日系企業1700社が中国から移転へ 日本政府の支援策受け
米中の対立の狭間で日本の立ち位置、とりわけ対中姿勢の取り方が菅政権の大きな外交課題になっています。もちろん日米同盟下にある強固な米国との関係からは、中国とはつかず離れずという姿勢を取らざるを得ないでしょう。
ただ香港問題やウイグル・モンゴル問題、それに最近の台湾への中国の強硬な態度など、アメリカが中国に特に関心を寄せている問題に対し、アメリカから何らかのシグナルがあれば、無視できないのも事実です。
産経新聞など保守的な新聞では、「習近平国家主席の国賓来日を白紙撤回せよ」、というように、中国に強く出ることを望んでいます。民主主義国家としては、度重なる中国の人権無視の政策は無視できないでしょうし、私もそう思います。
しかし同時に経済に目を向ければ、1万社を超す中国への進出企業や、その他の中国との交易を主としている企業はあり、おいそれと敵対するわけにはいかな事情があります。従って時間はかかるにしても、半ば人質となっているその企業を、可能な限り撤退させるしかありません。
実は「週刊ポストセブン」が報じる記事で、そのスタートが切られたことが分かりました。タイトルは『日系企業1700社が中国から移転へ 日本政府の支援策受け』(9/27)で以下に引用します。
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今年7月末現在、中国からの移転を決めた日系企業が約1700社に達していたことが明らかになった。米国政府系報道機関「ラジオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。
新型コロナウイルスの大流行によって、中国内の日本企業などでの生産が滞り、日本に物品が届かなくなる“サプライチェーン(流通網)の寸断”が発生。これを受けて、日本政府は今年4月、中国進出日系企業のなかで、中国からの移転を決めた企業に補助金を出すことを決め、移転補助金の申請を受け付けていた。
申請は2期に分けて行われており、6月末までの第1期期間中に移転補助金を申請した企業は87社で、政府は総額574億円を承認している。
第2期分の締め切りは7月末で、合計1670社から申請が出され、総額では165億7000万ドル(約1兆8000億円)に達した。日本政府は当初、約2400億円の予算を計上していたが、今後、予算を増額するとみられる。
中国メディアは日本政府のサプライチェーン強化策について、「日本企業が中国から離れるのは短期的には現実的ではない」と伝えていた。しかし、一方で山東大学金融学部の司令本教授は、「新型コロナウイルスの流行で、日本企業は中国にサプライチェーンを集中するのはデメリットが多いと同時に、中国における人件費の上昇や貿易障壁など多くの不確実性があることに改めて気が付き、その結果、中国離れが加速していったのではないか」と指摘している。
帝国データバンクによると、中国に進出している日本企業は約1万3600社だが、今回の中国からの移転を決めた企業は1757社で、中国進出企業全体の約13%となる。
また、日本貿易振興機構(JETRO)が2019年に実施した日本企業の調査では、中国での製造コストは日本を100とすると80だが、ベトナムは74、カンボジア65、ミャンマーは60となっており、中国の製造コスト高は否めない。
これについて、RFAは専門家の話として、中国ではこの10年間で、人件費が大幅に上昇するなど、日系企業は中国での投資コスト高で苦しんでおり、このような状況下で年初から中国で新型コロナウイルスが大流行し、日本政府が中国からの移転を促進する政策を打ち出したことで、「渡りに船」とばかりに中国からの移転を決めた日系企業が多くなってきたのではないか、と報じている。
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記事によると移転を決めた企業はまだ全体の13%だそうですが、今後ともこの政策は強化してもらって、少なくとも過半の企業が移転することを望みます。第2期分までで、予算をはるかに超える補助金申請となっていることからも、予想以上に移転を望む企業が多いと言うことでしょう。
コロナ対策で数百兆の予定外の出費をしていることからも、コロナの発生源国から早く撤退することが望まれます。そして人権だけではなく、外国企業への不当な扱いなど、世界でもリスクの最も高い国からは早く退散したほうがいいでしょう
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