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2021年10月28日 (木)

英エコノミスト誌:中国の成長に急ブレーキをかけたトリプルショック

Img_f77f70c9b1618bc174c9471c5605fbff1699  中国は今、不動産王手の恒大集団の経営危機が取り沙汰されていますが、不動産に限らずいくつかの要因が重なって、成長に急ブレーキがかかろうとしています。共産党一党独裁による特殊な経済運営で、この経済停滞を乗り切れるのか、世界が注目していると言っていいでしょう。

 そのあたりの事情を英国エコノミストが公開した記事を、JBpressが掲載していますので以下に引用します。タイトルは『中国の成長に急ブレーキをかけたトリプルショック 石炭不足、コロナ禍、建設減速がそろい踏み』(10/27 英エコノミスト誌 10月23日号)です。

 ◇

 2006年公開のドキュメンタリー映画「Manufactured Landscapes(邦題:いま ここにある風景)」に、風景写真家のエドワード・バーティンスキー氏が撮影許可を求めるシーンがある。

 中国・北京に近い工業都市の天津で、出荷を待っている中国産の石炭の山々を撮りたいというのだ。

 案内人は怪訝な顔を見せるが、写真家の助手が「カメラのレンズと先生の目を通すと、あの山は美しく見えるんでしょう」と言って納得させる。

 この推測は完全に正しいとは言えないことが分かる。

 写真家のレンズを通してとらえられた石炭の山の連なりは黒ずんでいて、悪魔を連想させる姿をしている。必ずしも美しいわけではないが、その莫大な量には畏敬の念を覚える。

5%を下回る水準まで成長が減速

 これらの写真を眺める限り、中国でこの燃料が不足するようなことは想像しがたい。だが、ここ数カ月間、かの黒いピラミッドはそれほど大きなものではなくなっている。

 中国で発電用燃料のほぼ3分の2を占める石炭が不足していることが、過去10年で最悪の停電を招く一因になった。

 そしてその停電は経済成長に打撃をもたらしている。

 バーティンスキー氏の案内人は、空が薄暗く汚れていることの言い訳として「中国経済は非常に速いペースで発展しているんです」と語る。

 だがそれも、もう完全に正しくはない。

 中国経済は三重のショックに見舞われている。

 上記の停電だけでなく、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックや、不動産デベロッパーの恒大集団の資金繰り問題によって悪化した不動産業界の減速にも悩まされている。

 10月18日に発表された第3四半期の経済成長率(前年比)は4.9%で、前期より低下した。

 9月の鉱工業生産指数伸び率(前年比)もわずか3.1%にとどまり、世界金融危機の際の最低値をも下回っている。

 COVID-19の登場から1年半あまり経って、パンデミック以前には耳にすることのなかった低い成長率が公表されている格好だ。

複数の要因から生じたエネルギー不足

 エネルギー不足から順番に見ていこう。

 今回の石炭不足の原因は、構造的なものと偶発的なものとに分けられる。不運な出来事には、7月に河南省、今月には山西省でそれぞれ洪水が発生し、いくつかの炭鉱が閉鎖を余儀なくされたことが含まれる。

 加えて、中国の石炭生産のおよそ4分の1を担う内モンゴル自治区では、汚職の調査が行われ、以前であれば採炭の拡大を承認していたかもしれない当局幹部の一部が関与を問われ、身動きを取れなくなっている。

 中国第3位の石炭生産量を誇る陝西省では、習近平国家主席も出席する9月の全国運動会開催に合わせて空をきれいにするために、石炭生産を減らしていた。

 保安検査官も石炭増産に待ったをかけた。中国では昨年100件を超える産業災害が発生したために、976の鉱山に調査が入った。

 石炭不足のさらに深い理由は、中国が石炭への依存度を低下させようとしていることに求められる。石炭は、この国の二酸化炭素排出で大きな割合を占める。

 政府当局はここ数年、新しい炭鉱の開発や既存の炭鉱の拡張の承認に消極的だ。

 エネルギー・コンサルティング会社ランタウ・グループのデビッド・フィッシュマン氏によれば、炭鉱拡張が「間違った方向にバスを走らせているのは明らか」だからだ。

 供給がタイトになると、本来は価格が上昇し、顧客が節約を余儀なくされる。だが、石炭価格が急上昇しても、発電事業者はコストの上昇を顧客に転嫁できなかった。

 電力の大半を購入している送電事業者に請求できる価格は、基準価格より最大10%しか引き上げることができない。しかも、この基準価格は頻繁には変更されない。

 また、最終需要者が支払う電気料金も、同じようにあまり変更されない料金表に基づいて請求された。

 発電事業者のなかには赤字で運営することを拒み、発電をやめたところもあった。

コロナ禍に不動産ショックが追い打ち

 パンデミックも中国経済にショックをもたらした。

 7月に南京で始まったクラスターをはじめとする感染拡大を受け、地域限定の厳しいロックダウン(都市封鎖)が導入され、小売支出(特に食事の出前)と旅行が落ち込んだ。

 旅行予約サイトのフライトマスターによれば、8月の旅客機の稼働率は50%に満たず、9月に入っても3分の2にとどまっている。

 とどめは不動産セクターへのショックだった。

 中国の経済成長、雇用、レバレッジ、そして不安を常にかき立ててきたエンジンに当たるセクターだ。

 規制当局はマンションの投機需要の抑制と住宅建設業者による過大な借入の制限を試みている。金融セクターのリスクを抑えようとするこの取り組みのせいで、以前から存在していた危険の一部が正念場を迎えることになった。

 負債総額が3000億ドルに達する巨大デベロッパーの恒大集団は、9月24日にドル建て社債の利払いを見送った。他社もこれに続いた。

 そのため住宅購入者のなかには、どの不動産開発業者に対しても頭金の支払いをためらう動きが出ている。

 予約販売しているプロジェクトの物件が完成する時まで、開発業者が存続できない恐れがあるからだ。

 こうしたことを背景に、中国の9月の国内新築着工は前年同月に比べて13.5%減っている。床面積で計測される不動産販売も同程度減少した。

 セメントや鉄鋼の生産も急激に落ち込んでおり、前者の9月実績は前年同月比13%減、後者は同14.8%減となっている。

 中国の中央銀行は10月15日、不動産業界は総じて健全であり恒大集団は特異なケースだという見解を示した。

 これを聞いた人は安心するはずだったが、政策立案者は不動産セクターの苦境について相当懸念しなければ救済には動かない。

 規制当局が不安になることが、住宅建設業者とその債権者の不安を緩和するための必要条件の一つなのかもしれない。

 ほとんどの経済学者やエコノミストは、中国の経済成長率(前年比)は第4半期にさらに低下すると見込んでいる。

 バンク・オブ・アメリカは基本ケースとして2.5%の成長を予想している。中国はCOVID-19への警戒を続けるだろうし、不動産セクターの不振はさらに悪化する余地がある。

足元の石が崩れたら跳ぶしかない

 しかし、3つのショックのうち1つは、年末にかけて少なくともパンチ力が若干弱くなるはずだ。

 発電所は不動産デベロッパーとは異なり、遅まきながら当局から支援を得た。炭鉱には増産の指令が下った。

 10月19日には中国で最も重要な計画機関が、石炭価格があまりにも高い水準にとどまるなら介入すると脅しをかけ、石炭の先物価格が急落した。

 川上部門での価格介入の脅しは、川下部門の自由化に向けた大きな一歩に続く動きだった。

 中国政府は今後、発電事業者が送電事業者に原価上昇を販売価格にもっと自由に転嫁できるようにする。

 また、商工業者の顧客には料金表に書かれた料金ではなく、市場での交渉で決まった電力料金の支払いを義務づける(一般世帯や農家は対象外)。

 こうした計画は長い間検討されてきたものだ。だが、急な危機の発生によって実施を強いられた。

 前出のフィッシュマン氏は、政策立案者たちは以前、「市場原理の緩やかな導入」好んだかもしれないが、「国中の工場の明かりが消え始めたことで」状況が変わったと話している。

 中国は、川を渡る時には川底の石の状態を足で探りながら進むのを好む。

 だが、足をかけた石が崩れてしまったら、あとはもう跳ぶしかない。

 ◇

 跳ぶしかないとはどういうことかよく分かりませんが、実際のところ跳べればいいが、跳ぶ前に転ばないでしょうか。いずれにしても共産主義下における中国式自由経済は、今やどんどん計画経済化し、本来の共産主義経済に近づいているようです。そうなれば経済の自然発生的な需給調整による効率化は図れず、ますますいびつな形になっていくでしょう。中国の今はその途上にあると言ってもいいと思います。

 その結果以前にも増して当局による統制が強まり、進出している日本企業にもかなり影響が及ぶことが予測されます。統制が酷くなる前に撤退が可能な企業は、是非その時期を早めるよう望みます。はた迷惑な「中国の夢」を追うこの国の経済が減退し、その覇権の勢いが鈍ることを願ってやみません。

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