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2021年9月26日 (日)

高市早苗氏:新型コロナ対策、私ならこうする

Images-5_20210925140601  前回に続いて、今回も高市早苗前総務大臣の政権構想を取り上げます。新型コロナウイルスの新規陽性者数は、最近になってかなり減少してきました。重症患者数もピーク時の半分程度に減ってきています。緊急事態宣言も今月末で解除されるようです。 しかしこれは現状の緊急事態宣言の効果だと、簡単に決めつけるわけにはいきません。様々な要因の重なった結果だと思います。

 それが証拠に、識者は第6波の懸念を口にしています。緊急事態宣言で収まったのならば、また宣言を発動すれば良いだけですが、心配しているその背景には、宣言だけでは高波になったら、またすぐに収まらないだろうと踏んでいるからでしょう。医療の逼迫の問題も解決していません。

 コロナに限らず、感染症対策をどうすればいいのか。日本の医療の中でも、やや遅れている感が強いこの疾病対応を、高市早苗氏が「政権構想」としてとりあげています。その内容について、月刊hanadaプラスが約1ヶ月前に公開しています。タイトルは『【わが政権構想】新型コロナ対策、私ならこうする|高市早苗』(8/25)で、以下に引用して掲載します。   

 ◇

重症者数・死亡者数の極小化

連日のように、軽症だった自宅療養者の容体が急変して、搬送先の病院が見付からずに重篤化したり、お亡くなりになったりと、悲し過ぎる報道に接します。

内閣が懸命に取り組んでいるワクチン接種の促進やマスク着用の徹底など「感染者数を減らすための取組」は変わりなく大切ですが、「重症者数・死亡者数の極小化」に向けた対策の重点化を切望しています。

感染された方々に対して、軽症から中等症Ⅰの患者対象の治療薬である「抗体カクテル」(カシリビマブ、イムデビマブ)を、早期に幅広く処方できるようにするべきです。

処方可能な場所を「感染症患者を受け入れている有床の医療機関」と「医師滞在の宿泊療養施設で、自治体が臨時の医療機関と指定した場所」に限定していては、治療薬が効かない段階に病状が進んでしまいます。

そもそも「抗体カクテル」は感染初期に有効な治療薬とされているのに、入院先や宿泊療養施設を探すことが困難なのですから。

地域総合病院の外来の医師、有床ではない開業医、感染患者宅を廻って下さっている訪問医師の皆様が、軽症患者に治療薬を処方できないような状況では、重症患者数は増える一方です。

点滴後の観察も必要ですから、地方公共団体で「治療薬投与後の経過観察宿泊場所」や「移送手段」を確保した上で、他の病気の患者さんと動線を分けられる病院については、外来の個室などで点滴ができるようにしていただきたいと思います。もちろん、感染した方々の自宅から病院への移動用には巡回バスを用意するなど、別途の取組も必要になります。

容体によっては、医師の判断によって、中等症から重症用の治療薬「レムデシビル」(ギリアド・サイエンシズ社)、中等症Ⅱから重症用の治療薬「バリシチニブ」(イーライリリー社)、重症用の治療薬「デキタメタゾン」(日医工)の処方も必要でしょう。

医師でもある国会議員が、ご自身が感染した時の話をして下さいました。

その議員は、感染症対応病院の医師ではないので自分で治療薬を処方することもできず、入院先もなく、自宅待機だけが続き、本当に不安で怖かったということでした。

日の丸ワクチンと治療薬

ようやく8月13日に厚生労働省が通知を出し、「医師滞在の宿泊療養施設で、自治体が臨時の医療機関と指定した場所」が治療薬を処方できる所として追加されたところです。

宿泊療養施設で治療薬を処方するということであれば、公的機関が保有する施設の活用はもとより、国と地方公共団体の総力を挙げて相当数のホテルを借り上げ、国がホテルの本来の営業利益や風評被害に対する十分な補償も行い、「自宅療養者を皆無にする」くらいの取組が必要です。

安倍内閣時の昨年1月30日には、官邸から「中国・湖北省(武漢の在る地域)からの帰国者の宿泊場所」として、各府省が所管する研修宿泊施設について照会がありましたので、総務省からも複数の宿泊設備を官邸に報告しました。今こそ、国の関係施設もフル活用するべき時です。

現状、治療薬については、十分な量の確保が困難なのだろうと推察しています。

特に私が不安を感じているのは、「抗体カクテル」と「レムデシビル」の供給量です。現段階では、いずれも、国内生産をしていません。

厚生労働省に問い合わせましたが、「いずれも、全世界向けの供給量が限られているなか、投与対象となる患者数の見込みに対応できる量の確保に努めているところです」との回答でした。

「抗体カクテル」(カシリビマブ、イムデビマブ)は、米国のリジェネロン社が創製し、昨年、提携先であるスイスのロシュ社と共同で製造・開発・販売することになりました。中外製薬の親会社はロシュ社ですから、中外製薬が日本における開発権・独占販売権を取得しています。

「レムデシビル」は、米国のギリアド社が開発しました。既に英国では、製薬会社が契約に基づき、製造を開始しています。

治療薬やワクチンについては、一刻も早い「国内生産体制」を確立するとともに、国内で生産している他の病気の治療薬のなかで新型コロナウイルス感染症の治療にも有効だとして製薬会社から承認申請がされている薬については承認に向けた手続きを急いでいただきたいと思います。

パルスオキシメーターの配布

早期に自らの症状を知り、保健所が迅速に対処方法を判断できるようにするための措置として、地方創生臨時交付金などを活用して、全世帯に1個ずつ、「パルスオキシメーター」(経皮的動脈血酸素飽和度測定器)を配布するべきだと思います。

中国製のパルスオキシメーターは安価ですが、購入した人によると壊れやすいらしいので、可能な限り国産製品を調達していただくことを期待します(行政機関による一般競争入札では最も安価な提案に決まるので、困難はありますが……)。

全世帯ということになると、おそらく国内の在庫では不足しており、相当な生産拡大をしなければならないのでしょうが、生産協力企業の設備投資に対する財政支援措置も含めて、内閣には対応していただきたい件です。

仮に新型コロナウイルス感染症が収束したとしても、従前より様々な感染症について警告が発せられていますから、一家に1個の備えは無駄にならないと思います。

財源ですが、使途について自由度が高い地方創生臨時交付金については、今年5月の段階では「繰り越し分が相当額、残っている」という話でしたが、今や残り僅かと聞いています。緊急時ですから、必要に応じて補正予算編成を急いでいただきたいと希望します。

必需品の国内生産体制の強化

感染症のみならず大規模災害など非常時においても、生活必需品や医療・衛生用品の確保ができる施策を早急に整えなければなりません。

これまでの日本は、マスクの7割、ゴーグルや防護服の大半を中国から輸入していましたから、昨年にはサプライチェーンの脆弱性を思い知らされることになりました。この他、非接触体温計、消毒液、人工呼吸器、注射器の不足も経験しました。

大規模災害や感染症の発生など緊急時でも、「生活」「医療」「産業」に必要な物資の国内生産・調達を可能にする施策を確立することが必要です。ワクチンや治療薬の国内生産体制を整えることも急務です。

昨年から今年にかけて、2人の米国大統領は、『国防生産法』に基づいて、個別企業に人工呼吸器やワクチンの製造を命令して供給を加速化しました。

日本でも、「生産協力企業への国費支援策の具体化」「研究開発拠点・生産拠点の国内回帰を促す税財政支援策の構築」「基礎的原材料の確保」などに迅速に着手するべきだと考えます。

ワクチン接種の課題

田村厚生労働大臣や河野内閣府特命担当大臣が懸命に頑張って下さっていますので、11月頃にはほとんどの方が2回目のワクチン接種を終えられる見込みだと聞いています。それでも、周囲には、未だ1回目の接種を受けられないという方も多くおられます。

3回目の接種の段取りや、今後の別の感染症への対策として、ワクチン接種の優先順位についても、検証をしておく必要があると思います。

今年、医療従事者を優先したのは正解でしたが、医療従事者の接種が完了しないうちにご高齢の方々への接種を開始しましたので、結果的に医療従事者の接種完了までに時間がかかり過ぎました。さらに、医療機関に出入りしておられる多くの関係事業者への接種が遅れていました。

また、学校や幼稚園や保育園の教職員、福祉施設の職員の皆様への接種も遅れていたことから、随分、苦情のお声を伺っていました。

鍼灸マッサージ店、理髪店、美容室など、顧客の体や髪に直接触れる職業の方々も、優先接種の対象ではありませんでした。食品や日用品など生活必需品を製造・運送・販売しておられる方々も、タクシーやバスや鉄道など交通機関に勤務しておられる方々も同様でした。

いずれも、地方公共団体によって差異があったのだと思いますが、清掃事業者、ビルメンテナンス事業者への接種が遅れていたのも気になった点です。オリンピックのボランティアの方々が開会までに2回の接種を終えることができなかったことも報じられていました。

特に、国防を担い、災害出動もしなければならない自衛官のワクチン接種が遅れており、これは従前からの課題です。

自民党の国防部会から内閣に対して、「自衛官の早期接種」について要請が行われたものの、結局は、モデルナ社製ワクチンの試験的接種で1万名、大規模接種会場の残余枠を活用しての接種しかできず、東京都のように地方公務員である警察官や消防士を優先接種する動きは見られませんでした。

他方、在日米軍基地では、基地内で働く日本人従業員にも早期に接種が開始されており、自衛官の皆様は疑問を抱いたことだろうと思います。

自衛官にもワクチン優先摂取を!

10年以上も前のことですが、2009年10月27日に、私は当時の民主党政権の鳩山内閣に対して、『自衛官に対する新型インフルエンザ・ワクチン接種の時期等に関する質問主意書』を提出しました。

「自衛官は、日本国民の生命及び日本国の領土や独立統治を守る為に重要な国防の任にあたっており、今後、新型インフルエンザの流行が深刻な事態となった場合には、社会機能を維持する為に出動を要請される可能性もあり、優先的にワクチン接種を受けることが望ましい者にあたると考える。従って、次の事項について質問する。自衛官は、優先的にワクチン接種を受けることが望ましい者にあたると考えるか。前問への回答の理由は何か。(後略)」という内容でした。

同年11月6日に鳩山由紀夫総理から衆議院議長宛に届けられた答弁書には、

「今般の新型インフルエンザのワクチンの接種事業において、新型インフルエンザによる死亡、重症化のおそれが高い者及びインフルエンザ患者の診療に直接従事する医療従事者(以下「医療従事者等」という)を優先接種対象者としているのは、新型インフルエンザの重篤性が季節性インフルエンザと同程度とされている一方で妊婦や基礎疾患を有する者等は重症化する可能性が高いこと、今後更なる感染者の増加が見込まれる中で、必要な医療提供体制を確保する必要があること、当面、ワクチンの供給が順次行われていくことなどを勘案してのものである。したがって、現状においては、自衛官が医療従事者等と同じ意味で優先的にワクチン接種を受けることが望ましい者に当たるとは考えていない。(後略)」

と書かれていました。

今夏も相次ぐ災害の現場に、多くの自衛官が派遣されています。現状でも、民主党政権と同様の対応になっていることについては、与党の一員として申し訳なく、残念でなりません。

優先接種の順番のみならず、接種の申し込み方法、接種会場が混み合わない工夫、残余ワクチンの廃棄が発生しない方法など、今年の様々な学びを今後の感染症対策に活かして、国と地方公共団体と医療従事者が力を合わせて、しっかりとしたマニュアルを整えておく必要があると考えます。

感染患者の移送困難事案

新型コロナウイルス感染症患者で自宅療養中の方の容体が急変し、救急車を呼んだものの、受入先の医療機関が決まらず、患者が数時間も救急車内で待機したり、結局、受入先が見付からないまま自宅療養続行となって救急車が帰ってしまったりする様子を、何度か報道番組で目にしています。

これでは、心臓発作やクモ膜下出血などの急病、交通事故による負傷などの緊急時にも、救急搬送を受けられないのではないかという不安の声が拡がっています。「受入可能な医療機関を手配してから、救急車が出動したらいいのに」というご意見も伺い、多くの方が同じことを思っておられると思います。

もともと、『感染症法』に基づき、感染症患者の移送は「救急業務」ではなく、「保健所の業務」です。新型コロナウイルス感染症患者(疑似症患者も含む)の医療機関選定については、保健所が行うこととなっています。

救急隊は、保健所の指示に従って「移送に協力する場合もある」という立場です。保健所が対応できない場合には、保健所が提示した感染症患者の「受け入れ医療機関リスト」に基づいて、救急隊員が電話で受入の可否確認を行う場合もあります。

それでも、「救急車が到着して安心したのに、救急車が動かない」という事態に直面した患者ご本人やご家族の苦しみと絶望感は、言葉に尽くせないほどのものだと思います。

随分前のことになりますが、私も、家族が目の前で倒れて救急車を呼んだものの、夜間でもあり、受入先の医療機関が見付からなかったことがありました。

各医療機関に電話をかけて下さっている救急隊員の背中を見ながら、全く動き出さない救急車のなかで、苦しんでいる家族の手を握りながら震えていた時間の長さを思い出しています。

その数年後、私は総務大臣に就任し、総務省・消防庁で「救急搬送における医療機関選定時のタブレット端末等の活用」について取組を進めていました。

まだ私が在任中だった昨年8月1日の調査結果ですが、『救急救命体制の整備・充実に関する調査』と『メディカルコントロール体制等の実態に関する調査』では、「全国の726消防本部中、170消防本部が、タブレット端末等を導入している」と回答していました。

ようやく23.4%の導入率です。今後も、急病や事故など「通常の救急搬送」の円滑化については、このタブレット端末の導入割合をさらに増やしていくための取組が必要です。

「東京方式」は十分に機能していない

問題は、「新型コロナウイルス感染症患者の移送」の円滑化です。

先日、消防庁救急企画室に状況を問い合わせてみましたが、やはり、前記した通り、「コロナ陽性者の移送は、感染症法上、都道府県等の保健所の業務であるため、救急業務としてシステムは構築していない」という回答でした。

確かに法的には厚生労働省の所管ですから、厚生労働省で十分な体制整備をした上で、保健所が対応しきれない時に総務省・消防庁や都道府県消防本部(救急)に協力してもらう他ありません。

東京消防庁でも、基本的に『感染症法』の対象外であることから、救急車のタブレット端末は、新型コロナウイルス感染症には非対応です。救急現場で傷病者が「コロナ陽性患者」であることが確認された場合には、保健所に連絡し、対応を仰ぐということです。

保健所が電話に出ない、または対応困難である場合は、救急隊が医療機関選定を行う場合もありますが、タブレット端末を使用して「内科」を検索し、受入の「○」「×」にかかわらず、収容依頼を行っているそうです。

「コロナ疑い患者」だった場合には、タブレット端末を用いて「コロナ疑い救急医療機関一覧」から「○」の医療機関を検索することが可能です。検索後に「○」である新型コロナ疑い救急医療機関に連絡し、受入依頼を行うそうです。

5医療機関、または20分間選定して医療機関が決定しない場合は、新型コロナ疑い地域救急医療センターが必ず受け入れることになっているということでした。

しかし、この東京方式が十分に機能していないのではないかと思います。

私の地元である奈良県消防本部でも、救急車のタブレット端末は、新型コロナウイルス感染症には非対応です。救急現場で傷病者が「コロナ陽性患者」であることが確認された場合には、奈良県庁に設置している「入退院調整班(24時間対応)」に連絡し、搬送先医療機関の選定を依頼しています。

現状では、この「入退院調整班」が機能しているので、救急隊員が新型コロナウイルス感染症患者の搬送先を探し続けるということはないそうです。

新型コロナウイルス感染症患者に係る医療機関選定システムは、保健所が構築しています。また、厚生労働省のG‐MISは、全国の約38,000の医療機関から、病院の稼働状況、病床や医療スタッフの状況、受診者数、検査数、医療機器(人工呼吸器等)の確保状況などを一元的に把握・支援するシステムです。

厚生労働省のG‐MISをフル活用することによって、保健所の移送車と消防の救急車と医療機関の連携を円滑にするような改善方法が編み出せないものかと考えています。

トイレの利用方法の啓発

感染症拡大防止策としては、小さな話だと思われるかもしれませんが、職場や公共の場所におけるトイレの利用方法についても、啓発活動を徹底することが必要です。

昨年から今年にかけてインフルエンザ患者数が激減したことから見ても、ほとんどの皆様がマスクの着用を徹底して飛沫感染を防ぐ努力をしたことについては、効果があったと考えられます。

他方、トイレについては、蓋を閉めて水を流さないとトイレの空間にウイルスが飛散すること、排泄後の石鹼を使った手洗いと手指消毒を徹底するべきことを、多くの方々に共有していただかなければなりません。

公共施設のトイレでも、ホームセンターなど民間施設のトイレでも、「蓋を閉めてから水を流して下さい」という貼り紙がある所とない所があります。医療の専門家である同僚議員が現状を心配しておられましたので、私も特に気になるようになったしだいです。

「ロックダウン」ができない日本

先日、全国知事会から内閣に対して「ロックダウンを可能にする法整備」を求める声が伝えられ、自民党の下村政調会長も検討を開始する意思を表明された旨が、報道されていました。日本には、いわゆる「ロックダウン」(都市封鎖・罰則付きの外出禁止命令など)を可能にする法律がありません。

仮に事態がさらに悪化して、人流抑制を目的に強制力と罰則を伴う法整備を行う場合には、「与野党合同の法制化検討チーム」を組織して、合意を得てから国会に提出する方法を採らなければ、憲法論議に膨大な時間を割くことになり、政治的には困難が多い課題だと感じています。

少なくとも日本国憲法第22条の「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する」が関係してきます。日本国憲法が保障する基本的人権も絶対不可侵ではなく、「公共の福祉のため」に必要な場合に制約を加えることは、同条にも明示されています。憲法第12条、第13条にも、「自由」「権利」と「公共の福祉」との関係が記されています。

内閣法制局の職員に聞いてみましたら、「外出禁止という権利の制限が『公共の福祉のため』と言えるかどうかについては、具体的にどのような目的で規制を行うのか、規制を行う地域、人、物はどのような範囲に及ぶのか、その範囲は目的との関係で必要最小限のものといえるのか、等々をみて判断していくことになる」ということでした。

現時点では、「都市封鎖」(一定の地域を封鎖して出入りを規制する措置)を可能にするような法的根拠はありません。「外出を禁止し、違反者に罰則を科す」ような規定も存在しません。

特に「罰則」については、日本国憲法第31条が、「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない」と定めています。よって、法律が制定されていない段階で、内閣がこれらの措置を行うことはできません。

国民の皆様の自由や財産を制限ないし侵害する行為には、法律の根拠が必要です。この原則は、日本国憲法の個別の条項に明記されているわけではありませんが、日本国憲法が採用する三権分立の考え方や法律をもって定めることを明記している個別の条項から、日本国憲法が当然の前提としているものと解釈されています。

憲法も含めて法制度整備が必要

昨年1月以降、世界中の人々が新型コロナウイルス感染症の拡大に苦しみ、各国で「ロックダウン」など強制的な対応が行われました。一部の国では反発する人達による大規模デモや、エッセンシャルワーカーの職場放棄などが報じられました。

日本では、「ロックダウン」を可能にする法律がないなかで、ほとんどの国民がマスクを着用し、手洗いや消毒など清潔を心掛け、厳し過ぎる経営状況のなかでも多くの事業者が時短営業や休業に協力して下さっています。医療、福祉、教育、流通、運輸、消毒、行政をはじめ様々な分野の多くの方々が、感染リスクに晒されながらも国民の生命と暮らしを守るために激務に耐えて働き続けて下さっています。日本は、本当に凄い国だと思います。

「ワクチンや治療薬の国内生産体制」を構築するとともに、「ワクチン接種の促進」や「治療薬の早期投与が可能な環境を作ること」で「重症者数・死亡者数の極小化」に重点的に取り組み、一人一人が引き続きマスクの着用や消毒など「衛生対策」に留意したならば、状況は徐々に改善していくと考えています。

「今、ロックダウンが必要かどうか」ということについては、様々な考え方があると思いますので、専門家も含めて多くの方々からの情報も収集しながら、内閣や各党における論点整理の場が必要です。

ただし、エボラ出血熱など死に至るまでの時間が短い感染症のリスクもありますから、新型コロナウイルス感染症に限定して考えずに、「様々な感染症への備え」としての法制度整備が必要か否かという観点で議論しなければならない課題です。

別途、テロ発生時や武力攻撃を受けた時、海外で邦人が危険に晒される可能性が高い時などに、外出禁止、渡航禁止など、生命を守る目的に限定して、一定の自由や権利の制限ができるように、日本国憲法も含めて法制度整備をしておく必要性については、海外における様々な事件(日本人が犠牲になった事件もあります)から痛感しています。

大胆ですばやい財政措置

飲食店をはじめ様々な事業者への時短・休業要請を行う場合には、事業主体を存続させるために十分な資金手当を行うことが必要だと考えます。

既に国会で成立した『新型インフルエンザ等対策特別措置法』の第45条2項3項、第79条では、施設管理者等に要請を行い、正当な理由がないのに要請に応じない場合は、一定の条件のもとに命令を行い、命令違反に対して過料を科す仕組みになっています。

新型コロナウイルス収束後には、買い物、外食、旅行など、我慢していた消費が爆発的に増える「消費急増期」が到来するはずです。その時に経済の担い手となる事業主体が消滅していては話になりません。

むしろ手厚い支援を行い、地方においても、今のうちに「選ばれる商品・サービス」の準備を行っていただけるような環境を整えることが、中期的に日本経済の回復に資するものだと考えます。

そこで、今年5月28日に、自民党の同志議員とともに、菅義偉総理宛の提言書を提出しました。

■コロナ禍前の令和元年度の課税所得と2年度課税所得の差額の8割を、税理士会の協力を得て還付金用口座に振込むこと

■小規模事業者には、100万円と200万円の持続化給付金を再支給すること(減収要件を3割にする)

■生活困窮者に、特別定額給付金10万円を再支給すること

■予備費残額3兆9880億円(5月時点)を早期に活用し、不足分は補正予算で措置すること

などの内容です。このような提言活動も、与党議員にとっては内閣への応援の一環です。

しかし、補正予算の編成がないまま通常国会は閉会となり、私達の落胆は大きいものでした。特に使途の自由度が高い地方創生臨時交付金について、地方創生臨時交付金の繰り越し分は枯渇しかけています。

命を守り、今後の経済再生を可能にするために、様々な財政措置が必要な時です。今でも、早期の補正予算編成には期待を繫いでいます。

創薬力の強化と日本の弱点

コロナ禍で困っていることは、ワクチンと治療薬について、国内生産による安定的な供給体制が確立されていないことです。

ワクチンについては、国内でも大学と企業が連携してワクチン開発が行われていましたが、接種開始時期には間に合わず、外国産ワクチンに頼らざるを得なかったことから、果たして十分な供給量を確保できるのかどうかという不安が拡がりました。

治療薬についても、軽症、中等症Ⅰ、中等症Ⅱ、重症と、病状によって対応する薬がありますが、国内生産していない薬に頼らざるを得ず、早期に全ての患者に処方できるだけの量が確保されているとは考えられない状況です。

今夏は、大手コンサルティング企業や、海外で活躍中のメディカル企業の幹部から、日本の製薬企業のグローバルな立ち位置について、教えて頂きました。

先ず、日本の製薬企業は、企業全体、創薬においても、研究開発の生産性の高い数社を除いては、グローバル大手の平均以下のパフォーマンスだということでした。上位25社には、売上規模で4社、時価総額で3社しか入っておらず、メガファーマのグループに近いのは武田薬品だけです。

コロナ・ワクチンのファイザーなど「メガファーマ」の次に来るのが、フォーカスしたR&D(研究開発)を進めている「スペシャリティファーマ」です。特定分野での成功率は高く、例えば、ノボノルディスクは糖尿病や成長ホルモンなどの薬に、イーライリリーは癌の薬に特化しています。

日本の製薬企業では、中外製薬と第一三共が分野を特化しており、期待が高いそうです。

特に中外製薬は、ロシュとの提携を活かした研究開発力と販売力が高く、新薬の開発力が目立っています。最近では、新型コロナウイルス感染症の軽症時の治療薬として期待を集めている抗体カクテルの日本における独占販売権も獲得しました。

ロシュは、乳癌など癌治療薬で注目されている企業ですが、タミフルも、作ったのはギリアドですが、ロシュが買い取って販売しています。第一三共は、抗癌剤が米国で認可されて、株価が上昇しました。20年来の努力が最近になって花開いています。

世界の売上トップ20製品のうち、日本企業は、1995年に第一三共の高脂血症治療薬と田辺の狭心症治療薬がランクインしましたが、2020年は小野薬品のオプジーボのみでした。2020年の売上トップ20製品は、特化型・難病対策の治療薬(癌、免疫疾患など)が多く、日本企業は「高分子薬」「バイオ薬品」への切り替えが遅れたと分析されています。

多くの日本企業の「創薬パフォーマンスの低さ」の要因については冷静に分析しながら、今後は「創薬力の強化」に向けた取組を本気で始めなければならないと考えます。

第1に、「メガファーマ」は対象とする疾患領域が幅広く、「スペシャリティファーマ」は対象領域を絞っており、日本の製薬企業はどっちつかずになっています。

第2に、創薬プロジェクトの可否を早期に見極め、適切にリソースを最適化する柔軟性が不足していることです。グローバルファーマは、研究段階で考えた薬の能力を動物ではなく人で臨床治験して、絞り込みを早期に行うということですが、これは、日本では賛否の大きく分かれるところで、実に困難な課題です。

第3に、ベンチャーのエコシステムが弱いことです。欧米と比べますと、資金面、機能面ともにインキュベーション(事業の創出・創業支援)の仕組みが不十分です。

米国のバイオクラスターであるサンディエゴでは、循環する資金と人材に加えて、弁護士、会計士など専門職を含めた研究開発段階のエコシステムが形成されているということです。この点は、産学金官で連携して、改善策を講じられると思います。

第4に、臨床開発環境の未整備です。日本では、総合病院が多いですから、一つ一つの領域の患者数が少なく、患者組み入れコストが高いのです。患者データも医療機関ごとに分散していますから、対象患者を見付けにくいということです。

例えば、癌特化病院は日本全国で350から400もあり、薄く広がり、研究や教育ができる医師が散らばっています。海外のCenter of Excellenceが特定領域に特化しているのとは対照的だと言われます。

米国との研究資金の差

第5に、トランスレーショナルリサーチ(基礎研究から臨床現場への橋渡し研究)が脆弱です。つまり、理論から臨床への繫ぎが弱いということです。臨床研究の論文数が少なく、phDの人数も少なく、学位取得後の企業への就職比率は、米国に比べると圧倒的に低くなっています。

産学連携の人材交流も限定的だとされます。

その理由として、「『臨床研究法』によって、医師主導の治験がやりにくくなったからだ」という指摘があります。同法の制定は、ノバルティス社員の臨床データ改竄がきっかけでした。製薬企業から資金提供を受けた臨床研究への縛りが厳しくなり、共同研究が困難になったそうです。

これも、人命に関わることですから、データ改竄の再発がないように留意しながら、改善策を検討したいと思います。

第6に、研究資金の差です。

NIH(米国の国立衛生研究所)とAMED(国立研究開発法人 日本医療研究開発機構)の研究資金力に大きな差があることに加え、基礎⇒応用⇒ 臨床と繫いでいく公的資金が少ないのです。

医療分野の研究助成金の規模は、米国が日本の22倍になっており、政府の研究開発予算における医療分野の割合も、米国が日本の6倍です。

医療分野の予算の流れを見ますと、米国では、NIHから直接、大学や研究所に渡りますが、日本では、文部科学省、厚生労働省、経済産業省からAMEDとインハウス研究機関に渡り、その後、臨床研究中核病院や大学や国立研究所などに渡っています。

ここは、研究資金の配分方法と規模も含めて検討した上で、国が「危機管理投資」及び「成長投資」として大胆に支援するべき点だと考えます。

第7に、薬価制度の抜本的改革で、製薬企業の稼ぐ力が減少したことです。つまり、革新的な薬剤に対する見返りが少ないということです。ここは、患者負担も含めて政治の現場での議論が激しくなる点です。

以上の問題意識を持った上で、私は、米国の商務省が所管する『特許規則連邦規則法典』第37巻第404条6項についても、研究してみたいと考えています。

NIHの技術シーズを、同法に基づき、実用化の独占的ライセンスを中小企業に優先的に付与するものです。バイオベンチャーは技術シーズがなくても起業できる代わりに、迅速な開発と商業化を要求されます。

自民党社会保障制度調査会に設置された「創薬力の強化育成に関するプロジェクトチーム」でも、今年5月に提言が取り纏められています。

先に述べた私の問題意識と概ね同様の方向性ですが、党提言のなかでは特に「緊急時に新薬・ワクチンを迅速に実用化できる薬事承認制度の確立」が、多くの国民の皆様の願いに沿っているのではないかと思います。

 ◇

 感染症に関する医療の世界や行政の世界には、山ほどの課題があり、その一つ一つをえぐり出している高市氏の調査研究力には脱帽します。実は日本の国会議員、それは与野党を問わず、このような調査研究力とその実行力が求められています。そうでなければ、年間様々な歳費を含めて4千万円の報酬を得る価値がありません。

 与野党を問わずといったのは、政権交代も有りうる日本の政治制度の中で、それを可能にするのは、野党であってもこうした調査研究を元にした、政策課題を常に策定し、次の政権を狙う能力を持つ事につきると思います。

 しかし、現状のように政府の政策批判とその反対・裏返しの政策提案だけでは、万年野党になるのも当たり前でしょう。そのことが日本の政治の低迷を許し、ひいては日本の弱体化につながっていることを認識すべきです。

 そうした政治の閉塞感を打ち破るためにも、政策提案に長けた高市氏の登場を期待するものです。そしてその思いを是非実行に移していただきたいと思います。あすの日本のために。

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