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2021年6月 1日 (火)

官僚の不作為が生んだ「ワクチン敗戦」の日本

Photo_20210601112301  私はこのブログで、政府、中でも官僚たちの不作為、特に責任逃れがその要因と思われるそうした態度を強く指摘してきました。外務省の事なかれ主義による、中共や南北朝鮮の干渉や誹謗中傷にほとんど手を打たずに、いわれっぱなし、やられっぱなしの状況は目に余るものがありました。

 それと同様、新型コロナウィルスの感染症への対応やワクチンの開発、接種においても、厚生労働省をはじめ政府、官僚の不作為は顕在化しています。

 本日の読売新聞のコラム「政治の現場」にその実態が詳述されていますので、以下に引用します。タイトルは『「ワクチン敗戦」の日本、開発強化求め続けた教授の問いに官僚はうつむくだけ』です。

 政府の健康・医療戦略推進本部に、官僚や製薬業界、大学関係者ら産官学で作る「医薬品開発協議会」という会議がある。新型コロナウイルス感染拡大を受け、今春からワクチンの実用化を推進する方策を検討してきた。

 4月16日、東京・霞が関で開かれた会合。長机に感染予防のアクリル板が並ぶ会議室で、参考人として出席した東京大学医科学研究所教授(ワクチン科学)の石井健は、こう問いかけた。

 「日本のワクチン開発は周回遅れだ。10年おきに同じ議論を繰り返す反省を、どう今後に生かすのか」

 石井の問いに、厚生労働省の官僚など、参加者は黙ってうつむくだけだった。

 政府は、これまでも国産ワクチン開発の提言を繰り返し受けてきた。2010年6月には「新型インフルエンザ対策総括会議」が、国家の安全保障の観点から、ワクチン製造業者への支援や開発の推進、生産体制の強化などを求めていた。

 結びは、こんな一節だ。

 「発生前の段階からの準備、とりわけ人員体制や予算の充実なくして、抜本的な改善は実現不可能だ。今回こそ、体制強化の実現を強く要望する」

 こうした提言は、この間、顧みられてこなかった。

 新型コロナの国産ワクチン開発で、日本は米英中露などに大きく後れを取る。日本国内で塩野義製薬や第一三共などが開発を進めるが、年内供給の見通しは立たない。「ワクチン敗戦」。そんな言葉もささやかれる。

 1980年代まで、日本は世界に先駆けて水痘や百日ぜきなどに取り組むワクチン先進国だった。だが、効果より副反応の問題が目立ち始め、状況は変化した。

 92年、予防接種の副反応をめぐる訴訟で国が賠償責任を問われると、94年の予防接種法改正で接種が国民の「義務」から「努力義務」へと変わった。国主導から個人の判断に委ねる形になり、接種率も下がっていく。国も製薬会社もワクチン開発に及び腰となり、研究開発の基盤は弱まっていった。

 確かに、開発は一筋縄ではいかない。有効性や安全性を確認するため、必要な臨床試験は3段階ある。最大のハードルは、大規模な試験が必要とされる最終段階の第3相だ。日本では医薬品医療機器法で、後発品でも国内で大規模な臨床試験が求められ、一般的な医薬品でも3~7年かかるのが普通だ。

 だが、時の政権与党や厚労省は、ワクチン接種に慎重な日本人の国民性を強調するあまり、「国産ワクチンが出来ても、世界に先駆け日本が承認するのは難しい」「海外で使用後の方が、安全性を見極められる」と開発に後ろ向きだった。

 まさに、政官の不作為が露呈したと言える。

 ここに来て、与党からは、国産ワクチン開発に向け政府への提言が相次ぐ。5月18日、自民党政調会長の下村博文らが「平時とは異なる新たな薬事承認のあり方」の検討などを訴えた。公明党も4月28日、最終段階の治験を政府主導で進めることなどを求めた。ただ、過去の提言を生かし切れなかった反省の声は、あまり聞こえてこない。

 米国では、通常数年かかるワクチン実用化を、わずか1年で実現させた。

 「ウイルスを打ち負かし、何百万人もの命を救う」

 昨年12月、米ワシントンのホワイトハウスで、トランプ大統領(当時)はワクチン開発期間を大幅短縮させたことを自負した。「ワープ・スピード(超高速)作戦」と称した取り組みだ。

 米国ではバイオテロなどを想定し、国防総省などが、平時から民間企業への開発資金援助を続けてきた。米メディアによると、さらに今回、米政府は開発支援に180億ドル(約2兆円)を投じたほか、承認直後にワクチンを供給できるよう、製薬会社は最終治験と並行してワクチン製造も行った。

 米政府は緊急時、未承認の医薬品やワクチンの使用を認める制度「緊急使用許可」(EUA)も活用した。リスクより利益が上回ると判断すれば、通常の手続きを省略する仕組みだった。

 医薬品開発協議会は5月25日、研究開発拠点の整備や、資金の効率的配分など、国産ワクチン開発に向けた提言をまとめた。提言を受ける際、科学技術相の井上信治は力を込めた。

 「『この機会を逃したら次はない』という気持ちで、実行する覚悟だ」

 東大の石井は、政府がワクチン開発を危機管理と位置づけ、今度こそ本腰で取り組むべきだと訴える。「日本の技術は劣っていない。安全保障の観点で平時に産業を支援し、有事に一気に対応する必要がある」

 政治家や官僚が「感染症は有事」との意識を本当に持てるかどうかが、問われている。

 ◇

 確かにかつて医療先進国と言われた日本が、ワクチン開発でこんなに後れをとっているのは、強く感じるところでした。今法律事務所を賑わせている過去の厚生省の肝ウィルスの注射器使い回し放置や、その他の薬害訴訟に翻弄されたいきさつもあるかもしれませんが、とにかく、何かにつけて腰の引けるこういった省庁の姿勢が、日本を弱体化させているように思います。

 ワクチン開発だけではなく、その接種への対応も、また感染拡大に対する対応も、すべて後手々々のような感じです。緊急事態だといっても私権制限は中途半端だし、それも国民の批判を恐れるあまりの責任逃れとも言えるでしょう。デジタル化の遅れも一因だと思いますが、それも個人情報を慮り過ぎて腰が引けた結果かも知れません。

 とにかく何かにつけて批判する人たちは一定数います。それにマスコミも加担して騒ぐ傾向が強い日本です。そうした声に惑わされず、強くしかも合理的に政策を推し進める政府官僚の姿を取り戻してほしい。サイレントマジョリティは陰で支持しているはずです。そうしなければこの先も弱体化は止まらないでしょう。

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