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2021年9月19日 (日)

渡部悦和氏:国家建設も国防も外国依存は亡国の道 暗に総裁選での高市氏推し

4_20210919100601  自民党総裁選の論戦も熱を帯びてきました。今朝の報道番組でも、4氏そろっての論戦が報道されましたが、河野氏は感情的で独断的、岸田氏は抽象的で不明瞭、野田氏は弱者救済中心で国家感なし、と言う印象が強く残る中、高市氏がもっとも明確な政策を述べていたように思われます。

 なかでも、中国がその第一列島線での現状変更を推し進めようとする中で、米国が日本へのミサイル配備を検討するという事への質問で、高市氏のみが賛成を示し、他の3氏と安全保障政策の面での違いを際立たせたのが印象的でした。野田氏などは未だに「外交で対応」と言った、今まで全く効果のなかった対中国、朝鮮政策の反省が見られませんでした。

 いずれにしろ、これからますます覇権主義と拡張政策を推し進める中国や、核や弾道ミサイルでの威嚇を続ける北朝鮮への対応は、真に日本自身への脅威と受け止め、対処していかなければなりません。そういう意味でも高市氏の総裁選勝利を願いたいと思いますね。

 ところでこの安全保障政策について、元陸上自衛隊東部方面総監の渡部悦和氏が、zakzakに寄稿したコラムを紹介します。タイトルは『国家建設も国防も外国依存は亡国の道、日本も自助努力で国力改善を 総裁選で対中抑止策を語れ』(9/14)で、以下に引用して掲載します。

 ◇

 自民党総裁選が盛り上がるなか、総裁候補にはぜひ、「日本の安全保障政策」を熱く語ってほしい。今回の集中連載は、わが日本が直面している厳しい現状を深掘りしたい。

 ジョー・バイデン米大統領の対外政策の特徴は、米国の「グローバル・リーダーシップ(世界の警察官)」を強調するのではなく、国際協調主義にのっとり、関係各国の「自助」を促すことにある。米国のみによる関与を避け、関係国に任せる傾向が随所にみられる。

 また、米国の対テロ戦争20年間の重要な教訓の1つは、「米国が他国を米国流の民主主義国家にしようとしても、それは不可能であり、その国の国民の反発を買うだけだという事実」だ。

 そして、米国が国家再建を支援したイラクやアフガニスタンの腐敗や脆弱(ぜいじゃく)さは、「国家再建において、米国がいかに多くの軍隊・資金を投入したとしても、当事国の責任感や自助努力がなければ全てが無駄に終わる」ということだ。

 米国のリーダーシップの欠如を批判する前に、リスクに直面している世界各国が自らの責務を果たすべきである。これはアフガンやイラクだけの問題ではない。中国の強圧を受けている台湾、北朝鮮の核・ミサイルなどの脅威を受ける韓国も同様である。

 当然ながら、日本も例外ではなく、日本の責任が問われている。

 わが国は名誉ある国家として生き残るべきだ。そのためには、アジア地域における日本を中心とする「バランス・オブ・パワー(勢力均衡)」を、日本にとって望ましい状況にすべきである。その主対象は覇権的に台頭する中国である。

 当然ながら、わが国の自助努力により国力を改善しなければいけない。国力の要素である、「経済成長」「防衛力増強」「外交力の強化」「科学技術力の強化」などに真剣に取り組まなければならない。特に自衛隊は日本防衛、特に南西防衛態勢を確立しなければいけない。

 そして、共助としての日米同盟を堅持し、中国のアジアにおける覇権確立を抑止することが不可欠である。同盟国・日本としては、「インド太平洋地域こそが米国にとってバイタルな(=国家生命維持に必要不可欠な)地域であり、覇権主義的台頭をする中国を抑止するのが米国の最も重要な使命である」という主張をし続けることである。

 この論理は、米国の伝統的な対外政策の本質である「米国を脅かす地域覇権大国の台頭を許さない」にも一致する。「米国は世界の全ての正面に対処せよ」などと決して言ってはいけない。米国は中国にこそ対処すべきであると主張し続けることが重要である。

 そして、対中抑止の輪を、オーストラリアや、インド、ASEAN(東南アジア諸国連合)諸国、台湾などに拡大することがより効果的な対中抑止策となろう。

 ◇

 冒頭述べた米国のミサイル配備に対して、高市氏を除く3氏が反対の立場を示しましたが、かといって自国での配備をする考えはありません。今や空中戦が主流の世界の軍事環境において、他国にも頼らず自国でも配備しない、ただただ防衛だけに徹する、というのは、攻撃しないで一方的に相手のパンチを避け続けるボクサーと同じでしょう。いつかは手痛いパンチを食らってノックダウンしてしまいます。

 高市氏は米軍のミサイル配備を認めた上で、できれば国産のミサイルをと言っていましたが、彼女のこの発言が本当に日本に抑止力をもたらす、そして普通の国としての発言だと強く思いました。

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