菅首相、起死回生かそれとも自爆か 突如党役員交代の戦術へ
新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、菅政権の支持率が急降下、総裁任期も迫っている中、菅首相の動きにも焦りにも似た慌ただしさが目立っています。加えて総選挙の日程も迫ってきているこの難局を、どう切り抜けるのか。あるいは切り抜けられず、首相の座から滑り落ちるのか。政局はにわかに緊迫の度を増してきています。
最近のコロナの感染拡大は、特措法の限界と変異株「デルタ」の要素が大きい、とは思いますが、行政の善し悪しは結果で判断されます。野党が特に貢献したと言うこともないのに、政権批判を強めているのも、結果を敵失、つまり政府の失態と決めつけているからでしょう。残念ながら国民はそう判断し、次回の総選挙は与党がかなり苦しいと予想されています。
ところでこの難局に向けて、菅首相の動きやその思惑、それに対する党内の反応など、本日付のzakzakの記事を追ってみます。『菅首相“延命暴走”やけくそ解散 総裁選先送り、政策論争からの逃げ 二階氏交代含む内閣改造で重要ポストに河野氏、進次郎氏の可能性』 (9/2)とかなり長いタイトルですが、以下に引用します。
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これは、菅義偉首相の「個利個略」「延命策」ではないのか-。菅首相は来週前半にも二階俊博幹事長の交代を含む自民党役員人事と内閣改造を行い、9月中旬に衆院解散に踏み切る方向で検討に入った。重要ポストに、河野太郎行政改革担当相や小泉進次郎環境相らを起用する可能性も指摘されている。ただ、岸田文雄前政調会長や高市早苗前総務相が堂々と名乗りを上げている党総裁選(17日告示、29日投開票)を先送りして、政策論争から逃げるような対応となるだけに、国民に「菅首相の狡猾(こうかつ)さ」「政治の汚さ」を印象付ける結果になりかねない。「政権交代」「自民党下野」を現実視する識者もいる。
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「しっかりと総裁選をやって(党の)信頼回復につなげるべきだ」
総裁選出馬を表明している岸田氏は8月31日夜のBS日テレ番組で、永田町で同日流れた「来週の党役員人事・内閣改造→直後の衆院解散→総裁選先送り」という情報について、こう語った。至極当然の反応といえる。
菅首相が来週行うとされる党役員人事では、在職期間が5年以上となって権力集中への反発が強かった二階氏に加え、総裁選への出馬意欲を示した下村博文政調会長、佐藤勉総務会長、山口泰明選対委員長も交代させる方向とされる。
刷新感を演出するため、菅首相に近く、国民的人気の高い河野氏や進次郎氏らを、主要ポストに抜擢(ばってき)することもありそうだ。総裁選出馬に色気を出している石破茂元幹事長の名前を出す報道もある。
中でも、進次郎氏は菅首相と同じ無派閥で、ともに神奈川県選出で気脈を通じ合っている。進次郎氏は8月27日の記者会見で、「(菅首相には)『降ろすなら降ろせ!』と戦う姿勢で挑んでほしい」と猛烈に「菅支持」を打ち出した。
もし現在40歳の進次郎氏が自民党幹事長となれば、佐藤内閣の田中角栄、海部内閣の小沢一郎両氏の47歳を抜いて史上最年少となり、大きな話題となりそうだ。
ただ、環境相就任2年で進次郎氏の評価はかなり微妙だ。断行した「レジ袋有料化」は大きなゴミ削減にはつながっていない。不思議な言動も多く、最近では「ポエム大臣」との異名もある。
ともかく、一部の世論調査で内閣支持率が30%以下の「危険水域」に突入するなか、国民の目先をそらすような「党役員人事・内閣改造」を断行しても、菅首相の追い風になる保証はない。
支持率低迷の原因は、日本で1万6000人以上の死者を出している新型コロナウイルス禍で、国民の心に響く発信ができない菅首相にもあるとみられているからだ。
菅首相が全面支援した候補が惨敗した地元・横浜市の市長選は、事実上の「菅政権への信任投票」といわれていた。衆院選で負ければ、自民党は一気に政権を失うことになる。
このため、自民党中堅は「国民の不満が首相自身に向いていることが分かっていない」と強調。党重鎮は「二枚看板が問題視されているのに、二階氏だけを代えて効果があるのか」と語った。
党内が疑心暗鬼に陥った8月31日夜、加藤勝信官房長官(竹下派)と、萩生田光一文科相(細田派)、武田良太総務相(二階派)らが都内のホテルに集まり、総裁選や衆院解散の可能性をめぐって協議した。
衆院選の日程は、10月21日の任期満了にあわせた「10月5日公示、17日投開票」と、「9月28日公示、10月10日投開票」が浮上している。
党内外で遠心力が強まっている菅首相だが、「党役員人事・内閣改造後の衆院解散」が現実になると、求心力が戻ってくるのか。逆に、2012年の野田佳彦首相(民主党政権)のような、「自爆テロ解散」「やけくそ解散」となるのか。
政治ジャーナリストの安積明子氏は「菅首相が自らの都合で衆院選をかぶせて、総裁選をズラすとすれば、政党政治を否定する許しがたい行為だ。菅首相は内閣支持率の下落に自信を失っているのではないか。1年前の就任直後に衆院解散を打ち、国民の審判を受けるべきだった。このままでは、菅首相による『自民党・日本を壊す解散』となり、自民党の下野もあり得る」と嘆いた。
菅首相の姿勢に対する同様の疑問は多い。
政治評論家の伊藤達美氏は「総裁選日程を決め、立候補を正式表明した候補者もいながらその日程を飛ばすのは、政策論争を回避しようとするものだ。自分たちで決めたことを実施しないのは『だまし討ち』だ。本当に国家・国民のことを考えているのかと、マイナスに映るだろう。このまま次期衆院選に踏み切るのなら、『やぶれかぶれ解散』だ。自民党に大逆風になるのは間違いない。菅首相の強行突破を止めるような、気骨のある政治家が自民党内にいると信じたい。党全体の良識に期待するほかない。菅首相には名を惜しむ政治家であってほしい」と語っている。
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菅首相は昨日、衆議院解散について「今のような厳しい状況ではできない」と語り、党総裁選についても、「先送りを考えていない」と明言しています。それでもなお党内人事をしようとする意味がよく分かりません。
取り沙汰されているのは、総裁選出馬を表明した岸田文雄前政調会長が、「党の役員の任期3年」説を掲げ、役員任期の長期化を批判する構えを見せていることから、5年にわたり幹事長を続けてきた二階俊博幹事長を代えて、その機先を制する戦術に出たのだ、と言うことのようです。
しかしもしそうであれば、極めて姑息な手段だと言えます。人心一新で選挙を戦うという建前より、メディアは総裁選対策として取り上げるでしょう。それより地道にコロナ対策を続けることを望みます。
ただもし幹事長を代えるとしても、小泉氏では荷が重すぎるでしょう。彼は父と同様、どうも思いつきで政策をぶち上げるきらいがあるように思います。選挙の顔にはなっても、果たして国民のためになるのか、疑問を禁じ得ません。
政界は一寸先は闇だと言います。この話も果たしてどうなるか。いずれにしても記事中に出てきている、自民党の下野だけはないでしょうし、あってはなりません。10年前の悪夢だけは避けたいと思いますね。
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