。

「甲状腺がん」「汚染水」──メディアが作った風評被害

メディアによる報道被害は、さらに続いた。

「東電原発事故由来で子どもの甲状腺ガンが増えているのではないか」

こうした誤解は今も一部で広まったままだが、これはもう何年も前の国連科学委員会(UNSCEAR)2013年報告書の時点で、とっくに否定されたと言える状況だった。その後追加で出された白書によって、この見解の信頼性はさらに強化されている。

(引用)

『「UNSCEAR2013報告書」の8つのポイントを挙げる。

(1)福島第一原発から大気中に放出された放射性物質の総量は、チェルノブイリ原発事故の約1/10(放射性ヨウ素)および約1/5(放射性セシウム)である。

(2)避難により、住民の被ばく線量は約1/10に軽減された。ただし、避難による避難関連死や精神衛生上・社会福祉上マイナスの影響もあった。

(3)公衆(住民)と作業者にこれまで観察されたもっとも重要な健康影響は、精神衛生と社会福祉に関するものと考えられている。したがって、福島第一原発事故の健康影響を総合的に考える際には、精神衛生および社会福祉に関わる情報を得ることが重要である。(注2)

(注2)精神衛生=人々が精神的に安定した生活を送れるようにし、PTSDやうつなど精神・神経疾患を予防すること。社会福祉=人々の生活の質、QOLを維持すること

(4)福島県の住民の甲状腺被ばく線量は、チェルノブイリ原発事故後の周辺住民よりかなり低い。

(5)福島県の住民(子ども)の甲状腺がんが、チェルノブイリ原発事故後に報告されたように大幅に増える可能性を考える必要はない。

(6)福島県の県民健康調査における子どもの甲状腺検査について、このような集中的な検診がなければ、通常は発見されなかったであろう甲状腺の異常(甲状腺がんを含む)が多く発見されることが予測される。

(7)不妊や胎児への影響は観測されていない。白血病や乳がん、固形がん(白血病などと違い、かたまりとして発見されるがん)の増加は今後も考えられない。

(8)すべての遺伝的影響は予想されない。』

ところがテレビ朝日系『報道ステーション』は、まるで「福島で被曝の影響によって甲状腺ガンが多数発生している」かのような、国際的な科学知見に真っ向から対立する報道を数年にわたり執拗に繰り返した。これに対し、2014年には環境省から「最近の甲状腺検査をめぐる報道について」とのタイトルで、異例の注意情報が発信されている。

テレビ朝日はさらに、2017年夏に全国放送した番組にも当初、『ビキニ事件63年目の真実~フクシマの未来予想図』というタイトルを付け、「ビキニ環礁の住民除染が済んだというアメリカの指示に従って帰島。しかし、その後甲状腺がんや乳がんなどを患う島民が相次ぎ、女性は流産や死産が続いた。体に異常のある子供が生まれるということも」と予告で語った。

わざわざ「フクシマの未来予想図」などというタイトルを付けた結果、避難指示解除に伴って福島への「帰(福)島」が進みつつある状況に対し、「政府を信じて帰還したらお前たちもこういう運命になる」とほのめかす悪質な意図を見出す人が当然増えた。

その結果、SNSを中心に番組への批判が続出し「炎上」すると、テレビ朝日は「誤解を招いた」などと苦し紛れの釈明をしてサブタイトルを削除した。しかし、「誤解とは具体的に何か」との数々の問い合わせは全て無視したまま今に至る。

1202732678 また、原発からの処理水についても、メディアはいまだに誤解を誘発させる報道を繰り返している。

東電福島第一原発にある処理水中の「三重水素(トリチウム)」はタンク貯蔵分(約860兆Bq)及び敷地内を合わせた総量で約2000兆Bqであるとされる。この量は世界的に見ても一般的で、たとえばフランスのラ・アーグが2015年にたった1年間で海洋処分した1京3700兆Bqにすら到底及ばない。しかも、諸外国で当然ながらそれを原因とした健康被害は報告されていない。

福島第一原発のタンクに溜められている処理水の多くは敷地内での作業員の被曝量を抑えるための応急処理に留まっている。しかし、現在稼働中の設備で再処理することによって、諸外国と同様の処分が可能となる。

ところが、ここでもマスメディアはそうした状況を正しく伝えず、「汚染水で海洋が汚染される」かのような報道を今も繰り返している。その代償として、途方もなく無駄なコストとリスクを国民一人ひとりが間接的に引き受けさせられているとも言える。

メディアのこうした傾向は中央のみならず、地方紙にも見られる。

「秋田魁新報」が著名な水中写真家である中村征夫氏によるトリチウムに関する科学的に誤った声をそのまま掲載させていた。この記事に関する科学的根拠を問い合わせても、完全に無視され続けている。

ここで例に挙げたようなメディア報道は、いずれも被災地やそこに暮らす人々に対する差別につながりかねない深刻なフェイクニュースであったと言える。そして懸念通り、三菱総研が東京都内で行った調査によると、原発事故から8年以上経った2019年時点でさえも、「約半数の東京都民が、差別につながりかねない誤解をし続けている」ことも明らかになっている。

無責任な報道で、多くの母子の命が奪われようとしている

実際に、報道被害によってすでに多くの人命が危機にさらされている深刻な状況もある。

小児科医の話によれば、子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)に対するマスメディアの無責任かつ誤った印象操作により、先進国中で日本だけがワクチン接種率を大幅に減らしてしまった。(70%→0.6%) これにより、現在では対象年齢での前癌病変が続出しているという。

子宮頸がんは20~30代に多く、「マザーキラー」とも呼ばれている。罹患する人が毎年1万人、亡くなる人が毎年3,000人もいる恐ろしい病気である。

「妊娠が判明した喜びの次の瞬間、胎児もろとも子宮を摘出しなければならない」「幼子を残して若い母が急逝する」などという痛ましい事態が繰り返されてきた一方で、他の国ではHPVワクチンによって撲滅が見えてきている。

その多くをワクチンで防ぐことができるはずだった病気にも関わらず、マスコミ報道が無責任な不安を煽った結果、現在も日本でのワクチン接種率は未だ充分に回復していない。

なお、多くの日本人女性とその子どもたちを不幸に陥れたこの「反HPVワクチン」報道は朝日新聞から始まったことがこの論文で明記されている。朝日新聞に、この責任が取れるのだろうか。

「報道被害」の構図を終わらせることは出来るのか

このように9年前の東電原発事故やその後のHPVワクチン関連でも多くの報道被害が起こり、そうした報道も悪影響も、いまだに現在進行形で続いている。その間には豊洲市場移転においても同様の構図があったことを覚えている方も多いだろう。

社会はそれらに対し充分な検証や責任追及をせず、事実上「野放し」にしてきた。その結果として、新型コロナウイルス関連でも同じことが繰り返されている今がある。

マスメディアにとって、無責任に不安を煽動しても無視できる程度のペナルティしか負わずに高い視聴率や反響を叩き出せるのであれば、それを止める理由は皆無に等しい。実際に、散々問題視されているテレビ朝日の「モーニングショー」は今、大きな視聴率を稼ぎだしていた。

しかしながら、ここまで人々の行動や世論、政治に対して絶大な影響力を持ち、三権とならぶ「第四の権力」とすら言われるマスメディアはその実、政治のプロでも医学のプロでもない挙句、結果に責任も一切持つことはない「声の大きな素人」に過ぎない。しかも民主主義的な選挙で選ばれたわけでもなく、弾劾を行うことすらできない。

そうした素人が世論を煽り、民主的な選挙で選ばれた政治家や専門家を差し置いて社会の意思決定を事実上担ってしまうことは、それこそ「公正な民主主義にとって危機的な状況である」とすらいえる。

たとえば5月には黒川検事長が新聞記者たちとの「賭け麻雀」スキャンダルを原因として辞職したが、その一方で同席していた新聞記者たちは結局その実名すら公表されなかった。これでは「マスコミは検察よりも強い」とすら言えてしまうし、京都アニメーション火災の被害者実名が遺族の意向を無視してまで公表されたことに比べれば、あまりにも対照的だ。

原発事故に続いての新型コロナウイルス関連で、再び問題がクローズアップされている「報道被害」。今度こそ、その構図を変えていくことはできるのだろうか

 私もこの林智裕氏が指摘するメディアの報道犯罪について、完全に同意します。前回のNHKを含め、テレビ朝日や、林氏のこのコラムには登場しませんが、TBSなど、このように全体の報道を概観すると、日本と日本人を弱体化するどす黒い意図を感じざるを得ません。そしてその後ろには中国と言う共産主義国家と、韓国と言う疑似共産主義国家が蠢いているような気がします。

 正常な報道を確保するためには、NHKの解体のみではなく、地上波テレビそのものの再編成が必要な気がしてなりません。しかし日本は今置かれている危機に対応するための政策立案と、その実行が遅々として進まない国でもあります。

 少子高齢化に伴う国力の衰退への様々な対処法を始めとして、慰安婦や徴用工捏造問題、南京捏造事件に代表される捏造歴史に基づく外交問題解消への政治努力、多くの分野にまたがる岩盤規制の解消、安全保障の根幹をなす憲法9条の改正と軍や諜報機関の整備と新設、インテリジェンスの穴を補完するスパイ防止法の立法化、そうした立法環境をより整備するための国会の抜本的改革、そして今回のテーマのような報道機関の正常化等々、日本の弱体化の歯止めとなる政策は、全くと言うほど手が付けられていません。

 「ゆでガエル」はやがて知らないうちに死に至ります。今はちょうどいい湯加減で恐らく眠っている時期でしょう。気がついたらすっかり茹でがえり、動けなくなる。そして向かう先は死。国でいえば主権を失いどこかの国の属国化です。そうならないためにどうすればいいか、10年20年後を見据えて、そのことを真剣に考えるリーダーが出てきて、「ゆでガエル」でも、ゆでられる途中でにわかに覚醒し、鍋を飛び出せるように、是非そうしてもらいたいものです。

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2020年9月13日 (日)

絶対、総理にしてはいけないざんねんな石破茂氏

4_20200912162401  明日は自民党総裁選。菅氏のリードは固いようですが、政治の世界何が起こるかわかりません。でも立候補3氏の中で、石破茂候補だけは総理にしてはならないという意見があります。産経新聞論説委員兼政治部編集委員の阿比留瑠比氏が、月刊Hanadaプラスに寄稿したコラムがそれで、以下に引用します。タイトルは『絶対、総理にしてはいけないざんねんな石破茂』(8/31)です。

◇    

共同通信の世論調査「次期首相に『誰がふさわしいか』」のトップは石破茂自民党元幹事長で34.3%。しかし石破氏がどんな政治家なのか、本当に理解している人は少ないのでは? 産経新聞社政治部編集委員の阿比留瑠比氏が見た「絶対に総理にしてはいけない」石破茂氏の本当の姿と「後出しじゃんけん」の歴史。

お祝いの会で場違い発言

もう14年も前、2006年6月の話だが、産経新聞のニュースサイト「iza(イザ!)」に開設されていた記者ブログ欄で、「将来の総裁候補」と題して自民党の石破茂元幹事長について書いたことがある。

石破氏の衆院議員在職20年記念パーティーの様子を記したもので、あいさつに立った有力議員らのほとんどが、当時49歳で当選7回だった石破氏を将来の総裁候補だと述べていたことを紹介した内容である。

この日、石破氏を総裁候補と呼ばなかったのは、自身が総裁選出馬を表明している麻生太郎外相(当時)ぐらいだった。

石破氏本人は「私のことはおいといて」とはぐらかしつつも、総理・総裁への意欲表明ともとれるこんなあいさつをしていた。

「国会議員であることも、政府の役職を務めることも、それはあくまで何かを成し遂げるための手段であって、それ自体が目的なのではないと、ずっと思ってきました」

ただ、一つ気になったのが、石破氏が「戦争責任をもう一回考えたい」と、自分のお祝いの会にしては場違いなことも強調していたことだった。

石破氏は「その人(戦争責任者)に今から鞭を打つことではない」とも説明していたが、筆者はこの時のブログにこんな危惧を書いた。

「石破氏の真面目さと使命感ゆえの取り組みが、『石破氏もこう言っている』と左派勢力に利用されないとも限りません。少し心配です……」

タカ派がリベラル左派に

筆者自身もこの頃は、石破氏の将来を嘱望していた。現在よりさらに「平和ボケ」状態にあったわが国で、「軍事オタク」と揶揄されながらも政策に勉強熱心で、票にならない安全保障分野で発信を続ける石破氏が、政治家として何か大きな仕事をしてくれるのではないか、との期待があった。

「自衛隊法は行うことができることを記した『ポジティブリスト』方式になっており、それ以外はできない。これを軍隊の行動の国際標準である行ってはいけない行動を規定した『ネガティブリスト』方式にしたい。それにより、自衛隊の活動の自由は大きく広がり、有事に柔軟に対応できる。政治家として、これだけは成し遂げたい」

当時、言葉に力を込めて筆者にこう語っていた石破氏だが、その後、党や内閣で枢要な地位に就いてからは同様の話は聞かなくなった。

若い頃はタカ派と呼ばれていたが、いつの間にかリベラル左派であるかのような印象が強い「残念な人」になってしまった。

現在、石破氏は自民党総裁候補であり続けているが、同時に朝日新聞をはじめとする左派メディアが安倍晋三政権を批判したいときに便利な存在として利用され、取り込まれている。

そして自民党の総裁候補というより、むしろ野党の代表のような発言を期待され、それに応えているのである。

「あくまでいまから思えばの話ですが、中国をはじめとして、感染が始まった国からの入国はもっと早く止めるべきであった」

「入国制限をもっと早くに行うべきであったし、そこは台湾の情報というのはもっと早く日本政府に入っていたはずであって、あれほど中国との交流が多い台湾において、総統選挙というものの最中でありながら、台湾政府が取った迅速な対応をもっと早くわが国も取り入れておくべきだった」

「ダイヤモンド・プリンセスの、乗っておった方々を、公共交通機関でご自宅にお帰りくださいというような対応を取ったのは極めてまずかった」

石破氏は、3月30日に日本外国特派員協会で行った記者会見で、安倍政権の武漢ウイルスへの対応をこう批判した。

安倍首相による全国の小中高校などへの休校要請に関しては「結果として正しかった」と評価したが、ネット上では「また後出しジャンケンか」と話題になった。

根拠なしに産経を批判

石破氏は2月に、同じ年生まれの自民党の岸田文雄政調会長、石原伸晃元幹事長、中谷元元防衛相と開いた自身の63歳の誕生祝いの会合では、新型コロナウイルスの感染拡大防止に対応する安倍晋三政権を支えることで一致していた。

「首相には、先頭に立って全責任を負うということで臨んでもらいたい。支えていく」

その際には、石破氏は記者団にこう明言していたにもかかわらず、支えるどころか足を引っ張るような発言ばかりしている。安倍政権のウイルス対応に問題があったならば、その時々に直接、あるいは第三者を通じて申し入れるなり、党内で指摘して議論を起こすなりすればいい。

「私はいつも『弓を引くのか』と言われる。意見を言うと政権への反抗とするような党になってはいけない」

石破氏は1月15日のBSテレ東番組収録ではこう述べ、党内に安倍政権への批判的言動を許さない空気があるとの認識を示した。

自身の言葉への風当たりが不服のようだが、戦後最大の国難といえるウイルス禍の最中に、政権与党の元幹部がわざわざ政権の揚げ足取りのような真似をするから反発を受けるのだ。

石破氏は前述の記者会見で、自身に対する批判に関して「『常に言うことが正論で、世の中はそんなものではない』というところもあるかもしれない」と分析していた。

自覚がないようだが、「正論」と自己評価する発言の中身にも矛盾が見える。個人的にそんなことまで言うのかと感じたのが、2018年の自民党総裁選時でのエピソードである。

総裁選間近の8月21日、テレビ朝日番組で、左派ジャーナリストの青木理氏が産経新聞2018年8月20日付朝刊記事「首相『石破封じ』牽制球次々」について「ある種異様な記事だ」と述べると、出演していた石破茂元幹事長がこう同調したのだった。

「いまの指摘の新聞がそうだが、メディアと権力は一定の距離を置いていたはずだ。代弁人ではなかった」

まるで産経が権力の代弁人だと言わんばかりだが、いったい何の根拠があってどの部分がそうだというのか、甚だ疑問だった。

当該記事は、総裁選に関する当事者たちの生々しい発言を複数の記者が取材してまとめたインサイドストーリーである。自民党内の空気と実情を、具体的なエピソードを通して描いたものが、どう「異様」だというのだろうか。

「あれじゃ野党と同じ」

まして石破氏は、総裁選に向けて同年七月に出版した著書『政策至上主義』で、わざわざ「マスコミのせいにしない」という見出しを立ててこう記していた。

「『マスコミが悪い』と言いたくなる気持ちは本当によくわかりますし、マスコミ自身が批判されるべき場合には、きっぱりとした抗議や申し入れも必要だと思います。しかし、私は経験から、それだけでは理解が広がらないとも思っています」

総裁選では、石破氏の安倍首相批判の在り方について、党内からも疑問の声が挙がった。石破氏支持の立場を取る竹下派(平成研究会)の参院側を束ねていた故吉田博美氏さえ、記者会見で石破氏の首相批判についてこう明言した。

「相手への個人的なことでの攻撃は非常に嫌悪感がある」

この頃、竹下派の中堅衆院議員も首を傾げていた。

「石破さんの出馬記者会見をみると、正直引いてしまう。あれじゃ野党と同じだ。同じ党なのに、あんな人格攻撃みたいなことを前面に出してどうするのか」

石破氏は著書で「異論と『足を引っ張る』はまったく違う」と書いているが、周囲に個人攻撃、人格攻撃と受け止められていることをもっと反省すべきではないか。

また、石破氏は総裁候補である以上、首相になったら北朝鮮による拉致問題にも取り組まないといけないが、この国家によるテロであり重大な人権侵害でもある重要事について、冷淡すぎることも気にかかる。

前述の著書でも、北朝鮮情勢が逼迫していた時期だというのに、拉致問題が論じられていない。

「もし石破政権が誕生したら、拉致被害者家族会は反政府に回るだろう」

政府の拉致対策本部幹部の最近のセリフである。石破氏は拉致被害者家族に嫌われているというのである。だが、もう政界でも忘れてしまった人のほうが多そうだが、石破氏は2002年4月から9月頃まで 拉致議連の会長を務めたことがある。

石破氏に会長就任を要請した故中川昭一元財務相が当時、嬉しそうに筆者にこう語っていたのをいまも忘れない。

「(中国や北朝鮮に宥和的なイメージがある)橋本派の石破さんが受けてくれたのは大きいよ。インパクトがある」

福田康夫に籠絡された

ところが、石破氏は小泉純一郎内閣の防衛庁長官(当時)に抜擢されると、拉致問題から手を引いていく。防衛庁長官就任直後には、筆者に「拉致議連会長だったということで、福田康夫官房長官に怖い人かと思われていた。腫れ物に触るようだったよ」と苦笑していたが、のちには取り込まれていく。

「福田さんは、私の父が元建設官僚で鳥取県知事の石破二朗だと知ると、『なんだ、君は官僚の息子か』と打ち解けてきた」

石破氏は2014年9月の安倍首相による内閣改造の際には、首相とは集団的自衛権を含む安全保障政策に関する考え方が違う、と打診された安全保障法制担当相を固辞した。

一見筋が通っていそうだが、北朝鮮に宥和的で安保政策には関心が薄く理解もない福田に、簡単に籠絡されたのだった。

石破氏は拉致議連会長就任時には、筆者のインタビューに次のように答えていた。

「とにかく行動すること、北朝鮮に毅然たる姿勢で臨むことの二点に議連の意味がある。日本はこれまで、コメ支援や朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)への援助など、太陽政策的な措置を何度もとってきた。それなのに北朝鮮は、『行方不明者(拉致犠牲者)は捜したがいなかった』と非常に不誠実な答えを返し、ミサイルを撃ち、工作船を航行させるという行動に出ている」

「この問題を歴史認識や戦後補償と絡める人もいるが、拉致犠牲者の返還要求とは全く別問題であり、切り離すべきだ。拉致容疑は人権問題でもあるが、それ以前に国家主権の侵害だ」

「日本の被害を国際社会に認知させないといけない。そして、北朝鮮に『国際社会は敵に回せない』 『拉致犠牲者を帰さないとわが国は立ち行かない』と理解させることが必要だ。北朝鮮の暴発を恐れる向きもあるが、日本にすきがあり、成算があるからこそ暴発する。暴発しても何も得られないと思わせる国家態勢を作っていかなければならない」

それこそ正論である。ところが石破氏は変節していき、2018年6月には、北朝鮮に宥和的で拉致被害者家族から警戒されている日朝国交正常化推進議員連盟(衛藤征士郎会長)の会合に姿を現すまでになった。

自衛官からの拒否反応

拉致問題に関する考え方がいつ、どのようなことがきっかけで変わったのか。寡聞にして石破氏が説明したという話を知らない。拉致被害者家族から信用されないのも当然だと言えよう。

また、石破氏が得意分野である国防を担う自衛官たちに、あまりに人望がない点も気にかかる。筆者は多数の幹部自衛官や自衛官OBから、石破氏を忌避する言葉を聞いた。元自衛官トップの一人はこう吐き捨てた。

「石破さんは肝心なときに逃げる。防衛相時代は、部下をかばわず責任を押し付けた。自衛官は彼を信用していない」

不信の背景の一つは、2008年2月に起きた海上自衛隊のイージス艦と漁船との衝突事故である。このとき、防衛相だった石破氏は、事故の責任が自衛艦と漁船のどちらにあるかも判明していないにもかかわらず、漁船が所属する漁協や遺族宅を訪れ、直接謝罪を行った。

一方で、当時の海上幕僚長らを更迭するなど自衛隊側に厳しい処分を下したが、結局、業務上過失致死罪などで起訴された当直の水雷長と航海長は、無罪判決が確定している。

守ってくれるはずの親分に、身に覚えのない処分をされたり、責されたりした自衛官側はたまったものではない。

防衛庁長官時代、イラク派遣部隊の現場視察が計画された際に、複数回にわたって視察をドタキャンしたことも士気を下げた。

筆者は石破氏が防衛庁副長官だった当時には、「石破氏の話を聞いてみたい」という自衛隊の中堅幹部を連れて、焼き鳥持参で石破氏の宿舎を訪ね、缶ビールを片手に和気あいあいと談笑したこともある。

とはいえ、肝心の組織トップとなった際の振る舞いで失望を買うようでは仕方がない。自衛隊の最高指揮官としてふさわしくないと、自衛官自身が拒否反応を示している。

いつのまにか護憲派に

さらに解せないのが、自民党の党是である憲法改正に対する石破氏の姿勢である。

今年元日には、鳥取市で記者団の質問に答え、戦力不保持を定めた憲法九条二項を維持したまま自衛隊を明記する自民党の九条改正案について、「絶対反対の立場だ」と強調した。党が2018年にまとめた改憲案に、改めて異論を唱えたのである。さらに九条改憲自体についても否定的にコメントした。

「ハードルは非常に高い。政治の最優先課題だとは思わない」 

だが、この問題はすでに決着が付いている。それこそ総裁選で石破氏と争った安倍首相は当時、周囲にこう決意を示していた。

「この問題は、これで終わらせる」

総裁選で自衛隊明記の憲法改正を掲げて反対論を唱える石破氏に堂々と勝つことで、明記案の正当性を高め、党を一つにまとめようと考えていたのである。

実際、総裁選で石破氏は党員票こそ45%を獲得したものの、国会議員票は2割にも及ばず、安倍首相の圧勝だった。

「総裁選での討論会などで、石破さんはなぜか憲法論議にはあまり乗ってこなかった」

安倍首相はのちにこう振り返っていたが、石破氏は憲法に関する持論を前面に打ち出すこともしなかった。総裁選討論会で、石破氏はこんな言い方をしていた。

「国民に向けて一人ひとり誠実な説明なくして、私は憲法改正なんてやっていいと全く思っていない。そういうやり方が、(安倍首相とは)方法論として異なる」

ただ、誠実に説明するのはいいが、自民党は昭和30年の結党時から「党の使命」として憲法改正を掲げ続けてきたのではないか。何をいまさら言っているのかとの感がある。

国民の一人としては、はぐらかされ、バカにされたような気分になる。

そんなふうでいて、いまさら「絶対反対」と言うのはどうか。ただ、護憲勢力を喜ばせるだけではないか。石破氏は、実は護憲派だったのか。

また、今年2月には、武漢ウイルスの感染拡大に伴い、憲法を改正して「緊急事態条項」の新設を求める意見が浮上した。

石破氏はその際、その動きについて「悪乗りだ」と批判した立憲民主党の枝野幸男代表の言葉を引き合いに、「悪乗りして憲法に持っていくつもりはない」と主張した。

緊急事態条項の新設は、自民党が策定した改憲4項目の一つだ。党幹部は「世論受けを狙っても、党全体に泥を塗るような姿勢では支持が広がらない」と憤っていたが、野党に安易に寄り添ってどうしたいのか。

Eaf4f044dd 首相の邪魔をしたいだけ

安倍首相が改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言をしたところで、感染症対策で最も効果的だとされる人の移動制限は、「みだりに外出しない」などの「要請」しかできない。あくまで国民の自粛を期待するしかないのである。

「一時的にせよ、私権を制約する立法を可能とするには憲法に根拠規定がなければならない」(長島昭久元防衛副大臣)のであり、国民の理解が得やすいいまこそ緊急事態条項の議論をすべきではないか。「悪乗り」だなんだと言葉を弄んでいる場合ではない。

あるいは石破氏自身は筋論を述べているつもりかもしれないが、傍から見ると単に安倍首相の邪魔をしたいだけに思えてしまう。

たしかに現在、石破氏は各種世論調査で「次の首相」候補を問う質問で、常に一位か二位に名前が挙がる。

ライバルである自民党の岸田文雄政調会長らに大きな差をつけるが、調査結果をよく見ると、後押ししているのは総裁選の投票権を持たない野党支持層が目立ち、投票権を持つ自民党議員には派閥の枠を超えて強固なアンチ石破が少なくない。

産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査(3月21、22両日に実施)で、石破氏は安倍首相の18.8%とほぼ並ぶ18.5%となり2位を確保した。小泉進次郎環境相は9.8%、岸田氏はわずか2.9%に留まっており、その差は歴然としている。

とはいえ、調査結果を自民党支持層に限れば石破氏は19.7%で、首相の39.3%の半分程度しかない。逆に野党支持層の回答をみると、石破氏は立憲民主党(21.9%)、共産党(35.9%)、れいわ新選組(39.4%)と高い支持を受けている。

当たり前のことだが、自民党総裁は党員と国会議員の票で選ばれる。いくら野党支持者に人気が高くても、身近にいる同僚の自民党議員や自民党支持者層から評価されなければ総裁には就けない。党員票では岸田氏に勝てても、国会議員に選ばれなくては首相の座は勝ち取れない。

石破氏もそんなことは百も承知だろうが、安倍政権への文句ばかり繰り返しても、左派メディアや野党を利するばかりではないか。

部会で議員をバカに

安倍首相と石破氏のそりが合わないことは、周知の事実である。いまさら仲良くなれなどとは言わないが、石破氏はもう少し謙虚に、大人になるべきだろう。

今回の武漢ウイルス危機は当然だが、これまでの森友・加計問題などで安倍政権が苦しいときに、政権を支え、擁護する発言をしていれば、「石破さんも人間ができてきたな」 「成長したな」と言われていただろう。

だが実際は、これまでは逆に野党や左派メディアと一緒になって安倍叩きをやってきたとの印象が強い。

十数年前には、自民党国防部会などで、勉強不足の議員らを露骨にバカにすることもあった。自分では覚えていなくても、軽く扱われた側は忘れはしないだろう。議論で相手を言い負かしたつもりでも、相手はそうは思っていない場合が多い。

石破氏自身、その頃に、派閥の先輩で頭が切れることで知られた久間章生元防衛相からこんなことを言われたと語っていた。

「石破君、君は自分が一番賢い、自分が一番正しいと考えているようなところがあるが、そう思っているうちはまだまだだよ」

結局、政治家が大成するかどうかは、周囲に人が集まるかどうかで分かる。

安倍首相が潰瘍性大腸炎という持病の悪化でいったん政権を手放し、国民の軽侮を浴びながら、再び首相に返り咲けたのは、周囲に「この人をまた首相に」と思い、離れていかなかった者が少なくなかったからだろう。

一方、石破氏の周りに、絶対に石破でなければだめだと信じる者がどれだけいるか。現状では甚だ心もとない限りである。

 心配するまでもなく、明日の総裁選では石破氏の芽はないものと思われますが、仮に菅氏が総理になっても、石破氏の立場や発言は変わらないでしょう。久間章生氏の発言の通り「自分が一番賢い、自分が一番正しいと考えているようなところがある」その性格や態度は、一朝一夕には変わらないと思われるからです。ですから安倍首相の時と同じように、菅批判側に回ることは十分考えられます。ただ菅さんが石破氏を閣僚や自民党役員にすれば別です。彼が受けるかどうかわかりませんが。

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2020年9月12日 (土)

反日偏向番組を繰り返すNHKを解体し、公正で真実を語る新しい放送局を再編しよう

Images_20200912121601  今朝のNHKニュースで、97年前の1923年9月1日に発生した関東大震災の災害事例が報道されました。10万人余りの犠牲者が出た未曽有の地震災害ですが、その報道時間の殆どが朝鮮人に対する暴行、殺害にあてられ、続けてコロナ禍の中での中華街における中国人に対する、「出ていけ」等の落書きを示し、日本人の人種差別の問題を指摘していました。

 確かに震災当時デマもあり朝鮮人への迫害もあったかもしれませんが、何故今日、震災当日でもないのにそれを取り上げ、日本人の被害にあった犠牲者のことは、10万人と言う数字だけでさらっと流し、あとは民族差別の話題に集中させる必要があったのでしょう。

 民族差別や虐待の問題なら、中国におけるチベット、ウイグル、モンゴル人への差別や虐待が、現在進行形で行われています。フィリピンでもミャンマーでもそしてあの黒人差別のアメリカでも。そういった外国での事例を大きく取り上げた番組は見たことは有りません。

 過去をさかのぼれば、旧ソ連の対日参戦後の樺太や北方領土侵攻時の日本人の強姦虐殺事件、更に終戦後のシベリア抑留日本人兵士に対する、言語に絶する強制労働や拷問虐待事件、5万人以上が殺されたと言います。また中国人による身の毛もよだつような通州事件での日本人虐殺事件。更には終戦直後の朝鮮半島から日本に引き上げる途中での、日本人への朝鮮人による強姦虐殺事件。戦時の事件だからあって当たり前、だから報道しないと言うのでしょうか。

 中国や韓国では南京事件や慰安婦強制連行など、ありもしない日本軍の蛮行を捏造し、堂々と報道しているというのに、その反論報道を全くしない公共放送。同様な国営放送の英国BBCは直接関係のないライダイハン問題を取り上げていますが、NHKにその意志は全くないようです。

 つまり日本人の差別やヘイトは率先して報道するけれども、外国人の日本人への誹謗中傷やヘイトは報道しない、全くの自虐そのものの公共放送です。韓国の新聞テレビは毎日のように日本へのヘイトを続けています。それに対する報道もあまり見かけません。こんな公共放送は全く必要ないのではないでしょうか。

 2009年NHKはNHKスペシャル番組「JAPANデビュー」の第1話で「アジアの“一等国”」と題し、統治時代の台湾について史実とは全く異なる酷い捏造報道をしています。それが理由で対象となった台湾人から猛反発を受けています。このブログでも2018年11月10日に、『NHKはなぜ反日番組を続けるのか 「ジャパンデビュー」を検証』で取り上げていますので詳細はそちらを参照いただければと思います。

 そして戦時における日本の蛮行として描いた「731部隊の真実」も捏造番組です。その詳細を少し前になりますが、早坂隆氏が月刊Hanadaプラスに寄稿した『中国外務省が大絶賛したNHKスペシャル「731部隊の真実」に重大疑問』(1/25)から引用掲載します。少し長くなりますがご一読いただければ幸いです。

Photo_20200912121701 史実を殺す過剰な演出、故人を一方的に批判し断罪、結論ありきの構成。「NHKスペシャル 731部隊の真実~エリート医学者と人体実験」はあまりにも問題が多すぎる。NHKは膨大な予算(受信料)をかけて「中国を喜ばせるプロパガンダ番組」を制作しているのではないか。

731部隊とは何か

2017年夏の8月13日、「NHKスペシャル 731部隊の真実~エリート医学者と人体実験」という番組が放送された。NHKのホームページによれば、「数百点にのぼる資料をもとに、731部隊設立の謎に迫る」とのことであったが、番組を見て私が感じたいくつかの疑問点などを以下に示したい。  

まずは、731部隊の概略について簡単に触れておこう。  

731部隊とは、大東亜戦争末期に存在した日本の研究機関の一つである。正式名称は「関東軍防疫給水部本部」という。この機関の通称号(秘匿名称)が「満州第七三一部隊」であったことから、戦後に「731部隊」の名で広く定着するようになった。  

部隊があったのは、満州のハルビン郊外の平房という地である。昭和20年の時点で、同部隊には3000人以上もの人員が所属していた。規模としては、かなり大きな組織だったと言える。  

彼らの主要な任務は、兵士の感染症予防や、衛生的な給水体制の確立を研究することであった。ノモンハン事件の際には、的確な給水支援や衛生指導により、多くの人命を救ったとされる。  

これらの任務と並行して進められていたのが、細菌戦などを意識した生物兵器に関する研究であった。日本は生物兵器や化学兵器の使用を禁ずるジュネーヴ議定書を批准していなかった。ただし、同議定書を批准した多くの国々が、秘密裏に様々な兵器の研究を進めていたのも事実である。  

そんな731部隊の実態については戦後、様々な論争が繰り返されてきた。主な論点となったのは、「人体実験が行われていたのか」 「生物兵器を実戦で使用したのか」といった部分である。  

はじめに示しておくが、私は731部隊に関して「人体実験や細菌実験が全くなかった」と断定する者ではない。しかし同時に、現在の中国側が一方的に主張している内容については、史実を逸脱した側面がかなり含まれていると考えている。中国が国家主導で展開するプロパガンダ戦略のなかで、731部隊の存在が恣意的に利用されている現状があることは否定しがたい。

ハバロフスク裁判の肉声

「昭和史のタブー」とも称される731部隊であるが、この問題について「新資料」からのアプローチを試みたのが同番組である。では一体、それはどのような内容であったのか。  

この番組の骨格をなしているのが、「ハバロフスク裁判の音声記録」である。同裁判における法廷でのやりとりを録音した磁気テープが、モスクワの「ロシア国立音声記録アーカイブ」で新たに発見されたというところから、この番組は始まる。  

_2______________________________________ 731部隊に所属していた人々の多くは、ソ連軍の満州侵攻によって捕虜となり、シベリアに強制連行された。いわゆる「シベリア抑留」である。  

その後、彼らは通称「ハバロフスク裁判」によって、戦争犯罪人として訴追されることになる。裁判の期間は1949年12月25日から30日までの6日間。戦勝国であるソ連が主導した軍事裁判である。この法廷では、日本のソ連に対する軍事行動が幅広く断罪の対象となったが、そのなかで731部隊も扱われたのであった。  

今回、モスクワで見つかったというこの磁気テープには、731部隊や関東軍の幹部であった者たちの証言がたしかに録音されている。これまで同裁判の詳細は不明な点が多かったから、その内容が判明したという意味において、この発見が貴重なものであることは間違いない。  

音声記録のなかにあったのは、「びらんガスを人体実験に使用した」 「乳飲み子のいるロシア人女性を細菌に感染させた」 「中国の軍隊に対して細菌武器を使用した」といった肉声の数々であった。

問題となるのは、その内容をどう解釈するかである。

ソ連による思想教育

前述したとおり、ハバロフスク裁判が始まったのは1949年の年末であり、被告はすでに4年もの抑留生活を送っていたことになる。  

シベリア抑留者に対して徹底した思想教育(赤化教育)が行われたのは、広く知られているとおりである。抑留者たちの引揚港となった舞鶴港では、港に立つと同時に、「天皇島上陸!」と叫ぶ者たちが少なからずいたとされる。いわゆる「赤い引揚者」である。長期にわたる苛酷な思想教育の結果、抑留者のなかには共産主義に染まった者たちが大勢いた。昭和史の哀しき逸話である。  

抑留生活中には、短期間で共産主義に感化される者もいれば、一日でも早く帰国するため、面従腹背で矯正されたフリをした者も多くいたという。いずれにせよ、抑留という極めて特殊な状況下において、ソ連側の意向に反する主張や行動をすることなど不可能であった。

シベリア抑留史に関する研究の常識を一切無視

ハバロフスク裁判とは、そんな状況が4年も続いた末に開廷された裁判であった。法廷に自由な言論などあったはずがない。これは極めて重要な歴史的側面である。この部分を無視、あるいは軽視しては、等身大の史実に近付くことなどできない。これは、シベリア抑留史に関する研究の常識でもある。  

しかし同番組では、裁判の肉声に以上のような観点が全く加えられないまま話が進められていく。裁判に関する複眼的な見方は、最後まで呈示されない。なぜ、このような一面的な構成となってしまったのか。  

改めて記すが、私は731部隊にまつわる疑惑のすべてが捏造だったと言う気はない。同番組で紹介されたすべての肉声を、「嘘の証言」と断定することなどできるはずがない。731部隊が細菌兵器の研究を進めていたのは事実であり、現在の視点から考えれば非人道的だったと言わざるをえない光景もあったのだろう。  

しかし少なくとも、ハバロフスク裁判の本質が極めて一方的なものであったという点は、看過してはならない歴史的な事柄のはずである。被告は、ソ連側の主張に反すれば帰国ができなくなるという絶望的な状況下にあった。この側面を考慮に入れるべきなのは、至極当然のことである。まさか、独裁国家であるソ連が主導した戦勝国裁判が、公正で信頼に足るものであったと考える人は少ないであろう。にもかかわらず、同番組はこの点に関して不自然なほど言及しない。  

裁判の本質を丁寧に吟味することなく、音声記録だけをもって論を進めていくその姿勢には、強い違和感を覚えた。本来ならば、「この裁判が抱えていた問題点」を正面から見据えたうえで、周到に論考していく必要があったのではないだろうか。より多面的な視点を一つでも増やすことこそが、番組名が掲げるところの「731部隊の真実」に近付く唯一の道だったはずである。

史実を殺す過剰な演出

また、同番組では「生きたまま実験材料とされ亡くなった人は、3000人にのぼるとも言われています」というナレーションが使用されている。この数字は、はたして実証性のあるものと言えるのだろうか。たしかに「3000人が虐殺された」と主張する研究者は見られるが、この数字は歴史学のなかで定説となっているものでもない。いまだ議論の続いている数字である。  

731部隊に関しては、信頼性の高い史料が乏しく、様々な論争がいまも続いている。そんななかで、番組制作側はどのような調査、あるいは基準によって、このようなナレーションとしたのか。  

また、もう一つ私が疑問に感じたのが、随所でおどろおどろしい音楽が流れる点である。このような過剰な演出は、ドキュメンタリーを名乗る番組として相応しくない。近年では同番組だけでなく、このような演出を多用するドキュメンタリー番組が非常に増えている。私はこの点に関し、強い危惧を抱いている。過剰な演出は史実を殺す。

「結論ありき」の構成

さらに、番組中にイメージカットとして「複数の蟻が虫の死骸を懸命に巣に運び込もうとする映像」が使われる。蟻が731部隊の日本人、虫の死骸が中国人(あるいはロシア人)の遺体をイメージしていることは明らかである。こうした安易な演出は不必要なばかりか、視聴者の潜在意識に誤解を生じさせる。  

この番組が、多くの時間と労力をかけて作られていることは間違いない。軍からの研究費を見返りとして、東京大学などが多くの優秀な人材を同部隊に送り込んでいたという指摘などはなかなか興味深かった。だからこそ、「結論ありき」の構成になっているように見受けられた点が残念でならない。

故人を一方的に批判、断罪

元731部隊の引揚者のなかには、「非人道的な行為などなかった」と証言している者もいる。その一人、かつて同部隊の研究者であった吉村寿人はこう述べている。

「私は軍隊内において凍傷や凍死から兵隊をいかにして守るかについて、部隊長の命令に従って研究したのであって、決して良心を失った悪魔になったわけではない」  

同番組では、この吉村の発言を極めて批判的に紹介している。  

さらに、731部隊出身の戸田正三(戦後、金沢大学学長)や田部井和(戦後、京都大学教授)に関しても、「戦後、口を噤んだ」という一言をもって断罪している。しかし、すでに鬼籍に入り、反論できない立場にある故人に対して、一方的に批判する手法もフェアでない。  

彼らにも主張や意見はあったはずだ。それを「口を噤んだ」という一語で簡単に片付けるのはいかがなものか。戦後社会が「731部隊=悪魔の部隊」のごとき言説に一挙に染まっていくなかで、彼らに反論できる状況など実質的になかったという一面もしっかり考慮すべきではないか。  

ちなみに、日本政府は2003年に小泉内閣が731部隊に関する答弁を閣議決定しているが、その内容は、「外務省、防衛庁等の文書において、関東軍防疫給水部等が細菌戦を行ったことを示す資料は、現時点まで確認されていない」  

というものである。この点についても、同番組では全く触れられない。

ドキュメンタリー番組として真に相応しい態度と言えるのか

様々な見方や主張があるなかで、「非人道的な行為」を認めた者たちの証言のみを取捨選択して紹介する姿勢は、ドキュメンタリー番組として真に相応しい態度と言えるのだろうか。しかも、その新資料だという「証言」は、諸般にわたり差し引いて考えるべき要素を含む代物なのである。  

なぜ、多様な主張を対等に並べるような構成にしなかったのか。複眼的な見地を遺漏なく示せば、ドキュメンタリーとしての健全な奥行きも生まれたはずである。そうしないのであれば、公正さを欠いた内容だと感じる視聴者が出ても当然であろう。  

世界史的な視座

また、より広範な観点に立てば、アメリカが同時期に核兵器の開発を強力に推し進めていたという事実も無視することはできない。さらに、当時の先進国の多くが、毒ガス兵器の研究を推進していたという事実もある。こうした世界史的な視座から、日本軍についても捉えていくべきであろう。そういった視点がないことにも不足を感じた。  

現場の取材班は、ある種の意欲と情熱をもって懸命に取材したのだと思う。ただ、そこに周囲からの適確なチェック機能は働かなかったのだろうか。最終的な放送内容を確認するのは局内の上層部である。NHKでは実際の放送までに複数の試写会を局内で行うのが通例であるが、そういった場において、「ソ連が主導した戦勝国裁判の内容を、そのまま受け止めることに危険はないか」「もう少し多様な意見も取材してみてはどうか」  

といった声は上がらなかったのだろうか。  

E・H・カーは、「歴史を研究する前に歴史家を研究せよ」と言っている。「歴史を語り継ぐ」とは使い古された表現だが、そのためには極めて精度の高い専門的な技術と経験が求められる。戦後70年以上が経ったいま、「先の大戦の史実を伝える者たちの技術が劣化しているのではないか」という疑念が、自省の念とともに私の脳裏を過る。

中国の「731部隊」記念館

かつて731部隊のあった場所は現在、「侵華日軍第731部隊遺跡」という施設になっている。私は数年前にこの場所を訪問した。その後、同施設はリニューアルされたと聞くが、展示物自体はほぼ変わっていないということで、当時の様子を紹介したい。  

場所はハルビン市の中心部から南に20キロ弱のところである。広大な敷地内には、往時の実験棟なども残存している。巨大なボイラー棟の残骸を見ることもできる。  

メインの展示室となっているのは、旧本部跡である。ガラス製の陳列棚の内部には、日本軍が使用したという防毒マスクや手錠、足枷などが展示されていた。メスやハサミといった手術道具も置かれている。  

中国人捕虜に使ったという拷問具などもあったが、それらが本当に実用されたものだったのかについては疑問が残る。中国には各地に「抗日記念館」が設けられており、そのなかで「日本軍が使った拷問具」はもはや定番の展示物であるが、それらが適確な歴史学的検証を経たものであると考える研究者は少ない。  

また、「抗日記念館」お得意の「人形を使ったジオラマ」も並ぶ。手術室で解剖実験をしている光景が、吐き気を催すような不気味なトーンで具現化されている。子供を抱いた女性を日本兵が殺害しようとしている場面もある。このようなジオラマを見た見学者たちは、日本に対して強い嫌悪感を抱くに違いない。  

同館の731部隊に関する主張は、「日本軍が中国の民衆を大量に虐殺した」というスタンスで一貫しており、この地であったことは「ナチスのホロコースト」と同等の戦争犯罪として位置付けられている。同館の職員の一人はこう言う。 「犠牲者の数は膨大過ぎて、いまもわからない。1万人かもしれないし、10万人かもしれない。国際社会はこの悲劇に、もっと目を向けないといけない」  

彼はその後、「ここはアジアのアウシュビッツ。日本人はもっと歴史を学ばなければならない」と何度も繰り返した。  

そんな同館だが、館内に人影は少なく、韓国人の団体が見学しているのが目立つくらいで、あとは総じて閑散とした様子だった。ハルビンの市街地ではこんな声も聞かれた。

「うちの国の記念館は、大体いい加減だからね。細かな内容には間違いも多いだろう」「話には聞いているが、実際に行ったことはない。特に行きたいとも思わない」  

現地の人々の間にも、様々な意見があるようであった。

1185990656 番組を中国外務省が絶賛

そんななか、今回のNHKの番組は今後、どのような変化を生んでいくのだろうか。この番組の放送後、中国外務省は時を置かずして以下のようなコメントを出した。

「日本の731部隊が罪を認める20時間を超える録音を掘り起こし、中国侵略戦争で同部隊の犯した凶悪犯罪を完全に復元した」「第2次世界大戦中、日本の侵略軍は中国人に対して極悪の細菌戦を発動し、残酷で非人道的な人体実験を行い、反人類的な極悪犯罪を行った。一連の史実は動かしがたいものであり、否定できない」  

中国側としては、『当の日本の公共放送がそう言っているのだから』  

といったところであろう。日本からの「お墨付き」を手に入れた形である。  

これは南京戦や慰安婦に関する論争の構図とよく似ている。歴史を宣伝戦に利用している中国としては、今回の番組は「渡りに船」であったに違いない。  

ハルビン郊外の展示館は今後、さらなる拡張を目指していく方針だという。今回の番組内容に乗じる形で、展示をより強化していくに違いない。  

日本としてはあくまでも史実を丁寧に検証したうえで、認めるべきは認めつつも、反論すべき点は毅然と反論しなければならない。そういった意味において、今回のNHKの番組には、所々で精度を欠いた印象を受けた。より冷静で多角的な研究が求められる。

 ブログ冒頭で紹介した、今朝のNHKニュース、関東大震災に朝鮮人への暴行、虐殺を結び付け、更にはなんとコロナ禍中の中華街での中国人へのヘイト落書きに一気に飛んで、民族差別と言うテーマにしている、この「日本人が悪い」と言う側面だけを捉えて指弾する態度そのものがまさしく「反日サヨク」の定番ではないでしょうか。

 「731部隊の真実」も全く同じ構図です。そこには公正な見方も取り上げ方もなく、ただ「日本は悪かった」と言う自虐史観に囚われた、NHKの体質がにじみ出ています。

 以前このブログで取り上げた、韓国の「対日世論工作費」、中国も当然大枚の金を使って日本の世論を誘導しようとしていると思います。「スパイ防止法」もない、インテリジェンスに隙だらけの日本は、メディアをどうにでも動かせる、世論工作にもってこいの国でしょう。

 NHKが公共放送であるからには、日本を悪く言う国や団体から、日本を守るべく番組作りをするのは当然でしょう。もちろん捏造はダメですが、例えば慰安婦強制連行に対しては「そういう証拠はない」、とはっきり番組で指摘すべきです、事実なのですから。又通州事件やシベリアでの抑留体験など日本人が受けた凄まじい残虐な行為を、史実に基づいて報道すべきでしょう。もちろん韓国や中国、ロシアの反論も同時に扱ってもかまいません。但し彼らの主張が曖昧であればそれも追及する責任があります。真実を追うべき報道機関なのですから。

 そういう報道機関になるべく、放送法を改正すべきでしょう。そして真実をもとに報道を繰り広げれば、やがて世界も注目するようになり、下手な捏造も減っていくのではと思います。政府が言うよりNHKが報道する方が、はっきり言えるはずです。

 しかしこういう風に簡単になるとはとても思えない、絶望感があります。それはなぜか、日本人の気質です。「論争嫌いではっきりものが言えない」「ことをなした後は理由づけより謝罪が先と言う日本人気質」「八方美人体質」「和をもって貴しとなす故事の影響」等々。日本国内では美徳のこの気質、世界には通用しません。特に中朝露の周辺3国には。ですから絶望的なNHKを解体し、自虐史観や日本人気質に偏らぬ、真実を報道できる世界標準の放送局を再編することが急務です。

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2020年9月11日 (金)

おもしろくない「お笑い」を乱造する同業者とテレビ

Main  以前にも話題にしましたが、今回も「お笑い芸人」に関して取り上げます。最近思うのは、なぜこんなにお笑い芸人が地上波テレビで目に付くのか、と言うことです。本来の漫才番組やバラエティ番組だけでなく、報道番組の司会やコメンテーター、クイズ番組の司会や回答者、食べ歩きや旅番組のナビゲーターや随行者、歌番組、特集番組の進行役、そしてドラマやCMの出演者等々、あらゆるところに出没しています。

 俗に6000人と言われる吉本興業所属タレント、また5000組と言われるM1グランプリの出場者から見ても、1万人と言われる俳優、女優の数に匹敵します。俳優、女優でも実力、人気のある人はそのうちの僅かでしょうが、お笑い芸人でも同じことです。

 でも俳優、女優は、様々なキャラクターをカバーしなければならないため、役柄につぶしがききますが、お笑い芸人は基本面白く人を笑わせなければ、それほどつぶしは効きません。勢い、場違いなトークやしぐさで失笑を買うような、軽薄なタレントは多くいます。それでも番組側が使いたがるのは、出演料でしょうか、それともシナリオを作る手間が省けるからでしょうか。

 そして彼らの最大の価値、「面白さ」に疑問を持たせるような失格芸人の詳細を、評論家でエッセイストの勢古浩爾氏がJBpressにコラムを寄稿しています。タイトルは『お笑い芸人がおもしろくないのは当たり前 おもしろくない「お笑い」を乱造する同業者とテレビ』(9/9)です。多少独善的な要素が入り混じっていますが、以下に引用して掲載します。

 お笑い芸人がおもしろくない。「お笑い」と自称しているくせに、腹が立つほどおもしろくないものがいる。

 漫才・コント番組以外にも、「ジョブチューン」「秘密のケンミンSHOW極」「世界一受けたい授業」「アメトーク」などのバラエティ番組を見れば一目瞭然である。それで本人たちは、笑わせてやったぜ、と得意顔なのが腹立たしい。「おまえ個人の感想ではないか」といわれればそのとおりだが、しかしすべての感想は個人の感想である。

 ここ10年ほどで「街ブラ」や「バス旅」番組がやたら増えた。そこに、明石家さんまの「これはテレビや、声を張らんかい」が浸透していると見えて、街なかや店なかやバス内で、大声をあげて我が物顔にふるまうものがいる。もともとテレビが傲慢なのだ。そんな芸人に接して泣かんばかりにありがたがる一般人もいるが、「邪魔だな」と迷惑に感じている人もいるはずである。

 わたしは「お笑い」が嫌いではない。夢路いとし・喜味こいし、獅子てんや・瀬戸わんや、ダイラケ(中田ダイマル・ラケット)、岡八郎(岡八朗)・花紀京の時代から見ている。電撃ネットワークが懐かしい。大晦日の「笑ってはいけない」シリーズは、周囲からばかじゃないの? といわれながらも毎年録画し、正月の真夜中にみっちり6時間見ている。あれは9割くだらんが、1割おもしろいのだ。

 もちろん、おもしろいと思う芸人もいる。ナイツ、サンドウィッチマン、銀シャリ、中川家、麒麟の川島、クリームシチューの上田。その次に、ハライチ特に澤部、千鳥特にノブ、かまいたち特に濱家、ジャルジャル、和牛、ミルクボーイらである。かれらはみな本業のネタ作りがしっかりしていて、しかもわたしの笑いのツボに合うのである。それだけでなく、当意即妙で発言やアドリブもうまい。

おもしろくない原因を作っているのはテレビだ

 わたしには全然おもしろくない芸人のお笑いを一番笑うのは同時に出演している同業者の芸人たちである。かれらはおなじ笑いのプロのはずなのに、どうしてそんな程度のネタで笑えるのだろうと不思議だったが、お笑い芸人の世界は互助会だったのである。仲間の気づかれないネタや発言や合いの手も、他の仲間たちが「拾って」やり、お付き合い笑いをしてやるのである。発言の少ない人間には、話を「振って」(助け舟を出して)救ってやる。芸人は相身互いというわけである。

 どの番組のだれがおもしろくないのか、ここで実名を挙げるべきかもしれないが、そこまで日本の言論は自由ではないから差し控える。おもしろくない原因を作っているのは、かれらを使いつづけるテレビ局の責任でもあろう。テレビでは「まずいもの」や「おもしろくないもの」はあってはならないのである。そして、いまや芸人たちがいなければ大半の番組が成立しない。

 いまの「笑点」で、おもしろくない答えに一番笑っているのは司会の春風亭昇太である。役目柄しかたがないのだろうが、昔、立川談志が司会をやっていたときは、平気で「おもしろくねえや、座布団とれ」とやっていた。あの頃の「笑点」はおもしろかった。いまではすべてにおいて馴れ合いになってしまった。見ているほうは白けているのだ。テレビで正論やホンネをいえば「毒舌」「辛口」「面倒くさい」と忌避される。

「おもしろくない」ことを批判せよ

 いまでは軒並み衰退したが、小説にも映画にも音楽にも批評が存在する。しかしお笑いの世界には批評がほとんど存在しかなった。

 3年前、茂木健一郎が日本のお笑い芸人を批判したことがある。海外の芸人は権力者批判や政治風刺をするが、日本の芸人は「上下関係や空気を読んだ笑いに終止し、権力者に批評の目を向けた笑いは皆無」、さらに「大物とか言われている人たちは、国際水準のコメディアンとはかけ離れているし、本当に『終わっている』」と痛罵した。ところが爆笑問題や松本人志らから反論されるや、茂木はいささかも抗戦することなく、あっさり尻尾を巻いて遁走したのである。

 松本人志に「(茂木は)笑いのセンスが全くないから、この人に言われても刺さらない、ムカッともこない」といわれたのがなぜか、茂木には一番堪えたらしい。茂木は「一番刺さったのが、松本さんの“センスがない”だった」というが、茂木健一郎に笑いのセンスがあるかないかなど、どうでもいい話である。松本は、茂木には笑いがわからない、といいたかったのだろうが、それを指摘する方も、指摘されて反省する方も、まったくピントがずれている。

 お笑い芸人批判をするのはいいが、茂木のいう権力批判だの政治風刺だのはどうでもいいのである。日本の芸人にそんなことできるわけがないし、だれも芸人に権力批判など求めてはいない。むしろ首相の桜を見る会に招待されれば嬉々として出かけるのである。首相に呼ばれれば手もなく会食するのである。「終わっている」か否かも、「国際水準のコメディアン」も、どうでもいい。お笑い芸人を批判するなら、眼目は、お笑い芸人なのに笑えない、つまりおもしろくないという一点でなければならない。

「おもしろい」が社会的価値になってしまった

 いまやお笑い芸人は偉くなってしまった。ダウンタウンはテレビ局の幹部連が玄関口まで出迎え・お見送りをするという。すっかり芸人枠というものができて、映画、テレビドラマ、コメンテーターに起用されるのもあたりまえになった。CMにも起用され、ワイドショーの司会者(生意気にもMCという)にも抜擢されるようになった。

 一発当てれば、バカみたいな報酬が払われる。「ヒロシです」のヒロシでさえ、全盛時の月収が4000万円あったという。80年代の漫才ブームのとき、ビートたけしは「200億円稼いで税金が180億円」だったという。

「おもしろい」ということが社会的価値になった。政治家たちが受け狙いで笑わせようとして失言して問題になり、俳優もおもしろいと思われたくて芸人にすりよる。芸人はいまや、ほとんど怖いものなしの状況である。

 一攫千金と女にもてることを夢見ているのか、漫才のコンクール「M-1グランプリ」の参加者がほぼ5000組いるという。いかにも供給過多である。仕込まれたかのように「お笑い第7世代」と称されて、芸人が次々と誕生する。その結果、やっているパフォーマンスと破格のギャラとが釣り合わない。お笑いというも愚か、ただの軽口と悪ふざけに堕しているものが多くなってくる。

おもしろくないのになぜ大御所

 まるでおもしろくないのに、いまだにテレビ界で大御所として君臨しているのがビートたけしである。やはりたけしはまだ視聴率が取れるのだろう。お笑い界のビッグ3はビートたけし、明石家さんま、タモリらしい。これに所ジョージを加えてビッグ4ともいうらしい。この4人がなぜビッグになったのかわからないが、日本の芸能界ではそういうことがある。内田裕也然り、和田アキ子然り。

 漫才のおもしろさからいえば、B&Bのほうがツービートよりもおもしろかったのである。ビートたけしはもともと「コマネチ」のジェスチャーと、「赤信号みんなで渡れば怖くない」だけである。しかしいまではビッグ4のなかで押しも押されもしない一番の大物である。

 芸人のなかでもインテリで、芸人の価値を高めた。数学の計算を解き、映画監督もやり、絵もうまく、エッセイも小説も書き、ピアノも弾く。しかも信じられないほどの高額所得者。タモリもインテリではあるが、多芸多才ということでいえばたけしは抜群である。

 わたしはたけしは好きでも嫌いでもない。かれの漫才をおもしろいと思ったことも、映画に感心したこともない。「その男、狂暴につき」や「キッズ・リターン」などはよかったが、「BROTHER」「龍三と七人の子分たち」は最悪だった。フランスで勲章をもらっても、ベネチアで賞をとってもだめなものはだめ。小説は読んだことがないが、ビートたけしの才能で一番すぐれているのは、週刊誌に連載して本になったエッセイだと思う。

 蛭子能収はたけしを芸能界で一番尊敬するといっている。蛭子にたいしても謙虚で偉ぶらず、ていねいで敬語を使ったというから、人間的にはいい男なのだろうと思う(たけしと蛭子は昭和22年生まれの同い年)。日本人がフランス料理やワインの蘊蓄を語るようになったとき、なに生意気をいってやがる、味噌汁とタクアンで育ってきたくせしやがって、というようなことをいったたけしはよかった。無理せず、素のままのたけしはいいのである。

 たけしは各局にそれぞれレギュラー番組をもっている。しかしたけしは介添えがいないと番組に出られない。「情報7daysニュースキャスター」では安住紳一郎、「たけしのニッポンのミカタ!」の国分太一、「ビートたけしのTVタックル」の阿川佐和子。そのあたりが所ジョージやタモリやさんまと違うところだ。「情報7days」でコロナ以前に「刮目ニュース」をやっているころはまだよかった。滑舌がわるく、なにをしゃべっているかわからなかったが、それなりの企まざるおもしろみがあった。それが、おもしろいことをいおうとすると失敗するのだ。

 8月22日の「情報7days」で、福岡の女子小学生記者が藤井聡太2冠に、走るのが速いらしいがどれくらい速いのですか? とインタビューした映像が流れた。ところがこれを見たたけしが「どんな女が好きか、とか、もう女は知ってるのか、とか聞けばいいのに。だめかな」というようなことをいったのである。わたしは、あほか、と思った。自分ではおもしろいことをいったつもりだったのか? 安住は流したが、自分でなにをいったかの判断がつかなくなっているたけしは、ほとんど老害であった。

 もともと「お笑い」芸人だからおもしろい、というのが錯覚だったのである。そんなばかなこと、あるはずがないのだ。また、いつまでもおもしろいなんてこともない。いまも昔も、ごく一部のすぐれた芸人のある時期しかおもしろくないのである。

 勢古浩爾氏の述べていることすべてには賛同はしませんが、少なくとも粗製乱造で毎年新人が何人も出てくる芸人の中で、本当に面白いのはほんの一握り。そんな面白くもない芸人をここまで使うテレビは、他に価値を見出せないからでしょうか。

 番組の中でお笑い芸人同士がバカな事を言い合って、お互い馬鹿笑いしているシーンをよく見かけます。本人たちは面白いことを言っていると思っているのでしょうが、見ている側はバカな事を言っているとしか思えない、そう言うことがよくあります。

 彼ら芸人の持つ芸の限界のため、持ちネタの希薄さから単なるギャグの連発で、番組を流しているのでしょう。そこには創意工夫でもって番組の質を上げようと言う、番組ディレクターの思考の限界もあるのでしょう。彼らには面白くすれば見る人がいる、という思い入れがあるのかもしれません。でも面白くないのです。

 ですから面白さを狙って、お笑い芸人を利用しようとしているその思惑が、結果として面白くない番組となってしまっているのです。早晩番組の構成を練り直さないと、ますますテレビ離れが進んでいくのは止められないでしょうね。地上波テレビ番組がなくなっても、ネット番組やスカパーなどがあるので一向にかまわない、と言う人は多いと思います。

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2020年9月10日 (木)

寛容性持たないリベラル、何故芸能人がサヨクを気取るのか

610812_1831_raw  今回はリベラルの中でも過激な部類に属する、いわゆる「パヨク」が、寛容性を持たないと言う見解を持つ人のコラムを取り上げたいと思います。

 私自身SNSのツイッター等で意見発信していますが、その「パヨク」界隈が発する、口汚い罵りに似た発信をよく見かけます。もちろん「ネトウヨ」と言われる右寄りの人の発信にも、かなり決めつけの文言は見られますが、それでも「パヨク」よりは酷くはない、と勝手に思っています。

 それに関連して、ネットニュース編集者の中川淳一郎氏が、週刊ポストに寄稿したコラムを以下に引用します。タイトルは『ユーミンへの暴言騒動で、リベラルが寛容性持たないこと露呈』(9/08)です。

 ネットではたびたび舌禍事件が起きる。安倍晋三首相の辞任表明を受けても、SNSでは様々な発言が飛び交っている。今回、ある大学講師の書き込みからわかったリベラルの現状について、ネットニュース編集者の中川淳一郎氏が考察する。

 * * *

 ユーミンこと松任谷由実がまさかの「極右」ないしは「レイシスト」認定をされてしまった! 安倍晋三氏が首相辞任を発表したことを受け、同年齢で首相夫妻とも交流があるという松任谷由実がラジオ番組で発した言葉が発端である。

 ユーミンは、辞任会見をテレビで見て泣いたと発言し、価値観は似ていると述べた。これを受け、京都精華大学の白井聡専任講師がフェイスブックに「荒井由実のまま夭折すべきだったね。本当に、醜態をさらすより、早く死んだほうがいいと思いますよ。ご本人の名誉のために」と書き込んだ。

 同氏は過去に「Yahoo!ニュース個人」に「民主主義考 白井聡さんが語る安倍政治 国家権力の腐敗と本質」という原稿を寄稿するなど徹底的にアベ政治を批判してきた人物だ。そして彼は今年5月、きゃりーぱみゅぱみゅが「#検察庁法改正案に抗議します」というハッシュタグを投稿し、安倍政権批判をした際に「芸能人が政治的主張をするな!」的な批判が集まった時にこうツイートした。政治評論家・加藤清隆氏の否定的発言を受けてのことだ。

「『歌手ふぜいが政治に口出しするんじゃない』という内容を含んでいたが、それは職業差別であり人権侵害にほかならない」

 まさにその通りである! 白井氏、いいこと言うじゃないか! と思ったのだが、松任谷由実がアベにシンパシーを寄せる発言をしたところ「早く死んだほうがいいと思いますよ」と来た。その後同氏は炎上したのだが、先の投稿を削除した上でこう釈明した。

「私は、ユーミン、特に荒井由実時代の音楽はかなり好きです(あるいは、でした)。それだけに、要するにがっかりしたのですよ。偉大なアーティストは同時に偉大な知性であって欲しかった。そういうわけで、つい乱暴なことを口走ってしまいました。反省いたします」

 何も謝っていねぇ~! そのうえで、同氏が講師を務める京都精華大学はこう声明を発表。

「今回の発言は、人間の命を軽んじた内容であり、人間尊重の立場をとるべき本学教職員として不適切な行為であったため、厳重な注意を行いました」

 この発言により、白井聡という人物に興味を持ったので検索してみたがまだ43歳だったの!? えぇと、オレ、今47歳だけど1976年までの「荒井由実」時代なんて知らないんだけど、オレよりも若い白井さん、あなた「荒井由実」時代、生まれてないよね?

 まぁ、左翼の劣化ぶりってひどいもんだな。アベにシンパシーを感じたり、愛国的発言をすると「がっかりしました!」と猛烈にツイッターで叩く芸風が定着した。これまでその毒牙にかかったのはRADWIMPS野田洋次郎、つるの剛士、糸井重里、佐々木俊尚、三浦瑠麗、野口健、松本人志など。

 彼らは別にネトウヨでも何でもないのだが、「リベラル」を名乗る皆様方からは「ネトウヨ」「極右」認定を受けている。松本に至っては「アベとメシを食った」というだけで非難された。

 本来寛容性を重視するはずだったリベラルがまったく寛容性を持たないことが分かったユーミン騒動である。

 このブログでは反政権で左翼のタレントや俳優で、落合恵子、室井佑月、吉永小百合、小泉今日子、ラサール石井、松尾貴史、ローラ等の各氏を取り上げてきましたが、それ以外にもまだゴロゴロいます。

 まあ彼らが口で言っている段階では聞き流せばいいだけですが、それでも死ねとか消えろ、などと存在を否定するのは許されませんね。特に大学講師のような人が。そう言えばあの山口二郎法政大学教授の「安倍は人間じゃない。たたき斬ってやる」発言は特筆ものです。

 ところでなぜ彼ら芸能人が左翼思想にかぶれるのでしょう。少し前ですが「Old James Bond通信」と言うブログに『なぜ、高齢芸能人は左翼を気取るのか?みのもんた! あゝ ブログ・ポピュリズム!』と言うタイトルの投稿が公開されていますので、引用させていただきます。

 ところで、あなたは右翼ですか、左翼ですか?‥‥と聞かれても、正直困りますよね!

 私でさえ そうですし、今まで書いた記事から、私のことを右翼的とお思いかもしれませんが、私個人としては 自分を右翼とも左翼とも思ったことはありません!

 つまるところ、右翼なのか左翼なのかは、その人の言動を客観的、相対的に見て判断する他はないでしょう!

 そうした目で見ると、割合と高齢の芸能人に左翼的な人物が多いことに気付きます。以前からは、坂本龍一、石田純一、古館伊知郎、桑田佳祐などと多くて 数え切れず、最近では、関口宏、みのもんたなどの左派偏向が目立ちますね!

 これら芸能人の連中は、それなりの信念を持っているはずですが、一面 左翼が「カッコイイ」と思い込み、左翼を「気取って」いる風とも見えて仕方がありません!

 左翼がそれほど「カッコイイ」ですかねぇ‥‥?

 単に「反権力」だから ですかぁ‥‥??

 一体、なぜでしょう‥‥???

 私はこれには、以下に述べる「潜在的理由」があると考えます!

 と言うことでこのブログの投稿者(大学教授の宇賀神大介氏です)は次の3つの要因を挙げています。

【 1 】 インテリ=左翼という古臭い考え!

 戦前 ~1970年辺りまで、共産主義(マルクス主義)はインテリの「証」でした。共産主義を信奉する青年は、「マルクス ボーイ」という一種の皮肉も込めた名で呼ばれていました。極左思想の共産主義(マルクス主義)を国家体制にした国は、日本の近隣諸国では中国、北朝鮮が残っています。その共産主義(マルクス主義)への憧れは、いまだ左翼的 な知識人の間で潜在的に多く隠れています!

ところが、芸能人は 劣等感を持ちがちです。芸能人は往々にして学歴が低かったり、学歴があっても「馬鹿に見 られたくない!」との思いがあります。よって、自覚しなくても、結局は インテリ=左翼 という古臭い考えに囚われて、挙句の果てはインテリの「証」であった共産主義(マルクス主義)へと近付いてしまうのです!

【 2 】 学生運動、大学紛争時代の追憶!

 1960年代末、日本のみならず世界で大学紛争というものが起き、またその前後は学生の左翼運動が一番盛んな時期でした。高齢の芸能人たちも、青少年期、この学生運動、大学紛争時代を過ごしたはずです。その時期は学生運動における共産主義(マルクス主義)「最後の花火」と評してよく、大学紛争の鎮静後に 一部学生運動は過激化しましたが、これも結局は鎮圧されました!

 私自身は大学紛争に左翼学生組織が乗じて、牛耳ってゆくことへ不快感 と嫌悪感を持ちましたが、「あの頃の学生は偉かったな!」、「カッコよかったよ!」と馬鹿な追憶の念を抱く高齢者もいるでしょう。おそらく、高齢の芸能人にも、この時代の「空気」が染み付いており、潜在的に左翼思想に傾斜してしまうと思われます!

【 3 】 日本共産党の芸能人「囲い込み」!

 19世紀における カール・マルクスの経済学は、ごく簡単にいえば、労働者階級が搾取され、富が資本家階級に蓄積してしまうといった資本主義の自己矛盾により、体制が崩壊するという「シナリオ」です。しかし、それは「労働者による共産革命 ありき」から逆算し、巧妙に論理展開した「大嘘」と しか思えません。以降の資本主義の発展を見ただけでも、「大嘘」だと分かります!

 現在、日本における共産主義(マルクス主義)の「総本山」というと、いわずと知れた日本共産党! 以前は 共産主義(マルクス主義)がインテリの「証」と書きましたが、インテリと思われたい芸能人たちも、日本共産党に「囲い込み」されて、選挙の際、日本共産党候補者の後援者に芸能人も「雁首を揃えて」いました。その「なごり」がいまだ尾を引いているような気がしてなりません!

 インテリ=左翼→共産主義(マルクス主義)という短絡的な考えは、今や 完全に「時代遅れ」また「時代錯誤」です!

 左翼を「気取って」いる高齢芸能人の皆さん! いい加減に馬鹿な真似はやめ、冷徹に真摯に日本のこと を考えてください!!

 別に高齢者ではないがサヨクを標榜している人も結構いますが、高齢者により多いと言うことでしょう。その理由の中で、特に3つ目の『日本共産党の芸能人「囲い込み」』はかなり真実味が高いと思われます。吉永小百合氏や小泉今日子氏が赤旗に登場し、共産党の広告塔になっていることからも、自身の信念もあるでしょうが、諫言や洗脳で囲い込まれたことも、大いにあるものと思われます。芸能人ではないが、あの籠池夫妻も左翼の市民団体に洗脳されたと、息子さんが述べていましたね。

 何しろかつてコミンテルンと言う、世界中で暗躍するスパイを生んだ共産主義です。その辺の画策術には極めて長けているのでしょう。投稿者が最後に述べた「いい加減に馬鹿な真似はやめ、冷徹に真摯に日本のことを考えてください」という主張に100%同意します。

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2020年9月 9日 (水)

韓国の若者が「就職難」でも大企業にこだわる訳

7_20200907175501  昨日は、文在寅政権が続く限り日韓関係の本格改善は望めない、と言う話題を取り上げました。今回はその文在寅政権下での韓国の経済、特に労働事情について取り上げます。

 ライターで編集者の安宿緑氏が、東洋経済ONLINEに寄稿したコラムに、その一端が見られますので以下に引用掲載します。タイトルは『韓国の若者が「就職難」でも大企業にこだわる訳 食い繋ぐため望まぬ仕事や苦しいアルバイトも』(9/07)です。

翻訳文芸書『82年生まれ、キム・ジヨン』(チョ・ナムジュ著、斎藤 真理子訳)やドラマ「梨泰院クラス」が日本国内でもヒットするなど、韓国の若者の“生きづらさ”への関心が高まっている。若者たちを取り巻く過酷な現実を緊急レポートした『韓国の若者』の著者、安宿緑氏によれば、実際、希望する職を得られず、アルバイトも奪い合いという格差社会のなか、世界トップとも言われる大卒貧困率が生まれているという。

***

 大企業の社員の子どもの家庭教師をしていたという、ソウルの大学院で歴史学を学ぶキム・イェジンさん(仮名・25歳・女)。家庭教師先は成功者の象徴、高級住宅街である江南のタワーマンション。母親は大企業の幹部だったそうだ。

 「子どもの母親は普段、非常に多忙で連絡がなかなか取れない人でした。授業料は一回につき3万5000ウォンいただいていたのですが、2カ月ほど経つと支払いが滞るようになりました。クラスでほとんどビリだった子の成績を、100点満点が取れるまで上げたのに。

 しかし韓国では大人、それも雇用主に対して意見するのは非常に勇気がいることです。何度かやんわりと督促したのですが、何の反応もなく。授業料がようやく振り込まれたと思えば、計算の合わない額の5万ウォンが一度入金されて、それっきり。多忙とはいえ、あまりにずさんな対応に困り果ててしまいました」

■家庭教師先の母親の反応が豹変

 SNS上では、こういったトラブルへの対処法が若者同士でよく共有される。キムさんもそこで得たテンプレートに倣い、意を決して「お母さん、授業料をいただかなければこれ以上授業はできません」とメールで告げた。

 するといつもは反応を示さない母親が豹変し、このように返信してきた。

 「ねえ、学生。私を誰だと思っているの? 私は大企業の幹部なのよ」

 その後も「学生のくせに、年上に指図するのか」などと罵られて話し合いにならず、結局授業料をほとんど回収できぬまま、家庭教師を辞めることになった。

 「韓国では、財閥はもちろん、高い地位にいる人が貴族のように横暴な振る舞いをすることが多い。そんな人間がいる大企業に、憧れる気持ちなどありません。私だけではなく、そう思っている同世代は多いです」

 熾烈な競争をくぐり抜けるからこそ、その先で支配層となった者たちの自意識は肥大し、時に暴走する。韓国での支配層のメンタリティと聞くと、2014年に起きた「ナッツ・リターン事件」を思い出した読者もいるかもしれない。

 大韓航空創業者一族の長女で、当時副社長を務めていたチョ・ヒョナがニューヨーク発仁川行きのファーストクラスに搭乗した際、皿に盛られて出されるはずのナッツが袋のまま提供されたことに激怒。旅客機の離陸を中止させた事件だ。

 チョには法の裁きが下ったが、構造はいまだ変わらぬままだ。前述のとおり、韓国では大企業が日本よりもはるかに狭き門となっている。だが尋常ではない競争を勝ち抜いて入社しても、激務に耐えきれず、早々に辞める人も多い。昇進試験の評価が悪ければプレッシャーを受けて自主退職を迫られる。40代のうちに役員コースに乗らなければ出世が閉ざされる、といった現実が「大企業40代定年説」とも呼ばれる事態を招いている。

■韓国の平均退職年齢は49.1歳

 実際、平均退職年齢は49.1歳(2018年韓国統計庁調べ)で、実際にはそれよりも早いと話す韓国人は多い。退職後、子どもの学費を支払えず車や家を売るケースもある。辞めた後は中小企業に入り直すか、アルバイトをするか、起業するかの三択となるが、中高年からではどれも茨の道だ。大企業出身者は、再就職しても7割が新たな職場に適応できず、やはり1年以内に辞めてしまうという研究結果もある。

 取材したうちの数人が「大企業を45歳前後で辞めて、それまで貯めたお金でチキン屋を開くのが、そこそこの人生コース」と話していたのがとても印象的だった。

 ここで近年における韓国の経済状況をざっと整理したい。韓国は1997年に通貨危機を経験し、一時、国家破綻の危機に直面している。経済は大混乱に陥り、IMF(国際通貨基金)より資金支援を受けることでなんとか乗り越えるも、多くの企業が倒産し、財閥解体、政権交代などの結果を招いた。これは「IMF経済危機」とも呼ばれる。

 その後、2007年の世界同時不況を契機として、通貨であるウォンの価値は下落。2008年10月には再び通貨危機を経験することになる。

 この間、経済面での浮き沈みはあるものの、基本的には低迷期間が長く続き、特に2000年からは青年失業率が上昇の一途を辿った。その中で、韓国の若者は世界でも類例のない「多重貧困」にさらされている。

 複合的で特定しにくいが、その原因にますます広がる格差と、学歴による過当競争が挙げられるのは間違いない。たとえば一流企業と中小企業の賃金格差はとても大きい。

 平均的な中小企業の賃金は大企業の6割にも満たないことが明らかになっている(韓国雇用労働部および中小企業研究院調べ)。世代別に見ると、中小企業の場合、30代で平均年収3000万ウォン台にとどまるが、現在、最も年棒が高いことで知られるSK仁川石油化学などのSKグループをはじめ、サムスンなど大企業の場合、1億2000万ウォン前後。その差は約9000万ウォンに達する。

 一方で、大学進学率は日本よりも高い。国内の7割の若者が大学に進学しており、2008年以降OECD加盟37カ国で1位を維持している。

 その大卒者が、国内にわずか0.1%存在する、年商5兆ウォン以上のいわゆる大企業を目指すが、実際に一流企業への門戸が開かれているのは、ソウルにキャンパスを置く国立のソウル大学校、そして私立である高麗大学校、延世大学校などの上位大学卒業者にほぼ限定される。結果として多くの若者が、学業に費やした労力に見合わない低賃金の職や、無職に甘んじる状況を招いている。

■韓国は「世襲階層社会」である

 なお文部科学省の学校基本調査によれば、2019年度の日本の大学進学率は、短期大学への進学を合わせて58.1%。現役だけに限定すると、54.8%に留まっている。

 また韓国の賃貸制度では、家を借りる際に数十万~数百万円の保証金が必要になる。それが自立を妨げる結果になり、結婚の困難さなどにも繁がっているようだ。

 こうした状況に置かれた韓国の若者は、2010年代に入って「恋愛、結婚、出産」の3つを放棄せざるをえない「三放世代」とされていた。しかし昨今ではそこに「就職、マイホーム、夢、人間関係」を加えた「七放世代」とも呼ばれるようになった。

 「世襲階層社会」と呼ばれるが、「階層が親の経済力によって固定されやすい」というのも韓国社会の特徴でもある。階層を上がりたい場合、「半地下」で暮らすシムさんのように有資格者、公務員を目指すほかには「これだ」と呼べるようなルートがなかなか存在しない。それでいて、起業も推奨されず、副業も日本ほど浸透しておらず、貧困を打破する手段が限定的なのがさらに問題と思われる。

 日本でも非正規社員から正規社員になることの難しさがよく話題になるが、韓国でのそれはさらにハードルが高い。その確率はOECD加盟国の平均35.7%に対し、韓国は11.1%にとどまり、かなり低いことがわかる。

 そうした状況は「労働市場の二重構造化」と指摘され、問題視もされているが、そこにきて脱産業化など、市場構造の変化によりホワイトカラーの仕事そのものが減少している。平たく言えば、大卒者の多くが望む「それなりにいい仕事」の数自体が減っているというわけだ。

 韓国の若年層の失業問題に詳しい、梨花女子大学校経済学部のホン・ギソク教授は筆者の取材に対し、次のように話す。

 「韓国の青年失業問題はあらゆる要素が絡み合い、原因を特定するのが困難です。人口的要因と景気変動的要因から述べるならば、韓国でベビーブームが起きた1991~1996年生まれの世代が成人し、雇用市場を圧迫していることが挙げられます。

■「大卒」というプライドとのミスマッチ

 さらに、労働市場の両極化と、高学歴者のインフレが起きている点も考慮しなければなりません。特に韓国は大企業とそのほかの中小企業の賃金格差が非常に大きく、そのうえ大企業の数が全体の数%しかないため、当然ながら大量にあぶれる人が出てきます。また、似たようなスペックばかりのため区別がつかない。それで政府からは、経歴を開示せずに選考する案が出ましたが、そうなるとさらに混乱が生じるでしょう」

 また、ホン氏はこうも指摘する。

 「多くの韓国の若者は、大卒であることへの自負があります。韓国の貧しい時代を生きた親世代が、そう仕向けたからです。特にソウル地域の大学出身者はプライドが高く『自分にはもっとふさわしい仕事があるはずだ』と仕事をえり好みする傾向があると思います」

 一方で、青年労働問題に取り組む市民団体「参与連帯」代表イ・ジョウン氏は「変わる余地はある」と話す。

 「韓国の労働市場の問題の一つが、ミスマッチです。就職に時間がかかるので、食い繋ぐため望まぬ仕事や苦しいアルバイトをする。生活のために夢を諦める人も多い。そこで政府の経済社会労働委員会で、就職活動中の学生が就業するまで1カ月50万ウォンを最大半年間支給する案が決定しました。また文政権発足後、最低賃金が30%上昇。

 それにより、アルバイトだけで生計を立てるのも不可能ではなくなりました。Uberに代表される宅配などの特殊雇用者(業務委託と同意)も活性化されていくでしょう。大企業に就職できなければ終わりといった硬直化した視点を脱し、働き方に多様性が出てくると思います」

 今は全く見なくなりましたが、以前韓国ドラマを見ていた時期に、よく貧乏な家庭の子供が金持ちの家庭の子供たちに、散々嫌がらせを受けるシーンが多かった記憶があります。又貧乏な家庭の家は極めて粗末で「半地下」さながら、それに対し金持ちの家は豪華絢爛、高級ホテルのスイートルームのような部屋で、わがままを宣うシーンに違和感を感じていたものです。

 確かに誇張はあったでしょうが、こういう格差がやはり多くあることは事実の様です。日本で格差、格差と騒ぐ人たちは、一度韓国社会を除いてみたらいかがでしょう。そう言えばカンヌ映画祭でパルムドール賞を受賞し、ゴールデングローブ賞では外国語映画賞を獲得したという、映画「パラサイト半地下の家族」でその貧困家庭の実態がみられるかもしれません。

 余談ですが日本の是枝監督の「万引き家族」も、パルムドール賞を受賞しています。カンヌ映画祭には、こういった映画が好きな審査員が多いのでしょうか。いずれも先進国と言われている国の貧困家庭を取り上げた映画ですが、国全体が貧しい国の人が見ても、感動はないでしょうね。

 カンヌ映画祭の審査員は恐らく金持ち側の人が多いと思いますね。そう言えば日本でも裕福な人がよくリベラルで左翼的な発言、つまり「権力は悪」「弱者に寄り添え」と言っていますが、同じ心理状態なのでしょうか。つまり自身は裕福な側にいるが、貧しい人に目配せができる善人だと。しかし目くばせだけでなく、大枚の「寄付」をすれば善人だと思えますが、そうでなければ偽善者に見えてしまいますね。

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2020年9月 8日 (火)

日韓関係、文在寅政権が続く限りは本格改善見込めず

Img_5eb71037b34fa42021ef177ae802dedf2794  台風10号は西日本に大きな爪痕を残し北へ去って行きました。同時に韓国もかなりの被害を受けたようです。韓国は文政権施政下で経済の悪化が続いていますが、9号に続くこの台風10号の被害も、経済のさらなる悪化に多少なりとも影響するでしょう。

 ところで現在最悪と言われる日韓関係に、改善の兆しはありません。その辺の詳細を、元韓国大使で外交経済評論家の武藤正敏氏のコラムに見てみます。タイトルは『日韓関係、文在寅政権が続く限りは本格改善見込めず 「関係悪化の原因は安倍首相」と見ていた韓国でも悲観的観測優勢』(JBpress 9/02)で以下に引用します。

 日韓関係は、安倍晋三首相と文在寅大統領の政治姿勢の対立によって、「史上最悪」な状況に至らしめたとの指摘がなされている。そして、一方の安倍首相は、8月28日に辞任の意向を表明し、自民党は後継総裁選に動き出した。

 一方韓国では29日、与党・共に民主党の代表選挙が行われ、特派員として日本勤務の経験がある李洛淵(イ・ナギョン)元国務総理が後継の代表に選出された。李氏は与党の代表になったことで、2年後の大統領選挙の有力候補になる。

 日韓両国において、こうした新しい人事の動きが日韓関係にどんな影響をもたらすのか関心と期待が芽生えている。しかし、現実を見れば関係改善は容易なことではなく、それを望むのであれば、徴用工問題で韓国による資産売却が自制されることが最低条件になるだろう。

 こうした新しい動きを踏まえ、今後の日韓関係を展望してみよう。

韓国の「安倍首相が日本で嫌韓感情を煽ってきた」との見方は正しくない

 韓国では、「日本での嫌韓感情の原点には安倍首相の政治姿勢がある」との見方が強い。

 安倍首相は、韓国大法院が日本企業に元朝鮮半島出身者への賠償を命じる判決を巡り、対韓強硬路線を主導、戦略物資の韓国への輸出管理の厳格化措置を導入し、日本企業の資産を現金化すれば、報復措置をとると圧力をかけているとして、韓国では「安倍首相が日韓関係悪化の元凶だ」との見方が半ば定着している。

 G20首脳会議出席のため、文在寅大統領が訪日した際には、主要国首脳の中で文大統領とだけは首脳会談の機会を持たなかった。

 8月29日の韓国・中央日報のコラムの表現を借りれば、日本は「米国との同盟をさらに強化し」、「日本の再武装を事実上実現させ」た。憲法9条の改正は実現しなかったが、「『日本と密接な関係の他国に武力攻撃が発生し、日本の存立が脅かされて明白な危険がある場合』に武力を使用できる」よう「憲法9条の解釈変更」をした。「安倍首相のこうした保守の本性はわが国の利害と衝突」する。

 このように「安倍首相は実際、わが国には最悪の首相」(同コラム)だったとの見方をする韓国人は多い。こうした世論を受け、韓国のメディアには、その安倍首相が辞任したのを機に、日韓関係の雰囲気を変えることはできないだろうか、そのための努力をするべきであるとの期待感がにじみ出ている。

 韓国政府の方はどうか。青瓦台の姜珉碩(カン・ミンソク)報道官は「わが政府は新しく選出される日本の首相及び新内閣とも韓日友好協力関係増進のために引き続き協力していく」と述べた。こうした発言は、外国に新政権ができた時に通常述べるコメントであり、それは必ずしも韓国政府の分析に基づく対処方針とは言い切れまい。

韓国政府の本音も「日韓関係の改善は困難」

 それでは本音はどうか。

 青瓦台の情報筋は中央日報との電話インタビューで、「強硬報復を主導した安倍首相の退場で対話の雰囲気が良くなる余地はあるだろうが、後任に挙がっている人たちも強制徴用問題では大きな差はない」、「対話は続けているが(過去の問題の解決に対する)誠意が問題」、「ポスト安倍政権も過去の歴史に対する立場が変わらないというのが内部の分析の結論」、「日本では与野党を問わず、韓国大法院(最高裁)判決が韓日関係の根幹を覆した重要な問題という視点が内部コンセンサス」と述べ、日本の対韓姿勢には根本的に変化がなく、それでは日韓関係は改善されないだろうとの見通しを示した。

「“安倍首相辞任”だけで日韓関係は改善しない」との識者の見解

 韓国のマスコミも、日本の対韓関係に対する基本的立場は変わらないだろうとの見通しを述べ、日韓関係改善には韓国の姿勢の変化が必要だとしている。

 中央日報は「日本の首相交代が韓日関係を急進展させるのではないかと期待するのは行き過ぎだ。日本の政治変化は、新しい流れを作る契機になることはできても、韓国の姿勢が柔軟にならない限り、共に手を携えていくのは難しいだろう」としてむしろ韓国にボールがあるとの見方を示している。

 韓国の対日識者も同様な見方である。朝鮮日報が報じた陳昌洙(チン・チャンス)世宗研究所首席研究員のコメントは日本の状況を的確にとらえている。「韓国、特に文在寅(ムン・ジェイン)政権に対する日本国内の世論は非常に厳しい。韓日関係を悪化させたのは韓国であって、安倍首相のせいだとは見ていない」というものである。

 すでに解決した徴用工や慰安婦の問題を再提起したり、日本の自衛隊機にレーザー照射を行っていながら、これを隠蔽し日本のせいにしたり、さらに世界遺産登録の問題では日本への非難を繰り返す。これによって日本の対韓感情はこの上なく悪化しているのが現状である。

 同紙はさらに東京の外交筋を引用し、「もちろん日本国内にも安倍首相は(韓国に対して)やり過ぎだとの見方もあるが、だからと言って安倍首相の政策を覆す必要はないというムードが優勢だ」と語ったと伝えている。

 同紙は結論として、「日本の輸出規制など、安倍首相の『私感』が大きく作用したと言われている諸政策は『ポスト安倍』内閣で一部緩和される余地がある。韓国政府がこれに呼応して前向きな対日政策を駆使するなら、韓日関係は「全面的改善」までは行かなくても最悪の局面からは抜け出す可能性があるとの分析だ」と報じている。

日本企業の資産売却を自制することがカギ

 韓国の保守系新聞であり、最も権威のある中央日報、朝鮮日報の論調はよく考えると非常に的を射たもののように思われる。

 安倍首相の首相辞任だけが日韓関係に大きな変革をもたらすことはないだろう。日本国内の文在寅政権に対する世論は非常に厳しい。したがって、今の日本の姿勢は安倍首相が変わってもそれだけで変化はないであろう。

 韓国大法院による日本企業の資産売却判決は「国際法違反」であり、そこに対するスタンスはポスト安倍政権でも変わらない。日本の首相交代によって、韓国国内で安倍政権のせいだとしてきたことが誤りで、これは日本の総意だということが分かるであろう。

 したがって、韓国の裁判所が日本企業の資産売却命令を出せば、日本は間違いなく報復措置を取り、日韓関係はさらに悪化し、修復が極めて困難な状況となりかねない。

 逆に言えば、韓国側が日本企業の資産の売却を行わなければ、日韓関係のムードを多少改善することは決して不可能ではない。

 慰安婦の問題についても、より客観的事実を確認しあうことだ。正義連のように解決を妨害してきた団体がスキャンダルまみれとなっているので、韓国政府に問題解決の意思があるのであれば、正義連を除外し妥協することは不可能ではない。

 戦略物資の輸出規制の強化については、実際には個別審査で多くのものが輸出されている現状がある。韓国政府も輸出に関わる審査体制を強化している。日韓両国政府で信頼関係が高まれば、よりスムーズな輸出体制ができる可能性はある。

 世界遺産の問題についても、お互いの信頼関係が高まれば妥協点を見出すことは不可能ではない。

 ただこのときに問題となるのは「どちらが最初の歩み寄りを見せるか」である。韓国政府にとって、日本企業の資産の現金化を阻止することは、「司法の判断を尊重する」と言ってきた原則を捨てることになる。そのためには日本が輸出規制の問題などで譲歩してくることを求めるかもしれない。しかし、戦略物資が北朝鮮などに流れることは日本として容認しがたく、韓国政府が信頼できるかどうかの問題でもある。日韓の対話がどうなるかであり、日本が一方的に譲歩することはできないだろう。

 そこでカギとなるのが、日韓の首脳の関係である。安倍・文在寅間ではこの信頼関係が絶望的に欠けていた。

 この点に関して重要なのは首脳間の対話である。ポスト安倍政権では安倍首相時代に途絶えていた首脳会談が再開されるかもしれない。日韓首脳会談が出発点となって雰囲気が改善し、双方の非難合戦が収まれば、徴用工や慰安婦問題以外で多少の改善がみられるかも知れない。

文在寅政権で全面的な関係改善は困難

 文政権は、徴用工の問題で「個人の請求権は消滅していない」というこれまでの立場を変えることはないであろう。したがって資産の現金化を行わないというのは一時の対症療法に過ぎない。

 また、文在寅大統領は日本に対し、歴史問題では「謙虚な姿勢が必要だ」としてきた。これは「正義は韓国にあるので、日本は過ちを認めろ」ということである。こうした立場をとり続ける限り妥協はない。日韓関係を改善しようとすれば、こうした立場の主張を自制することが不可欠だ。どこまで自制できるかによって、日韓関係は変わってこよう。

 いずれにせよ日韓関係を全面的に改善するのは今の文在寅政権では不可能である。文在寅政権にできることと言えば、いくばくかの関係改善を図り、なんとか政権末までつないでいくことだ。本格的な関係改善は、次期政権に委ねられることになるだろう。

「知日派」李洛淵氏の与党代表就任は日韓関係改善を助けるか

 そこで改めて、「次期大統領候補」の一人となった李洛淵氏に注目してみよう。

 8月29日に行われた、共に民主党の代表選挙で李洛淵氏が60%の票を得て当選した。同代表に選出されたことは次の大統領選挙の候補となるため一歩前進である。

 李氏は1989年から93年まで東亜日報の特派員として東京に勤務し、2008年から12年まで韓日議員連盟の副会長・幹事長として日韓関係に携わってきた。日本語に堪能でもある。文政権で国務総理に就任するまでは、日韓関係に尽力した故金大中大統領の腹心であり、金氏の故郷全羅南道知事を務めていた。

 知日派のいない文政権にあってこのような人が与党の代表に就任することで、日本では日韓関係に好ましい影響が出ることを期待する向きが多い。

 李氏かかつて在籍した東亜日報は、今回の李氏の党代表選の勝利を受けて、「日本で韓日関係に期待感が出ている」、「2022年の大統領選挙に向けて党内の支持を固める基盤をつかんだ」と報じている。李氏は手堅い仕事をすることで知られているが発言は慎重である。李氏は文政権の与党の中では非主流派であり、主流派を押しのけて大統領候補になるためには主流派の意向を無視できない。

 さらに、韓国の世論調査では、与党の大統領候補として李在明(イ・ジェミョン)京畿道知事がリードしている。今回の選挙に李在明氏が出ていなかったため李洛淵氏が代表に選ばれたが、大統領候補になるには李在明氏と争わなければならない。

 李在明氏は韓国のトランプと言われ、規格外の発言をする人である。対日観については2016年に自身のフェイスブックに「日本は敵性国家だ。軍事大国化した場合、最初の攻撃対象となるのは韓半島」と投稿、GSOMIA(韓日軍事情報包括保護協定)に反対した人である。

 それを考えると、それでなくとも「知日派」とみられがちな李洛淵氏は、日韓関係には慎重にならざるを得ない。大統領になった後であればいざ知らず、与党代表として日韓関係の推進役になるのは困難である。

 日韓関係の改善は、ひとえに文在寅大統領の決意如何にかかっている。日韓関係をここまで悪い状態に陥れた文大統領が完全に舵を切らなければ何も変わらない。安倍首相の辞任が、舵を切りやすくなる環境づくりに働くのであれば、日韓関係に多少の光明はみえてくるかもしれない。

 活動家出身の文在寅大統領の理念は、資本家を敵対視する労働者階級主義、すなわちマルクス主義に通じるものがあるように思います。それが親北を標榜し、袖にされ続けても北朝鮮、つまり共産主義国を擁護する姿勢を貫いていることからも覗えます。

 ですから基本的に日米には親近感を持ちません。特に日本にはかつて主権を奪った併合時代の怨念から、特別な感情を抱いているようです。今迄は安全保障は米国、経済は中国と天秤にかけてきた外交から、次第に両方とも中国へシフトして行きたいと思っているのでしょう。

 もうこれまで何度も述べてきましたから、ここで再び私見は述べませんが、次の総理に期待することは「甘い対応だけは絶対にしないで欲しい」、ただそれだけです。それが国益を守り、日本国民の世論にこたえることになると思います。

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2020年9月 7日 (月)

朝日新聞はなぜ世論から隔絶してしまったか?

Img_6c749bfd84ed5bb9254767b512bffac76043  様々なメディアで、政権の支持率などの世論調査が行われています。いつも疑問に思うのは、その調査相手はどういう人で何人規模なのか。つまり結論として出て来ているその調査結果が、本当に国民の各層の平均的民意を反映したものなのか、と言うことです。

 そして質問の内容や質問の仕方など、どういう方法で行っているのかよくわからない場合があります。この世論調査の疑問点を、政策コンサルタントの原英史氏が、JBpressにコラムを寄稿しているので引用します。タイトルは『朝日新聞はなぜ世論から隔絶してしまったか? 社論と異なる世論調査結果、メディアは真剣に受け止めているか』(9/06)です。

 世論調査のかなりの部分は、本気で民意を測っているわけではない。例えばここ数年の朝日新聞では、世論調査を受けて、こんな見出しの記事が出ることが多かった。

・検察庁法改正「反対」64% 朝日調査(2020年5月)

・桜を見る会の首相説明「十分ではない」74% 世論調査(2019年12月)

・森友問題「決着ついていない」79% 朝日世論調査(2018年6月)

・加計問題「疑惑は晴れていない」83% 朝日世論調査(2018年5月)

「83%」などと極めて高い数値が示され、インパクトは強い。だが、これは裏を返せば、「たいていの人はそう答える」と分かりきった、わざわざ聞くまでもない質問をしたことを意味する。結論先にありきの調査だったわけだ(さらに、質問文で「たいていの人はそう答える」ように細工が施されていることもある。具体例は『正論』9月号掲載の拙稿『民意測れない世論調査』で説明したので、ご関心あればご覧いただきたい)。

紙面では政権批判してきたのに、世論は安倍政権を「評価」

 ポイントは、「たいていの人の答え」と「新聞の論調」が合致していたことだ。モリカケ・桜が典型例だが、記事・論説で政権を厳しく批判し、“トドメ”として「国民のほぼ総意だ!」と世論調査を使うスタイルが、パターンの一つとして確立していた。

 異変が起きたのが、2020年9月の世論調査だ。

 9月4日、『安倍政権を「評価」71% 本社世論調査』との見出しが掲げられた。

 これは朝日新聞の論調とは正反対。社説(8月29日付「最長政権突然の幕へ『安倍政治』の弊害 清算の時」など)では、

・「安定基盤を生かせず」成果は乏しかった、

・「長期政権のおごりや緩みから、政治的にも、政策的にも行き詰まり、民心が離れつつあった」、

 などと厳しく批判し、失政を検証する記事を次々に掲載する最中だった。

 おそらく朝日新聞は、逆の結果を想定していたと思う。「安倍政権を評価しない=7割」、「安倍政権で政治への信頼感低下=8割」などと見出しにしようと考えていたら、「評価する=71%」、「政治への信頼感は変わらない=59%」などと思わぬ結果が出てしまったのでないか。

 ちなみに、質問文でちょっとした小細工を施しておけば(例えば「安倍首相が任期途中で突然辞任を表明しましたが・・・」と、政権放り出しを想起させるフレーズを加えるなど)、結果はかなり違ったはずだ。だが、そんな小細工は無用と思うほどに「国民の大半は評価していないに決まっている」と確信していたのだろう。

 調査結果では、想定に反し、多くの国民は安倍政権を高く評価していたこと、特に外交・安保や経済政策で評価していたことが示された。

局地的な世論誘導に傾注、民意計ることが疎かに

 なぜ朝日新聞は民意を捉えそこなったのか? 答えは、冒頭に戻って、本気で民意を測ろうとしてこなかったからだ。

 最近の世論調査で質問項目に並べられていたのは、モリカケ・桜をはじめ、朝日新聞が「重要」と考えるテーマだった。その一方で、国民が何を「重要」と考えているかは、ほとんど調べてこなかった。かつての朝日新聞の世論調査はそんなことはなかった。80年代の調査では、景気、社会福祉、教育、政治浄化、行政改革、外交、防衛などのテーマを並べ、何に関心・不満があるか、内閣に何を期待しているかを問うのが定番だったが、こうした質問は近年は稀になった。

「国民が何に関心を持つべきか」は自分たちが示し、国民を教え導く。そんな“上から目線”を強めてきた結果、局地的な誘導には成功したかもしれないが、徐々に民意から大きく乖離してしまったのだと思う。新聞発行部数の減少はその表れの一つだ。

 今回の世論調査は、朝日新聞にとって良い機会だと思う。これまでの紙面が国民の多くの関心・期待に応えてきたのか、この際しっかり検証したらよい。民意を正しく測るため、世論調査の改良にも取り組んだらよい。

 民意からの乖離は、朝日新聞に限らない。マスコミ全体の課題でもある。さらに、マスコミのとりあげるテーマを偏重してきた国会論戦も同じ問題を抱える。マスコミ報道と国会論戦がいかにおかしくなっているかは、高橋洋一氏との共著『国家の怠慢』で詳しく論じた。どんな政権になろうと、民主主義の適正な機能のために、マスコミと国会の改革は不可欠だ。

 実は私も『安倍政権を「評価」71% 本社世論調査』と言う見出しを見て、え!これ朝日新聞の調査なのか、と目を疑ったことを覚えています。もちろん産経や読売新聞の調査では驚かなかったでしょうが。

 ただ冒頭述べたように、例えば新聞の世論調査は購読者に対して行っているのか、無作為に選んだ電話番号で実施しているのか分かりません。購読者対象でもこの結果だとすれば、朝日新聞の購読者はあまりその論調に洗脳されていないことになり、朗報ですが。

 NHKなどの調査では、よく電話による方法で、数千人を対象に回答率6割、と言うような調査が行われていますが、まず対象数が少ないのはいいとしても、回答率が低いと回答しない人たちの意見が拾えず、偏った調査結果が出る可能性もあります。それにこれほど頻繁に行われれば、注目度も下がってしまいます。

 前回行われたアメリカの大統領選での、支持率と実際の選挙結果が異なった現象などを見ていると、この世論調査の意味合いが、単なるメディアの注目度アップのような気もしてきます。ですから政権は、各々のメディアの調査結果に一喜一憂することなく、地道に政策を実施していけばいいでしょう。そして最終的には選挙でその民意が明確になります。

 原英史氏も述べているように、マスコミ報道だけでなく国会論戦の質の低下も目を疑いたくなるほど酷い(以前からかもしれません)、この国会も制度や運営を含め、抜本的に変えていかないと、いくらいいリーダーや閣僚を迎えても、日本政治の低生産性は改善されないと思います。コラム最後のマスコミと国会の改革は不可欠だ」、大いに賛同します。

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2020年9月 6日 (日)

アベノミクス「日本型デフレ」との戦い、その成果と課題

2020083100179586fnnprimev0001view  今回は経済問題を取り上げます。と言っても私自身経済に強いわけでもなく、細かな議論には深入りはできませんが、各国とも新型コロナウイルスの感染拡大防止と、経済活動の持続の二兎を追わなければならない現状の中で、否応にも経済動向に目を向けていく必要性を感じます。

 今世界中が新型コロナウイルスの感染症との戦いの中で、大きな経済ダメージを受けています。日本も例外ではありません。そうした中で、発生源である中国が早々と感染を収束させ、経済活動をフル回転させようとしているのは、何とも皮肉なことです。

 日本は以前述べたように、30年前にバブルがはじけ、長期の経済停滞を余儀なくされています。最大の要因は需給ギャップです。そしてそれがもたらすデフレ経済が、企業マインドを委縮させ、ひいては雇用を悪化させ、購買力の低下を招き、経済の停滞が加速する負のスパイラルに陥ってしまうのです。

 民主党政権の崩壊とともに、政権の座についた安倍政権は、このデフレ経済を収束させるべく、大胆な経済政策つまりアベノミクスを打ち出しました。このアベノミクスは成功したのでしょうか。

1_20200905182901  賛否両論が渦巻いていますが、より客観的な目を、と言うことで今回は英フィナンシャル・タイムズ紙の記事を取り上げてみます。タイトルは『GDPのアベノミクスと「日本化」との戦い 景気停滞とデフレと超低金利、世界が学ぶべき6つの教訓』(JBpress 9/03)で、以下に引用します。

「Buy my Abenomics!(アベノミクスは買いだ!)」。安倍晋三首相は2013年、こう呼びかけた。そして我々は買った。

「何々ノミクス」というブランディングの歴史的な勝利で、安倍氏は「大胆な金融政策と機動的な財政政策、成長戦略」の三本の矢が日本の経済を一変させることを世界に納得させた。

 8年以上に及ぶ在任期間を経て辞任することになった今、審判を下す時だ。アベノミクスは成功したのか――。

 シンプルな答えは「ノー」だ。

 アベノミクスの中核的な目標は、2%のインフレターゲットだった。だが、新型コロナウイルスに襲われる前でさえ、日本のインフレ率はせいぜい1%程度にしか到達しなかった。これは失敗だ。

 だが、リーグ戦で勝てなかったサッカーチームと同様、敗北は必ずしもダメだったことを意味しない。ただ、不十分だったということだ。

 アベノミクスにも光った時はある。「日本化」――停滞へ向かう景気下降、デフレ、超低金利――と奮闘する世界にとって、アベノミクスには強力な教訓が詰まっている。

日銀のバズーカ、当初は奏功したが・・・

 1つ目の教訓は、金融政策は奏功する、ということだ。

 2013年に日銀が大量の資産購入に乗り出した当初の「バズーカ」は、極めて効果的だった。

 債券利回りは低下し、株式市場は活況に沸き、何より重要なことに円相場が1ドル=100円を超す円安に振れ、日本の産業に恩恵を与えた。

 融資も伸び、日本は安倍首相時代に記録的な就業率を謳歌した。金利が高く、円も強い方が日本は豊かになっていたと論じるのはほとんど不可能だ。

 2つ目の教訓は、弱い経済は増税に対処できないということだ。

 アベノミクスが失敗した日は、日本の消費税が2014年春に5%から8%へ引き上げられた日だ。

 消費増税は前政権によって計画されたものだが、増税の実行を決め、日本を景気後退に陥らせたことについては、安倍氏と日銀の黒田東彦総裁に責任がある。

 昨年、消費税が10%に引き上げられた追加増税も同じ結果をもたらした。

 刺激を約束しておきながら、抑制をもたらせば、得られる結果は失敗だ。端的に言えば、それがアベノミクスの物語だ。

信用がすべて

 これに続く3つ目の教訓は、信用がすべてだ、ということだ。アベノミクスが導入された当初、黒田氏は2年以内にインフレ率を2%に引き上げると約束した。必然的に、この誓いは守られなかった。

 消費増税が景気後退につながった後、黒田氏が2014年にくり出した2発目のバズーカ――資産購入のペースを早め、年間80兆円まで拡大した――は、1発目ほど効果がなかった。

 今頃はもう、魔法は解けてしまった。

 アベノミクスが自らの信用を落とした例は、これだけではなかった。

 例えば、政府は2%のインフレ目標に沿うように公的部門の賃金を引き上げなかった。だとすれば、なぜ、民間部門が安倍氏の賃上げ要求に応じるべきなのか。

 4つ目の教訓は、期待だけに頼ることはできない、ということだ。

 黒田氏は繰り返し、自分の政策は将来のインフレに対する国民の期待を高めることによって効果を発揮すると説明した。

 実際、当初はこれが起きたことを示す兆候があるが、2014年の景気後退によって、インフレ率が実際に上昇するという希望が潰えた。期待に頼るツールは決して、金利水準を直接変えるツールにはかなわない。

 米連邦準備理事会(FRB)が先週、将来のインフレ高進を容認することで現在の低インフレを埋め合わせる平均インフレ目標の採用を決めたことを考えると、これが特に重要な意味を持つ。

 FRBの高官は、日銀が2016年から、インフレ目標の「オーバーシュート型コミットメント」を掲げていたことに留意すべきだ。これは大した成果を上げなかった。

果たされなかった構造改革

 アベノミクスの5つ目の教訓は、景気刺激策は公的債務の問題を引き起こさず、逆に解決する、ということだ。

 1990年以降、国内総生産(GDP)比の日本の公的債務は果てしなく増加してきたが、例外だったのが、日銀が無分別にも利上げに踏み切るほど経済が強かった2005~07年と、アベノミクスが消費増税を容認できるほどのカンフル剤を提供した2013~19年だった。

 公的部門が貯蓄を増やせるのは、民間部門が貯蓄を減らす場合に限られる。経済の強さは、財政引き締めの前提条件なのだ。

 そして6つ目の教訓は、成長戦略の限界だ。

 安倍氏について日本で聞かれる最も一般的な批判は恐らく、構造改革の約束を一度として果たさなかったということだろう。

 確かに、月給制の労働者の保護を破り捨てるような急進的な対策は講じなかった。

 だが、日本の電力市場を自由化し、中国人観光客に門戸を開き、農業ロビー団体を封じ、2つの大型貿易協定に署名している。

 しかし、大半の経済成長は究極的に、人口の増加、教育の向上、資本の蓄積、そして何より重要なことに新規技術から生まれる。

 日本の人口は減少しているため、経済を確実に拡大させる唯一の「改革」は大規模な移民流入であり、安倍氏はいみじくも、その選択は経済の域を超えると感じた。

 もしかしたら、そもそも成長を取り戻す戦略を持っていると主張したところに安倍氏の過失があるのかもしれない。

 だが、そのような戦略が存在しなかったため、実現は問題にならなかった。

あとはヘリコプターマネーしかない?

 その結果、日本は今、どんな状況に置かれているのか。日本の課題はいまだかつてないほど大きい。

 全力を挙げたとされる景気刺激策が失敗した後、国民はもう新たな景気刺激策を信じないかもしれない。

 だが、インフレ率が目標を大きく下回っている現状は、果てしなく増加する公的債務によって不完全に埋められている慢性的な需要不足の症状だ。

 1つの選択肢は、時間が経つのを待ち、中銀の資産購入を続け、最善の結果を祈ることだ。

 これは2016年以降、日銀がとり続けているスタンスだ。

 もう1つの選択肢は、こうした資産購入を調整し、もっと緊密に政府支出と連動するようにすることだ。

 後者の道筋を選べば、未踏にして潜在的に危険なヘリコプターマネーの政策へさらに一歩近づくことになる。

 だが、安倍氏がかつてあれほど見事に売り込んだ希望を維持するためには、日本には、それ以外ほとんど選択肢がないのかもしれない。

 多少難解な表現があり、読みにくい文章だと感じました。それはさておき、経済は人の自由な動きに左右されるため、中国の様な統制経済下でもない限り、なかなか思うようにはならないと思います。ただこのFT誌の指摘のように、様々な理由はあるにせよ、生産性の向上を推し進めるための構造改革が弱かったのは事実でしょう。

 少子化による人口減少が続く日本で、GDPすなわち国民の総付加価値を上げる手段は、生産性の向上しかありません。ただそうは言っても年金や医療、介護に生活保護などの福祉関係にいくら資金を投じても、生産性は上がりません。そこに日本の構造的問題があると思われます。

 しかしこの記事のタイトルにあるように、「日本に学ぶべき」と言うその指摘は、いみじくも日本に今起きているその現象が、世界でも今後起きるであろうと言う見立てからきていると思います。つまり世界の最先端を行く人口減少社会と、その結果がもたらす負の経済循環、それに挑戦したアベノミクスの成果と課題から、よく学べと言うことでしょう。

 逆に言えば、日本にとって学ぶべき国は殆どないのかもしれません。そうであれば日本発の生産性向上のための特効薬を、何とか見つけなければならないでしょう。そうしなければ国全体のGDPだけではなく一人当たりのGDPさえ凋落の一途を辿る、つまり国全体が貧しくなっていくしかありません。過去の遺産だけで食いつないでいく日本にならないためにも、この課題は必須の課題だと思います。

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2020年9月 5日 (土)

歴史から消し去る旧ソ連の大虐殺、中朝露、歴史の隠ぺい捏造は独裁国家の常とう手段か

C61725d8 今年初め、新型コロナウイルスの発生源中国で、その発生を確認した医師が、知り合いの医師たちに通報し、警鐘を鳴らそうとしましたが、その医師が拘束され、発生そのものを隠蔽しようとした武漢当局の行為が、その後世界中に知れ渡りました。共産主義国家中国での恐るべき隠ぺい工作でした。

 中国だけではありません、ソ連も同様です。以前このブログで数回にわたり述べてきたように、第2次世界大戦の中での日本と米英中蘭の戦い、つまり大東亜戦争は、その後のアメリカにおける「ヴェノナ文書」などの極秘資料やルーズベルトの前の大統領フーバー氏の回顧録などから、単純に日本だけが暴走して起こした戦争ではない、と言うことが明らかになってきました。

 むしろ当時暗躍したソ連共産党とその海外工作員コミンテルンが、世界への共産主義の拡大を目指し、ヨーロッパ各国で画策するとともに、日米中の中枢に深く入り込み、ソ連に有利になるようにヨーロッパとアジアで相互に戦わせた構図が、見えて来ています。

 独ソ不可侵条約も日ソ中立条約もその一環です。ドイツはこの条約を破棄してソ連に戦いを挑み、逆に敗戦を呼び込んでしまいましたが、ソ連はドイツとの戦いを勝利すると、途端に日ソ中立条約を破棄し、終戦間近の8月9日日本に参戦し、あっという間に北方領土を占領奪取したのです。

 そういう当時ソ連の共産党の暗躍が引き起こしたこの第2次世界大戦を、戦後の今日までドイツと日本を唯一の悪者に仕立てる、歴史捏造が繰り返されています。ドイツはヒットラー率いるナチスと言う国家社会主義政党が、ホロコーストと言う残虐な殺戮を行ったため、その責を否定できず悪者の烙印をなかなか消せませんが、日本は消してしかるべき部分も多いと思います。

 しかしその後も、中国も南北朝鮮(こちらは併合時代が主ですが)も、日本だけが悪かったという歴史を作り上げ、それを国内で公のものとして教育しています。ソ連の後を継いだロシアも同様です。こうした共産主義国家やロシアや韓国のような疑似共産主義国家は、決して自身を悪く言いません。何故ならそれにより共産主義体制、又は独裁体制が危うくなるからです。つまり彼らの都合のいいように歴史を作ります。

 そのロシアの歴史捏造の実態を、元幹部自衛官で軍事評論家の数多久遠氏がJBpressにコラムを寄稿しています。タイトルは『駐日ロシア大使館の情報発信に見える赤い闇 昔も今も「歴史の捏造」を繰り返すロシアの大罪』(9/03)で以下に引用します。

 各国の大使館は、様々な役割を担っています。その中でも、近年SNSの普及により重要性を増している仕事が広報活動です。

 日本との歴史的つながりが少なく知名度が低いと言わざるを得ないジョージア(グルジア)のティムラズ臨時代理大使などは、大使館の公式アカウントだけでなく、個人としても積極的に発信し、日本でのジョージアの知名度を非常に高めています。

 ところが、逆に広報活動としてマイナス効果しかなさそうな発信をしている大使館も見受けられます。

 代表的なのは駐日ロシア大使館です。最近のロシア大使館のツイッターやフェイスブックでの情報発信には首をかしげざるを得ません。第2次世界大戦の終盤、ソ連が、日ソ中立条約の有効期限内であるにかかわらず、樺太や北方領土などに侵攻したことは、多くの日本人が事実として知っています。それにもかかわらず、その侵攻を賞賛するツイートをするなど、日本人の神経を逆なでするような書き込みを平気で行っているのです。

 ロシア大使館のフェイスブックではこんな具合です。

<1941年4月13日のソ日中立条約は、劇的な状況の変化、具体的には、軍事主義下の日本が、上記条約に反し、わが国と戦争状態にあるナチスドイツを支援したことにより発された、1945年4月5日付ソ連政府表明を根拠に破棄されています。この表明の正当性は、1948年11月4~12日に行われた東京裁判の資料ならびに国連憲章の相応する規定により、すべて確認されています。>

 筆者の周りでは、これをロシアの横暴、あるいは広報活動に対する無理解(無知)と捉えている人が多いようですが、私は少々違った見方をしています。

 SNS担当者は、相応の教養を持つエリートであり、広報活動の意義も理解しているはずです。事実、美しいロシアの風景をツイートするなど、好感の持てるツイートも見られます。それにもかかわらず、上記のように、広報としてマイナスにしかならないような内容がたびたび書き込まれます。

 領土交渉において、決して譲歩しない姿勢を示すため、本国から指示を受けている可能性もあります。しかし、私は、それだけではないと見ています。

 それは、そうした一連の書き込みには、一種の無邪気さ、あるいは素直さが見て取れるからです。中立条約を無視して侵攻したことに、何らのやましさも感じていないように見受けられるのです。それは、実におぞましいものの結果であるように思われます。

Img_ee0b73bada8f21bc5826803a17d684f27038  以下ではその理由について、ちょうど現在公開中の映画『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』(以下『赤い闇』、原題『Mr. Jones』、製作国:ポーランド・ウクライナ・イギリス)の紹介と併せて述べてみます。

ソ連が行った情報操作の手口

 映画『赤い闇』は、実在したイギリス人ジャーナリスト、ガレス・ジョーンズの目を通して、彼の行動がなければ歴史から封殺されていたかもしれない20世紀最大の虐殺、ホロドモール(ホロコーストではありません)を描くことで、真実とそれを報道することの意義を描いた作品です。

 見るべき価値のある映画ですが、残念ながら万人にオススメできるとは言えません。それは、この映画が日本人の鑑賞を想定して作られていないためです。

 私(だけでなく、作家は皆そうです)が小説を書く際、描く内容について、想定読者がどの程度の知識を持っているか考慮して書きます。常識として知っているものは説明が不要ですし、知らない可能性の高いものは、説明を加えなければなりません。それと同じで、この映画は、欧米では知られていながら日本ではあまり知られていないホロドモールを描いているため、そのまま鑑賞した場合、多くの日本人にはよく理解できないであろうと思われるのです。

Holodomor3  ホロドモールについて、20世紀最大の虐殺と書きました。それは、有名な大量虐殺であるナチスによるホロコーストよりも犠牲者の数が多いためです(ホロコーストの犠牲者は600万人以上、ホロドモールは数百万~1000万人以上とされています)。それにもかかわらず、ホロドモールは日本では驚くほど知られていません。恐らくその理由は、虐殺を行ったのがソ連だったからだろうと思われます。そのため、日本の“進歩的”マスコミの多くが、この虐殺について取り上げてこなかったのです。

 また、殺害方法が直接的なものでなく、食料を奪うことによる計画的飢餓だったからということもあるでしょう。「自然発生的な飢餓である」というソ連によるプロパガンダを、いまだに報道しているケースもあります。

 日本でのこうしたホロドモールに関する認知度の低さは、まさにこの映画『赤い闇』において、ソ連が狙いとした情報操作の結果そのものと言うことができます。そして、命の危険を冒してその真実を探り、報道したことが、主人公であるジャーナリスト、ガレス・ジョーンズの戦いであり、この映画のテーマにつながっています。

 つまり、この映画の真のテーマは、プロパガンダや現代的な手法であるフェイクニュース、そして特殊警察などによる脅迫といった手法による情報操作と、それと戦う報道の姿勢にあるのです。

 当時のソ連は、真実を探らせないよう人の往来を遮断し、金と女でマスコミを操作し、真実を報じようとする動きがあれば無関係の人物を逮捕監禁して人質とすることで報道を止めさせるという手法をとっていました。これらは、某国が今でも盛んに行っている手法そのものです。

 映画『赤い闇』に興味を持ち、見に行こうかなと考えた方は、ホロドモールについてある程度簡単に調べてから鑑賞に行かれることをオススメします。また、できることなら、映画の中でモチーフとして使われていたジョージ・オーウェルによる小説『動物農場』についても、基礎知識を仕入れてから鑑賞に行かれることをお勧めします(また、一部の上映館では、既に上映が終了しているようです。上映スケジュールを確認の上、お出かけ下さい)。

“作られた”歴史を学んできたロシア人

 さて、ではこの映画『赤い闇』と冒頭のロシア大使館の情報発信がどう関係するのでしょうか?

 ソ連は、ホロドモールの存在を隠そうとしました。つまりウクライナで飢餓など発生しておらず、食料は行きわたっていると情報操作しました。ガレス・ジョーンズをはじめとしたジャーナリストの努力で、隠すことが不可能となると、自然発生的な飢餓だとする情報操作に切り替えています。ソ連を継承するロシアも、この方針を引き継いでいます。

 そして、第2次大戦における対日参戦や北方領土の占領に関しても、当時から継続して同じことを行っています。つまり、対外的にも、対内的にも「ソ連は日ソ中立条約を破棄したため、無効である」と情報操作を行っているのです。

 1945年のソ連による対日参戦から75年が経過します。現在外交の舞台に立っているロシア人のほとんどは、当時生まれてさえいなかったでしょう。彼らは、ソ連による対内的な情報操作によって“作られた”歴史を学んできたのです。彼らは「日ソ中立条約は効力を失っていた」とする“作られた”歴史を“正しい”歴史として学んできたのです。その結果、北方領土への侵攻を、誇るべき歴史として書き込んでしまっているのではないか。私は、そう考えています。

 ロシアの外交官として、効果的な広報(プロパガンダ)を行うのであれば、正確な歴史を知り、その情報発信を読む日本人が、どのように感じるのか考えなければならないはずです。しかしながら、長いこと“作られた”歴史を学んで来た外交官には、それさえも難しいのかもしれません。

 私がこのような認識に至ったのは、ウクライナを舞台とし、北方領土問題に関する小説『北方領土秘録 外交という名の戦場』(祥伝社)を書いた際に、あるウクライナ人に取材させてもらった時でした。その人も、北方領土問題については、ロシアの主張が正しく、日本は言いがかりをつけているだけという認識でした。ウクライナは長いあいだソ連の一部であったため、“作られた”歴史が正しいものとされていたのです。そして、現在も、ウクライナ語での北方領土問題のドキュメントが少ないため、ロシア語でそれを学んでいる結果、“作られた”歴史を、正しいものとして認識してしまっていました

 ソ連や、その継承国であるロシア、それに今も共産党による独裁が続く中国では、こうした歴史改ざんがあたり前に行われています。

 それを考える契機として、映画『赤い闇』を見ることは、有意義だと思います。ただし先に述べたように、ホロドモールについては、簡単に調べてからが良いでしょう。

Img_47c319590394b10106fa41afd42930af3637  なお、辞任する意向を発表した安倍晋三首相は、日本の首相として初めてウクライナを訪問しています。そして、その際に、ホロドモールの犠牲者記念碑にも献花しています(左の写真)。

(*)前述の小説『北方領土秘録 外交という名の戦場』では、ホロドモールについて、もう少し詳しく触れています。また、ウクライナと日本の関係が日本とロシアの関係に影響してくることも書きましたので、本稿とあわせてぜひお読みいただければと思います。

 ドイツのホロコーストより残虐な、世界最大の虐殺であった「ホロドモール」、不勉強な私は、飢饉による餓死者が膨大な数出たことは知っていましたが、「ホロドモール」と言う名称や、それが人工的な大飢饉、つまり大虐殺だったことを初めて正確に認識しました。しかし安倍首相はすでにご存じだったのですね。

 日本は東京裁判で、ドイツナチスと同じような残虐な戦争をしたという理由づけのため、南京大虐殺をでっちあげられました。でもそれでも30万人。戦時下でないにしてもホロドモールの異様さが際立ちます。

 それを国民にひた隠しにするロシア、そしてそのことで連想するのが、中国毛沢東施政下での大躍進政策や、文化大革命による数千万人にのぼる大虐殺です。これは外国人である我々には知られていますが、中国国民には捏造歴史によって隠ぺいされています。何しろこの殺人鬼のような人物のバカでかい肖像画が、未だに天安門広場に飾られているのです。とてつもなく異様で恐ろしさを禁じえません。

 共産主義国家、同様に独裁国家では、反対勢力の粛清は普通の出来事です。しかし中ソの一般国民を巻き込んでの虐殺は、数多氏の指摘の通りホロコーストを上回るものでしょう。殆ど情報はありませんが北朝鮮でも同様な餓死者や虐殺者がかなり出ているのではないでしょうか。

 韓国も含むこうした歴史を捏造する国には、領土を返せとか拉致した者を返せと言っても、無理なような気がします。こういう国には不法占拠した、不法に拉致をした(金正日が一時認めましたが)という歴史は、全くないからです。そして韓国のように、やってもいない強制連行や強制労働をでっち上げられ、不当な賠償を要求されているのが現状です。

 日本は安倍首相が戦後70年談話で述べたように、「あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」と言う言葉をかみしめ、こうした歴史を捏造する国に、真の歴史はこうだと、史実に基づき発信し続ける必要があるでしょう。

 逆に今までの日本は「自虐史観」に囚われ、言いたいことも言わず、ただひたすら謝ってきました。日本人同士であれば「謝罪」すれば許そうという気になりますが、国際社会では「謝罪」は罪を認めること。確かにあの戦争で多くの人が死に、多くの施設や家が破壊されました。それに対する「謝罪」は必要です。でもサンフランシスコ講和条約、日韓基本条約、日中平和友好条約そして日ソ共同宣言等で、本来ならば「謝罪」と「賠償」は終了しているはずなのです。

 しかしそれでも特に韓国は、今でもまだ慰安婦問題、徴用工問題等を引きづっています。北朝鮮は拉致被害者には口を閉ざしたままだし、ロシアは北方領土返還に絡む平和条約の締結を引き延ばしています。中国は尖閣を狙っていますし、次は沖縄に手を出す構えを見せています。

 当たり前です、日本がこれらの問題に関して、歴史的論争を仕掛けるわけでもなく、GHQが仕掛け作り上げて、今では中韓ロが利用している、戦闘能力非保持の「日本弱体化憲法」を後生大事に保持し続けているのを、これらの国は見逃しません。子供は弱いものをいじめたり金を巻き上げたりします。国際社会はこうした弱肉強食の子供社会の生き写しです。

 いじめられず金も巻き上げられないようにするには、強くならなければなりません。相手が金属バットで殴りかかるのに、素手で相手はできません。自分にも金属バットが必要でしょう。もちろん自分から殴れと言うのではありません。殴られないように身構えれば、相手もそうやすやすと殴ってきません。そのことにいい加減気付いてほしい、特に9条信者の皆さんに言いたいと思います。

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2020年9月 4日 (金)

識者二人が述べる、安倍政権のレガシーと積み残した課題

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 昨夜の朝日新聞デジタルで、71%の人が安倍政権を評価しているという世論調査の結果が報道されました。第1次安倍政権の時は37%だったそうですから、かなり良い評価だったようです。しかも朝日新聞の調査で。

 ところで、第2次以降の安倍政権のレガシーを語る識者は多いと思います。中には事実を全く考慮せずに感情論だけで、レガシーゼロとかマイナスと評する、政治学者の御厨貴氏や、元朝日新聞記者の岩垂弘氏のような輩もいますが、一般論としては客観的な評価が多いと思います。

 そんな中で、二人のジャーナリストのレガシー論を取り上げます。一人目は以前「え!あの人が・・」で取り上げた田原総一朗氏。彼が、これも朝日系列の週刊朝日に掲載したコラムを始めに紹介します。タイトルは『田原総一朗「安倍首相の一番のレガシーは何なのか」』(AERAdot. 9/02)で以下に引用します。

 辞任を表明したが、史上最長の政権を担った安倍晋三首相。その功罪について、ジャーナリストの田原総一朗氏が考察した。安倍首相のレガシーは何なのか。

*  *  *

 実は8月27日に菅義偉官房長官と二階俊博幹事長に会って話した。2人とも「安倍総理は続投だ」と言い、続投ならばということで、安倍首相がやるべきこととして私が考えていることを伝えた。

 そして、翌日の辞任会見である。非常に驚いたが、私は辞任会見はいいことだと思った。第1次安倍内閣では「投げ出し首相」だった。今回は1時間の記者会見をし、体調が悪いことを伝えて辞任を表明したからである。

 ただし、難しい問題はいっぱいある。各紙の世論調査で、安倍内閣の新型コロナ対策はいずれも60~70%の国民が失敗だと見ている。うまくいっていない。一体どうすべきなのかという大問題が残されたままの辞任である。

 安倍政権は史上最長の政権になったが、一体何をやったのか。たとえば、池田勇人内閣は高度経済成長、佐藤栄作内閣は沖縄返還、中曽根康弘内閣は国鉄・日本電信電話公社・日本専売公社3社の民営化、小泉純一郎内閣は道路公団・日本郵政公社の民営化。安倍首相のレガシーは何なのか。

 世論には相当反発されたが、私は一番のレガシーは安保法制の改正だと思う。集団的自衛権の行使容認だ。

 米ソ冷戦が終わった時に、岡崎久彦氏、北岡伸一氏ら、外交専門家や保守系の学者たちが日米安保条約について強い危機感を打ち出した。東西冷戦下で、日本は西側の極東部門である。だから冷戦時代、米国は日本を守る責任があった。それが、冷戦が終わってソ連が敵ではなくなり、米国は西側の極東部門を守る必要がなくなった。

 米国はこのままでは日米同盟を持続できないと強く言ってきた。日米安保条約を今までの片務性から双務性にしなくてはならない。安倍内閣に安保法制改正、つまり集団的自衛権の行使を認めさせるという動きになったのである。反発は多いが、これが安倍首相のレガシーだと思う。

 さらに安倍首相に期待したかったのは、日米地位協定の改定である。日米地位協定は占領政策の延長で、イタリアもフィリピンもドイツも対米地位協定を改定しているが、日本は改定できていない。このしわ寄せが沖縄問題である。

 国土面積の0・6%しかない沖縄に米軍基地の70%がある。むちゃくちゃである。

 去年の春、安倍首相に「あなたの最大のレガシーになるのは日米地位協定の改定だ。やるべきだ」と言った。すると安倍首相は「やります」と言った。

 ところが、コロナ禍が起きた。ついに道半ばで実現できないまま終わり、極めて残念である。

 もう一つ、安倍内閣の問題は、自民党の国会議員が皆、安倍首相のイエスマンになっていたことである。森友・加計疑惑が起きても「安倍首相は辞めるべきだ」の声が出なかった。だからというべきか、その後スキャンダルが連発した。政治に緊張感がないことが一番の問題であり、これは政権の長期化による弊害である。

 いろんな問題がありながら、国政選挙で自民党は6連勝した。野党が弱すぎることもあるが、これは国民の多くが安倍内閣を認めていたということで、これほど連勝する政権は先進国で他にない。皮肉を込めて言えば、もっとも安定していた政権だと言えるのである。

 あの田原氏が、しかも朝日系列の週刊誌に述べた内容にしては、批判一点張りではなく、レガシーとして「安保法制の改正」を上げているところなどは、客観性はあると言えるでしょう。田原氏は持論として、日本の安全保障の実態やその取り組みに、危機感を持っていると思います。以前取り上げたコラムでもそうでした。

 一方二人目として、国際政治学者の三浦瑠麗氏のコラムも取り上げて見ます。必ずしも「ヨイショ」ではなく、氏の特徴である客観的な視点で述べています。タイトルは『歴代最長ゆえに築いた安倍政権のレガシーと次代に残す「副作用」』(iRONNA 9/02)で以下に引用して掲載します。

 歴代最長政権の幕が下りました。首相個人の健康上の理由による辞任であったこともあるかもしれませんが、その最後は、積み上げられた時間の重みに比して少々あっさりとした、実務的なものでした。

 安倍首相自身が、第1次政権を去る際の政権「投げ出し」批判が強かったことを意識してのことでしょう。目下の最重要課題である新型コロナウイルス対策の進むべき方向性を明確にした上で、淡々と辞任に至る理由が語られたのでした。

 一つの時代に一つの区切りがついたとき、歴史的な総括やレガシーについて語られるのは、人間という生き物が自らの生きる時代や空間を把握したいという欲望を抱えているからでしょう。政治を評する者としても、歴史に参加しているという実感が得られる営みです。

 私自身、現実の政治について評論するようになったのは2014年からであり、当時は既に第2次安倍政権に入っていました。政権の後半には、安全保障政策や中期的な経済政策を議論する会議に参加する縁などもあり、首相やその後継と目される人々とも接する機会もありました。本稿は、同時代性を持って安倍政権のレガシーを定義する私なりの試みです。

 安倍政権の政策的なレガシーについては、5点挙げたいと思います。内政上のテーマが2点、外交上のテーマが2点、国民意識の統合に関してが1点です。

 内政上の最大の成果は、2012年時点では八方塞がりに感じられた日本経済に新たな息吹を吹き込んだことです。政権発足直後の2013年、日本銀行総裁に黒田東彦(はるひこ)氏を任命し、異次元の金融緩和策を推し進めました。

 目標とされた完全なデフレ脱却までは至らなかったものの、景気の「気」の部分にも働きかけたことによって雇用は改善し、企業収益が回復し、株価も大幅に上昇しました。この景気の底上げがあったからこそ、5%から8%、そして10%への2段階の消費増税が可能となりました。

 プライマリーバランス(基礎的財政収支)の均衡までは至らず、コロナ禍に伴う未曽有の支出によって日本の財政は再び危機を迎えていますが、消費増税のタブーを乗り越えた意義は大きいものでした。

 第二は、経済をキーワードにして時代にあった社会政策を推し進めたことです。「女性活躍」を合言葉にして、男女共同参画を「女性の問題」から「経済の問題」へと再定義したことで経済界を巻き込むことができました。

 少子高齢化社会のさらなる深刻化を踏まえた、幼児教育の無償化、年金の開始年齢の引き上げ、外国人労働者の受入れ、インバウンドの強化など、これまでも議論されていたけれど実現に至らなかった課題が前に進みました。

 それは、保守の本格政権であったからこそ、「伝統的家族観」の信奉者たちの攻撃をやり過ごすことができたからです。保守政権ならではの漸進主義により、成果は道半ばであるにしても社会の主流の考え方へと昇華させた功績は大きいでしょう。

 外交・安全保障政策における最大の成果は、安保法制の制定と日米同盟の強化でしょう。集団的自衛権について、保有はしていても行使できないという、いかにも戦後日本的な不思議な憲法解釈をようやく乗り越え、日米同盟の信頼性強化に大きく貢献しました。

 米大統領の広島を、日本の首相として真珠湾を相互に訪問したことによって日米の歴史和解を完成させました。本来であれば、今秋に予定されている敵基地攻撃能力の部分的容認と専守防衛政策の転換までを見届けていただきたかったものの、それは次期政権の課題として残されました。

 第二は、粘り強い交渉によってTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)を完遂させたことです。

 日本はエネルギーの90%、食料の60%、安全保障上の打撃力の100%を海外に依存しています。日本という国は、自由な国際経済体制の下でしか繁栄を維持できないのです。そこに、中国の急速な台頭と、米国の内向き化が重なり、世界は米中新冷戦の様相を呈しています。

 そんな中、米国が抜けた穴を埋め、豪州などとも協力しながら「21世紀の経済のルール」を形にしたことは歴史的でした。並行して、日EUや日豪のEPA(経済連携協定)についても締結までもっていったことは高く評価されるべきでしょう。

 国民意識というのは、いまだに日本の政治を分断している歴史認識について、国民の大層が合意できるコンセンサスを打ち立てたことです。

 すなわち、先の大戦は国策を誤った戦争であり、日本には加害責任もある。他方で、われわれの子孫にまで謝罪の重荷を負わせるべきでないというものです。戦後70年談話や、慰安婦問題に関する日韓合意を貫く考え方です。

 当然、左右両極からは不満が寄せられたけれど、国民の大層はそれを受け入れました。保守優位の政治状況をうまく利用して、リベラルに歩み寄った成果であったと思います。

 反対に、負のレガシーは3点ありました。第一は、後継者を育てなかったことです。

 かつての日本政治にはそれなりのリーダー育成の仕組みがあり、首相は後進を育てる責務を感じていたように見えます。その後、諸改革の成果として日本政治は官邸主導型へと変化しています。

 安倍政権は重要政策の全てを官邸で取り仕切り、実力派の閣僚は長老か能吏タイプによって担われており、次代を担うような人材の発掘と育成の機能を果たすことができていません。実際問題として、内政のかじ取りにおいても外交上の存在感においても、今後の日本は不安定な時代が続く可能性が高いでしょう。

 第二は、構造改革への踏み込み不足です。政権の発足当初こそ、アベノミクスの三つ目の矢として構造改革や規制改革への言及がなされていたものの、本音の部分では「保守が割れる論点」に対する消極性が目立っていました。

 人口減少期に入った日本経済を成長させ、社会を活性化させるには生産性の向上が不可欠であり、そのためには既得権にメスを入れて競争を促すべきであるのに、大玉の改革案件はことごとく先送りされてしまいます。諸外国対比の競争力は低下の一途をたどり続けてしまいました。

 第三は、憲法改正という本格保守政権でなければ手を付けにくい政策を推し進められなかったことでしょう。辞任会見においては、首相自身が憲法改正と並んで北朝鮮による日本人拉致問題とロシアとの平和条約を志半ばの課題として挙げました。

 首相の思い入れはあるにせよ、対北朝鮮や対ロシア外交については相手があることです。国際情勢の追い風がない限りは誰が政権の地位にあっても解決は困難であったでしょう。

 ただ、憲法問題はコントロールできたし、もっと踏み込むべきでした。8年近い時間をもってもなお、憲法を起点とする神学論争と底の浅い与野党対立を次代にまで引き継いでしまったわけです。

 お気づきのことと思いますが、これら負のレガシーはどれも長期安定政権を実現することの「副作用」として生じています。

 長期政権を実現するために次代を担うようなライバルの出現を許容できなかったし、保守が割れる論点には踏み込まなかった。そして、おそらく首相が最も成し遂げたかったはずの憲法改正も実現しなかったわけです。

 直近の各社世論調査では内閣の支持率が大幅に上昇し、日本経済新聞の調査によれば、国民の7割以上が安倍政権の成果を評価していると報道されています。国民は実際に長期安定政権を望んでいたのだということでしょう。

 当たり前ではあるけれど、政権のレガシーの多くは長期政権であったから可能になったものです。ただ、そこにはコストもあったということです。残念なのは、それらのコストの多くは、われわれが今後とも払っていかなければいけないものであることです。

 三浦氏の言うように、数多くのレガシーを残した安倍政権。あの悪夢のような民主党政権時代の、デフレまみれで円高に苦しみ、企業の海外逃避を防げなかった最悪の経済環境を、何とか救い上げた功績は大きい。またあの鳩山由紀夫元総理が破綻させた対米関係の修復も、大きな成果でしょう。

 そうした中で、残念ながら積み残した案件で大きなものは、憲法改正でした。いままで再三述べていますが、その憲法改正の重要性。多くの外交案件、特に領土や拉致被害に関する案件は、対話によるべきだと言う「きれいごと」が先行しますが、それでは絶対に解決しない、つまり強い軍事力を背景にした外交交渉力がなければなしえないと思います。

 米中ロ3国の外交力はすべて軍事力が背景にあり、あの北朝鮮のような小国でさえ、核をもって超大国アメリカと対峙できているのです。その軍事力を否定するような憲法を持つ国が、現状変更を伴う領土返還や、外国にとらわれている邦人の奪還などできるわけがありません。

 冷静に考えればわかりそうなこの理屈を、完全に封印してきた日本、そして歴代政権。自民党の立党宣言の中にもある憲法改正を、何故やり遂げられなかったのか。特にそれを政権の目玉にしてきた安倍政権までもが。

 確かに憲法改正、特に9条の改正を目指せば、日本に潜在する護憲活動家と護憲政党、護憲文化人たちが反日メディアを駆使して、「戦争できる国になる」「戦前の軍と徴兵制が復活する」と言うキャッチコピーで大合唱をするでしょう。そのくせ覇権国家中国、朝鮮にはだんまりです。

 中朝の共産党のスパイや韓国文政権のスパイが、本国による大枚の活動費を投入しながら、日本の活動家やマスコミ関係者を手足と使って、こうした反対運動を盛り上げ、一般国民を洗脳し、憲法改正の大きなハードルを作り上げているのが現状です。かつての「戦争法反対」や、最近の「安倍政治を許さない」などの反政権デモは彼らの工作そのものです。

 何故そんなことをするのか、理由はいとも簡単、日本が強くなってはいけないのです。弱いままでいれば中国、朝鮮そして韓国が日本をユスリタカリで脅し続けることができ、またその先には、東アジアに広大な共産主義や疑似共産主義圏を作り上げようと狙えるからだと思います。今韓国が疑似共産主義に突っ走っています。そうして日本を彼らの属国として、アメリカと対峙できるようにする、まさに「中国の夢」の完成版です。

 勿論そんなことはさせられません、いずれにしろ、日本がやらなければならない一丁目一番地は憲法の改正、9条の改正です。安倍政権を引き継ぐ政権にそれができるかどうか、それが日本のこれ以上の埋没を止めるための大きな試金石となるでしょう。

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2020年9月 3日 (木)

安倍首相辞任への反応、野党幹部とあの室井佑月氏、そして韓国は

6_20200902142601  安倍首相の辞任に関して、今迄反安倍の側で事あるごとに批判をしてきた人たち、加えて「かの国」。それぞれの反応を集めてみました。

■まずは「安倍首相のもとでは憲法改正はさせない」と言っていた、立憲民主党の枝野幸男代表

「政治的な立場は違うが、こうした理由でお辞めになることは大変、残念だろうと思う。お見舞い申し上げたいし、療養に万全を尽くし、健康を回復されることをお祈りしたい」

「私も広島、長崎、8月15日など近くで拝見し、お体辛そうかなとは思っていたが、お辞めになるほどの状況だったことは驚いている」

「命と暮らしを守り、機能する政府を作り上げていかないといけない社会状況にある。政治やシステムの変化に向け、後から振り返ると『動き出したのはそこからだったのか』といわれるようなインパクトのある出来事ではないか。それだけ7年半という過去にない長期政権、しかも強力な政権だった」

■かなり激しく安倍首相を批判し続けた、立憲民主党の蓮舫副代表

「8年近く、内閣総理大臣として大変な激務の中で勤められてこられたことに心から敬意を表します。治療に専念され、御身体をご自愛していただきたいと強く思います」

■次に合流新党に参加しないという意地を通した、国民民主党の玉木雄一郎代表

「自民党に代わる政治勢力が何を訴え、何を旗印にするのかを、より明確に示していく必要が出てきた。『安倍内閣がダメだ』だけではもう通用しなくなるので、骨太の政策論や理念の提示が、より強く求められるようになった」

「職を辞さなければならないほど体調が悪化していたのであれば、早く治療に専念していただきたい。一方で新型コロナウイルス対策などで国政の継続はしっかりやっていかなければならない。後継の総理・(自民党)総裁が誰になるのか注視していきたい」

■枝野さんと考えが違うと言って国民民主に移り、かつ変われない自民党を批判するより、自民党に代われる政党を目指したいと言う、国民民主党の山尾志桜里議員

「安倍総理の理念や憲法観は私とは随分違った。違っていいのでせめて誠実な答弁が欲しいと国会で歯噛みをすることもたくさんあった」

「それでもなお、7年半との長きにわたって、体力の限界まで一国の総理として務めを果たされたことに、心から敬意を表したいと思う。本当にお疲れ様でした」

 みな安倍首相の病気を気遣う発言が主で、批判の言葉はありません(もちろん胸の中、腹の中は違うでしょうが)。ここで「安倍首相批判」で稼いできた室井佑月氏、このブログでも再三登場していただきましたが、SponichiAnenexの記事から引用します。タイトルは『室井佑月 “天敵”安倍首相の辞任意向報道に本音「明日から何を心の支えにしよう」』(8/28)です。

C8060bc8s  タレントで作家の室井佑月(50)が28日、文化放送「大竹まこと ゴールデンラジオ」(月~金曜後1・00)に出演し、安倍晋三首相(65)が辞任の意向を固めた報道についてコメントした。

 ジャーナリスト青木理氏(53)をゲストに迎えたコーナーの冒頭で、パーソナリティーの大竹まこと(71)が「始まる前にニュースが飛び込んで参りました。室井が『明日から何を考えて生きていこう』と言っていました」と、安倍首相辞意の報道について説明。すると室井は「不謹慎だけど、シューッていう泡のもので乾杯したいねというのと、明日から何を心の支えにしようというか」と本音を明かした。

 室井は06年に発足した第1次安倍内閣から、ことあるごとに首相の政策に異議を唱えてきた。「だって長かったんだよ?本当に相性が悪いというか、(安倍首相が)やりたいことが、私が賛同できないことばかりだったから。第1次安倍政権から反発してきたから、もう何年になる?」と、長きにわたる安倍政権への反発を振り返った。

 それでも、このタイミングでの辞意は意外だったようで、この日午後5時からの会見の内容についても「会見で『元気でーす!』って言うのかと思ってた」と予想していたという。室井の発言に、大竹は「5歳の子供みたいなこと言うわけないだろ!」とツッコミを入れていた。

 安倍首相の人柄について、室井は「負けず嫌いは負けず嫌いだったよね。あの給食のマスクみたいなのをずっとやり続けたんだから」と、政府が支給した布マスク「アベノマスク」を着用し続けたことを引き合いに語った。

 さすが室井佑月氏、『本当に相性が悪いというか、私が賛同できないことばかりだったから』と言った後で、『明日から何を考えて生きていこう』と本音を吐露していましたね。稼ぐ相手がいなくなっても、まあ知名度はあるので何とか生き延びていくでしょう。ただ今まで通りに、メディアが使ってくれるかは分かりませんが。

 さらに安倍首相を誹謗中傷し続けてきたお隣韓国。その韓国の反応をNEWSポストセブンが伝えています(一部室井佑月氏も登場します)。タイトルは『韓国が“安倍ロス”か「敵対的共生のパートナー」辞任の波紋』(9/01)で、以下に引用します。

 安倍政権はおよそ8年にわたる長期政権となり、突然の辞任の報で、喪失感を味わっているのは必ずしも安倍支持層だけではない。

“反安倍”の姿勢で知られるタレントで作家の室井佑月氏は、8月28日の文化放送「大竹まこと ゴールデンラジオ」に出演し、「明日から何を心の支えにしようというか」と、率直に“安倍ロス”の心境を語っている。

 昔から野球ファンの間では、もっとも巨人に執着しているのが実はアンチ巨人派だという意味で「アンチ巨人は巨人ファン」といわれてきた。「安倍辞めろ」と叫んできた反安倍の人々も、いわば安倍首相に依存してきたわけで、敵を失って喪失感を感じているようだ。

For2009010003p1  海外における反安倍派の一大勢力と言えば、やはり「韓国」である。

 安倍首相の辞任が取り沙汰され始めた頃の8月23日、朝鮮日報のコラムで、イム・ミンヒョク論説委員は以下のように書いている。

〈文在寅(ムン・ジェイン)政権が今のように思う存分「竹やり歌(竹やりを持って日本軍に反乱を起こし玉砕した故事を歌う)」を歌い、「土着倭寇(国内の親日派)フレーム」を振り回せるのは、完全に安倍首相の「おかげ」だ。「敵対的共生」のこの上ないパートナーと言うべきか〉(8月23日付朝鮮日報日本語版コラム「安倍の墜落」。文末に注)

 この記事によると、昨年、韓国で実施された外国指導者の好感度調査では、北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長に対してさえ9%が「好感が持てる」と回答したが、安倍首相に対しては同3%だったという。韓国人の安倍嫌いが、文在寅政権の反日政策を支持してきたと言うこともできる。

 安倍首相の辞任が現実のものとなった今、韓国ではどんな反応が起きているのか。韓国人作家の崔碩栄(チェ・ソギョン)氏はこう言う。

「新聞報道は保守系もリベラル系も、意外に冷静です。どちらも安倍首相の辞任で日韓関係の改善が期待されるが、おそらく変化はないだろうとしている。記事に寄せられたコメントの中には、『叩ける人がいなくなって寂しくなるな』と皮肉った書き込みもありますが、『韓国人から見れば悪い人だけれど日本人から見れば頑張ったリーダーだからね』と総じて冷静で、感情的な反応は少ないですね」

 安倍首相の辞任よりも、むしろ次期首相に誰がなるかに注目が集まっているという。

「石破茂氏にはなぜか“いい人らしい”というイメージがあって、もっとも支持されています。一方、河野太郎氏は人気がない。1年ほど前、日本製品不買運動のさなかに外相会談で訪韓した際、韓国人記者を『そのカメラはキヤノン製か?』とからかったとされていて嫌われています」(崔氏)

 河野氏本人の弁によると、これは日本人記者団との会話であって、たまたま韓国人記者が居合わせただけとのことだが、現在はGSOMIA問題などで直接対峙する防衛大臣でもあることから、韓国側の警戒感が強いのかもしれない。

 もし次期総理に石破氏がなれば、そのときに初めて、〈「敵対的共生」のこの上ないパートナー〉(前掲記事)だった安倍首相を失ったことを実感し、(特に反日政策により支持率を上げてきた文在寅大統領は)“安倍ロス”に陥るのだろうか。

1138150x150_20200903102201  老婆心ながら心配なのは、安倍首相を模したとされる「慰安婦像に土下座する謝罪像」をこの7月に設置した植物園である。謝罪像を起爆剤に、休止していた園を再開させたというが、安倍首相が辞任してしまったら客寄せにならなくなってしまう。たった1か月ほどで、投資した資金を回収できたのだろうか。

【*注:引用文中の「竹やり歌」「土着倭寇」は、韓国の与党支持者を中心に、日本批判、韓国の保守派批判などの文脈で近年用いられる用語。「竹やり歌」は民衆による革命歌で、「思う存分、竹やり歌を歌い」というのは、文政権が支持者たちに日本への怒りの抵抗を煽ったという意味。「土着倭寇」は新しくできた造語で、韓国国内で日本に理解や共感を示す言動をする人に対する蔑称。韓国で「倭寇」は「鬼」ほどの意味がある】

 河野氏の総裁選出馬はなくなり、文中には出てこない菅官房長官が本命とされています。この記事では菅さんへの反応は分かりません。韓国での知名度がいかほどか、又どう受け止められているのか分かりませんが、はっきり言ってそれはどうでもいいことです。

 いずれにしろ韓国で文政権が続く限り関係改善は全く進まないとみていいでしょう。更には逆に韓国で次に誰が大統領になろうが、関係はそんなによくはならない気がします。何故なら国家的反日宣伝や教育の中で、反日の気質が韓国人の中にしっかり組み込まれているからです。

 日本としては、我々が買い物にしても食事にしても、嫌いな店にはいかないように、嫌いな国は放っておくのが一番だと思います。ましてや嫌われている国に、わざわざ友好国になってもらおうなどと言うバカげた考えは、誰がリーダーになろうとも絶対やめて下さい。

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2020年9月 2日 (水)

与野党とも総裁選と代表戦の政局日本と、もはや内戦状態の文政権の韓国

Hw414_as20200901002833_comm  日本では今、安倍首相の辞任に伴う新しい自民党総裁の選挙がスタートしました。告示はまだですが、すでに岸田政調会長や石破元幹事長が出馬を宣言し、菅官房長官も今日出馬を表明する予定で、この3氏による戦いになるものと思われます。

 しかし党員・党友票の実施は見送られ、両議員総会での議員の投票と各県連に割り振った3票の合計で決定する「省略案」で行われることになりました。これで一気に「菅総裁」への確率が高まりました。自民党総裁を選ぶことはすなわち首相を選ぶことになるので、国全体をカバーする党員・党友の意思の反映が望ましいと私も思います。

 しかし党費をきちんと収めている党員の確認作業などの手間がかかるため、今回のような突然の辞任の後は、こうした簡略形式にならざるを得ない、と説明がされていますが、総選挙に対しては「常在戦場」と言っている割には、常日頃からこういう事態を想定しての準備が、なされていないのはおかしいのでは、とも思われます。野党やマスコミからから「石破外しでは」と言う、あらぬそしりを受けないためにも。

 日本はこれに加えて、注目度は低いのですが、野党の再編も実施されます。今月10日に再編新党の代表戦が行われるようです。こうして日本では政局の秋がやってきましたが、お隣韓国では文政権下で内戦状態の様相を呈しているようです。

 その詳細を龍谷大学社会学部教授の李相哲氏が、九州「正論」懇話会で講演した内容を、産経新聞が記事にしています。タイトルは『【九州正論懇話会】李相哲氏詳報 100年前と重なる韓国の「内戦状態」』(8/26)で、以下に引用掲載します。

 福岡市博多区のホテルオークラ福岡で25日に開かれた九州「正論」懇話会の第145回講演会では、龍谷大の李相哲教授が「どうなる? 朝鮮半島~日本はどう対処するべきか」と題して講演した。北朝鮮の核問題をめぐっては「韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が世界をミスリードした」と指摘。また、文氏による左派政権下で「韓国は内戦状態だ」と分析した。主な内容は次の通り

5_20200902111101 ■ソウル市長の葬儀めぐり対立

 韓国は今、内戦状態だ。同じ国民が両陣営に分かれて、今のところ暴力行使はないものの、最高レベルでお互いのことを憎んだり、非難したりしている。

 その象徴的な出来事が、セクハラ問題で自殺したソウル市長の葬儀をめぐる対立だ。左派の文大統領を支持する一派は、市長は罪を犯したかもしれないが、市民運動を引っ張ってきた功績があるとして、市が主催して葬儀をやると決めた。しかし、それには10億ウォン以上の金がかかると市民団体が猛烈に反対した。

 同じ時期に朝鮮戦争の英雄、白善●(=火へんに華)(ペク・ソニュブ)将軍が亡くなったが、左派の文氏支持者らは白氏を国立墓地に埋葬してはならないと声を上げた。文氏は軍司令官でもありながら白氏の死に関しては一言も発していない。市民は、ソウル市長の葬儀場の隣に焼香場をつくって白氏の市民葬をやろうとしたが、そこでせめぎあいがあった。

 韓国では今、国会で国立墓地法の改正案が議論されている。国立墓地に埋葬されている朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領や白氏ら親日派69人の墓を掘り出して、どこかに移すという法律だ。

 発想自体が前近代的で、約100年前、李王朝打倒のため政変を起こした開化派の金玉均(キム・オッキュン)が暗殺された状況と似ている。福沢諭吉とも親交が深かった金は、中国・上海で刺客に暗殺され、韓国に渡った遺体はばらばらにされ捨てられた。

 今、韓国は、程度は違うが、100年前の韓国人と同じことをしている。世界が激しく動いている中で、それと関係なく、自分たちは党派の戦いに明け暮れているという状況が重なる。

■文氏が世界をミスリード

 文氏が大統領になってから韓国の雰囲気はガラッと変わってしまった。私はかつて雑誌に、文氏が世界を間違った方向に持っていこうとしているのではないかと書いたことがある。文氏による1番のミスリードは、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が核兵器を放棄するのは、確固たる意志だと繰り返し発信したことだ。

 金氏が言っていたのは「朝鮮半島の非核化」であり、「北朝鮮の非核化」とは完全に違う話だ。現在、韓国に核兵器は存在しないが、米軍が韓国に駐留している限り、いつでも持ち込める。つまりは、米軍が韓国から出ていけば、自分たちは核を捨てる用意があるという意味だ。

 2018年6月のトランプ米大統領と金氏によるシンガポール会談でも声明文には朝鮮半島の非核化という言葉が使われた。北朝鮮は非核化するつもりはないし、絶対に非核化は実現しないことがはっきりした。これを文氏は知らないはずがないのに嘘をついた。これは、彼がついたさまざまな嘘のうち最大のものだ。

■文政権下で韓国はどんどん劣化

 他にも問題はある。肝心なときに姿を見せないということだ。例えば日本でも大騒ぎになった●(=恵の心を日に)国(チョ・グク)法相(当時)や、最近では不正会計疑惑が取り沙汰されている元慰安婦支援団体をめぐる問題など、国民が真っ二つに割れた問題では自分の考えらしいものは言わない。

 卑怯(ひきょう)といえばいいのか、肝心なところでは姿を現さず、逆に新型コロナウイルス対策など政権の成果を自慢するときだけは表に出てくる。コロナ対策も中身を見ると、朴槿恵(パク・クネ)前大統領時代に態勢が整っていたことが背景にある。

 韓国の保守系新聞は社説で最近、文氏のこれまでの政権運営で成功事例は一つもないと論じている。文政権下で韓国はどんどん劣化しており、悲しいことだが文氏には期待しないほうがいいのではないか。

 文氏は、強迫観念があるのか、北朝鮮政策にすべてをかけている。しかし肝心の北朝鮮は6月に開城(ケソン)の南北共同連絡事務所を爆破するなど文氏を憎んでいる。

 文氏は18年9月の南北首脳会談で、寧辺(ニョンビョン)の核施設を放棄すればトランプ氏は制裁を解除すると金氏を説得、金氏も応じた。しかし、19年2月にベトナム・ハノイで行われた米朝首脳会談は決裂した。それで金氏のリーダーシップは傷つき、文氏にだまされたとして文氏を憎んだ。文政権とは付き合わないと公言したのはそのためだ。

■北朝鮮に残された道は2つ

 一方の北朝鮮も今の体制はそんな長く続かないのではないか。17年から始まった国際社会による本格的な制裁が効き始めていて、経済は壊滅状態だ。

 そこに追い打ちをかけるように新型コロナが発生した。北朝鮮は今、国境を全面封鎖しているので、稼ぎ口がほとんどなくなっている。さらに今年は水害も直撃し、食糧生産基地が壊滅状態だ。

 この三重苦の中、北朝鮮は、軍事態勢によって国民を締め付けている。指示に従わなければ軍法で処罰する。最近の状況は、北朝鮮の70年以上の歴史で最も怖い統治が続いているといわれている。

 北朝鮮は11月の米大統領選をにらんで今後の方向性を決めるつもりかもしれないが、残された道は2つしかない。核を捨てて米国と協力するか、核にしがみついて独自の道を歩むかだ。

 しかし、米国はどのような政権ができても北朝鮮の核保有は認めないだろう。トランプ大統領が再選したら北朝鮮問題に決着をつける可能性が高いとみている。来年ごろには北朝鮮のミサイル能力が米国本土を攻撃できる状況になるからだ。制裁だけでなく、強い「何か」をする可能性は十分考えられる。

 南北朝鮮とも、政治的にも経済的にも苦境に陥っています。日本も例外ではないにしても、この傷ついた二国に対し、北朝鮮はもとより韓国にも、決してスワップの締結や貿易管理規制を緩める、つまり経済面での手助けをしてはなりません。恩は絶対に感じない国です。むしろつけあがらせるだけです。

 私は次の首相には、安倍政権のやり残した課題を継続して取り上げるよう述べてきました。そのうちの一つは「謝罪外交」からの脱却、南北朝鮮に対しては「日韓併合」の法的根拠の再確認と、「圧政と収奪の植民地」と言う歴史捏造の否定です。それができない限りこの国とは今後ともまともに付き合えないと思いますね。

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2020年9月 1日 (火)

長期戦略のない日本の政府・官僚の質の低さ、失われた20年も竹島問題等の外交課題も

Wdm0102thumb900xauto36496  失われた20年、それはバブルがはじけた時期と重なるように、少子高齢化の進展で人口減少(生産年齢人口は1995年、労働力人口は1998年、総人口は2008年にそれぞれピーク)が進み、ソ連の崩壊に伴うグローバル化の進展が一気に進んだ結果の所産だと思います。

 人口ボーナスがオーナスに反転、国家歳入の頭打ちが訪れるとともに、高齢者の増加に伴う福祉関係の歳出が激増し、一気に国家財政の悪化を招きました。

 一方土地や株式の暴騰を抑えるための緊急の金融緊縮政策が、逆にそれらの暴落を招き、これが戦後初めてのデフレへと一直線に進んだ結果、相対的な円の価値が急騰し、超円高の為替状況を作り出しました。

 このデフレ経済の中で、超円高と経済グローバル化の波が、輸出産業の業績悪化を急襲し、その対応のため海外移転が加速、それが国内の空洞化を招いたため、更なるデフレの状況をもたらしました。小泉政権による数年間の時期を除き、政治の混乱もこの状況に拍車をかけました。

 小泉政権の後を引き継いだ、第1次安倍政権はその継続を期待されましたが、相次ぐ閣僚の失態と持病に倒れ、福田、麻生と続いた政権も予期せぬ失策を重ねた結果、国民の自民党離れが一気に進み、あの民主党政権が誕生したのです。

 その悪夢のような民主党政権が倒れ、失われた20年を取り戻すべく、第2次安倍政権はアベノミクス3本の矢をもって、金融政策、財政政策、成長戦略をフル回転させて、デフレと円高を食い止めるため奔走しました。その結果デフレも円高も止めることができましたが、成長戦略は失速、そしてここへ来てのコロナ禍で、止め処がない財政出動を余儀なくされ、失われた30年と言う囁きが聞こえて来ています。

 こうした背景には、前にも述べたように政府、官僚に10年20年先を見据えた長期戦略がないこと。特に官僚には「先例踏襲」「形式主義」そして「事なかれ主義」が蔓延し、創意工夫やイノベーションを率先して取り組む姿勢が希薄なことが挙げられます(なぜそうなったかはいくつも要因がありそうですが)。

 その一つが近隣外交への戦後一貫した「謝罪」姿勢にも見えてきます。戦争責任と言うものの根本を検証する努力を忘れ、GHQの占領政策を無批判に受け入れ(これは仕方がなかったとは思います)、その影響をもろに受けた国内の売国分子を放置し、彼らが作り上げ火をつけた日本の戦争犯罪とその近隣諸国への拡散を、それこそ「事なかれ主義」をもって「謝罪」のみでやり過ごしてきた結果が、今の日韓、日中問題の根源となっているのでしょう。

 戦争責任の再検証を、その後出てきた「ヴェノナ文書」をも積極的に取り上げて、再考しようとしているのでしょうか。「事なかれ主義」ですから今度はアメリカやロシアに忖度して、表立ってやらないように思いますね。同時に韓国の歴史捏造について、折角「反日種族主義」という、韓国の学者による捏造歴史の素晴らしい否定証言が出てきたのに、その学者たちと連携して真の歴史を追求しようとしているのでしょうか。これもそんな動きは聞こえてきません。

 先日安倍首相のやり遂げられなかった3つの悲願、憲法改正と北方領土問題の解決と北朝鮮拉致被害者の奪還を取り上げましたが、その中には竹島と尖閣の問題がありません。いみじくもこの二つは日韓、日中の問題です。官僚が避けたい近隣諸国問題とも邪推できます。

 日本の失われた20年その時代に、日本の経済停滞に反して、ウォン安という追い風を受けながら破竹の勢いで経済発展していった韓国。アジアの金融危機では手痛いダメージを受けましたが、その後も含めて中国とともに東アジアの奇跡と言われる経済発展は、どうしてできたのでしょうか。

 韓国の代表的企業サムスンと竹島問題に関わった、下條正男拓殖大学教授が産経新聞に寄稿したコラム『「日本に学べ」の韓国が今は…サムスンの躍進と竹島の現状』(9/01)を以下に引用します。

 日本政府による新型コロナウイルス対策は、1980年代に韓国の三星(サムスン)電子の半導体工場で目撃した作業場と似ている。当時、三星グループでは、将来の海外進出に備えて龍仁(ヨンイン)の地に外国語生活館を建設し、外国語教育を始めていた。その初代の専任講師となり、日本の半導体工場に研修生を送る課程を担当するため、三星の半導体工場を視察することになった。(注・下條氏は1983年、韓国に渡り、三星綜合研修院主任講師。98年まで三星電子マーケティング室諮問委員を務めた)

歴然としている日韓の組織運営能力の差

 そこで見たのはマイクロチップに加工する工程のようで、かなり高温の作業場で切断作業が行われていた。だが室内を見ると換気扇が1つ作業場の片隅にあるだけで、熱を発する数台の機械には、排熱用のダクトが設置されていなかった。

 この状況は、陽性患者の管理を怠って「Go To トラベル」キャンペーンを強行し、感染症罹患(りかん)者を全国に拡散させた現在の日本と同じである。

 一方、韓国政府の新型コロナウイルス対策は徹底しており、三星グループの半導体事業の躍進も周知の事実である。竹島問題に関しても、奪われた日本側が無関心で、奪った韓国側の方が溌剌(はつらつ)として、日本批判を続けている。

 この違いはどこから来ているのだろうか。私の限られた経験から見ても、日韓の組織の運営能力の差は、歴然としている。

 私は1983年に三星グループの会長秘書室に所属し、翌年、韓国の大学に移ったが、三星との関係は1998年まで続いた。そのきっかけは、貸与された家電製品に関してまとめたリポートだった。そのリポートを研修生の1人が三星電子のマーケティング室に提出したことで、その室長から「会いたい」と連絡を受けたのが始まりである。

 大学に転職して、三星電子を訪れると、帰り際に当時の労働者の1カ月分相当の車代を渡された。その後、私は週に1回、三星電子のマーケティング室に通うことになるが、手ぶらでは行けないので、その都度、リポートを提出することにした。その提案の中には、キムチを製造する冷蔵庫や三星電子のアフターサービス制度の確立など実現したものも少なくない。

 だが三星電子での諮問活動は98年に終止符が打たれた。竹島問題に関する論争を韓国内で行ったからなのか、大学側から契約の打ち切りを通告され、帰国を余儀なくされたのだ。その間、室長も交代し、私の提案の一部は『ある日本人の発想』として小冊子にされた。

Images-2_20200901165401 島根県と日本政府の仕事ぶりにも大きな違い

 帰国後、島根県でも同様の体験をすることになるのである。2005年3月16日、島根県議会は「竹島の日」条例を制定するが、それはその2年前、同県・隠岐ノ島の西郷町(現在の隠岐の島町)で開催された講演会に呼ばれたのがきっかけだった。

 そこで島根県は2005年6月、「島根県竹島問題研究会」を発足させると、竹島問題に対する日韓の論点整理を求めた。その研究会では、研究会のメンバーの得意な分野で自由に研究することが許され、担当された歴代の県職員の方々のサポートも徹底していた。翌年、韓国の欝陵(うつりょう)島に渡り、現地調査ができたのも、島根県の協力があったからだ。

 さらに2007年、島根県では「竹島資料室」を開設した。これは県議会議員に設置を提案したところ、県の建物の空き室を転用したのである。霞が関に移転した日本政府の「領土・主権展示館」は、年間、億に近い賃料を払っているようだが、その金額は島根県の竹島関連予算の3年分に当たる。同じお役所でも、島根県と日本政府とでは大きな違いがある。

持続的な活動が期待できない日本政府

 島根県では、韓国の国策研究機関「東北アジア歴史財団」が小・中学、高校生対象の教科書(『独島を正しく知る』)を編纂(へんさん)すると、それを論破した『韓国の竹島教育の現状とその問題点』を刊行。韓国の中学生たちがその『独島を正しく知る』に依拠して、島根県の中学校に抗議の手紙を送ってくるようになると、『日韓の中学生が竹島(独島)問題で考えるべきこと』として、日韓の中学生が共に考える小冊子を作った。

 それは日本でも竹島教育が本格化し、副教材が必要だったからだ。その必要性を島根県に提案すると、実現してくれたのである。これらがいわゆる「島根県方式」である。

 この「島根県方式」は、国会議員の先生方に竹島問題や日本海呼称問題、尖閣問題の対処法を提案した時とは大きな違いがある。一部の国会議員を除き、提案すればそれを自身の業績とするか、一過性の問題にしてしまうのが常だからだ。

 それは無理もないことで、日本には「島根県竹島問題研究会」と類似の機能を持った研究機関がないからである。日本の役人がいかに優秀だとしても、2~3年で担当が代わるようでは、持続的な活動は期待できない。

 それに、近年の国会議員は「己立たんと欲して人を立て、己達せんと欲して人を達す」(自分が立ちたいと思えば人を立たせてやり、自分で行きつきたいと思えば人を行きつかせてやる)ことが、できなくなった。そのため、下問(かもん)(他人の意見を聞くこと)を恥じているのだろう。

 三星電子のマーケティング室の室長は、後に三星グループの技術部門のトップとなったが、さしずめ私はその掌で遊んだ孫悟空だったのかもしれない。そして今は、島根県の掌で踊っている。

 バブル崩壊まで、戦後の廃墟の中から涙ぐましい努力をして築き上げた日本の経済力と技術力。下條氏のコラムにもあるように、何の躊躇もなくお人好し丸出しで、中韓に資本の投下と技術を注入し、今や経済と軍事のモンスター中国と、反日を国是とする厄介者韓国を、育て上げてしまいました。

 そして下條氏は、日本の竹島問題の取り組みにおける県と国の違いを明示しています。県は県が続く限り県民の意思が長期間維持され、子供も巻き込んでの対応を続けていますが、国の政治家や官僚は、「一部の国会議員を除き、提案すればそれを自身の業績とするか、一過性の問題にしてしまうのが常だからだ」、「日本の役人がいかに優秀だとしても、2~3年で担当が代わるようでは、持続的な活動は期待できない」と指摘しているように、そもそも「国の領土を守る」と言う信念も乏しくかつ思い入れも少なく、それを長期間維持していく環境もなければ、「事なかれ」で終わってしまうのでしょうね。

 ですから国のトップが率先して事を構えなければ、絶対に前に進みません。外務省のホームページに「竹島の領有権に関する我が国の立場と韓国による不法占拠の概要」として見解を載せていますが、「平和的解決」を謳うだけで「何もしない」ことの言い訳にしているようにも思えます。

 確かに官僚はものすごく忙しいそうです。その大きな理由は「野党の馬鹿げた質問」の答弁づくりに奔走していることが大きな要因の様です。そんな馬鹿げた質問には、かつての吉田茂首相のように、「バカヤロー」と言って済ませたいですね(その後国会は解散になったようですが)。

 その馬鹿げた仕事を国会改革も含めてやめさせて、結果として彼らに時間を与え、現場をよく観察させ、民間からもどんどん新しい人材を取り入れ、専門家として仕事に打ち込むようお互いに政策競争させながら、「先例踏襲」「形式主義」そして「事なかれ主義」を打ち破っていかなければ、日本の未来は真っ暗でしょう。

 失われた40年、50年そしてついには崩壊、とならないためにも霞が関改革は緊喫の課題です。もちろん国会改革も。

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