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2021年9月

2021年9月30日 (木)

自民党総裁に岸田氏、新政権の主導権は「3A」へ

10_20210930101201  昨日の自民党総裁選、大方の予想通り岸田文雄氏が勝利し、第27代総裁に選出されました。河野太郎氏は一回目の投票でも1票差ながら岸田氏に敗れ、決選投票では大差で敗れました。高市早苗氏は一回目議員票で河野氏を凌いで2位につけました。本人も多くの支持を得たことに喜びを隠せませんでした。

 岸田政権の今後の見通しについて、日経ビジネス編集委員の安藤毅氏が、日経ビジネス電子版にコメントを寄せていますので、引用して掲載します。タイトルは『自民党総裁に岸田氏、新政権の主導権は「3A」へ』(9/29)です。

 ◇

 自民党総裁選は9月29日、投開票が行われ、岸田文雄氏が決選投票で河野太郎氏を破り、第27代総裁に選出された。岸田氏は10月4日召集の臨時国会で第100代首相に指名され、同日中に新内閣を発足させる見通しだ。票固めに貢献した安倍晋三前首相、麻生太郎副総理・財務相、甘利明党税制調査会長の「3A」などが影響力を増す見通しの新政権は、程なく衆院選で国民の審判を仰ぐことになる。

 今回の総裁選は中堅・若手議員の要望を受け、多くの派閥が支持候補の一本化を見送った。議員票382票と同数の党員・党友票の計764票を巡って争われた1回目の投票では議員票でトップだった岸田文雄氏が1位となったが、過半数に届かなかった。河野太郎氏が2位に入り、高市早苗氏が3位、野田聖子氏が4位だった。

 過半数の票を獲得した候補がいなかったため、岸田氏と河野氏による決選投票に持ち込まれた。議員票と都道府県連47票の合計で争われ、1回目で高市氏に投票した議員からの支持も積み上げた岸田氏が河野氏を抑えて新総裁に選出された。

 新総裁選出後、岸田氏は「生まれ変わった自民党を国民に示し、支持を訴えていかなければならない。総裁選は終わった。ノーサイド、全員野球で自民党が一丸となって衆院選、参院選に臨んでいこう」と訴えた。

昨年の反省から「攻めの姿勢」へ

 岸田氏は外相や党政調会長などの要職を歴任し、党内第5派閥の宏池会(岸田派)を率いる。2020年9月の自民党総裁選に初めて出馬して菅義偉首相に敗れたが、石破茂元幹事長を上回り2位だった。

 昨年の総裁選では岸田氏の決断や準備作業が遅れる間に、二階俊博幹事長が当時官房長官だった菅氏への支持をいち早く表明。党内7派閥のうち5派閥が菅氏への支持を打ち出し、菅氏優勢の流れが早々と固まった経緯がある。

 党内では岸田氏について「誠実」との評がある一方、「決断力に欠ける」「おとなしい」といった見方が広がっていた。

 これまでの反省も踏まえ、岸田氏は「ラストチャンスとなりかねない」とみた今回の総裁選でいち早く出馬を表明。党の中堅・若手議員らの菅首相や二階氏への不満を吸い上げ、党役員任期を1期1年で連続3期までに制限するなど党改革案を前面に打ち出し、「政治生命をかけて新たな政治の選択肢を示す」と攻めの姿勢をアピールした。

 経済政策では「小泉改革以降の新自由主義的政策の転換」を掲げ、成長と分配による「新しい日本型の資本主義」を目指すと訴えた。

 一方で、当面の経済政策では安倍晋三政権時から続く大胆な金融緩和、機動的な財政支出、成長戦略の3本柱を維持する意向を表明。原子力発電所の再稼働や核燃料サイクル継続に前向きな姿勢を示し、敵基地攻撃能力の保有を選択肢の一つと位置づけた。

 さらに、憲法改正に積極的に取り組む姿勢を強調するなど、安倍氏を中心とする党内の保守系議員や保守層の関心が強いテーマへの配慮を示し、決選投票での幅広い議員票獲得につなげた。宏池会トップの首相就任は宮沢喜一氏以来となる。

ベテラン、参院議員は「安定重視」

 これに対し、1回目の投票で勝ち切るシナリオを描いていた河野氏は総裁選の終盤にかけて伸び悩んだ。陣営には知名度が高い石破氏や小泉進次郎環境相が参加。目前に迫る衆院選の「選挙の顔」としての役割や党改革への期待などを追い風に、党員・党友票で圧倒的な支持を集める狙いだったが、安倍氏の全面的支援を受けた高市氏が支持を広げ、その影響も受けた形だ。

 議員への支持拡大も思惑通りに進まなかった。石破氏は党内で影響力を持つ安倍氏や麻生太郎副総理・財務相との確執がある。小泉氏が安倍氏や安倍氏の出身派閥である細田派への批判的な言動を強めたことで、「決選投票になる場合、河野総裁だけは何としても阻止しようと派内が引き締まった」と安倍氏は漏らす。

 さらに、ベテラン議員、参院議員の間で、河野氏の唱えるエネルギー政策や年金制度改革、政権担当能力などを不安視する空気が広がったことも河野陣営には誤算だった。来年夏の参院選を見据える参院議員からは「来夏まで安定的な政権運営を続けることが何より大事だ」として、岸田氏の安定感に期待する流れが強まった。

 また、菅首相の退陣表明と総裁選効果で自民党の政党支持率が上昇し、「とにかく衆院選の顔として人気が高い河野氏を選ぶしかない、との切迫感が薄れたことも議員心理に影響した」と細田派の中堅議員は指摘する。ただ、党員票でトップだった河野氏が敗れたことには「世論との乖離(かいり)」といった批判が広がる可能性がある。

 一方、無派閥ながらかつて所属した細田派や保守系議員、保守層から一定の支持を集めて善戦した高市氏は今後の活動への足場を固めた。安倍氏は高市氏について、「保守派のクイーンになるね」と評しており、岸田政権でも人事で優遇される可能性がある。

 低支持率にあえいでいた菅首相の退陣表明で構図が一変した今回の総裁選。4氏が立候補したことで討論会やテレビ出演の機会が増え、自民党の認知度や新総裁への期待が高まり、自民党の政党支持率の持ち直しにつながったことは間違いない。日本大学の岩井奉信講師は「政権維持に向けた自民党の生存本能が発揮された」と評する。

 総裁選の実態は「総裁選という名を借りた権力闘争」(麻生氏)だ。2度目の挑戦で勝利をたぐり寄せた岸田氏が最大の勝者だが、今回の総裁選で鮮明になったのが安倍氏の衰えぬ政治的影響力だ。

11_20210930101801 高市氏支援で示した安倍氏の政治力

 安倍氏は当初、菅首相の再選を支持していた。だが、首相の総裁選不出馬表明を受け、自らの長期政権で進めた保守路線を維持し、河野氏や石破氏の勝利を阻止する狙いから、細田派に隠然たる影響力を持つ森喜朗元首相との間で高市氏を支援することで一致。

 推薦人集めに始まり、細田派の大半の議員や他派閥の議員にも自ら対面や電話で高市氏への支援を要請するなど、全面的に高市氏の支持拡大を後押しした。

 28日には安倍氏の意向を踏まえ、岸田、高市両陣営の間で、どちらが2位になっても決選投票で協力することで合意していた。高市氏を支援した安倍氏に近い議員が語る。

 「高市さんの得票は事実上、安倍さんの政治力の反映。高市さんの善戦で総裁選が盛り上がり、自民党が活性化した。議員票で岸田さんに大いに恩を売ることにも成功した。岸田政権でも改憲への注力など安倍路線の基本は維持される。細田派で主要ポストも取ることができれば、万々歳だ」

 岸田氏は早急に党運営の要となる幹事長などの党役員人事を固め、主要閣僚の人選を進める。総裁選での貢献度合いに加え、政権基盤の安定を考慮し、最大派閥の細田派を実質的に差配する安倍氏、第2派閥の麻生派を率いる麻生氏への配慮を重視する見通しだ。

 また、岸田氏は半導体や医療品などの戦略物資を確保し、重要技術の海外流出を防ぐ経済安全保障にも注力する構え。麻生派に所属し、今回の総裁選で岸田氏を支持した甘利明党税制調査会長が熱心に取り組む分野だけに、党内では安倍氏、麻生氏、甘利氏のいわゆる「3A」の影響力が高まるとの見方が広がっている。

 総裁選で「国民の声に耳を澄まし、納得感のある丁寧な説明が重要だ」と繰り返した岸田氏。新型コロナウイルスの感染防止と経済社会活動の両立へ対策を加速させ、菅政権の課題とされた発信力や説明力を高めるのが喫緊の課題だ。看板に掲げた党改革や経済対策、「新しい日本型資本主義」の絵姿を迅速に示すことも求められる。間近に迫る衆院選、来夏の参院選という2大ハードルを控え、新政権はすぐに実行力を試されることになる。

 ◇

 いずれにしても、皇室やエネルギー、対中外交、年金政策に不安要素の大きかった河野氏が敗れたことは何よりでした。高市氏の善戦も期待通りでした。このコラムにあるように、3Aが今後の自民党への影響力を維持していくでしょうが、岸田新総裁が強い日本、物言う日本に政策を導いていくことを期待します。

 河野氏も石破氏のような反主流派にするのではなく、しかるべき待遇を処することも必要かも知れません。そして何より高市氏を主要なポストで厚遇していただければと思います。あすの日本のために。

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2021年9月29日 (水)

脱炭素の答えは原発活用だ

9_20210929121301  本日は自民党総裁選の投開票日。このブログの執筆時点では、結果はまだ分かっていませんが、4候補とも最終的には原発再稼働に賛成しています。ただ総裁選に入る前、河野候補は脱原発を掲げていましたので、総裁になるための封印ともとれます。いつ本音が出るかも知れません。

 管総理が掲げた脱炭素宣言、そのためにはどう見ても再生可能エネルギーだけでは、必要量も満たせないし、また非稼働時間の穴埋めのための他の発電設備が必要です。それを火力発電でまかなうとなれば、脱炭素は到底無理でしょう。

 今回は、公益財団法人国家基本問題研究所のエネルギー問題研究会が4月 12 日に発表した政策提言『脱炭素の答えは原発活用だ』を取り上げ、以下に引用して掲載します。

菅義偉首相は 2050 年温室効果ガス排出実質ゼロ(カーボンニュートラル)を表明した。しかし、我が国はすでに再生可能エネルギーの活用において世界トップクラスである。いっそうの脱炭素を進めるには原発の活用が不可欠である。脱炭素を表明した国々のほとんどが安全性を高めた原発を強力に推進している。

中東から我が国へのエネルギー輸送は、中東の不安定化に加え、中国の海洋進出によって危うくなりつつある。国益を重視し、我が国経済を疲弊させることのないよう、経済安全保障の観点から以下の緊急提言を行う。

1.エネルギー政策の基本は国益と現実主義だ

資源に恵まれず、国際的な送電網のない日本のエネルギーコストは主要国中最も高い。この結果、日本の製造業は疲弊し、雇用流出を招き、技術開発も困難になりつつある。にもかかわらず、再エネ導入目標を大幅に積み上げて、電力供給を 100%再エネで賄うべきだとする極論もある。再エネの問題点を無視し、再エネ導入を自己目的化した原理主義にほかならない。

日本の強みを活かし、使えるオプションを全て使うという現実主義的なアプローチが不可欠である。安い石炭火力で物づくりを続け、海外に再エネ、石炭火力、原発を輸出する中国を利することがあってはならない。エネルギー安全保障を堅持し、原子力政策をめぐる閉塞状況を打破せよ。

2.再エネは不安定で高コストだ

メディアは、我が国は再エネ後進国のように報じるが、我が国はすでに再エネの活用において世界トップだ。しかし、その結果、景観破壊や土砂崩れなどの生活被害が生じている。このまま再エネの比率を上げ続けると、以下のように、いくつもの制約が生じる。

(1)大停電のリスクは避けられない

再エネの中核である太陽光や風力は、変動再エネと呼ばれ、時間と共に大きく変動したり、急激に出力が低下する欠点がある。今年 1 月上旬の電力逼迫や 2 月の米国テキサス州の大停電が典型である。

再エネは性質上、変動を調整するバックアップ電源が必須である。再エネの急激な出力低下には俊敏な火力発電の出力増加で対応しているが、追従できないと大停電が起こり得る。

(2)国民負担が非常に大きい

我が国は固定価格買取制度 FIT を通じて再エネを推進してきた。これまで買取費用に13 兆円、2030 年までの買取総額は 94 兆円に達するとみられる。これらはすべて再エネ賦課金として電力料金に上乗せされ国民負担となっている。

日本は風が弱く洋上風力に適しておらず、さらなる導入は電力コストを引き上げる。2050年に電力の 50%を再エネで賄おうとすれば、太陽光だけで現在の 4 倍の設備となり 100兆円以上の投資が必要である。

(3) 電力の再エネ 100%充当は技術的に不可能だ

太陽光と風力で化石燃料や原子燃料と同等のエネルギー量を得るためには膨大なスペースが必要だ。国土面積が狭く、周辺海域が深く、他国との送電網が無い日本は欧米に比して著しく不利である。我が国のエネルギー消費量を太陽光・風力で賄うとなれば、本州面積の 1/3 を太陽光パネルが占め、日本海排他的経済水域(EEZ)のほとんどを風車が占めることになる。再エネ 100%はこうした物理的限界を無視した幻想である。

3.国産技術である原子力を活用すべきだ

2050 年カーボンニュートラルの目標に取り組むに当たり、原子力を排除することは合理的ではない。世界一厳しい新規制基準に従った安全対策工事によって、原子力発電所の安全性は飛躍的に高まった。今こそ国産技術である原子力を正当に評価する時だ。

(1)世界の潮流は原子力活用である

米国バイデン政権は 2050 年カーボンニュートラルを目指す中で原子力を活用する方針だ。脱原発のドイツやスイスを除き、欧州も全体として原子力を活用する。中国政府も独自開発の原発開発を決めた。日本はこの世界潮流から取り残されてはならない。

(2)原子力は経済性に優れた国産技術だ

最新の国際エネルギー機関(IEA)の報告書では、日本で最も安価で安定した電源は

原子力であるとされている。再エネ機器のほとんどは海外からの輸入であるのに対し、原子力の技術自給率は 100%だ。国内産業への貢献度も大きい。原発再稼働が必要だ。

(3)福島第一原発事故の反省から安全対策は飛躍的に強化されている

福島原発事故以降の安全対策の強化は他国に例を見ない。その結果、事故の発生確率は 1 億分の1に低下した。日本の原発こそ自然災害に対して最も強靭かつ安全な電源である。この原子力発電所の強靭性を正当に評価すべきである。自然災害に弱い再エネの欠点を補うには、原子力発電の活用が重要である。

4.政策提言

(1)原発の長期運転、新増設の道を開け

第5次エネルギー基本計画の 「原子力の依存度の可能な限りの低減」を見直せ。この文言のために日本の原子力産業は壊滅状態にある。既存の原子力発電所はリニューアル工事を常に実施している。これを長期に活用することはエネルギー安全保障上も温暖化対策上も最も費用対効果が高い。米国で実施されている 80 年までの運転を可能とすべきだ。

2050 年までに電気自動車などの普及で日本の電力需要は少なくとも現在の 1.5 倍になるといわれている。その電力の少なくとも3分の1を供給するには 2050 年までに計 24 基の原発の建設が必要だ。コストは建設および再稼働と廃炉合わせて 34 兆円と推定されている。再エネに比べ費用対効果ははるかに大きい。実現性もより確実だ。我が国は過去 40年間で 56 基建設した実績を持つ。その実力は現在ならかろうじて保持している。

(2)我が国の原子力技術、人材、サプライチェーンを守れ

原子力発電所の建設には、ネジ一本までの厳格な品質管理が必要であるが、長期間の原発発注の中断により、原子力産業を支えてきたサプライチェーンの基盤である中小企業群やメーカーの衰退が著しい。技術がかろうじて残っている今、新増設に着手すべきだ。輸出用小型モジュール炉や点検ロボットの開発が急がれる。裾野が広い原子力関連産業の維持・継承は安全保障上も重要だ。

優秀な学生を集め、産業界も活気を取り戻し、人材育成を行い、政府は海外への原発技術の輸出を支援し、技術の維持発展を図るべきだ。一方、福島原発事故以降、国民の原子力に対する信頼は大きく低下した。信頼回復のために関係者は襟を正して、緊張感を持って安全点検に取り組まねばならない。

(3)核燃料サイクルと高速炉を守れ

原子力発電所の使用済み燃料を再処理してプルサーマルや高速炉の燃料を確保する核燃料サイクルは、原子力政策の根幹である。日本は核拡散防止条約(NPT)体制の下の「模範生」である。日本が保有するプルトニウムは将来的に我が国の重要かつ不可欠な準国産エネルギーとなる。

高速炉でいわゆる核のゴミを燃焼すれば放射能の有害期間を大幅に短縮できる。高速炉運転の副次的産物として放射性同位体の製造が可能となり数兆円の市場が見込まれる。したがって、もんじゅの廃炉を凍結し、常陽の運転を再開すべきだ。我が国の保有するプルトニウムは核兵器に転用できない軽水炉由来であり、日本の宝として大いに活用すべきだ。

(4)高レベル廃棄物の地層処分は、国が中心となり進めよ

北海道寿都町および神恵内村で、最終処分法に定める処分地選定の文献調査が着手された。廃棄物問題解決への大きな一歩であり、両自治体の決断に国民の立場から感謝する。国は、使用済み燃料対策と最終処分政策を強力に進めるため、両自治体への支援体制を積極的に打ち出し、事業主体を明確にする最終処分法の改正など多くの自治体の参加を促す施策を進めよ。

(5)原子力規制を合理化せよ

福島第一原子力発電所の事故から10年が過ぎ、規制委員会の審査に合格した原発は 16 基にのぼるが、未だ 11 基が審査中で実際に稼働しているのはわずか 4 基にとどまる。ここに規制委員会の不合理さがある。

これは安全性を確保しつつ、原子力を運転させるという原子力安全規制の本来の姿を大きく逸脱したものだ。我が国が原子力オプションを活用していくためには、原子力規制の正常化・合理化が不可欠だ。

すでに国基研において提言した 2019 年 12 月 4 日付「日本に原子力発電を取り戻せ」の要旨を改めて強調したい。

1) 行政手続き法に則った処理期間とし、超過分を運転暦年から削除せよ

2) 事業者との対等な立場に立ち、規制の悪代官を排除せよ

3) 特重施設の工事遅延を理由とした運転停止は規制委員会の責任だ

4) 怒りでレッドカードを出す横暴規制をしてはならない。責任の半分は規制にある

(6)カーボンニュートラルは国益重視で柔軟に対処せよ

カーボンニュートラルに向かう中で、日本と諸外国の温暖化対策コスト、エネルギーコストを比較し、日本のコスト負担が高くならないように、弾力的に見直すメカニズムが必要だ。「カーボンニュートラル栄え、国滅ぶ」といった事態を招いてはならない。電気自動車(EV)路線に安易に乗ってもならない。水素や合成燃料(メタンやジメチルエーテル)をハイブリッドカーのエンジンの燃料に使えば、日本の強みを発揮できる。水素やアンモニアは厳重な安全対策が必要だ。

(7)国際的な排出削減に貢献せよ

我が国の温室効果ガス排出量は世界全体の3%強に過ぎない。日本がなすべき貢献は、革新的技術の普及である。わが国には石炭ガス複合化サイクル発電があり、その輸出により、世界中の CO2 削減に大きく貢献できる。二酸化炭素回収貯留(CCS)技術は経済的に成りたちにくく、アジア諸国やオーストラリアなどの資源国への技術支援や資源外交の手段になり得る。

 ◇

 日本は原子力と聞くとにわかに構える傾向があります。原爆を投下された過去の記憶に、福島第一原発の事故が追い打ちをかけています。原子力潜水艦や原子力発電のような、論理的に考えれば日本の安全保障やエネルギー政策に欠かせない原子力の利用に、野党の政治家やメディア、リベラル陣営が、代替案なき情緒的な論拠で、こぞって反対している現状は、完全に日本弱体化の片棒を担いでいるようなものです。

 次期総理にはしっかりした論陣の元に、国家の大きな損失である眠っている原発の再稼働を、精力的に進めていただきたいと思います。

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2021年9月28日 (火)

自民党総裁選、菅・安倍両氏の戦略眼の凄み

8_20210928095101  自民党総裁選も、投開票日がいよいよあすに迫ってきました。4候補とも最後の追い込みに奮闘されていると思いますが、言うまでもなくこの選挙の勝者は日本国の総理大臣になります。そして近づく総選挙の自民党の顔になるわけです。

 誰がなるかも重要ですが、この総裁選で戦う候補者の顔ぶれ、そしてその論戦が、自民党員や与党支持者へのメッセージとして、総選挙への取り組みに影響を与えるかも知れません。

 そのあたりの背景を青山社中リーダー塾筆頭代表の朝比奈一郎氏が、JBpressに寄稿したコラム『衆院選を見据え総裁選の熱狂演出する菅・安倍両氏の戦略眼の凄み 大局を見て決断する力、「新総裁」には備わっているのか』(9/27)から見てみましょう。以下に引用して掲載します。

 ◇

 自民党総裁選が大詰めを迎えています。29日には国会議員による投票と開票作業が行われ、その日のうちに新しい総裁が決定することになります。

 実は、4人の候補のうち、野田聖子さん以外の3人の方には、過去、青山社中フォーラムにご登壇いただきました。お三方とは、その際に対談させていただいたり、また政策づくりの支援をさせていただいたり、あるいは経産省在職中に立ち上げた「プロジェクトK」(新しい霞ヶ関を創る若手の会)の代表をやっていた際からの繋がりがあったりと、これまでそれなりのご縁をいただいています。そこで、直接にやり取りさせていただいた際の私なりのお三方の印象を、以下のようにまとめてみました。

*アイウエオ順。①は全体の印象、②はフォーラム登壇時などのエピソード的印象、③は総理になった場合のイメージ

紳士的で丁寧、安定性なら随一の岸田氏

【岸田文雄さん】

①オールラウンドに政策の細部も良く勉強しておられていて、説明が正確で広汎。人柄的にはとにかく紳士。ただ、よほどその分野に興味を持っていない限り、普通の人にとっては、講演や演説はやや退屈か。話の中にウィットや優れた話術的なものは感じない。基本的に丁寧な話しぶりだが、「サービス精神にあふれる」という点では微妙か。

②青山社中フォーラム時に寄せられた「外務大臣当時に被爆時の広島選出議員でありながら、なぜに核兵器禁止条約に反対しているのか」という質問については、割と分かりやすく苦渋の表情を浮かべながら、丁寧に経緯や想いを説明されていた。とても正直な方なのだと思う。また政調会長室(当時)で会わせていただいた際も、良くも悪くも凄いオーラみたいなものはなく、丁寧な、しかし淡々とした対応だった。

③コロナ対応など、急場に強い印象はないが、岸田派の若手(木原誠二さん、小林史明さんら)がしっかり支えていくイメージはあり、よほどの難題が降りかかってこない限りは、手堅く政権運営をしていくのではないか。めちゃくちゃ人気が上がる、ということはないと思うが、極端に下がることもないイメージ(ただ、コミュニケーション力が高いわけではなく、また「大胆な決断が出来る方」という印象はないので、危機時は別)。

説明能力は抜群、しかし安定性の面では少々心配な河野氏

【河野太郎さん】

①いわゆるクリティカル・シンキングがしっかり出来る方で、自分の頭で納得できないことについては、しっかりと詰めて行って解を出す。そういう意味では、行革大臣・規制改革担当大臣などは天職と言って良いのではないか。ただ、岸田さんや後述する高市早苗さんに比べると得意分野以外の政策には粗も感じ、ムラがある印象(そこをブレーンや周囲がどう補うか)。

 また世間で良く言われるように(私も自民党の部会等で目撃したことがままある)、怒りに任せて官僚などをすぐ怒鳴ってしまうところがあるので、ここをどう改善できるか。

②青山社中フォーラム時には、私や視聴者からの質問意見への回答ぶりが素晴らしかった。普段、お話している時以上に、聴衆の前だとさらにスイッチが入る。抽象的説明と具体的事例のバランスが絶妙。説明能力高し。

③少なくとも当初の内閣支持率はかなり高いものになるはず。国民一般とのコミュニケーション力も高く、滑り出しは上々か。小泉進次郎環境相の要職での起用が想定されるが、これも人気上昇要因になると思われる。ただ、正論を率直に言われるところは魅力だが、裏を返すと、目測力があってのことではないケースも多く、総理になってからの安定感はやや心配。

 外務大臣就任前のODAや在外公館に対するスタンスが、大臣就任後にコロッと変わられたことなどが記憶に新しいところで、立場が総理となると、「やっぱり認識が変わりました」で済まないところもある。また、「核燃料サイクル中止」が典型だが、河野氏の主張の中には、すぐには皆が折り合いを何とか付けられる解を出すのが難しい問題もあり、総理としては「(沖縄の普天間基地の移転先を)最低でも県外」と言い切って苦労した鳩山氏同様に行き詰まらないかが心配。人気取りに止まらない真に支える閣僚・ブレーンの配置が死活的に重要になりそう。

「保守の代表」という立ち位置が左派からの攻撃対象になる可能性もある高市さん

【高市早苗さん】

①かなりの政策通で勉強家。細部をきっちりと理解してから自説を出されるので政策的安定感がある。今回の出馬もそうだが、「決断する時はする」という思い切りの良さも。ただ仲間の不在が心配。今回は安倍晋三前総理の大応援が際立つが、仲間だからというよりは、後述する安倍さんなりの戦略に基づくものと思われ、元夫で自民党衆議院議員の山本拓さんが援護射撃をしているものの、一般論としては、近しい友達・仲間・子分のイメージが見えない。保守層が思想面から応援するのだろうが、真剣に支える人がどれだけいるか。

②青山社中フォーラムでの講演時には、当時重要とされていたかなり幅広い分野について深い造詣を示しておられ、私としても感銘を受けた。また高市さんが政調会長時に、政策づくりの支援をしたことがあるが、私のような者にも「朝比奈先生」と丁寧な対応で、また普通のお礼以上に労をねぎらう態度を示してくださるなど、いい意味で政治家としての幅も感じた。今回、高市さんの著書(『美しく、強く、成長する国へ。』WAC BUNKO)も拝読したが、テクノロジーへのこだわり・理解の示し方が全体バランスから見るとかなり極端な印象はあるが、そのことも含め上記の重要分野について勉強する政策通という見立てを裏切らない内容。ウィットに代表されるコミュニケーションの幅はこれからの課題か。

③保守の代表、という立ち位置なので、安倍政権同様、最初は、左派メディアや、もしかするとその背後にチラチラ見える外国勢力などから、色々と足を引っ張られる恐れも(既に、ヒトラー翼賛のようなレッテルを貼られつつある)。仮に総理になれば、安倍さんがかなり支える感じになるか。

 ただ、若い世代からすると、LGBTQや選択的夫婦別姓への見方については付いていけないところがあり、メディア等で、意図的にそこがかなり強調される展開になると、やや苦しいか(もちろん大事な点だが、安保や経済など、より喫緊の課題ではないところでネガティブイメージを貼られるのは辛い展開か)。

 お三方の評価については、以上です。以下、全体の総裁選の帰趨についての考えや、タイトルにある菅さん・安倍さんの動きについての感想を述べたいと思います。

河野vs岸田の構図に高市氏が割り込んでくるか

 総裁選の帰趨については、世上色々と言われてはいますが、今後大きな波乱が起こらずこのまま進めば、〈決選投票となって最終的には岸田さん〉という流れになる公算が高いと思います。

 というのも、世論調査で頭一つ抜け出している河野さんですが、党員・党友票では圧倒的になる感じがこれまでのところありませんし、これ以上の盛り上げは難しそうに見えるからです。そうなると、議員票は、特に決選投票ではより安定的に岸田さんに流れていくのではないでしょうか。

 河野さんの強みは世論調査での支持率の高さですが、それが、イコール党員・党友票、議員票とはなりません。

 特に、総裁選後にすぐに選挙がある衆議院議員は、現在の世論を相当に気にしつつ選挙戦に突入することになるのですが、選挙が約1年後の参議院議員(しかも、全員ではない)などは、今回の菅政権しかり、最初の安倍政権しかり、発足当初に高い支持率を出しながら、1年で劇的に下がってしまうパターンを気にしています。そんなこともあり議員票の多くは、安定性(支持率の上下が少ない状態)が期待できる岸田さんに流れている印象です。

 ただ総裁選中盤以降、高市さんへの支持が予想以上に伸びている印象もあります。岸田政権を警戒している二階派が(安倍政権下から色々あり、先日の岸田さんの「二階外し」の動きが決定的でしたが、互いに「憎し」との感じもあり)、集団で高市さんへの応援に回るようなことになると、高市さんが決選投票に上がってくる可能性もゼロとは言えません。対中スタンスの面では、高市さんを支持する保守派と二階俊博幹事長とでは真逆ですが、いざとなればそのくらいの差異を乗り越えて行動するのが二階さんの強みでもあります。

 しかしつくづく残念に思うのは、4候補の、大局的な外交戦略や、中長期的な経済戦略など、国を大きくどう引っ張って行くかというところについての考え、見識がほぼ見えてきていないことです。これはメディアのレベル、国民のレベルに負うところが大きい点ですが。

 自民党の総裁選は事実上、総理大臣を決める戦いですので、本来なら大局的な時代認識・改革プランを主軸に論戦を戦わせるべきだと思います。ところが、これまでの討論会などを見ていても、どうも個別政策論に話が寄り過ぎな印象があります。「コロナ対応をどうするか」的な話は分かりやすくはありますが、正直、誰がやってもあまり変わりません。ワクチン接種を進め、病床を確保し、必要に応じて自粛を要請するというものです。そこを論じ合っても、あまり意味はありません。

菅総理、「総裁選不出馬」表明の絶妙なタイミング

 その点、話は少しそれますが、戦略眼と動きという点だけでいえば、菅義偉総理、安倍前総理の大局観に基づいた「動き」は、流石だと思います。

 まず菅さんですが、追い込まれたという面があるのは確かですが、9月3日に突如、総裁選不出馬を表明しましたが、あの時点でパッと身を引いたのは、もちろん自らの「余力残し」的な発想もあるでしょうが、党全体のことを考えると最高のタイミングでした。それまで菅批判一色だった世論は、今度は自民党の総裁選の行方に釘付けになりました。その結果、野党に対する注目度は劇的に減りましたし、自民党にも「人心一新」のイメージが付き、衆院選はかなり戦いやすくなったはずです。

 菅さんは総理としてやるべき仕事ことは着実にやってきました。

 総理就任直後の昨年10月には、2050年までにカーボンニュートラルを実現すると宣言し、気候変動に関する政策の舵を大きく切りました。米国で環境問題に冷淡だったトランプ政権から民主党のバイデン政権に切り替わる前にうまくやり切ったと思います。日本だけ世界から置いてきぼりになるところでした。さらに今年9月にはデジタル庁を発足させましたし、不妊治療の保険適用や携帯料金引き下げという実績もあります。それに、なんといってもコロナ下の難局のなかでオリンピックとパラリンピックをやりきった。いずれも実行力のない総理の下では実現できなかった問題です。残念だったのは、国民に対するコミュニケーション能力に少々欠けていた点です。そこで支持率を大きく下げてしまいました。

 しかし極端なスキャンダルがあったわけではないのに身を引いてくれたことに、実は感謝している自民党議員は少なくないはずです。二階さんレベルまで行くかは分かりませんが、おそらく菅さんは今後も党内で隠然たる影響力を持つ政治家として活躍していくことでしょう。

安倍前総理、「高市推し」の真意

 そして、さらに秀逸だと唸らされたのは、安倍前総理の「高市さん推し」の決断です。もしも安倍さんが短絡的に「キングメーカー」になることを目指すなら、元々後継に考えていた(はずの)岸田さんを推して、勝ち馬に乗れば良い。ところが、敢えて、かなり負ける可能性の高い高市さんを推すのです。これは凄い決断です。「森友や加計の問題を蒸し返されたくないから高市さんを支持している」的な解説もありますが、そもそも高市さんが勝つ可能性が極めて低いわけですから(特に決断時には)、そこに賭けても仕方がありません。

 そう考えると、安倍さんの「高市さん推し」の真意は、「総裁選後の衆院選で野党を伸張させたくない」という一点にあるはずです。衆院選で自民党支持層の3~4割を占めるとされる保守層を動かすために、総裁選では敢えてその層と親和性の高い高市さんを推す決断をしたのだと思うのです。

 もしも総裁選が最初から最後まで「河野さんvs岸田さん」の構図になってしまうと、保守層はシラケてしまい、その後の衆院選でも十分に動かなかった可能性が高い。ならば、仮に今回、高市さんには負けてもらってもいいので出馬をしてもらったほうがいい――そう判断されたはずです。

 党員の中の保守層が応援したくなる人物が総裁選に出てくれれば、その層も選挙戦で大いに盛り上がります。実際に高市さん支持はかなりの盛り上がりを見せています。その上で負けたとしても、その後の衆院選に際しては保守層は「総裁選で負けはしたけど、自分たちも主体的に参加した選挙で選ばれた候補が岸田さんなのだから、今度はその新総裁の下で頑張ろう」となるわけです。この盛り上がりで、党員でなくても、そういう気分は出てくる(党員でない保守層も自民党候補に入れるべく衆院選の投票に行く)気がします。

 こうした菅さん、安倍さんの党勢全体を見たうえでの戦略眼と動きは、次の総理総裁にも是非とも求めたいところです。「株式会社自民党」の経営者としてライバル企業に負けないための最善の決断をしている感じを受けます。つまり、思想とか考え方以前の経営・運営力の卓越性ということになりますが、これは実際に経営とか組織運営をしてみないと出てこない「凄み」だと思います。派閥の長たる岸田さんは多少の経験はあるでしょうが、正直、この点が、4名に共通して心配な点ではあります。

 ◇

 菅さんや安倍さんが本当にこういう思惑で行動したかは、本人でなければ分かりませんが、全くの絵空事ではないと思います。特に朝比奈氏が述べているように、『安倍さんの「高市さん推し」の真意は、「総裁選後の衆院選で野党を伸張させたくない」という一点にあるはずです。衆院選で自民党支持層の3~4割を占めるとされる保守層を動かすために、総裁選では敢えてその層と親和性の高い高市さんを推す決断をしたのだと思うのです。』という部分、そして『党員の中の保守層が応援したくなる人物が総裁選に出てくれれば、その層も選挙戦で大いに盛り上がります。』というもくろみで高市氏を推したという見方は、選挙戦の中で保守層の盛り上がり(SNSでの高市氏賞賛の声は最大限盛り上がっています)を見ればうなずけるところです。

 もちろんこのまま高市氏が勝利し、総理になれば喜ばしいことですが、大方の見立て通り、岸田氏が最後には勝利する公算が高いでしょう。ただその場合でも『その後の衆院選に際しては保守層は「総裁選で負けはしたけど、自分たちも主体的に参加した選挙で選ばれた候補が岸田さんなのだから、今度はその新総裁の下で頑張ろう」となるわけです。』、となれば、安倍さんの高市氏推しの戦術が功を奏したことになります。ただその場合、岸田氏が高市氏を党の要職に就けるか、内閣の重要位置につけることが必須だ、ということは大前提ですが。

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2021年9月27日 (月)

前川喜平氏:戦後最悪の官僚の「面従腹背」の経歴と売国の実態

Images-6_20210927090401  自民党総裁選も終盤にさしかかってきましたが、野田氏以外の3氏が熾烈な戦いをしているようです。高市氏は一部のメディアによると岸田氏を抜いて2位につけたとか。まあ下駄を履くまでは結果は分かりませんが。

 その高市氏を強力に推す安倍元首相、その安倍元首相の時代にとんでもない人が次官になりました。文科省の前川喜平元次官です。ここ毎回引用させていただいている月刊hanadaプラスに公開された、元月刊hanada編集部員のライターの梶原麻衣子氏が寄稿したコラム『元次官の「面従腹背」は続いている? 前川喜平「権力は腐敗する」』(9/24)、今回これを引用掲載します。  

 ◇

その昔、読書にかまけて羊を逃がしたものがいるという。転じて「読書亡羊」は「重要なことを忘れて、他のことに夢中になること」を指す四字熟語になった。だが時に仕事を放り出してでも、読むべき本がある。元月刊『Hanada』編集部員のライター・梶原がお送りする週末書評!

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安倍政権最大の失政?

歴代最長内閣となった安倍政権にも、失政と言われても仕方ないものはあった。「え、月刊『Hanada』のサイトでそれを言うの」と驚かれる向きもあるかもしれない。

だが「前川喜平の文部科学次官就任」を挙げれば、安倍政権を評価する人であっても頷かざるを得ないのではないか。

前川氏が次官に就任したのは2016年6月。安倍政権真っ盛りのさなかのことである。

安倍政権に対しては菅官房長官のグリップ力と相まって、「官邸が官僚を人事でコントロールし、強権をふるって異論を排除したことで、逆らう官僚はいなくなった」といったトーンの批判も少なくない。

だが、前川氏の「面従腹背」を見破ることができなかったのも事実。官邸がそこまで個別の官僚の人となりを網羅できなかったのか、前川氏の演技がそれほどまでに高度なものだったのか。

「私の『本性』を知っていたら…」と前川氏

おそらく両方なのだろう。前者については、ほかでもない前川氏が今回取り上げる新著『権力は腐敗する』(毎日新聞出版)に次のように書いている。

<かく言う私自身も、2016年6月第二次安倍政権の下で文部科学省の事務次官に任命されたわけだが、この人事は菅氏に取り立ててもらったというものではない。私はすでに事務次官昇任への待機ポストである文部科学審議官になっていたので、特に不自然な人事ではなかった。

 しかし、私の事務次官就任人事は官邸から見れば明らかな失敗だった。私の「本性」を知っていたら、安倍氏も菅氏も決して私を事務次官にしようとは思わなかっただろう。人物のチェックが不十分だったわけだ。

 なぜなら、私は安保法制反対のデモに参加していたからだ。>

しかしもう一方で後者、つまり「前川氏は大嫌いな安倍・菅体制にあっても面従腹背で、本性を隠し切った」面も否定できない。そしてそれは今も続いているのではないか、という気さえするのだ。

「やってこなかったことを、やってきたかのようには書けない」

「面従腹背」は官僚としての前川氏のモットーであったらしく、今回の『権力は腐敗する』の前作のタイトルにもなっている。『面従腹背』についても以前、取り上げたことがあるが、この時も指摘したように、前川氏は「面従腹背して権力に従った、リベラルからどつかれそうな案件」については無視を決め込んでいる。

今回の『権力は腐敗する』でも、さすが文科官僚だけあって、安倍政権下でのコロナ「全国一斉休校」などには詳細に検証し、苦言を呈しているが、食い足りないのはまさにそこで、「内部の手続き論などを詳しく書いてはいるけれど、自分がその場にいたらどういう手法や論理でそれを覆したのか」についての言及はない。

「あったことをなかったことにはできない」も前川氏の名言であるように、「やってこなかったことを、やってきたかのようには書けない」のかもしれない。

つまり面従腹背してきた前川氏は、内心では「安保法制反対デモに参加してしまうような反体制的思考」を持ってはいても、「安倍政権下での腑に落ちない文科行政に対し、実際に反対論をぶつ」ことはなかったのだろう。

本書では「ふるさと納税」に反対して飛ばされた総務官僚についての言及があり、〈菅首相は官房長官の頃から、気に入らない官僚は排除してきた〉としている。

順当に事務次官になった前川氏の「面従腹背」ぶりはさぞや見事なものだったのだろう、と思わざるを得ない。

「日本の学校は軍隊にならって作られた」

そして現在。日の丸・君が代への嫌悪を抱きながら、親方日の丸の霞が関官僚として「面従腹背」して生きてきた前川氏の習い性は、そう簡単には抜けないのではないかと推察する。

本書では、あえて言えば、教育の多様性を言いながらも「不登校の増加は義務教育の失敗」としているところや、賭けマージャンがばれて退職した黒川弘務元東京高検検事長に対する評価(官邸に弱みを握られていたのでは、賭け麻雀は自らタレ込んだ自爆だったのではないかという指摘)などは、気にはなった。

だが、それ以外は「前川氏ならそう言うだろうな」という予想の範疇内にびったり収まっている。つまり「お客さん向け」に持論を調整して書いているのではないかという疑いだ。

憲法を重んじ、上皇陛下の「護憲精神」に感銘を受け、日の丸君が代の強制を嫌悪する。学校制度を所管する省の次官にまでなりながら、「日本の学校は軍隊にならって作られた」「詰襟は軍服」「ランドセルは背嚢」「体育は軍事訓練そのもの」「入場行進は軍隊の分列行進」「運動会は野戦演習」などと吐き捨てるように書いている前川氏の精神状態が結構、心配になる。

「こんなところにいたくないと思いながら、しかし面従腹背で出世ラインを上っていく」ことによる精神衛生への影響を心配する一方で、前川氏が今書いていることも、「相手が求めるものを(自らの本当の思いを度外視しても)描いて見せる」ことができるだけなのではないか、という気がするのだ。

森功本にも登場しているが……

さて、安倍・菅政権については同時期に森功『墜落 「官邸一強支配」はなぜ崩れたのか 』(文藝春秋)も刊行されており、『官邸官僚』(同)を出した森氏らしく、こちらも政治家と官僚の関係性にかなり踏み込んでいる。また、前川氏の証言も会話調で収録されているが、併せて読むと前川氏の自著のトーンとの違いに気づかされる。

まさかこれも森氏への「面従腹背」だろうか。

ご興味ある向きには、ぜひ併読をお勧めする。それほど前川氏に興味はないかもしれないが……。

 ◇

 前川氏には貧困調査と強弁する出会い系バー通いの件や、辞職のきっかけとなった天下り斡旋工作とか、ツイッター裏アカウントでの反日投稿とか、国家官僚にあるまじき行為の数々が公になっています。 

 そんな前川氏なる人物には、興味ではなく嫌悪感が大なるものがあります。国の官僚でありながら、安保法制反対のデモに参加し、そして文部科学省という省庁にいながら、梶原氏の言を借りれば、「日本の学校は軍隊にならって作られた」「詰襟は軍服」「ランドセルは背嚢」「体育は軍事訓練そのもの」「入場行進は軍隊の分列行進」「運動会は野戦演習」と言う考えだったことを、しゃあしゃあと述べています。

 後日談で済ませようとしているのでしょうが、これほど腹黒い官僚はいません。国の税金で堂々と「面従腹背」し、辞職後は堰を切ったように反日反政権論をまくし立てているのです。戦後最大の悪官僚でしょうね。

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2021年9月26日 (日)

高市早苗氏:新型コロナ対策、私ならこうする

Images-5_20210925140601  前回に続いて、今回も高市早苗前総務大臣の政権構想を取り上げます。新型コロナウイルスの新規陽性者数は、最近になってかなり減少してきました。重症患者数もピーク時の半分程度に減ってきています。緊急事態宣言も今月末で解除されるようです。 しかしこれは現状の緊急事態宣言の効果だと、簡単に決めつけるわけにはいきません。様々な要因の重なった結果だと思います。

 それが証拠に、識者は第6波の懸念を口にしています。緊急事態宣言で収まったのならば、また宣言を発動すれば良いだけですが、心配しているその背景には、宣言だけでは高波になったら、またすぐに収まらないだろうと踏んでいるからでしょう。医療の逼迫の問題も解決していません。

 コロナに限らず、感染症対策をどうすればいいのか。日本の医療の中でも、やや遅れている感が強いこの疾病対応を、高市早苗氏が「政権構想」としてとりあげています。その内容について、月刊hanadaプラスが約1ヶ月前に公開しています。タイトルは『【わが政権構想】新型コロナ対策、私ならこうする|高市早苗』(8/25)で、以下に引用して掲載します。   

 ◇

重症者数・死亡者数の極小化

連日のように、軽症だった自宅療養者の容体が急変して、搬送先の病院が見付からずに重篤化したり、お亡くなりになったりと、悲し過ぎる報道に接します。

内閣が懸命に取り組んでいるワクチン接種の促進やマスク着用の徹底など「感染者数を減らすための取組」は変わりなく大切ですが、「重症者数・死亡者数の極小化」に向けた対策の重点化を切望しています。

感染された方々に対して、軽症から中等症Ⅰの患者対象の治療薬である「抗体カクテル」(カシリビマブ、イムデビマブ)を、早期に幅広く処方できるようにするべきです。

処方可能な場所を「感染症患者を受け入れている有床の医療機関」と「医師滞在の宿泊療養施設で、自治体が臨時の医療機関と指定した場所」に限定していては、治療薬が効かない段階に病状が進んでしまいます。

そもそも「抗体カクテル」は感染初期に有効な治療薬とされているのに、入院先や宿泊療養施設を探すことが困難なのですから。

地域総合病院の外来の医師、有床ではない開業医、感染患者宅を廻って下さっている訪問医師の皆様が、軽症患者に治療薬を処方できないような状況では、重症患者数は増える一方です。

点滴後の観察も必要ですから、地方公共団体で「治療薬投与後の経過観察宿泊場所」や「移送手段」を確保した上で、他の病気の患者さんと動線を分けられる病院については、外来の個室などで点滴ができるようにしていただきたいと思います。もちろん、感染した方々の自宅から病院への移動用には巡回バスを用意するなど、別途の取組も必要になります。

容体によっては、医師の判断によって、中等症から重症用の治療薬「レムデシビル」(ギリアド・サイエンシズ社)、中等症Ⅱから重症用の治療薬「バリシチニブ」(イーライリリー社)、重症用の治療薬「デキタメタゾン」(日医工)の処方も必要でしょう。

医師でもある国会議員が、ご自身が感染した時の話をして下さいました。

その議員は、感染症対応病院の医師ではないので自分で治療薬を処方することもできず、入院先もなく、自宅待機だけが続き、本当に不安で怖かったということでした。

日の丸ワクチンと治療薬

ようやく8月13日に厚生労働省が通知を出し、「医師滞在の宿泊療養施設で、自治体が臨時の医療機関と指定した場所」が治療薬を処方できる所として追加されたところです。

宿泊療養施設で治療薬を処方するということであれば、公的機関が保有する施設の活用はもとより、国と地方公共団体の総力を挙げて相当数のホテルを借り上げ、国がホテルの本来の営業利益や風評被害に対する十分な補償も行い、「自宅療養者を皆無にする」くらいの取組が必要です。

安倍内閣時の昨年1月30日には、官邸から「中国・湖北省(武漢の在る地域)からの帰国者の宿泊場所」として、各府省が所管する研修宿泊施設について照会がありましたので、総務省からも複数の宿泊設備を官邸に報告しました。今こそ、国の関係施設もフル活用するべき時です。

現状、治療薬については、十分な量の確保が困難なのだろうと推察しています。

特に私が不安を感じているのは、「抗体カクテル」と「レムデシビル」の供給量です。現段階では、いずれも、国内生産をしていません。

厚生労働省に問い合わせましたが、「いずれも、全世界向けの供給量が限られているなか、投与対象となる患者数の見込みに対応できる量の確保に努めているところです」との回答でした。

「抗体カクテル」(カシリビマブ、イムデビマブ)は、米国のリジェネロン社が創製し、昨年、提携先であるスイスのロシュ社と共同で製造・開発・販売することになりました。中外製薬の親会社はロシュ社ですから、中外製薬が日本における開発権・独占販売権を取得しています。

「レムデシビル」は、米国のギリアド社が開発しました。既に英国では、製薬会社が契約に基づき、製造を開始しています。

治療薬やワクチンについては、一刻も早い「国内生産体制」を確立するとともに、国内で生産している他の病気の治療薬のなかで新型コロナウイルス感染症の治療にも有効だとして製薬会社から承認申請がされている薬については承認に向けた手続きを急いでいただきたいと思います。

パルスオキシメーターの配布

早期に自らの症状を知り、保健所が迅速に対処方法を判断できるようにするための措置として、地方創生臨時交付金などを活用して、全世帯に1個ずつ、「パルスオキシメーター」(経皮的動脈血酸素飽和度測定器)を配布するべきだと思います。

中国製のパルスオキシメーターは安価ですが、購入した人によると壊れやすいらしいので、可能な限り国産製品を調達していただくことを期待します(行政機関による一般競争入札では最も安価な提案に決まるので、困難はありますが……)。

全世帯ということになると、おそらく国内の在庫では不足しており、相当な生産拡大をしなければならないのでしょうが、生産協力企業の設備投資に対する財政支援措置も含めて、内閣には対応していただきたい件です。

仮に新型コロナウイルス感染症が収束したとしても、従前より様々な感染症について警告が発せられていますから、一家に1個の備えは無駄にならないと思います。

財源ですが、使途について自由度が高い地方創生臨時交付金については、今年5月の段階では「繰り越し分が相当額、残っている」という話でしたが、今や残り僅かと聞いています。緊急時ですから、必要に応じて補正予算編成を急いでいただきたいと希望します。

必需品の国内生産体制の強化

感染症のみならず大規模災害など非常時においても、生活必需品や医療・衛生用品の確保ができる施策を早急に整えなければなりません。

これまでの日本は、マスクの7割、ゴーグルや防護服の大半を中国から輸入していましたから、昨年にはサプライチェーンの脆弱性を思い知らされることになりました。この他、非接触体温計、消毒液、人工呼吸器、注射器の不足も経験しました。

大規模災害や感染症の発生など緊急時でも、「生活」「医療」「産業」に必要な物資の国内生産・調達を可能にする施策を確立することが必要です。ワクチンや治療薬の国内生産体制を整えることも急務です。

昨年から今年にかけて、2人の米国大統領は、『国防生産法』に基づいて、個別企業に人工呼吸器やワクチンの製造を命令して供給を加速化しました。

日本でも、「生産協力企業への国費支援策の具体化」「研究開発拠点・生産拠点の国内回帰を促す税財政支援策の構築」「基礎的原材料の確保」などに迅速に着手するべきだと考えます。

ワクチン接種の課題

田村厚生労働大臣や河野内閣府特命担当大臣が懸命に頑張って下さっていますので、11月頃にはほとんどの方が2回目のワクチン接種を終えられる見込みだと聞いています。それでも、周囲には、未だ1回目の接種を受けられないという方も多くおられます。

3回目の接種の段取りや、今後の別の感染症への対策として、ワクチン接種の優先順位についても、検証をしておく必要があると思います。

今年、医療従事者を優先したのは正解でしたが、医療従事者の接種が完了しないうちにご高齢の方々への接種を開始しましたので、結果的に医療従事者の接種完了までに時間がかかり過ぎました。さらに、医療機関に出入りしておられる多くの関係事業者への接種が遅れていました。

また、学校や幼稚園や保育園の教職員、福祉施設の職員の皆様への接種も遅れていたことから、随分、苦情のお声を伺っていました。

鍼灸マッサージ店、理髪店、美容室など、顧客の体や髪に直接触れる職業の方々も、優先接種の対象ではありませんでした。食品や日用品など生活必需品を製造・運送・販売しておられる方々も、タクシーやバスや鉄道など交通機関に勤務しておられる方々も同様でした。

いずれも、地方公共団体によって差異があったのだと思いますが、清掃事業者、ビルメンテナンス事業者への接種が遅れていたのも気になった点です。オリンピックのボランティアの方々が開会までに2回の接種を終えることができなかったことも報じられていました。

特に、国防を担い、災害出動もしなければならない自衛官のワクチン接種が遅れており、これは従前からの課題です。

自民党の国防部会から内閣に対して、「自衛官の早期接種」について要請が行われたものの、結局は、モデルナ社製ワクチンの試験的接種で1万名、大規模接種会場の残余枠を活用しての接種しかできず、東京都のように地方公務員である警察官や消防士を優先接種する動きは見られませんでした。

他方、在日米軍基地では、基地内で働く日本人従業員にも早期に接種が開始されており、自衛官の皆様は疑問を抱いたことだろうと思います。

自衛官にもワクチン優先摂取を!

10年以上も前のことですが、2009年10月27日に、私は当時の民主党政権の鳩山内閣に対して、『自衛官に対する新型インフルエンザ・ワクチン接種の時期等に関する質問主意書』を提出しました。

「自衛官は、日本国民の生命及び日本国の領土や独立統治を守る為に重要な国防の任にあたっており、今後、新型インフルエンザの流行が深刻な事態となった場合には、社会機能を維持する為に出動を要請される可能性もあり、優先的にワクチン接種を受けることが望ましい者にあたると考える。従って、次の事項について質問する。自衛官は、優先的にワクチン接種を受けることが望ましい者にあたると考えるか。前問への回答の理由は何か。(後略)」という内容でした。

同年11月6日に鳩山由紀夫総理から衆議院議長宛に届けられた答弁書には、

「今般の新型インフルエンザのワクチンの接種事業において、新型インフルエンザによる死亡、重症化のおそれが高い者及びインフルエンザ患者の診療に直接従事する医療従事者(以下「医療従事者等」という)を優先接種対象者としているのは、新型インフルエンザの重篤性が季節性インフルエンザと同程度とされている一方で妊婦や基礎疾患を有する者等は重症化する可能性が高いこと、今後更なる感染者の増加が見込まれる中で、必要な医療提供体制を確保する必要があること、当面、ワクチンの供給が順次行われていくことなどを勘案してのものである。したがって、現状においては、自衛官が医療従事者等と同じ意味で優先的にワクチン接種を受けることが望ましい者に当たるとは考えていない。(後略)」

と書かれていました。

今夏も相次ぐ災害の現場に、多くの自衛官が派遣されています。現状でも、民主党政権と同様の対応になっていることについては、与党の一員として申し訳なく、残念でなりません。

優先接種の順番のみならず、接種の申し込み方法、接種会場が混み合わない工夫、残余ワクチンの廃棄が発生しない方法など、今年の様々な学びを今後の感染症対策に活かして、国と地方公共団体と医療従事者が力を合わせて、しっかりとしたマニュアルを整えておく必要があると考えます。

感染患者の移送困難事案

新型コロナウイルス感染症患者で自宅療養中の方の容体が急変し、救急車を呼んだものの、受入先の医療機関が決まらず、患者が数時間も救急車内で待機したり、結局、受入先が見付からないまま自宅療養続行となって救急車が帰ってしまったりする様子を、何度か報道番組で目にしています。

これでは、心臓発作やクモ膜下出血などの急病、交通事故による負傷などの緊急時にも、救急搬送を受けられないのではないかという不安の声が拡がっています。「受入可能な医療機関を手配してから、救急車が出動したらいいのに」というご意見も伺い、多くの方が同じことを思っておられると思います。

もともと、『感染症法』に基づき、感染症患者の移送は「救急業務」ではなく、「保健所の業務」です。新型コロナウイルス感染症患者(疑似症患者も含む)の医療機関選定については、保健所が行うこととなっています。

救急隊は、保健所の指示に従って「移送に協力する場合もある」という立場です。保健所が対応できない場合には、保健所が提示した感染症患者の「受け入れ医療機関リスト」に基づいて、救急隊員が電話で受入の可否確認を行う場合もあります。

それでも、「救急車が到着して安心したのに、救急車が動かない」という事態に直面した患者ご本人やご家族の苦しみと絶望感は、言葉に尽くせないほどのものだと思います。

随分前のことになりますが、私も、家族が目の前で倒れて救急車を呼んだものの、夜間でもあり、受入先の医療機関が見付からなかったことがありました。

各医療機関に電話をかけて下さっている救急隊員の背中を見ながら、全く動き出さない救急車のなかで、苦しんでいる家族の手を握りながら震えていた時間の長さを思い出しています。

その数年後、私は総務大臣に就任し、総務省・消防庁で「救急搬送における医療機関選定時のタブレット端末等の活用」について取組を進めていました。

まだ私が在任中だった昨年8月1日の調査結果ですが、『救急救命体制の整備・充実に関する調査』と『メディカルコントロール体制等の実態に関する調査』では、「全国の726消防本部中、170消防本部が、タブレット端末等を導入している」と回答していました。

ようやく23.4%の導入率です。今後も、急病や事故など「通常の救急搬送」の円滑化については、このタブレット端末の導入割合をさらに増やしていくための取組が必要です。

「東京方式」は十分に機能していない

問題は、「新型コロナウイルス感染症患者の移送」の円滑化です。

先日、消防庁救急企画室に状況を問い合わせてみましたが、やはり、前記した通り、「コロナ陽性者の移送は、感染症法上、都道府県等の保健所の業務であるため、救急業務としてシステムは構築していない」という回答でした。

確かに法的には厚生労働省の所管ですから、厚生労働省で十分な体制整備をした上で、保健所が対応しきれない時に総務省・消防庁や都道府県消防本部(救急)に協力してもらう他ありません。

東京消防庁でも、基本的に『感染症法』の対象外であることから、救急車のタブレット端末は、新型コロナウイルス感染症には非対応です。救急現場で傷病者が「コロナ陽性患者」であることが確認された場合には、保健所に連絡し、対応を仰ぐということです。

保健所が電話に出ない、または対応困難である場合は、救急隊が医療機関選定を行う場合もありますが、タブレット端末を使用して「内科」を検索し、受入の「○」「×」にかかわらず、収容依頼を行っているそうです。

「コロナ疑い患者」だった場合には、タブレット端末を用いて「コロナ疑い救急医療機関一覧」から「○」の医療機関を検索することが可能です。検索後に「○」である新型コロナ疑い救急医療機関に連絡し、受入依頼を行うそうです。

5医療機関、または20分間選定して医療機関が決定しない場合は、新型コロナ疑い地域救急医療センターが必ず受け入れることになっているということでした。

しかし、この東京方式が十分に機能していないのではないかと思います。

私の地元である奈良県消防本部でも、救急車のタブレット端末は、新型コロナウイルス感染症には非対応です。救急現場で傷病者が「コロナ陽性患者」であることが確認された場合には、奈良県庁に設置している「入退院調整班(24時間対応)」に連絡し、搬送先医療機関の選定を依頼しています。

現状では、この「入退院調整班」が機能しているので、救急隊員が新型コロナウイルス感染症患者の搬送先を探し続けるということはないそうです。

新型コロナウイルス感染症患者に係る医療機関選定システムは、保健所が構築しています。また、厚生労働省のG‐MISは、全国の約38,000の医療機関から、病院の稼働状況、病床や医療スタッフの状況、受診者数、検査数、医療機器(人工呼吸器等)の確保状況などを一元的に把握・支援するシステムです。

厚生労働省のG‐MISをフル活用することによって、保健所の移送車と消防の救急車と医療機関の連携を円滑にするような改善方法が編み出せないものかと考えています。

トイレの利用方法の啓発

感染症拡大防止策としては、小さな話だと思われるかもしれませんが、職場や公共の場所におけるトイレの利用方法についても、啓発活動を徹底することが必要です。

昨年から今年にかけてインフルエンザ患者数が激減したことから見ても、ほとんどの皆様がマスクの着用を徹底して飛沫感染を防ぐ努力をしたことについては、効果があったと考えられます。

他方、トイレについては、蓋を閉めて水を流さないとトイレの空間にウイルスが飛散すること、排泄後の石鹼を使った手洗いと手指消毒を徹底するべきことを、多くの方々に共有していただかなければなりません。

公共施設のトイレでも、ホームセンターなど民間施設のトイレでも、「蓋を閉めてから水を流して下さい」という貼り紙がある所とない所があります。医療の専門家である同僚議員が現状を心配しておられましたので、私も特に気になるようになったしだいです。

「ロックダウン」ができない日本

先日、全国知事会から内閣に対して「ロックダウンを可能にする法整備」を求める声が伝えられ、自民党の下村政調会長も検討を開始する意思を表明された旨が、報道されていました。日本には、いわゆる「ロックダウン」(都市封鎖・罰則付きの外出禁止命令など)を可能にする法律がありません。

仮に事態がさらに悪化して、人流抑制を目的に強制力と罰則を伴う法整備を行う場合には、「与野党合同の法制化検討チーム」を組織して、合意を得てから国会に提出する方法を採らなければ、憲法論議に膨大な時間を割くことになり、政治的には困難が多い課題だと感じています。

少なくとも日本国憲法第22条の「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する」が関係してきます。日本国憲法が保障する基本的人権も絶対不可侵ではなく、「公共の福祉のため」に必要な場合に制約を加えることは、同条にも明示されています。憲法第12条、第13条にも、「自由」「権利」と「公共の福祉」との関係が記されています。

内閣法制局の職員に聞いてみましたら、「外出禁止という権利の制限が『公共の福祉のため』と言えるかどうかについては、具体的にどのような目的で規制を行うのか、規制を行う地域、人、物はどのような範囲に及ぶのか、その範囲は目的との関係で必要最小限のものといえるのか、等々をみて判断していくことになる」ということでした。

現時点では、「都市封鎖」(一定の地域を封鎖して出入りを規制する措置)を可能にするような法的根拠はありません。「外出を禁止し、違反者に罰則を科す」ような規定も存在しません。

特に「罰則」については、日本国憲法第31条が、「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない」と定めています。よって、法律が制定されていない段階で、内閣がこれらの措置を行うことはできません。

国民の皆様の自由や財産を制限ないし侵害する行為には、法律の根拠が必要です。この原則は、日本国憲法の個別の条項に明記されているわけではありませんが、日本国憲法が採用する三権分立の考え方や法律をもって定めることを明記している個別の条項から、日本国憲法が当然の前提としているものと解釈されています。

憲法も含めて法制度整備が必要

昨年1月以降、世界中の人々が新型コロナウイルス感染症の拡大に苦しみ、各国で「ロックダウン」など強制的な対応が行われました。一部の国では反発する人達による大規模デモや、エッセンシャルワーカーの職場放棄などが報じられました。

日本では、「ロックダウン」を可能にする法律がないなかで、ほとんどの国民がマスクを着用し、手洗いや消毒など清潔を心掛け、厳し過ぎる経営状況のなかでも多くの事業者が時短営業や休業に協力して下さっています。医療、福祉、教育、流通、運輸、消毒、行政をはじめ様々な分野の多くの方々が、感染リスクに晒されながらも国民の生命と暮らしを守るために激務に耐えて働き続けて下さっています。日本は、本当に凄い国だと思います。

「ワクチンや治療薬の国内生産体制」を構築するとともに、「ワクチン接種の促進」や「治療薬の早期投与が可能な環境を作ること」で「重症者数・死亡者数の極小化」に重点的に取り組み、一人一人が引き続きマスクの着用や消毒など「衛生対策」に留意したならば、状況は徐々に改善していくと考えています。

「今、ロックダウンが必要かどうか」ということについては、様々な考え方があると思いますので、専門家も含めて多くの方々からの情報も収集しながら、内閣や各党における論点整理の場が必要です。

ただし、エボラ出血熱など死に至るまでの時間が短い感染症のリスクもありますから、新型コロナウイルス感染症に限定して考えずに、「様々な感染症への備え」としての法制度整備が必要か否かという観点で議論しなければならない課題です。

別途、テロ発生時や武力攻撃を受けた時、海外で邦人が危険に晒される可能性が高い時などに、外出禁止、渡航禁止など、生命を守る目的に限定して、一定の自由や権利の制限ができるように、日本国憲法も含めて法制度整備をしておく必要性については、海外における様々な事件(日本人が犠牲になった事件もあります)から痛感しています。

大胆ですばやい財政措置

飲食店をはじめ様々な事業者への時短・休業要請を行う場合には、事業主体を存続させるために十分な資金手当を行うことが必要だと考えます。

既に国会で成立した『新型インフルエンザ等対策特別措置法』の第45条2項3項、第79条では、施設管理者等に要請を行い、正当な理由がないのに要請に応じない場合は、一定の条件のもとに命令を行い、命令違反に対して過料を科す仕組みになっています。

新型コロナウイルス収束後には、買い物、外食、旅行など、我慢していた消費が爆発的に増える「消費急増期」が到来するはずです。その時に経済の担い手となる事業主体が消滅していては話になりません。

むしろ手厚い支援を行い、地方においても、今のうちに「選ばれる商品・サービス」の準備を行っていただけるような環境を整えることが、中期的に日本経済の回復に資するものだと考えます。

そこで、今年5月28日に、自民党の同志議員とともに、菅義偉総理宛の提言書を提出しました。

■コロナ禍前の令和元年度の課税所得と2年度課税所得の差額の8割を、税理士会の協力を得て還付金用口座に振込むこと

■小規模事業者には、100万円と200万円の持続化給付金を再支給すること(減収要件を3割にする)

■生活困窮者に、特別定額給付金10万円を再支給すること

■予備費残額3兆9880億円(5月時点)を早期に活用し、不足分は補正予算で措置すること

などの内容です。このような提言活動も、与党議員にとっては内閣への応援の一環です。

しかし、補正予算の編成がないまま通常国会は閉会となり、私達の落胆は大きいものでした。特に使途の自由度が高い地方創生臨時交付金について、地方創生臨時交付金の繰り越し分は枯渇しかけています。

命を守り、今後の経済再生を可能にするために、様々な財政措置が必要な時です。今でも、早期の補正予算編成には期待を繫いでいます。

創薬力の強化と日本の弱点

コロナ禍で困っていることは、ワクチンと治療薬について、国内生産による安定的な供給体制が確立されていないことです。

ワクチンについては、国内でも大学と企業が連携してワクチン開発が行われていましたが、接種開始時期には間に合わず、外国産ワクチンに頼らざるを得なかったことから、果たして十分な供給量を確保できるのかどうかという不安が拡がりました。

治療薬についても、軽症、中等症Ⅰ、中等症Ⅱ、重症と、病状によって対応する薬がありますが、国内生産していない薬に頼らざるを得ず、早期に全ての患者に処方できるだけの量が確保されているとは考えられない状況です。

今夏は、大手コンサルティング企業や、海外で活躍中のメディカル企業の幹部から、日本の製薬企業のグローバルな立ち位置について、教えて頂きました。

先ず、日本の製薬企業は、企業全体、創薬においても、研究開発の生産性の高い数社を除いては、グローバル大手の平均以下のパフォーマンスだということでした。上位25社には、売上規模で4社、時価総額で3社しか入っておらず、メガファーマのグループに近いのは武田薬品だけです。

コロナ・ワクチンのファイザーなど「メガファーマ」の次に来るのが、フォーカスしたR&D(研究開発)を進めている「スペシャリティファーマ」です。特定分野での成功率は高く、例えば、ノボノルディスクは糖尿病や成長ホルモンなどの薬に、イーライリリーは癌の薬に特化しています。

日本の製薬企業では、中外製薬と第一三共が分野を特化しており、期待が高いそうです。

特に中外製薬は、ロシュとの提携を活かした研究開発力と販売力が高く、新薬の開発力が目立っています。最近では、新型コロナウイルス感染症の軽症時の治療薬として期待を集めている抗体カクテルの日本における独占販売権も獲得しました。

ロシュは、乳癌など癌治療薬で注目されている企業ですが、タミフルも、作ったのはギリアドですが、ロシュが買い取って販売しています。第一三共は、抗癌剤が米国で認可されて、株価が上昇しました。20年来の努力が最近になって花開いています。

世界の売上トップ20製品のうち、日本企業は、1995年に第一三共の高脂血症治療薬と田辺の狭心症治療薬がランクインしましたが、2020年は小野薬品のオプジーボのみでした。2020年の売上トップ20製品は、特化型・難病対策の治療薬(癌、免疫疾患など)が多く、日本企業は「高分子薬」「バイオ薬品」への切り替えが遅れたと分析されています。

多くの日本企業の「創薬パフォーマンスの低さ」の要因については冷静に分析しながら、今後は「創薬力の強化」に向けた取組を本気で始めなければならないと考えます。

第1に、「メガファーマ」は対象とする疾患領域が幅広く、「スペシャリティファーマ」は対象領域を絞っており、日本の製薬企業はどっちつかずになっています。

第2に、創薬プロジェクトの可否を早期に見極め、適切にリソースを最適化する柔軟性が不足していることです。グローバルファーマは、研究段階で考えた薬の能力を動物ではなく人で臨床治験して、絞り込みを早期に行うということですが、これは、日本では賛否の大きく分かれるところで、実に困難な課題です。

第3に、ベンチャーのエコシステムが弱いことです。欧米と比べますと、資金面、機能面ともにインキュベーション(事業の創出・創業支援)の仕組みが不十分です。

米国のバイオクラスターであるサンディエゴでは、循環する資金と人材に加えて、弁護士、会計士など専門職を含めた研究開発段階のエコシステムが形成されているということです。この点は、産学金官で連携して、改善策を講じられると思います。

第4に、臨床開発環境の未整備です。日本では、総合病院が多いですから、一つ一つの領域の患者数が少なく、患者組み入れコストが高いのです。患者データも医療機関ごとに分散していますから、対象患者を見付けにくいということです。

例えば、癌特化病院は日本全国で350から400もあり、薄く広がり、研究や教育ができる医師が散らばっています。海外のCenter of Excellenceが特定領域に特化しているのとは対照的だと言われます。

米国との研究資金の差

第5に、トランスレーショナルリサーチ(基礎研究から臨床現場への橋渡し研究)が脆弱です。つまり、理論から臨床への繫ぎが弱いということです。臨床研究の論文数が少なく、phDの人数も少なく、学位取得後の企業への就職比率は、米国に比べると圧倒的に低くなっています。

産学連携の人材交流も限定的だとされます。

その理由として、「『臨床研究法』によって、医師主導の治験がやりにくくなったからだ」という指摘があります。同法の制定は、ノバルティス社員の臨床データ改竄がきっかけでした。製薬企業から資金提供を受けた臨床研究への縛りが厳しくなり、共同研究が困難になったそうです。

これも、人命に関わることですから、データ改竄の再発がないように留意しながら、改善策を検討したいと思います。

第6に、研究資金の差です。

NIH(米国の国立衛生研究所)とAMED(国立研究開発法人 日本医療研究開発機構)の研究資金力に大きな差があることに加え、基礎⇒応用⇒ 臨床と繫いでいく公的資金が少ないのです。

医療分野の研究助成金の規模は、米国が日本の22倍になっており、政府の研究開発予算における医療分野の割合も、米国が日本の6倍です。

医療分野の予算の流れを見ますと、米国では、NIHから直接、大学や研究所に渡りますが、日本では、文部科学省、厚生労働省、経済産業省からAMEDとインハウス研究機関に渡り、その後、臨床研究中核病院や大学や国立研究所などに渡っています。

ここは、研究資金の配分方法と規模も含めて検討した上で、国が「危機管理投資」及び「成長投資」として大胆に支援するべき点だと考えます。

第7に、薬価制度の抜本的改革で、製薬企業の稼ぐ力が減少したことです。つまり、革新的な薬剤に対する見返りが少ないということです。ここは、患者負担も含めて政治の現場での議論が激しくなる点です。

以上の問題意識を持った上で、私は、米国の商務省が所管する『特許規則連邦規則法典』第37巻第404条6項についても、研究してみたいと考えています。

NIHの技術シーズを、同法に基づき、実用化の独占的ライセンスを中小企業に優先的に付与するものです。バイオベンチャーは技術シーズがなくても起業できる代わりに、迅速な開発と商業化を要求されます。

自民党社会保障制度調査会に設置された「創薬力の強化育成に関するプロジェクトチーム」でも、今年5月に提言が取り纏められています。

先に述べた私の問題意識と概ね同様の方向性ですが、党提言のなかでは特に「緊急時に新薬・ワクチンを迅速に実用化できる薬事承認制度の確立」が、多くの国民の皆様の願いに沿っているのではないかと思います。

 ◇

 感染症に関する医療の世界や行政の世界には、山ほどの課題があり、その一つ一つをえぐり出している高市氏の調査研究力には脱帽します。実は日本の国会議員、それは与野党を問わず、このような調査研究力とその実行力が求められています。そうでなければ、年間様々な歳費を含めて4千万円の報酬を得る価値がありません。

 与野党を問わずといったのは、政権交代も有りうる日本の政治制度の中で、それを可能にするのは、野党であってもこうした調査研究を元にした、政策課題を常に策定し、次の政権を狙う能力を持つ事につきると思います。

 しかし、現状のように政府の政策批判とその反対・裏返しの政策提案だけでは、万年野党になるのも当たり前でしょう。そのことが日本の政治の低迷を許し、ひいては日本の弱体化につながっていることを認識すべきです。

 そうした政治の閉塞感を打ち破るためにも、政策提案に長けた高市氏の登場を期待するものです。そしてその思いを是非実行に移していただきたいと思います。あすの日本のために。

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2021年9月25日 (土)

高市早苗氏の一推し政策、サナエノミクス「日本経済強靱化計画」

7_20210925092301  今回は再び高市早苗前総務大臣の政策課題を取り上げます。高市氏の経済政策は「日本経済強靱化計画」と名付けられましたが、原則として安倍政権下の「アベノミクス」を継承し、「サナエノミクス」として拡大発展させ、具体的な政策を盛り込みました。

 その「日本経済強靱化計画」の全貌が、月刊hanadaプラスに記載されていますので、以下に引用します。タイトルは『【わが政権構想】日本経済強靭化計画』(9/3公開)です。かなり長文なので、お忙しい方は太字の項目タイトルを追って、飛ばし読みいただければと思います。

「安倍さんに『出馬してください!』と何十回お願いしても『100%ない』とおっしゃるので、7月下旬、もうこれが最後との思いで、もう一度お願いしました。そこできっぱり断られたので、『そんなんやったら、私、出たるからな』と安倍さんに言うたんです。止められもせず、勧められもしませんでしたが。勉強会を何度も重ねて、一緒に政策作りにも励んできました。『書き溜めてきた政策はどうすればいいんですか』と安倍さんに尋ねたら、『高市さんが発表すればいいじゃない』と(笑)」(月刊『Hanada』2021年10月号より)。独占無料公開! 高市早苗議員が日本を強くする「経済強靭化計画」のすべてを語った!

*****

『サナエノミクス』は『ニュー・アベノミクス』

私の経済政策は、『ニュー・アベノミクス』と呼んでも良いものだと思います。

『アベノミクス』は、第1の矢が「大胆な金融緩和」、第2の矢が「機動的な財政出動」、第3の矢が「民間活力を引き出す成長戦略」でした。『サナエノミクス』は、第1の矢が「大胆な金融緩和」、第2の矢が「緊急時に限定した機動的な財政出動」、第3の矢が「大胆な危機管理投資・成長投資」です。

この3本の矢を総動員して、物価安定目標であるインフレ率2%の達成を目指します。日本銀行のイールドカーブ・コントロール(長短金利操作)政策の下で、残存期間10年の国債の利回りをゼロ近傍に固定している状況では、「金融緩和」のみに頼って物価安定目標を達成することは極めて困難です。

『アベノミクス』の第2の矢「機動的な財政出動」は、デフレ脱却のためのマクロ経済政策を担う需要拡大のためのものでした。残念ながら、財務当局がこだわった「PB(プライマリー・バランス=基礎的財政収支)黒字化目標」の下、結果的には緊縮財政を継続せざるを得ない結果となり、物価安定目標の達成を困難にしました。

『サナエノミクス』の第2の矢「緊急時に限定した機動的な財政出動」は、あくまでも災害、感染症、テロ、紛争、海外の景気低迷などの要因による「緊急時の迅速な大型財政措置」に限定することとします。

『アベノミクス』の第3の矢「民間活力を引き出す成長戦略」は、規制緩和などで創意工夫を促進し、より生産性の高い産業・企業に生産要素(労働・資本)が流れやすいようにして経済全体の生産性を向上させようとする「改革」が主でした。

働き方改革、農政改革、電力・ガス小売全面自由化、貿易自由化などが、安倍内閣の成果として象徴的でした。今後も、十分なセーフティネットを前提に、真に必要な「改革」については、個別の法制度整備によって対応を続けるべきであることに変わりはありません。

『サナエノミクス』では、第3の矢「大胆な危機管理投資・成長投資」が、大規模な財政出動や法制度整備を伴うものであり、重要な位置付けとなるのです。

第3の矢「大胆な危機管理投資・成長投資」

「危機管理投資」とは、自然災害や疾病、サイバー攻撃や機微技術流出を含む経済安全保障上の課題、テロ、国防上の脅威など様々な「リスクの最小化」に資する研究開発の強化、人材育成、安全と安心を担保できる製品・サービスの開発や社会実装、重要物資の調達などに資する財政出動や税制措置を行うこと。

「成長投資」とは、日本に強みのある技術分野をさらに強化し、新分野も含めて、研究成果の有効活用と国際競争力の強化に向けた戦略的支援を行うことです。

「危機管理投資」によって世界共通の課題を解決できる製品・サービス・インフラを生み出すことができた場合には、国際展開を行うことによって「成長投資」にもなるのです。

自然災害でもサイバー攻撃でも、事前の備えにかかるコストより、復旧にかかるコストと時間のほうが膨大です。「危機管理投資」の恩恵は、これから生まれる未来の納税者にも及ぶものです。

また、「危機管理投資」も「成長投資」も、雇用を生み、個人や企業の所得を増やし、消費マインドを改善させ、製品・サービスの輸出も見込めることから、結果的には税収増を目指すものです。

真に力強い経済を目指すためにはインフレ率3%以上が理想ですが、先ずは物価安定目標であるインフレ率2%を達成するまでは、時限的に「PB規律」を凍結して、戦略的な「大胆な危機管理投資・成長投資」に係る財政出動を優先する。

頻発する自然災害やサイバー攻撃、感染症、エネルギー制約、高齢化に伴う社会保障費の増大など困難な課題を多く抱える現状にあって、政策が軌道に乗るまでは、「追加的な国債発行」は避けられません。

イェール大学の浜田宏一名誉教授が「政府の財政収支を気遣うあまり、現在苦しむ人を助けず、子供の教育投資を怠って、生産力のある人的資本を残さないでもよいのか」と表現しておられたのが分かりやすい。

こう書くと、「日本国が破産する」と批判される方が多いでしょう。

しかし、国債発行は「避けるべきもの」ではなく、「必要な経費の重要な財源として活用するべきもの」。もちろん、債務残高対GDP比については注視していきます。

特に、

「日本では、日本銀行に通貨発行権があり、自国通貨建て国債を発行できることから、デフォルトの心配がない幸せな国であること」

「超低金利の現在がチャンスであり、PBが赤字でも名目金利を上回る名目成長率を達成していれば、財政は改善すること」

「企業は、借金で投資を拡大して成長するが、国も、成長に繫がる投資や、将来の納税者にも恩恵が及ぶ危機管理投資に必要な国債発行については、躊躇するべきではないこと」

を、強調しておきたい。

自国通貨を持つ米国(ドル)、英国(ポンド)、日本(円)では、中央銀行が自国通貨を発行できる。買いオペをして、国債と通貨を交換することができる。国債を発行して政府支出を行えば、マネーストックは増えます。「政府の借金」が増えることは、「国民の資産」が増えることです。

『財政法』第4条が「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。 ただし、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる」と規定していることから、「建設国債なら良いが、赤字国債の発行は違法ではないか」と質されることもありますが、特別に赤字国債の発行を認める『特例公債法』(年度毎に名称は区々)を制定した上で「国会の議決を経た金額の範囲内」での発行は可能となっています。

財政当局も含め多くの方が、「子や孫にツケを回すことになるので、国債発行は望ましくない」と言われるけれど、将来世代が税金で償還するとしても、償還を受ける世代もまた同世代だ。

将来世代に負担を残すことになるのかどうかは、国債発行によって金利が上がるかどうかで判断するべきです。金利が上がれば、民間投資が阻害され、将来の消費可能資源が減ってしまう。しかし、現在のような超低金利下では、そのようなことは起こりません。

金利が一定の下で貨幣供給を続けると、インフレが止まらなくなるという指摘もある。そのような場合には、「危機管理投資」と「成長投資」について、柔軟に年間投資額を調整すればよい。

「強い経済」は、中期的には財政再建に資するものであり、将来世代も含めた全世代の安心感を創出するための社会保障を充実させる上でも不可欠です。外交力や国防力、科学技術力や文化力の強化、そして豊かな教育の実現にも直結する。

『サナエノミクス』においては、歳出分を全て国債に頼るわけではありません、「分厚い中間層を再構築するための税制改正」の考え方についても書かせていただきます。

育児や介護をしながら働く人たちをサポート

育児や介護や看病をしながら働く方が多い中、「ベビーシッターや家事支援サービスの利用促進策」として、利用代金の一部を税額控除することを提案します。

実は、自民党政調会長在任中に、「ベビーシッター等減税」を内閣への提言書に盛り込んだことがありました。

ところが、「ベビーシッターや家事支援サービスを利用できる人は高額所得者が多く、金持ち優遇批判を受ける」「そもそもベビーシッターや家事支援業には国家資格がなく、税制優遇の対象としにくい」などの指摘を受け、同年の厚生労働省の税制要望事項にはなりませんでした。

その代わり、内閣府が「企業主導型ベビーシッター利用者支援事業」を開始し、企業が「公益社団法人 全国保育サービス協会」に申し込めば、2,200円の割引券(月、一家族24枚上限)が受け取れる施策ができた(対象児童1人につき1日2枚使用可能)。しかし、割引券等取扱事業者以外のベビーシッターには利用できず、そもそも本事業をご存知ではない事業者や従業者が多いのではないかと感じています。

現在は国家資格がありませんが、ベビーシッターについては「公益社団法人 全国保育サービス協会」が独自資格を付与しているし、家事支援サービスについては「公益社団法人 日本看護家政紹介事業協会」による家政士社内検定がある。

厚生労働省が所管する『職業能力開発促進法』に基づく『省令』の改正を行い、前記の2団体が有するノウハウを活用しながら「国家資格」にした上で、利用者が直接、税額控除を受けられる方法に変更したほうが、使い勝手が良い。

育児、介護、看病をしながら働く方々をサポートする環境作りも、大切な「成長投資」だと考えてます。

「災害損失控除」の創設を

これは税理士の先生方からのご指摘で気付いた課題です。

個人が災害により被害を受けた場合、現行の「雑損控除制度」では、課税所得の計算上、災害による損失と盗難・横領による損失を同じ取扱いにしている。

しかし、災害による損失は、盗難・横領による損失よりも多額になることが多い。保険金で損額が全額カバーされるわけでもない。その場合の救済策として、雑損控除から自然災害による損失を独立させて「災害損失控除」を創設するべきだというお話でした。

災害による担税力の喪失を最大限に勘案する観点から、先ず災害の有無に関わらず適用される他の所得控除を適用し、最後に「災害損失控除」を適用する順番とする。

激甚災害によって被害を受けた場合、生活基盤の再建には長期間を要する。よって、当年分の所得金額から災害損失と純損失を控除し切れない場合の繰越控除期間は、現在の3年よりも延長し、東日本大震災時に認められた5年にする。

自然災害が多発する昨今、多くの方々が望んでおられる税制改革案だと納得しました。

「内部留保課税」よりも、「現預金課税」で

次に、嫌われる増税の話です。

昨今、「厳しい景況下でも企業の内部留保は増えている。従業員の賃金増や設備投資を行わず企業が貯めこんでいる。内部留保課税をするべきだ」という声をよく伺います。「内部留保」とは、企業が得た利益から株主への配当金、税金や役員賞与金など社外流出分を引いた利益留保額で、「利益剰余金」と呼ばれます。

企業の危機対応や成長投資などに使われるが、リーマンショック以降、海外子会社への投資や海外企業に対するM&Aに活用され、固定資産を取得している場合もあり、必ずしも企業内貯蓄として現金が余っていることにはならない。

東京財団政策研究所研究主幹の森信茂樹氏によると、2015年に韓国で、設備投資や賃上げを行わずに内部留保を積み上げる企業への懲罰的な課税として「企業所得還流税制」と呼ばれる内部留保課税が3年間の時限措置として行われたものの、結局、設備投資も賃上げも実施されず、留保金課税を避けるために配当の増加で利益処分を増やしたということでした。

「内部留保」は貸借対照表では「貸方」ですが、私は、むしろ貸借対照表では「借方」の「現金・預金」に着目している。

『法人企業統計調査』の2021年1~3月期を見ると、前年同期に比べて「現金・預金」が約34兆円増え、総額235兆円を超えている。仮にこの「現金・預金」だけに1%課税しても、2兆円を超える税収になる。ただし、資本金1億円未満の企業は課税対象外にするという方法も考えらます。

企業規模別の統計は、2019年度分が最新データ。同年度の法人企業の「現金・預金」の総額は、221兆2,943億9,100万円。資本金1億円未満の企業の「現金・預金」総額122兆7,305億400万円を除くと、98兆5,638億8,700万円。ここ数年間の増額傾向を考えると、現状、概ね100兆円と推測できます。仮に1%の課税で1兆円、2%の課税で2兆円ということになる。

ただし、「現金・預金」への課税であれ、「内部留保」への課税であれ、法人課税された後のものなので、「二重課税だ」という不満は出ると思います。

仮に「従業員への分配」を進めることだけを目的にするのならば、各種特別措置を廃止して法人税率を一律25%にして、5%以上の昇給を実施した企業については5%の減税措置を講じる方法もある。

「炭素税」の在り方

これも、増税の話になります。

菅内閣が「2050年カーボンニュートラル」という大きな目標を表明したことから、「炭素税」の議論が活発になってきている。

現在の日本で「炭素税」と呼べるものは、CO2排出量に比例して課税されている「地球温暖化対策税」です。石油石炭税の上乗せ税率として、2012年に導入されました。

「地球温暖化対策税」では、全ての化石燃料に対してCO2排出量1トンあたり289円が課税されています。英国では約2,600円、フランスでは約5,600円、スウェーデンでは約1万5,000円という水準だそうだから、日本は極端に低い。

この「地球温暖化対策税」の税率を引き上げるというシンプルな方法も考えられますが、その税収は「エネルギー特別会計」に繰り入れられて、地球温暖化対策に充当される。

事業者の税負担が増え、消費者に転嫁される可能性が高い場合、その税収の使途は、所得税減税で家計負担を軽減したり、法人税減税で企業の負担を軽減したり、産業構造転換に使ったり、納得感のあるものにできるほうが望ましい。

すると、使途が限定されてしまう「地球温暖化対策税」の引上げ以外の方法を考慮したほうが良い。

現行の「石油石炭税」については、CO2排出量1トンあたりの税負担が、品目ごとにバラバラで不公平感が大きい。原油・石油製品は779円、ガス状炭化水素は400円、石炭は301円。この格差をなくすような「炭素税」を設け、原油・石油製品は低額に、石炭は高額に設定する方法もあるでしょう。

公平で、使途についても納得感があり、事業者の技術革新を促し、成長に繫がるような税制を構築しなければならない。

今後も専門家による様々なアイデアが出てくると思うので、よく注視しながらベストな税制を考えていきたいと思います。

「金融所得税制」の在り方

引き続き、増税の話です。

金融所得税制については、「逆進性」が大きい。不満は出ると思いますが、この時期には増税をさせていただきたい。

マイナンバーを活用して金融所得(配当所得と譲渡益)を名寄せして、50万円以上の金融所得の税率を現状の20%から30%に引き上げると、概ね3,000億円の税収増になります。2021年度(予算)の配当所得と譲渡益に係る財務省資料の数字を基に試算です。

「給付付き税額控除」の導入を

私は、「格差の是正」を目指す場合にも、「勤労インセンティブを促す」税制にすることが必要だと考えます。

低所得の方に対しては、勤労税額控除である「給付付き税額控除」を導入して支援したい。一定額を下回る所得層に対して還付金を給付するもので、税制を社会保障に活用するので、行政コストも安く済む。

「給付付き税額控除」が最初に議論されたのは麻生内閣の時でしたが、当時は正確な所得の把握が課題だった。2016年に導入されたマイナンバー制度により、正確な所得把握の条件は整っているし、銀行口座情報をマイナンバーに紐づけることによって迅速な給付が可能です。

日本経済が成長軌道に乗れば、将来的には、所得税課税最低限の引き下げとセットで所得税率を一律10%程度にすることで、所得税収総額は減らさずに、各人が努力しただけ報われる税制とすることが私の理想です。

「払う人」と「貰う人」の2分化が進み過ぎると、リスクをとって努力する人が日本に残らなくなってしまう。しかし、コロナ禍の現状では、前記の方法で財源を確保して、「分厚い中間層」を再構築するための格差是正策を断行する必要がある。

危機管理投資=成長投資

私が特にこだわっている第3の矢「大胆な危機管理投資・成長投資」に話を戻し、幾つかの例を紹介しましょう。

□必需品の国内生産体制構築に向けた投資

昨年来、私達は、マスク、消毒液、防護服、ゴーグル、人工呼吸器、麻酔薬、注射器、パルスオキシメーター、非接触体温計などの不足を経験しました。新型コロナウイルス感染症の軽症から中等症の患者に対応する治療薬を輸入しなくてはならなかったことも、不安を拡げた。半導体も世界中で不足していた。

特に大半を中国からの輸入に頼っていた衛生・医療用品については、サプライチェーンの脆弱性を思い知りました。米国には、『国防生産法』という法律があり、政府に、緊急時に産業界を直接統制できる権限を付与しています。

昨年3月、当時のトランプ大統領は、同法に基づき、自動車大手GMに対して、人工呼吸器の製造を命じました。

今年1月に就任したバイデン大統領も、同法に基づき、医薬品メーカー、メルクの工場を、ライバル企業J&Jのワクチン生産に転用し、米国内のワクチン生産を加速させた。米国政府は、メルクがワクチン生産や瓶詰めをする設備を導入できるよう、1億500万ドル(約116億円)を支出しました。 

日本の法律では、民間企業に対して、特定の製品を作ることや国内生産を強制するような対応はできません。しかし、私は、感染症や大規模災害の発生など緊急時でも「生活・医療・産業に必要な物資」の国内生産・調達を可能にする施策を確立することが必要だと考えます。

具体的には、「生産協力企業への国費支援策の具体化」「研究開発拠点・生産拠点の国内回帰を促す税財政支援策の構築」「基礎的原材料の確保」などが、「危機管理投資」になります。

□情報通信機器の省電力化研究への投資

社会全体のデジタル化が進む中、消費電力が急増しつつあることに危機感を抱いています。

情報通信関連の消費電力は、2030年には現在の約30倍以上に、2050年には約4,000倍以上に激増するという予測があります(国立研究開発法人 科学技術振興機構)。特にAI(人工知能)、データセンター、ネットワーク系、スーパーコンピュータの消費電力が大きい。

たとえば、「アルファ碁」を1時間稼働させると、60世帯が1時間に使用する電力を消費すると言われます。今や日常的に利用する製品・サービスにもAIが搭載されており、AIの省電力化は急務です。

また、昨今は、経済安全保障を意識して、「データセンターの国内回帰」を求める声が高まっています。特に消費電力が多いサーバを中心にデータセンターの省電力化も急務です。

裾野が広い情報通信産業における「省電力化研究開発の促進」とともに、「安定的な電力供給体制の構築」を急がなければ、生活や産業が成り立たなくなる時が迫っています。

この分野への国費投入は「危機管理投資」ですが、世界中が同様の課題に直面することから海外展開ができるので「成長投資」にもなり得る取り組みです。

太陽光パネルのリサイクル技術開発への投資

太陽光パネルの耐用年数は20年から30年とされているので、2012年の「再生可能エネルギー固定価格買取制度」創設から計算すると、約10年後には、耐用年数を迎えた初期型パネルの大量廃棄が始まるでしょう。現在でも、自然災害によって損壊した太陽光パネルの廃棄は行われています。

太陽光パネルには、鉛やセレンなど有害物質を含む製品があり、適切に処分しないと「土壌汚染」が発生。建物から取り外しても、日光が当たる限り太陽光パネルは発電を続けるので、パネル面を表に向けたまま廃棄した場合、「感電の危険」があります。

多くの皆様の安全に関わる課題だと考えたので、総務大臣在任中だった2017年に、行政評価局長に対し、「太陽光発電設備の廃棄処分等に関する実態調査」を指示。その結果、「産廃処理事業者が、有害物質の含有可能性を認識せずに破砕し、遮水設備のない処分場に埋め立てていた」ケースが報告されました。

また、「産廃処理事業者が有害物質の含有状況を確認しようとパネルメーカーに照会したのに、メーカーが情報開示を拒否した」という悪質なケースも。

事業者によると、太陽光パネルのリユース・リサイクルを実施する事業者はほとんどないそうです。パネルの2割を占めるアルミフレームはリサイクルに回りますが、7割を占めるガラスは、分解が容易ではなく、再生利用先の確保も困難なので、破砕され、埋められます。

リサイクルを推進するためには、強力接着されたガラスや結晶シリコンなどの分解技術の開発や、コスト面の課題を克服する必要があるということでした。

私は、製造業者を含む関係事業者による使用済みパネルの回収・適正処理・リサイクルシステムの構築のために必要な「法制度整備」を、特に経済産業省に強く求め続けてきましたが、未だ実現していません。

太陽光パネルのリサイクルに必要な技術の開発は、約10年後に迫った大量廃棄の発生に備えた「危機管理投資」であり、世界の太陽光発電市場の大きさを考えると「成長投資」にもなる取り組みだと考えます。

この他、感染症収束後には大量廃棄が見込まれる「アクリル板の処分方法」についても、環境に優しい処分方法の研究や地方自治体への財政支援も、国が行うべき「危機管理投資」だと思います。

防災・食・住の変革に対応できる投資

気象庁の『地球温暖化予測情報第9巻』と環境省の『2100年未来の天気予報(夏)』を併せ読むと、衝撃的な日本列島の姿が容易に想像できてしまい、怖くなります。

地球温暖化対策が上手くいかない場合、55年後(2076年)から79年後(2100年)の変化として、全国平均4・5度以上の気温上昇により、局地的に1時間に100ミリの激しい雨が降り、最大瞬間風速70メートルから90メートルの台風に襲われ、農産物の品質や収穫量も変わってしまう。

風速70メートル超の風や1時間に100ミリを超える雨は、「土木」や「建築」に根本的な変革を促します。しかも、いきなり55年後に起きる変化ではなく、年々気候は変動していくわけですから、生命を守るために、「厳しい気候にも耐え得る土木・建築技術の研究開発」と「防災対策への大胆な投資」を急がなくてはなりません。

「防災対策」は、10年間で約100兆円規模の『中期計画』を策定し、技術革新とともに計画を更新しながら継続していくべき重要な「危機管理投資」です。

気候変動によって、「食」も「住」も、現在とは大きく変わるでしょう。世界的な「水ストレス人口の増大」も避けられません。55年というと長いようですが、国民の「食」と「住」が変わるには、1世代の時間が必要。今から優先順位を決め、取り組みを加速させるべきです。

「農業」については、気候変動に対応しつつ、データを駆使し、生態系を持続させる形に転換させることになるでしょう。  

農地や牧地に止まらず河川流域全体や市街地全体を再設計する「グリーンインフラ技術」が注目されています。同じ変化に見舞われる諸外国に関連技術や産業は輸出できるので、同分野への投資は「危機管理投資」と同時に「成長投資」にもなる。

これらの課題については、現内閣では政策が体系化・具体化されていないので、集中的な検討をしなければなりません。

「老朽化した集合住宅の増改築投資」も、喫緊の課題です。

国土交通省が老朽化した集合住宅の建て替えを促進するために容積率を増やす『省令』 『告示』の改正を行うことが追い風になるはずですが、「空き住まい部分の買い取り」「増改築」「管理・売却の代行」を一体的に行う仕組みを整備する必要があります。UR(都市再生機構)の機能を強化し、実施自治体を支援する財政措置を新設することが現実的です。

現状の防災対策としては、地方自治体には「使えるものは、使う」という観点から、国の施策も積極的に活用していただきたい。

たとえば、私自身が発案し、『地方財政法』を改正し、令和2年度に創設した「緊急浚渫推進事業」を早期に活用した地方自治体では、昨年の7月豪雨で被害が出ませんでした。「浚渫(しゅんせつ)」というのは、河川や貯水池などの水底の土砂を掘り取ることで、河川の流路を拡げたり、深度を増したりすることができます。

主要河川と言われる1級河川は、『河川法』によって国土交通大臣が指定し、浚渫などの維持管理費用も国土交通省が措置する。しかし、2級河川と1級河川の一部区間は都道府県知事が指定し、準用河川は市町村長が指定することとなっており、維持管理費用は国庫補助事業の対象とならず、地方自治体の厳しい財政事情から、十分な対応ができていませんでした。

近年の豪雨災害では、市町村管理の小さな河川の越水でも命に関わる被害が出ており、地方自治体が自ら防災事業に取り組める環境を整えることが急務です。

「緊急浚渫推進事業」の「浚渫」とは、河川、ダム、砂防、治山に係るもので土砂の除去・処分、樹木伐採などを含め、事業費総額は5年間で約4,900億円規模。令和3年度からは、農業用ため池も対象に追加されました。

各地の川底を掘って発生した土砂については、土質などの情報を公表することにより、地方自治体や建設事業者が他の事業に広く有効活用できる仕組みも構築。

富山県立山町では、浚渫事業により発生した土砂を企業団地の造成事業に活用し、宮崎県では、津波避難のための高台整備事業、道路改良事業、河川堤防整備事業に活用しました。徳島県は、四国横断自動車道の工事に活用しています。土質にもよりますがが、土砂の売却によって地方自治体の新たな財源を生む可能性もある。

日本に強みがある技術を活かす投資

私は、「日本に強みがある技術」について、研究成果の有効活用や国際競争力強化に向けた戦略的支援を長期的に行うことが、「成長投資」の目玉になると考えています。たとえば、「電磁波技術」では、神戸大学の木村建次郎教授の手による「マイクロ波マンモグラフィー」に注目しています。

癌組織と正常組織のマイクロ波の反射の違いを利用し、散乱したマイクロ波から癌組織を瞬時に3次元映像化するもの。販売は来年以降になるそうですが、多くの医療機関が導入して「痛くない乳癌検診」「被曝しない検査」が実現したなら、どれほど多くの女性が幸せになることでしょう。

痛みが酷い現在のマンモグラフィーへの恐怖から乳癌検診を先送りしてしまう私のような女性が多いと思いますが、現状では約40%に止まる乳癌検診の受診率が上がることによって早期発見に繫がり、医療費の節約にもなる。

手術費用と治療薬費用を合わせると、年間約632億円の医療費削減効果が見込めます。しかも、世界中に輸出できる医療機器になります。

また、空港などのセキュリティゲートでも、超高感度磁器計測および画像再構成理論を適用した凶器探知なら、無人で機械判定ができ、立ち止まらない検査も可能です。

バイオ関連では、タンパク質の3次元構造解析が可能な「クライオ電子顕微鏡」を実用化・市場導入し、次世代の創薬研究開発の基盤構築に貢献したのは、日本電子。30年以上の産学官連携による研究開発が成功した「成長投資」の好事例です。

光学顕微鏡ならばミクロンレベルだが、電子顕微鏡は1ナノメートル(100万分の分1ミリ)で、原子1個が見えます。供給できるのは世界で3社しかない。電子顕微鏡は、創薬に加え、多分野の材料開発に不可欠。半導体分野でも、半導体デバイスがナノレベルに小さくなっていることから、開発や品質管理に使われています。

日本電子のコアテクノロジーには、核磁気共鳴装置(NMR)もあり、科学技術を前に進める分析の母となりそうです。日本電子の栗原権右衛門会長によると、「過去には政府の『設備整備予算』がついていたが、同政府予算は大幅に減額されている」ということでした。

「成長投資」で応援するべき分野です。

半導体分野と産業用ロボット

世界的に不足している「半導体分野」でも、日本は一定の優位性を維持しています。

ロジック半導体(演算処理)は、自動車とFA用マイコンについて日本企業の世界シェアを見ると、ルネサスが1位。パワー半導体(電力の制御や供給)の世界シェアは、

 

NANDフラッシュメモリ(データ記録)の世界シェアは、キオクシア(旧東芝メモリ)が2位。CMOSイメージセンサの世界シェアは、ソニーが1位。半導体分野で、日本で作れないのは、シングル・ナノのチップ。世界では、TSMC、サムスン、インテルの3社だけが供給している。

半導体は、パソコン、スマートフォン、IoT、DC/HPC、5Gインフラ、電動車、自動走行、スマートシティ、AI、ロボティクスと、日本と世界の成長を支える製品・サービスに欠かせません。

今後、「設計・製造」はもとより、「設計支援」(回路設計図・電子設計自動化支援ツール)、「製造装置」(成膜・エッチング・露光・塗布・現像・洗浄)、「素材」(シリコンウェハ・レジスト)についても、強いプレイヤーを育成するための支援を行うことが、「危機管理投資」にも「成長投資」にもなるでしょう。

また、日本メーカーの「産業用ロボット」は、世界シェアの6割弱を占めている。

世界のロボット4大メーカーは、日本のファナック(シェア1位)と安川電機、スイスのABB、中国のクーカ(ドイツのメーカーを中国が買収)。

世界の産業用ロボット販売台数は、2013年から2017年の5年間で2倍に増加しており、今後も年平均14%増が見込まれています。

産業用ロボットの最大の納入先は自動車産業ですが、電機・電子部品、金属製品、産業機械、家電、物流、航空、宇宙、プラスチック、医薬品、化粧品、食品、農業など、幅広く自動化の展望が開けているので、引き続き成長が期待できる分野です。

順調に見えるロボット分野にも、課題があります。システムインテグレーターの不足です。少人数の個人事業主が多く、資金繰りも厳しい。人材育成と資金繰り支援は、「成長投資」になるはずです。

量子技術、漫画、ゲームも日本の強み

「マテリアル(工業素材)」も強く、日本の輸出総額のうちマテリアルは自動車と並んで2割を超えています。例えば、「液晶ディスプレイ」に使われるマテリアルについて、日系企業の世界シェアを見てみましょう。

「偏光板保護フィルム」では、富士フイルムやコニカミノルタなどで世界シェアは10割。「ガラス基板」では、AGC(旧旭硝子)や日本電気硝子などで5割。「偏光板」では、日東電工や住友化学などで6割。「ブラックレジスト」では、東京応化、三菱ケミカル、日鉄ケミカル&マテリアルなどで7割。「カラーレジスト」では、JSR、住友化学、トーヨーカラーなどで7割。

モビリティ、エネルギー、デバイス・センサー、食料など、私達の暮らしに欠かせない分野で「マテリアル」の重要技術領域は非常に多いのです。

今後、資源代替・使用量削減・易分別設計など「マテリアルの高度循環のための技術開発」や、MI、計測・分析、スマートラボ、製造プロセス、安全評価技術など「共通基盤技術の開発」を国が支援することは、有効な「成長投資」となります。

「量子工学」は、国家安全保障の帰趨を制する技術。欧米や中国は「量子技術」を国家戦略上の重要技術と位置付け、戦略策定、研究開発投資の拡充、拠点形成を急いでいます。   

日本でも安倍内閣が昨年1月に『量子技術イノベーション戦略』を策定した。当時の総務大臣だった私は、「量子セキュリティ技術」の研究開発の中核拠点をNICT(国立研究開発法人 情報通信研究機構)に整備することとし、運営交付金43・9億円を計上しました。

量子技術においても、「基礎理論」や「基盤技術」では、日本が優位性を持っており、欧米からの関心は高い。私は、安全保障の観点から、特に「国産の量子コンピュータ開発」を急ぐ必要があると考えています。

今年、IBMの実機が日本に導入されましたが、私は、理化学研究所、日立、富士通、NECには、十分にハードウェアを開発できる技術と人材があると思っています。しかし、個社の経営陣が巨額の開発費を使うプロジェクトを決断するのは困難でしょう。

スーパーコンピュータ「富岳」の開発も終わり、次の大型国家プロジェクトとして、理化学研究所と企業群を中心に「量子コンピュータ開発機構」を設立し、3年間で3,000億円規模の集中支援を行い、国産の量子コンピュータを開発、社会実装することは、日本が急ぐべき「危機管理投資」だと考えます。

さらに量子技術イノベーションを進め、量子暗号通信、量子計測・センシング、量子マテリアル、量子シミュレーションなどの技術領域を国が支援することは、「成長投資」になる。食品・薬品などの微量異物検知、認知症やうつ病の解明、創薬への活用など、生活を安全で豊かにするのが量子技術です。

「漫画」「アニメ」「ゲーム」も、日本の強みであり、担い手の育成と起業支援の仕組み作りは「成長投資」になる。

先ず、高等教育機関で、著作権や契約などに関する法律教育を行う。次に、外資とのイコールフッティング(競争条件同一化)や海外配信網の整備などを支援する。さらに、資金面では、投資家の税負担軽減策として、「寄付税制」を所得控除から税額控除にする。法人課税の繰り延べ、遺産からの控除、相続課税の繰り延べなどの方法もあります。

感染症対策の強化に向けた投資

内閣が懸命に取り組んでいるワクチン接種の促進やマスク着用の徹底など「感染者数を減らすための取組」は変わりなく大切ですが、「重症者数・死亡者数の極小化」に向けた対策の重点化が必要。軽症から中等症Ⅰの患者対象の治療薬である「抗体カクテル」(カシリビマブ、イムデビマブ)を、早期に幅広く処方できるようにするべきです。

治療薬の処方が可能な場所を「感染症患者を受け入れている有床の医療機関」と「自治体が指定した医師滞在の宿泊療養施設」に限定したままでは、治療薬が効かない段階に病状が進んでしまうので、「治療薬投与後の経過観察宿泊場所」や「移送手段」を確保した上で、総合病院外来の医師、無床の開業医師、患者宅を訪問して下さっている医師の皆様による処方を可能にするべきだと考え、8月上旬から厚生労働省に要請してきました。

容態によっては、中等症から重症用の治療薬「レムデシビル」、中等症Ⅱから重症用の治療薬「バリシチニブ」、重症用の治療薬「デキサメタゾン」の処方も必要です。

課題は、海外企業が開発した「抗体カクテル」「レムデシビル」「バリシチニブ」の供給量。厚生労働省に問い合わせましたが、「いずれも、全世界向けの供給量が限られている中、投与対象となる患者数の見込みに対応できる量の確保に努めているところです」との回答でした。

治療薬やワクチンについては、一刻も早い「国内生産体制」を確立しなくてはなりません。「創薬力の強化」は、エボラ出血熱など死に至るまでの時間が短い感染症への備えとしても、重要な危機管理です。

医療分野の研究助成金の規模は、米国が日本の22倍。医療・創薬分野の基礎研究と臨床研究については、国が「危機管理投資」「成長投資」として大胆に支援するべきです。

また、他の病気の治療薬の中で新型コロナウイルス感染症の治療にも有効だとして製薬会社から承認申請がされている薬がある。「緊急時に新薬を迅速に実用化できる薬事承認制度」の確立を急ぎたい。

感染症患者の宿泊療養施設としてホテルを活用する場合には、国がホテルの本来の営業利益や風評被害に対する十分な補償も行い、「自宅療養者を皆無にする」くらいの取り組みが必要。国が管理する研修施設や都道府県の公的施設の活用も進めるべきです。

また、早期に自らの症状を知り、保健所が迅速に対処方法を判断できるようにするための措置としては、全世帯に1個ずつ、「パルスオキシメーター」(経皮的動脈血酸素飽和度測定器)を配布するべきです。

全世帯ということになると、恐らく国内の在庫では不足しており、相当な生産拡大をしなければなりません。生産協力企業の設備投資に対する財政支援措置は「危機管理投資」になります。新型コロナウイルス感染症が収束したとしても、様々な疾病時に活用できるので、一家に1個の備えは無駄にならないと思う。

また、公務員の増員に対する批判があるのは承知していますが、検疫所や保健所の体制拡充と感染症病床の6割を有する公立病院の維持は、重要な「危機管理投資」です。

コロナ禍によって、飲食業や観光関連産業のみならず、取引先を含め、幅広い産業が深刻なダメージを受けました。事業継続や雇用維持が困難になった事業者も多く、失業や休業によって生活に困窮しておられる方々も居られます。

これまで内閣は、生活を守るための「緊急小口資金・総合支援資金」「住居確保給付金」「子育て世帯生活支援特別給付金」「給付型奨学金」等や、雇用を守るための「雇用調整助成金」「産業雇用安定助成金」「休業支援金・給付金」等や、事業を守るための「地方創生臨時交付金の協力要請推進枠」「一時支援金」「持続化補助金」など、各種支援施策を実施してきました。

今後は、「事業再建や事業再構築(業態転換・新分野展開)に向けた支援の強化」「生活に困窮しておられる方々への支援の強化」のために、大胆な予算措置が必要です。感染症収束後には、買い物、外食、旅行など、我慢していた消費が爆発的に増える「消費急増期」が到来する。その時に経済の担い手となる事業主体が消滅していては話になりません。

むしろ国が手厚い財政支援を行い、地方でも、今のうちに「選ばれる商品・サービス」の準備を行っていただけるような環境を整えることが、中期的に日本経済の回復に資する「成長投資」になるのではないでしょうか。

人材力の強化

「危機管理投資」「成長投資」の成功のためにも、全世代の安心感を創出するためにも、鍵となるのは、「人材力の強化」です。

第1に、実学重視のルートを多様化すること。高専や専門高校の拡充と、実業志向の大学への編入拡大など、進学ルートを増やすべきです。大学でも、最先端の設備を使った人材育成が必要です。

学生が、海外進出した日本企業でインターンとして学べるような取り組みも進めたい。東京大学は、「空気の価値化」をテーマにダイキンと10年間で100億円の連携をしているが、学生50人がダイキンの海外拠点に招かれ、海外ビジネスの最先端を体感している。学生の育成、共同研究、起業家育成を、大学と企業が共同で進めている好事例です。

第2に、学校教育におけるデジタル対応力の強化が必要です。

私が長年にわたって提唱してきた「プログラミング教育」は、ようやく昨年から義務教育課程に導入されました。今後は、AIを活用した多様な分野のイノベーションが期待できるので、「AI教育」の導入を進めるべきです。

AIを理解する上で欠かせない「線形代数」(行列)の、高校数学への再導入も必要であり、大学では、AIを使った商品・サービスの提案やソリューションの提供を行う「AIソリューション・プランナー」を育成することも重要です。

地方では、県立大学、高専、農業・商業・工業高校などでデジタル教育を充実することにより、地域産業振興に繫がります。

第3に、社会人が大学や大学院に入り直す「リカレント教育」だけではなく、社会人が働きながら教育を受け続ける「持続教育」を拡充すること。特に、国際ビジネスに対応できる教育、技術革新のスピードに即応できる教育の充実を期待したい。

第4に、若手研究者のための安定的雇用機会を増やす。

第5に、「フリーアクセスができる教材クラウドの作成」により、様々な事情を抱える方々の学びの機会を増やす。

第6に、生命や財産、健康を守るために、幅広い世代を対象にした「防災教育」「防犯教育」「消費者教育」「投資教育」「情報セキュリティ教育」「食育」「文化・スポーツ活動」を支援する。

第7に、初等中等教育、高等教育、地域学習などの場で、卒業・修了などの節目に必ず「社会制度教育」を実施することを提唱します。

生活保護の申請方法が分からずに亡くなったり、育児や介護の負担に耐え切れなくなったり、生活苦から進学を諦めたりする方が居なくなるように、生活・進学・育児・介護・障碍への支援策など利用可能な施策の周知を徹底することが大切です。

 ◇

 これだけの政策課題を積み上げたことに敬意を表したいと思います。更にこれ以外にも、コロナ対策、少子化対策、年金と福祉、安全保障、外交課題など幅広い分野にわたって知見を有する人は、おそらく野党はもちろん、自民党にも少ないのではないでしょうか。

 記事の冒頭で安倍元首相に「出ます」と言ったら、止められもせず、勧められもしなかった、と書き留めていますが、今や安倍元首相の猛烈な推しを得ている高市氏、追い上げ急な状況ですが、総裁へのハードルは高いでしょう。しかし日本再興の信念を持って、29日の投票まで存分に持論を展開していただきたいと思います。

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2021年9月24日 (金)

枝野立民、自民総裁選の陰で薄らぐ存在感? だが本質は国家観なき不毛の政策

6_20210924085701  自民党総裁選の陰で野党の存在感が薄れていると指摘する人が居ます。菅政権の支持率ダウンの機会を捉えようと、しゃかりきになっていた矢先に、管総理の総裁選出馬辞退。そして一気に4候補が立候補、今まさにその選挙の渦中にあり、候補お互いの政策討論が、連日メディアを賑わせている影響で、野党の影が薄くなっているという指摘です。

 しかしもともと野党の影は薄かったのではないでしょうか。なぜなら政策提言より前に決まって政権批判のオンパレード。政権支持率が低いと言っても、与党2党の支持率は5割近く、それに心情的に与党寄りのスタンスの人を加えれば、6割以上の人が野党には愛想を尽かしていると思いますね。その野党がいくら政権批判をしても、苦々しく受け止める人が多い。それを野党は分かっていないのでしょう。

 つまり政権の過去の政策をいくら批判したところで、国民の多くは白々しく思っているのです。なぜなら国民はこれからどうするか、その結果どうなるか、ということに注目しているからです。「森友学園」や「桜を見る会」を未だに口に出しても、そんな過去のことはどうでもいいのです。ましてや捏造された過去のスキャンダルなど。

 週刊現代が野党の動き、特に立憲民主党の動きに苦言を呈しています。今回はこの話題を取り上げます。タイトルは『枝野幸男よ、このいちばん「大事なとき」に君は何をやっているのか』(9/17)で、以下に引用して掲載します。

 ◇

甘えるんじゃない

「菅政権の失敗で風が吹き始めている。ここで一気に政権を取らないといけません。もう次の機会はないんですから、『良い負け方をして次につなげる』というような考えではダメです」(慶應義塾大学教授の井手英策氏)

「政策論議もいいけど、『俺がコロナ禍を何とかする』と、表に出て決意を示すべきです。菅政権がズタボロな状況で総選挙に勝てなければ、彼の政治生命は終わりますよ」(法政大学教授の山口二郎氏)

これまで政策立案などで様々な助言をしてきた2人が発破をかけるのは、立憲民主党の枝野幸男代表(57歳)である。

10月までに行われる見込みの解散総選挙では、自民党がどの程度議席を減らし、野党第1党の立憲民主党がどれほど議席を伸ばすかが注目される。

菅政権の支持率は26%と最低を更新した(毎日・8月28日付)。第2次安倍政権で最も低かった'17年7月の支持率と並んだという。

枝野が「十分に政権が代わる可能性があるという結果が手元にある」と息巻いたように、解散総選挙へと進めば、政権交代も見えてくる—。

残念ながら、そう簡単にはいかない。立憲民主党の支持率も、相変わらず低調だからだ。

最新の産経・FNN合同世論調査(8月21〜22日)によれば、立憲民主党はわずか6・6%と、約7%の支持しか得られていない。読売新聞の8月の世論調査を見ても、支持率は5%にすぎない。

つまりそれは、党代表である枝野が期待されていないということでもある。こんな最大のチャンスに、彼はなぜボケッとしているのか。

まず枝野には、発信力が欠けている。

実際、今年5月に刊行された著書『枝野ビジョン』で、枝野は〈立憲民主党や私自身が訴えてきた「自民党政権にかわる新しい社会のかたち」が、有権者の皆さんになかなかうまく伝わらないもどかしさを感じてきた〉と明かしている。

だがそれは甘えではないか。政治学者の白井聡氏が語る。

「メディアが野党のことをあまり取り上げてくれないと嘆いていても仕方ありません。そう思うなら、自らどんどん発信していかないといけない。Youtube用のスタジオをこの夏に新設したようですが、いつ見ても代わり映えしない議員が登場して政策を話すだけなら、支持拡大にはつながりません。

政権を取ったとしたら、具体的にどんな体制を整えるか、専門家を呼んでとことん討論するような、積極的な姿をもっと見せるべきです」

枝野は、「地道に、愚直に、ぶれないこと」が国民に伝わりさえすれば、支持率は上がると語っている。だがいまだ上がらないのだから、それでは足りないのだ。

記者会見の場では、表情を大きく崩すことも、感情を剥き出しにすることもあまりなく、必要なことを滔々と話すのみ。それゆえに存在感は薄く、国民の記憶に強く残る人物とはいいがたい。

ちなみに、中学・高校時代は合唱部に所属し、趣味はカラオケ。アイドルグループ・欅坂46の『不協和音』が持ち歌の一つという。

そんな枝野の人気や支持がなかなか広がらない理由は、ここぞというときの決断力の乏しさにもある。

「まっとうな政治、まっとうな暮らしを取り戻すために新しい受け皿が必要だ」と声を張り上げて、枝野率いる立憲民主党が野党第1党となったのは'17年のことだ。前出の山口氏が語る。

「立憲民主党立ち上げは優れた政治的決断だったので、決して勝負できない人ではない。ただ、あまりに慎重すぎて、勢いや調子に乗ることができない面がある。

私が『もうそろそろ、新しい政権を担う”次の内閣”も提示して、闘う態勢をつくりましょう』と言っても、『いや、'17年のようなブームは簡単には起きないから……』と状況分析してなかなか動かない。ギリギリまで状況を見極めるのは彼の短所にもなる。それではせっかくのチャンスは生かせません」

'12年、枝野が官房長官などを務めた民主党は、自民、公明両党に政権を奪われて下野した。そのことを反省した枝野は、「遠からず期待に応えられる政権をつくりたい」と、2年前に語っている。

今こそ、'09年に民主党が政権交代をしたときのように、「次の内閣」を組織して発表すればよいではないか。そのうえで、「私を首相に選んでください。私はこんなふうに国民を幸せにします」というビジョンをはっきり示す。

そうすれば、現政権に失望している人々は、枝野の声に耳を傾けるのではないだろうか。

「優等生」はもういらない

決断と同時に覚悟も必要だ。前出の山口氏は、「『俺が救国政権をつくるんだからどうか手伝ってくれ。それがイヤというなら、あなたたちは自民党を応援するというのか』と国民に迫る覚悟が求められる」とも語る。

たとえば、立憲民主党の全議員が、議員歳費を全額返上してコロナ対策に供する—最低でもこれくらいの覚悟を見せなければ、国民はついてこないだろう。ただ首相を目指すと言っても、「また口先だけのポーズか」と、誰も信じてくれない。

一方で、「民主」という割には、何でも自分ひとりで進める性格も、支持が広がらない足枷となっているという。前出の井手氏が語る。

「枝野さんの勉強会にいた時期もあったので、応援の気持ちをこめて敢えて言いますが、彼の一番の欠点は孤高を守る”一匹狼”だということです。枝野さんは頭がいいから、現実を自分の力で変えようとする。人を使いこなすのではなく、自分の才能を信じて、自分の力で動くタイプなんです。

ですから、党の内外に枝野さんを支える仲間が少なく、地方や現場の声もうまく吸い上げられていません。草の根で地域の課題と向き合っている人たちの思いが、届いていないんです」

この国を何とか変えてほしいという人々の声を十分に聞かぬまま、真面目な優等生がひとりで正しいことを言っているだけでは、チャンスは掴めない。

「高齢者から若い人に至るまで多数の支持を集めたいなら、枝野さん自身が多様な意見を受け止めて、多面的になるしかありません。この大事な局面では、理想論のみに走らず、清濁あわせ呑むような懐の深さ、人間力が求められているんです」(哲学者で津田塾大学教授の萱野稔人氏)

いま立ち上がらずに、いつ立つのか。何もしなければ、そのまま消えていくだけだ。

 ◇

 今立ち上がっても無理でしょう。と言うのも、先日も枝野氏は政権を取る意欲を見せましたが、その発言の中身は、まず現政権の批判が先行し、そして政策と言っても自民党4氏の討論内容の足下にも及ばない、多様性確保だの格差是正だの、新鮮味のない提案のみです。このブログでは、過去に健全な野党の台頭を期待する記事を書きましたが、今の立憲民主党は残念ながらボツでしょう。

 山口二郎氏のような暴言を吐く左翼学者の助言など、かえってマイナスにしか働かないでしょうし、枝野氏が孤高とか一匹狼とか、そんな彼の性格に言及しても仕方ありません。つまり国家観、つまり国家主権のあり方、それに伴う外交政策、安全保障政策と言った、今後の日本をどうするかの基本政策がすっぽり抜け落ちていることが、致命的な欠陥で、少し立場を変えて立とうが立つまいが、そのまま消えていくのは間違いないでしょう。

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2021年9月23日 (木)

日本大使館はだれの役に立っているのか 続:アフガン検証

650x450_17619002  このブログでは、アフガニスタンからの米軍の撤退に伴う日本の対応を、何回か取り上げました。いずれも政府、とりわけ外務省の無策ぶりが、際立っていたことの検証記事が中心でした。これは今に始まったことではありませんが、省庁、現場を含めて危機意識が乏しく、その上プライドが高いので、外からどう思われようとも、結果を取り繕うことにはとりわけ長けているようです。

 私がサウジアラビアに滞在したときの記憶では、大使館との接点は、海外居住者の総選挙の投票で利用したことくらいでしょうか。それに年に一度の新年会で、酒が飲めた記憶(サウジでは飲酒ができません)があるくらいです。滞在者にとって決して身近な存在ではないのです。

 その途中でアラブの春の騒動が起こり、隣の国エジプトの大使が、空港の大混乱の前に脱出したという話を聞きました。これは以前述べましたが。

 そんな日本外交の最前線、日本大使館がこのアフガンの混乱時どう対応したか、以前にも取り上げましたが再度取り上げてみます。その詳細を作家でエッセイストの勢古浩爾氏が、JBpressに寄稿したコラム『日本大使館はだれの役に立っているのか アフガニスタンで日本大使館が示した狼狽ぶり』(9/22)を引用して、以下に掲載します。

 ◇

 8月15日、タリバンが予想を裏切るスピードで、アフガニスタンの首都カブールを制圧した。その2日後、日本の大使館員12人がドバイに脱出した、というニュースが報じられた。そのニュースを見て最初に思ったことは、そんなケツに火が付いたように大慌てで逃げ出さんでもいいんじゃないか、というものだった。それとも日本は、タリバンに恨まれるような悪いことでもしたのか。普段からタリバンとどんなに細いものでもいいから(かれらはISとちがい、犯罪集団ではない)、パイプを繋ごうと努力をしてこなかったのか、まあかれらがそんな仕事をするわけがないかと思いなおし、自分で納得したことであった。

 その後日本は、やっと自衛隊機がカブールまで行ったと思ったら、救出したのはわずかに日本人女性1人だったということが報じられ、また日本はなにかへまをやらかしたなと思っていたころに、産経新聞の8月30日付けの「産経抄」を読んだのである。

「産経抄」は、「杉原千畝」の偉業を引いたあとで、このように書いている。「アフガニスタンの首都が陥落した直後、日本の大使館員は現地職員を置き去りにしてさっさと逃げ出し、救出作戦にも失敗した。韓国紙に『カブールの恥辱』とばかにされても仕方のない大失態だった。英国の大使は、カブールにとどまってアフガニスタン協力者のビザを出し続けていたというのに」。

過去、我さきに逃げ出した人たち

 追って9月14日、産経新聞論説委員長の乾正人は、12人の日本人外交官は「英国軍機で逃げ出した」のであり、「第一、司令官たる岡田隆大使が、カブールに不在だったのは、更迭に値する」と怒りの記事を書いた。岡田大使はそんな大事な時期にのんびりと日本に帰っていたらしいのだが、急遽アフガニスタンに戻ろうとしてイスタンブールで足止めを食らっている。

 これを読んでわたしも、満州にいた日本人開拓民をほったらかしにして我さきに逃げ出した「精強」関東軍や、おれもあとから行くと特攻隊員を激励し、米軍がくると飛行機で真っ先に台湾まで逃げた在フィリピン第4航空軍司令官を思い出した。その反対に自分の責務を果たしたひとのことも思い出した。当然、杉原千畝を思い出し、またミッドウェー海戦で空母飛龍と共に沈んだ第二航空戦隊司令官の山口多聞を思い出したりもした(艦と共に死ななくてもいいと思うが、そこは時代のちがいである)。

 米軍のアフガニスタン撤退の発表から、実際に各国が撤退するまでの経緯を簡単に記しておこう。韓国の用意周到な準備に比べ、日本大使館・外務省・日本政府の思考停止した無能さと、いざとなったときの狼狽ぶりがわかるだろう。

4月 米軍がアフガニスタンから8月末までに撤退することを表明。

6月 各国は自国の関係者の脱出準備に入る。韓国は早々に、国民と関係者を出国させはじめたという。

7月上旬 日本大使館の現地職員が最悪の事態を想定して退避計画を進言。しかし館員は、カブールが陥落することはないとこれを無視。ところが政権崩壊後、大使館の判断の誤りをマスコミに口外しないよう、その職員に命令した。

8月上旬 各国脱出準備完了。

8月15日 タリバンがカブールを制圧。

8月17日 日本人職員12人は英軍機でドバイへ脱出。JICA(国際協力機構)の6人、現地関係者・家族の500人が置き去りになった。他方、英・仏大使はぎりぎりまで残り、現地関係者にビザを発給しつづけた。

8月22日 自民党外交部会の激しい突き上げもあり、やっと政府・防衛省は救援機派遣を決定。

8月23日 自衛隊輸送機3機、政府専用機1機、隊員300人出発。

8月24日 カブール空港到着。しかしタリバンによる空港検問が厳重をきわめたため、500人は空港に入れず(そもそも500人と連絡がついていたのか、500人がまとまっていたのかも不明)。

8月25日 韓国は輸送機3機、特殊部隊員66人を投入。現地に残った4人の職員が米軍と交渉して米軍が押さえていたバス6台を確保。365人と米軍人を乗せて、空港の検問を通過。そこに自力で空港入りした26人が合流、合計391人全員の脱出に成功(もし日本人職員も何人か残っていたなら、米軍と同様の交渉ができたはず)。

8月26日 ISの自爆テロ。日本は米軍に依頼された旧アフガン政府関係者14人を輸送機で救出。

8月27日 日本は、自力で空港まで来た日本人女性1人を救出したのみ。ちなみに28日までに実現した各国の出国状況は、アメリカ11万人、カタール4万人、UAE36500人、イギリス1万500人、ドイツ5000人、イタリア500人、フランス3000人である。

 大混乱と緊迫した様子が想像できる気がする(1981年イランで起きたアメリカ大使館職員の脱出事件を描いた映画『アルゴ』を思い出す)。米軍でさえタリバンの首都奪還はまだ先だと思っていたくらいだから、すべての情報をアメリカに頼っていた日本大使館もまだ大丈夫と高をくくっていたのはわからないではない、というかといえば、冗談じゃないのである。そんなことは言い訳にもならない。

 現に韓国は早々と計画を立てて準備し、見事に成功させているのである。先の乾正人も、「米軍撤収の1カ月前には、『ごく近いうちにカブールは陥落する』との情報」が「東京にいる私の耳にも入っていた」といっているくらいである。

官僚は何をしても正しいのか

 最悪のことを考えて早めに退避準備をしたほうがいいのでは? と進言してくる現地職員は鼻であしらい、いざとなると慌てふためいて、なんとかコネをつけて英軍機に乗せてもらい、一目散にとんずらした大使館職員の無様さは非難されてしかるべきである。ところがそんなばかなことはない、大使館員が邦人を「『置き去りにして逃げる』などあり得ない」と大使館側を擁護したのは外務省出身の外交評論家・宮家邦彦である。

 宮家が直接反論したのは先の「産経抄」に対してだが、かれは、やめればいいのに、このように書いている。擁護にもなっていない。「筆者の体験でも、日本の外務省員で在留邦人や現地職員を『置き去りにして逃げる』輩(やから)がいるとは思えない。現地大使館は8月初旬の段階で邦人・現地職員らの退避につき検討を本格化させ、カブール陥落前には民間チャーター機による邦人・現地職員らの退避と大使館撤収の計画をほぼ整えていた。結果的に計画が実現しなかったことは事実だが、少なくともカブール陥落までに退避を希望した邦人は、大使館員よりも前にすでに退避していたという。『置き去りにして逃げる』などあり得ないことだ」。

 ばかいっちゃいけない。もしそれが事実だったのなら、問題はなぜその「計画が実現しなかった」のかということだ。宮家は「あり得ない」というが、実際に「あり得た」から問題なのである。ここには、官僚はなにをしでかしてもつねに正しいという、官僚無謬説が見られる。また宮家は「杉原千畝を持ち出したこと」が気に食わない。「筆者がユダヤ人であれば、欧州でのホロコーストとアフガニスタンでのアフガン人救出を同列に扱うことなど絶対に認めない」とわけのわからんことをいっている。宮家はもちろん「ユダヤ人」ではない。「絶対に認めない」もへちまもないのである。

 岡田隆大使の不在(あまりにも好機の不在で、胡乱である)や、館員たちの脱兎のような逃亡の話を聞くと、「杉原千畝」を思い出すのはふつうである。とくに英仏の大使がぎりぎりまで残ってビザを出し続けたという話をきけば、なおさらである。元時事通信外信部長で拓殖大学海外事情研究所教授の名越健郎も、「時代や状況は異なれど、ナチスに迫害されたユダヤ人を救うために『命のビザ』を発給し続けた杉原千畝のような外交官はいなかったのか」と書いている(「週刊新潮」2021年9月9日号)。

 外務省にとって、杉原千畝はいまでも本省の命令に従わなかった裏切り者なのである。杉原は「金のためにビザを書いた」などと誹謗中傷し、依願退職に追い込んだのである。外務省の抵抗を押し切って、杉原千畝が政府によって公式に名誉回復されたのは、なんと戦後55年経った2000年(平成12年)のことである。ついこの間である。

なおもアフガニスタンにとどまる日本人

 名越健郎はさらにこうも指摘している。「日本政府は過去20年で約7700億円もの援助をアフガンに行い、欧米諸国と違って自衛隊を派遣してタリバンと戦ってはいません。日本人外交官が危害を加えられることは考えられない。現地に踏みとどまる気概はなかったのでしょうか」。わたしもおなじような疑問を持つ。早くも中国はタリバンに食い込んでいる。日本は自ら蚊帳の外に逃げ出してしまったのである。

 大使館員が去ったあと、なおもアフガニスタンにとどまっている日本人はいる。そのひとりは国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)カブール事務所の森山毅氏である。かれはカブールに2020年9月から勤務しているが、タリバンと交渉し「人道支援活動は今後も継続してほしい」といわれたという。高慢なだけの大使館員より、よっぽど骨も身もあるのである。

「UNHCRで20年以上難民や避難民の支援を続けてきた。今回の仕事をやらなけらば、何をやってきたのかということになる。今までは一番重要だ」「アフガンはこれからも人道援助が必要。ステイ・アンド・デリバー(残って支援)が我々の任務だ」(「アフガン支援続ける日本人「タリバン政権でも残る」

 もうひとりいる。ICRC(赤十字国際委員会)に所属し、アフガニスタン南部で人道支援を行っている藪崎拡子さんである。「生きるか死ぬかの状況に数週間、数ヵ月でなってくると思います。今以上の支援が必要になってきます」。またICRCは紛争地での人道支援のために「中立の立場でタリバンとも定期的に対話をしている」という。藪崎さんには「日本政府から退避勧告はありましたが、ICRCが明確に攻撃のターゲットにならない限り現地での活動を続けていく方針です」「ICRCの使命として紛争地で働くのが私の仕事ですので『日本にチャーター機で帰国する必要はありません』と回答しました」。

日本大使館はどんな仕事をしているのか

 いったい日本大使館とはなにか。どんな仕事をしているのか。だれの役に立っているのか。もともとこれらの問いは、外務省に対するものである。かれらはなんの仕事をしているのか。外務省には本省2550人、在外公館3450人、合計6000人がいる。在外公館数は大使館が153、総領事館は66もある。

 この6000人は料理屋・ホテル・タクシー利用などで「プール金」を貯めこみ、外交機密費から課長レベルで月20万~30万円、局長レベル50万円の枠で散財している。海外勤務の3450人の頂点に立つ「大使は閣下と呼ばれ、館内では王侯貴族のように振舞う」。「大使が交代するたびに、調度品や内装の変更が厳命され」て、「改装には、数千万から億単位のカネがかかる」。下っ端は下っ端でろくな仕事もしないのに、法外な海外勤務手当をもらっている。小林氏は、大使館や総領事館など在外公館は外務省にとって「聖域」、「在外公館の経理は、外務省の恥部」と書いている(小林祐武『私(ノンキャリア)とキャリアが外務省を腐らせました 汚れ仕事ザンゲ録』講談社、2004)。

 かれらが仕事をまともにする気になれないのには、多少同情の余地がある。海外視察の議員(これがまたろくでもない連中)のばかばかしい接待があることである。また3、4年も海外勤務をする民間商社マンにくらべても外交官は無知といわれるのも、「キャリア外交官の海外勤務には1回の在勤が平均して2年間という硬直した慣行が存在する」からだともいわれる。「どうせ2年しかいないのだから、適当にやっておけばよい」という気分になるのも無理はない。

 そのうえ、アメリカ通の財界人がハンガリー大使、中国通がブラジル駐在大使、ドイツ語の専門家がモンゴル大使になるなどの「不適在不適所の人事」がまかりとおっている(古森義久『亡国の日本大使館』小学館、2002)。

 他省庁から外務省不要論が出るのも当然である。が、当然のごとくなくならない。それだけでなく、国益も国民も眼中になく、省益だけが行動原理である内向きの「傲慢でモラルの弛緩しきった組織」(小林祐武氏)の体質はこれからも存続しつづける。これがまともな組織に生まれ変わるなど、到底考えられない。

 余談になるが、小林氏の本にこんなことが紹介されている。2000年に行われた九州・沖縄サミットで、歓迎レセプションや晩さん会を仕切ったのは電通。テーマ曲は小室哲哉に依頼し、小室はロイヤルスイートに滞在。「NEVER END」を歌った安室奈美恵のバックダンサーはアメリカから呼んだが、かれらの交通費や滞在費までサミット予算から支払った。サミット終了後、電通からなんと10億円の請求書が届いたという。もう公金に群がるハイエナのような連中は官民を問わず、すべてでたらめである。

 9月、ロシアが北方領土全域で税制優遇措置を導入した。さらなる外国資本の呼び込みや外国企業の誘致を狙ったものだ。加藤勝信官房長官はいつもの口癖のように「遺憾だ」と抗議したとされるが、外務省関係者は「必要以上に反応する必要はない」と語っただけである(「毎日新聞」2021.9.7)。

 ふふ、このざまである。大臣官房に外務報道官という部署がある。なにをやっているのか。もう北方領土4島返還などどうでもいいのだ。なにもしたくないのである。外務省批判とおなじで「必要以上に反応する必要はない」、じっとしていれば、みんな忘れるのである。

 ◇

 ネットでは外務省を「害務省」と呼ぶ向きもあります。無駄な公金を使ってろくな仕事をしない、いやむしろこの記事の例のように、仕事を投げ出して逃亡する。そんな事例でもって「害務省」と名付けたのでしょう。

 私もサウジアラビア滞在中に友人のすすめで「呆然!ニッポン大使館-外務省医務官の泣き笑い駐在記」を読みましたが、瀬古氏の記事とよく似たことが書かれています。昔から変わっていないのですね。ご興味があれば一読を。

 それにしても日本の外交の最前線で、日本の国益を守るための大使館が、すべてではないにしてもこういう体たらくの状況では、背筋が寒くなってきます。改革待ったなし、自民党総裁候補にも是非念頭に置いていただければと思います。

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2021年9月22日 (水)

高市氏:憧れの女性蔡総統と安全保障など交流強化を確認

5_20210922124901  自民党総裁選候補の高市早苗氏は、英国のサッチャー元首相を理想のリーダー像だと発言していますが、台湾の蔡総統も憧れの女性だとし、対談を希望していました。そして今月20日オンライン会談を行いました。

 その内容に入る前に、高市氏が「蔡総統を憧れの女性」と話した、インタビュー記事を産経新聞から引用します。タイトルは『自民・高市氏「蔡総統は憧れの女性」「台湾協力進める」』(9/14)です。

 ◇

自民党総裁選(17日告示、29日投開票)への立候補を表明している高市早苗前総務相が14日、産経新聞のインタビューに応じた。詳報は次の通り。

--外交・安全保障政策の考えは

「米国は最も信頼できるパートナーであり、日米同盟が外交の基軸だ。さまざまな情報や技術を共有していかなければ日本はとても守れない。安倍晋三前首相のように世界の真ん中で咲き誇る日本外交が実現できたら素晴らしい」

--北朝鮮による拉致問題解決への取り組みは

「衆知を結集し、あらゆるルートを使っていかなければ、北朝鮮は交渉のテーブルには着いてこないだろう。同盟国などと連携して、A案、B案、C案の中でどれが一番有効かを冷静に判断し、実行していくべきだ」

--台湾有事は集団的自衛権を行使できる存立危機事態に該当するとの意見がある

「台湾有事は日本に対する脅威であり、自衛権の発動に近い状況が出てくる可能性が高い。日米両国が共同して、日本の領土や国民を守ることでもあるという姿勢で取り組んでいくしかない」

--台湾の蔡英文総統は産経新聞のインタビューで日本に対して安保対話を呼びかけている

「蔡氏は毅然(きぜん)としていて憧れの女性であり、とても会いたい。今後も台湾との協力関係はしっかりと進めていくべきだ。ただ、永遠に同じ政権が続くわけではないので、親中政権になった場合も想定しておかなければならない」

--先の通常国会で中国当局による人権侵害を非難する国会決議が見送られた

「本当に悔しかった。日本は人権に全く興味がない国だと国際社会から思われてしまう。また、日本で働いている特定民族の方々が脅迫を受けたり、母国に残している家族が危険な目に遭っている。日本にいる方々については、日本の国内法でしっかりお守りするのが私たちの役目だ。次の臨時国会では、すぐにでも決議したい」

--慰安婦問題やいわゆる徴用工問題についての対処は

「中国や韓国は世界中に向けて不正確な情報をさまざまな手段で発信しているが、日本の『歴史外交』や情報発信は弱すぎる。歴史外交を強化するための戦略を練り、各省に適切な指示を出せる部署が内閣官房にあれば大変やりやすい」

--安定的な皇位継承策への考えは

「天皇陛下の正統性と、国民の天皇陛下に対する尊敬の念の源は、126代男系でつないでこられた皇統だ。これはお守りしたい」

--理想の女性リーダー像は英国のサッチャー元首相だと発言している

「国民から歓迎されない政策でも、信念を曲げずに一生懸命、説得を続けた。こういう姿勢が理想であり、大好きだ」

--女性に関する政策についての考えは

「女性は生涯を通じてホルモンバランスの影響を受け、女性特有のかかりやすい病気もある。女性総合診療科を増やしたい」

 ◇

 そして実現した蔡英文総統との会談の内容を、これも産経新聞の記事から引用します。タイトルは『高市氏と蔡総統の会談詳報 安全保障など交流強化を確認』(9/21)です。

 ◇

自民党総裁選に立候補している高市早苗前総務相は21日午前、20日に行った台湾の蔡英文総統とのオンライン会談の様子を動画投稿サイト「ユーチューブ」で公開した。両氏は安全保障を含む日台間の実務者交流を深化させていくことを確認し、高市氏は台湾の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)参加を支持する考えを表明した。会談の主なやり取りは次の通り。

高市氏 「人もおりませんので、マスクを取ってご挨拶申し上げます。蔡英文主席、自由民主党衆院議員の高市早苗でございます。リモートになりますけれども主席とはぜひお話をしたくて、もうとっても楽しみにいたしておりました、今日は誠にありがとうございます」

蔡氏 「私も今日このように高市議員とリモート会議の場を借りてお会いできることを大変うれしく思います。日本のメディアの報道によると、高市議員は、機会があれば私と会いたいとおっしゃっていると聞きますが、心よりありがたく存じます。そして、台湾に関心を持ってくださる日本のすべての友人を歓迎します。新型コロナウイルス禍が終了すれば、それは本当に早く終息してほしいと願いますが、台湾と日本との間の実際の往来が、なるべく早く普通に戻ることを期待しています。その折に、高市議員にはいつでも台湾を訪問していただきたいと思っております」

高市氏 「ありがとうございます。蔡主席は私の憧れの方でございますので、あのように申し上げました。また、コロナ禍におきましては先日、たくさんの医療機器をご寄付いただきまして誠にありがとうございました。また、昨年のマスク200万枚余りや防護服といったお助けも頂戴いたしまして、本当に私どもはありがたく思いました。そして東日本大震災の折には、また、災害が日本で起こる度に台湾の皆さまから多くの義援金を頂戴いたしております。本当にありがたく思っております」

蔡氏 「この機会を借りて哀心より感謝の気持ちを申し上げたいと思います。台湾におけるコロナ禍が最も深刻な時期に日本は躊躇せず台湾を支援、ワクチンを供与してくれました。5回にわたって合計390万回分のワクチンを提供してくれました。この大いなる厚情にわれわれ台湾人は深く感動し、それを忘れることはありません。ありがとうございます。本日は、このようにリモート会議が成就しましたので、せっかくの機会を借りまして、台日関係について、また地域の戦略的秩序、そして平和と安定を維持するための努力について意見交換をしたいと思います。私は台湾と日本が助け合うことは、非常に重要な絆になると考えます。しかしながら、われわれは戦略的秩序が急速に変化する時代に生きています。これはすべての国およびその指導者たちにとって非常に厳しい挑戦であります。日本には台湾および地域内のすべての国々と一緒に、平和と安定を追及することを期待しています。高市議員にはこの地域の戦略情勢についての考え方をうかがいたい」

高市氏 「蔡主席のおっしゃることに全く同感でございます。世界の、また同志国における多くのリーダーたち、そして人々は自由・民主主義、人権、法の支配といった基本的価値観を共有し、それを行動に移そうとしています。とりわけ、日本と台湾との関係について申し上げれば、われわれの間には実務交流が盛んです。この実務交流とは、多くの分野を多元的に考えて交流することであり、平和的地域秩序の安定を支える安全保障関係も含まれると考えます。私は日本と台湾との関係がそのようなものでありたい、ということを切に願っております。安全保障というのは国防ばかりではなくて、経済安全保障にも焦点を当てたいと考えております。同志国における需給の安定的確保に資する生産対応と消費構造を世界規模で再構築していく必要性を感じております。それはTSMC(台湾積体電路製造)の生産拠点の移設のみならず、あらゆる産業において、日本と台湾が手を携えて先導していくことだと考えております」

蔡氏 「まさにおっしゃる通りですね。台湾と日本がサプライチェーンをめぐる協力を深めること、この点に関して私は大いに期待しています。もう一つ、日本が地域内において重要な役割を果たせるのは経済統合についてです。米国がTPPの協議から離脱した後、日本がTPP協議をまとめる重責を担ったことにとても感心させられました。台湾は先進的な経済体であり、ハイテク産業のサプライチェーンにおいても重要な役割を持っています。また、民主的なガバナンスに基づいて形成された透明性の高い市場メカニズムを有しています。台湾はTPPのように高い水準にあるマルチラテラルな貿易協定に加盟するための十分な能力を持っています。高市議員および日本の友人たちには、TPPのようなさまざまな自由貿易協定に台湾が加入できるように、積極的に支援してほしいと思っています」

高市氏 「TPP参加の前提となる諸問題を解決することも含めて、日本は参加を支持し、それに向けてできる限りの支援をしたいと思っております。また、TPPの参加ばかりではなく、以前より取り組んでいるWHA(世界保健総会)、ICAO(国際民間航空機関)、ICPO(国際刑事警察機構)といった、国際舞台・国際社会における台湾のご活躍を推進し続けて行くつもりでございます」

蔡氏 「ありがとうございます。本日は大変忙しい中、このような意見交換ができたことをうれしく思います。高市議員とは今後とも引き続き連絡を取り合い、意見交換をし、そして遠くない将来には実際に会えることを期待しています。最後に高市議員がますます活躍されますよう、心よりお祈り申し上げます」

高市氏 「ありがとうございます。蔡英文主席こそ、分刻みのスケジュールでいらっしゃる中、こうして対談をしていただき、本当にありがとうございました。これからもぜひ、緊密に連絡を取り合えるチャンスを賜れたらと思っております。ともにリードしていけるように、私も頑張りますので主席のますますのご活躍をお祈り申し上げます。ありがとうございました」

 ◇

 台湾有事の際には、日本も確実にその影響を受けるでしょう。その備えはしっかりしておく必要があります。今や日本単独で中国と対峙するのは、困難になりつつあります。米国、台湾とその連携を揺るぎないものにしなければなりません。

 そういう意味で台湾の総統との関係をしっかり築いておくことは重要でしょう。高市氏は蔡総統を憧れの相手と共に、戦略的パートナーとして絆を深めていって欲しいと思います。そして是非総裁選に勝利して、日米台の強固な安全保障トライアングルを築き上げて欲しいと思います。

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2021年9月21日 (火)

新たな超大国・中国が、アメリカに変わるテロ組織の憎悪の標的に

210914p34_tbn_01thumb470xauto268419  今回は日本を離れて中国の話題を取り上げます。昨日のニューヨークウォール街を震撼させた、株価急落。ダウ平均は一時970ドル超下げましたが終値は614ドル安で引けました。この要因は中国の不動産大手、中国恒大集団の資金繰り懸念が広がったことで、投資家のリスク回避姿勢に拍車をかけた事のようです。日本でも、今朝の日経平均株価は9時半時点で600円安前後の大幅安となっています。

 中国ではここ十数年、各地で大幅な不動産投資が行われてきており、いつそのバブルが崩壊してもおかしくない状態でした。恒大集団の資金繰り懸念はその引き金になるかも知れません。こうした経済的なリスクと同時に、意外に知られていませんが、今中国ではテロの標的の懸念も増大しているようです。アブドゥル・バシト(南洋理工大学研究員)、ラファエロ・パンツッチ(英王立統合軍事研究所の上級研究員)両氏がNewsweekに寄稿したコラム『新たな超大国・中国が、アメリカに変わるテロ組織の憎悪の標的に』(9/9)にその詳細を見ることができます。以下に引用します。

 ◇

<中国人を標的にした襲撃が相次いでいる。大国の地位と新植民地主義への反発以外にも、テロ組織には中国を狙う別の目的が>

スーパーヒーローの責任はスーパーに重い。かの「スパイダーマン」はそう言っていた。そのとおり。だがスーパー大国には、スーパーな敵意や憎悪も向けられる。

アメリカ人なら痛いほど知っているこの教訓を、今度は中国が学ぶ番だ。数年前から、パキスタンでは中国人や中国の権益が絡む施設に対するテロ攻撃が繰り返されている。パキスタン・タリバン運動(TTP)のようなイスラム過激派や、バルチスタン州やシンド州の分離独立派の犯行とみられる。

この8月20日にも、バルチスタン解放軍(BLA)が南西部グワダルで中国人の乗る車両を攻撃する事件が起きた。BLAは2018年11月に最大都市カラチの中国総領事館を襲撃したことで知られる。

中国が今後、世界中で直面するであろう現実の縮図。それが今のパキスタンだ。中国が国際社会での存在感を増せば増すほど、テロ組織の標的となりやすい。中国がアフガニスタンのタリバンに急接近しているのも、あの国が再びテロの温床となるのを防ぎたいからだろう。しかし歴史を振り返れば、中国の思惑どおりにいく保証はない。

2001年9月11日のアメリカ本土同時多発テロ以前にも、中国は当時のタリバン政権と協議し、アフガニスタンに潜むウイグル系の反体制グループへの対処を求めたが、タリバン側が何らかの手を打った形跡はない。

中国政府が最近タリバンと結んだとされる新たな合意の内容は不明だが、イスラム教徒のウイグル人をタリバンが摘発するとは考えにくい。むしろ、この地域における中国の権益の保護を求めた可能性が高い。

中国人労働者はイスラム法を守るか

首都カブールだけでなく、今のアフガニスタンには大勢の中国人労働者や商人がいる。しかし彼らが厳格なイスラム法(シャリーア)を理解し、順守するとは思えない。その場合、タリバンは中国人の命を守ってくれるだろうか。今や超大国となった中国を敵視するテロリストの脅威を封じてくれるだろうか。

グワダルでの8月20日の襲撃の前月にも、カイバル・パクトゥンクワ州のダス水力発電所で中国人技術者9人が襲撃され、死亡する事件が起きている。直後にはカラチで中国人2人が別のバルチスタン分離独立派に銃撃された。

3月にはシンド州の分離主義組織に中国人1人が銃撃されて負傷。昨年12月にも同様の事件が2件起きている。さらに今年4月には、バルチスタン州で駐パキスタン中国大使がTTPに襲撃され、間一髪で難を逃れる事件も起きた。

こうした襲撃で犯行声明を出す集団の主張は多岐にわたり、この地域で中国の置かれた立場の複雑さを浮き彫りにしている。

一連の攻撃で最も衝撃的だったのはダスでの襲撃事件だ。中国筋は、攻撃したのはTTPの協力を得た東トルキスタンイスラム運動(ETIM)との見方を示している。

ETIMの実体は定かでないが、トルキスタンイスラム党(TIP)を自称する組織と重なっていると推定される。パキスタンと中国はインドを非難する声明も出したが、これは毎度のこと。パキスタンで何かが起きれば必ずインドが悪者にされる。

中国政府はアフガニスタンのタリバンにもクギを刺したようだ。7月に中国を訪問したタリバン幹部に対し、王毅(ワン・イー)国務委員兼外相はETIM/TIPと完全に手を切り、「中国の国家安全保障に対する直接的な脅威」である同組織に対処するよう求めている。

中国側は詳細を明らかにしていないが、アフガニスタンでタリバンが政権を握る事態を想定し、タリバン政権承認の交換条件としてテロリスト排除を求めたとみられる。

中国政府は、タリバン政権成立後にアフガニスタンの国内情勢が不安定化し、その隙を突いてETIMが台頭することを強く懸念している。その脅威は国境を接する新疆ウイグル自治区に直結するからだ。タリバン側はETIMの脅威を抑制すると中国側に約束したようだが、中国政府がその言葉をどこまで信用しているかは分からない。

いずれにせよ、パキスタンで中国人や中国の投資案件を狙ったテロが急増している事態は、米軍のアフガニスタン撤退を背景に、あの地域で中国を敵視する武装勢力が勢いづいてきた証拠だ。

中国としては、タリバン新政権と良好な関係を築くことにより、テロの脅威を少しでも減らしたいところだ。しかし問題の根は深く、とてもタリバン指導部の手には負えないだろう。

大国化したことで目立つ存在に

かつてのイスラム過激派は中国の存在を大して意識していなかった。あの国際テロ組織「アルカイダ」の創設者ウサマ・ビンラディンでさえ9.11テロ以前の段階では、アメリカに対する敵意という共通項を持つ中国は自分たちにとって戦略的な同盟国になり得ると発言していた。当時はまだ、中国も途上国の仲間とみられていた。

だが今の中国は世界第2位の経済大国で、アフガニスタン周辺地域で最も目立つ存在になりつつある。当然、中国に対する認識は変わり、緊張も高まる。

それが最も顕著に見られるのがパキスタンだ。中国とパキスタンは友好関係にあり、戦略的なパートナーでもあるが、パキスタンで発生する中国人に対するテロ攻撃は、どの国よりも突出して多い。

状況は今後、もっと深刻になるだろう。アフガニスタンからのテロ輸出を防いでいた米軍が撤退した以上、中国は自力で自国民の命と自国の利権を守らねばならない。

中国は従来も、アフガニスタンの南北に位置するパキスタンやタジキスタンで、軍事基地の建設や兵力増強を支援してきた。タジキスタンには中国軍の基地も置いた。アフガニスタン北部のバダフシャン州でも政府軍の基地を建設したが、これはタリバンに乗っ取られたものと思われる。

決して大規模な活動ではないが、全ては米軍の駐留下で行われた。米軍が治安を守り、武装勢力を抑止し、必要とあれば中国人を標的とする攻撃を防いでもきた。18年2月にはバダフシャン州で米軍が、タリバンやETIMのものとされる複数の軍事施設を攻撃している。

今後は、そうはいかない。イスラム過激派の怒りを一身に引き受けてきたアメリカはもういない。これからはイスラム過激派とも民族主義的な反政府勢力とも、直接に対峙しなければならない。

パキスタンのシンド州やバルチスタン州で分離独立を目指す少数民族系の武装勢力は、中国を21世紀の「新植民地主義国」と見なしている。中央政府と組んで自分たちの資源を奪い、今でさえ悲惨な社会・経済状況をさらに悪化させている元凶、それが中国だと考えている。

カラチでの中国人襲撃について名乗りを上げたバルチスタン解放戦線は犯行声明で、「中国は開発の名の下にパキスタンと結託し、われらの資源を奪い、われらを抹殺しようとしている」と糾弾した。

高まるウイグルへの注目

ジハード(聖戦)の旗を掲げるイスラム過激派は従来、アメリカと西欧諸国を主たる敵対勢力と見なしてきた。中国の存在は、あまり気にしていなかった。しかし新疆ウイグル自治区におけるウイグル人(基本的にイスラム教徒だ)に対する迫害が伝えられるにつれ、彼らの論調にも中国非難が増え始めた。

そうした論客の代表格が、例えばミャンマー系のイスラム法学者アブザル・アルブルミだ。

激烈にして巧みな説教者として知られるアルブルミは15年以降、米軍のアフガニスタン撤退後には中国が新たな植民地主義勢力として台頭すると警告してきた。支持者向けのある声明では「イスラム戦士よ、次なる敵は中国だ。あの国は日々、イスラム教徒と戦うための武器を開発している」と主張していた。

別のビデオでも、「アフガニスタンではタリバンが勝利した......次なる標的は中国になる」と言い放っている。

中国による少数民族弾圧を許すなというアルブルミの主張は、ミャンマーの仏教徒系軍事政権によるイスラム教徒(ロヒンギャ)弾圧などの事例と合わせ、アジア各地に潜むイスラム聖戦士の目を中国に向けさせている。

もちろん、新疆ウイグル自治区におけるイスラム教徒弾圧の問題は以前から知られていた。しかし、特にイスラム過激派の目を引くことはなかった。目の前にいるアメリカという「悪魔」をたたくほうが先決だったからだ。

その状況が今、どう変わったかは定かでない。しかしウイグル人の状況に対する注目度は確実に上がっている。イスラム聖戦派のウェブサイトでも、最近はウイグル人による抵抗の「大義」が頻繁に取り上げられている。

当然、国境を接するパキスタン政府も神経をとがらせている。中国と友好的な関係にある同国のイムラン・カーン首相は、中国の政策を支持せざるを得ない。しかしパキスタン国内にいるイスラム過激派の思いは違う。

彼らが中国の領土内に侵入し、そこでテロ攻撃を実行することは難しいだろう。だがパキスタン国内では、中国・パキスタン経済回廊(CPEC)と呼ばれる大規模な道路建設事業が進んでいる。中国政府の掲げる「一帯一路」構想の一環だが、これはテロリストの格好の標的となる。

中国人の資産は格好のソフトターゲット

CPECは中国の新疆ウイグル自治区からパキスタン南西部のグワダル港を結ぶものだが、ほかにも中国主導の大規模インフラ建設計画はある。当然、パキスタンにやって来る中国人のビジネスマンも増える。テロリストから見れば、願ってもないチャンスだ。

パキスタンにいるテロ集団の思想は、必ずしも同じではない。だが敵はいる。今まではアメリカだったが、これからは中国だ。中国政府の好むと好まざるを問わず、パキスタン国内や周辺諸国で暮らす中国人や中国系の資産は、テロリストにとって格好のソフトターゲットになる。

中国は本気で21世紀版のシルクロードを建設するつもりだ。そうなればパキスタンだけでなく、アフガニスタンを含む周辺諸国でも中国企業の存在感が増し、現地で働く人を対象にする中国系の商人も増える。そして、その全てがテロの対象となる。

テロリストが目指すのは、自分の命と引き換えに自分の政治的なメッセージを拡散することだ。自爆という派手なパフォーマンスは、そのための手段。派手にやれば、それだけ新たな仲間も増えるし、資金も入ってくる。

アメリカが尻尾を巻いて逃げ出した今、権力の空白を利用して利権の拡大を図る中国に、テロリストが目を向けるのは当然のことだ。世界で2番目のスーパーリッチな国となった以上、中国はそのスーパーな責任を引き受けるしかない。そこに含まれる壮絶なリスクも含めて。

 ◇

 ウイグル人は殆どがイスラム教徒です。そのウイグル人を弾圧、蹂躙してきた中国を、同じイスラム教徒である中東諸国に点在するイスラム教過激派組織員たちが、敵視し標的にしないはずはないと、かねがね思ってきました。

 このコラムの筆者たちは、詳細な状況把握でその可能性を記述していますが、その背景には米軍の撤退があるという指摘は、非常に興味があります。もしそうであれば、中国が今後背負うであろうテロへのリスクが、まさにアメリカの対中戦略のメリットの一つとしてクローズアップされるからです。もしバイデン政権がそれを狙って米軍を引き上げたのならば、と勘ぐるのもあながち暴論ではないかも知れません。

 いずれにしろ今の中国の覇権、拡大政策の一つの障壁になればと、この動きを興味を持って注視していきたいと思います。

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2021年9月20日 (月)

西尾幹二氏:私が高市早苗氏を支持する理由

Mqdefault  このブログではすでに、自民党総裁選の候補、高市早苗前法務大臣を支持する、「山際澄夫氏」と「有本香氏」の記事を取り上げましたが、もうひとかた評論家の西尾幹二氏の記事も取り上げてみます。9月17日の産経新聞「正論」に掲載されたコラムで、タイトルは『私が高市早苗氏を支持する理由』です。以下に引用して掲載します。

 ◇

自民党総裁選に出馬する高市早苗氏は、次のように語っていた。

「日本を安全で力強い国にしたい、という思いです。経済が相当弱ってきているのに、五年先、十年先に必ず起こる事態に向けた取り組みが、何一つ手つかずであることに相当な危機感を持っています。一刻の猶予もないと思っており、ものすごい焦りがあります。今着手しないと間に合いません。だから、何が何でも立候補したいと思いました」(月刊「正論」10月号)

国難の中、日本を守れる人に

私の胸に真に突き刺さった言葉で、共感の火花を散らした。21世紀の初頭には技術産業国家の1、2位を争う国であったのに、平成年間にずり落ち、各国に追い抜かれた。ロボット王国のはずだったのに、今やAI(人工知能)ロボット分野で中国の後塵(こうじん)を拝している。世界的な半導体不足は日本のこの方面の復活のチャンスと聞いていたが、かつて円高誘導という米国の謀略で台湾と韓国にその主力は移った。実力はあっても今ではもう日本に戻りそうもない。

毎年のように列島を襲う風水害の被害の大きさは国土強靱(きょうじん)化政策も唱えた安倍晋三内閣の公約違反であり、毎年同じ被害を繰り返すさまは天災ではなく、すでに「人災」の趣がある。

台湾情勢は戦争の近さを予感させる。尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺のきな臭さを国民の目に隠したままではもう済まされない限界がきている。少子化問題は民族国家日本の消滅を予示しているが、自民党の対策は常におざなりで本腰が入っていない。

そもそも国会では民族の生死を懸けた議論は何一つなされないし、論争一つ起こらない。余りの能天気ぶりに自民党支持層の中から今度の選挙ではお灸(きゅう)をすえようという声さえあがった。横浜市長選挙の自民党惨敗は間違いなくその「お灸」だった。それでも総裁選挙となると、飛び交う言葉は、蛙(かえる)の面に水だった。ただ一つ例外は高市氏の出現だ。氏の新刊書『美しく、強く、成長する国へ。』(ワック)を見るがいい。用意周到な政策論著である。私が冒頭にあげた日本人の今の怒りと焦りがにじみ出ている。同書はアマゾンの総合1位にかけ上った。

目立たぬ努力に政治家の本領

高市氏は十分に勉強した上で「日本を守る。未来を拓(ひら)く」を自らのキャッチフレーズにした。日本を守るは抽象論ではなく、「領土、領海、領空」を守ることだと何度も言った。世界各地域の戦争の仕方が変わってきたことを説明し、今の日本の法的手続きを早急に超党派で議論し、用意しておかないと、すべてが間に合わなくなると言っている。従来のような憲法改正一本槍(やり)の観念論ではない。

私は高市氏と2回雑誌対談を行っている。私の勉強会「路の会」で講話していただいたこともある。最初は10年以上前だが、その頃すでに北海道の土地が外国人の手に渡っていることを憂慮し、これを阻止する議員立法に工夫をこらしている話をされた。一昨年行われた2度目の対談では「安全保障土地法案」(仮称)が準備中であることを教えられた。国土が侵されることへの危機感に氏が一貫して情熱を燃やし続けておられる事実に感動した。

人の気づかない目立たぬ努力に政治家の本領は表れる。戦時徴用をめぐり、昭和34年時点の在日朝鮮人60万人余といわれていたが、徴用令によって日本にきたのは245人にすぎなかったことを外務省の資料から証明し、政府答弁書に残したのは高市氏だった。大半が強制的に日本に連れてこられたなどという誤解を正し、影響のすこぶる大きい確認作業である。

日本の政治の偏向危惧する

総裁選に出馬表明した岸田文雄氏は9日、安定的な皇位継承策として女系天皇を認めるかを問われ、「反対だ。今はそういうことを言うべきではない」と述べた。対抗馬と目される河野太郎氏が「過去に女系天皇の検討を主張しており、違いを鮮明にした」(読売新聞10日)。一方、10日に出馬表明した河野氏は、政府有識者会議の女系天皇ためらいに配慮し、軌道修正した(産経新聞11日)。

前言を堂々と翻して恥じない河野氏にも呆(あき)れるが、「違いを鮮明にした」つもりの岸田氏も風向き次第で態度を変えると宣言しているようなもので、両者、不節操を暴露し、外交・防衛・経済のどの政策も信用ならないことを自らの態度で裏書きした。なぜなら「万世一系の天皇」という国の大原則に、フラフラ、グラグラしているのが一番いけない。

議会制民主主義統治下の世界全体のあらゆる政党政治の中に置いてみると、日本の自由民主党は決して保守ではない。ほとんど左翼政党と映る。日本のメディアは左翼一色である。

高市氏が一般メディアの中で自分が右翼として扱われることに怒っていたが、怒るには及ばない。もし中道保守の高市氏を右翼というなら、世界地図に置くと公明党も立憲民主党も政党以前の極左集団と言われても不思議ではない。

 ◇

 西尾寛二氏の「日本の自由民主党は決して保守ではない。ほとんど左翼政党と映る。」という部分や世界地図に置くと公明党も立憲民主党も政党以前の極左集団と言われても不思議ではない。」という部分は歯切れが良くて、高市氏の主張こそ「中道保守」だという点を強調している部分は、まさに同意を得たりです。

 それくらい日本は政治やメディアだけではなく、学会、法曹界や映画・音楽の世界も左翼一色に染まってしまっていると言えるでしょう。そして何より強い日本、世界に誇れる日本を目指そうとする層に対し、彼等は全く後ろ向きで、むしろその逆を狙っているような気さえします。これでは失われた20~30年の失地回復は困難です。そういう意味でも高市氏に是非登場願い、日本の弱体化に歯止めをかけていただきたいと思います。

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2021年9月19日 (日)

渡部悦和氏:国家建設も国防も外国依存は亡国の道 暗に総裁選での高市氏推し

4_20210919100601  自民党総裁選の論戦も熱を帯びてきました。今朝の報道番組でも、4氏そろっての論戦が報道されましたが、河野氏は感情的で独断的、岸田氏は抽象的で不明瞭、野田氏は弱者救済中心で国家感なし、と言う印象が強く残る中、高市氏がもっとも明確な政策を述べていたように思われます。

 なかでも、中国がその第一列島線での現状変更を推し進めようとする中で、米国が日本へのミサイル配備を検討するという事への質問で、高市氏のみが賛成を示し、他の3氏と安全保障政策の面での違いを際立たせたのが印象的でした。野田氏などは未だに「外交で対応」と言った、今まで全く効果のなかった対中国、朝鮮政策の反省が見られませんでした。

 いずれにしろ、これからますます覇権主義と拡張政策を推し進める中国や、核や弾道ミサイルでの威嚇を続ける北朝鮮への対応は、真に日本自身への脅威と受け止め、対処していかなければなりません。そういう意味でも高市氏の総裁選勝利を願いたいと思いますね。

 ところでこの安全保障政策について、元陸上自衛隊東部方面総監の渡部悦和氏が、zakzakに寄稿したコラムを紹介します。タイトルは『国家建設も国防も外国依存は亡国の道、日本も自助努力で国力改善を 総裁選で対中抑止策を語れ』(9/14)で、以下に引用して掲載します。

 ◇

 自民党総裁選が盛り上がるなか、総裁候補にはぜひ、「日本の安全保障政策」を熱く語ってほしい。今回の集中連載は、わが日本が直面している厳しい現状を深掘りしたい。

 ジョー・バイデン米大統領の対外政策の特徴は、米国の「グローバル・リーダーシップ(世界の警察官)」を強調するのではなく、国際協調主義にのっとり、関係各国の「自助」を促すことにある。米国のみによる関与を避け、関係国に任せる傾向が随所にみられる。

 また、米国の対テロ戦争20年間の重要な教訓の1つは、「米国が他国を米国流の民主主義国家にしようとしても、それは不可能であり、その国の国民の反発を買うだけだという事実」だ。

 そして、米国が国家再建を支援したイラクやアフガニスタンの腐敗や脆弱(ぜいじゃく)さは、「国家再建において、米国がいかに多くの軍隊・資金を投入したとしても、当事国の責任感や自助努力がなければ全てが無駄に終わる」ということだ。

 米国のリーダーシップの欠如を批判する前に、リスクに直面している世界各国が自らの責務を果たすべきである。これはアフガンやイラクだけの問題ではない。中国の強圧を受けている台湾、北朝鮮の核・ミサイルなどの脅威を受ける韓国も同様である。

 当然ながら、日本も例外ではなく、日本の責任が問われている。

 わが国は名誉ある国家として生き残るべきだ。そのためには、アジア地域における日本を中心とする「バランス・オブ・パワー(勢力均衡)」を、日本にとって望ましい状況にすべきである。その主対象は覇権的に台頭する中国である。

 当然ながら、わが国の自助努力により国力を改善しなければいけない。国力の要素である、「経済成長」「防衛力増強」「外交力の強化」「科学技術力の強化」などに真剣に取り組まなければならない。特に自衛隊は日本防衛、特に南西防衛態勢を確立しなければいけない。

 そして、共助としての日米同盟を堅持し、中国のアジアにおける覇権確立を抑止することが不可欠である。同盟国・日本としては、「インド太平洋地域こそが米国にとってバイタルな(=国家生命維持に必要不可欠な)地域であり、覇権主義的台頭をする中国を抑止するのが米国の最も重要な使命である」という主張をし続けることである。

 この論理は、米国の伝統的な対外政策の本質である「米国を脅かす地域覇権大国の台頭を許さない」にも一致する。「米国は世界の全ての正面に対処せよ」などと決して言ってはいけない。米国は中国にこそ対処すべきであると主張し続けることが重要である。

 そして、対中抑止の輪を、オーストラリアや、インド、ASEAN(東南アジア諸国連合)諸国、台湾などに拡大することがより効果的な対中抑止策となろう。

 ◇

 冒頭述べた米国のミサイル配備に対して、高市氏を除く3氏が反対の立場を示しましたが、かといって自国での配備をする考えはありません。今や空中戦が主流の世界の軍事環境において、他国にも頼らず自国でも配備しない、ただただ防衛だけに徹する、というのは、攻撃しないで一方的に相手のパンチを避け続けるボクサーと同じでしょう。いつかは手痛いパンチを食らってノックダウンしてしまいます。

 高市氏は米軍のミサイル配備を認めた上で、できれば国産のミサイルをと言っていましたが、彼女のこの発言が本当に日本に抑止力をもたらす、そして普通の国としての発言だと強く思いました。

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2021年9月18日 (土)

高市早苗氏のやり遂げたい政策課題の一つ、「NHK改革」の具体案

Imagesas  自民党総裁選の告知がなされました。4候補の中で輝く保守の星高市早苗氏。その高市氏がかつての総務大臣時代に精力を注いで取り組んだ「NHK改革」。偏向報道を続ける民放にも改革の手を入れなければなりませんが、国民から税金に等しい「受信料」を強制的に課している意味では、NHKは他局とは少し異なります。

 15日夜、自民党の和田政宗氏がツイッターで次のように投稿しました。

『NHK「ニュースウオッチ9」が、マルクス「資本論」について、マルクスの娘を描いた映画をもとに肯定する趣旨の報道。

闘う必要と。

これが共産主義革命のもとになっているのだが、NHKは手放しに報道。

両論併記の報道はしないのか。

かなり片側に振れた報道ではないか。』

 このように、NHKの偏向報道は枚挙にいとまはありません。その点も含めて高市氏の月刊hanadaプラスに寄稿した小論文、『我が「NHK改革」具体案』(8/9公開)を、以下に引用して掲載します。少し長くなりますのでお忙しい方は「太字」の項目タイトルだけでも、ご覧いただければと思います。

高止まりする受信料や営業経費、肥大化する放送波、子会社等との「随意契約率」93・5%という驚くべき実態、国民に還元されない多額の繰越剰余金――「伏魔殿」と称されるNHKを国民の手に取り戻すために、高市早苗前総務大臣が掲げたNHK改革の具体案!

*****

「NHKに手を出すと痛い目に遭うぞ」

初めて総務大臣に任命された平成26年9月3日に、先輩国会議員からいただいたアドバイスは、いまでも忘れられない。

「総務省に行ったら、とにかく地方行政分野に没頭すればいい。NHK問題には、できるだけかかわらないほうがいいよ。NHKは『伏魔殿』だから、手を出すと痛い目に遭うぞ」  

安倍内閣において、平成26年9月から平成29年8月までの間と令和元年9月から令和2年9月までの間で、合計5回、総務大臣に任命され、通算で約4年間、総務省で働いた。  

総務省は、平成13年の省庁再編により、旧自治省、旧郵政省、旧総務庁が統合して誕生した官庁で、所掌範囲は、地方税財政を含む地方行政制度、消防・救急行政、放送行政、郵政行政、情報通信技術を活用した成長戦略、他の府省庁を含む国の基本的な行政制度の管理・運営と多岐にわたる。   

先輩国会議員の親切なアドバイスの真意をほとんど理解できないまま、早々に「NHK改革」に踏み出してしまった私は、やがてNHKという長い歴史を誇る巨大組織による巧妙で強烈な抵抗や、一部NHK幹部による罵詈雑言に苦しむこととなった。  

平成29年に私が総務大臣を退任した時には、NHK職員の皆様が祝杯を挙げたという話を聞き、昨秋、再任された時にはNHKでは失望の声が広がったということも知っている。  

最初の大臣就任翌年の平成27年4月に、『クローズアップ現代』という番組に関してNHKに行政指導をした。NHKは行政指導文書の受け取りを拒否し、文書を持参した職員は、深夜まで数時間も屋外で待たされるという可哀想な目に遭った。  

大臣として最初に国会で審議をしていただいた『平成27年度NHK予算』に付した『総務大臣意見』には、「公共放送への高い信頼を確保するため、子会社等を含め、コンプライアンスのより一層の確保に向けて組織を挙げて全力で取り組むこと」と書いた。

相次ぐ不祥事や苦情の声

前年3月に2件の不祥事が発覚したことを受けての『総務大臣意見』だったが、NHK予算が国会で承認されて3カ月後の平成27年6月にはNHKアイテックでカラ出張問題、同年7月にはNHKインターナショナルで危険ドラッグ事件、平成28年にはNHKアイテックで総務省の補助事業だった地デジ難視対策のお金の着服疑惑、別の社員による新たな不正受領疑惑と、立て続けに問題が発覚していた。  

組織ぐるみではなく個人による犯罪だったとしても、「長期にわたって、子会社の経理が適切に行われていなかったこと」 「NHK本体が、出資先の子会社の経理をチェックできなかったこと」は大きな問題だ。   

当時の籾井勝人会長に対しては「抜本的な子会社改革」を要請したが、現在も残る課題があり、それらは後記する。  

2019年秋、2年1カ月ぶりに総務省に戻ってみると、日本郵政グループとNHKの間で、かんぽ生命不正勧誘問題を取り上げたNHKの番組の取材手法などを巡って争いが勃発していた。  

国民の皆様のご批判は、不適切な勧誘活動をしていながらNHKに圧力をかけたとされる日本郵政グループにも、日本郵政グループに対して弱気な対応をしたNHKにも向けられており、国会でも本件と『放送法』の解釈が取り上げられ、私も答弁対応に苦慮することとなった。  

私宛の手紙や公式サイトのご意見コーナーでも、「NHKの受信料が高過ぎる」「左傾化した番組が多いので、NHKを観たくない。NHKにスクランブル(衛星放送などで使われているが、特定チャンネルを受信できないように変調すること)をかけて、テレビを持っていてもNHK受信料を払わなくていいように制度を変えて欲しい」「急に訪ねてきたNHKの訪問員が、テレビの有無を確認すると言って無理やり部屋に上がり込んできて、怖かった」など、多くの苦情やご意見が寄せられていた。

「三位一体改革」に着手

総務大臣在任中に私が提唱し、長い時間を費やして懸命に取り組んできたことは、ひと言で表現すると「業務」「受信料 「ガバナンス」の「三位一体改革」だった。  

最初の大臣就任直後から様々な問題が続けて発生したことから、平成27年10月に、総務省に「放送を巡る諸課題に関する検討会」を設置し、翌月からNHK改革を含む本格的な議論を開始した。

この検討会は現在も続いているが、有識者など構成員に加えて、民間放送事業者やNHKなど関係者にも出席していただいてオープンに議論を進めている。検討会の結論を受けて、総務省が『放送法』の改正案を作成したり、NHKが改革案を検討したりと、影響力のある検討会だ。  

大臣再任後に、この検討会の下に「公共放送の在り方に関する検討分科会」を設置して、NHKの課題に特化した議論を進めていただき、2020年6月には、『三位一体改革推進のためNHKにおいて取組が期待される事項』を取りまとめていただいた。  

2020年1月に就任された前田晃伸NHK会長は、就任後初となる『中期経営計画(案)』(令和3年度から3年間の計画)を取りまとめるにあたり、前記分科会の意見も参考にして下さり、「スリムで強靱なNHK」を掲げ、番組編成や放送波の削減などを通じて支出規模の圧縮に取り組むことなど、構造改革への決意を示された。  

特に衛星やラジオの「放送波の削減」については私の持論でもあったので、前田会長が過去のNHKではあり得なかった強い改革姿勢を示されたことについて、大いに敬意を表し、その実現を期待している。  

NHK内部には、会長の改革案に対する反発が強く、相当な苦労をしながら奮闘しておられると仄聞している。

「NHK改革に係る私の問題意識」について、以下、整理して書かせていただく。

NHK受信料を引下げるために

第一に、「受信料の高止まり」だ。  

籾井会長の後任として平成29年1月に就任された上田良一会長は、2019年10月の消費税率引上げ(8%から10%)に際して受信料額を据置き、実質引下げを実現して下さった。  

上田会長の後任として2020年1月に就任された前田会長には、2020年春、新型コロナウイルス感染症の拡大により、とりわけ旅館やホテルをはじめとする中小企業の経営が悪化していたことから、受信料の負担軽減策の検討をお願いしたところ、早々に実現していただき、感謝している。加えて、2020年10月には、地上契約で月額35円、衛星契約で月額60円の受信料引下げをしていただいた。  

それでも、「NHK受信料が高い」というお声は、依然、多数の方々から寄せられている。  

現在のNHK受信料は、地上契約で月額1225円(年額1万4700円)、衛星契約で月額2170円(年額2万6040円)となっており、多くの方は、地上と衛星の両方の受信料を含む「衛星契約」をしておられると思う。  

特に、衛星放送を全く観ないのに、予め衛星アンテナが設置された集合住宅に入居された方は、年額2万6040円ものNHK受信料負担に納得しておられないだろう。この「衛星付加受信料」は、「受動受信問題」と呼ばれている。その負担額の一部が8K放送への投資によって「付加」されていると聞いても、納得できる方は多くはないはずだ。  

諸外国の公共放送受信料と比較することは、為替変動による誤差が生じるので困難だが、概ね、フランスは約1万8000円、イギリスは約2万2000円、韓国は約3000円でカーナビは受信料徴収対象外だ。  

NHK受信料を引下げるためには、後記する様々な改革により、NHKのスリム化と効率化を行っていただくことが必須である。  

衛星波については、「番組編成の重複」を排除して波数を減らし、それに応じて、「衛星付加受信料」については撤廃が必要だと考える。  

2020年9月、自民党総裁選挙が始まってすぐに、菅義偉候補(当時は官房長官)に対して、「NHK受信料の引下げも、総裁選挙の公約として発言していただきたい」旨をお伝えし、NHKの諸課題と解決策案を簡潔に一覧表にした資料もお渡ししたのだが、総裁選挙では私の希望は叶わなかった。  

菅内閣の最優先課題は「携帯電話料金の引下げ」だが、携帯電話料金ならば、ユーザーがMNO(移動通信サービスに係る無線局を自ら開設・運用して、移動通信サービスを提供する電気通信事業者)のサブブランドの安価なサービスを選択することもできるし、MVNO(移動通信サービスに係るインフラを他社から借り受けて、移動通信サービスを提供する電気通信事業者)の格安スマホに乗り換えることもできる。データ使用量を自らセーブして節約することもできる。  

しかし、NHK受信料は定額であり、NHK視聴の有無に関係なくテレビ受信機を設置したら支払わなければならない。民放各社は、「NHK受信料が高額だから、余計にテレビ離れが進んでいる。民放も被害者だ」と憤っている。  

菅内閣には、受信料の引下げに繋がる「NHK改革」にも、優先課題として取り組んでいただきたい。

営業経費の高止まり

第二に、NHKの非効率性として私が度々指摘してきたことだが、令和2年度予算額で779億円にも上る「営業経費の高止まり」だ。  

前年度の『令和元年度決算』の「営業経費」は759億円だった。令和元年度の「受信料収入」は7115億円だったから、受信料収入のうち10・6%を、受信料を徴収するために使ってしまった計算になる。  

受信料収入に占める「営業経費」(徴収費用)の比率は、イギリスで2・7%、フランスで1%、ドイツで2・2%だから、10%を超える日本はダントツに高い。  

徴収コストが約31億円と特に安価なフランスでは、政府が徴収している。経済財政省が、個人からは住居税とともに、法人からは付加価値税とともに一括徴収している。イギリスは民間委託。韓国は電力公社に委託している。  

フランス、ドイツ、フィンランド、韓国では、受信料は強制徴収であり、支払わない場合には罰金や追徴金が課される(イギリスは強制徴収ではないが罰則はある)のだから、強制徴収制度も罰則もないNHKの苦労には同情すべき点もある。

訪問要員に係る経費に305億円

そもそも、NHKの「営業経費」なるものの内訳はどうなっているのだろうか。

『令和元年度決算』で見ると、「契約収納費」に627億円、「人件費・減価償却費」に132億円が使われている。   

内訳は、「地域スタッフ等手数料・給付金」(契約取次や収納業務を行う地域スタッフ等への手数料や給付金)が71億円、「法人委託手数料」が233億円、「契約収納促進費等」(口座振替やクレジット等の請求・収納に係る経費、各種団体による収納取りまとめに係る手数料、未契約者や未収者への文書や電話による対策経費、事務情報処理およびシステム運用に係る経費)が322億円となっている。  

このように細かく分けて示すと見えにくいのだが、「訪問要員に係る経費」は、令和元年度に305億円もかかっている。  

この訪問要員による「訪問巡回活動」は、未契約や入居者の入れ替わりを把握するための「点検」、契約が確認できない家屋の「訪問」、住人に会えるまで訪問を繰り返しての「面接」、受信機設置の有無を確認する「設置把握」、受信料制度の意義などを説明する「説明・説得」という順を踏んで、ようやく新規契約・住所変更・地上契約から衛星契約への変更・支払再開などの「契約取次」に至る。  

NHKによると、訪問要員が粘り強く対応することによって、クレームやトラブルが発生するのだという。

改革に立ちはだかる壁

2020年9月30日にNHKが総務省の「公共放送の在り方に関する検討分科会」に提出した資料によると、総世帯数5523万のうち契約世帯は4151万なので、世帯支払率は82%。問題は、残る1327万世帯のうち「誰が受信契約の対象か把握できない」 「受信機を設置しているかどうか把握できない」ということだった。  

多大なコストをかけて人海戦術で訪問活動をしなければならない現状を変えるための方法として、前田会長からは同日、「受信機の設置届出義務の設定」と「居住者情報の活用」が可能となるよう、『放送法』の改正を求める要請がなされた。  

前田会長の二点の要請に応えるためには、クリアするべき法的論点がいくつか存在する。  

一点目の「受信者からNHKに対する受信設備設置の通知義務」を設定する場合には、「契約義務」を規定している現行の『放送法』のままで「通知義務」まで課すことができるかどうかが論点になる。  

二点目の「居住者情報の活用」を可能にするためには、情報を保有する主体に係る法律との整合を議論しなければならない。  

仮にNHKが日本郵便から転居情報を取得しようとする場合には、転居情報は『郵便法』第8条2項の「郵便物に関して知り得た他人の秘密」に該当し、日本郵便はこれを守らなければならない。  

平成28年の最高裁判決では、『弁護士法』に基づく弁護士会からの転居情報の照会に対して日本郵便が回答を拒絶したことが不法行為ではない、と判断された。法令に基づく照会への対応であっても、『郵便法』のハードルは高いと考えられる。  

仮にNHKが自治体から住基情報を取得する場合には、『住民基本台帳法』との整合を議論しなければならない。

『住民基本台帳法』第12条の三第1項は「自己の権利を行使するために住民票の記載事項を確認する必要がある者」であれば、住民票の写し等の交付を受けることが可能である旨を規定している。たとえば、「債務者の情報を入手しようとする債権者」が該当するとされる。

『放送法』第64条は「協会(NHK)の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない」とし、同条の二では「協会は、あらかじめ、総務大臣の認可を受けた基準によるのでなければ、前項本文の規定により契約を締結した者から徴収する受信料を免除してはならない」とも規定している。  

よって、「債権者としてのNHK」が住基情報を取得する方法が現実的にも感じられるのだが、今回の前田会長の要請に対しては「受信機設置の確認前、つまり、債権発生前の段階で、1300万世帯を超える居住者情報を取得しようとするもの」だとして、『住民基本台帳法』との整合を疑問視する声もある。  

諸外国では、どのようにして支払対象者を把握しているのだろう。フランスは「住居税支払者情報」を、ドイツは「住民登録情報」を、韓国は「電気料金支払者情報」を、イギリスは「郵便局の住所情報」を活用しており、受信器設置などの申告をしない者には、罰金や追徴金が課される。  

最も明快なのは、『放送法』を改正して、テレビ受信機の有無にかかわりなく「公共放送維持負担金(仮称)の支払義務」を明記したうえで、公共料金や税金との共同徴収を可能にする制度を導入することだ。これは大きな議論を誘発するテーマなので、本稿最後に「抜本的改革案」として詳記する。

肥大した放送波の削減を

第三に、「放送波の肥大化」だ。  

現在のNHKは、「地上テレビ」で二波(総合、教育)、「ラジオ」で三波(AM第1、AM第2、FM)、「衛星」で四波(BS1、BSプレミアム、BS4K、BS8K)の放送波を使用している。  

私が大臣としてご一緒した3名のNHK会長に対しては、「本当にこれだけ多くの放送波が必要なのか。同じようなコンテンツが別々の放送波で重複している。整理できるものを検討してもらえないか」と申し上げ続けてきた。「ラジオ」に限っては、災害発生時を想定すると、中波放送のAMのほうが到達範囲は広いというメリットがある一方、到達範囲が狭い超短波放送のFMのほうが高音質で雑音なく聴き取れるので、両方を一波ずつ残す必要性も伝えた。  

この提案に初めて真剣に応えて下さったのが、前田会長だった。  

前田会長は、「衛星」については早期にBS1とBSプレミアムの二波を一波に減らしたうえで、残る4Kと8Kの在り方も検討し、「ラジオ」についても三波から二波に整理する予定だ、と言って下さった。  

8Kも、貴重な受信料を投じて世界に誇れる技術開発を行ったものなので、2021年の東京五輪での活用とともに、医療をはじめとした多様な分野での社会実装を目指すべきだと考える。  

この「放送波の削減」が実現できると、受信料引下げにもがる大きなコストカットの余地が生まれる。  

NHKが建設中の「新放送センター」については、箱物の建設費として約1700億円、放送設備の整備に約1500億円の経費を要するとされていた。  

この「新放送センター」は、平成28年8月30日にNHKが『放送センター建替基本計画』を公表し、すでに着工した「情報棟」(報道・情報スタジオ等)に続き、「制作事務棟」(映像・音声スタジオ、事務室等)、「公開棟」(公開スタジオ等)と順次、工事が進む予定だ。  

その「建設積立資産」として、NHKは現在、1694億円を保有している。  

しかし放送波が減るのなら、「情報棟」や「制作事務棟」に必要なスタジオなど部屋数の減少、建物内に入れる放送設備整備費の圧縮ができるはずだ。大規模災害対策やサイバーセキュリティ対策は万全にする必要があるが、設備のシンプル化は可能だ。  

すでに前田会長は、自らの査定で「新放送センター」の放送設備整備費を1500億円から1000億円に圧縮したことを明らかにされた。  

さらに、放送波の削減による制作費の圧縮、クラウド化や拠点集約による効率化を行えば、数百億円規模のコストカットが可能だろう。

多額の繰越剰余金

第四に、NHKの「財務体質」にも課題があると感じていた。  

NHKは、令和元年度末で1280億円を超える「繰越剰余金」を計上している。  

一般論としては、民間企業が利益剰余金などの「内部留保」を必要以上に貯め込むことは、「成長のための投資」や「株主に対する適切な還元」に反し、好ましくないとされる。  

しかしNHKの場合、「費用」に基づいて「収入」を決める総括原価方式であり、番組制作や機材購入への投資は拡大しやすい傾向にある。 「株主」にあたる国民・視聴者への「還元」、言い換えれば「受信料水準の引下げ」について、真剣に検討していただきたいと要請してきた。  

この点についても、一部週刊誌では前田会長が否定的な発言をしておられるように報じられていたが、事実は逆である。  

去る9月30日の「公共放送の在り方に関する検討分科会」の席上、前田会長がこう踏み込んでいる。

「私は、剰余金が出た場合には、剰余金のなかから一定額を値下げのための勘定に利用し、一定額が貯まったところで視聴者に還元する、そういう受信料還元に関する勘定科目の新設が必要だと思っています」  

そのうえで総務省に対して、繰越剰余金の受信料への還元のための『総務省令』改正による「勘定科目の新設」を要請された。

肥大化する子会社や関連会社、グループ経営改革を

第五に、NHKの「肥大化」として批判されている子会社や関連会社を含めた「グループ経営改革」が不十分だということだ。  

私が大臣在任中に、歴代NHK会長に対して改善を求めてきたことは、「適切な業務範囲の見直しをすること」「子会社における適正な経営及びコンプライアンスの確保」「NHK本体と子会社・関連会社との取引における透明性と適正性の確保」 「NHKは子会社に多額の出資をしているのだから、子会社の利益剰余金のNHK本体への適正な還元を実施すること」の4点だった。  

現在、NHKの「子会社」は11社、「関連会社」は4社、「関連公益法人等」は9団体ある。  

下の資料の表をご覧いただきたい。  

Nhk___

全体的に、従業員に占める役員の比率が高い。「子会社」のNHKプロモーションでは、従業員58名に対し、役員が11名だ。「関連会社」4社の役員比率も驚くべき高さだ。  

そのようなこと以上に、私が問題視しているのは、NHKは子会社等との「随意契約率」が高いということだ。令和元年度は93・5%だった。近年、90%超で推移している。より安価に外注できる業務も多くあるはずだ。  

NHKグループ全体の人員数は、令和2年度で1万343名だ。子会社や関連会社の業務内容を一覧すると、「NHK本体では一体何の業務をしているのか」と不思議になるくらい、多様な業務が展開されている。業務の「分割ロス」に繋がりかねない細分化された子会社・関連会社の構成についても、大胆な改革が不可欠だと思う。  

これまでにも、子会社数を減らすために合併した例はあった。資料の表に太枠で囲んだ2社である。  

平成31年4月1日には「NHKアイテック」と「NHKメディアテクノロジー」が合併し、現在の「NHKテクノロジーズ」になった。令和2年4月1日には「NHKエンタープライズ」と「NHKプラネット」が合併して、現在の「NHKエンタープライズ」になった。  

前田会長によると、過去の子会社合併では、給与が高いほうの会社に合わせて合併後の会社の従業員の給与が高止まりするなど、単純に子会社同士を合併するといういままでの手法では、時間とコストがかかる割に統合効果が発揮されていなかったということだった。  

前田会長から私に対しては、「中間持株会社の設置」という提案がなされた。  

NHKの業務と密接に関連する業務を担う子会社を中間持株会社の傘下に入れ、グループのグリップ力を強め、機動的にリソースを配置できるようにするほうが業務の合理化を加速できるということだった。  

これは私には考え付かなかったアイデアで、大いに感心した。『放送法』の改正が必要になるが、長年かけても進まなかった「グループ経営改革」が実現する可能性が高い。  

武田良太総務大臣や秋本芳徳情報流通行政局長(当時)には、前田会長の心意気を受け止めて、「グループ経営改革」に資する『放送法』の改正をぜひ実現していただきたい。

受信料制度の抜本的改革

最後に、とても困難だが、逃げてはならない課題を記す。「受信料制度の抜本的改革」だ。

「通信・放送融合時代」を迎え、若年層を中心にテレビ受信機を設置しない世帯が増加し、インターネット上の動画配信サービスの視聴が拡大するなど、テレビ視聴を巡る環境は大きく変化している。  前記したとおり、現行の『放送法』に基づく受信料制度は、あくまで「テレビ受信機の設置」が基準となっている。  

ほぼ全ての世帯がテレビ受信機のみを通じて放送番組を視聴していた時代には、NHK受信料は「負担金」として一定の合理性があったと思う。  

しかし、いまやテレビ放送用チューナーを搭載していない大型ディスプレイパネルが販売されており、インターネットによる多様なニュース番組や討論番組はもちろん、デバイスを挿して映画やドラマなど無料や有料の様々なサービスを楽しむことができる。  

すでにNHKでは、「テレビ受信機は持っていないけれども、インターネット常時同時配信サービスでNHKの番組は視聴したい」と希望される方に対して、適切にサービスを提供することができないという課題が顕在化しており、『放送法』に規定する受信料制度の抜本的見直しは不可避になってきている。  

具体的には、二種類の方法が考えられる。  

第一は、イギリス方式で、「地上」と「衛星」と「ネット」の料金を一元化したうえで、全体的な料金水準を引き下げる「総合受信料」への変更だ。前田会長は、「衛星付加受信料」に係る不公平感解消の手段として、この方法を希望しておられると承知している。  

第二は、ドイツ方式で、テレビ受信機の保有に関係なく、全ての住居占有者および事業主に対して「公共放送維持負担金」(仮称)を義務付ける方法だ。この場合は、公共料金や税金との一括徴収が可能となり、前記した「営業経費の高止まり」や「不公平感」の課題は解決する。  

いずれの方法を選択するにしても、「低所得世帯については支払を免除すること」や「現状の受信料よりも格段に安い水準にすること」が求められると思うが、現在は支払っていない方々にも負担を求めることとなるため、政治的には相当な困難を覚悟する必要がある。  

しかし、技術革新や生活スタイルの変化に法律が追い付いていないことはたしかで、「受信料制度の抜本的見直し」は避けてはならない課題である。  

実は過去にも、「受信料の支払義務化」に向けた『放送法』改正案が、数回にわたって議論されている。  

昭和48年には、「契約義務を支払義務に改正」 「罰則規定なし」という内容の法案が国会に提出された。衆議院逓信委員会で審議されたが、国会閉会時に審議未了で廃案になった。  

昭和55年には、「契約義務を支払義務に改正」「受信設備設置の通知義務」「延滞金の規定を追加」という内容の法案が国会に提出された。審議は行われないまま、衆議院解散による審議未了で廃案になった。  

平成18年には、『通信・放送の在り方に関する政府与党合意』において「支払義務の導入」が提示され、平成19年には、総務省が、受信料を2割程度引下げることを前提に「契約義務を支払義務に改正」「受信設備設置の通知義務」「延滞金の規定を追加」「罰則規定なし」という内容の法案を準備した。  

ところが、NHKが受信料引下げに難色を示したため、「支払義務化」の条項を法案から取り下げ、結局、『放送法』の改正は実現しなかった。  

大臣再任後、総務省の「放送を巡る諸課題検討会」で、諸外国の公共放送制度も参考にしながら、有識者や放送関係者の皆様に「受信料制度の抜本的改革」について議論をしていただいてきた。大臣を退任したいまでも、検討会の結論が政府による法改正への再トライを認めるものになることを期待している。

視聴率狙いの番組制作をする必要はない

ただし、「公共放送維持負担金(仮称)の支払義務」を明記するような『放送法』改正を実現するためには、「NHKは日本にとって大切な公共放送の担い手という存在なのだから、必ず維持しなければならない」という声が国民の皆様から湧き上がるような、NHKに対する揺るぎない信頼感が醸成されることが必須だ。  

いまさらだが、NHKは『放送法』第15条に基づいて、「公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように豊かで、かつ、良い放送番組による国内基幹放送(略)を行う」ことなどを目的として設置されている特殊法人だ。  

多くの方々が負担して下さる貴重な受信料によって運営されている法人だからこそ、前田会長がおっしゃるように「質の高いNHKらしい充実したコンテンツを、合理的なコストで提供していくことが重要」なのだ。  

そもそも企業スポンサーが不要なのだから、民放と競って視聴率狙いの番組制作をする必要はないし、民放や新聞社の業務を圧迫するような事業を行う必要もない。

 ◇

 NHKに対しては、その番組制作に政治的偏りがある事と、民放の動向に踊らされ、視聴率稼ぎのための軽薄な番組が数多くある事、そして何より受信料を番組制作の質の向上に振り分けるよりも、むしろ周辺事業への拡大に重きを置いて、社員をいたずらに増やし、また社員の報酬も世間一般よりもかなりの高報酬を与えているといった実態に大きな疑問を感じます。

 もし日本の公共放送なら当然日本の国益に沿った報道をするべきで、例えばBBCが「ライダイハン」の蛮行を報道したなら、NHKも韓国の慰安婦問題を遙かにしのぐこの蛮行をスペシャル扱いで報道すべきなのに、何もしていません。逆に「ジャパンデビュー」や「731部隊の真実」のように、捏造や誇張を含めて日本を貶める番組を作っている始末です。

 これでは公共放送ではなく、単なる偏向した民放と同類です。受信料など取る資格はありません。「NHKから国民を守る党」ではありませんが、抜本的改革をしなければNHKの存在価値はゼロです。高市氏に頑張っていただきたいと強く思います。

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2021年9月17日 (金)

有本香氏:高市早苗さんを日本初の女性総理に!

0909takaichi  本日自民党総裁選が告示されます。昨日出馬を決定した野田聖子氏を含め、4人で総理・総裁の席が争われます。その中で、初の女性総理を期待される高市早苗氏、保守層には絶大な支持を受ける高市氏ですが、予断を許さないというのが率直な状況でしょう。それでも野田聖子氏に続き二人目の女性候補として、期待は高まっています。

 今回は保守論壇の一人有本香氏が、少し前に月刊hanadaプラスに寄稿したコラム『高市早苗さんを日本初の女性総理に!』(8/10)を取り上げ、以下に引用掲載します。

◇    

「今回、私自身も総裁選に出馬することを決断した」と『文藝春秋』(2021年9月号)で出馬宣言をした高市早苗議員。だが、彼女が歩んだ政治人生はけっして平坦なものではなかった。田原総一朗氏、朝日新聞、NHK、週刊文春など極めて不当な「メディアリンチ」に遭ってきたのだ。マスコミはなぜ彼女をいたく嫌うのか。有本香氏はなぜ10年前から「初の女性総理は高市さんに」と言い続けてきたのか。月刊『Hanada』2021年5月号に掲載されたコラムを特別公開!

*****

田原総一朗氏に「無知で下品」と面罵された過去

高市早苗さんといえば、総務大臣や党幹部などの重職を歴任した、自民党の大物女性議員だ。その高市さんがいま(21年3月11日)、文春砲が発端の、極めて不当な「メディアリンチ」に遭っている。

今回の事の経緯に入る前に、高市さんはなぜ、よくメディアに虐められるのかを考えてみた。その始まりとして私の脳裏に浮かぶのはいまから18年前、テレビ番組でのワンシーンだ。当時、若手与党議員だった高市さんは画面のなかで、テレビ界の“妖怪”田原総一朗氏に「無知で下品」と面罵されていた。

いち視聴者だった私でもムカッ腹が立ったのだから、ご本人の腹立ちは察するに余りある。しかしなにぶん生放送中のこと、高市さんは感情的になることなく、無言で悔しさを噛み殺していた。この経緯は高市さんのブログにいまも残っているので引用しよう。

「満州事変以降の戦争は、日本にとって自存自衛の戦争だったと思うか?」との田原さんの問いに対して「セキュリティーの為の戦争だったと思う」と私(高市)が答えた途端、田原さんがまくしたて始めました。「下品で無知な人にバッジつけて靖国のことを語ってもらいたくない」「こういう幼稚な人が下品な言葉で靖国、靖国って言う」「靖国神社に行ったら、下品な人間の、憎たらしい顔をしたのが集まっている」

田原氏は後日この発言を謝罪したが、当時の氏は複数の番組で、議員や論客相手に同様のことをしていた。「あの戦争は侵略戦争だったか否か」と詰問し、踏み絵を迫っていたのである。

私から見れば、公共の電波を使ってチャチな「思想検閲」をする田原氏のほうがよっぽど「無知で下品」だと思ったが、当時は、ほとんどの人が田原氏の軍門に降っていた。堂々と「自衛のためだった」と答えた人はごく少数。女性議員では高市さんただ1人ではなかったかと記憶する。以来、私は、歳の近い高市さんに敬意と期待を抱いた。

それから約8年後の2010年、下野していた自民党の議員だった高市さんに、初めて1対1でお目にかかった。田原氏との1件に触れると、高市さんは存外に明るい声で、「あれは酷かったね。あのあと、朝日新聞にも叩かれて、選挙にも響いて、負けちゃったわ」と振り返った。

酷い経験を恨みがましく言わないところに、私は好感を強くした。そしてこのあと、「自民党が政権を取り返して高市さんが要職に就かれたら、まずすべきは何か」という私の問いに、彼女は次のように答えた。

「歴史認識の問題ね。個別の政策はいろいろあるけれど、何よりも、自国に対する『認識』、この大元を正さないと。過去の談話、あれらを見直すことから始める必要がある」

フェイクニュースによる高市落とし

その後、女性初の与党政調会長となり、閣僚をも歴任したが、高市さんは頑として靖國参拝を続けた。その際に発せられるコメントは常に、田原氏の言った「下品さ」からは程遠い、心はあるが隙のない言葉で組み立てられていた。そんな高市さんを、田原氏やマスメディアは何かにつけて不当に攻撃し、そのたびに高市さんは冷静に反論し続けた。

今般その高市さんを標的にしたのは、新聞でもテレビでもなく『週刊文春』(2021年3月18日号)だった。悪意ある見出しと写真使いで、高市さんが総務相時代に、NTTから高額接待を受けたかのようにミスリードしたのである。

記事をすべて読めば、高市さんが領収書のコピーまで付けて「割り勘だった」ことを説明したと分かるが、多くの人は中吊りや新聞広告の見出しだけで「高市氏も接待された」と思い込む。

続いて、Yahoo!ニュースがこの記事を転載、トップ画面で「NTT 高市元総務相らも接待」と発信した。さらに後日、NHKが、まるで接待露見後に返金したかのように切り取り報道――。

大週刊誌と公共放送、ネット企業がスクラムを組んでの「フェイクニュースによる高市落とし」だった。これでは堪ったものではない。「死ね」「犯罪者」などのメールが高市さん側に多数届いたと仄聞する。

今回の1件には、2つの「背景」が関係していると推察する。ひとつは高市さんが力を入れているNHK改革を阻止したい勢力の影響。もうひとつは、「田原事件」と同じ18年前、当時も左派が進めたがっていた「夫婦別姓」のための民法改正、これを阻む「私案」を高市さんが起草し、自民党政調に出した過去だ。

そう、高市さんは、左派が進めたい愚策を鉄壁の理論武装で粉砕できる数少ない政治家である。だからメディアは彼女をいたく嫌う。

となれば、天の邪鬼の私は、ぜひとも高市さんに本邦初の女性総理を目指してもらいたく思う。日本の悪しき「戦後」と、田原氏「18年の呪い」を完全封殺するためにも、一層の奮起を期待するところである。

 ◇

 日本のメディアの多くが左傾化し、日本を陥れる記事を平気で垂れ流し、高市氏のように日本を強く良くしようとする一方、過去をことさら否定せず、靖国参拝を続けようとする姿勢には、凄まじいばかりのバッシングを行う。それでは背景をよく知らない視聴者や購読者は、日本の悪い面ばかりを読み取らされ、結果として国家というものに、「悪」を感じさせてしまう。

 これが有本氏の言う『田原総一朗氏、朝日新聞、NHK、週刊文春』の狙いの実態でしょう。背景には共産党を含む特定野党や中国の意図が見え隠れします。そんな国賊のようなメディア人に敢然と立ち向かう高市氏を高く評価したいと思います。そしてまず手始めに偏向し続ける、NHKを含む地上波改革をお願いしたいと思います。普通の国日本にするために。

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2021年9月16日 (木)

検証、アフガン撤退「500人置き去り、早逃げ現地大使館、遅い政府の決心」

3_20210916094901  アフガニスタンではタリバンによる政権が組閣されましたが、女性はもちろんタリバン以外の識者や政治家も入閣せず、先行きは完全に不透明のままです。米軍撤退から既に半月を経過し、中国、パキスタンの急接近など、情勢は急速に独裁へと突っ走っています。

 そのアフガンからの日本人の退避行動、巷間、様々なことが言われていますが、軍事アナリストの小川和久氏が現代に投稿した記事に詳細が記されています。タイトルは『恥!アフガン500人置き去り、早逃げ現地大使館、遅い政府の決心 アフガン退避の大醜態を徹底検証する』(9/8)で、以下に引用して記載します。

 ◇

「最悪の事態」に本当に備えていたのか

日本ではことあるごとに「危機管理とは最悪の事態に備えること」と口にされてきた。

本当だろうか。そんな当たり前のことを呪文のように唱え、訳知り顔に自己満足に陥っているから、8月15日に政権が崩壊したアフガニスタンの事態を前に、日本だけが関係者を退避させられないという醜態をさらすことになった。

そのことによって国家としての品格が問われ、国際的な信用を失ったことを忘れてはならない。

言うまでもなく、危機管理が必要になるのは最悪の事態である。そのとき求められるのは、「必要なことを適切なタイミングで実行できること」である。

机上の空論を絵に描いたような「最悪の事態に備える」を口にするレベルを脱し、日本が本当の危機管理を手にするための教訓として今回のアフガン問題を整理しておきたい。

関係者を残して大使館員早々に退避

教訓の第1は、タイミングと輸送手段に関する決心の問題である。

5月に米軍のアフガン撤退が8月末と決まったあと、韓国などは6月段階で国民と関係者を出国させ始めた。タリバンがカブールに迫った8月上旬には各国とも動きを開始し、8月28日段階でほぼ撤収を完了した。

各国は、展開していた各国軍隊の通訳など協力者だけでなく、アフガニスタンの国づくりに関わっていた国際機関、NGO(非政府組織)で働いたアフガン人を可能な限り出国させた。

おおまかな数字を挙げれば、米国11万人、カタール4万人以上、アラブ首長国連邦(UAE)3万6500人、英国1万5000人、ドイツ5000人、イタリア5000人、フランス3000人、韓国391人にのぼった。

それが日本はといえば、カブールの日本大使館員12人が17日に英国軍機でアラブ首長国連邦に出国したものの、JICA(国際協力機構)などの日本人6人と関係者・家族合計500人あまりについては放置されたに等しい状態だった。

自民党外交部会などからの厳しい突き上げもあり、政府がC2(1機)とC130(2機)の自衛隊輸送機を出発させたのはようやく23日。26日に米軍に依頼された旧アフガン政府関係者14人、27日に日本人女性1人を隣国パキスタンに出国させるにとどまった。

外交特権に守られている外務省職員の退避は、最後まで船に残るべき船長が「いの一番」に逃げだしたのと同じに見られても仕方がない。

「決心」は遅れに遅れた

結論から言えば、首相を頂点とする日本政府が適切に「決心」できていれば、500人ほどの日本関係者ばかりでなく、その他のアフガニスタン人の退避にも手を差し伸べることができただろう。

ここで言う「決心」とは、自衛隊や世界の軍隊の指揮官教育で叩き込まれるもので、敵の大軍が迫ってきているといった目の前の緊急事態に対して、いかに素早く、正面突破、迂回攻撃、退却などを的確に選択し、味方の損害を最小限に抑え込みながら戦うか、という点に主眼がある。世界のビジネスパーソンの教育でもディシジョン・メイキングとして重視されているものだ。

決心に当たって必要なのは柔軟な発想である。

輸送の問題については、命令が出れば即応できる態勢にある自衛隊機の派遣を前提としながらも、最も手早く実行できたのはチャーター機の投入である。コロナ禍で航空機が余っていることもあり、政府が旅行業務に精通した人物に依頼すれば、それこそ1時間以内に中東の航空会社の旅客機をアフガンに向かわせることができただろう。

今回のケースで言えば、6月段階から関係者退避の行動に移り、遅れた場合でもアフガン政権崩壊の直後にチャーター機を手配できなければならなかった。首相官邸の機能不全と言うほかない。

自衛隊機も、「必要なことを適切なタイミングで行う」ことを前提にすると、アフガン政権が崩壊に至る8月12日のあたりでは現地入りしていなければならなかった。政府が自衛隊機を出発させたのは10日以上も遅れた23日のことだった。

とにかく、法律的にも派遣できるし、部隊は待機していた。機材も整っていた。現地も一定の安全確保ができていた。政府を挙げて決心ができなかった結果、タイミングを失してしまったのだ。

爆弾テロ前日までに全員退避の韓国が行っていたこと

第2に教訓とすべきは、カブール空港までの交通手段の確保と、その成否を分ける現地情勢の把握の問題である。

自衛隊機が現地入りした段階では、すでに出国希望者がカブール空港に詰めかけて身動きできない状態だった。そこに爆弾テロが発生し、日本人女性が空港まで自力で移動できたのが奇跡と思われるような状況となった。

これでは、いかに自衛隊機が現地入りしていようとも、そして、自衛隊の誘導要員が空港外で活動できるよう法改正が行われていたとしても、それだけでは手の打ちようがなかっただろう。政府の決心の遅れとともに、カブール空港までの移動について手を打っていなかったことは、明らかに日本政府の失態である。

このような日本と対照的だったのは韓国だ。爆弾テロ前日の25日の段階で国民と関係者391人全員を出国させるのに成功している。

韓国政府はアフガン政権崩壊直後に輸送機3機と特殊部隊66人を現地に向かわせ、同時に、現地の大使館員が米軍が押さえていたバス6台に365人を乗せて空港まで運んだ。

そこに自力で空港入りした26人が合流した。米軍のバスはタリバンとの合意で空港との間を移動できることになっており、韓国側は米軍人をバスに同乗させてタリバンの検問所を通過したのである。

これが可能になったのは、韓国大使館が自国民と関係者の現状を把握し、連絡網の構築と避難訓練を怠らず、集合場所なども明確にしていた結果だ。

口止め! 日本大使館、緊張感欠如の証言

米軍はバスの利用を各国に呼びかけていたが、日本の場合、米軍と連絡を取るべき大使館員が早々に脱出してしまい、対応する人間がいなかった。

日本政府は、自衛隊機到着時に外務省職員を現地入りさせ、37台のバスに関係者を乗せて空港に向かわせようとしたが、テロ後の混乱も加わって動きがとれなかったと弁明している。

しかし、問われるべきは外交特権で守られているはずの大使館員の国外退避を早々に許した問題である。大使館員が現地にとどまり、少なくとも韓国大使館員と同様に動いていれば、米軍のバスを利用できたのは間違いなかろう。

日本大使館が緊張感を欠いていた様子は、アフガン人現地職員の証言でも明らかとなっている。

「(7月初旬から)最悪の事態が起きる可能性を、幹部を含む外交官に何度も進言しましたが、タリバンがカブールを陥落させることはないと言われました」(2日、テレビ朝日ニュース)

政権崩壊後、この職員は大使館側から判断の誤りについて、特にマスコミに口外しないよう命じられたという。

日本の国際的信用に決定的に傷がついた

第3の教訓は、国家の品格が問われ、日本の国益が著しく損なわれたという問題である。

各国が総力を挙げて関係アフガン人の退避を進める中で、在留邦人1人と旧アフガン政権関係者14人の退避しかできず、自国の関係者500人を置き去りにした日本は、国際平和を標榜する国家としての品格が問われることになった。この醜態による国際的信用の失墜が著しく国益を損ねたことは言うまでもない。

国家の品格という点では、とりわけ印象に残ったのはフランスと韓国である。

8月28日、IPC(国際パラリンピック委員会)は陸上競技とテコンドーに男女各1人のアフガン選手が出場することになったと発表した。

この2人は政府崩壊直後にフランスの航空機で出国し、フランスのスポーツ省の保護のもとに出場準備を進め、東京にやってくることになった。

政府が崩壊し、大混乱に陥っているカブールからパラリンピックの選手を出国させ、さらに手厚い支援のもとに出場させるというのは、国家としての文化のレベルの高さと懐の深さがなければできることではない。

韓国の場合は、さらに日本が参考にしなければならない国家的動きを見せた。嫌韓派といえども認めざるを得ないほどの鮮やかさだった。

韓国政府が退避させたのは在アフガン韓国大使館や韓国政府が運営する病院、職業訓練施設などで勤務していたスタッフとその家族391人。韓国入りした全員が27日までに新型コロナウイルスの検査を受けた後、政府施設に滞在し、韓国政府は「特別功労者」として当初は短期ビザを発給、さらに就職が可能な長期ビザへの切り替えを可能にする法整備も進める方針だという。

作戦に参加した特殊部隊の隊員は「大韓民国政府に協力し共に働いたアフガンの職員たちとその家族たちを、無事に国内へと移送する任務に参加することができ光栄だ」と述べている。

派遣された自衛官たちにも、このような誇り高いコメントを口にさせてやりたかった。

「畳の上の水練」日本の危機管理

第4は、すべての問題について日本の危機管理が形式に流れ、畳の上の水練に終始しているという最も深刻な問題が浮き彫りになった点だ。

とにかく、日本の危機管理は政府、企業を問わず形式に流れてきた。今回と類似のケースで思い出されるのはアラブの春のケースである。

2011年3月、アラブの春に揺れるリビアから中国政府は自国民42600人を10日間で安全地帯に脱出させた。空路や海路だけでなく、大部分の中国人はバス、トラック、乗用車などあらゆる陸上交通手段を使って国境を越えることを最優先させた。韓国も1400人が脱出した。このとき日本政府は23人の在留邦人を脱出させられなかった。

今回のような海外安全問題で言うと、政府、企業、その他の組織ともに緊急事態に退避させるべき人員を常時把握し、連絡体制を構築し、複数の脱出ルートと手段を確保し、実動訓練を重ね、機能するレベルに完成度を高めておかなければならない。緊急連絡があったら1時間以内にアンサーバックするよう業務命令として義務づけておかなければならない。

政府と企業の危機管理に関わった経験から言えば、政府がそのレベルにないことはもとより、日本企業で合格点を与えられるのは数社にとどまっている。

安保法制をはじめとする法制度も、存立危機事態と言った言葉によって戦争が国境線で止まるかのように錯覚しているのと同じように、机上の空論のまま放置されている。

今回の自衛隊機派遣にしても、邦人や外国人の輸送を定めた自衛隊法第84条の4の規定「安全に実施することができる」が前提となったが、政府の判断はカブール空港の大混乱を前に不可能と可能の間を揺れ動いた。

日本以外の先進国では常識になっていることだが、法制度というものは常に図上演習を重ねて検証し、きちんと機能するように完成度を高めておかなければならない。これは国家安全保障局(NSS)の重要な仕事である。そのNSSも機能麻痺に陥っていたようだ。

「首相官邸には、外交・安保の司令塔となる国家安全保障局と、危機管理を担当する内閣官房『事態対処・危機管理担当』(事態室)がある。だが、退避作戦を巡る対応は、ほぼ外務・防衛両省に委ねられていたのが実情のようだ」(8月31日付読売新聞)

このように、法律や組織を作ることが最終目的化している日本では、危機管理が形式に流れるのは当然といえよう。現在の日本は、とてもではないが有事に耐えられる国ではない。いつまでも同じことを繰り返す日本。アフガンの教訓から現状を脱してほしいものだ。

 ◇

 大使館員の早期待避については、私事ですが、サウジアラビア滞在中にアラブの春が勃発、幸いサウジアラビアでは大きな混乱は起きませんでした。が、しかし隣国エジプトでは大きな混乱が起きていました。そのとき聞いた話ですが、カイロ空港が大混乱に陥り出国ができない状態になったのですが、日本の大使は早々と出国していたそうです。

 当時読んだ書籍にも、ヨーロッパのある国で、やはり混乱が生じたときも大使は「逃亡」したとありました。危機管理も何もあったものではありません。日本の外務省は腰砕けだという理由の一つがここにもあります。

 ただもっと大きな問題は、このアフガン撤退事例にもあるように、軍事・外交に極めて疎く、幼稚園のような政府の対応にあります。この記事に中国、韓国、フランスなどの例が出ていますが、いずれも普通の国が持つべき普通の「軍隊」をもち、「戦力保持を認めない、国の交戦権を認めない」というような「憲法」は持っていません。ですから有事に対する事前の準備も、発生したときの対応もきちんとできているのでしょう。

 日本は有事になれば、その「当たり前のこと」ができない、情けない国なのです。コロナでもその一端が垣間見えましたが、いずれにしても「緊急事態条項」の付加と、「9条の」改訂は、緊急時当たり前のことができる国になるために、必要不可欠だと強く思います。そうしなければ、竹島は永遠に奪還できず、拉致被害者は現状のまま、尖閣は中国領となってしまうのではないでしょうか。

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2021年9月15日 (水)

韓国食材の危険性、直近2年で衛生法違反事例52件

Img_0_20210915124401  以前から韓国食材の安全性については、日本でも度々問題になっていますが、事例も含めてかなり詳しい記事がzakzak(出典:週刊ポスト)で公開されました。タイトルは『キムチ、魚介類など日本に輸入された韓国産食品の「違反事例リスト52」 』(9/13)で、以下に引用して掲載します。

 ◇

 「辛ラーメン」で知られる韓国の即席ラーメン最大手「農心」がEUに輸出した商品から、基準値超えの有毒物質「2-クロロエタノール」が検出され、EU当局は販売停止とリコールを実施したと報じられた(8月16日)。食環境衛生研究所・食品分析室の岸田拓也氏が語る。

 「同成分は殺菌剤や染料などに使われるもので、強い毒性があります。高濃度で体内に取り込んだ人の死亡例もあり、国内では直接、食品に使うことは認められていません」

 農心ジャパンは「人体に恐れはない数値。EUで販売停止となった商品は、日本には輸出していない」(広報部)と回答したが、厚生労働省では「輸入品目のなかにあるか確認中」(医薬・生活衛生局食品監視安全課輸入食品安全対策室)という状況だ。

 輸入食品の安全性に関して、これまで何度も話題に上ってきた韓国だが、このコロナ禍の1年半にも続々と安全を脅かす食品が上陸している。

 厚労省が公表する「輸入食品等の食品衛生法違反事例」によると、2018~2019年度の韓国産食品の違反事例は計38件だったが、2020~2021年度(8月現在)はすでに52件が違反事例として摘発されている。

 特に違反事例が多いのが、エゴマ(4件)や青トウガラシ(6件)などの生鮮野菜だ。前出・岸田氏が語る。

 「違反原因は、基準値を超える農薬が主です。たとえば青トウガラシから検出された『テブフェンピラド』は、殺ダニ剤として使われており、発がん性試験では、腫瘍の一種である肝細胞腺腫の発生頻度増加が認められています。赤トウガラシの『テトラコナゾール』も高濃度で摂取すると、発がんなど人体に影響が出る可能性があります」

 海産物も問題となることが多い。焼穴子(1件)やカニ辛味噌漬け(1件)などの加工品からは大腸菌群、活赤貝(3件)や活アサリ(4件)からは下痢性貝毒が検出されている。

 2020年6月19日には、千葉県多古町の食品輸入販売業者が輸入した韓国産赤貝(一斗缶)から基準値を超える麻痺性貝毒が検出され、383個が回収に追い込まれた。

 実際に深刻な事態を招いたケースもある。

 2014年には、東京都内の和食店で韓国産のヒラメの刺身を食べた複数の客が嘔吐、下痢の症状に見舞われた。原因は、韓国産ヒラメに多く寄生しているという食中毒寄生虫「クドア」だった。

 2020年3月には、米国で韓国産エノキタケを生食し、食中毒の原因となるリステリア菌に感染して4人が死亡、30人余りが入院する事態が発生した。

 ◆検査結果判明前に流通可

 産経新聞ソウル駐在客員論説委員の黒田勝弘氏はこう言う。

 「近年、韓国の消費者は、食品や日用品の安全性に関して“過剰なまでに潔癖”な印象です。しかしこうした風潮は自国の衛生管理を信用していないことの裏返しでもある。同じような商品なら日本製を買う人が多いですから。

 韓国の飲食店のなかには、キムチやナムルなど小皿で出す料理の食べ残しを『もったいないから』と次のお客に出す店もあります。行政の指導も年々強化されていますが、それでもたびたび食の衛生問題が報じられて大炎上しています」

 日本の検疫に“穴”があることも問題だ。食品の安全に詳しいジャーナリストの小倉正行氏が指摘する。

 「2020年度の食品輸入件数235万件のうち検査されたのは20万件。検査率は8.5%です。また、輸入された食品のうち無作為に一部を選んで検査するモニタリング検査は、結果が判明する前に輸入が認められるので、流通して消費されてしまうケースがある」

 実際にモニタリング検査で違反事例となった韓国産食品を流通させてしまった輸入業者が言う。

 「うちの場合、輸入してから検査結果がわかって厚労省の回収命令が発出されるまでに2週間程度のタイムラグがありました。その間に飲食店に卸して食材として使われてしまった。健康被害はなかったのですが、申し訳ないことをした……」

 ◆輸出量が過去最高

 韓国産食品の違反事例が相次ぐ背景には、ここ数年の間に起きた世界的な韓流ブームの影響もありそうだ。

 2020年に米アカデミー賞を受賞した韓国映画『パラサイト』の世界的ヒットに続き、コロナ禍で動画配信サービスが軒並み会員数を伸ばし、『愛の不時着』などの韓国ドラマが人気を博した。

 そうしたエンタメ作品の浸透を通じて韓国の食文化にも注目が集まった結果、昨年の韓国産食品の世界への輸出額は43億ドル(約4700億円)と史上最高を記録した。今年、厚労省に違反を指摘された韓国産食品輸入業者の代表はこう言う。

 「当該食品は全部廃棄しました。韓国側の相手先業者は昨年から付き合いを始めたところで、本来なら取引をこれでやめたいところですが、いまは需要も高いし、付き合いを続けざるをえない」

 消費者問題研究所代表の垣田達哉氏が言う。

 「韓国産食品は一般的なスーパーより、輸入食材店や飲食店で扱われることが多い。たとえば激辛ソースのカプサイシンシロップやフルーツのマクワウリは、キムチをはじめ韓国料理でよく使われる食材で飲食店での需要が高く、海産物は回転寿司チェーンなどで使われている可能性がある。

 今後も韓国食の人気は続く可能性があり、多くの品目で輸入が増えることが予想される。これまで以上に安全性について注視する必要があるでしょう」

 もちろん、すべての韓国産食品に問題があるわけではないが、身を守るためにはリスクを知っておくことが欠かせない。

 ◇

 記事中の「近年、韓国の消費者は、食品や日用品の安全性に関して“過剰なまでに潔癖”な印象です。しかしこうした風潮は自国の衛生管理を信用していないことの裏返しでもある。同じような商品なら日本製を買う人が多いですから。」、という部分にこの問題の本質が現れているようです。

 私自身、決して韓国食材は買いませんが、「韓流」にハマって抜け出せない人たちは、率先して購買行動を取るのでしょう。いかに韓国が反日的行動を取ろうが、そうした人たちは関心がないのでしょうね。しかし事が安全性の問題になれば話は別でしょう。韓国人でさえ韓国食材を懸念して遠ざけているのですから。

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2021年9月14日 (火)

高市早苗氏:中国に日本の技術を盗まれないために

9-1_20210914100801  自民党総裁選に出馬表明をした高市早苗氏。以前にも彼女の記事を取り上げましたが、彼女の政権構想の中でも対中政策の部分に注目してみたいと思います。経済・技術両分野で今や最大の競争相手となった中国。しかもその発展を成功させたのは、多分に日本を含む欧米先進国からの技術の「パクリ」にあるというのは、言を俟たないでしょう。

 高市氏は、そうした中国の今後に警鐘を鳴らし、「我が政権構想」の一つとして月刊hanadaプラスに寄稿しています。今回はその部分を取り上げます。タイトルは『中国に日本の技術を盗まれないために』(8/25)で、以下に引用して掲載します。

 ◇

驚異の「極超音速兵器」に日本の技術

「極超音速兵器」は、マッハ5以上で飛翔します。弾道ミサイルに比べると、複雑な軌道を描くことができ、飛翔高度が低くレーダー探知距離が短いので、現存の防空システムによる迎撃は困難だと指摘されています。

中国では、軍需産業、国防科学技術大学(軍系大学)の他、国防7校と呼ばれる大学、中国科学院などが「極超音速兵器」の研究開発に従事しています。米国も「極超音速兵器」を開発しているが、現時点では中国に凌駕されていると聞きます。

この「極超音速兵器」開発の鍵となるのが、「スクラムジェットエンジン」と「耐熱素材」の技術です。これらの関連技術を支える日本の大学や研究機関に、中国人技術者が多数在籍していました。

なかには、日本の国立大学在籍中に日本政府の科学研究費補助金を受領し、JAXA関連施設にも出入りし、中国に帰国後は極超音速分野の新型実験装置の開発に成功した中国科学院の研究員もいました。この実験装置がJAXAの実験装置と類似しているとの指摘もあります。

北京理工大学(国防7校)副教授の専門はロケットエンジン燃焼ですが、もともと同大学の兵器発射理論・技術の修士課程に在籍した後、日本の国立大学で燃焼工学を専攻し博士となり、同大学の助教を務めました。

また、ハルビン工業大学(国防7校)教授の専門はセラミックスですが、日本の国立研究開発法人の研究員を務め、中国の国防科技イノベーショングループに所属し、多機能耐熱セラミック複合材料研究を行っています。

さらに、西北工業大学(国防7校)教授の専門は航空エンジン高温部品冷却技術ですが、日本の国立大学の研究員を務め、中国では「国防973プロジェクト」「国防基礎預研」「航空発動機預研」に従事しています。

この他にも、「極超音速兵器」に必要な「推進装置」「設計」「耐熱材料」「流体力学実験」などについて、中国科学院・力学研究所や国防7校の研究者が日本の学術機関に在籍し、帰国後に中国の大学や研究機関で極超音速関連研究に従事している事例が散見されます。

日本の大学や研究機関においては、海外人材受け入れ時のスクリーニング(身辺調査)が甘いので、日本の技術が中国の武器・装備品の性能向上を下支えしてしまっている可能性が高くなっています。

次のような法整備が必要です。

新しい法整備とスクリーニング

第1に、『国家安全保障・投資法』の制定が必要だと考えます。

現状、日本の外資規制については、『外国為替及び外国貿易法』『鉱業法』『電波法』『放送法』『日本電信電話株式会社等に関する法律』『航空法』『貨物利用運送事業法』『船舶法』の8本の法律で対応していますが、これらを統括し、『政令』によって対象分野の追加を容易にするべきです。

「外資による企業買収・合併や外国企業を買収・合併する場合のルール策定と審査体制の強化」と「安全保障貿易管理規程の整備と運用体制の強化」を行っておく必要があります。

米国では、既に人民解放軍との関係を有する中国企業への輸出規制や投資規制などを進めています。

第2に、『経済安全保障包括法』の制定も必要です。

現在の『不正競争防止法』では、日本の学術機関の研究成果が外国政府や軍に利用されることを防ぎ切れません。未だ製品化が決まっていない段階の大学での研究は殆ど「営業秘密」に指定されていない上、外国人研究者が祖国の国益に貢献する行為を「図利加害目的」(不正な利益を得る目的または損害を加える目的)とは断定できないからです。

復旦大学解放軍暗号研究共同イノベーションセンター代表を務める中国人専門家が日本の大学院で暗号技術に係る共同研究に参加した事例、イラン人研究者が日本の大学で超音速飛行体を扱う研究室に在籍した事例などがありましたが、現行法では黙認する他ないのです。

『経済安全保障包括法』では、先ず「研究申請窓口の一元化」を行い、先端技術・機微技術・戦略物資の研究を実施している学術機関・研究機関・企業を国が把握できる法的根拠を作ります。

また、学術機関・研究機関・企業が「機密にアクセスできる人材を認定」するためのスクリーニングを実施する制度も導入します。外国人ならば、入国前の査証審査時の要件とするべきです。

本気で迅速に取り組まなければならない

英国では、外務・英連邦・開発省(外務省)が大学院生レベルの44分野の理系研究者をスクリーニングする制度(Academic Technology Approval Scheme)があり、「ATAS証明書」がなければ査証の申請ができません。EU加盟国や日米など38カ国の国籍保有者は対象外です。

サダム・フセイン時代のイラクの女性科学者で、「世界で最も危険な女性」とも呼ばれた炭疽菌・ボツリヌス菌など微生物学の専門家が英国に留学していたことが分かって以来、先ずは各大学によるスクリーニングが始まりました。

2007年からは『移民法』に基づく規則の付属書にATASを位置付け、根拠法に基づいて外務省が責任を持つ現制度になりました。

ただし、審査時の申請内容が「身分事項」「研究内容」「発表論文」「推薦人2人の身分事項」「研究資金の財源」に限定されており、「共産党員か否か」「千人計画参加経験の有無」「研究成果の提供を本国に約束したか否か」といった項目が含まれていないことから、「知的財産の流出防止には不十分」との指摘がなされている。企業や研究機関の外国人研究者が対象外だという課題もあります。

フランスとイタリアでは、査証申請を受けた段階で、外務省がスクリーニングを実施し、治安・情報機関に対する照会も行っています。また、『経済安全保障包括法』には、研究者や社員に対する「秘密保全義務」と「罰則」も規定します。

『経済安全保障包括法』は、包括法なので複数の法律を改正できます。特許制度の見直しも可能です。現状では、日本の先端技術・機微技術は全て公開されてしまい、中国人民解放軍や北朝鮮軍に悪用される可能性が高いのです。軍事転用可能な技術を指定し、非公開にする「秘密特許」を可能にしたいと考えています。

日本が法制度整備や体制拡充など経済安全保障の強化に本気で迅速に取り組まなければ、同盟国・友好国の信頼を得ることができなくなり、日本企業との取引や日本の研究機関との共同研究を躊躇する国や組織が出てくる可能性もあります。

日本を守るためにも、日本の持続的成長への道を絶たないためにも、時間との闘いです。

 ◇

 日本はかつて技術分野でも世界の先端を走っている時期がありました。それも主として米国の技術を研究し応用し活用した部分が多いのも事実です。しかしそれが中国の「パクリ」とは異なるのは、主に民生品への応用技術だと言うことと、ソ連を中心とする共産主義国家と対峙して、同じ民主国家間での舞台で行われた技術競争という性格があります。

 しかし今日の中国との間の技術競争は全く性格が異なります。特に中国側の狙いは軍事への応用を前面に出していることです。憲法の制約もある日本では軍事技術の開発は完全に遅れを取っていますが、一方民生技術に優れた面が多い。その民生技術をパクられ、中国の軍事力の強化に応用されているのが実態です。そこに高市氏は警鐘を鳴らしているのです。

 高市氏は対中国政策だけではなく、日本を強靱化するための様々な政策提案をしています。このブログの目指す方向とも一致していますので、山際澄夫氏と同様、「高市総理」を待望します。

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2021年9月13日 (月)

ベトナムで民間人を大量虐殺、「なかったこと」にする韓国

2_20210913092001  慰安婦問題を誇張拡大さらには捏造し、日本に謝罪と賠償を求め続ける韓国。その韓国がベトナム戦争時犯した、ベトナム人への蛮行と虐殺。その後ベトナムの政治事情を利用し、ベトナムからの公式な謝罪と賠償要求がなかったことをいいことに、国内外に隠蔽し続けてきた韓国。

 近年になってこの問題を英国BBCが取り上げ、ライダイハン像の設置などへの取り組みを開始していますが、さらに民間レベルでの被害者の訴えを元に、ニューヨーク・タイムズも報道を開始しました。産経新聞ワシントン駐在客員特派員の古森義久氏が、JBpressに寄稿したコラムから引用します。タイトルは『ベトナムで民間人を大量虐殺、「なかったこと」にする韓国 被害者の訴えを放置、韓国の冷酷な対応をNYTが報道』(9/8)です。

 ◇

 米国の大手紙ニューヨーク・タイムズ(8月22日付)が、ベトナム戦争に参戦した韓国軍がベトナム民間人を大量に虐殺したことを韓国政府は今なお放置したままである、という趣旨の記事を掲載した。50年以上前の事件をいま取り上げるのは、ベトナム側の被害者が昨年(2020年)、韓国政府に対して賠償と謝罪を求める訴訟を起こしたことが直接的な契機のようだ。

 だがそれ以上に、米国にとって重要な同盟国と友好国の間に、関係悪化につながりうる深刻な事件が未解決のまま残されていることへの米側の懸念も指摘される。

 一方、本記事は韓国のあからさまな二重基準を示しているともいえる。韓国は日本に対して過去の行動への賠償や謝罪を求め続けながら、ベトナム戦争での民間人虐殺の罪を糾弾されてもなんら対応しないからだ。

韓国軍に家族を殺されたタン氏

 ソウル発のこのニューヨーク・タイムズの記事は、「ベトナム戦争の犠牲者たちは、韓国側が今も(虐殺事件に関する)回答を示す義務があると述べている」という見出しだった。

 グエン・ティ・タンという61歳のベトナム人女性が新たな訴訟を起こし、ベトナム戦争中に韓国軍に自分の家族を殺されたことへの賠償と謝罪を韓国政府に求める、という趣旨だった。この訴訟は2020年4月にソウルの裁判所に提起された。タン氏は「1968年2月にベトナム中部のクアンナム省で自分の母、姉、兄たちが韓国軍海兵隊の部隊に殺された」と訴え、自分自身も重傷を負ったと主張していた。

 2019年にタン氏はこの訴訟に先立ち、クアンナム省などの合計17村・102人のベトナム村民を代表して、この民間人殺戮事件の公式調査を始めることを求める請願書を、韓国政府に提出していた。韓国側の市民団体もタン氏の請願に協力した。しかし文政権がそれに応じなかったため、タン氏は2020年の訴訟に踏み切ったという。

 米国が公式に軍事介入してから、韓国はベトナム戦争で朴正煕政権下、米国の要請を受け、1960年代後半から1973年にかけて2個師団を主体とする合計5万人ほどの軍隊を派遣した。この韓国軍は、北ベトナム軍や南ベトナム解放戦線軍の攻勢が激しかった中部ベトナムに配備された。派遣された韓国軍将兵は1~2年で交替という例が多く、通算の派遣将兵は延べ32万人にも達した。

 ニューヨーク・タイムズの同報道によると、1968年2月12日、クアンナム省のフォン二ィ・フォンニュット村で、韓国軍海兵隊がベトナムの非武装の民間人に攻撃をかけ、少なくとも70人を殺した。韓国海兵隊が村での行動中に狙撃を受け、兵士1人が負傷したことがきっかけだった。韓国軍はその地域の民間人全体を敵視して殺傷した。昨年、訴訟を起こしたタン氏は当時8歳で、村に家族とともに住んでいたという。

 同報道は、この韓国軍によるクアンナム省での民間人虐殺は、当時、近くにいた米軍や南ベトナム政府軍によって裏づけられ、記録に残されていることや、その後の米国、韓国の民間団体の調査によって韓国軍によるベトナム民間人の殺害は合計9000人に達するとされたことをも伝えていた。

 今になって53年前の虐殺事件を大きく取り上げる理由は、ベトナム側の被害者の公的な抗議の動きが昨年の訴訟、一昨年の請願まではなかったことのほか、現在のベトナムは韓国との国交が1992年までなかったこと、今回のアフガニスタンの政権崩壊によって状況が似ているベトナム戦争が米国側官民で想起されたこと、などを挙げていた。

 さらに同報道は、韓国の文在寅大統領が2018年にベトナムの首都ハノイを訪問した際にベトナム戦争に言及して「不運な過去への後悔」という言葉を述べたが、韓国軍将兵によるベトナム人犠牲者に関してはまったく言及がなかったことを強調し、この問題がなお現在の韓国とベトナムの関係に影を投げかける可能性を示していた。

懸念される韓国・ベトナムの関係悪化

 米国にとって、韓国は年来の同盟国であり、ベトナムも中国抑止のパートナーとして重要な友好国となっている。バイデン政権ではカマラ・ハリス副大統領がこの8月下旬にベトナムを訪問し、中国の膨張を踏まえて両国の安全保障協力を強化することなどを合意したばかりだった。

 米国としては、ともに重要な安全保障のパートナーである韓国とベトナムの関係が、ベトナム戦争という遠い過去の出来事とはいえ、民間人の大量殺戮という非人道的な事件の未解決状態によって損なわれることを懸念するのは当然であろう。

 ベトナム政府はいまのところこの事件に関して公式の主張を述べていないが、共産党独裁の同政府が民間人のグエン・ティ・タン氏の韓国訪問や韓国政府への訴訟という対外活動を許すことは、暗に支援しているとも解釈できる。だからベトナム戦争でのこの事件は現在の国際関係にも複雑な影響をなお広げうるといえる。米国の主要新聞がこの事件をいま大々的に取り上げたことの背景には、そうした要素への警戒も絡んでいるわけである。

 ◇

 ベトナム戦争下における韓国兵士の蛮行については、このブログでも何回か取り上げていますが、日本に対して執拗に謝罪要求を続ける韓国が、日本軍の韓国慰安婦に対して行った行為(殆ど虐待などはありません)を遙かにしのぐ、虐殺にまで及んでいるのに黙殺するという、最悪の二重基準を持っていることは、韓国政府の性格をよく表していると言えるでしょう。

 この問題は過去のこととは言え、人道に反する象徴的な行為であり、中国のウィグル弾圧と同じレベルで扱うべき問題だと言えます。過去にもこのブログで取り上げましたが、NHKはこの問題をスペシャル番組として取り上げるべきだと思います。BBCにできてNHKにできないことはないはずです。日本の過去ばかり取り上げるのではなく。

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2021年9月12日 (日)

山際澄夫氏:「高市早苗総理」待望論!

2021090300000010jct0003view  自民党総裁選の出馬表明が3氏からなされました。地上波テレビ報道番組では3氏が出演し、それぞれの政策や理念を語っていますが、総裁選を勝ち抜くためには党員や党の議員の票が必要で、持論を封印してでも票を獲得しなければならない事情もあります。しかし、それがマスコミや国民の目に分からないわけはなく、ましてや党員や党の議員にもバレバレでしょう。

 それでも、首相になれば持論を封印してその政策を遡上にあげないとなると、一定の支持も得られるものかも知れません。そうした中で高市早苗氏だけは、そうした声も何処吹く風と、持論を展開しているようです。その政策や理念と同時に、その率直さを好感を持って受け止める人も多いでしょう。

 ジャーナリストの山際澄夫氏もその一人で、山際氏が月刊hanadaプラスに寄稿したコラム『「高市早苗総理」待望論!』(9/10)に、彼の見解が述べられています。以下に引用します。

 ◇

自民党総裁選をめぐる駆け引き

東京五輪が終わり、政局の焦点は9月に任期満了を迎える自民党総裁選、10月に任期満了となる衆院選挙に移った。それをどうやり遂げるかが、自公政権の消長をも左右する。

8月11日、党新潟県連の高鳥修一会長が二階俊博幹事長に、自民党総裁選を予定どおり、党員投票を伴う形で総選挙前に行うよう申し入れを行った。

これが「いますぐ菅首相を代える意義は、私はみつからない。むしろ、『続投をしてほしい』という声のほうが国民の間にも党内にも強いのではないか」などと再三繰り返し、無投票再選まで示唆する二階氏らを牽制したものであることは言うまでもない。

高鳥氏は、自民党総裁選をフルスペックで行うことの大義をこう語っている。

「自民党は国民から大変厳しい目で見られている。党員一人ひとりが総裁を選ぶというプロセスを解散総選挙前に踏むことが、党内の結束を固めるためにどうしても必要だ」

さらに無投票再選の動きについて、「長老、派閥の領袖が流れを決めるのは、わが党のあり方として大変マイナスだ」と言い切った。

高鳥氏は、自民党総裁特別補佐、党筆頭副幹事長などを歴任した党内中堅で、保守系議員の集まりである「保守団結の会」の代表世話人でもある。鳥氏らは、内閣支持率が民主党からの政権奪還以来初めてと言われるほど低い水準に至っているのに、予定調和的に事を運ぼうとする党執行部や派閥の領袖らの動きに強い危機感を感じているのである。

そしてこうした危機感に呼応するかのように、8月10日発売の『文藝春秋』で「総裁選に出馬します!」と手を挙げたのが、安倍政権で総務相や沖縄・北方担当相、また党三役の政調会長も務めた高市早苗氏である。

高市氏は、首相の発信力の無さを問題にしている。

〈各種世論調査で、菅内閣の支持率が下落し続けている。テレビで拝見する菅義偉総理の顔からは、「叩き上げの庶民派総理」として人気を集めた就任当初の潑溂とした表情が消え、発する言葉からは自信も力強さも伝わらなくなってしまっており、残念でたまらない〉

また、首相が強い発信をできなくなっているのは、

〈自民党員や国民の皆様の十分な信任を受ける機会がなかったからだ〉として、やはり選挙前にすべての党員が参加する総裁選を行うべきだと主張。そのうえで、〈社会不安が大きく課題が多い今だからこそ、今回、私自身も総裁選に出馬することを決断した〉と言う。

高市早苗よ、日本のサッチャーとなれ!

筆者は、高市氏の志を了とし、できれば首尾よく推薦人20人を集めて立候補を実現し、勝利することを願う。高市氏の国家観、歴史観を頼もしく思い、こうと決めたらテコでも動かぬ信念の強さに以前から感心させられているからだ。    

高市氏に強烈な印象を抱いたのは、いまから20年ほども前になろうか、テレビ番組であの戦争について「侵略戦争ではない。自存自衛の戦争だった」と語ったことを直接観たか、あとで話を聞いたかしたのが最初だ。

これに対して、キャスターの田原総一朗氏が「あなたのような幼稚な政治家がいるからだめなんだ」などと罵倒したように思うが、一歩も退くことがなかった。

本当は「セキュリティのための戦争だった」と言ったそうだが、同じことだ。

この日本は侵略国ではないという姿勢はその後も一貫していて、安倍政権が長期政権になって閣僚の靖國参拝がほとんど行われなくなっても、終戦の日や春秋の例大祭などには必ずといっていいほど高市氏の姿があった。

文春の論文では、〈私は、国の究極の使命は「国民の皆様の生命と財産を守り抜くこと」「領土・領海・領空・資源を守り抜くこと」「国家の主権と名誉を守り抜くこと」だと考えている〉としている。

高市氏なら中国、韓国に引け目を感じて靖國参拝をしないとか、村山談話、河野談話にとらわれて自虐的になることはないのではないかと思うのである。また、憲法改正についても、「戦力不保持」「交戦権の否定」をそのまま残すなどという妥協をすることもないのではないか、と期待が持てる。

『文藝春秋』の論文では、「中国」問題への取り組みも強調している。〈今後、中国共産党が日本社会への浸透と工作を仕掛けてくる可能性もある〉として、「経済安全保障」の立場からも法整備を急ぐというのである。

高市氏こそ保守正流で、日本のサッチャーになれる存在だと信じるが、筆者がいくら待望しても、総選挙で自民党が国民の信任を得られるとは限らない。それほどコロナの爆発的な感染拡大をめぐる世間の政治不信は根強いと思っている。

 ◇

 高市氏は今朝の報道番組にも出演し、持論を語っていました。靖国参拝への思いは強く、国のために命をかけて戦って亡くなった、戦没者の慰霊に忠魂の意を払うのは当然で、外国からとやかく言われるものでもないし、そうした外交問題にしているのは、中韓のみでなく、日本の中にいる反対論者や一部マスコミだと述べて、そこを改善しなければならないと述べています。

 また参拝の結果、中国から締め付けを受ける企業のリスクについても、そういう国にいつまでも頼る事の方がその企業のリスクを高めると、暗に中国から距離を置くような考えを示しています。

 それ以外も含めて同意できる部分が多く、山際氏同様、高市総理の誕生を願うものです。ただ客観的に見て、情勢はかなり厳しいものがありますが、日本のためにも是非総理になって欲しい人です。

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2021年9月11日 (土)

「平等と公正を考える」・・(再掲載)

 このブログを投稿し始めて、2年あまりが経ちました。初期の頃は私の日頃思っていたことを、独断と偏見で綴っていました。今回は、その中で今でも時々閲覧してくださる方がいる、投稿文を取り上げてみます。「平等と公正を考える」で、以下に再掲載します。

******

 前回も取り上げましたが「平等」という概念。今回はこれに加えて「公正」も取り上げてみたいと思います。

J14  憲法第14条に「すべて国民は法の下に平等であって・・・」と謳われています。この平等という言葉の意味は元々仏教用語で、ネットからの引用ですが「個人の資質、能力、努力、成果に関係なく一定の規則通りに遇するシステムとなっていること」ということのようです。選挙における投票の権利はこの「平等」にあたりますね。

 よく「機会の平等」と「結果の平等」が取り上げられ、例えば「どんな学生でも就職先を平等に選択出来る」というのが「機会の平等」、「同期入社の社員であれば仕事が別々でどこで働こうが給料は同じ」と言うのが結果平等でしょう。

 しかし結果平等はその結果に至るプロセスを無視しています。ですから、例えば労働者でどれだけ真剣に働こうがサボろうが、同じ給料では真剣に働く人のモチベーションが下がりますから、機会の平等を優先するのが一般的です。共産主義が破綻したのも結果平等を謳ったからだと思います。

 さて機会の平等、権利の部分では機会を生かそうが生かすまいが、個人の自由です。選挙権がいい例です。行かない人が多くなるのも、平等と謳っていてもその有り難みが実感としてわかないからでしょう。しかしこのグループに属していれば均等に五つ星レストランの食事券が貰える、と言う権利であれば、まあ貰っておこうかという人は居ても、要らないという人は少ないかも知れません。少し違った面では、生活保護を受ける権利は、ある一定の基準を満たせば平等に受けられるでしょう。

 だが義務の面で見るとどうでしょう。納税の義務では収入の多寡に拘わらず平等に支払えなんて、とんでもないと言うことになります。教育の面では小中学校が義務教育で、親は子供を通わせなければなりませんが、居住地の関係で必ずしも平等な教育レベルの学校を選べるとは限りません。

 更に突っ込んでいくと、権利の面でも例えば兄弟同士で親からものを貰う場合、年齢、性別関係なく同じものというわけに行かない場合が多い。小遣いでもそうでしょう。今では少なくなったかも知れませんが、飲食店で先輩が後輩より多く飲食代を出すとか、運動会で勝ったもから多くの賞品を貰うとか、いくらでも平等でない面はあります。

 このように平等と言ってもあくまで「法の下」であって、実社会の中では、必ずしも平等にはそぐわない点も出て来ているようです。

Download_15  「公正」というのはこれもネットからの引用ですが「公平で偏っていないこと。また、そのさま」、とありこの「公平」とは「公に平らなこと、すなわち一定の集団において、偏らないということである」、さらに「義務履行の結果として、平らに報じるとの概念である」、とあります。

 「公正」(equity)と「平等」(equality)の違いをネットから引用してみましょう。

 「公に平等」という意味の公平であるが、実際には「平等」とは異なるものと言える。例えば、3個のリンゴを3人で分けるとき、1人1個ずつなら平等かというと、リンゴの大小や味などの要素があり、厳密には異なる。大きさについては、歳の順で、年少からあるいは年長から大きいものをとっていく、などという決め方も考えられるが、味のほうは外見ではわからないので、結果が平等とは限らない。

Images_16  また、カステラを3等分する場合、もし金尺とノギスを使って厳密に測って3等分しようとしても、真ん中と端では異なる。そもそも、物差しがあってもふつうは目測で3等分することになる。厳密に3等分されることは期待できないので、おおよそ3等分だろうというところを切り、切らなかった人から好きなところを取っていくなどのやり方をしたり、あるいはじゃんけんで決めたりする。「俺はカステラ嫌いだから2人で半分ずつにしてくれ」と1人が言う場合もあるだろう。いずれも、少なくともその場にいる3人が納得していれば、「平等よりは公平がふさわしい」場合と言える。

 違いがよく見えてきます。つまり「平等」とは、あらゆる他の条件は無視しての平等であって、「公正」になると、その対象者の属性なり対象物の物性などの配慮も含むことになりますね。

 スポーツの世界で格闘技、即ちボクシングや柔道、レスリングなど、「体重」によりレベル分けしています。これは属性を加味した、選手にとって「公平」な競技にしようという意味からでしょう。そう言う意味では「身長」の配慮は無いようでDownload_17 す。バレーボール、バスケットボールなど明らかに身長の高い方が有利なのに、です。

 話を戻して、選挙権の件では、対象者の属性は全く考慮に入れてはいません。かつては資産に応じて、とか男性のみ、とか所謂不平等であったのが、今では「法の下」に平等です。したがって政治のことなど全く分っていない若い人や、関心がなく選挙に行かない人、判断力も失いかけた高齢者でも、属性は問いませんから「平等」に一票の投票権があるのです。

 ですからこの選挙権は対象者は平等であっても、「履行の結果として、平らに報じるとの概念」に反し、即ち「公正」ではないことになりそうです。そして前回も取り上げた地域ごとの一票の格差。地域では不平等と言うことは、それ即ち不公正、と言うことになります。

 地域による一票の格差は、これからも違憲訴訟で議論されていくでしょうが、選挙権については、憲法で保障された国民固有の権利であって、「法の下」に平等ですから、いくら「公正」さを欠くのが実態であっても、覆せません。

 加えて小選挙区比例代表並立制という選挙制度そのものも「公正」な民意を正確に反映するとは言えませんが、これも政党間の利害に直結する課題で、よりよい方向に、と言っても簡単には変えられないでしょう。

 人間にはそれぞれ意志があり、想いがあり、欲がありますから、万人に共通の「公正」な制度は望むらくもないのかも知れません。ただ日本人一人ひとりが、この「公正」な社会を維持発展するよう、努力していかなければならないと思います。「自由」の元でもっとも大事なのはこの「公正」さだと考えます。

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2021年9月 9日 (木)

「帝国の墓場」アフガンと中国

Images-3_20210909093601  アフガニスタンでは、タリバンによる政権の準備が進んでいるようですが、要職にタリバンの中心メンバーが連なり、女性の採用や民主化の動きにはほど遠い布陣のようです。予想通りですが。

 そのアフガニスタン、中国と急接近の気配が濃厚ですが、イスラム教民族のウイグル人弾圧の中国と、イスラム教原理主義のタリバンは、その宗教観において全く異なる国同士で、将来は全く不透明です。この二国の関係は今後どうなるのか、文化人類学者で静岡大学教授の楊海英氏が、産経新聞「正論」に寄稿したコラムから、その一端を取り上げます。タイトルは『「帝国の墓場」アフガンと中国』(9/6)で、以下に引用します。 

混迷を極めるアフガニスタン。その首都はどんな所だろうか。

≪諸民族の美しい都の歴史≫

「小さな地方である。細長い地方である。東から西へ向かって細長く延びている。周囲はすべて山である」「城で酒を酌(く)め。やむことなく盃をまわせ。…山であり川であり、町であり砂漠であるが故に」。これは16世紀にインドでムガール朝を創設した中央アジアのティムール帝国の王子、バーブルが、自伝『バーブル・ナーマ』(間野英二訳注、東洋文庫)で描いた往昔の中央アジアの都カブールの美しさである。

バーブルの母語はチャガタイ・テュルク語で、自伝はペルシア文学の美文調と草原の叙事詩の伝統が混ざりあった優雅な文体だ。優れた遊牧の戦士とは言い難いが、天才文人であったバーブルは自身をチンギス・ハーンの血統を引く者と認識してモンゴル帝国を再建した。それがムガールで、「モンゴル」の転訛(てんか)である。

「気候はまことに快適である。…夏でも夜は毛のコートなしでは眠られない。冬は雪がほとんどの場合大量に降るが、極端な寒さはない」。バーブルは生まれ育った中央アジアから他のチンギス裔(えい)の英雄に追われインドに落ちて行った。彼は蒸し暑いデリーが気に入らず理想の都カブールに帰る夢を見続けた。そこはテュルク語とモグール(モンゴル)語、アラビア語とペルシア語など12種の言葉が使われていた民族の坩堝(るつぼ)だった。

≪テロと欲望の巣窟に≫

時代が下って、中央アジアきっての文明の都市、カブールは今やテロと欲望の巣窟に変わり果てようとしている。19世紀から新興の帝国が相次ぎ、この堅牢(けんろう)な要塞都市を掌中に収め自身の植民地を構築しようとした。ムガールのラストエンペラーを追放しインドを征服した大英帝国は更(さら)に北上してアフガンに入ったものの、2度も惨敗した。中央アジアを支配下に置き更に南下する勢いを見せていた帝政ロシアを食い止めようとしたグレートゲームの一環である。

20世紀になると、ユーラシア全体を社会主義一色に染めたソ連は1979年にアフガニスタンに侵攻し、親ソ政権に肩入れしようとしたものの、自身の崩壊の引き金を引いてしまった。10年後にはソ連も解体したからだ。美しいカブールを都とする国はまた「帝国の墓場」と化したのである。

ソ連の侵略に抵抗していた聖戦士ムジャヒディンを誰よりも支援していたのは米国だった。その米国に牙をむいた聖戦士の隊列にウサマ・ビンラーディンがいた。ソ連も米国もその価値観は自分たちのイスラム的理念に合致しない「邪悪な存在」だとして理解したからだろう。

2001年の「9・11テロ」の首謀者とされたビンラーディンをアフガンの神学生からなる武装勢力は匿(かくま)った。タリバンだ。友を敵に引き渡すことは遊牧民の価値観に合わないからだ。そこから米国のアフガン戦争も20年間も続き、ついにバイデン大統領は撤収を命じて混乱を収拾しようとしたが、逆にテロが生じている。戦略的にはあまりにも粗末な作戦だが、これ以上「帝国の墓場」にワシントンは嵌(はま)りたくなかったのだろう。

≪中国の野望を葬る地にも≫

カブールはその魅力ゆえに新しい帝国を次から次へと惹(ひ)きつける。東方から触手を伸ばす中国だ。米軍の作戦が泥沼化しつつあった時から中国軍は既に敵側のタリバンの支配地で活動していた。

幽霊のように動く中国軍の存在をいち早く察知したのはモンゴル軍だ。米軍指揮下で展開する国連PKO部隊にモンゴル軍は以前から参加していた。アフガンは13世紀からモンゴル人と交流を重ねて来たし、バーブルのようなチンギス裔の拠点でもあった。

また、ハザラ人というモンゴルとペルシアが融合して形成された民族も存在している。そのため、モンゴルのアフガンへの関与は米軍より文化的に深層に至っていた。タリバンがアフガニスタンを牛耳れば、中国がやってくる、とモンゴル軍の将校は2019年に私に語っていた。それが今、現実となってきたのである。

中国が狙うのはアフガニスタンの銅鉱と石油である。政権樹立を目指すタリバンが中国に期待しているのは国連安全保障理事会常任理事国としての承認と経済的援助だ。銅鉱が埋蔵されている地に古代の仏教遺跡が人類の遺産として立ち並ぶが、バーミヤン渓谷の大仏も破壊したタリバンはそれに関心がない。その点は現世利益を優先とする中国とタリバンは利害関係が一致する。

タリバンと中国はいずれ衝突する。厳格なイスラム法に基づく建国と統治を理想とするタリバンは超原理主義者であるのに対し、中国は超現実主義者であるからだ。

横柄な対外交渉を進めてきた中国の「戦狼」外交官は儒教のマスクをかぶってカブールに残る。孔子学院をカブールに設置してイスラム世界に進出しようとするが、その活動をタリバンがどこまで許容するのか。「帝国の墓場」は早晩、中国の野望を葬る地となるだろう。

 ◇

 超原理主義者と超現実主義者、混乱の中では手を結ぶでしょうが、タリバンが中国の狙いを知らないわけはありません。資源開発を委ねて経済の基盤にしようともくろむタリバンと、その資源を最終的には自分のものにしようと狙う中国とは、いずれぶつかる時期が来るでしょう。

 ただどちらも独裁的で先軍主義の部分は一致します。そして圧倒的に国力の優れた中国が、アフガンを属国化しようとしたとき、両者はゲリラ戦となるでしょうが、果たして帝国(中国)の墓場となるかどうか。なって欲しいとは思いますが。

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2021年9月 8日 (水)

半導体に素材、EV部品……中国・国産化の標的は日本企業か?

P1_20210907131201  前回、日中韓のGDPの変遷を取り上げましたが、特に中国の経済力はここ40年の間に爆発的に増加しました。その40年前、経済力もしかりですが、技術力も全くの開発途上国だった中国。それが持ち前の「パクリ力」と国内の「購買力」で、今や日欧に迫りつつあります。

 その中国の現状を、日経ビジネスの記事から拾ってみました。元経産相で現明星大学教授の細川昌彦氏のコラム『半導体に素材、EV部品……中国・国産化の標的は日本企業か?』(9/6)がそれで、以下に引用します。

 ◇

 耳目が海外のアフガンと国内の政局に注がれている中で、中国は米中対立への手を着実に打っている。経済面では国産化政策を着実に加速しているのだ。米中対立の長期化を覚悟して、中国は従来のグローバルな供給網から中国中心の供給網・自立へと脱皮を急ぐ。そのカギを握るのが先端技術の獲得だ。そしてその標的になりそうなのが日本企業だ。

国産優先で外資企業を揺さぶる

 8月、中国が政府調達で国産を優先して、外国製品の排除を進めているとの報道があった。中国政府が5月に地方政府へ通知した内部文書を入手したことによるものだ。報道によると、医療機器をはじめとする先端機器で、41分野の315品目が対象になっている。中国の国産製品を政府調達の調達条件とする狙いは何か。

 注意しなければならないのは、こうした方針は以前からあり、決して新しいものではない。報道された内部文書自体も「2021年版」となっており、同様の文書はこれまでも通知されている。むしろ何故この時期に、こうした内部文書が報道されているかだ。中国政府の意図の方が重要だ。

 それは明らかに先端技術を有する外資企業を中国国内での生産に追い込む狙いだ。それによって外資企業の有する先端技術の獲得を狙っているだけに、外資企業にとって技術流出のリスクをはらむ。

 しかも外資企業が中国生産したからといって、必ずしも“中国製品”として扱われるわけではないことは要注意だ。実態は事実上中国企業が生産する“中国ブランド“が優先される。中国生産を始めてから「見込み違いだった」では後の祭りだ。「国産優先に対しては中国生産すればよい」と単純に誤解している日本の経営者も多い。

 さらに中国の場合、政府調達の意味合いは欧米、日本等とは比較にならないほど大きい。公表されているものだけで総額は約56兆円で、うち地方政府が9割強を占めるとされている。例えば医療機器だと購入する病院の多くは公的だ。また民間企業による調達も政府調達の基準に事実上「右へ倣え」と影響されるので、インパクトは大きい。

 米国はバイデン政権が製造業を保護するため自国製品を優遇する政府調達を拡大する「バイ・アメリカン」の強化を打ち出している。あたかもこれに対抗して「バイ・チャイナ」を打ち出したかのように見えるので、国際的な批判をかわせるとの計算も働いているだろう。

 しかも世界貿易機関(WTO)の政府調達協定では内外企業の差別を禁じているが、中国はこれに加盟していないので、大胆な内外差別がまかり通ってしまう。

警戒すべき外資誘致モード

 今年1月、在中国欧州商工会議所が「デカップリング」と題する、注目すべきリポートを公表している。その中で中国が進める国産化政策についても分析して、欧州企業に警鐘を鳴らしている。

 中国は国産化戦略のターゲットとなる産業を国家安全保障に関わる重要度で選び出している。そしてそれぞれの産業ごとに具体的な発展行動計画が策定されている。

 日本企業にとって重要なのは外資企業に対する政策だ。中国企業が競争力を有するかどうかで、産業ごとに外資に対して「誘致」か「排除」かの政策モードを使い分けているのだ。

 前者は半導体(製造装置、材料)、電子部品(5Gの中核部品など)、新素材(電池素材、磁性素材など)、工作機械・産業用ロボット、新エネルギー車、バイオ医薬・高性能医療機器、スマート工場などだ。

 例えば、昨年10月には電気自動車(EV)の国産化を確認して、それに向けて磁石、モーターなどの基幹核心技術の自主化レベルを引き上げる目標を掲げている。

 電子部品産業については今年1月に自前の国内供給網の整備をめざした強化計画を公表している。対象部品として半導体に加えて、プリント基板、センサー、磁石、磁性材料、電池材料、製造設備、ソフトウエアなどだ。

 8月には国有企業96社に対して、工作機械、半導体、新素材、新エネルギー車の4分野について中核技術の開発を加速するよう指示を出したと発表した。ただし、これらは一部にすぎない。

 こうした一連の国産化政策を急ぐ中で、中国にとってボトルネックになっている技術を獲得するために外資を積極誘致しているのだ。そしてこれらの産業分野の多くは日本企業が先端技術の強みを有している分野であることに注目すべきだ。まさに中国が日本企業に秋波を送っているゆえんだ。もちろんこうした分野の日本企業の買収も技術獲得のための選択肢の一つであるので、身構える必要がある。

 外資に対して、研究開発拠点を中国に置くことを条件に優遇税制を適用するというのも要注意だ。技術漏洩のリスクがつきまとう。特に半導体などの製造装置や部材の分野を標的にしているようだ。さらに今月から施行されたデータ安全法によって研究開発のデータが中国外に持ち出せなくなるリスクまで念頭に置いておく必要がある。対象となるデータがあいまいで、運用が不透明であるからだ。

「誘致」から「排除」へ手のひら返し

 後者の排除モードに入った産業分野としては、高速鉄道、次世代通信機器、AI/ビッグデータ、量子などだ。高速鉄道はかつて前者の誘致モードで積極的に外資を誘致したが、中国企業に技術が渡って競争力を持つと、外資は必要なくなり、逆に排除モードに転じた典型例だ。日本企業も技術の提供と引き換えに中国市場に参入したものの、後に中国の技術力の高さを理由に中国市場から排除されて“お払い箱”になった苦い経験がある。

 最近では、かつて日本企業が圧倒的な競争力を有していた高性能磁石もそうだ。中国市場を獲得したい日本のある磁石メーカーは積極的な誘致を受けて、2016年に中国磁石メーカーと合弁会社を設立して、ネオジム磁石の生産を始めた。しかし、日本からの製造装置の販売もあって、数年であっという間に中国企業が技術を獲得して競争力を有することとなったのだ。当時の日本企業の経営判断、日本政府の政策判断の是非を厳しく検証すべき事例だろう。

 中国はさらにその供給網の下流にある、日本企業の技術にも着目している。EVの中核部品であるモーターだ。同様のことが繰り返されないようにすべきだろう。

 中国は当初は「誘致モード」でも中国企業に技術が渡ると手のひらを返したように「排除モード」に変わる。日本企業は異なる産業で同じ轍(てつ)を踏んでいるのだ。民間企業も他の産業で起こったことを学習せず、役所も人事異動で担当が変わって教訓が引き継がれない。日本にはそうした構造的な問題があるようだ。

「技術仕分け」と「分断対策」が必要

 こうした中国の内製化の動きにどう向き合うべきだろうか。

 「欧米企業は中国市場にどんどん出て行っている。日本企業だけ慎重にしていると出遅れる」

 こうした声もしばしば聞こえてくる。しかし単純な中国での生産量、販売量だけで判断すべきではない。問題はどういう技術の製品で出て行っているかだ。産業分野によっても違うだろうが、欧米企業が最先端の技術まで中国に出しているかどうかをよく見て判断すべきだ。

 一般論で恐縮だが、企業としては技術の機微度を分析して、「出してもいい技術」と「そうでない技術」を仕分けすることが必須だ。そのうえで中国市場を積極的に取っていく。そうした判断のツメができているかどうかだ。これを具合的に当てはめていくことはもちろん難しいが。安全保障上機微な技術は外為法で規制されているが、その対象は限定されている。問題はそうした規制がない最先端の生産技術が狙われており、そこで経営判断が問われている。

 しかも競合する日本企業同士、外資企業同士で疑心暗鬼になって、なし崩し的に技術を出していくことになるケースがいかに多いことか。前述の高性能磁石はそうした例だ。中国も当然、孫氏の兵法の分断作戦で、そこを揺さぶってくる。

 企業同士の情報交換も大事になってくるが、これには独禁法違反の懸念から躊躇(ちゅうちょ)する向きもある。しかし懸念払しょくの工夫もできる。欧州連合(EU)などは現地商工会で欧州企業が集まってこうした意見交換を積極的に行っている。日本も現地の公的出先機関などがそうした場を設定して、対処すべきだろう。こうしたことを言うと、「かえって日本企業が中国政府ににらまれる」といった慎重論を唱える人もいる。それこそ中国の思うつぼだろう。

 ◇

 1国で、世界の人口の18%が住み、世界のGDPの16%を占めている中国、この購買力と経済力を持ってすれば、世界の企業を誘引するパワーは絶大です。日本も(欧米も)そのパワーに引き込まれ、過去多大な投資と技術をつぎ込みましたが、いつの間にかその技術をパクられ、今では経済的のみならず、一部の技術では後れを取ってしまっています。

 更にこの記事にあるように、日本の現在でも世界の先頭を走っている素材や技術まで、中国の後塵を拝する恐れがないとは言えません。このブログで何回も取り上げていますが、何とかして中国からの経済的依存関係を脱しなければいけません。特に先端技術分野においては、前回取り上げた韓国と同様、非中三原則(教えない、助けない、関わらない)を覚悟を持って推し進めることが必要でしょう。

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2021年9月 6日 (月)

1人当たりGDP、日本は韓国に追い越されている?

1_20210906163401  今回は政治を離れて、経済的な話題を取り上げます。1980年、今から40年前の日本のGDPは1.11兆ドル、中国は0.19兆ドル、韓国は0.07兆ドルでした。つまり日本は中国の約6倍、韓国の約16倍という、完全にこの二国を引き離していたのです。

 ところが2019年には日本5.08兆ドル、中国14.28兆ドル、韓国1.65兆ドルと、中国には3倍近くに引き離され、韓国にも1/3のレベルまで追いつかれています。この間中国、韓国とも高度成長し、中国は75倍、韓国も23倍となっているのに、日本はわずか4.6倍にしかなっていません。特に1995年以降はドルベース換算では、全くと言っていいほどGDPは頭打ちです。そうです、失われた20年(あるいは30年)です。

 こうした中、中国はその過大な人口のため、一人あたりのGDPはまだ日本に及びませんが、韓国はかなり肉薄してきているようです。特に購買力平価で換算した一人あたりのGDPは、2018年あたりから既に韓国に抜かれています。そのあたりの事情を金融・経済の専門家の小川博司氏が、JBpressに寄稿したコラム『韓国に1人当たりGDPを追い越されて久しい日本の浮上は可能か 日本経済に依存しているとして無視するか、謙虚に改革を進めるか』(9/4)から引用してみます。

 ◇



  IMF(国際通貨基金)が公表している1人当たりGDP(2017年の物価水準で見た購買力平価<PPP>)で、日本は2018年に韓国に追い抜かれた後、その差は拡大している。

 実は、2017年の段階で欧米中の経済専門家(日本人も韓国人も含まない)は韓国が日本を追い抜くことは難しいと見ていた。その後、2019年にIMFが「2023年に1人当たりGDPで韓国が日本を追い抜く」との予想を出した時も、ワシントンで日本を研究する学者からは「何を馬鹿な」との声が上がった。だが、結果を見れば、もっとひどくなっている。

 2019年時のIMF予想では、2023年の日本の1人当たりGDPが4万1253ドルなのに対して韓国は4万1362ドルだった。この時の予想では、2024年に日本が4万1666ドルで韓国が4万2392ドルと、その差は徐々に開いていくという流れだった。だが、現実を見れば日本の成長力の停滞は続き、韓国の成長力が増して両国の差は拡大した。

 なお、1人当たりGDPを単純計算したドルベースでは、2020年で日本は4万416ドルと韓国の3万1496ドルを大きく上回っている。2021年も、ドルベースでは日本が4万2927ドル、韓国が3万4865ドルと日本の方が高い。日本では、この数値を見て安心している人が多いようだが、世界はPPPベースを見ている。

 この傾向を元に戻すことは可能なのだろうか。また、日本は1人当たりGDPの劣後を気にする必要はあるのだろうか。2つのポイントで見ていく。

多くの部分で日本に依存している韓国

(ポイント1):韓国の経済成長は日本の支援を受けてのものなので気にする必要はない

 この見方のベースにあるのは、「韓国は日本に依存した経済だ」という考え方だ。かつての通貨スワップ(日本円と韓国ウォンの一定額をあらかじめ決められた為替レートで交換する協定。韓国にとっては日本による信用補完というメリットがある)や、2019年に話題になったGSOMIA(日韓軍事情報包括保護協定)に基づく日本からのデータ提供など、韓国は見えないところを含め、多くの点で日本に依存している。

 言ってしまえば、韓国は今も日本の都道府県の一つというようなものだが、実際は独立国である。日本はいつまでこの状況を続けるのか、真剣に考える時期が来ていると言える。

 ただ、日本が自分の意思で韓国を救わないという選択を下せるのかどうかは別問題だろう。米国に韓国を助けるよう指示されることも十分にありうる。

(ポイント2):韓国の方が民主的に国家を運営している結果との見方

 法制度および実際に両国で起こっている問題を単純に見ると、「民主主義の浸透」という点において、韓国は日本よりもはるかに劣っている。これは、世界中の誰も反論しないだろう。

 ところが、韓国も民主化を進める努力をしており、また日本のように長年の慣習を気にする必要がないため、大きく変わる可能性を秘めている。日本の場合、戦前からの法制度のシステム、もっと言えば江戸時代からの慣習もあり、ドラスティックな変化は難しい。

 例えば、9月に実施が決まった自民党総裁選や10月末には任期満了を迎える衆院選について、現段階では政策論争のようなものはほとんど行われていない。しかも、自民党総裁選は公職選挙法の対象ではないので、ある意味では何でもありの世界だ。

 一方、韓国は現時点で大統領選(文在寅大統領の任期は来年5月まで)の立候補予定者12人が討論会をしている(討論の様子)。その中では、様々な理由をつけて日本を叩く「ジャパンバッシングを止める」とする意見も出ている。

いい加減、韓国をライバルと認識すべき

 この討論会は、あくまでも米国の大統領予備選討論会のマネであり、韓国人に民主主義の智慧があるという主張に反対する日本人は少なくないだろう。ただ、少なくも1~2カ月の間に決まる新たな国のリーダーがどのような政策を持っているか、メディアもほとんど報じない日本のシステムに比べれば、よほど健全だろう。

 こうした草の根レベルの変化は、時間と共に蓄積されて韓国の力になっていくだろう。継続は力なりだ。

 このように、既に韓国は日本よりもうまく国家を運営しており、その結果が1人当たりGDPに現れている。そして、それは今後さらに拡大していく──。これが2つ目のポイントだ。

 つまり、韓国は日本からの支援を利用する反面、反日感情をうまく使って日本に追いつき、追い越すというベクトルで一致している。この韓国に対して、日本は経済面を含む全体の競争相手として意識すべき時が来ている。

 ◇

 大方この記事のご意見に賛同しますが、次の3つの点を指摘したいと思います。

1.「韓国の方が民主的に国家を運営している」との見方は、あくまで5年交替の大統領制度を元に考えているようですが、その交替時点での政策論争より、任期中の権力を笠に着た豪腕な法改正や金権政治、家族や知人への優遇策が、いつも問題になって、大統領退任後の逮捕につながっていることからも、日本より優れているとは思えないことです。

2.また日本の総裁選も今回については複数の出馬表明者が出て、おそらく政策論争が行われるでしょう。さらには政策をテレビを中心としたメディアが報じないのは、政策を取り上げても視聴率が稼げないといった、メディア側の事情の方が大きいと思われます。メディアは駆け引きやお互いの好き嫌いのような、個人の感情や性格の問題を真っ先に取り上げ、面白おかしく報道する方が視聴率をとれると思っているようですから。

3.「日本は経済面を含む全体の競争相手として意識すべき時が来ている」、それはその通りだと思いますが、更に進めて、戦後一貫して反日・侮日を意図的に繰り返し、子供時代からの嘘で固めた反日教育で作り上げた、国民の反日感情に訴えて人気を取る政策を続けている、こうした敵性国家には、それなりの対応が必要です。つまり非韓三原則(助けない、教えない、関わらない)、一歩進めて五原則(三原則+盗ませない、来させない)を実行していくことが、今後の対応の仕方として肝要だと思います。

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WHO テドロス氏「反中」へ“寝返った”!?

Reuters__20210716094100thumb720xauto2611  新型コロナウイルスの感染拡大傾向に少し変化が出てきたようですが、まだまだ感染者は多いし、重傷者数も高止まりしているので、政府は緊急事態宣言のさらなる延長に向かうようです。ところでこのコロナの発生源となった中国に、忖度を続けてきたWHOのテドロス事務局長、最近忖度を解消したような動きが目立つようです。

 医師でジャーナリストの村中璃子氏が、zakzakに緊急寄稿したコラムからその辺の状況を取り上げます。タイトルは『テドロス氏「反中」へ“寝返った”!? WHO「親中」から一転…コロナ「武漢研究所漏洩説」を否定せず、起源調査で米と蜜月』(9/5)で、以下に引用します。

 ◇

 新型コロナウイルスの起源をめぐる米国の調査報告書は、確定的な結論を導けないとした一方、バイデン米大統領は中国の「隠蔽」を批判した。中国をじわじわと締め上げる手法の裏には、これまで親中だった世界保健機関(WHO)が米国側に「寝返った」構図が浮かぶ。独ベルンハルト・ノホト熱帯医学研究所研究員で医師の村中璃子氏が緊急寄稿で解き明かす。

 8月27日、バイデン大統領が90日間を期限に米諜報機関に指示した調査報告書の概要が公表された。確たる結論には至らなかったものの、中国が生物兵器を開発していた可能性には否定的で、諜報機関のうち4つと国家情報会議が「自然変異説」を支持した一方、武漢ウイルス研究所に起源を求める「研究所漏洩(ろうえい)説」を支持したのは1つだけ、判断を保留した機関が3つだった。

 新しいファクトのないままに5月頃から過熱していた米メディアの「研究所漏洩説キャンペーン」に、これでいったんの終止符が打たれることが予想される。

 世界保健機関(WHO)が研究所漏洩説も含めて再調査を行うべきだとの声は、6月12日のG7サミット(先進7カ国首脳会議)でも上がっていた。その声を受けてか、同月28日、中国共産党機関紙、人民日報系の「環球時報」は社説「容疑者その1:なぜ新型コロナウイルスの起源を見つけるためフォート・デトリックの研究所を調査しなければならないのか?」を掲載した。新型コロナウイルスは、第二次大戦前から生物兵器を開発していたことで知られる米メリーランド州フォート・デトリックにある米陸軍感染症医学研究所のBSL4ラボから漏洩した可能性があり、こちらを調査せよという論説である。

 その後も中国は人民日報に社説を19日連続で掲載するなどの執拗(しつよう)さで、「米国が問題を政治化し、中国をスケープゴートにしようとしている」といった米国批判を続けている。

 注目すべきは、この頃から明らかになったWHOの反中親米路線への転換だ。7月15日、テドロス事務局長は記者会見で、武漢ウイルス研究所の詳細調査を含むウイルス起源の再調査が必要との見解を示した。WHOは中国に透明性と協力を、特に流行初期の生データの共有を求め続けてきたと明かし、「わたしもラボ(実験室)で働いた経験があるが、ラボでは事故が起きることもある。見たこともあるし、わたし自身がミスをすることもあった」と個人的な経験も引きながら、研究所漏洩説が否定できないことを強調した。

 これまで、中国との交渉の様子がWHOから公式に発表されたことは、筆者の記憶では一度もない。WHOが公式の報告書で「極めて可能性が低い」と評価した漏洩説を事務局長が公に否定しなかったのも異例だ。少なくとも、これまでのWHOやテドロス氏らしくはない態度と言ってよい。

 英エコノミスト紙も先日、WHOの調査報告書作成の際、テドロス氏が研究所漏洩説を矮小(わいしょう)化することに強く反対していたとの関係者の証言を報じた。

 WHOは政治的であることを免れない組織である。テドロス氏の態度に象徴的な一連の動きは、WHO残留を決めた米国の覇権の復活に伴う、WHOと中国の蜜月の終わりを示すものに他ならない。

 WHOウイルスの起源の調査専門家チームのメンバーは8月25日に連名で「新型コロナウイルスの起源:カギとなる調査のための窓は閉じかけている」と題したコメンタリーを科学誌ネイチャーに発表。研究所漏洩説を「極めて可能性が低い」とした理由を釈明しながら、残された時間は少ないとして、初期の患者群の検体や疫学データの再解析など自然変異説を前提とした再調査の実施を提案するものである。

 初期の患者群の検体や詳細な疫学データは中国が握っている。WHOと米国が同時に研究所漏洩説を取り下げ、自然変異説を前提に話を進める姿勢を示したのは、中国に情報共有を促すことを目的とした事前の調整があってのことだろう。米国とWHOは確実に距離を縮めている。

 中国は研究所の精査を含む再調査を、到底受け入れられないとして拒絶してきた。研究所漏洩説一本攻めから一転、今回は「大人の姿勢」で譲歩を見せた米国に対しても、「中国に泥を投げつけ責任を負わせようという米国のやり方」などとして相変わらずの反論を始めた。

 野生動物のずさんな取引であれ、研究所からの漏洩であれ、中国は新型コロナウイルスの起源がはっきりすることを恐れている。しかし、世界はこれ以上、中国の厚顔を放置してはならない。窓は閉じかけている。

 ◇

 研究所漏洩説は「極めて可能性が低い」と言っていますが、データの公開なしでは低いか高いかは分かりません。低いながらも可能性はゼロ、とまでは言っていないことからも、そう言えると思います。いずれにしろ後ろめたさがなければデータは隠蔽しません。

 中国は逆にはっきりした根拠がないという、その証拠を出すこともしません。おそらく中国共産党もそのことは分かっているのでしょう。ただ分かっていないのは、データを出すのを、あるいは調査団を受け入れるのを拒否することが、ますます中国への疑惑を深めることになる、と言う点でしょう。

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2021年9月 5日 (日)

「悪夢」のような民主党政権の初代首相鳩山氏、またもやルーピー発言

Images-2_20210905104301  菅首相の総裁選出馬取りやめの発言から、自民党内の出馬議員を巡るメディアの報道が熱を帯びてきました。一方野党陣営は「政権投げだし」や「無責任」との批判が渦巻いています。立憲民主党の枝野代表も同様の発言のあと、「こんな政党には政権を任せられない。我々が政権につかなければならない」という趣旨の発言をしています。

 しかし彼等の前身の「民主党」政権が、どのような政権だったか、安倍前首相の言葉を借りるまでもなく、「悪夢」だったのは言を俟たないでしょう。その民主党政権の初代党首、鳩山元首相が今でもそのルーピーぶりを遺憾なく発揮しています。

 その内容の一部を大和大学政治経済学部准教授で作家の岩田温氏が、zakzakに寄稿したコラム『あきれ返る鳩山由紀夫元首相の“衝撃的な発言” 「私自身は中国を脅威だと思っていない」との“独自の解釈”を展開』 (8/26)に公開していますので、以下に引用します。

 ◇

 「衝撃的な発言」としか言い表すことができない。あの民主党政権を誕生させた鳩山由紀夫元首相が、中国の程永華元駐日大使との間で交わした発言だ。人民網日本語版(8月19日)で、次の発言が確認できる。

 「過去一世紀を振り返ると、日本による不幸な侵略があった。そういったものをはじめ、中国は極めて大きな困難に直面したが、その度に、中国の共産党が人民とともに困難を克服してきた。そのことに対して最大限の敬意を表する」

 「中国共産党は結党以来、巨大な人口、国土、そして民族的多様性を抱えた国家を一つにまとめ上げ、そのことによって人民の生活を向上させてきた。そのことは大変大きな立派な歴史的な事実であって、世界的にもっと評価をされるべきことではないか」

 日本の侵略という危機に陥った中国を救い、さまざまな困難にも打ち勝ち、人民の生活水準を向上させてきた――。中国共産党が語る欺瞞(ぎまん)に満ちた物語だ。

 実際には、無能な指導者による扇動によって、多くの人々が飢餓で死に、文化大革命では多くの貴重な文化が破壊され、無実の人々が殺戮(さつりく)された。香港での「自由と民主主義」が根本的に否定されたことは記憶に新しい。

 さらに悲劇的なのは、チベット、ウイグル、モンゴルといった他民族の人々だ。中国共産党は「中華民族」という虚構の民族を捏造(ねつぞう)し、無理やり彼らの「中華民族化」を図ってきた。ウイグルでは今日でも「ジェノサイド(民族大量虐殺)」がなされているとの証言がある。

 これほど欺瞞に満ちたことを語るのは、中国共産党の幹部だと思うはずだ。しかし、実際には日本で首相を務めた鳩山氏の発言なのだ。

 鳩山氏は「私自身は中国を決して脅威だとは思っていない」との独自の解釈を喜々として述べているが、それは彼の主観でしかない。

 現実に、沖縄県・尖閣諸島を取り巻く環境は日に日に厳しさを増している。7月30日の産経新聞の報道によれば、鳩山氏は尖閣諸島の問題について日中が棚上げ状態にしておく必要性を説いたという。完全なる誤りだ。

 「尖閣棚上げ論」は、鄧小平の「韜光養晦」戦略に過ぎなかった。中国が実力を蓄えるために時間を稼ぐ。それが尖閣棚上げ論なのだ。愚かな日本の政治家、マスコミは棚上げ論を「中国四千年の知恵」とばかりに称賛したが、彼らは極めて戦略的なのだ。

 軍事大国となった中国は日本の現実的な脅威だ。肝心なのは楽観論を語ってみたり、恐れおののくことではない。現実的に中国といかに対峙していくのかという戦略を探ることだ。

 具体的には、浮世離れした鳩山政権のような政権を二度と誕生させないことが日本国民の責務である。

 ◇

 来る衆議院選挙において、自民党の劣勢が伝えられていますが、総裁選で新しい首班の登場によって、少なくとも与党の過半数を割り込むことなく(まずあり得ないとは思いますが)、枝野代表率いる野党集団に「悪夢」の政権を作らせないようにしましょう。それが中国の属国化、日本崩壊を食い止める最良の道です。

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2021年9月 4日 (土)

菅首相、不出馬の舞台裏 「2A」と「2F」の仁義なき暗闘

2021090300000148nnn0002thumb  昨日菅首相が突然、総裁選に出馬しない意向を表明しました。前日まで出馬に意欲を見せていたのに、この180度の変わり様は何が背景にあるのでしょうか。菅首相の「コロナ対策に専念したい」という理由に、納得している人は少ないでしょう。

 巷間様々な憶測が飛び交っていますが、ここでは事実かどうかは不明ですが、週刊ポストでの記事を取り上げます。タイトルは『菅首相、不出馬の舞台裏 「2A」と「2F」の仁義なき暗闘』(9/3)で、以下に引用します。

 自民党総裁選が急展開を見せた。それまで「再選に向け、やる気まんまん」とみられていた菅義偉・首相が、9月3日になって突然、立候補しない意向を表明。記者団に対して、「私自身、総裁選出馬を予定する中で、コロナ対策と選挙活動を考えると、莫大なエネルギーが必要で、やはり両立はできない。国民に約束している新型コロナ感染拡大を防止するため、専任したい」と述べた。支持率の低迷が続く中、来る衆議院総選挙に向けて「菅氏のままでは大敗する」と見切りをつけた自民党内の“菅降ろし”の動きに、事実上屈した形となる。カギになったのは岸田文雄・前政調会長の出馬だが、その裏には「2A」と「2F」の暗闘があった。

 8月末──岸田氏の出馬で劣勢に追い込まれた菅首相は、「政権の後ろ盾」である二階俊博・幹事長の更迭という捨て身の戦術を取った。

「安倍晋三・前首相と麻生太郎・副総理の描いたとおりの展開になってきた」

 そう勝ち誇ったような表情で語っていたのは安倍側近だ。

 安倍・麻生の「2A」が総裁選の裏側で仕掛けたのがこの二階降ろしだった。切り込み隊長役を担わされたのが岸田氏である。

 岸田氏は出馬表明会見(8月26日)以来、菅首相のコロナ失政を批判するのではなく、なぜか二階氏を批判の標的にした。会見では「国民の声を聞いて書き留めた」というメモ帳を掲げたものの、発表した公約は「自民党役員の任期制度(最長3年)導入」と「中堅・若手の登用」。幹事長在任5年になる二階氏を退任させるという宣言だった。

 その後も「二階幹事長のありように国民が関心を寄せている。風通しの良い政党にする」と、まるで“二階独裁”がコロナ失政の元凶であるかのように訴えた。だが、国民から見れば感染対策の失敗は明らかに菅首相の責任で、二階氏がコロナ対応の指揮を執っているわけではない。

 2Aの二階降ろしの本当の狙いは、総選挙の公認権とカネだった。

 総裁選が終わるとすぐ総選挙になる。しかし、自民党では群馬1区、新潟2区、山口3区、静岡5区など複数の選挙区で二階派と細田派や岸田派など他派の現職議員が公認を争い、幹事長の二階氏と安倍氏らが子分を公認させようと激しく対立している。政治ジャーナリスト・野上忠興氏が語る。

「幹事長は公認決定に大きな発言力を持つうえ、100億円単位とされる党本部の総選挙資金を差配する強い権限を持つ。2Aは苦戦が予想される総選挙で自派の議員にテコ入れして勢力を維持したい。そのためには、総裁選を利用して何としても二階氏を幹事長から引きずり下ろし、後任の幹事長に自分たちの言うことを聞く人物を据える必要があった」

 岸田氏は最初からそうした2Aの意向を汲んで出馬した。

「安倍さんや麻生さんは表向き菅支持を打ち出していましたが、岸田さんは、2F(二階氏)さえ潰せば2Aが自分の支援に回り、総理にしてくれると確信していた」(岸田派議員)

 総裁選の序盤情勢は選挙に弱い各派の若手議員が岸田支持に回る動きを見せ、新聞の世論調査でも岸田氏の支持が急上昇中だ。こうして包囲網を敷かれた菅首相は、二階氏に詰め腹を切らせ、2Aの軍門に下って再選に望みをつなぐしかなくなったのだ。

 首相官邸で菅・二階会談が行なわれた日(8月30日)、出馬のあいさつに訪れた岸田氏を安倍氏は上機嫌でこう激励したとされる。

「出馬表明会見は評判が良かったね」

 2Aの意向通りに二階氏のクビを挙げたことに対する“褒賞”の言葉だった。

 同日夕方、自民党中枢にこんな情報が流れた。

「総理が官邸近くのホテルで秘書官と打ち合わせをした席に、岸田さんがいたらしい。そこで総理は岸田さんに、後任の幹事長への就任を持ちかけたとされる」(同党幹部)

“幹事長にするから、総裁選は出馬辞退してくれ”と頼み込んだことになる。

 会談の有無を岸田事務所にぶつけると、「事実ではございません」と回答した。

 岸田氏は翌31日夜にテレビ番組で、二階氏の後任を打診された場合、「受けることは絶対にない。党総裁選に挑戦しようと手を挙げている」(BS日テレ)と拒否する意向を示した。

「その情報が流れたこと自体が、岸田さんを揺さぶる情報戦の一環である可能性も否定できない。それほど菅陣営は焦っていた」(同前)

 2Aにとっては、二階氏を更迭しさえすれば、総裁選は菅氏と岸田氏のどちらが勝利してもよかったのだ。

二階氏の“意趣返し”

 そこに自民党を激震させる報道が流れた。

 8月31日深夜、毎日新聞ウェブ版が、〈首相、9月中旬解散意向 党役員人事・内閣改造後〉の見出しで、菅首相が総裁選を先送りし、解散・総選挙を打つと報じたのだ。他紙やテレビも後追いし、情報は錯綜した。

「これでは菅総理の無理心中解散だ」

 自民党内では降って湧いたような突然の総選挙方針に批判が上がり、大混乱に陥った。

「菅首相のままでは落選してしまう」と総裁選での首相交代を期待していた中堅・若手にすれば、看板を替える機会がないまま勝ち目の薄い総選挙に向かうと言われれば不安が募るのは当然だろう。岸田氏もあくまで総裁選の実施を主張し、党内は緊迫した。

 翌日、菅首相はぶら下がり会見で、「今のような(感染が)厳しい状況では、解散ができる状況ではない。自民党総裁選挙の先送りも考えていない」と報道を打ち消した。

 官邸関係者は、幹事長を交代させられそうになった二階氏サイドが“意趣返し”で仕掛けた謀略情報だったと見ている。

「総理と二階氏との会談では、党役員人事だけではなく、総裁選後の総選挙日程が話題になった。その際、総理が解散をするべきか、解散せずに衆院の任期満了(10月21日)に伴う総選挙を選ぶかという話をした。その時点で総理が解散をあきらめていなかったのは確かだが、それが、総裁選を先送りするために解散を考えているかのように換骨奪胎してリークされた」

 さらに自民党内では「二階氏が二階派を引き連れて自民党を飛び出し新党を旗揚げする」という衝撃シナリオまで取り沙汰されていた。二階降ろし、土壇場の内閣改造・役員人事、「総裁選先送り解散」の謀略情報──総裁選の情勢は目まぐるしく変わった。

 そして「菅氏の不出馬」。9月6日に実施するとされていた自民党役員人事は行われなくなり、「二階幹事長」の首は9月29日の総裁選までつながった。総裁選とその先にある総選挙に向けて2Aと2Fの対立で政界を揺さぶる情報戦は今後も続きそうだ。

 ◇

 政治は「一寸先は闇」だと言われます。これらの自民党内のうごめきも、事実かどうかは証明できません。あくまで人の言うことだし、それを受けているのもメディアの記者です。真実と受け止めるにはあまりにも曖昧さが残ります。まさに闇の中でしょう。

 しかし菅首相の続投はなくなったのは確かです。コロナに忙殺された不幸な時期に首相を務めた管総理。やはり官房長官の役職とは異なっていたのでしょう。発信力やリーダーシップに若手議員は、来る選挙に不安を感じていたのも事実です。そういう意味では総裁選不出馬の判断は、結果として良かったのかも知れません。まだ総裁任期は少し残っていますが、「お疲れ様でした」、そう言いたいと思います。

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2021年9月 3日 (金)

九段靖之介氏:「福山哲郎よ、利いた風な口を叩くな」

Img_0_m_20210902171701  福島第1原発の処理水海洋放出の件で、韓国が自国の処理水放出を棚に上げて批判しています。ところが日本国内でも、あの何でも反対の立憲民主党の福山幹事長も同様の批判をしているようです。

 その件に関し、月刊hanadaプラスに九段靖之介氏の記事が公開されています。タイトルは『福山哲郎よ、利いた風な口を叩くな』(9/1)で以下に引用します。

文在寅と福山哲郎。この二人は心性においてなにやら似通っている。口を拭って反省の言葉もなく、菅義偉政権の苦渋の処理水処分について、利いた風な批判を言う資格があるのか。たまには胸に手を当てて自省してみよ。

麻生太郎副総理の正論

菅政権は福島第一原発の処理水を海洋放出で処分する方針を決定した。  

溶融炉心(デブリ)を冷却した汚染水から放射性物質を除去した処理水は、トリチウムだけは除去できずに含む。これを海水で国際放出基準の40分の1に薄めて放出する。  

結果、WHO(世界保健機関)が定める飲料水の水質ガイドラインの7分の1、極少の濃度となる。4月13日、中国外交部の報道官・趙立堅がコメントした。

「日本は国内外の疑念や反対を顧みず、周辺国や国際社会と十分に協議しないまま、福島第一原発の処理水を海に放出する方法で処分することを一方的に決定した。きわめて無責任だ。国際的な公共の健康や安全、周辺国の利益を大きく損なう。日本は利害関係国やIAEA(国際原子力機関)と協議しないまま勝手に処理水を海に放出すべきではない」  

これを聞いて副総理・麻生太郎が記者会見で言う。 「処理水のトリチウム濃度は、中国や韓国の原発が海洋放出しているものより低い。飲んでも、どうってことはないそうだ」  

対して中国外交部は反論。

「飲めるというなら飲んでみろ。太平洋は日本の下水道ではない」  

麻生も負けちゃいない。 「太平洋は日本の下水道ではない? そんなら中国の下水道なのかね。みんなの海じゃないか」  

麻生が言うように、どこの国の原発もトリチウムを海洋放出もしくは空中放出で処分している。だからフランスの原発関係者は、「福島は元のやり方に戻っただけで、何の問題もない」  

アメリカのブリンケン国務長官も日本の処分法に支持を表明した。  

反日こそ支持率回復の特効薬

お笑いは韓国の対応だ。水産組合は「断固、反対」を叫び、市民団体は「希釈するといっても海に放出される放射性物質の総量は変わらない」として、金切り声を上げる。 

文在寅大統領は日本の海洋放出を阻止すべく、国際海洋裁判所に差し止めを求める仮処分の提訴を司法官僚に指示した。  

ところが、昨年10月、韓国政府の作業部会がまとめた報告書がある。これには次のような記載がある。  

放出された処理水が韓国海域に達しても、「海流に乗って拡散・希釈され、さしたる影響はない」

処理水に含まれるトリチウムに関しても、「水産物を摂取しても被曝の可能性はきわめて低い」  

これらの記載と文在寅大統領の日本を被告とする提訴の指示とは、どうみても相反する。すなわち笑止の沙汰だ。  

文在寅政権の支持率は下降の一途を辿り、目下のところ30%だ。さきごろ行われたソウルと釜山の両市長選で与党は惨敗した。  

日本に対する提訴の指示は、例によって「反日こそ支持率回復の特効薬」とする固定観念から出たものと見受ける。

文在寅と福山哲郎

お笑いは日本国内にもある。立憲民主党の幹事長・福山哲郎が言う。

「国民の理解も進んでいない。風評対策の具体策もない。そんな状況で海洋放出を決めたことは非常に遺憾だ」  

同じ立憲民主党の震災復興部会長・金子恵美が言う。

「海洋放出と決めた段階で風評被害は広がる」  

ちょっと待ってくれ。立憲民主党の最高顧問は菅直人だ。この菅直人が首相のときに福島第一原発の事故が発生した。このとき菅直人は生半可な知識を振り回し、現場の事故対応を混乱させた。  

菅直人は東工大卒とはいえ在学中は学生運動に血道を上げ、核物理学とはほとんど関係ない。将来は弁理士を目指した。  

繰り返す。福島原発事故の対応を混乱させたのは旧民主党政権で、その党首は現立憲民主党最高顧問・菅直人その人だ。  

処理水の処分問題は、このときに発生している。そして福山哲郎よ、お主はそのとき菅直人政権の内閣官房副長官だった。事故対応を混乱させ、処理水問題を発生させた一半の責任を、お主は負う立場にある。  

なのに、口を拭って反省の言葉もなく、菅義偉政権の苦渋の処理水処分について、利いた風な批判を言う資格があるのか。たまには胸に手を当てて自省してみよ。  

文在寅と福山哲郎。この二人は心性においてなにやら似通っている、と思うのは小欄だけではあるまい。

 ◇

 福島第一原発事故は電源喪失により、燃料棒の冷却ができなくなり、炉心溶融に至ったと聞いていますが、当時の菅首相は無駄な現地視察をするより、自衛隊に電源装置の搬送をまず第一に指示すべきだったのでしょう。そうした初動対応のまずさから大事故につながったのだと、九段氏は言いたいのだと思います。

 中国、韓国と立憲民主はなぜかその論調が類似しています。自分のことは棚に上げて、平気で他者を批判するところです。福山氏は韓国からの帰化人ですから、もともと同じ思考回路を持っているのでしょう。もちろん帰化人でも、優れて日本人マインドをお持ちの方も居ますが。

 とにかく処理水の排出問題については、中国、韓国とも「おまえが言うか」と、呆れ返ってしまいますが、せめて立憲民主に関しては、日本の国益を少しでも考えてものを言えと、言いたいですね。日本の政治家ならば。

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2021年9月 2日 (木)

菅首相、起死回生かそれとも自爆か 突如党役員交代の戦術へ

9_20210902110701  新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、菅政権の支持率が急降下、総裁任期も迫っている中、菅首相の動きにも焦りにも似た慌ただしさが目立っています。加えて総選挙の日程も迫ってきているこの難局を、どう切り抜けるのか。あるいは切り抜けられず、首相の座から滑り落ちるのか。政局はにわかに緊迫の度を増してきています。

 最近のコロナの感染拡大は、特措法の限界と変異株「デルタ」の要素が大きい、とは思いますが、行政の善し悪しは結果で判断されます。野党が特に貢献したと言うこともないのに、政権批判を強めているのも、結果を敵失、つまり政府の失態と決めつけているからでしょう。残念ながら国民はそう判断し、次回の総選挙は与党がかなり苦しいと予想されています。

 ところでこの難局に向けて、菅首相の動きやその思惑、それに対する党内の反応など、本日付のzakzakの記事を追ってみます。『菅首相“延命暴走”やけくそ解散 総裁選先送り、政策論争からの逃げ 二階氏交代含む内閣改造で重要ポストに河野氏、進次郎氏の可能性』 (9/2)とかなり長いタイトルですが、以下に引用します。

 ◇

 これは、菅義偉首相の「個利個略」「延命策」ではないのか-。菅首相は来週前半にも二階俊博幹事長の交代を含む自民党役員人事と内閣改造を行い、9月中旬に衆院解散に踏み切る方向で検討に入った。重要ポストに、河野太郎行政改革担当相や小泉進次郎環境相らを起用する可能性も指摘されている。ただ、岸田文雄前政調会長や高市早苗前総務相が堂々と名乗りを上げている党総裁選(17日告示、29日投開票)を先送りして、政策論争から逃げるような対応となるだけに、国民に「菅首相の狡猾(こうかつ)さ」「政治の汚さ」を印象付ける結果になりかねない。「政権交代」「自民党下野」を現実視する識者もいる。

*****

 「しっかりと総裁選をやって(党の)信頼回復につなげるべきだ」

 総裁選出馬を表明している岸田氏は8月31日夜のBS日テレ番組で、永田町で同日流れた「来週の党役員人事・内閣改造→直後の衆院解散→総裁選先送り」という情報について、こう語った。至極当然の反応といえる。

 菅首相が来週行うとされる党役員人事では、在職期間が5年以上となって権力集中への反発が強かった二階氏に加え、総裁選への出馬意欲を示した下村博文政調会長、佐藤勉総務会長、山口泰明選対委員長も交代させる方向とされる。

 刷新感を演出するため、菅首相に近く、国民的人気の高い河野氏や進次郎氏らを、主要ポストに抜擢(ばってき)することもありそうだ。総裁選出馬に色気を出している石破茂元幹事長の名前を出す報道もある。

 中でも、進次郎氏は菅首相と同じ無派閥で、ともに神奈川県選出で気脈を通じ合っている。進次郎氏は8月27日の記者会見で、「(菅首相には)『降ろすなら降ろせ!』と戦う姿勢で挑んでほしい」と猛烈に「菅支持」を打ち出した。

 もし現在40歳の進次郎氏が自民党幹事長となれば、佐藤内閣の田中角栄、海部内閣の小沢一郎両氏の47歳を抜いて史上最年少となり、大きな話題となりそうだ。

 ただ、環境相就任2年で進次郎氏の評価はかなり微妙だ。断行した「レジ袋有料化」は大きなゴミ削減にはつながっていない。不思議な言動も多く、最近では「ポエム大臣」との異名もある。

 ともかく、一部の世論調査で内閣支持率が30%以下の「危険水域」に突入するなか、国民の目先をそらすような「党役員人事・内閣改造」を断行しても、菅首相の追い風になる保証はない。

 支持率低迷の原因は、日本で1万6000人以上の死者を出している新型コロナウイルス禍で、国民の心に響く発信ができない菅首相にもあるとみられているからだ。

 菅首相が全面支援した候補が惨敗した地元・横浜市の市長選は、事実上の「菅政権への信任投票」といわれていた。衆院選で負ければ、自民党は一気に政権を失うことになる。

 このため、自民党中堅は「国民の不満が首相自身に向いていることが分かっていない」と強調。党重鎮は「二枚看板が問題視されているのに、二階氏だけを代えて効果があるのか」と語った。

 党内が疑心暗鬼に陥った8月31日夜、加藤勝信官房長官(竹下派)と、萩生田光一文科相(細田派)、武田良太総務相(二階派)らが都内のホテルに集まり、総裁選や衆院解散の可能性をめぐって協議した。

 衆院選の日程は、10月21日の任期満了にあわせた「10月5日公示、17日投開票」と、「9月28日公示、10月10日投開票」が浮上している。

 党内外で遠心力が強まっている菅首相だが、「党役員人事・内閣改造後の衆院解散」が現実になると、求心力が戻ってくるのか。逆に、2012年の野田佳彦首相(民主党政権)のような、「自爆テロ解散」「やけくそ解散」となるのか。

 政治ジャーナリストの安積明子氏は「菅首相が自らの都合で衆院選をかぶせて、総裁選をズラすとすれば、政党政治を否定する許しがたい行為だ。菅首相は内閣支持率の下落に自信を失っているのではないか。1年前の就任直後に衆院解散を打ち、国民の審判を受けるべきだった。このままでは、菅首相による『自民党・日本を壊す解散』となり、自民党の下野もあり得る」と嘆いた。

 菅首相の姿勢に対する同様の疑問は多い。

 政治評論家の伊藤達美氏は「総裁選日程を決め、立候補を正式表明した候補者もいながらその日程を飛ばすのは、政策論争を回避しようとするものだ。自分たちで決めたことを実施しないのは『だまし討ち』だ。本当に国家・国民のことを考えているのかと、マイナスに映るだろう。このまま次期衆院選に踏み切るのなら、『やぶれかぶれ解散』だ。自民党に大逆風になるのは間違いない。菅首相の強行突破を止めるような、気骨のある政治家が自民党内にいると信じたい。党全体の良識に期待するほかない。菅首相には名を惜しむ政治家であってほしい」と語っている。

 ◇

 菅首相は昨日、衆議院解散について「今のような厳しい状況ではできない」と語り、党総裁選についても、「先送りを考えていない」と明言しています。それでもなお党内人事をしようとする意味がよく分かりません。

 取り沙汰されているのは、総裁選出馬を表明した岸田文雄前政調会長が、「党の役員の任期3年」説を掲げ、役員任期の長期化を批判する構えを見せていることから、5年にわたり幹事長を続けてきた二階俊博幹事長を代えて、その機先を制する戦術に出たのだ、と言うことのようです。

 しかしもしそうであれば、極めて姑息な手段だと言えます。人心一新で選挙を戦うという建前より、メディアは総裁選対策として取り上げるでしょう。それより地道にコロナ対策を続けることを望みます。

 ただもし幹事長を代えるとしても、小泉氏では荷が重すぎるでしょう。彼は父と同様、どうも思いつきで政策をぶち上げるきらいがあるように思います。選挙の顔にはなっても、果たして国民のためになるのか、疑問を禁じ得ません。

 政界は一寸先は闇だと言います。この話も果たしてどうなるか。いずれにしても記事中に出てきている、自民党の下野だけはないでしょうし、あってはなりません。10年前の悪夢だけは避けたいと思いますね。

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2021年9月 1日 (水)

アフガン撤収で思い知らされる日本の平和ボケ

Https___imgixproxyn8sjp_dsxzqo0990875030  自衛隊によるアフガンからの邦人や協力者の移送がもたついているようです。そうした中、今日にも自衛隊輸送機と隊員を帰国させるようです。政府は今後、多国間の枠組みでタリバン側に輸送の安全確保を求め、希望する邦人や在アフガン日本大使館の現地職員らの国外退避を目指す用ですが、うまくいくのでしょうか。

 防衛大学卒で軍事に詳しい森清勇氏がJBpressに寄稿したコラムから、そのあたりの事情を取り上げます。タイトルは『アフガン撤収で思い知らされる日本の平和ボケ 邦人もアフガン人協力者も救出できない欠陥の憲法体制』(8/31)で、以下に引用します。

 ◇

 断腸の思いでキーを叩きながら文字をひねり出している。各種報道によると、混乱のアフガニスタンからの移送対象は国際機関で働く日本人、大使館や国際協力機構(JICA)の現地スタッフとその家族などで約500人とみられた。

 しかし、待機した自衛隊機が1人の邦人を乗せてカブール空港を飛び立ったというテロップが8月26日夜10時頃、パラリンピックを観戦していたテレビ画面に流れた。

 その約1時間後にいまイスラマバード(パキスタン)の空港に自衛隊機が降り立ったとのテロップが流れた。

 移送は1人?

 目を疑った。本来は「1人を移送」したではなく、「対象者のほとんどを移送できなかった」というべきではないだろうかと。

 日本人の移送もさることながら、日本大使館などで勤務し協力したアフガニスタン人やその家族がタリバン等の犠牲になることが許されていいのか。

 アフガニスタンでは米軍の撤収を機に、イスラム原理主義勢力のタリバンが国土を制圧する動きが強まっていた。

 一方で、タリバンと競合関係にあるイスラム教スンニ派過激組織IS(イスラム国)の動きも活発化し、自衛隊機がカブール空港に待機しているその時、空港近傍で爆発事件も起き、多くの米兵や市民の死者も出て、目的を果たせなかった。

外国に後れを取った移送作戦

 自衛隊は移送を命じられればその行動に移るが、移送するか否かなどのアクションをとるのは、あくまでも外務省と国家安全保障局の情報に基づく政府(国家安全保障会議)の決定に基づく。

 8月末で米軍が撤収することはジョー・バイデン大統領の声明で分かっていた。

 米国はすでに数万人のアフガニスタン人協力者などを米国などに移送したと発表しているし、英独仏も自国民はもちろん、アフガニスタンでの現地協力者ら数千人から1万人超をそれぞれ移送したとしている。

 そして筆者が衝撃を受けた一つが韓国の発表である。

 韓国の金萬基(キム・マンギ)国防部国防政策室長は「内部で(現地人の移送作戦が)8月初めから論議されてきた」と明かし、首都カブールがタリバンに占領(8月15日)される前から輸送作戦に入っていたと語ったからである。

 室長は「タリバンがカブールを占領し、急遽、韓国大使館も撤収することになった。危機意識が強くなり、8月30日までがある意味最低ラインだと考え、軍用機投入を決定した」と説明。

 続けて、「カブールは電波状況が悪い場所が多いが、奇跡的に希望者全員と疎通ができた。大使館で対象者を選定する過程から管理がきちんとできていたし、偶発状況の対応や非常連絡網が整えられていたため、こうした状況にも成果があったと思っている」と語っている。

 韓国政府に協力してきた現地スタッフ391人を特別功労者として移送し、また移送の半数近くは10歳以下の子供たちであることも明らかにしたのである。

堅固のはずの日米同盟であるが

 以下は、詳しい情報がないので、ネットなどで得られる情報と、筆者の推測である。

 日米同盟の成熟度の高さを公言してきた政府である。であるならば、日本に米国の撤収作戦などの情報が入らなかったはずはない。

 情報が入ってきて、自衛隊内では移送などを内々で検討しても、現地の安全が確保されない限り自衛隊機の派遣はできない。

 シビリアン・コントロールの建前からは、想定研究さえ越権となる危険性がある。したがって、外務省や政府からの発動が必要である。

 そうした動きがみえなかったのは、外務省も現地大使館も日本独自の移送を考えることもなく、必要な場合は米国(米軍)に依頼することを考えていたのではないか。

 問題の第1は外務省がどれほどの危機意識を持っていたかである。

 危機意識を持ったとすれば、いつからかということも問われる。危機感を政府に挙げ、移送が必要となれば、自衛隊と共同で移送の作戦を練るわけである。

 危機状態に応じて運輸省が担当するか防衛省が担当するかとなるが、原則的に自衛隊が先行的に計画したり、ましてや行動したりすることは先述の通り、シビリアン・コントロールの名において許されない。

 そこに、韓国と日本の初動の差が出たのかもしれない。

 ざっくり言って、アフガニスタン脱出を希望する邦人や日本への協力者を移送できなかったのは失敗と言わなければならないであろう。

 米欧韓などは早くから移送したわけであるから、情報不足は米国(米軍)のせいではなく、日本側の問題であり、危機意識のなさである。

 巷間しばしば「米韓同盟には隙間風が吹いている」と言われることから判断すると、日米同盟の固さは米韓同盟の比ではないからである。

 もしそうであるならば、これこそが第2次安倍晋三政権下で成立した安保法制の限界を示したことになる。

 野党や反日団体が「戦争法案」のレッテルを貼り、「安倍政権が戦争を始めようとしている」「徴兵制が導入される」といった類のアジと、それに踊らされる国民が、「危機」の想定さえ拒絶し、憲法改正と安全保障体制の整備を阻止してきた欠陥が露呈したと言わざるを得ない。

 情報が不足している現時点で断定はできないが、同盟ゆえに米国が何でもやってくれるという認識は間違いである。

 他国が移送できて日本ができなかった問題は深刻に受け止めなければならない。「人命は地球より重い」と日本国民が主張してやまない人命が危険にさらされるからである。

 しかも、その人命には日本人ばかりではなく、日本のために協力したアフガニスタン人とその家族が多く含まれている。

 移送して救助できなければ、日本の国家としての信頼性は地に落ちるに違いない。

コロナ禍で憲法の不備が明白

 コロナ対処のために緊急事態宣伝(以下「宣言」)に加えて、蔓延防止等重点措置(以下「措置」)なる制度が法定された。

 緊急事態宣言では厳しすぎるので、その前段階の予防的措置としてである。しかし、基本はどこまでも「強制」でなく「要請」でしかない。

 何でもない平常時は細かい区分も有効であろうが、非常時はこうした細かい区分が返って邪魔になることも多い。また、宣言と措置の区分が判然としないという声も多く聞こえる。

 コロナ禍で数次の宣言や措置を出さざるを得ないのは非常事態条項が憲法にないために、政府は国民世論をうかがいながら負担を強いない「要請」で対応するしかなく、思い切った対策を打ち出せないことに起因している。

 2020年2月に始まったコロナ禍以来、医療資源が世界一と称されながら「医療崩壊」の声が絶えない。

 今年初めに、退任直前の千葉県知事が「民間病院の協力が得られることになった」と嬉々として語ったことが印象に残っている。

 裏返せば、これまでは医療資源の約80%を占める民間病院の協力が得られていなかったと白状したも同然だからである。

 そして今迎えている第5波である。

 政府と都は「医療資源の全面活用」で合意したという。これもまた、「要請」に応じない医療機関があり、全面活用ができていなかったという暗喩ではないか。

 菅義偉首相の発言力に疑問を呈する国民が多いが、コロナ禍に「疲労」もいとわず真剣に対処していると思う。

 10分の1強の人口の東京都の小池百合子知事は疲労を理由に休暇を取ったが、その後のコロナ対策も上手くいっていない。

 全人口の約200分の1(県民60万人前後)の県においてもしかりで、ほとんどすべての知事でさえ上手くコントロールできていない。

 今の法体制下では国以上に少ない人口の地方自治体の方がコロナ対処でも機動性発揮が容易なはずである。

 普段において危機を遠望せず、しかるべき法の整備などに消極的で、ことが発生すればその場の対処療法で弥縫策を講じる。

 こうして責任のなすりあいをすることが問題の根源ではないだろうか。

 首相に問題があるという以前に、リーダーシップを発揮しようにも発揮できない、法体制の不備、基本的には憲法の非常事態条項の欠落などに問題があるのではないだろうか。

 政府分科会の尾身茂会長は、いまの法体制下でロックダウンに相当するくらいの強制措置が求められている旨の発言をしているが、これはずばり、「(非常時に)強制措置」が取れない法体制の不備、それによって派生するリーダーシップの欠如を指摘したのではないだろうか。

おわりに

 イラン・イラク戦争時に、邦人救出ができずにトルコが支援してくれた。半島有事や拉致被害者救出も屡々言の葉に上がる。しかし、憲法の制約が付きまとい、訓練もなかなか思うようにできない。

 そもそも、第5次のコロナ禍に対処できない医療態勢の逼迫の根源は、尾身氏の指摘でも分かるように、余っているはずの医療資源が十分活用できない憲法問題にあるのではないか。

 与党は野党の質問に振り回されるのではなく、国民を説得して、非常事態に有効に対処できる大枠を早急に整備すべきではないだろうか。総選挙の争点は、この1点に尽きる。各政党の真剣勝負だ。

 与党からは総裁選を前に、「このままでは戦えない」「首相を代える」などの声が聞かれるが、与党間でも与野党間でも然りで、国のため、国民のため、明日の日本の安全のための本当の政治を忘れてきたのではないだろうか

 ◇

 文末に森氏が言う「国のため、国民のため、明日の日本の安全のための本当の政治を忘れてきたのではないだろうか」、まさにその通りだと思いますね。このブログでも散々指摘してきました。政治家になれば、特にリーダー近辺の立場に立てば、日々雑事が舞い込み、大局的にものを考えることができなくなるのでしょうか。

 そうしたことも含めて、日本の政治の仕組みや統治の根幹を、変えていく必要を強く感じます。そのためには最高法規たる憲法を抜本的に見直し、作り替え地区必要があるのではないでしょうか。国のため、国民のため、明日の日本の安全のために

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