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2021年10月26日 (火)

台湾進攻の「次は沖縄」、日本は果たしてどうする

22_20211025170101  中国習近平政権の台湾統一への実力行使が取り沙汰されている今、バイデン政権は前トランプ政権とは違い、やや融和的な動きを見せていることが気になります。日本も台湾有事の先には沖縄有事が予想されることを念頭に、その対応を準備しておく必要があります。

 しかし各党の安全保障分野の公約を見ると、台湾に言及したのは自民党のみ、それもTPP関連で有事の際の記述はありません。野党は立憲民主、共産党、社民党のいわゆる特定野党は、そろって沖縄の辺野古への移設中止を掲げています。共産党は持論の日米安保の廃棄を未だに謳っています。

 差し迫った中国の脅威に対し、日本のこの有様はあきれてものが言えません。一億総お花畑の現状は、事が起こらない限り目覚めないのでしょうか。中国のお膝元のこの日本を、米国が肩代わりして防衛してくれるなど無理だと気づかなければなりません。台湾防衛ですら米国にとってやっかいな重荷なのです。

 このあたりの実情を、米国のブラマ・チェラニ(インド政策研究センター教授)氏がNewsweek誌に寄稿したコラムから引用します。タイトルは『台湾進攻の「次は沖縄」...中国の野心は「ヤマアラシ」作戦で防げ』(10/19)です。

 ◇

<中国の台湾進行を防ぐには、「非対称」戦略を進めることで中国に物理的な高いコストが発生すると意識させることが必要だ>

中国の強引な拡張主義は、これまでになく危険な方向に向かっているのかもしれない。最近は記録的な数の中国軍機が台湾の「防空識別圏(ADIZ)」に進入している。台湾の吸収による「祖国統一」を目指す中国政府の本気を示す明確なメッセージだ。

中国は台湾を一貫して自国領土だったと言っているが、実際には歴史修正主義に基づく疑わしい主張だ。台湾は歴史の大半を通じ、非中国系のマレー・ポリネシア系民族の居住地だった。地理的にも台湾本島は中国大陸よりフィリピンに近い。住民の大半も現状維持を望んでいる。

だが習近平(シー・チンピン)国家主席は1950年代に毛沢東がチベットで行ったように、「祖国統一」の名の下に台湾の併合を狙っているようだ。中国が台湾に侵攻すれば、近年で最大の世界平和への脅威となる。

台湾が占領されれば、死活的に重要な地域における航行の自由が損なわれ、インド太平洋地域のパワーバランスが覆る。中国は日本列島から台湾、フィリピン、ボルネオ島へと続く「第1列島線」を突破し、近海を支配下に置ける。一方、信頼できる同盟国としてのアメリカの評価は決定的に傷つく。台湾の征服を防げない(または防ぐ気がない)のであれば、他の国もアメリカには頼れないと考えるだろう。

台湾に隣接する南端の島々を持つ日本にとって、このリスクは特に深刻だ。麻生太郎副総理兼財務相(当時)が7月に語ったように、「次は沖縄」かもしれない。アメリカに頼れない日本は再軍備から核の保有に向かう公算が大きい。韓国、フィリピン、タイなどは中国の勢力下に入りそうだ。

台湾防衛に米軍を投入すると明言せよ

それでもアメリカは、中国による台湾占領とアジアの安全保障秩序崩壊を本気で防ごうとしているようには見えない。歴代の米政権は南シナ海から香港、新疆ウイグル自治区まで、習の拡張主義的行動を何度も許してきた。バイデン米大統領が最近、中国に融和的姿勢を見せていることも、習の自信を深めているはずだ。

中国の台湾占領を阻止できる手段があるとすれば、国際社会の評価だけでなく、物理的にも高いコストが発生すると中国側に意識させることだ。だからこそ、バイデンは台湾防衛のために米軍を投入すると、習にはっきりと告げなければならない。

トランプ前大統領の退任直前に機密解除された内部文書「インド太平洋におけるアメリカの戦略的枠組み」は、台湾の「非対称」能力構築を支援するよう推奨している。一部の元米政府・軍当局者も、こうした戦略に賛同を表明した。ジェームズ・スタブリディス退役海軍大将が指摘したように、ヤマアラシの針状の毛は消化が困難なため、大型の捕食者から身を守る盾になる。同様に対艦・対空ミサイルのような兵器は、台湾侵攻を高コストで長期にわたる血みどろのゲリラ戦に変えるはずだ。

しかし米台両当局者が非対称戦略について合意したとしても、中国という龍の喉を詰まらせる「ヤマアラシ型台湾」を構築するには数年かかるだろう。侵略者に持続的なゲリラ攻撃を仕掛ける大規模な民間人部隊の育成が必要だ。

それまでの間、侵略を思いとどまらせる方法は1つしかない。戦争も辞さないと脅すことだ。アメリカは冷戦の期間中そうやって、今の台湾よりも政治的に危うい状態だった西ベルリンの自由を守り抜いた。

最悪の対応は台湾を武力で守る意思を明確に示さず、口だけで中国の台湾占領に反対することだ。罰を受けずに行動できることに慣れた習はさらに大胆になり、奇襲侵略作戦を命じかねない。そうなればインド太平洋の秩序は覆され、アメリカの世界的優位に致命的打撃を与えるだろう。

 ◇

 地政学的に中国から遠く離れたアメリカが台湾防衛に躍起となるのは、台湾が中国の軍門に下ったならば、中国の太平洋への展開が一気に可能になると共に、それゆえ超大国の座を脅かされる可能性があるからで、むしろ近隣にあって火の粉が飛んでくることが予想される日本の方が、実害が大きいことを知るべきでしょう。

 ブラマ・チェラニ氏の指摘の通り、台湾が沈めば韓国、フィリピン、タイなどが中国の勢力下に入ると共に、日本も例外とは言えないでしょう。少なくとも沖縄は完全に狙われることになるでしょう。

 それだけ台湾防衛は西側諸国、特に日本にとって死活的重要な案件です。アメリカに防衛を肩代わりしてもらうなど、甘いことを言っている場合ではありません。そのアメリカも番犬とみている日本が何もせず、寝てばかりいるようでは、いい加減愛想を尽かすのではないでしょうか。

 ブラマ・チェラニ氏はアメリカに頼れない日本は再軍備から核の保有に向かう、と述べていますが、それが可能であればもうやっているはずです。憲法9条も変えられない日本にとって、再軍備から核の保有に向かうなど、夢のような話ですが、今確実にその時期が近づいていると言えます。トランプ氏も容認したこの安全保障政策を、日本は本気になって進める必要がありそうです。

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