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2021年8月 2日 (月)

エネルギー議論 脱炭素で語られぬ「リスク」

Img_8e3bf2c56965917af3d063567eb29a0b8774  今回は東京オリンピックや新型コロナウイルスを離れて、日本のエネルギーの未来への課題に目を向けてみます。世界的に脱炭素の動きが加速していますが、そこに生じる「リスク」についてはあまり語られていません。

そこでその点に視点を当てた記事を読売新聞に見つけました。国際環境経済研究所理事の竹内純子氏のコラムで、タイトルは『脱炭素 語られぬ「リスク」』(8/1)がそれで、以下に引用します。

 ◇

 暑い日が続く。エアコンなしではとても過ごせない。そのエアコンを動かす電気の不足が心配される。古い火力発電所を止めたためらしい。

 火力は、脱炭素社会に向けて「悪玉」扱いされる。政府は太陽光など再生可能エネルギーを増やして穴を埋める算段だが、天候次第で発電量が大きく変動する再生エネに、どこまで頼れるのか。

 東京電力を退社し、独立した立場でエネルギー政策を説く竹内純子さんに聞くと、日本の環境・エネルギー政策の様々な課題が見えてきた。

(調査研究本部 林田晃雄)

原子力の技術を手放すのか。議論できない現状は健全ではない

 エネルギーは、「生活の血液」です。特に電気が止まると、交通も通信も止まります。まさにインフラの中のインフラなのです。

 私は、その電気の供給を担う東京電力で働き、エネルギーの現場で得難い経験をしました。停電がどれほど社会にダメージを与えるのか、電気代の上昇がいかに生活弱者に厳しいことなのか、身をもって感じました。電気は究極の生活必需品なので、停電すると電力会社に電話が殺到します。電気代が月500円上がったのがとてもつらいと言われる方もいました。

 エアコンの利いた快適な会議室で、しかも口座から引き落とされる自宅の電気代がいくらなのか意識していないような人たちだけでエネルギー政策を議論していては、見落とすことがあるのではないでしょうか。地球温暖化もそうです。気候変動問題の国際交渉では、みな口角泡を飛ばして、二酸化炭素(CO2)削減を議論します。でも、会議場の一歩外では、すごく貧しい暮らしをする人たちがいたりする。中と外の状況の 乖離かいり があまりに大きいようでは、政策の方向性は正しくても、続かないのではないか。こうした視点を与えてくれたのは、エネルギーの現場での経験でした。

 福島第一原子力発電所の事故では、原子力を使うリスクを思い知らされました。その後、原子力については否定的なことしか言えなくなり、まともな議論すらできなくなりました。でも、この技術を手放す場合のリスクもあります。太陽光や風力にもデメリットはある。新たなエネルギーシステムへの移行には長い時間がかかりますから、その間に日本人が直面するリスクをどうやって最小化するか考えるべきです。現実的で具体的な議論ができない現状は、健全ではないと思います。

 退職から約10年たちますが、東電出身だからいわゆる「原子力ムラ」の人だと言われることもあります。福島で事故を起こす前から、東電では原子力に関するトラブルについて、違う部門の社員がおわびに回ることを繰り返してきました。エネルギー政策上の必要性は理解していても、感情的には反発もあり、電力会社の社員すべてが、「原子力ムラ」かと言われれば違うと思います。

 とはいえ、原子力に対して持っていたわだかまりは、福島の事故によって吹き飛ばされました。東京電力では10年以上尾瀬の自然保護活動を担当しました。福島にも友人・知人が大勢いて、今でもどうしようもなく申し訳ない気持ちを抱えています。

 ただ、退職したのは、そのつらさのせいだけではなく、独立した立場でエネルギー政策を考えてみたかったからです。日本がエネルギー政策を誤れば、取り返しがつきません。太平洋戦争もエネルギー確保の途(みち)を絶たれたことが大きな発端でした。

 今後、原子力発電を利用するかどうかにかかわらず、今ある原発を安全に廃炉するにも技術と人材が必要です。設備を動かし続けて日々の小さなトラブルや予兆を検知し、適切に対処していくことで技術は向上していきます。福島の事故の後、政治が原子力から距離を取り、10年間も放置してしまった弊害は大きいと思います。

 リスクは、議論の多様性をなくしたところに生じるものです。だからこそ、独立した立場から考えたかったのです。「無給」というゼロからのスタートでした。

 研究を続けるうち、自ら新たなエネルギー産業の創出に関わりたい気持ちが強まり、2018年に会社を起こしました。私たちの会社「U3イノベーションズ」は、エネルギー産業と他の産業を融合させ、より良い社会システムを創造することを目指しています。

 我が社の幹部らがスタートアップ(新興企業)の一員となり、資金調達や事業戦略の策定、顧客開拓などを支援しています。対象は、再生エネの弱点を克服して国民にメリットのあるエネルギー源にするという志を持つスタートアップなどです。エネルギー転換にとどまらず、社会インフラ全体で新たな価値を創出したいと思います。

技術革新と産業構造の転換。「食べていける日本」も重要です

 日本は2050年までに温室効果ガスの排出量を「実質ゼロ」にする目標を掲げました。脱炭素社会への転換を政策の柱に据え、そのビジョンを世界と共有したことには大きな意義があります。ただ、30年後というのは一般的には遠い未来ですが、エネルギーインフラを転換するための十分な時間とは言えません。まして30年までにできることは相当限られます。

 日本人は一度掲げた目標は必達だと考えがちですが、欧米の人は、「ターゲット」と「ゴール」を使い分けます。ターゲットはピンポイントで狙う的のイメージです。一方、サッカーでもそうですが、ゴールには相当な幅があります。今回は、30年度に温室効果ガスを「46%削減」する目標も、50年の「実質ゼロ」もゴールと捉えた方がいい。達成に向けて、挑戦と修正を繰り返す必要があります。

 菅首相は昨年の所信表明演説で温暖化対策について「産業構造や経済社会の変革をもたらし、大きな成長につながるという発想の転換が必要です」と述べました。確かにその通りですが、発想を変えたら実現するほど単純ではありません。技術革新と産業構造の転換が必要です。産業構造の転換で創出される雇用もありますが、失われる雇用もあります。エネルギーコストの上昇を含め、痛みや負担を国民と共有してこそ、政策は持続的に支持されるでしょう。

 政府は、脱炭素に向けて技術開発に力を入れるとしています。日本は再生エネ関連の特許も多く、技術開発では世界をリードしてきました。ただし、技術の普及に貢献できなければ、日本の成長にはつながりません。

 例えば、日本は石油危機後、太陽電池の開発に巨費を投じましたが、日本メーカーが太陽電池でトップシェア(占有率)だったのは2000年代だけです。いまは世界シェアの大半を中国メーカーが占めています。

 50年の「実質ゼロ」はとても重要です。同様に「食べていける日本」を遺(のこ)すことも重要です。

 「技術で世界をリードする」という言葉の響きはいいのですが、先端技術開発で特許数を伸ばすのと、技術を活用して製品シェアを高めるのは戦略が全く違います。政治家や官僚の語る戦略の解像度は、きわめて粗いと感じます。

 脱炭素社会への第一歩は、再生エネのコスト低減です。いま国民が負担する再生エネ応援のためのコストは年間約2・4兆円です。手厚い補助金を目当てに、建設に向かない急傾斜地を安く買って太陽光パネルを並べたような案件も多く見られました。これまでの再生エネ拡大政策は、健全な産業の育成という点では失敗だったと思います。立派な政策論を語っても、産業が健全に育たなければ「絵に描いた餅」に過ぎません。

 ◇

 竹内氏の仰っていることは重要だと思います。確かにCO2などの温室効果ガスの増大の影響で、地球温暖化が顕著になっていることを、最近の世界各地の豪雨などの状況を見て強く感じます。ですから化石燃料に頼らない産業・社会作りは重要でしょう。

 一方太陽光や風力発電のような再生エネルギーは安定性に欠け、高性能な蓄電器が大量に必要になることなどから、基幹エネルギーとしては課題が大きい。そこで原子力発電が一方の旗頭として考えられますが、野党や左派の学者や市民団体から、利用の議論そのものを押さえつけるような、イデオロギー的否定論が横行しています。これは国家の損失と言えるでしょう。

 最近私も停電の経験をしましたが、その不便さは語るに及びません。使用できるのはスマホやラジオだけ、夜ともなるとろうそくや懐中電灯を頼りに、ベッドに入って寝るだけです。もし数日にわたる停電だと、冷蔵庫の食品の腐敗や洗濯不可の問題、夏は冷房、冬は暖房が利用できず、料理もできませんし風呂も沸かせません。原始生活に戻ってしまいます。

 これだけ重要な電気エネルギーの議論が、再生エネルギーの議論一色になっているのは、今現在電力会社の努力で、何とか停電がおさえられているからであって、原子力発電を止め、化石燃料を減らしていけば、早晩停電地獄がやってくるでしょう。そうならないためにもより安全性を高めて、原子力を利用していくための議論を進める必要があると思います。プルサーマルの推進も含めて。

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