文氏訪日断念 優先課題で日本と埋められぬ隔たり
東京五輪が近づいてきました。このイベントに乗じて韓国の文大統領が来日する予定でしたが、キャンセルになりました。もともと五輪にかこつけて、日韓の関係改善を図ろうという魂胆があったようですが、残念と言うより朗報ですが、結局来られなくなったようです。その辺の事情を産経新聞より引用します。タイトルは『文氏訪日断念 優先課題で日本と埋められぬ隔たり』(7/19)です。
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【ソウル=桜井紀雄】韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が東京五輪の開幕直前になって訪日を取りやめた背景には、埋めがたい日本との認識の隔たりがあった。菅義偉首相と対面で初会談する機会を逸したことで、来年5月までの文氏の任期内に日韓関係を修復するのはますます難しくなったといえそうだ。
文氏は当初、五輪に合わせた訪日に強い意欲を示していた。北朝鮮との対話が途絶える中、対話再開のチャンスととらえていたからだ。3月の演説でも「東京五輪は南北や米朝の対話の機会になる」と強調した。
だが、北朝鮮は4月に五輪不参加を表明。訪日に向けた文氏の熱意はそがれたとみられたが、文氏の訪日を前提にした日韓両政府の調整は続けられてきた。文氏は1965年の国交正常化以来、最悪といわれた日韓関係を放置したまま、任期を終えるわけにはいかないと考えたようだ。
ただ、今回の文氏訪日と日韓首脳会談に懸ける思いは、日韓で当初から食い違っていた。菅首相は「外交上、丁寧に対応するのは当然」と述べつつも、日本にとって文氏は来賓の首脳の1人という位置づけで、本格会談は難しい。
韓国メディアによると、韓国側はこれに対し対韓輸出管理厳格化の撤回など、目に見える「成果」を思い描いた。日本側はいわゆる徴用工訴訟で受け入れ可能な解決策を韓国側が示すのが先決だとの立場を貫き、折り合うことはなかった。
日本メディアが文氏の訪日を先行して報じることにも韓国高官は不信感を強めた。韓国外務省当局者は11日、日本側の報道に遺憾の意を示し、「協議を続けるのは難しい」と説明した。
そこに追い打ちをかけるように16日に在韓日本大使館の総括公使の不適切発言が浮上。文政権の外交を独りよがりと韓国人記者に話す際に性的な表現を使ったもので、韓国大統領府高官は19日、「土壇場で持ち上がった会談の障害について日本側から納得できる措置がない」と事実上、更迭を求めた。日韓で外交上の優先課題の違いは大きく、韓国政界でも「文政権下で韓日関係の修復は無理だ」との見方が強い。
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在韓日本大使館の総括公使の不適切発言については、韓国で大きく取り上げられ、日本でも、官房長官が遺憾の談話を出したりしました。韓国の報道の一部を、中央日報の記事から引用します。
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在韓日本大使館の相馬弘尚総括公使が文在寅(ムン・ジェイン)大統領に向かって不適切な発言をしたことがわかり韓日関係がさらに冷え込んでいる。東京五輪を契機に推進された文大統領の訪日にも否定的な世論が拡散している。
外交部の崔鍾建(チェ・ジョンゴン)第1次官は17日、相星孝一駐韓日本大使を外交部に呼び、相馬公使の発言に対し厳重に抗議した。JTBCは前日に相馬公使が昼食の席で取材陣に「日本政府は韓日問題に神経を使う余裕はない」「マスターベーションをしている」と発言したと報道した。日本大使館は報道直後に相星大使名義で「決して文大統領に対する発言ではなかった。外交官として極めて不適切で非常に残念」という立場を明らかにした。(掲載:ヤフーニュース)
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日本では加藤官房長官の「大変遺憾」発言があり、かつ当該公使は移動つまり事実上の更迭になるようですが、韓国で同様の立場の人が同様の発言をした場合はどうでしょうね。かつて伊藤博文を暗殺した犯人の安重根が歴史上の英雄になったように、まさかと思いますが賞賛の対象になるのではないでしょうか。
そもそも韓国では大統領候補の政治家でさえ、日本の聖火リレーの地図に殆ど点のような竹島が表記されているのを見て、次のように発言したと韓国の記者が伝えています。
日本が竹島表記の削除を拒めば、『東京五輪をボイコットすべき』と訴えたんです。忠清南道での懇親会では、さらに日本を手厳しい言葉で非難しています。『偏屈で恥知らずではないか』と。
文大統領自身もかつて日本を侮蔑する発言をしています。こういう日本や日本人を侮蔑する発言をしても、韓国メディアは批判どころかむしろ歓迎の姿勢を示すことが多い。それは韓国の世論と同様です。
確かに「マスターベーション」との発言はまずいでしょう。おそらく「大局を見ていなくて自己満足にすぎない」と言いたかったのだと思います。外交官としてはいささか資質を問われますが、私個人的にはこの発言、「まさにその通りだ」と理解できますね。
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