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2021年8月28日 (土)

奈良林直氏:太陽光発電の闇と小泉一族

___  福島第一原発の事故を境に、原発への風当たりが強くなり、脱原発の動きが活発化する中にわかに脚光を浴びてきた再生可能エネルギー。中でも時の民主党政権の強力な後押しもあって、太陽光発電用パネルが日本中で設置されるようになりました。

 今年7月経産省は、2030年時点での発電コストは原子力のコストよりも下がり、電源別で最も安くなるとの見通しを示しましたが、ただ、太陽光発電は天候による発電量の変動が大きく、実際にはバックアップのために火力発電を確保する必要がありますが、その費用は計算に含まれていません。

 そうした中、首相退陣後にわかに反原発を掲げ始めた小泉元首相。その小泉一族に関わる「太陽光マネー」について、月刊hanadaプラスに国基研理事で東京工業大特任教授の奈良林直氏が寄稿しました。タイトルは『太陽光発電の闇と小泉一族』(8/21)で、以下に引用して紹介します。

公職にある小泉進次郎環境大臣の主張が、自らの一族に「太陽光マネー」が転がり込む一因となっていたとすれば、利益相反にもなりかねない。その他、メディアが再エネを礼賛する裏で進む電力料金のさらなる値上げ、深刻な環境破壊など太陽光発電の深い闇を徹底追及する!

莫大な太陽光マネー

我が国の太陽光発電発電設備の発電能力は2020年に67GW、100万kWの原発67基相当になった(1GW《ギガワット》=100万kW)。2019年に比べ5GW増加した。毎年、原発5基を建設しているようなものだ。

この太陽光発電の買取価格は1kWhあたり42円で契約したものから、最近は19円くらいまで下がったが、それでも世界相場の2倍の高値となっている。これは投資家にとって極めて美味しい投資対象である。「年利回り10%を超える」と盛んに太陽光パネルを金融商品として販売するなど、我が国の爆発的な太陽光パネルの設置は、投資商品として普及していった。

そこへ中国や韓国の資本も次々と参入するなどして太陽光事業社には、実態を伴わない詐欺まがいの会社も多数出てきた。そうした中で「太陽光マネー」を巡る象徴的な事件が起きた。

<「太陽光発電関連会社のテクノシステム(横浜市西区)が金融機関から融資名目で多額の資金を詐取したとされる事件で、東京地検特捜部は16日、信用組合から約10億5000万円をだまし取ったなどとして、詐欺と会社法違反(特別背任)の疑いで社長の生田尚之容疑者(47)を再逮捕した。詐取したとされる額は計約22億円となった。(中略)

再逮捕容疑では2020年6月、発電設備への融資名目で虚偽の書類を出すなどし、大阪府の信組から約10億5000万円を詐取。18~19年には、自社の資金計3億9400万円を海外のカジノで負った自身の借金返済に充て、会社に損害を与えたとされる。

特捜部は16日、徳島県の地方銀行と静岡県の信用金庫から20年7月、それぞれ約7億5000万円と約4億1500万円をだまし取ったとして生田容疑者を起訴。地方銀行の事件については、ともに逮捕された専務の小林広、元専務執行役員の近藤克朋の両容疑者も起訴した。

生田容疑者は、インターネットで投資を呼び掛ける融資仲介業者からも、巨額の資金を集めていた。「ソーシャルレンディング(SL)」と呼ばれる仕組みで、事件ではSLのリスクも垣間見える。

「SLを使えば、10億円くらいは数秒で集められますよ」。生田容疑者の仕事仲間の男性は数年前、「いい事業があるので、やってみないか」と持ち掛けた際、そう返されたことを覚えている。(中略)

テクノ社は2017年から仲介業者に、ネット金融大手「SBIホールディングス(HD)」の子会社「SBISL」を利用。20年までに融資した約383億円のうち、約129億円が別用途に使われていたことが今年4月に判明し、SBIHDはずさんな融資が行われていたとして、SBISLの廃業を決めた。」(6月17日付東京新聞)>

さらに、8月10日付産経新聞で「太陽光発電の闇と小泉純一郎氏」と題し、論説委員長の乾正人氏が続報を伝えている。

<「テクノシステム社長の生田尚之容疑者は、政治家との交遊を自慢し、商売にも利用していたという。最大の広告塔として利用されたのが、小泉純一郎元首相である。日本経済新聞には、生田容疑者と小泉元首相の対談広告記事が、昨年2回にわたって掲載されている。この中で、反原発論者の小泉元首相は、「すごいな、生田君の仕事は夢がある。(中略)ぜひこれからも頑張ってほしい」などと、手放しで褒めあげている。小泉元首相の長男、孝太郎氏もテクノシステム社のコマーシャルに起用され、小泉家に「太陽光マネー」が転がり込んでいた。

原発を目の敵にし、何かというと太陽光発電を推奨する進次郎環境相の足もとは大丈夫だろうか。小泉一族を使った広告効果は大きく、地方銀行をはじめ多くの金融機関が実体のない事業へ多額の融資をしてしまい、「太陽光詐欺」に易々(やすやす)と引っかかってしまった。結果的に詐欺の片棒をかついだ小泉家の責任も免れまい。」(8月10日付産経新聞)>

小泉進次郎環境大臣は、管轄外であるはずの経済産業省第6次エネルギー基本計画に口を出し、菅義偉首相や公明党の山口那津男代表まで巻き込んで、原発の新増設やリプレース(建て替え)を封じて、太陽光エネルギーへの更なる注力を主張している。しかし、公職にある小泉環境大臣の主張が、自らの一族に「太陽光マネー」が転がり込む一因となっていたとすれば、利益相反にもなりかねない。そうした疑いを国民が抱くなどして、場合によっては菅政権にとっても政権与党の公明党にとっても大きな打撃となる恐れがある。

2020年10月26日、菅首相は所信表明演説で、「2050年までに二酸化炭素(CO2)の排出を実質ゼロにする脱炭素社会の実現を目指す」と宣言した。だがこれはあくまで2050年までに目指す目標である。十分な時間をかけて国のエネルギー政策を構築し実行する必要がある。

そこで、私も理事を務める公益財団法人国家基本問題研究所でも今年2月に「エネルギー問題研究会」を立ち上げ、4月13日に「政策提言 脱炭素の答えは原発活用だ」を公表した。

しかし、このあとでトンデモないことが起きてしまう。4月22日に行われる米バイデン大統領主催の気候変動サミットオンライン会議出席を前に、小泉環境大臣が2030年の温室効果ガス排出量を2013年度比で46%削減する方針を表明したのだ。

「“46”という数字がおぼろげながら浮かんできたんです」などと、梶山経済産業大臣の管轄であるエネルギー基本計画の根幹に関わる数値を十分な検討なしに思いつきで発言した小泉大臣。その発言に対しては各方面から批判の声が上がった。

メディアが礼賛する裏で

現在、国際的に再生可能エネルギー(再エネ)がメディアなどでも礼賛され、まるで世界中が再エネで電力の全てをまかなえるかのような錯覚に陥っているが、大きな間違いである。

例えば、太陽光で発電できるのは、1日のうち約6時間、24時間のうちの25%しかない。我が国の晴天確率は地域差はあるものの約50%。つまり太陽光発電の稼働率(正確には設備利用率)は、25%の半分のわずか13%しかない。残りの時間帯は、水力発電所と火力発電所が電気を供給している。

したがって、太陽光の比率が13%を超えると、巨大バッテリーなどの蓄電・蓄エネが必要となり、太い送電線を設置しなければならなくなる。仮に送電線を柏崎から東京に引くと1.2兆円ものコストがかかる。北海道から九州まで、再エネのだめに送電線を敷設しなおしたらそれこそ数十兆円を超える莫大なコストが必要となる。そのコストは当然電気料金のさらなる高騰を招く。

台風が来れば、豪雨で太陽光はゼロ、風力発電機も強風による損傷防止のため回転を止め、発電できない日が1週間は続くこともある。その間、天候により電気出力が変動する変動再エネは火力か原子力のサポートが必要となる。メディアなどでは「再エネ先進国」などと持ち上げられ、我が国が「お手本」とするドイツは実は現在も多量の石炭火力と原発を用いているが、このような「不都合な真実」はメディアなどでほとんど報じられない。

東京オリンピック終了後の8月、日本では1週間もの間、日本各地で集中豪雨が続き太陽光発電はずっとゼロが続いていた地域が多かった。

「原発67基相当の発電設備」でも発電シェアはわずか8%

冒頭で述べたとおり、我が国の太陽光パネルは今年度末に原発67基相当の発電設備となるが、年間の発電シェアはわずか8%しかない。にも拘わらず消費者が毎月の電気代に上乗せされるかたちで支払っている再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ発電促進賦課金)から、20年間(事業用の太陽光発電の契約期間)で総額60兆円が太陽光発電会社に支払われるとされている。

仮に太陽光など変動再エネで80%、水力とバイオマス(木材、パーム油など)で20%の電力を供給するとなると、今の10倍の600兆円のコストがかかる。さらに電力消費量が増える昼間に電力を蓄える設備も必要となり、さらに別途400兆円がかかる。つまり、本の国家予算の10年分に相当する計1000兆円の設備投資が必要なのだ。

それだけではない。CO2の排出を実質ゼロにするためには、車もすべて電気自動車か水素燃料電池車とし、製鉄も電炉とコークスの代わりに水素を使う製鉄にして、初めてCO2の排出量ゼロが実現する。

2011年の東京電力福島第一原子力発電所の事故以降、我が国は実質的に「脱原発」政策を実行した。50基あった原発は現在9基しか稼働していない。

一方、国民が電力料金の一部として支払っている再エネ賦課金などから太陽光発電に90兆円が投資されることになっているが、発電量100万kW(キロワット)の原発67基分に相当する67GW(ギガワット)の太陽光パネルを世界一の密度で日本全土に敷き詰めたのに、我が国のCO2排出量は実質4%しか減っていない。仮に日本中の家屋に太陽光パネルの設置を義務付けても、新築以外は設置工事が困難で、焼け石に水である。

今後、政府は風力発電に力を入れるとしているが、600億円を投じた福島県沖の大型風力発電所は撤去されることが決定している。メーカである三菱重工の製品性能が低かったからではない。強い風が吹かないからだ。我が国では、北海道の日本海沿岸にしか風力発電に適した強い風の吹く地域がない。だがそれすらも風の強さや強い風の吹く時間はイギリスやデンマークの半分程度だ。

__ 再エネによる深刻な環境破壊

現在、1kWh(キロワット時)当たりのCO2排出量が低い国のランキングで上位を占めるのは、ノルウェー、スウェーデン、スイス、フランスなど、水力発電と原発を主要な電力源とする国々だ。

ドイツは再エネ比率40%に達したと、先述のとおり我が国では「再エネ先進国」のように礼賛しているが、褐炭や石炭、そして天然ガスを多量に使うCO2排出大国でもある。おまけに再エネの切り札の1つとされる、バイオマスの8%もの高い比率は、インドネシアやマレーシアなどの熱帯雨林を伐採した木材チップの輸入によってもたらされている。つまり膨大な熱帯雨林を伐採する環境破壊によって成り立っている。

熱帯雨林の伐採によりオラウータンなどの多様な生物の住処が破壊され、伐採後の森林は火が放たれ、灰燼となっている。日本でもバイオマス発電所の反対運動が起こっているが、こうした事実はほとんど知られていない。

バイデン政権のエネルギー政策

米国は4月18日、米中高官級協議を経て、米中両国が国際的な地球温暖化対策に加わり、気候変動パリ協定の目標達成に取り組む共同声明を発表した。中国を温暖化対策の仲間に引き入れると同時に、世界最大の温室効果ガス排出国である中国の太陽光・風力発電設備、石炭火力発電所の輸出などによる「独り勝ち」を防ぐ戦略を明確にした。

共同声明発表のおよそ一か月後の5月、国際エネルギー機関(IEA)は、「再生可能エネルギーへ変革する場合に風力発電や電気自動車(EV)、蓄電池に必要な鉱物資源が膨大に増え、環境汚染なども問題になる」との報告書を発表した。これを基に5月11日付米ウォールストリートジャーナル紙は、バイデン大統領の数兆ドルを投じるエネルギー変革政策が決してクリーンなものではないと厳しく批判している。

中国による鉱物資源支配、洋上風力の新設も中国が世界一

IEAレポートの概要は以下の通りである。

風力発電の発電機や電気自動車のモーターには強力な永久磁石が必要で、レアースと呼ばれるネオジム(金属元素)などが欠かせない。だが、その供給量の90%は中国に支配されている。

電気自動車にはリチウムイオン電池などの蓄電池が必要である。また、太陽光・風力発電などの変動再エネは、出力が気象により不規則に変動するので、蓄電池を使って大量に電力を蓄えて安定化する必要がある。蓄電池材料として、リチウム、コバルト、ニッケルが最重要かつ不可欠となる。

特に今後世界的需要が42倍に急増すると見られているリチウムの生産では、中国が80%圧倒的シェアを誇る。同じく21倍の需要増が見込まれるコバルトは採掘分野で中国の影響力が大きいコンゴ民主共和国がシェアの70%を占め、精錬分野でも中国が70%のシェアを有する。

ニッケルは採掘分野で中国が投資したインドネシアが第1位で35%程度のシェアを占め、精錬分野ではやはり中国が35%のシェアで第1位である。

このように重要鉱物資源において中国の存在感は世界を圧倒しているのが現状だ。

IEAのレポートでは、鉱物資源の膨大な採掘や精錬時に発生する環境汚染の増大や、多量の水資源を必要とすること、膨大な労働力確保に伴う児童雇用などの社会的問題の懸念を指摘している。

IEAレポートについて国家基本問題研究所では以下の議論があった。

①今までの世界生産量の数十倍の資源が確保できるのか

②再エネを推進すると鉱物の採掘や精錬、使用済み製品の膨大な廃棄などで深刻な環境汚染の懸念があること

③世界的に不足している水資源を精錬過程で膨大に使用すること

④コンゴ民主共和国における児童雇用だけでなく、ウイグル族の虐待労働が再エネ製品製造に使われており、これを許して良いのか等

いま我が国の湖周辺の土地が中国資本に次々と買い占められている。中国はしたたかに手を打つなど資源確保を行っている。このままでは我が国は将来、太陽光パネル、風力発電、蓄電池、電気自動車、原発の分野で圧倒的シェアを誇る中国製品の輸入国に陥るだろう。これらの製品はかつて日本が世界一の技術力を誇っていた。だが、例えば2020年の世界のプラグインハイブリッドを含む電気自動車の生産台数は日本のメーカは全てベスト10圏外に落ち、ここでも中国が急伸している。

現実的な答えは「原発の活用しかない」

経団連の(故)中西宏明会長も、日本商工会議所の三村昭夫会頭も、安全性が確認された原発の着実な再稼働や新設・増設を政治家の強いリーダーシップで実現しなければならないと主張している。我が国が国際競争力を回復するには、安定で低廉な電気が必要不可欠である。加えて、我が国が鉱物資源の制約や環境汚染を回避するためにも、低廉な電力を安定して供給する「原発のリプレース(建て替え)・新増設」が必須である。これこそが中国の資源支配を打ち砕き我が国の産業の活力を維持する唯一の方法である。

日本では、いま原子力規制委員会が審査中の全ての原発の再稼働をすることでCO2を20%削減できる。将来的に電力需要の少なくとも35%を原発が担うとして、それに必要な原発24基の新増設や新型炉へのリプレースに推定34兆円かかるが、再エネへの投資に比べて費用対効果ははるかに大きい。2050年脱炭素化にしても原発活用しかない。

 ◇

 小泉元首相が反原発を訴え続ける背景に、意図的な利権獲得があるとは思いたくありません。しかしこの記事を読む限り、原発ゼロの代替策は太陽光などの再生可能エネルギーですが、それが原発と同程度の電力をまかなうためには、かなり大きな問題が潜んでいることが分かります。

 特にそれを推進するための資源や資材の多くが、中国に占められていることは、安全保障上も大きな脅威となります。記事の最後に記されているように、原発を見直し、より安全な運転を確保しながら再稼働していくことが、残された最良の道だと思います。更にはプルサーマルなどの技術開発も、より強固に推進することも同時に願います。

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