韓国大法院最悪の“黒い歴史”となった徴用工裁判と推進した文政権
韓国の李栄薫ソウル大元教授が執筆した『反日種族主義』、その第2弾である『反日種族主義との闘争』が、今月19日、日本でも発売されました。私も前作に続いて購入しました。まだ手元には届いていませんが。
ご存じのように李栄薫氏は韓国における様々な歴史の捏造を取り上げ、多くの資料を基にそれを覆す記述をされています。韓国内での度重なる誹謗中傷にも挫けず、真実を語ろうというその気概には頭が下がる思いです。日本で韓国の捏造された歴史観をそのまま鵜呑みにしている、左派の識者や政治家に是非講読してもらいたいものです。
その『反日種族主義との闘争』の記述をテーマにしたコラムを、産経新聞社編集委員の久保田るり子氏が寄稿していますので以下に引用します。タイトルは『「反日種族主義との闘争」が喝破した文政権の本質』(9/19)です。
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日韓両国でベストセラーとなった『反日種族主義』の第2弾、『反日種族主義との闘争』(以下『闘争』)日本語版が今週、発売になった。反日史観を徹底批判した前著は、韓国で反日勢力から罵倒の集中砲火を浴び、反論書は8冊も出た。この反論への再反論が第2弾だ。慰安婦が強制連行による「性奴隷」であったとの説や、いわゆる徴用工訴訟で日本企業に賠償を命じた韓国大法院(最高裁)判決などに対する、編著者の李栄薫(イ・ヨンフン)氏ら執筆陣の批判はさらに研ぎ澄まされたものになった。中国に傾斜する文在寅(ムン・ジェイン)政権の外交政策や反日教育への糾弾も盛り込まれ、左派政権批判の政治色を鮮明にした。
反日教育が教え込む「残忍な心性」
韓国の首都ソウル市では2年前から小学5、6年生への慰安婦歴史教育を始めたという。そこには「朝から晩まで絶え間ない性暴力」といった表現がある。左派教組「全国教職員労働組合」(全教組)の働きかけなどによるものだ。
これを李栄薫氏は『闘争』でこう批判する。
「子供たちに限りなく残忍な心性を教え込んでいる」「日本との友好は永遠にできないという憎悪を植え付けるため、このような教育をしている」
全教組の教師たちは日本大使館前の慰安婦集会に小学生を動員したこともあったといい、『闘争』では「うそと敵愾心と恐怖心」が子供たちの未来に落とす影と、その高い代償を懸念した。
文政権のルーツは毛沢東主義
文在寅政権の政治の本質についても指摘した。
文政権は新型コロナウイルス対策で支持率を上げたが、そのコロナ対策は政権の極端な親中傾斜を象徴したものだった。文政権は中国からの渡航の全面禁止を見合わせ、文大統領は習近平国家主席に慰労の電話をかけて「中国とわれわれは運命共同体だ」「中国の痛みは、そのままわれわれの痛みだ」とも述べている。
李氏は「文大統領は韓国の未来を“中国の夢”の一環として設定しており、その点を機会あるごとにあらわにしている」と指摘。「彼が固執する理念の政治は韓国の自由民主主義が立脚する共和の枠を超えている」「受け入れることはできない」と述べた。
朝鮮半島には、歴史的に中国に臣下の礼をとる「冊封体制」下にあった文化的遺伝子がある。だが『闘争』では、文政権の親中傾向は、1980年代の「民主化勢力」が広めた毛沢東主義にこそルーツがある-と喝破。「文政権とその支持勢力はヤヌス(古代ローマの双面神)の2つの顔を持っている。いや、すべての韓国人の顔がそうかもしれない。ひとつは中国に向け両手を広げて笑う親中事大主義者の顔。他の顔は、日本に向け、腕を組んで顔をしかめる反日種族主義の顔」だとして、文政権と反日に染まる韓国社会の核心に迫った。
徴用工問題への鋭い切り込み
『闘争』で力点が置かれたのが、目下、日韓間で最大の外交争点となっている徴用工問題への歴史家としての分析だ。「徴用工とは一体、誰のことなのか」を史実に即して明確化。2018年10月の大法院による日本企業への賠償判決の内容や、それに対する文政権の立場について徹底的な批判を行った。
同判決では、元徴用工を名乗る韓国人の原告4人が「反人道的な不法行為」で強制労働させられたと認定し、被告の日本製鉄(旧新日鉄住金)に対し1人当たり1億ウォン(約900万円)の賠償を命じた。
日本では、この4人が徴用ではなく、募集に応募した募集工だった事実が、彼ら自身が日本で起こした訴訟記録などから広く知られている。にもかかわらず、彼らは韓国では「強制労働させられた」と主張しており、韓国の裁判では奴隷労働を強いられたことになっている。
『闘争』の論証は、4人の出自から綿密に検証し、彼らが自らの募集に応じた労働者だったことを立証。4人に対して「日本企業による反人道的な不法行為」があったとする判決は全く成立しないことを示した。大法院が4人の労務実態をろくに調べず、「強制動員」の被害者だったと判定したことも暴露された。
判決が大前提としたのは、「日本の植民地支配は不法」なものであったとする主張だ。しかし『闘争』では、韓国併合や日韓国交正常化の史実の検証から「半世紀後に一国の司法が相手国に賠償を命じることなどあり得ない」と断じ、判決の国際法上の不当性を突きつけた。
また、判決が固執した日本に対する「個人請求権」は1965年の日韓請求権協定によってすでに消滅していることは国際法上、明白であるとした。このため『闘争』は、判決を、根拠や前提、国際法の観点などから不備だらけの、「触れただけでも崩れてしまう“きびがらの家”と同じ」であると総括。「判決は韓国大法院のぬぐい切れない“黒い歴史”となった。大法院の判事たちは恥をしらなければならない」と痛烈に批判した。
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さらに産経新聞は、ソウル支局の名村隆寛特派員が、李栄薫教授にインタビューした記事を掲載しています。タイトルは『「韓国が国民情緒に支配されている間は希望がない」「反日種族主義」の李栄薫氏単独インタビュー』(9/17)で以下に引用します。
日本の朝鮮半島統治時代についての学術書で、昨年、日韓でベストセラーになった『反日種族主義』の編著者、李栄薫(イ・ヨンフン)ソウル大元教授が17日までに産経新聞のインタビューに応じ、日本絡みの歴史認識をめぐる韓国国内の現状などについて語った。同書の出版以降、韓国国内で猛批判を受けてきた李氏ら著者は今年5月、続編である『反日種族主義との闘争』を出版。批判を検証、具体的に反論した同書は17日、日本でも邦訳版(文藝春秋社)が販売された。以下はインタビューの一問一答。(ソウル 名村隆寛)
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『反日種族主義』の韓国での発刊から1年2カ月が経った。韓国社会にどれほど影響があったのか
「韓国ではこれまで11万部が販売された。批判は予想通りあったが、われわれの研究への評価や共感も少なくない。『韓国人は非合理的だ』『日本との外交が感情的だ』『歴史を事実に基づかず歪曲(わいきょく)している』などの反響があった。反対派に比べ多数ではないが、大きな成果があったと感じている」
著書への批判が熾烈(しれつ)だったと聞いている。執筆者らは市民団体や韓国メディアからの猛烈な非難を現在も浴び続け大変なようだが。メディアや出版界などへの影響は
「苦労というよりも波乱に富んだ日々だった。テレビ局の記者が日曜日に私の自宅にやってきて強引に取材をしようとしたり、市民団体やネットメディアが他の執筆者の家など、個人情報を暴露するといった露骨な嫌がらせもあった。警察に出頭して事情聴取も受けた。告訴もされた。『反日種族主義』への反論本は9月上旬までで、すでに計8冊出版されている。だが、出版界での左派による一方的な支配は過ぎ去ったのではないか。『反日種族主義』を世に出した成果の一つではないかと思う」
反論本の著者ら反対論者との公開討論はしないのか
「正々堂々と討論すべきだ。批判本が出るたびに討論を試みた。すでに何度も公開討論を要求してきたが、討論には応じられていない。こちらの著者はわずか6人。相手側は(同調者を含む)数百人という少数対圧倒的多数にもかかわらずだ。批判勢力は自分たちだけで集まって討論している」
その反論への「反論」として、韓国で今年5月に続編ともいえる『反日種族主義との闘争』が出版された。日本でも今月発売された
「さまざまな反論が出たことに対し、『このまま黙ってはいられない』と思った。他の執筆陣も同様だ。一つひとつ事実や記録資料に基づき、具体的に反証、反論をした」
文在寅(ムン・ジェイン)政権や韓国政府からの反応は。前法相のチョ・グク氏は昨年、「吐き気がしそうな本だ」と酷評したが
「大統領府からの反応は特にない。圧力も受けていない」
与党「共に民主党」の議員ら左派系は「国を売り渡した。売国行為」などと批判しているが、保守サイドからの反応はどうか。
「残念ながら、保守系野党からの目立った反応はない。与党が大勝した4月の総選挙では保守系の候補が『親日派だ!』と猛批判を受けた末に落選した。保守系野党は政権与党を批判しても、問題が日本になると沈黙してしまう。個人的に会えば敬意を表してくれても、公開の場では国民の反日感情を考慮し、選挙で落選することを恐れて何も言わない。韓国政界での限界、野党の最も大きな限界だ」
第1弾はベストセラーになったが、韓国の歴史研究家や韓日関係の専門家には必ずしも肯定的には見ていない者もいる。感情的な拒否感もある。これをどう変えていくのか。韓国は今後、どう変わっていくか
「今の韓国には韓日関係や日本の専門家なんていないも同然だ。いるとしても、(真実を)分かっていても、言うべきことを言おうとはしない。国民情緒に支配されている間は希望がない。ただ、『反日種族主義』を読み、われわれに同感し支持している国民も少なくない。保守系メディアの中にはわれわれの主張を肯定的にとらえる論調も出てきている。韓国は現在、岐路に立っている」
第2弾の『反日種族主義との闘争』では、いわゆる徴用工問題をめぐり日本企業に賠償を命じた韓国最高裁の判決(2018年)を特に強く批判しているが
「判決文を読み、原告(4人)の主張の相当部分が嘘であると判断した。10年ほど前に原告と似たような主張をする人々に会い、嘘を感じ取った。前作では韓国最高裁判事に『虚偽の可能性が高い主張を検証しない裁判が有効なのか』と問うた。今回、原告の証言や経歴を検証し、彼らが主張する『給料をもらったことがない』『日本企業にだまされた』のではなく、『企業の募集広告に応募し、賃金を受け取っていた』ことが判明した」
韓国最高裁判決に対し日本政府は「請求権問題の『完全かつ最終的』な解決を定めた日韓請求権協定に明らかに反している」との立場だ
「その通りだ。原告が未払い賃金の支払いを求めるのなら、最初から請求権協定に従い、自分たちの国(韓国)を提訴すべきだった。(1990年代以降に)日本を相手取った日本での訴訟がそもそも、韓国の名誉をおとしめた。『反日種族主義との闘争』では、韓国最高裁の判決を『拭えない黒い歴史』と表現している。裁判官にはぜひ読んでほしい」
執筆者(李栄薫氏ら)は元慰安婦や元徴用工の遺族らから名誉毀損(きそん)罪で刑事告訴された。対日歴史認識をめぐり、韓国ではこれまで、『親日派のための弁明』の著者である金完燮(キム・ワンソプ)氏の敗訴が確定し、『帝国の慰安婦』の著者、朴裕河(パク・ユハ)氏も2審で敗訴している。韓国の裁判はポピュリズムで左右される。不利なのでは
「その通りだ。裁判の行方は分からないが、準備はしており覚悟はできている。韓国の裁判は法の原理や精神に従ってというよりも、政治的な視点の上に成り立っている面がある。状況は流動的だ」
『反日種族主義』の出版のために、かえって韓国大統領府がかたくなになり、日韓関係に否定的な影響を与えたとの意見もあるが
「それはない。むしろ逆だ。徴用工問題での日本企業の資産売却や、韓日の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄の可能性は高まった。だが、いずれも現時点では実現していない。われわれの著書が韓日関係悪化に火をつけたというよりも、韓国側での対日強硬姿勢は弱化したといえる」
韓国では「韓日関係が悪いのは安倍(晋三前首相)のせいだ」という主張が多い。これをどう見るか
「安倍氏に対する誤解だ。朴槿恵(パク・クネ)政権当時、朴氏は海外で安倍氏に批判的な反応を示した。慰安婦問題をめぐって日本がそれまで、何度も謝罪し、(日本政府主導で創設された)アジア女性基金からも元慰安婦の女性らにカネ(償い金)が支給された。それなのに、慰安婦問題をめぐり日本に要求を続けた。15年には日本と政府間合意をし、日本から10億円を受け取り、元慰安婦のための財団を作り彼女らにカネを支給した。だが、文在寅政権は財団を解散させた。国同士が約束をしていながら、これを一方的に破棄することは日本としては当然、受け入れられないことだろう。金を受け取っていながら、これを繰り返している。韓国のよからぬ政治、メディアの宣伝のせいだ。あってはならないことだ」
元慰安婦の支援団体「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯」(正義連・旧韓国挺身隊問題対策協議会=挺対協)による不正疑惑で、正義連の前理事長で与党「共に民主党」の尹美香(ユン・ミヒャン)国会議員が横領や詐欺などの罪で在宅起訴された
「正義連は元慰安婦の女性を利用した左派の運動団体に過ぎない。元慰安婦の声を代弁し、国民を代表しているかのように振舞ってきた。そして韓国政府を動かし、日本への謝罪と賠償の要求を続けるという現状を作った。独島(トクト=竹島の韓国での呼称)の領有権問題にも言えることだが、韓国は自ら問題に火をつけ煽って騒いでいる。軽はずみな行いだ。問題に一喜一憂せず、長い流れの中で歴史を見つめるべきだ」
李栄薫氏の見解はまさに日本の保守論壇の言う、韓国に対する見解とほぼ同じです。そしてその見解の背景にはしっかりとした史実の研究、資料の下支えがあり、氏の見解の反対論者が氏と討論をしたがらない理由は、おそらくここにあるのだと思います。つまり反対論者側は彼らの主張に見合う証拠を何も持っていないからでしょう。
李栄薫氏は、彼らの研究や出版に関し、韓国政府からの大きな圧力はないと言っていますし、日本政府もこの著書をもとに過度に介入するのは好ましくはありませんが、少なくとも多くのマスコミがそれを取り上げるべきだし、識者も特に韓国に肩入れしている人は講読すべきでしょう。
間違ってはいけないのは、韓国には李栄薫氏や彼と同じような人はいるにしても、圧倒的多数の人は、韓国の教育や報道により、韓国の捏造した歴史観に染まり切っていると言うこと。そしてその最も反日的捏造歴史観を持ち、それをもとに政策を組み立てている文在寅大統領が、今政権の座についていることでしょう。
菅政権はその事をしっかり踏まえて、対韓政策を進めなければなりません。そしてこれまでの謝罪外交とはきっぱりと縁を切り、韓国側が捏造した歴史をもって日本との外交を進めようとしたら、徹底的にそれを論破し、決して妥協しないことを望みます。その姿勢を日韓外交の基本に置くべき時期が来ていると、強く思います。
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