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2020年9月 8日 (火)

日韓関係、文在寅政権が続く限りは本格改善見込めず

Img_5eb71037b34fa42021ef177ae802dedf2794  台風10号は西日本に大きな爪痕を残し北へ去って行きました。同時に韓国もかなりの被害を受けたようです。韓国は文政権施政下で経済の悪化が続いていますが、9号に続くこの台風10号の被害も、経済のさらなる悪化に多少なりとも影響するでしょう。

 ところで現在最悪と言われる日韓関係に、改善の兆しはありません。その辺の詳細を、元韓国大使で外交経済評論家の武藤正敏氏のコラムに見てみます。タイトルは『日韓関係、文在寅政権が続く限りは本格改善見込めず 「関係悪化の原因は安倍首相」と見ていた韓国でも悲観的観測優勢』(JBpress 9/02)で以下に引用します。

 日韓関係は、安倍晋三首相と文在寅大統領の政治姿勢の対立によって、「史上最悪」な状況に至らしめたとの指摘がなされている。そして、一方の安倍首相は、8月28日に辞任の意向を表明し、自民党は後継総裁選に動き出した。

 一方韓国では29日、与党・共に民主党の代表選挙が行われ、特派員として日本勤務の経験がある李洛淵(イ・ナギョン)元国務総理が後継の代表に選出された。李氏は与党の代表になったことで、2年後の大統領選挙の有力候補になる。

 日韓両国において、こうした新しい人事の動きが日韓関係にどんな影響をもたらすのか関心と期待が芽生えている。しかし、現実を見れば関係改善は容易なことではなく、それを望むのであれば、徴用工問題で韓国による資産売却が自制されることが最低条件になるだろう。

 こうした新しい動きを踏まえ、今後の日韓関係を展望してみよう。

韓国の「安倍首相が日本で嫌韓感情を煽ってきた」との見方は正しくない

 韓国では、「日本での嫌韓感情の原点には安倍首相の政治姿勢がある」との見方が強い。

 安倍首相は、韓国大法院が日本企業に元朝鮮半島出身者への賠償を命じる判決を巡り、対韓強硬路線を主導、戦略物資の韓国への輸出管理の厳格化措置を導入し、日本企業の資産を現金化すれば、報復措置をとると圧力をかけているとして、韓国では「安倍首相が日韓関係悪化の元凶だ」との見方が半ば定着している。

 G20首脳会議出席のため、文在寅大統領が訪日した際には、主要国首脳の中で文大統領とだけは首脳会談の機会を持たなかった。

 8月29日の韓国・中央日報のコラムの表現を借りれば、日本は「米国との同盟をさらに強化し」、「日本の再武装を事実上実現させ」た。憲法9条の改正は実現しなかったが、「『日本と密接な関係の他国に武力攻撃が発生し、日本の存立が脅かされて明白な危険がある場合』に武力を使用できる」よう「憲法9条の解釈変更」をした。「安倍首相のこうした保守の本性はわが国の利害と衝突」する。

 このように「安倍首相は実際、わが国には最悪の首相」(同コラム)だったとの見方をする韓国人は多い。こうした世論を受け、韓国のメディアには、その安倍首相が辞任したのを機に、日韓関係の雰囲気を変えることはできないだろうか、そのための努力をするべきであるとの期待感がにじみ出ている。

 韓国政府の方はどうか。青瓦台の姜珉碩(カン・ミンソク)報道官は「わが政府は新しく選出される日本の首相及び新内閣とも韓日友好協力関係増進のために引き続き協力していく」と述べた。こうした発言は、外国に新政権ができた時に通常述べるコメントであり、それは必ずしも韓国政府の分析に基づく対処方針とは言い切れまい。

韓国政府の本音も「日韓関係の改善は困難」

 それでは本音はどうか。

 青瓦台の情報筋は中央日報との電話インタビューで、「強硬報復を主導した安倍首相の退場で対話の雰囲気が良くなる余地はあるだろうが、後任に挙がっている人たちも強制徴用問題では大きな差はない」、「対話は続けているが(過去の問題の解決に対する)誠意が問題」、「ポスト安倍政権も過去の歴史に対する立場が変わらないというのが内部の分析の結論」、「日本では与野党を問わず、韓国大法院(最高裁)判決が韓日関係の根幹を覆した重要な問題という視点が内部コンセンサス」と述べ、日本の対韓姿勢には根本的に変化がなく、それでは日韓関係は改善されないだろうとの見通しを示した。

「“安倍首相辞任”だけで日韓関係は改善しない」との識者の見解

 韓国のマスコミも、日本の対韓関係に対する基本的立場は変わらないだろうとの見通しを述べ、日韓関係改善には韓国の姿勢の変化が必要だとしている。

 中央日報は「日本の首相交代が韓日関係を急進展させるのではないかと期待するのは行き過ぎだ。日本の政治変化は、新しい流れを作る契機になることはできても、韓国の姿勢が柔軟にならない限り、共に手を携えていくのは難しいだろう」としてむしろ韓国にボールがあるとの見方を示している。

 韓国の対日識者も同様な見方である。朝鮮日報が報じた陳昌洙(チン・チャンス)世宗研究所首席研究員のコメントは日本の状況を的確にとらえている。「韓国、特に文在寅(ムン・ジェイン)政権に対する日本国内の世論は非常に厳しい。韓日関係を悪化させたのは韓国であって、安倍首相のせいだとは見ていない」というものである。

 すでに解決した徴用工や慰安婦の問題を再提起したり、日本の自衛隊機にレーザー照射を行っていながら、これを隠蔽し日本のせいにしたり、さらに世界遺産登録の問題では日本への非難を繰り返す。これによって日本の対韓感情はこの上なく悪化しているのが現状である。

 同紙はさらに東京の外交筋を引用し、「もちろん日本国内にも安倍首相は(韓国に対して)やり過ぎだとの見方もあるが、だからと言って安倍首相の政策を覆す必要はないというムードが優勢だ」と語ったと伝えている。

 同紙は結論として、「日本の輸出規制など、安倍首相の『私感』が大きく作用したと言われている諸政策は『ポスト安倍』内閣で一部緩和される余地がある。韓国政府がこれに呼応して前向きな対日政策を駆使するなら、韓日関係は「全面的改善」までは行かなくても最悪の局面からは抜け出す可能性があるとの分析だ」と報じている。

日本企業の資産売却を自制することがカギ

 韓国の保守系新聞であり、最も権威のある中央日報、朝鮮日報の論調はよく考えると非常に的を射たもののように思われる。

 安倍首相の首相辞任だけが日韓関係に大きな変革をもたらすことはないだろう。日本国内の文在寅政権に対する世論は非常に厳しい。したがって、今の日本の姿勢は安倍首相が変わってもそれだけで変化はないであろう。

 韓国大法院による日本企業の資産売却判決は「国際法違反」であり、そこに対するスタンスはポスト安倍政権でも変わらない。日本の首相交代によって、韓国国内で安倍政権のせいだとしてきたことが誤りで、これは日本の総意だということが分かるであろう。

 したがって、韓国の裁判所が日本企業の資産売却命令を出せば、日本は間違いなく報復措置を取り、日韓関係はさらに悪化し、修復が極めて困難な状況となりかねない。

 逆に言えば、韓国側が日本企業の資産の売却を行わなければ、日韓関係のムードを多少改善することは決して不可能ではない。

 慰安婦の問題についても、より客観的事実を確認しあうことだ。正義連のように解決を妨害してきた団体がスキャンダルまみれとなっているので、韓国政府に問題解決の意思があるのであれば、正義連を除外し妥協することは不可能ではない。

 戦略物資の輸出規制の強化については、実際には個別審査で多くのものが輸出されている現状がある。韓国政府も輸出に関わる審査体制を強化している。日韓両国政府で信頼関係が高まれば、よりスムーズな輸出体制ができる可能性はある。

 世界遺産の問題についても、お互いの信頼関係が高まれば妥協点を見出すことは不可能ではない。

 ただこのときに問題となるのは「どちらが最初の歩み寄りを見せるか」である。韓国政府にとって、日本企業の資産の現金化を阻止することは、「司法の判断を尊重する」と言ってきた原則を捨てることになる。そのためには日本が輸出規制の問題などで譲歩してくることを求めるかもしれない。しかし、戦略物資が北朝鮮などに流れることは日本として容認しがたく、韓国政府が信頼できるかどうかの問題でもある。日韓の対話がどうなるかであり、日本が一方的に譲歩することはできないだろう。

 そこでカギとなるのが、日韓の首脳の関係である。安倍・文在寅間ではこの信頼関係が絶望的に欠けていた。

 この点に関して重要なのは首脳間の対話である。ポスト安倍政権では安倍首相時代に途絶えていた首脳会談が再開されるかもしれない。日韓首脳会談が出発点となって雰囲気が改善し、双方の非難合戦が収まれば、徴用工や慰安婦問題以外で多少の改善がみられるかも知れない。

文在寅政権で全面的な関係改善は困難

 文政権は、徴用工の問題で「個人の請求権は消滅していない」というこれまでの立場を変えることはないであろう。したがって資産の現金化を行わないというのは一時の対症療法に過ぎない。

 また、文在寅大統領は日本に対し、歴史問題では「謙虚な姿勢が必要だ」としてきた。これは「正義は韓国にあるので、日本は過ちを認めろ」ということである。こうした立場をとり続ける限り妥協はない。日韓関係を改善しようとすれば、こうした立場の主張を自制することが不可欠だ。どこまで自制できるかによって、日韓関係は変わってこよう。

 いずれにせよ日韓関係を全面的に改善するのは今の文在寅政権では不可能である。文在寅政権にできることと言えば、いくばくかの関係改善を図り、なんとか政権末までつないでいくことだ。本格的な関係改善は、次期政権に委ねられることになるだろう。

「知日派」李洛淵氏の与党代表就任は日韓関係改善を助けるか

 そこで改めて、「次期大統領候補」の一人となった李洛淵氏に注目してみよう。

 8月29日に行われた、共に民主党の代表選挙で李洛淵氏が60%の票を得て当選した。同代表に選出されたことは次の大統領選挙の候補となるため一歩前進である。

 李氏は1989年から93年まで東亜日報の特派員として東京に勤務し、2008年から12年まで韓日議員連盟の副会長・幹事長として日韓関係に携わってきた。日本語に堪能でもある。文政権で国務総理に就任するまでは、日韓関係に尽力した故金大中大統領の腹心であり、金氏の故郷全羅南道知事を務めていた。

 知日派のいない文政権にあってこのような人が与党の代表に就任することで、日本では日韓関係に好ましい影響が出ることを期待する向きが多い。

 李氏かかつて在籍した東亜日報は、今回の李氏の党代表選の勝利を受けて、「日本で韓日関係に期待感が出ている」、「2022年の大統領選挙に向けて党内の支持を固める基盤をつかんだ」と報じている。李氏は手堅い仕事をすることで知られているが発言は慎重である。李氏は文政権の与党の中では非主流派であり、主流派を押しのけて大統領候補になるためには主流派の意向を無視できない。

 さらに、韓国の世論調査では、与党の大統領候補として李在明(イ・ジェミョン)京畿道知事がリードしている。今回の選挙に李在明氏が出ていなかったため李洛淵氏が代表に選ばれたが、大統領候補になるには李在明氏と争わなければならない。

 李在明氏は韓国のトランプと言われ、規格外の発言をする人である。対日観については2016年に自身のフェイスブックに「日本は敵性国家だ。軍事大国化した場合、最初の攻撃対象となるのは韓半島」と投稿、GSOMIA(韓日軍事情報包括保護協定)に反対した人である。

 それを考えると、それでなくとも「知日派」とみられがちな李洛淵氏は、日韓関係には慎重にならざるを得ない。大統領になった後であればいざ知らず、与党代表として日韓関係の推進役になるのは困難である。

 日韓関係の改善は、ひとえに文在寅大統領の決意如何にかかっている。日韓関係をここまで悪い状態に陥れた文大統領が完全に舵を切らなければ何も変わらない。安倍首相の辞任が、舵を切りやすくなる環境づくりに働くのであれば、日韓関係に多少の光明はみえてくるかもしれない。

 活動家出身の文在寅大統領の理念は、資本家を敵対視する労働者階級主義、すなわちマルクス主義に通じるものがあるように思います。それが親北を標榜し、袖にされ続けても北朝鮮、つまり共産主義国を擁護する姿勢を貫いていることからも覗えます。

 ですから基本的に日米には親近感を持ちません。特に日本にはかつて主権を奪った併合時代の怨念から、特別な感情を抱いているようです。今迄は安全保障は米国、経済は中国と天秤にかけてきた外交から、次第に両方とも中国へシフトして行きたいと思っているのでしょう。

 もうこれまで何度も述べてきましたから、ここで再び私見は述べませんが、次の総理に期待することは「甘い対応だけは絶対にしないで欲しい」、ただそれだけです。それが国益を守り、日本国民の世論にこたえることになると思います。

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