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2021年11月

2021年11月30日 (火)

オミクロン株の脅威、デルタ株を終息させた日本の経緯を参考に防疫を

9_20211129153101  南アフリカで初めて報告されてから、瞬く間に世界に広がりを見せ始めた新型コロナの新たな変異株、オミクロン株。日本もアフリカの9カ国に続いて、30日からはすべての外国人の入国を原則停止する措置を執ります。

 現状日本では、デルタ株を中心として蔓延した新型コロナの感染が、ようやく収まった段階で、再拡大を防ぐべくこの新たな変異株に対して、早め早めの水際対応を取っていると思います。

 ところで、スタイルアクト代表取締役の沖有人氏は、別の視点でこの対応を見ています。JBpressに寄稿したコラムからその考えを伺います。タイトルは『日本はオミクロン株に怯える前に知るべき「なぜデルタ株が終息したか」 数値目標を定め、ワクチン接種を愚直に進めた菅政権を再評価せよ』(11/29)で、以下に引用して掲載します。

 ◇

 新型コロナの感染者数は誰もが驚くほど減った。そして、行動規制が解かれ、人流が急増しているにもかかわらず、感染者数は増えていない。この謎を解かなければ、モヤモヤが晴れない上に、今後どう行動したらいいのかという指針を導き出すこともできない。

 本来、これを説明する責任は、経済活動や行動の厳しい規制を主張した専門家にある。だが、一向に出てこないため、統計を使った将来予測を仕事にしている身として、明確な答えを出そうと思う。

 実は、この分析は2時間で終えられるほど簡単である。

 厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードの資料はネット上で公開されている。ほぼ毎週行われている会議の資料を見れば、時系列で状況の変化を把握することが可能だ。

 毎週、同じ表とグラフを作っているだけだが、一次情報が整理されているため、このデータを使って統計的に分析すれば、ほとんどの答えは出る。ただ、そうした分析をした形跡が見られないのは寂しい限りだ。

 この資料の中に、「ワクチン接種歴別の新規陽性者」という表がある。ワクチンの接種歴を3区分(未接種、1回目のみ、2回目済み)し、その感染しやすさを明らかにしたものだ。

 感染しやすさを表しているのは、10万人あたりの新規陽性者数という数字だ。この数字は時系列に並べると、極端に数値が下がっていることが分かる。

 第5波が真っ盛りだった8月を100とすると、11月の未接種は3.4、1回目のみは8.3、2回目済みは9.4で、平均して8.0と10分の1以下。未接種の人でもピーク時の30分の1の確率でしか感染しないというのは、何を意味するのだろうか。これが、一つのポイントだ。

9月以降、新規感染者が急激に減った真の理由

 これは別のデータでも同じ様な結果になる。PCR検査の件数に対する新規感染者数の比率を1-9月と10-11月を比較すると、9割減の10.2%に減っている。極端に感染しにくくなっているのだ。

 感染しにくくなっている要因は「集団免疫」と考えられる。集団免疫とは、人口の一定割合以上の人が免疫を持つと、感染者が出ても他の人に感染しにくくなるという状況を表したもので、感染症が流行しなくなる状態を指す。

 集団免疫は感染症の種類によって、免疫獲得につながる一定割合は変わる。その免疫とはワクチンの効果そのものである。その結果が上記の数字なのだ。

 では、ワクチンの2回目接種率を集団免疫と見立てると、7月末で28%、8月末で43%、9月末で56%、10月末で67%だ。50%付近から感染者数の激減は始まり、集団免疫効果が本格化したと考えられる。

 この効果の数値化は、実効再生産数で説明すると分かりやすい。

 実効再生産数とは、「1人の感染者が次に平均で何人にうつすか」を示す指標だ。最も感染拡大していた時期は数週間平均で1.5を超えていた。コロナの発症までの期間が平均5日なので、5日おきに累乗することになる。今100人の感染者がいるなら、5日後に150人、10日後に225人(=150人×1.5)、15日後に338人、30日後に11倍の1139人になる。実際、第5波もほぼこのペースだった。

 一方、実効再生産数は1を割ると感染者数は減り始める。そして、1.5人にしか感染させられないウイルスは、半分の人が免疫を保持しているとその半分の0.75人にしか広がらない。

 すなわち、今100人の感染者がいるのであれば、5日後に75人、10日後に56人(=75人×0.75)、15日後に42人、30日後に18人になる。第5波以降の減少ペースはこのペースに近い。こうした実効再生産数を半減させたのはワクチンの接種率で説明することができる。

メディアに悲観的な情報しか流れないのはなぜか

 先ほどの「ワクチン接種歴別の新規陽性者」を見ると、ワクチンの接種歴(未接種、1回目のみ、2回目済み)で感染率はかなり違う。未接種を100とすると、1回目のみは34.9、2回目済みは7.6まで下がる。ワクチン接種を済ませば、感染率は10分の1以下にまで下がるということだ。

 日本の場合、ワクチンは4人中3人までが打ち終わっており、感染率が高いのは残りの4分の1だ。これを全国民でならすと、ワクチン接種を始める前と比較して、現状の感染率は7割減の30%まで下がっている。

 また、ワクチンには重症化率を下げる効果もある。10月の死亡率をワクチン接種開始前の5月以前と比較すると、これも10分の1に相当する9.7%まで下がっている。これを、未接種もいる全国民でならすと、重症化率は6割減の38%になる。

 ちなみに、重症者の死亡率は直近の数字では89%に上る。重症化したら、この病気は専用の薬がないので生還することはほぼ難しいため、重症化しないことが大事である。

 もちろん、ワクチンには賞味期限があり、接種後、いつまでも効くわけではない。この点についても、数字を算出することができる。

 未接種の人に対する2回目接種済みの感染率は最近悪化しており、8月6.0%、9月8.1%、10月12.3%、11月16.4%と月を追うごとに悪くなっている。ただ、これはあまり気にする必要はなく、「ワクチン接種歴別の新規陽性者」にある7.6%という数字を信じた方がいい。

 なぜなら、この間、集団免疫が機能し始め、感染率が以前の8%まで急減しているからだ。集団免疫の効果は、未接種ほど大きかったと捉えた方が的確な現状把握になる。

 メディアから流れるニュースはあくまでも二次情報で、一次情報に当たるのはアドバイザリーボードなどの資料だ。二次情報は必ずバイアスがかかる。自粛要請している国民の気が緩むと考えているのか、メディアには原則、楽観的な情報は流されない。

 これは、随分と国民をバカにした話だと思う。国民は現状を正確に把握し、どの施策が効果を出していて、どう行動したら安全な社会生活を取り戻せるかを真剣に考え、取り組んでいる。そのために、事実を正確に伝えてほしいだけだ。その内容は、私が専門家ならこう伝えると思う。

再評価すべき菅政権の功績

「ワクチン接種にご協力いただいたお陰で、日本国民は集団免疫を獲得し、感染率は以前10分の1になりました。ワクチンを未接種の方の感染率もこれによって大きく下がっています。これに加えて、ワクチンを接種いただいた方は新規感染率が未接種の方と比較して7.6%まで下がっており、これはダブルの効果があります。重症化率もワクチン接種で10分の1になっており、死亡者数も減っています。

 これら3つの相乗効果で、死亡者数は直近1週間(11/19~25)で日に1.6人まで下がりました。今後も、当面は下がることが予想されます。

 インフルエンザが年間3000人以上亡くなっている中、新型コロナははるかにそれ以下の水準に抑えられています。この状態を継続するためにも、これまで同様の感染防止対策は続けていただきたく存じますが、生活やお仕事はコロナ前の状態に戻していただいて構いません。

 現状では、ワクチン接種済みの方の感染率が上がってはいませんが、3回目のブースター接種の準備は進めています。集団免疫やワクチンの効果が薄れてきたことは数値で把握できていますので、ブースター接種が必要になった際には速やかにご対応願いたいと考えています」

 現在のコロナの感染状況はワクチン接種が最も効果的だったことは明らかだ。それを強力に推進したのは菅政権だった。

 マスクや手洗いなどの受け身の感染予防対策に終始していた私たちの状況を打開すべく、ファイザーの最高経営責任者(CEO)に直談判し、ワクチン担当大臣を任命し、毎日100万人という数値目標を達成し、結果を出したのである。

 ワクチンの効果は未知数だったかもしれないが、大事なのは自分たちができることの中で最良の選択をすることにある。それは、現時点でもワクチンしかない。これによって、最悪の5月には2819人の死者を出していた状況が、日に1.6人まで激減しているのだ。

 このワクチンの施策の速やかな実施が少なくとも数千人の命を救ったことは間違いない。その尽力には一国民としてお礼を言いたい。確かに、菅首相への不満を持つ方もいるかと思うが、公約の「国民のために働く内閣」の爪痕の一つとして、コロナ対策の的確な対応は記憶されてもいいと考える。

 現在、世界を揺るがしているオミクロン株の感染の強さは明らかになっていない。ワクチンの効果を減じるほどの感染力を有している場合、再び感染者が増大する可能性はもちろんある。だが、日本における新規感染者の急減がワクチン接種に伴う集団免疫の獲得と分かった以上、打つべき対策も明らかだろう。これ以上、いたずらに危機をあおるのはやめていただきたい。

 ◇

 確かに危機を煽りすぎるのはまずいとは思いますが、マスクや換気などの感染予防対策、そして沖氏の推奨するブースター接種は、オミクロン株の感染爆発をおさえる決め手になると思いますね。

 それに何より国内に変異株を持ち込ませないことも重要。入国管理の徹底は必要不可欠でしょう。南アフリカが不満を述べているようですが、日本国民のためには、臆せずとり進めていただきたいと思います。

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2021年11月29日 (月)

戦後の韓国はなぜ世界の最貧国だったのか? 活用されなかった日本の資産

83795d25  「漢江の奇跡」と言う言葉を韓国人はよく使います。1965年に締結した日韓基本条約を締結後、日本は韓国に無償3億ドル、有償2億ドル、民間借款3億ドルの合計8億ドルの経済援助を韓国に与えています。これがその奇跡の大きな母体になったのですが、韓国は国民にその詳細を開示せず、独力で奇跡を起こしたと喧伝しました。

 それまで韓国は世界の最貧困国だったのです。国内総生産 (GDP) はあの北朝鮮をも下回っていました。なぜそうだったのか、在韓ジャーナリストの藤原修平氏がJBpressに寄稿したコラムから紐解きます。タイトルは『戦後の韓国はなぜ貧しかったのか? 活用されなかった日本の資産 「帰属財産研究」で明かされた韓国政府の「でたらめ」な管理』(11/28)で、以下に引用して掲載します。

 ◇

M83032351515_4  爽快な一冊と言うほかはない。『帰属財産研究』(李大根著、文藝春秋、2021年10月発行)は、それまで視界を遮っていた濃霧がすっかり消えたような読後感だった。

 終戦により朝鮮半島から引き揚げた日本人が現地に残した莫大な「帰属財産」は、その後、十分に生かされなかった。これまで誰も語ろうとしなかったその真実を、沈着冷静に剣を振り下ろすかのような鋭利な分析力で明快に解き明かしている。

 韓国で暮らしているとそんなことは小耳にも挟まない。それどころか、「私たちは解放後、本当に貧しかった」という話が、神話のように延々と語り継がれ、だから日本支配が悪かったんだ、と言うのだ。

潤沢だったはずの日本資産

 著者の歴史学者、李大根(イ・デグン)が本書に取り掛かろうとしたのは、韓国戦後史のこうした固定観念に対して疑問を抱いたからだ。まずこの著書では、日本の台湾・朝鮮統治の特殊性が指摘される。

 西洋列強の植民地支配と大きく異なるのは、日本はこれらの地域のインフラを整備して産業化を極めて積極的に進めた点だ。資料を見てみると、戦後に引き上げていった日本人は財産をすべて処分したわけではない。それどころか朝鮮半島の各地には、日本が統治時代に築き上げた近代的な建造物やインフラに満ち溢れていたはずなのだ。

 監訳者の黒田勝弘(産経新聞ソウル駐在特別記者兼論説委員)もまえがきで触れているが、1951年から14年もかかった日韓国交正常化交渉のなかで、そうした資産をめぐる「日本側の請求権」が問題になっていた。日本資産はそれほど膨大な額に及ぶ。

 本書はまず、解放直後どころか1960年代に入るまでの韓国は、日本統治時代からの「高度な工業化と経済発展」の延長線上にいたと指摘する。そしてそれをあえて無視した「世界最貧国」という、韓国が自国に対して抱き続ける固定観念こそ、そうした事実への「全面的な無知の所産であり、言語道断」だと切り捨てる。

 では、潤沢だったはずの日本の資産は、いったいどのような扱いをされたのか。

 解放後、まずはアメリカの軍政がすべて接収して、一部小規模のものを韓国の民間人に払い下げるなどしたのち、残る大部分を1948年に成立した大韓民国政府が譲り受けた。だが米軍政にしても韓国政府にしても、膨大な帰属財産の管理が実に杜撰であった。そのため活用が不十分で、その状態が朴正煕政権の成立時点まで継続する。本書の読みどころは、その全容が数々の資料をもとに暴き出されていく点である。

韓国政府の「でたらめ」な管理体制

 詳細はご一読を乞うのだが、米軍政の場合は「米国式の理想主義に偏りすぎて韓国の実情に合わない非現実的な政策を追求したり、確固たる原則や一貫した方針もなく」管理していた。

 これは大韓民国初代大統領の李承晩(イ・スンマン)の姿勢と重なっている。李承晩は「米国式の自由企業主義に対する確固たる信念を持っていた」うえに、帰属財産の譲渡を受けた際に、アメリカと「帰属財産の引き受けと管理を行う別途の機構を設置することで合意」したのにそれを履行しなかったのだ。

 もちろん、アメリカは痺れを切らして韓国側に抗議する。だがその後も、「でたらめ」で、いわばだらだらとした管理体制が続いていく。

 帰属財産を効果的に活用したのが、日本式の経済構造を積極的に取り入れた朴正煕(パク・チョンヒ)政権であった。だがそれ以前の韓国政府は、自分の政治的イデオロギーに侵されて、本来活かせるはずの産業資産を、活かすことができなかった。それが成立直後から60年代初頭までの韓国政府の失態であったのだ。

 ここで紹介したのは、ごく一部でしかない。本書を紐解けば、米軍政が帰属財産の扱いでいかに手をこまねいたか、そして、引き継いだ韓国政府がそれをいかに蔑む資材として見ていたか、そのうえ、それを取り巻く韓国社会がいかに利己的で自分たちの利益に固執していたか、が手に取るようにわかってくる。

「開港前の未開社会」に戻りかねない

 そしてもうひとつの醍醐味を最後に挙げておくと、元々は2015年に韓国で発行された本書は、まるで大統領選挙を控えた今現在の韓国を物語っているようにも思えるのだ。日本との関係改善を政策の前面に押し出す尹錫悦(ユン・ソギョル)氏と、日本統治時代の痕跡を全て消し去ろうとする李在明(イ・ジェミョン)氏。

 李氏は、日本統治時代に入ってきた日本語由来の韓国語を別の言葉に代えようと躍起になっている。先日も「産婦人科」という名称は「日帝の残滓」であるから「女性健康医学科」に健康すべきだと発言している。

 国境を越えた関係を築くべきグローバル時代において、まったく逆行する話だ。そういえば、最近は法律用語を変えようという動きもあると聞いている。

Ol01  これを予言するかのように、本書の最終章の最後には、次の言葉が置かれている。

〈ひと言でいって「言語民族主義」の極致である。専門的な学術用語は言うまでもなく、法律、行政、経営、技術などの分野での専門用語が日本式表現であるからといって「使用不可」のレッテルを貼ったとすれば、結果はどうなるであろうか。恐らく韓国は、再び1876年の開港前の未開社会に戻るであろう。〉

 ◇

 その未開社会から韓国を救った日本の統治を逆恨みし、戦後も未開の延長線上の「帰属財産」の杜撰な管理により、世界の最貧国にあえいでいたにもかかわらず、日韓基本条約を元にした日本からの大枚の資金を、国民に伏せて利用して「漢江の奇跡」を自身で成し遂げたと、自慢する韓国。なんとも浅はかで卑しい態度なんでしょう。

 自身では全く統治できなかった未開の国を、日本が大枚の投資をしてインフラを整備し、法制度を整え、産業を発展させ、教育を振興させたことは、今どれだけの国民が知っているのでしょうか。中国の言論統制ほどではないにしろ、韓国もまた親日的な言論はかなり強固に封じられています。この未開の国が開国するのは、果たしていつになるのでしょうか。

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2021年11月28日 (日)

木下富美子都議の「辞任劇」のウラに見え隠れした、小池都知事の「思惑」

8_20211128101301  今回はあの世間を騒がせた、無免許運転で人身事故を起こし、議会から議員辞職勧告を受けてもなお、議員の席を居座り続けた木下富美子元都議を取り上げます。その元都議が今月22日突然辞職しました。その裏には何があったのでしょうか。そしてこの都議のもたらした行動は、どう見たらいいのでしょうか。

 そのあたりの事情を、政治ジャーナリストの安積明子氏が、現代ビジネスに寄稿したコラムから引用します。タイトルは『木下富美子都議の「辞任劇」のウラに見え隠れした、小池都知事の「思惑」 民主主義の根幹を揺るがす問題だ』(11/24)です。

 ◇

突然の辞任の裏にいた小池都知事

7月の東京都議選中に無免許運転で人身事故を起こした木下富美子元議員が、11月22日に辞職した。この間、木下元都議は都民ファーストの会から除名され、都議会から7月と9月に2度の議員辞職勧告を受けている。

さらに議長から3度の召喚状をも送られた。議員辞職勧告や召喚状には法的拘束力はないが、地方自治法第137条は「普通地方公共団体の議会の議員が正当な理由がなくて招集に応じないため、又は正当な理由がなくて会議に欠席したため、議長が、特に招状を発しても、なお故なく出席しない者は、議長において、議会の議決を経て、これに懲罰を科することができる」としており、木下元都議が召喚に応じないままでいれば、「除名」を含めた懲罰を受ける可能性があったのだ。

しかし木下元都議はそれを避けるかのように11月9日に登庁し、午後1時からの公営企業委員会に出席する予定でいた。三宅しげき議長には「償うべき罪は償った上で、議員活動の中で結果を出していきたい」と述べ、議員辞職するつもりがないことを明らかにした。

だが説明責任を果たさない木下元都議に反発する理事らが理事会を退席し、同委員会は深夜に流会になった。この時、木下元都議は「説明の機会は改めて持ちます」とうつむいたまま記者団に答えている。

だが説明する場として設定された18日の議会運営委員会は、前日午後に木下元都議からメールで欠席を伝えられたため開かれず、24日に延期された。それなのに22日にいきなり議員辞職が発表されたのはなぜなのか。その背後に木下元都議を都政に誘った小池百合子都知事の姿が見えてくる。

都知事に「引導」を渡された

「小池都知事とお話をする機会を得ました。『ここはいったん退いて、今回の交通事故の解決に専念したらどうか、人生が終わるわけではない』との助言いただき、『今回の不祥事を反省し、再出発する時には相談に乗る』とのお話をいただきました」

22日の会見で木下元都議は、小池知事と10月中旬から連絡を取り、同日午後に面談したことを明かしている。その小池知事は体調不良のために10月27日から11月2日まで入院し、テレワークを経て11月21日に都庁勤務に復帰したばかりだったが、この時「自らが出処進退をただしていくことについて、彼女自身が決することを私は確信しているところ」と述べて木下元都議の辞職を暗示した。

というのも、都議会内外で小池知事の「製造物責任」を求める声が高まっていたからだ。とりわけ木下元都議が議会を欠席しているにもかかわらず、議員報酬が満額支払われていることに疑問を抱く都民は多い。また12月1日まで都議でいれば、12月10日に204万5022円のボーナスが満額支払われる。小池知事はその前に木下元都議問題に決着を付けなければならなかった。

もっとも木下元都議の辞職が早すぎてもいけなかった。選挙日から3か月以内に議員を辞めれば、次点の自民党の候補が繰り上げ当選となってしまう。だからこそ、「10月中旬から連絡のしあい」となったのではなかったか。

「虐め」と言えるのだろうか?

なお22日の会見で木下元都議は辞職決断の理由を「齢85歳になる父親の安全が脅かされる事態となったため」と述べたが、「再出発する時には相談に乗る」という小池知事の言葉こそが辞職決意の決め手となったに違いない。

そう感じたのは、木下元都議は会見で自分が取り組んできた業績を述べるなど、いまだ議員の地位に未練たっぷりの様子だったからだ。

さらに木下元都議の弁護士は、11月9日に公営企業委員会が開催されなかったことを「虐め」と述べて批判した。木下元都議を“けなげな悲劇のヒロイン”にしたてあげるストーリーを作り上げるつもりだったのだろうが、これはかえって反感を生んだ。「まずは事件に対する木下元都議の説明が先だ。議会としては木下元都議がきちんと説明しないままで、委員会に出席させられるはずがない」と、自民党の川松真一郎都議は憤る。

そもそも木下元都議が本当にけじめをつける決意だったかどうかは、会見からは伺えなかった。都議選で再選した7月から受領した3か月分の給与については「東京都選管と相談してNPO法人など団体に寄付した」と主張するが、「相手のプライバシーの問題がある」として寄付先を明らかにしていない。また10月分以降の歳費やボーナスについても、木下元都議は「満額を寄付する」とは述べなかった。

民主主義の根幹を揺るがす問題

こうしてみると木下元都議のケースには、不祥事を起こした議員に関する問題がてんこ盛りであることがわかる。まずは「不祥事を起こした議員が、報酬等を受け取ることの是非」だ。10月31日に当選した衆議院議員が「わずか1日で100万円の文書通信交通滞在費が支払われた」ことが問題になった例を引くまでもなく、おカネに関する有権者の目は厳しさを増している。

国政では今年8月、当選無効の場合は歳費の4割を返還する歳費法改正案が自公で合意された。2019年の参議院選で広島県選挙区で当選したものの、2021年2月に当選無効となった自民党の河井案里氏のケースがきっかけだ。

多くの地方自治体ではいち早くこの種の条例が作られており、大阪市では市議が被疑者として拘束された場合に議員報酬の支給を停止し、佐賀県嬉野市や千葉県八街市などでは長期欠席した議員の報酬を削減することになっている。都内でも新宿区や港区などで同様の場合に議員報酬を削減する条例があるが、東京都には存在しない。

さらに不祥事を起こして議会の信頼を傷つけた議員が、辞職せずに任期中に名誉挽回することができるのかという問題もある。いったん傷つけられた名誉や信頼は回復することは難しいが、民主主義の観点から有権者が選出した議員に最高の尊重をもってその地位の確立が図られている。除名が困難であることはその証左だが、それを奇貨として不祥事を起こしながらもその座に居座る口実とすることは不可能ではない。

民主主義では有権者の信託を受けた議員について疑念を抱かないのが原則だが、その信託を裏切ることは民主主義を貶めることに他ならない。もし木下元都議がそれを十分に自覚していたなら、問題はこれほど大きくなっただろうか。

 ◇

 小池知事が、何らかの形で辞職を後押ししたのは間違いないでしょう。『ここはいったん退いて、今回の交通事故の解決に専念したらどうか、人生が終わるわけではない』、『今回の不祥事を反省し、再出発する時には相談に乗る』、と言う助言で決意したのでしょうが、そもそもこの手の元議員が、不祥事を本当に反省するのか疑わしいし、また有権者も普通であれば二度と投票をしないでしょう。やめさせるための方便と取っていいかもしれません。批判の矛先が回ってくるかも知れない自分のためにも。

 議員の不祥事は国であれ、地方であれ少なからずありますが、多くは選挙違反や収支報告書の違反など、お金に絡む不祥事が多い中で、この例のように交通違反が原因の例はあまりないでしょう。しかも無免許運転で摘発された回数が7回とその数字も異常です。世間の常識を逸脱しています。

 ただなぜ違反歴の多いこの人が立候補できたのか、都民ファーストの会の公認をとれたのか、そしてなぜ投開票翌日に選挙期間中の無免許運転が報道されたのか、謎は残ります。

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2021年11月27日 (土)

体験者が語る「被害者視点で展開される韓国の歴史教育」の実態

R1280x720l  韓国と言えばまず浮かぶのは「反日、抗日、侮日」という言葉です。そして「歴史捏造」、それを元にした「謝罪要求」などなど。「隣国同士は大抵ギクシャクするもの」、と言われますが、それにしてもこの韓国の「反日」は異常です。日本の「嫌韓」もそれに連れて、あることはありますが、韓国と比較すれば微々たるものでしょう。

 このブログでは、過去に何回も韓国の歴史認識の異常さと、悪意ある捏造・作為を述べてきました。もう余り取り上げたくないのも事実です。なぜなら気分が悪くなるからです。しかしだからと言って、この状況を放任はできません。と言うことで久しぶりの韓国の話題を取り上げます。

 韓国人と結婚し韓国企業の東京支社に勤務する石井友加里氏が、JBpressに寄稿したコラムにその一端を見ます。タイトルは『子供の授業を見て驚いた、被害者視点で展開される韓国の歴史教育 歴史の授業で両国のはざまに苦しむ日本と韓国の血を引く子供たち』(11/27)です。

 ◇

 日本人と韓国人の間に生まれた子供を持つ親であれば、一度は悩んだことがあるであろうテーマが韓国での歴史教育ではないだろうか。小学校高学年の子供を公立の学校に通わせている筆者は、何度か韓国式の歴史教育に違和感を持つ機会があった。

 韓国での歴史教育には、民族の自尊心を育てる意図が強く感じられる。特に、二度にわたる日本による侵攻の歴史が詳細まで教えられている。また、史実を時代背景や状況から広角的、かつ客観的に教育するのではなく、被害者視点で展開されている点が特徴だ。

 歴史認識は、国民のイデオロギーを形成し現在の国政や外交にも影響を与える。

 韓国では、日本による侵略の歴史を授業の研究課題として扱うこともあり、感性豊かな子供たちが虐げられた歴史を、より自分ごととして捉えやすい。韓国在住の筆者が身近に感じた違和感について、子供の教育視点から解説しよう。

1.幼少期から「独島は我が領土」

 韓国の知識人や市民団体、政治家は、日本は侵略の歴史を歪曲していると批判する場面がよく見られる。しかし、第二次世界大戦に敗戦した日本では、「戦争の悲劇を二度と起こすまい」という決意のもと、平和主義がすり込まれている。

 筆者にとって驚きだったのは、韓国による竹島の領有権主張とその方法だ。

 竹島は、戦後処理が行われたサンフランシスコ平和条約で日本の領土とされたが、韓国では幼稚園児も「独島は我が領土」と主張し、国際社会の判断を無視している。極めて複雑な問題であるのに、韓国は警備隊を配置して竹島を占拠し、国民は幼い内から楽曲「独島は我が領土」を習う。お遊戯会の定番でもあるこの曲に合わせて幼児は楽しそうに踊るのである。

 2021年11月12日、SNSやネットを通じて海外に韓国の広報活動を行う誠信女子大教授は、島根県庁の竹島資料室に日本の大学生の解説者を置いたことに言及し、「島根県は純粋な大学生に間違った洗脳教育を行い、解説者に動員するという愚かなことをしている」と批判した。「開いた口が塞がらない」と言えばそれまでだが、韓国ではこのような独自の歴史観が正義とされている。

 ちなみに、日本はこれまで3回、領土問題に関して国際司法裁判所に付託することを提案しているが韓国側によって拒否され、竹島問題の解決の見込みは立っていない。それとは関係なく韓国著名人の島上陸や光復節のイベントなどが行われ、韓国人の自尊心を象徴するシンボル的存在となっている。

2.韓国の小学校社会科教科書の実態

 1980年代から、日本の歴史教科書の歪曲について中韓から指摘されるようになった。ただ、スタンフォード大学が実施した日本、韓国、中国、台湾、米国の高校の歴史教科書の比較研究(2012)によると、日本の教科書は他のどの国の教科書よりも、戦争を美化したり愛国心を強調したりすることなく抑制された論調で書かれているという。

 一方で、韓国の教科書では日本の支配下での民族の辛い経験と抵抗、独立の歴史を中心に描かれており、当時の世界情勢や背景についての言及は見当たらないそうだ。周辺国への配慮と二度と戦争を繰り返さない決意、平和主義を教えるために慎重に編纂されたのが日本の教科書なら、その真逆を行くのが韓国の教科書と言えるだろう。歴史が被害者視点でつづられていることはそれを如実に表している。

竹島ポスターに登場した安重根のビックリ顔

 筆者の手元にある小学5年生の社会科教科書を例にしても、やはり日本による統治時代に行われた抵抗運動の様子や、独立思想などに焦点が当てられている。豊臣秀吉の朝鮮出兵に際しては、朝鮮の英雄、李舜臣(イ・スンシン)将軍をテーマに数ページにわたって記載されている。どんな人物であったのか、またどのようにして日本軍に勝利したかという話が、戦法や武器など絵とともに解説されている。

「李舜臣将軍についての考えを友達と交わそう」という課題も提示されていた。あえて深く掘り下げることはしないが、児童の間では日本の蛮行を非難し、抗日の偉大な英雄を称える会話が繰り広げられるだろう。

 朝鮮総督府の前身である韓国統監府の初代統監、伊藤博文に関しても同様だ。民族運動が過激化する中で暗殺を成功させた独立運動家の安重根(アン・ジョングン)が英雄視されている。

 教科書には「安重根義士が正しいことをしたのに死刑にされた理由は何でしょう?」と問いかけがあった。

 韓国のサイバー外交使節団、VANK(バンク)は、独島の日に向けたキャンペーンポスターに、安重根をはじめとした活動家たちの写真を加工したポスターを作成した。

 活動家たちが驚いた表情でスマートフォンを眺めるポスターで、「竹島?日本?」と文字が入っている。広告制作者によると、過去の活動家のように、国を守る意味合いを込めて独島は韓国の領土だと具体的に提示したそうだ。安重根と竹島問題は全く因果関係がないが、韓国のナショナリズムで一括りにすれば腑に落ちるわけだ。

慰安婦問題の解決を妨げたと言われるあの団体

 元従軍慰安婦問題に関する記述にはこのようにあった。

「日本は、1993年に日本軍による慰安婦の事実を一部認め、謝罪したが、これを撤回する言動が続いている」

 これは韓国の一般人や言論からもたびたび指摘される意見であるが、疑問が残る。補足説明がないからである。いくら小学生向けの教科書でも、何をもって日本が謝罪を撤回する言動が行われたのかを記載すべきだろう。子供が歴史について何も分からないまま受け入れ「日本を謝らない国」と認識する危険性を秘めている。

 1993年といえば、日本政府が河野洋平官房長官による談話で元従軍慰安婦被害者に対して謝罪した年である。その2年後には「女性のためのアジア平和国民基金」が設立されている。韓国を始め、台湾、インドネシア、フィリピンなどの日本軍による元慰安婦被害者に対し、謝罪と基金が渡されることになった。

 しかし、韓国側の対応は日本の期待とは相反した。基金に反対した市民団体によって償い金を受け取った慰安婦は批判されたのだ。この時の慰安婦支援団体の挺対協(後の「正義連」正義記憶連帯)は、2015年に結ばれた「慰安婦問題の最終的かつ不可逆的な解決」である日韓合意にも反対している。

 文政権も、2018年にこの慰安婦合意を反故にした。日本が約10憶ウォン(約1億円)を拠出し、慰安婦1人につき1億ウォン(約1000万円)を支給しようとした「和解・癒し財団」は解散され、拠出金は返却されていない。

 ところが、後に慰安婦支援団体の汚職が明るみに出たことで、流れが変わってきた。ソウルの日本大使館の前で、長らく日本政府に抗議する水曜集会を独占的に実施してきた正義連の代表は、慰安婦たちを守る立場でありながら、寄付金や補助金を横領した罪で元慰安婦から告発された。

 以上の事情から、元慰安婦問題に関して日本政府ができる限界は既に超え、韓国国内の問題と捉えることができる。実際、韓国国内には「正義連が慰安婦問題の解決への道を妨げてきた」という批判もあり、一部の市民団体が団体の解体を主張するデモ活動を行っている。

 もっとも、事情や背景を省略する傾向のある韓国の歴史教育では、「慰安婦問題が解決しないのは日本がきちんと謝罪を行っていないから」が通説となっている。

歴史教育のはざまで苦しむ日韓両国の血を引く子供たち

3.傷つく日韓両国の血を引く子供たち

 韓国の歴史教育の被害を受ける子供もいる。日韓両国のアイデンティティを持つ子供たちだ。民族の自尊心と抗日イデオロギーを教える韓国の教科書を読むと、自然と韓国視点の歴史を学ぶことになり、事実を広い視点で考察する機会が失われる。

 その結果、韓国の小学生が日本人に嫌悪を抱くのは当然のことで、残酷な子供は身近に日本出身者や日本にルーツを持つ同級生に矛先を向ける。筆者の子供も、何度か学校で言いがかりをつけられ困ったことがあった。友人の日韓ハーフの子供は、歴史の授業で号泣したこともあったそうだ。

 こんなこともあった。筆者の子供が「読書論述」(※読書と感想文の書き方を習う課外授業)教室に参加した時に、課題図書を見て血の気が引いた記憶がある。児童向けの図書としていたが、日本の統治下で日本人に迫害された朝鮮人の話で、生々しい描写が多く子供にふさわしい内容とは思えなかった。

 歴史は教えるべきではあるが、何も知らない子供にその図書を読ませる意図は何だろうか。嫌悪感から受講をやめさせたが、そのような教育が現在進行形であることが非常に残念だった。

4.韓国人の間で日本ブームが再来

 そのような愛国主義的な韓国の歴史教育と、韓国の市民生活は無関係である。それはそうである。70年以上前の歴史と、今を生きる人々に関係はない。

 韓国の子供たちは日本のアニメやゲームを日常的に楽しみ、若者は寿司屋やカウンター式の懐石店の前で行列するのが最近のトレンドだ。学校の授業の際に冗談まぎれで日本の悪口を言いながら、日本のアニメキャラクターや任天堂スイッチに夢中である。

 最近日本ブームが再来し、2019年の反日不買運動で売り上げが半減したユニクロが黒字に転じている。デザイナーコラボアイテム「+J」の発売日には若者が店舗前に行列を作っていた。

 また、コロナ禍で日本旅行ができなくなった韓国では、日本風の旅館が密かに日本好きの間で流行っている。他にもドラマの撮影セットだった京畿道東豆川市には、日本の京都を彷彿させる雰囲気が若者を中心に人気を博している。

韓国式ナショナリズムの限界

 一方で、共に民主党の次期大統領候補は反日的な意見を展開している。「侵略国家、日本が分断されるべきだった」「日本を超える」「日本は常に信用できる完全な友好国か」などの発言を繰り返している。筆者は、抗日姿勢の政治家や知識人の主張と、一般市民の肌感覚には広い乖離を感じずにいられない。

 2022年3月に選出される大統領によっては、歴史問題を材料に今よりも日韓関係が悪化するかもしれない。その代償は日本や韓国の富裕層ではなく、韓国の一般市民が払うことになるだろう。

 歴史教育によって韓国式ナショナリズムが形成されていても、反日に辟易した国民が使い古された手段で再び盛りあがるだろうか。先を予測することは難しいが、筆者は時代錯誤のような気がしてならない。

 ◇

 子供の教育の中身は、学校であれ家庭であれ、まだ真っ白な頭の中にどんどん入り込んできます。私の子供の頃には親や学校の先生から、「嘘をつくな」「人に迷惑をかけるな」と教わってきました。ですから今でも「嘘」は嫌いですし、「人迷惑」な行為には怒りを感じます。

 この韓国の教育は、ついてはいけない「嘘」を教えているのです。そして隣国日本に多大な「迷惑」をかけているのです。そして子供の頃からすり込まれたこの「嘘」を政治家は利用し、ナショナリズムを煽って日本を悪者にし、ゆすり、タカリを続けているのです。与党「共に民主党」の次期大統領候補、李在明氏はまさにその人でしょう。

 「隣国同士は大抵ギクシャクするもの」ですが、この隣国は共にギクシャクではなくて、一方的に誹謗中傷を繰り返しているのです。ですから日本は、「友好」などと絵空事を考えるのではなくて、韓国がそうであれば日本も同様に対応すればいいのです。ましてや75年以上前のことは、既に条約等で解決済みなのですから。

 仮に李在明氏が大統領になり、日本を誹謗中傷しようとすれば、人、物、金の交流をストップすると言えばいいでしょう。困るのは韓国の方ですから。

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2021年11月26日 (金)

北京五輪「全面ボイコット論」も浮上、日本はどうする?

7_20211125143201  ウイグルの民族弾圧問題に続き、女子テニス選手・彭帥氏の告発問題も重なり、民主国家を中心に、中国の冬季オリンピックへの不参加を検討する国が増えています。

 多くは各国政府要人の不参加への検討表明ですが、一部に、選手の不参加も主張する元高官も現れて、大きな広がりを見せ始めています。zakzakが公開したコラムにその状況が記述されています。タイトルは『北京五輪“全面ボイコット論”浮上、日本はどうする? カナダで強硬な主張「選手が人質になる」 日本は政治家も外務省も方針あいまい』 (11/25)で、以下に引用して掲載します。

 ◇

 来年2月の北京冬季五輪・パラリンピック開幕まで2カ月余り。中国の人権弾圧を理由に米国や英国が「外交的ボイコット」を検討するなか、共産党幹部から性的暴行を受けたという女子テニス選手、彭帥(ほう・すい、35)の告発も影を落とす。国際オリンピック委員会(IOC)は火消しに躍起だが、カナダでは全面ボイコット論も出始めた。日本はどう向き合うべきか。 

 ************

 北京での冬季五輪は2015年に招致が決まったが、新疆ウイグル自治区や香港での人権弾圧、台湾の防空識別圏(ADIZ)への侵入など、ホスト国の中国による強権的姿勢が批判を集めた。

 ジョー・バイデン米大統領やボリス・ジョンソン英首相は首脳や政府使節団を送らない「外交的ボイコット」を検討すると明かし、欧州連合(EU)欧州議会も人権状況次第で政府代表らの招待を断るよう加盟国に求める決議を採択した。

 中国外務省の趙立堅報道官は今月22日の記者会見で「騒ぎ立てても、各国のスポーツ選手の利益を害するだけだ」と反発。23日にはロシアのウラジーミル・プーチン大統領が開会式に出席する方向で調整していると明らかにした。

 より強硬な主張も出ている。カナダ紙グローブ・アンド・メールは23日、米英両国が検討している外交的ボイコットでは、派遣選手を中国の「人質」とする危険にさらしかねないため、全面ボイコットにするべきだとするカナダの元外交官、エリック・モース氏の論評を伝えた。モース氏は1980年のモスクワ五輪ボイコットに関わった経験を持つ。前年の旧ソ連のアフガニスタン侵攻をきっかけに米国がボイコットを呼びかけ、カナダのほか日本も選手を送らなかった。

 国際的な批判とは裏腹に、IOCは中国に近い立場をとる。トーマス・バッハ会長は、消息不明とされる彭帥とビデオ通話を行ったと発表したが、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)は「中国政府のプロパガンダに加担するな」とIOCを批判する声明を発表した。

 スポーツライターの小林信也氏は「(ナチス政権下の)36年ベルリン五輪やモスクワ五輪が開催されてきた歴史を振り返れば、IOCが人権を尊重する立場に立った過去はほとんどない。中国のスポンサーから支払われるチャイナマネーの存在も指摘されるが、スポーツ文化を支配してきたIOCの体質は中国共産党と親和性が高い印象も受ける」と指摘する。

 日本の態度はまだどっちつかずだ。岸田文雄首相は19日、バイデン政権の外交的ボイコット検討を受けた政府対応について「日本は日本の立場で考える」と述べるにとどめた。

 林芳正外相は、中国の王毅外相と18日に行った電話会談で訪中の招待があったと明かしたが、自民党の佐藤正久外交部会長は24日、外交部会などの会合で「(林氏の訪中は)間違ったメッセージを海外に出すことになる」と強調した。

 軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏は「日本経済は中国への依存度が高く、企業は対中強硬姿勢をとることで関係が悪化することを恐れている。自民党も企業の反発を無視できない党内力学が働いているのではないか」と分析する。

 政治家だけでなく、外務省の外交方針もあいまいな態度の背景にあると黒井氏はみる。

 「外務省には、厳しい態度を取るよりも融和的な外交を志向する伝統のようなものがある。米国からはボイコットを求める圧力がかかるだろうが、外務省はそっとしておきたいのが本音だろう。最終的には岸田首相自身がきちんと意思表明することが求められるのではないか」

 ◇

 岸田首相は果たしてどういう意思表示をするのでしょうか。少なくとも自身が推挙した林芳生外相は、かつて日中友好議員連盟の会長を務めており、任期中には「中国のコロナ対策や経済成長の成果を積極的に評価し、北京冬季オリンピックに協力し、両国の世論基盤を改善して、友好事業を絶えず新たに発展させ、良好な雰囲気で2022年の日中国交正常化50周年を迎えたい」と述べていることから、急に北京冬季オリンピックをボイコットするとは言えないでしょう。

 その外相の意見を全く無視して、岸田首相が要人派遣を断るかどうかは難しい選択だと言えます。そこで「日本は日本の立場で考える」と、いったん述べておいて、米英などの出方を窺っているのでしょう。

 何れにしても、中国に経済面の多くを牛耳られている日本にとって、中国に忖度せざるを得ない状況なのは分かりますが、中国からの経済的独立を図りながら、覚悟を持った外交を進めていかなければ、頼りにする米国からも、他の民主国家からも、日本は異なる存在だと、思われかねないリスクは大きいと思います。

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2021年11月25日 (木)

中国恫喝ラッシュにも不屈 盛況だった日台交流サミット

Wbzg6epa45jyjka7now3mchx6m  南シナ海や東シナ海における、中国の習近平政権による現状変更の試みが増す中、そのもっとも大きな試みは台湾の統一にあると思います。習近平国家主席ははっきりとその意向を口にしています。

 台湾有事においては、日本もその影響を間違いなく受けます。在日米軍は何らかの対応を示すでしょうし、日米同盟の関係上、当然自衛隊の出動も必要とされるでしょう。その前哨戦とも言える、米中の軍事訓練のさや当てが激しくなってきています。複数回に及ぶ米軍の訓練には、英仏豪に加えて自衛隊も参加しています。

 そうした中で日台交流サミットが神戸で開催されました。産経新聞が伝えています。タイトルは『中国恫喝ラッシュにも不屈 盛況だった日台交流サミット』で、以下に引用して掲載します。

 ◇

台湾の国際機関への参加をめぐって中国の圧力が強まる中、今月12日に神戸市で開かれた「日台交流サミットin神戸」開会前に、駐大阪中国総領事館の職員を名乗る人物から、主催者らに対し、中止要請などの電話が複数回あったことが分かった。中国側の圧力といえるが、今回で7回目となる同サミットは中止に追い込まれるどころか、過去最多の約510人が参加。中国側の圧力によってむしろ参加者は増えたという。

「ツイッターを見た」市議名指しの恫喝

「台湾は中国の一部であり、内政干渉だ」

複数の神戸市関係者によると、10月中旬、「中国総領事館の主任クラス」と名乗る人物から、市長室にこんな内容の電話があった。同市議会が、同月25~29日に兵庫県姫路市で開催された世界保健機関(WHO)西太平洋地域委員会への台湾のオブザーバー参加を実現するため、必要な措置を講じるよう国に求める意見書を全会一致で採択したことに対する抗議だ。

この際、その人物は「日台交流サミットin神戸」にも触れ、中止を要請。この電話の件は市長室から市議会に伝えられた。同様の電話はサミット直前の今月11日にもあり、神戸市当局のサミット参加を控えるよう求めたという。

「圧力めいた行為は今回だけではない」。同サミット実行委員会事務局長で全国日台友好議員協議会の副理事長も務める上畠寛弘・神戸市議はそう明かす。昨年3月、同市議会が台湾のWHOなどへのオブザーバー参加を求める意見書を採択した際も、総領事館の副総領事を名乗る人物から市役所に電話があり、「上畠氏のツイッターを見たのだが」と断った上で市議会を批判したという。

「確かに、意見書採択についてツイートしたが、そんなことはほかの公開情報でも分かること。わざわざ私を名指しするのは、『監視してるぞ』という恫喝(どうかつ)にほかならない」と上畠氏はいう。

大量の無言電話、リツイート、怪文書…

上畠氏は日常的にツイッターなどで日台友好に関する情報発信や中国批判を展開している。そのためか、周辺で不審な事象が相次いでいるという。

「私が何かツイートすると、必ず当日か翌日に非通知の電話が事務所にかかってくる。しかも立て続けに。出るとすでに切れているか無言というのがほとんどで、仕事にならない」

たまに通話できても、相手は名乗らず、いきなり「あなたがやっていることは間違っている」とたどたどしい日本語で切り出し、「何のことを言ってるのか」と問いただすと、「自分の胸に手を当てて考えてみろ」と一方的に話して電話を切る。

また、ツイッターで台湾や中国に触れるたびに大量の誹謗(ひぼう)中傷のリツイートがあり、「その多くが、ごく最近に取得したとみられるアカウントだった」。匿名の手紙や怪文書も多く、「さすがに『死ね』とか『殺す』とかの文言はないが、『アホ』『バカ』の類いばかり」という。

「電話もリツイートも怪文書も発信元は特定はできないが、いずれもツイート後に間を置かずに起きている」

サミットでは圧力が逆効果に

中国側からとみられる「圧力」にもかかわらず、今月12日に神戸市内のホテルで開かれた同サミットには、27都道府県の地方議員約360人、国内駐在の台湾関係者約60人など過去最多の計約510人が参加した。

同サミットに出席した台北駐日経済文化代表処の謝長廷代表は「日本人の熱い友情に感謝する」とあいさつ。日本と台湾の友好関係への圧力や主権に対するいかなる侵害も認めないなどとする「神戸宣言」を採択し、成功裏に終わった。

宣言の起草にかかわった上畠氏はこう総括する。

「中止要請があった後、当初からの参加予定者に加え、100人以上の地方議員が『圧力に屈してはならない』と新たに参加を表明してくれた。圧力が何の効果もないどころか、逆に日本人の魂を奮い立たせる結果となったことを、中国側も思い知ったのではないか」

 ◇

 かりに思い知ったとしても「中国の夢」を実現させるためには、繰り返し圧力を加えてくるでしょう。

 中国は台湾を、領土における核心的利益として取り上げ、習政権になって本気にその統一に取り組み始めています。同様に尖閣諸島も核心的利益としていますから、台湾同様、近い将来本気で奪いに来るでしょう。

 普通の民主国家であれば、他国が民族的、歴史的に近い関係であれば、友好国として対応するでしょうが、中国は違います。もともと共産主義というのは、他国を巻き込んでその勢力を増大させようとする、自己増殖的な性格があります。戦前にはアメリカや日本にも多くの工作員を送り込み、触手を伸ばそうとしました。

 ですから、台湾を自国に取り込み、香港のように共産党の管理下に置こうとするのは自然の流れかも知れません。しかし台湾国民にとっては、たまったものではありません。共産党の管理に反発する人は恐ろしい制裁が待っています。香港を見れば一目瞭然です。

 そうならないためにも民主国家が一丸になって、中国の台湾統一を阻止しなければなりません。これは台湾国民だけの問題ではなく、日本を始め民主国家の最大の課題の一つと言えるでしょう。

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2021年11月24日 (水)

中国テニス選手「失踪」は地政学的問題、北京五輪への災厄となる

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 中国のテニス選手と共産党幹部の不倫報道が、女子テニス協会やIOCを巻き込んで世界的な騒動になっています。テニス選手がSNSに投稿した後、行方不明になったことから、世界の注目を一気に集め始めました。

 その後、本人画像や映像が共産党系メディアから公開され、無事を伝えていますが、何処まで本当なのか疑惑は深まるばかりです。この件に関しNewsweek誌にクロエ・ハダバス氏が寄稿したコラムを取り上げます。タイトルは『中国テニス選手「失踪」は地政学的問題、北京五輪への災厄となる』(11/22)で、以下に引用して掲載します。

<共産党幹部の性的暴行を直接告発し、姿を消した彭帥選手。セリーナ・ウィリアムズ、大坂なおみらも擁護の声を上げ、中国は岐路に立たされている。11月21日には動画が公開されたが...>

中国人トップテニス選手の失踪騒ぎが地政学的問題に発展した。元ダブルス世界1位の彭帥(ポン・シュアイ、35)は11月2日、中国共産党幹部の性的暴行を告発。それ以来、消息不明になっている。

女子テニス協会(WTA)を含む世界のテニス団体は彭を支持。ほぼ全てのプロテニス選手も擁護に回っているようだ。

WTAが17日に受け取った彭のものとされるメールには、「家で休んでいるだけで、何も問題ない」と書かれていた。しかし、疑念は晴れていない。ツイッターでは「#WhereIsPengShuai」というハッシュタグがトレンド入りした。

彭は中国でのテニス普及に貢献したスター選手の1人。ダブルス選手として2013年のウィンブルドン選手権、2014年の全仏オープンで優勝した。2020年2月以降は試合に出ていないが、テニス関係者の誰もが彼女を気に掛けている。

中国のSNS、新浪微博(シンランウェイボー)への投稿で、彭は張高麗(チャン・カオリー)前副首相を告発した。それによると、張は彼女をテニスに誘った後、妻と共に自宅に連れ込み、性的関係を強要したという。

被害者とされる女性が共産党幹部の性的暴行を直接告発したのは、中国ではこれが初めて。♯MeTOO(私も)運動はまだ、党上層部には届いていない。

中国政府はこの件について、ほぼ沈黙を守っている。外務省報道官は外交問題ではないとして無視したが、検閲はすぐに始まった。

彭の投稿は公開後すぐに削除。SNSではこの投稿に言及する書き込みに加え、「テニス」や彭のイニシャルなどの関連キーワードの検索も制限された。

彭のメッセージとされるものには、不自然な部分がいくつもある。中国メディアが公開したスクリーンショットには、点滅するカーソルが映っており、彭以外の誰かが書いた可能性を示唆している。

WTAのトップ宛ての手紙なのに、「皆さん、こんにちは」と書かれているのも怪しい。

WTAのスティーブ・サイモンCEOは、このメールを彭のものではないと見なし、本人から直接話を聞きたいと語った。2022年中に10のイベントが開催予定だった中国からの撤退も辞さないとも述べた。

セリーナ・ウィリアムズ、大坂なおみ、ビリー・ジーン・キング、ノバク・ジョコビッチ、アンディ・マレーなど、テニス関係者の大半が懸念や擁護の声を上げている。「私たちの仲間、彭帥のニュースを聞いてショックを受けている。私たちは沈黙してはいけない」と、ウィリアムズはツイートした。

この問題で中国は重大な岐路に立たされている。国際的な選手や団体が、ビジネスより自分の価値観を優先しているのだから。これは「善悪に基づく判断」の問題だと、サイモンはCNNに語った。

北京は2022年冬季五輪開催を控えているが、既に新疆ウイグル自治区などでの人権侵害をめぐりアメリカの外交的ボイコットの可能性が出ている。

ウイグル人活動家などは五輪ボイコットを広く呼び掛け、共和党を中心にアメリカの政治家もこの問題について発言する機会が多くなっている。

「中国政府にとって迫り来る災厄」だと、人権団体・中国人権守護者のウィリアム・ニーはCNNに語った。「この問題を解決しない限り、冬季五輪が近づけば近づくほど、災厄は大きくなる」

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一方、IOC(国際オリンピック委員会)は例によって「静かな外交」の重要性を強調しただけだった(編集部注:11月21日には中国共産党系メディアの編集長が、彭が友人らと食卓を囲んでいるとする動画を公開。IOCは、彭とバッハ会長がテレビ電話で会話をしたと発表した)。

 ◇

 食卓を囲む動画も、バッハ会長とのテレビ電話の映像も、中国当局の手が入っているのは明らかです。編集や捏造の疑いも晴れてはいません。

 アメリカに続いてイギリスも、北京オリンピックへの要人派遣を見送る用意があると発表しました。WTAは中国の開催(中国オープンか)を見送る可能性も示唆しています。

 中国共産党による、こうした隠蔽や報道規制は、世界中の批判にさらされるようになっています。それでもなおかつ改めようとしないのは、ひたすら共産党を守ることが彼等の使命だからでしょう。

 中国に限らず、世界中の独裁国家はすべからく、治世の中心的課題はこうした自己防衛のためにあり、そこに住む国民は不幸のど真ん中にいる事になります。独裁権力を握りたい一部の人物がいる限り、これからもこういう状態は続いていくでしょう。残念なことです。

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2021年11月23日 (火)

「私は一度 “殺された”」 ウイグル族女性の証言

K10013348651_2111151859_2111152034_01_03  中国関連の記事が続きます。今回はNHKのNEWSWEBにアップされた記事からウィグル弾圧の実態を紐解きます。以前、在日ウイグル人へのインタビュー記事を取り上げましたが、今回は弾圧を受けたウィグル人の生の声です。タイトルは『「私は一度 “殺された”」 ウイグル族女性の証言』(11/16)で、以下に引用して掲載します。

「私は一度 “殺されました”。だから、報復は怖くありません」

こう話すのは、ウイグル族の女性です。

彼女は3年ほど前に2度、中国・新疆ウイグル自治区の施設に収容されたといいます。理由もわからず拘束されて拷問を受け、解放されるときには中国当局からは施設のことを口外しないよう脅しを受けたとも話します。

自治区には今も親族が残り、施設のことを話せば、当局から報復されるおそれもあるといいます。それでも彼女は、こう言い切ります。

「私は、決して沈黙しません」

(ワシントン支局記者 渡辺公介)

過酷な拷問

「あまりに過酷な拷問でした。一思いに殺してくれと、頼んだこともあります」

ウイグル族の女性、トゥルスナイ・ジヤウドゥンさん(43)は、中国・新疆ウイグル自治区の収容施設で受けたという拷問について、こう話しました。

2度収容され、3年前に解放されましたが、拷問で受けた精神的なショックから、しばらく悪夢にうなされ、突然叫び声を上げて起きてしまうこともあったそうです。夜になっても寝つくことができず、薬が手放せないともいいます。

中国で政治的な迫害を受けたとして、亡命を求めるアメリカで暮らすジヤウドゥンさん。これまでに、イギリスやアメリカのメディアの取材を受け、実名で証言してきました。

当時の話を聞かせてほしいと連絡を取ると、アパートに招き入れてくれました。そして、深く息を吐いたあとにゆっくりと話し始めました。

突然収容された“学校”

ジヤウドゥンさんは、新疆ウイグル自治区の北部の小さな村に生まれました。

周りは山に囲まれ、川が流れる自然豊かな土地で、幼い頃はきょうだいたちと静かで平穏な暮らしを送ってきました。

その後、30歳で結婚して隣国カザフスタンに移り住み、医師の夫が運営する診療所で看護師として働き、やりがいを見いだしていました。

そんな幸せな生活は、10年近く続きました。

しかし、今から4年前、カザフスタンでの市民権を持っていなかったジヤウドゥンさんが、パスポートを更新するため、ふるさと新疆ウイグル自治区に戻った時のことです。

通りを歩いていると、突然、警察官に拘束されて、彼らが「学校」と呼ぶ施設に連れて行かれました。

「カザフスタンで何をしていた。アメリカと関係があるのか」

警察官は、カザフスタンに住んでいたことを理由に拘束したと説明し、執ように「何をしていたのか」を聞き出そうとしてきたといいます。ジヤウドゥンさんは「夫と暮らしていただけです」と何度も答えましたが、聞き入れてもらえませんでした。

“理由の無い”取り調べ

体調を崩したことから1か月ほどで解放されたジヤウドゥンさんですが、1年後、再び理由もわからず拘束されます。連れて行かれたのは、前回と同じ「学校」。

しかし、「学校」は、有刺鉄線を張り巡らされた高さ3メートルほどの塀に取り囲まれた施設に様変わりしていました。変わっていたのは建物の外観だけではありません。

2度目の拘束では、1週間に1回ほどの頻度で、警察官の取り調べを受けたといいます。「罪を告白しろ」警察官はそう言って、70を超える罪が書かれたリストを目の前に示し、一つ選んで署名をし、「自白」するよう迫ってきたといいます。

いずれの罪にも身に覚えのないジヤウドゥンさんは、それを拒否しました。

また、警察官は「カザフスタンで何をしていたのか」、「誰と連絡を取っていたのか」と取り調べのたびに聞いてきましたが、「何もしていない」、「誰とも連絡を取っていない」とジヤウドゥンさんは答えました。しかし、ジヤウドゥンさんが「自白」を拒み、質問に「答えられない」たび、待ち受けていたのが拷問でした。

終わらない拷問

両腕と両足を縛られたまま、不自然な姿勢で、長時間の取り調べを受ける。

殴る蹴るの暴行を加えられる。

体に電流を流される。

食事を2日以上与えられない。

ジヤウドゥンさんが拘束されたおよそ10か月の間、こうした拷問を受け続けたといいます。中でも、電流を流される拷問では、何度も意識を失いました。

「一思いに殺してほしい、私が何をしたの」

あまりの痛みにジヤウドゥンさんは、こう訴えながら警察官につかみかかったこともありました。しかし、別の警察官が駆けつけ、頭や腹を殴られ、動くことができなくなりました。

また、取り調べでは、彼女の人格や家族の存在を否定するようなことばを浴びせ続けられたというジヤウドゥンさん。毎日、毎日、そうしたことばを聞き続けるうち、目の前にいる警察官や施設の職員たちが「ごく普通の人間」のように思えてきて、何を言われても何も感じなくなっていきました。

「女性を全員、診療所へ連れて行け」

ある時、施設で拘束されている女性全員が集められ、職員たちが、こう指示を受けているのが聞こえてきたといいます。そして、診療所の前には長い列ができていました。

ジヤウドゥンさんの順番となり、ベッドに横にさせられると、施設の職員が話し合う声が聞こえたといいます。

「出血がひどいし、夫はカザフスタンにいるから、不妊手術をしても意味がない」

その日も拷問を受けて、傷口から出血していたジヤウドゥンさんのことを話している様子でした。その内容から、診療所では強制的な不妊手術が行われていることを理解しました。

その後も拷問を受け続けたジヤウドゥンさん。

ある時、彼女が気を失っていると思ったのか、2人の警察官がこう話していたといいます。

「彼女は死ぬかもしれないな」

「大丈夫だよ、死なせてしまえばいい。子どもを産めなくしたり、殺したりする。それが上からの命令なんだ」

決して口を閉ざさない

2度目の拘束で施設に収容されてからおよそ10か月。カザフスタンにいる夫が解放を求める活動をしたことなどから、2018年12月、ジヤウドゥンさんは施設を出ることができました。

その後、中国を出国し、カザフスタンで夫と再会することもできました。

一方で、カザフスタンへ出国する際、中国当局から「施設の中で経験したことは一切話してはいけない。もし話せば家族が代償を払うことになる」と脅されたといいます。

それでも、施設の実態を明らかにしようと、カザフスタンでメディアの取材を受けましたが、自宅は何者かによって放火されました。

新疆ウイグル自治区で暮らす姉からは「何も言わないでほしい」と強くお願いされたともいいます。

しかしその後も、亡命を求めて渡ったアメリカで、ジヤウドゥンさんは、ウイグルの人権団体などとともに、国際社会に中国への圧力を強化するよう訴え続けています。

今も、多くのウイグル族の人たちが施設に収容されたり、自由に移動できなかったりしていて、その中には、ジヤウドゥンさんの親族もいるといいます。

その親族の女性は、2年間施設に収容され、解放されたもののパスポートを更新してもらえず、カザフスタンなどにいる8歳から14歳までの3人の子どもたちと6年間も会えていないといいます。

こうした状況を解決するため、中国当局からの報復も恐れず、声を上げ続けると、ジヤウドゥンさんは話します。

トゥルスナイ・ジヤウドゥンさん

「中国政府を全く恐れていません。私は1度、施設の中で、“殺された”のですから」

「私には、6人のきょうだいがいて、まだ中国にいます。彼らのことを考えるたびに胸が張り裂けそうになります。しかし、今起きていることは、将来、ほかの人たちにも起こりえることです。これを止めなくてはならないんです」

「私には、新疆ウイグル自治区で何が起きているのかを伝えることしかできません。国際社会が手を差し伸べてくれることを信じています」

当事者一人ひとりの声に耳を傾ける

ジヤウドゥンさんの証言に対して、中国外務省は真っ向から否定し「一部の勢力が中国を中傷するために利用している道具であり、俳優だ」として、名指しで非難しています。

一方で、彼女のように証言する、ウイグル族の人たちは世界中で後を絶ちません。

また国際社会では、アメリカやEU=ヨーロッパ連合などが新疆ウイグル自治区で深刻な人権侵害が続いているとして制裁措置を行っています。

これに、中国政府は事実ではないと反発し、激しい対立が続いています。

新疆ウイグル自治区で、実際に何が起きているのか。

声を上げ始めた当事者一人ひとりの声に耳を傾け、引き続き取材を進めていきたいと思います。

 ◇

 弾圧を受けたこの女性が、中国当局の言うように「中国を中傷するために利用している道具であり、俳優」、だとは到底思えません。中国のこのような「犯罪行為をして、なおかつ嘘をでっち上げる」やり方は、まさにヤクザと何ら変わりありません。

 そうです中国共産党は、人権など全く無視した非道なヤクザでしょう。そのヤクザ共産党国家が今やGDP世界第2位の大国となっているのですから、内外共に迷惑この上ありません。かつてのソ連、そして今中国と、共産党が作った魔の大国、何とかソ連同様崩壊してほしいものです。

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2021年11月22日 (月)

震え上がる中国、米国に代わって過激派組織の標的に

Images-3_20211120130901   昨日と打って変わって、今回は中国の弱みにも当たる記事を紹介します。ウイグル自治区にイスラム教徒の住民を抱える中国ですが、タリバンが制圧したアフガニスタンにも食指を伸ばそうとしています。ところがこのアラビア諸国への介入が、思わぬ火の粉をかぶる恐れもあります。

 経済産業研究所コンサルティング・フェローの藤和彦氏が、JBpressに寄稿したコラムから、そのあたりの事情を見てみましょう。タイトルは『震え上がる中国、米国に代わって過激派組織の標的に 中国がアフガニスタンに侵攻する日は近いのか』(11/12)で以下に引用して掲載します。

タジキスタンとの連携を強化

 米軍が8月下旬にアフガニスタンから撤退して以降、中国は中央アジア諸国と安全保障面での連携強化を急いでいる。アフガニスタンからのテロの輸出を防いでいた米軍が撤退した以上、中国は自力で自国民の命と利権を守らなければならなくなっているからだ。

 アフガニスタンで実権を掌握したイスラム主義勢力「タリバン」と友好関係を築こうとする一方、中央アジア諸国の中で中国がとくに連携強化を図っている国がタジキスタンだ。

 他の中央アジア諸国とは異なり、タリバンとの直接の協議を避けているタジキスタンと中国は、「タリバンが国内の過激派組織を抑えることができない」との懸念を共有している。

 10月下旬、中国政府がタジキスタンのアフガニスタンとの国境近くに警察施設を建設していることが明らかになった(10月29日付AFP)。施設はアフガニスタンから中国へ繋がる回廊(ワクハン回廊)の近くに位置する。建設費用(850万ドル)は全額中国側が負担し、完成後はタジキスタン警察に引き渡されるという。

 また、中国政府は「中央アジアに中国の基地は一切ない」としているが、タジキスタン南東部に中国軍の基地がすでに1カ所存在していることは公然の秘密だ。

 タジキスタンはかつて旧ソ連のアフガニスタン侵略の前線基地だった。今なお条約に基づきロシア軍が駐留している。

 プーチン大統領が10月13日に「過激派の活動家たちがシリアやイラクからアフガニスタンへ移動している」と警告を発したことを受けて、ロシア軍は10月下旬、旧ソビエト6カ国で構成されるCSTO(集団安全保障条約機構)による合同軍事演習をタジキスタンで実施した。「テロリストなど過激派組織が侵入した」という想定で6日間にわたって実施された演習に総勢4000人が参加した。

 ロシアが「裏庭」とみなす中央アジアに中国が過剰に介入すれば、蜜月と言われるほど良好な中ロの関係に亀裂が生じかねない。中国がリスクを冒してまで中央アジアでのプレゼンスを高めるのは、「アフガニスタンが不安定化し、隣接する新疆ウイグル自治区に過激派が流入する」事態を極度に警戒しているからだ。中国政府は、アフガニスタンに潜伏しているとされる分離独立派のウイグル人戦闘員が国境を越えて新疆ウイグル自治区に侵入してこないよう、取り締まりを強化している。

タリバンの不倶戴天の仇敵「IS-K」

 中国政府は9月上旬、タリバンに対して「食糧や新型コロナウイルスワクチンなど2億元(約34億円)相当の支援を提供する」と表明し、10月にはロシアとともにタリバンの代表を国際会議に招くなどアフガニスタン情勢の安定化に腐心してきた。

 だがアフガニスタンで過激派組織のテロ活動が一向に収まる気配を示していない。その代表格はイスラム国(IS)の地方組織「イスラム国家ホラサン州(IS-K)」だ。

 イラン東部、中央アジア、アフガニスタン、パキスタンにまたがる地域の旧名称である「ホラサン」が示すとおり、IS-Kの拠点はパキスタンとの麻薬密輸や密入国ルートに近い東部ナンガルハーレル州だ。

 IS-Kはタリバンと同じスンニ派武装組織だが、“不倶戴天の仇敵”の関係にある。IS-Kは「タリバンは穏健すぎる、過激さが足りない」と不満を持つジハード(聖戦)主義者の格好の受け皿になっている。2015年1月に設立されて以来、アフガニスタン各地でテロを繰り返してきたが、2020年以降、新しい指導者の下、国内での暴力をエスカレートさせている。国連は「兵力は500~1500人だ」と推定する。

中国のウイグル問題を引き合いに出してテロを正当化

 IS-Kは「反米」を掲げ、これまで中国を敵視してこなかったが、10月に入り中国を震撼させるテロ事件を引き起こした。10月8日、アフガニスタン北部にあるイスラム教シーア派のモスクで自爆テロが発生し、礼拝中のシーア派少数民族ハザラ人70人以上が死亡した。IS-Kは「中国の要請に応じてウイグル人をアフガニスタンから追放するシーア派とタリバン政権を標的にした」との声明を出した。IS-Kがタリバンの権力掌握以降、宗教的・民族的少数派を攻撃するのは珍しいことではないが、中国のウイグル問題を引き合いに出してテロを正当化したのは極めて異例だ。

 注目すべきは、IS-Kが初めて攻撃の実行犯にウイグル人を投入したことだ。実行犯のウイグル人が新疆ウイグル自治区出身かどうかは定かではないが、IS-Kが、中国が抱く懸念を煽っていることは間違いない。中国に対して強硬路線に転換した兆しだとも受け止められている。

 IS-Kにとって、タリバン政権が強化されることは、アフガニスタンにおける自分たちの生き残りのために非常に都合が悪い。このため、タリバン支配下のアフガニスタンに関与を深める中国に対して、IS-Kは敵意を燃やすという構図になっている。

 タリバンは中国の意向に配慮して、アフガニスタンからウイグル人を追放する意向を表明した。そのことに不満を抱くウイグル人を、IS-Kが新たな戦力に迎える好機として捉えている節もある。シリアのISのように、IS-Kの下にウイグル人戦闘員が集まる可能性が出てきている。

 中国政府はアフガニスタンの内政には関与せず、ひたすらテロの侵入阻止に注力する姿勢に終始している。だがタリバンの代表と頻繁に接触しても「新疆ウイグル自治区の安全が保たれる」との確信は持てない。タリバンの失政が続けば続くほど、IS-Kの脅威は強まる。「タリバンによる政権奪取は中国にとってリスク以外の何ものでもない」との認識が募るばかりだろう。

アフガンで米国に代わり中国が攻撃対象に

 IS-Kの上部組織にあたるISは2014年7月、中国を「ジハード遂行」の戦場の1つに挙げたが、その後、ISのプロパガンダに中国やウイグルに焦点を当てたメッセージが登場することは少なかった。中国がアフガニスタンやイラク、シリアで対IS軍事作戦に参加していなかったからだ。

 だが米軍がアフガニスタンから撤退し、イラクからも攻撃部隊を撤収しようとしている現在、ISをはじめとする過激派組織が見過ごしてきた中国が、今や米国に代わる攻撃対象になりつつある。権力の空白を利用して利権の拡大を図る中国に、過激派組織が目を向けるのは当然の成り行きだ。新疆ウイグル自治区におけるイスラム教徒弾圧の問題への注目度も過激派組織の間で確実に上がっている。

 アフガニスタンの隣国、パキスタンでは中国人に対するテロが相次いでいる。「一帯一路」構想に基づき巨額の投資を行う中国の存在感は年を追うごとに高まっている。過激派組織にとって「中国」はパキスタン政府にダメージを与えるための格好の標的なのだ。大国化して目立つ存在になった中国のことを、パキスタンの武装勢力は「21世紀の新植民地主義国」と呼んで非難している。

 タリバンが米軍に勝利した今、アフガニスタンでも過激派組織にとって次なる標的は中国だ。タリバン政権が頼りにならないとなれば、中国自身が乗り込んでいくしかなくなる。

 自らの「縄張り」である中央アジアで中国がプレゼンスを高めることを黙認しているロシアは、「自国に代わって中国がテロリストと戦ってくれている」とほくそ笑んでいるようだ。11月1日付露プラウダは「ロシアは中国に死にゆく機会を提供した」と皮肉たっぷりの論説記事を掲載した。

 古代ギリシャのマケドニアを皮切りに、英国、旧ソ連、米国が侵略戦争に失敗したことから、アフガニスタンは「帝国の墓場」と呼ばれている。このことを熟知しているにもかかわらず、習近平率いる中華帝国が新たな墓標を建てることになるのは時間の問題なのかもしれない。

 ◇

 イスラム系のウイグル人に過酷な弾圧を加える中国に、イスラム諸国が介入してこなかったことは、中国の軍事力を恐れてのことだったことかも知れません。また宗主国とも言うべきトルコが、中国と親交を深めていることも背景にあるようです。

 しかし、今やアメリカ以上に中央アジアに介入しつつある中国に対して、イスラム原理主義グループがこの記事のように、標的化していくのは時間の問題と思います。中国にとっては、かつてのやっかいな「北狄西戎」を思い起こすことでしょう。

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2021年11月21日 (日)

櫻井よし子氏:「中国核弾頭1000発の恐怖」背景には習近平が台湾併合実現を目指し毛沢東化

5c637ff62500003502c826f6  アメリカ国防省が、中国が2030年までに少なくとも1000発の核弾頭保有を目指している、と報告しました。そのうちの多くは、日本や在日米軍基地を標的にしているでしょう。極超音速ミサイルの開発も進めています。日本はどう対応していけばいいのでしょうか。

 櫻井よし子氏が、週刊新潮の彼女の連載コラム「日本ルネッサンス」の975回目に関係する記事を寄稿しています。タイトルは『中国核弾頭1000発の恐怖』(11/18)で、以下に引用して掲載します。

 ◇

中国の習近平国家主席の毛沢東化、終身皇帝への道がまた一歩、確実に前進した。今月8日から開催された重要会議、第19期中央委員会第6回総会(6中総会)の最終日に当たる11日には習氏の「第3の歴史決議」を採択する。

毛沢東の「若干の歴史問題に関する決議」(1945年4月)、鄧小平の「建国以来の党の若干の歴史問題に関する決議」(81年6月)に続くものだ。毛も鄧も決議によって自らの政治路線の正しさを明確化させ、権威を高め、権力基盤を盤石にした。「第3の歴史決議」で、習氏はまず毛、鄧両氏と並び、さらに彼らを凌ぐ絶対的高みに上る道を切り拓くと予想される。

だが、絶対的権力の確立は生易しいものではない。14億人を納得させるには、毛沢東も実現できなかった台湾併合の偉業達成が必要だ。そのために習氏は89年以来の大軍拡をさらに強化しつつある。強大な軍事力を築く一方で、台湾併合に関しては軍事力の使用を否定しない。また、台湾攻略法として、経済的圧力、サイバー攻撃、メディア支配、フェイクニュース拡散、工作員送り込みなどあらゆる手を使う。

対外強硬策は中国国民のナショナリズムを刺激し求心力を高めるが、習氏は各王朝が下からの革命で倒されてきた中国の歴史を十分に知っている。自身への絶対的崇拝を徹底させようと躍起なのは、ナショナリズムが政府への不満に転化し国民蜂起につながるのを恐れているからだ。

中国教育省は8月24日、「学生の頭脳を習近平の中国の特色ある社会主義思想で武装する」よう指示した。小学生には「全党人民の道案内人は習近平主席」であると教え、敬愛の念をこめて「習おじいさん」と呼ばせる。大人は皆、共産党を唯一の指導組織として崇め、企業は「中国共産党と一心同体でなければならない」と指導される。

14億の国民を洗脳するための一連の独善的政策は外交や安全保障政策にも通底する。外国に対しては経済力と軍事力をアメと鞭として使う。

日本も最大級の被害

中国の軍事費は日本の4倍以上となり、軍事力の差は開く一方だ。日本も台湾も存亡の危機だ。そうした中の10月1日、台湾海峡上空に中国軍機が大挙飛来した。5日までに計150機が押し寄せた。

中国の暴走などで万が一、台湾有事となれば、間違いなく日本も最大級の被害を受ける。だが、私たちは押されてばかりではない。日本を含めて多くの国が中国の軍事的脅威に対峙し、中国を抑止するために協力の構えを作っている。たとえば中国軍機群が台湾海峡上空に飛来した日と重なるように、沖縄の南西海域で日米英加蘭とニュージーランドの6か国が初の共同訓練を展開していた。

米空母の「ロナルド・レーガン」「カール・ビンソン」の2個打撃群、英国の空母「クイーン・エリザベス」打撃群、海上自衛隊のヘリコプター搭載準空母「いせ」の4空母が訓練の主体を占めた。カナダ、オランダ、ニュージーランドの艦船も含めた17隻が「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)の理念を掲げて訓練した。

中国にとっては非常に不快であろう。明らかにこちら側の訓練に触発されたのであろう、習氏は中央軍事委員会を緊急招集し、直ちに台湾への圧力を強化せよと指示した。それが中国軍機の台湾海峡飛行の中でも最大規模の4日の56機の展開につながったと言われている。

ここで注目するべき点はその編制である。どんな種類の中国軍機が飛んだかを見ることで、作戦の意図が明らかになる。これまで台湾海峡上空に迫る中国軍機の中で多数を占めていたのが戦闘機だった。しかし10月初旬の大規模飛行では戦闘機や爆撃機に加えて作戦支援機である早期警戒管制機、通信対抗機、電子偵察機、情報収集機、電子戦機、哨戒機などが目立っていた(『東亜』11月号、防衛省防衛研究所地域研究部長・門間理良)。

戦闘機や爆撃機だけの飛行は実戦的ではない。爆撃機は攻撃の的になる。そのために、実戦ならば必ず戦闘機の護衛を必要とする。また現代の航空戦で勝利するには、通信を妨害したり戦闘機を効率よく運用するための早期警戒管制機などの作戦支援機が欠かせない。

つまり中国は実戦を想定して台湾海峡上空に軍機団を送り込んだということだ。日米をはじめこちら側も共同訓練を重ね、抑止力を高めつつある。一方、中国も飽くまでも強気なのである。

全地球をカバー

米国防総省が11月3日、「中国の軍事・安全保障動向に関する報告書2021」を公表した。2030年までに中国は少なくとも1000発の核弾頭保有を目指していると報告された。現在、各国保有の核弾頭はロシアが6255発、米国が5550発、中国は350発とされている。そうした中でこの1000発という数が何を意味するのかを知っておかねばならない。国家基本問題研究所企画委員の太田文雄氏が語る。

「中国はこれまでのカウンターバリュー(対価値)の戦略をカウンターフォース(対軍事力)のそれに変えたと思います」

カウンターバリューとは、ある国の大都市、たとえば米国ならニューヨークやワシントン、シカゴなどを核攻撃することで、政治的にそれ以上の戦争続行を許さない状況を作り出す戦略だ。他方、カウンターフォースは、たとえば米国の大陸間弾道ミサイル(ICBM)の収納サイロを攻撃する戦略だ。ミサイルの精度を高めることで正確に軍事施設を破壊できるため、一般国民の犠牲を減らし、国際社会の非難も和らげることができるという考え方だ。

中国は昨年6月に航法衛星北斗で全地球をカバーできるようになり、ミサイル攻撃の精度を上げた。全米には多数のICBMが多数のサイロに収納されている。それらを封じ込めるためにはより多くの核兵器が必要となる。それが中国の目指す1000発だと、太田氏は指摘する。

中国が核戦力において米国と並び、かつてない程の脅威となれば日米、欧州諸国は大いに苦しむことになるだろう。米国は中露両国と対峙しなければならない事態も起き得る。その場合私たちの状況は想像を超える厳しいものとなりかねない。

そんな状況に追い込まれないように、最大限の知恵を働かせて流れを逆転する時だ。その第一歩は、何としてでも日本国の軍事力を強化することだ。次に沖縄、台湾を守るために、日米協力を飛躍的に強化することだ。第一列島線に中距離ミサイルを配備する。非核三原則を二原則にして、そのミサイルへの米国の核搭載に踏み切る議論を進めよ。

 ◇

 日本はこの核大国中国の台湾侵攻に巻き込まれないようにしようとしても、日米同盟がある限り巻き込まれるのは必至でしょう。そうなれば日本は極めて困難な国防の試練に立ち向かわなければなりません。習近平が毛沢東化を目指せば目指すほど、台湾侵攻は現実のものとなるでしょう。

 従ってそれを阻止するには、台湾侵攻は極めて危険だと言うことを、中国に思い知らさなければなりません。ところが人権に関し極めて関心の薄い中国共産党、そのトップの習近平にとって、自国民の人的被害は大して気にしないかも知れません。

 かつて毛沢東が「核戦争になっても別に構わない。世界に27億人がいる。半分が死んでも後の半分が残る。中国の人口は6億だが半分が消えてもなお3億がいる。われわれは一体何を恐れるのだろうか」と言ったそうですが、毛沢東化を目指す習近平は、台湾侵攻で多くの犠牲が出ても気にしないということは、全くあり得ないことではないでしょう。

 そうなれば人的被害をもっとも恐れる西側諸国にとって、全くやっかいな戦いに引き込まれることになります。櫻井氏の指摘の通り、日本の軍事力の強化や日米同盟の深化や非核三原則の「持ち込ませない」を破棄は重要ですが、このモンスターとなりつつある中国をどう押さえ込むか。中国国民の覚醒手段も含め、今後民主国家グループの知恵と行動力が試されていると言えます。

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2021年11月20日 (土)

有本香氏:中谷首相補佐官は「民族弾圧常習犯」に「寄り添う」のか

Images-2_20211119164501  岸田首相は総裁選で、人権問題で中国に「毅然と対応する」として、担当補佐官の新設を公約していました。そして8日、その人権問題担当の首相補佐官に中谷元氏を起用する方針を伝え、第2次岸田内閣発足にあわせ、就任となりました。中谷氏は岸田氏との面会後、「外相や経済産業相と緊密に協力し、国際的な人権問題に対処する」と強調し、就任後の言動が注目されていました。

 ところが、重大な人権侵害行為に制裁を課すための、日本版マグニツキー法の制定については「簡単にいかない」と慎重な姿勢を示しました。そして「一方的に価値観を押し付けて制裁するやり方も一つだが、寄り添って問題を解決する役割を日本は期待されている。紛争を助長したり、事を荒立てたりするのがすべてではない」と述べ、「対話と協力」を人権外交の基本とする日本政府の立場を説明したようです。これでは親中議員と対話はなく、首相補佐官の資質が問われます。

 この点について、ジャーナリストの有本香氏が、作家百田尚樹氏の新刊「日本国記・新版」を取り上げながら、zakzakにコラムを寄稿しています。タイトルは『中谷首相補佐官は“民族弾圧常習犯”に「寄り添う」のか 「制裁法には慎重」な構えとの報道も 就任早々「白旗」の残念な所業』 (11/19)で、以下に引用して掲載します。

 ◇

 私事だが、9カ月にわたり編集を手がけてきた百田尚樹著『日本国紀[新版]』(幻冬舎文庫)が17日、発売された。同時に、全国の大型書店で売り上げトップとなり、即日に重版が決まって、いまホッとしている。

 3年前に刊行された単行本『日本国紀』(幻冬舎)は65万部のベストセラーとなったが、今回は書店への客足が減ったコロナ禍での発売である。しかも、大幅に加筆したとはいえ既刊本の文庫化という位置づけでもあり、売れ行きが心配ではあった。

 ひとまず好結果を得たのには、夕刊フジ読者の応援も小さくなかったと思う。この場を借りて御礼申し上げたい。

 3年前に続いて、『新版』もまた、発売のちょうど1カ月前にはネット書店で予約が開始され、その日のうちに、最大手アマゾンで売上ランキング総合1位に躍り出た。ただし今回、版元の幻冬舎は落ち着いたもので、私の目から見ると、慎重な構えという印象すらあった。

 この一因は、前回の発売と同時に激しい「アンチ日本国紀」活動が始まったことにあろう。作品はもちろん、著者や編集担当の私に加え、版元も不当な攻撃を受けた。

 今振り返っても、3年前の「アンチ日本国紀」活動は常軌を逸していたといえる。主導したのは、いわゆる左派文化人らだったが(=一部の保守系人士も攻撃に加勢した)、本そのものや著者、編集者である私にケチを付けるだけでは足らず、特定の大型書店に対する「不買運動」まで起こされたのには驚いた。

 さらに驚いたのは、その「アンチ」勢のなかに、与野党の国会議員が混じっていたことである。

 イデオロギーの左右を問わず、こういう人間に権力を持たせたら、たちまち国民の「表現の自由」を抑圧するだろう。そう思うと、私はむしろ勇気が湧いた。日本を守ろうと命をかけて戦った幾多の先人を思えば、あるいは隣の国で、悪魔のごとき圧政者と戦うウイグル人やチベット人を思えば、「アンチ」の嫌がらせなど蚊の羽音にも劣る。

 一方、『日本国紀[新版]』を読み返すと、改めて、いまの日本の政治家の不甲斐なさを思い知る。私たちはつい、「野党議員に比べたら自民党の議員はマシ」などと思いがちだが、この甘やかしは禁物である。

 折しも、岸田文雄政権が鳴り物入りで任命した「国際人権問題担当の首相補佐官」の中谷元氏が、「制裁法には慎重」な構えだと報じられた。

 中谷氏は「一方的に価値観を押し付けて制裁するやり方も一つだが、寄り添って問題を解決する役割を日本は期待されている。紛争を助長したり、事を荒立てたりするのがすべてではない」(15日夜のBS日テレ番組)と述べたそうだが、民族弾圧常習犯のどんな価値観に「寄り添う」というのだろうか。

 今年春頃には中谷氏は、「人権外交を超党派で考える議員連盟」の共同会長として、「日本版マグニツキー法」(人権侵害への制裁法)の制定を訴えていたと記憶しているが、あれは何だったのか。立場が変われば、威勢のいいことは言いにくいというのかもしれないが、私が理解できないのは、なぜ就任早々、自らの限界をわざわざ表明するのか、だ。

 畏れながら、中谷氏にはぜひとも、『日本国紀[新版]〈下〉』の154ページからのくだりをお読みいただきたい。そこには、1919年、第一次世界大戦後の「パリ講和会議」で「国際連盟」の設立が話し合われた席上、日本が、「人種差別禁止」の規約を入れるよう主張した旨が書かれている。

 欧米列強が、有色人種の地であるアジア・アフリカの大半を植民地としていた当時、これを主張することがいかに勇気の要ることだったか。この崇高な先人の振る舞いに比して、新任補佐官の「早々の白旗」は誠に残念な所業と映るのである。

 ◇

 中谷氏が持論を撤回した背景には、有本氏の述べた「日本国記」への凄まじいばかりの批判、非難と同様の、圧力があるのかも知れません。中谷氏が、マグニツキー法の制定は「簡単にはいかない」と述べたあたりから、それは窺えます。つまり中国の日本国内での工作員に似た人たちは、メディア、言論人、政治家、経営者に多数巣くっていて、陰に陽にこの補佐官に圧力をかけた可能性が考えられます。

 つまり岸田政権では、中国の人権問題に直言する立場の人間が、その立場を放棄したような発言をしたことから、当然対中外交には「人権」をカードに使えないことを暴露したのです。同盟国のアメリカもがっかりでしょう。早くも岸田外交は、先行き暗雲が立ちこめたと見ていいと思います。

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2021年11月19日 (金)

防衛費2%超で、まず補うべき日本の「知られざる弱点」

5_20211118172901  自民党の高市政調会長が、政策の一つとして主張している防衛費のGDP2%。保守派以外の議員からは疑問も持たれているようですが、2%にしても世界標準に近づくだけです。主要国で2%を切っているのはドイツと日本だけで、サウジアラビアの8%超を筆頭に、ロシア、アメリカ、インド、韓国など、2%をかなり上回っています。(中国は正確な統計がありません)

 ところで日本が仮に2%に増大させるにしても、課題があるようです。軍事評論家の数多久遠氏が、JBpressに寄稿したコラムから、その詳細を引用します。タイトルは『防衛費2%超で補うべき日本の「知られざる弱点」 ホームランド・ディフェンスのために日本にも「カラビニエリ」を』(11/17)です。

 ◇

 自民党は、防衛費をGDP比2%に引き上げる倍増案を方針として掲げています。

 2%という数字は、2020年に米トランプ政権のエスパー米国防長官が、日本を含む同盟国に「国防費をGDP比で少なくとも2%に増やしてほしい」と表明したことがベースになっていると思われます。このことをもって、即外圧だと非難する向きもありますが、アメリカとすれば、国防費の少ない同盟国は、安保にただ乗りする寄生虫のようにも見えているかもしれません。

 国防長官という政治のレベルでは2%という数字で語られますが、この数字が某大臣のように「おぼろげながら浮かんできた」などということはないはずです。国防総省内で同盟各国の戦力を分析し、必要かつ可能だと結論づけられていたのでしょう。ただしその分析は公開されていません(そんなものを公開したら内政干渉だと騒ぐ人もいるでしょう)。

 この防衛費倍増案に反対するメディアの中には、装備費を引き上げただけではムダ使いのオンパレードになる上、現在でも隊員の充足に苦労しているように、定員増を図ることも容易ではないとして、倍増は不可能だと非難する声も聞かれます。

 しかし、筆者としては可能だと考えていますし、当然必要だとみています。以下では、防衛費増額の相当部分を必要とするであろう自衛隊の不足機能について考えてみたいと思います。

 さて、本論に入る前に、クイズを出しておきます。超基本的なクイズですが、自衛官でも結構な確率で間違えるクイズです。

 自衛隊の任務は何でしょう?

 答えは、自衛隊に不足している機能に関係しています。

自衛隊に不足する「ホームランド・ディフェンス」能力

 米軍関係者が自衛隊の能力を評価すると、総じて高い評価を与えてくれますが、一部の能力に関しては極めて低評価となります。その1つが、敵基地攻撃能力です。これを増強するためにも防衛費の増額が必要になりますが、この記事では別の能力について注目したいと思います。

 それは、「ホームランド・ディフェンス(Homeland defense)」と呼ばれる能力です。

 日本語に直訳すれば「国土防衛」となるかと思いますが、軍事の世界で言われるホームランド・ディフェンスは単に国土防衛と訳すことが不適切なため、ここでも「ホームランド・ディフェンス」と書くことにします。

 ホームランド・ディフェンスは、主権、領土、国内人口、重要なインフラを、外部からの脅威や侵略、その他の脅威から守ることです。

 アメリカの場合、軍を統括する国防総省がその任を負っていますが、ホームランド・ディフェンスにはその他の省庁も関係するため、それら各省は国防総省を支援することになっています。

 なお、ホームランド・ディフェンスに近い言葉で、「ホームランド・セキュリティ」というものもあります。アメリカの場合、こちらは国土安全保障省が担当省となります。両者は密接に関係しますが、ホームランド・セキュリティの方が少し広い概念です。

「自衛隊のホームランド・ディフェンスに関する能力が低い」など何ということを言うのだと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、ホームランド・ディフェンスが対処するべき脅威は、自衛隊が“主に”対処しようとしている脅威とは若干異なります。ホームランド・ディフェンスが対処すべき脅威は、テロや災害、それに暴動などです。もちろん、これらの脅威に対しても自衛隊は訓練を行っています。災害派遣にも積極的です。しかし、脅威の量に対して絶対的に駒が足りません。

 以下では、自衛隊がホームランド・ディフェンスにおいて備えるべき組織や戦力、装備について確認します。

台湾侵攻で中国が日本に仕掛ける支作戦

 近い将来に発生する可能性のある、日本が関係する危機の中で最も可能性が高いのは中国による台湾侵攻でしょう。軍事作戦では、主作戦の他に、主作戦をやりやすくするための支作戦がしばしば行われます。ここで考えなければならないのは、中国による支作戦です。

 台湾侵攻が発生した場合、台湾軍と共に、米軍、特に在日米軍が台湾防衛の主力となります。そして、日本と自衛隊にも台湾と米軍への支援が求められるでしょう。ただし、もし日本が中立姿勢を取るのであれば、米軍機が在日米軍基地から発進し、戦闘することは認められません。艦艇への補給も同様です。在日米軍が台湾防衛の主力の一部となるということは、台湾防衛の成否が日本の姿勢にかかっていると言っても過言ではないと言えます。

 中国が米軍や日本による台湾支援の阻止を意図し、支作戦を実施する時、先島を中心とした沖縄に攻撃し、自衛隊と戦闘する可能性もあります。けれども、もっと容易で効果的な作戦があります。それは、日本国内での破壊工作です。

 工作員を送り込む、あるいは国防動員法により日本国内に居住している中国人を工作員化することで、破壊工作を行う可能性は高いと思われます。この場合、銃くらいは与えるかもしれませんが、大した装備は必要ありません。たとえば電気を遮断するのであれば、警戒されている発電所を避け、送電線や変電所を攻撃します。解体工事などで使用されているガスバーナーを使い、田んぼの真ん中にある鉄塔を切り倒すことで送電線を切ることができますし、無人の変電所で火災を起こすことも容易です。

 ガスや水道も、設備に放火されると復旧するまでに多大な時間を必要とします。鉄道も同様に、変電設備などへ放火すれば容易に止められます。1カ所では、さほどの日数を要することなく復旧できますが、複数の変電所が破壊された場合、鉄道は長期にわたって止まってしまいます。

 道路も、高速道路の高架でタンクローリー事故を起こさせれば、かなりのダメージを与えられます。2008年に首都高5号線で発生した熊野町ジャンクション火災事故では、仮復旧までに5日、本格復旧までに2カ月半を要しました。こうした事故が複数箇所で発生すれば、東京の物流は麻痺状態になることでしょう。通信も、マイクロ送信設備の鉄塔を倒すか、設備に放火することで遮断できます。

 電気、ガス、水道が止まり、電話も通じず、食料品が配送されなくなることでスーパーから商品がなくなった時、それでも日本国民は台湾支援を良しとするでしょうか。太平洋戦争当時であれば、都内でもかなりの野菜が生産されていました。しかし、都市化が進み、我々の生活には都市インフラが必須になっています。すぐに生活が成り立たなくなるでしょう。国民がこれに耐えられるとは思いません。

根本的に不足している人的な戦力

 現状では、こうした破壊工作に対してまずは警察が警戒することになりますが、治安出動などの発令により、自衛隊が警戒にあたることも可能です。ですが、上記のような攻撃が行われる場合、警戒しなければならない施設は膨大な数になります。警察は、通常の仕事もあるため、こうした対処に当たれるのは機動隊くらいです。

 陸自が本年(2021年)9月15日から大規模な陸上自衛隊演習を続けているように、自衛隊は中国による台湾侵攻が行われれば、多くの部隊は沖縄九州方面に機動して、破壊活動ではなく軍によるもっと直接的な支作戦、先島や沖縄本島に対する攻撃への警戒に当たらなければなりません。

 それに、そもそも陸自は約18万しかいないのです。中国による破壊活動は日本各地で行われる可能性が考えられるため、東北や北海道でも警戒が必要です。47都道府県に戦力が分かれることを考えれば、陸自の人的戦力は単純計算で各県4000人にも届きません。そして多くが機動してしまうため、各県に残る戦力はその一部しかありません。さらに常時警戒が必要な上、夜間の方が危険度が高いことも考えれば、交代で任務に就く必要があるでしょう。現場で警戒に当たることのできる人員は、各県とも数百人程度に留まります。この人数では、原発、政府、地方自治体施設など極めて重要な施設しか警戒できません。

 ホームランド・ディフェンスに当てられる主として人的な戦力が、根本的に不足しているのです。このため、米軍関係者は「難あり」と評価することになります。

ホームランド・ディフェンスを任務とする各国の組織

 アメリカの場合、いわゆる米軍として認識されているアメリカ連邦軍ではなく、「州兵」あるいは「州軍」とも言われる“National Guard”が主にホームランド・ディフェンスを担っています。

 州兵には、陸軍州兵と空軍州兵があります。9.11アメリカ同時多発テロ事件の際、最初にスクランブル発進したのはオーティス空軍州兵基地のF-15でした。空自が行っている対領空侵犯措置にあたる活動も空軍州兵が担っているのです。

 そして、上に挙げたような地上での破壊活動に対処するのは約33万人の陸軍州兵となります。日本の人口は、アメリカの約3分の1です。アメリカと同等のホームランド・ディフェンス戦力として州兵同等の組織を整備するのであれば、11万人の戦力を置いても良いはずです。

 しかも、アメリカ本土は、脅威となる国から離れています。それでも、これだけの警戒をしているのです。日本は、台湾進攻が行われた場合には、最前線の一歩後ろです。アメリカ本土よりも、よほど警戒が必要でしょう。

 アメリカ連邦軍は、戦闘が発生すれば、機動し、本土から遠く離れて戦います。州兵は国外に駆り出される(湾岸戦争など)こともありますが、基本的には、いついかなる時でも郷土にあって警戒にあたります。ホームランド・ディフェンス戦力として担保されているのです。

 アメリカの州兵以外にも、いわゆる国防軍とは別に、ホームランド・ディフェンスを任務とする組織を持っている国は多くあります。

 イタリアの「カラビニエリ」は、国家治安警察隊、国家憲兵、軍警察などとも訳され警察的活動を行いますが、軍(l'Arma)と呼ばれることもあるように、軍と警察の中間的存在です。イタリアの人口は日本の半数ほどですが、カラビニエリだけでも、11万もの兵力があります。フランスの国家憲兵隊も、カラビニエリに近い組織です。

 以前のロシアなど、内務省軍と呼ばれる組織として、国防省などではなく、内務省の指揮を受ける軍として編成されている国も数多くあります。それぞれの国情によって任務や編成が異なりますが、ホームランド・ディフェンスを担う組織として、国防軍とは別の軍組織を持っていることは珍しくないのです。

自衛隊の任務は何か

 さて、ここで冒頭クイズの答え合わせをしたいと思います。

 自衛隊の任務は何でしょう?

 この問いに「国民の生命と財産を守る」と答える人は多いでしょう。自衛官にも少なくありません。

 ですが、これは間違いです。自衛隊の任務は「平和と独立を守る」です。正確には、自衛隊法第3条第1項に「我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、我が国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当たるものとする」と規定されています。

 ホームランド・ディフェンスに該当するのは「必要に応じ、公共の秩序の維持に当たる」という部分です。これは、治安出動を行うための記述だと理解されています。任務に含まれてはいますが、「必要に応じ」とあるように常に課されている任務ではありません。

 歴史を振り返ってみましょう。

 1950年に朝鮮戦争が勃発し、日本国内に駐留していたアメリカ占領軍が日本を空けることになりました。そのため、GHQは日本政府に「警察予備隊」の編成を命じます。警察予備隊の任務は、警察予備隊令に「治安維持のため特別の必要がある場合において、内閣総理大臣の命を受け行動する」と定められていました。

 2年後の1952年、警察予備隊は「保安隊」に改められます。保安隊時の任務は、保安庁法に「わが国の平和と秩序を維持し、人命及び財産を保護する」と定められていました。

 歴史的にみると、ホームランド・ディフェンスだけが任務でしたが、警察予備隊から、保安隊、自衛隊へと変わる中で、国防の任が付与、主任務化され、それまで本業だったホームランド・ディフェンスが付加的(予備的)任務となったのです。

 その理由には、警察と防衛庁(当時)の縄張り争いなど、いろいろな要素がありましたが、日本の場合、警察力が優秀だったこと、および戦後は他国と本格的な衝突をすることがなかったため問題が顕在化せずに済んでいたのです。しかし、中国による台湾侵攻は、現在極めて憂慮すべき情勢にまできています。支作戦として日本国内での破壊活動が行われる可能性を、本気で警戒しなければなりません。

自衛隊とは別組織として編成を

 筆者としては、州兵やカラビニエリのよう現在の自衛隊とは別組織として、ホームランド・ディフェンスを担う組織を編成するべきだと思っています。その最大の理由は、別組織を作らず自衛隊の規模を拡大するのでは、人の確保ができないからです。

 もちろん、別組織にする場合でも、何万もの組織を一朝一夕に作ることはできません。相当苦労することになるでしょう。しかし、州兵などを参考にすれば、現在の自衛隊よりも募集を容易にすることは可能です。「県外への転勤なし」「営内(駐屯地や基地の内部)居住の必要なし」といった、自衛隊とは異なる条件で組織を編成できるためです。遠方への転勤や営内居住は、誰にとっても敬遠される条件となります。また、災害派遣での主力ともなるため、人助けをしたいという人にもアピールできるでしょう。

 こうしたリクルートの結果、今以上に自衛隊の募集が難しくなる可能性はあります。しかし、防衛費の増額が前提であれば、その分、自衛隊を給与や待遇面で優遇しても良いと考えます。アメリカの軍人は、自衛官と比べればはるかに好待遇です。

 アメリカでも、連邦軍と州兵では格の違いがあります。映画『ランボー』でやられ役だったように、装備面でも技量的でも州兵は連邦軍よりも下です。しかし、役割を考えればそれで問題ありません。装備の面では、高性能高価格な装備(ハイ)と低性能安価な装備(ロー)を組み合わせるハイローミックスが行われることがありますが、組織面でハイローミックスを行うということです。

 別組織として編成する場合は、その指揮や性格も、自衛隊とは異なるものにすることが可能です。そして、そこにメリットも生まれます。筆者としては、警察権も持つ方が効果的な組織になるため、カラビニエリのようなものの方が効果的だと考えます。しかし、左派マスコミが「特高の復活」などと騒ぎそうですし、何より高度な訓練が必要になり、ローになりません。その点を考慮すれば、州兵のような形態の方がよいかもしれません。

 ただし、警察権も付与するか否かにかかわらず、平時の指揮に関しては、防衛大臣の下に置くのではなく、州兵が州知事の指揮を受けているように、都道府県知事の指揮を受ける現行の警察のような形態が望ましいでしょう。知事の中には、都道府県民の生命や財産を守ることは国の責任であるかのように考えている方もいるように見受けられます。ホームランド・ディフェンスを担う組織を都道府県知事の指揮下として知事の責任を明確にすれば、現在のような無責任な態度はとれなくなるでしょう。

 逆に、警察を大幅に増強するプランもありますが、破壊工作に対して、警察官として、つまり警察官職務執行法の範囲で対処することは効果的ではありませんし、危険です。警察権を持つ組織とする場合でも、カラビニエリのように軍として動ける組織にするべきです。

必要な組織の規模と予算は?

 ホームランド・ディフェンスを担う組織を新たに立ち上げた場合、費用はもちろん規模に比例します。アメリカの場合、連邦軍は予備役を除き48万人、それに対し陸軍州兵は33万人です。人数比では約70%となります。イタリアの場合、正規陸軍11万に対し、カラビニエリも11万です。逆の例を出すと、イギリスのようにホームランド・ディフェンスのための組織を持たない国もあります。

 組織の性格や国情によるため、我が国での適正規模を見積もることは困難です。そこでここでは仮に、人口が日本の半分であるイタリアのカラビニエリと同規模として考えてみましょう。

 すると人数は約11万です。この数字は、偶然ですが、アメリカとの人口比で州兵相当とした場合と同じです。装備は、自衛隊ほどの重火力は必要がないため、整備費用は、規模の割には少なくて済むものの、当初は施設の建設費用なども必要となるため、当分の間は人数比で考えれば自衛隊と大差ない費用が必要になるでしょう。

 11万は、予備役を除く自衛隊の44%に当たります。この規模のホームランド・ディフェンスを担う組織を立ち上げれば、防衛費は現行の140%ほどになるでしょう。敵基地攻撃能力を高めるための新たな装備品などを購入するなどすれば、防衛費は倍増することになり、GDP比2%に迫るものと思われます。

 アメリカの要求と自民党の方針は、決して根拠のない数字ではないはずです。

(結論)ホームランド・ディフェンスを担う新組織を編成すべき

 筆者はかねてからホームランド・ディフェンスの能力を高めるべきだと考えていました。しかし、防衛費の大幅増額など望むべくもないと思っていました。そうなると、スクラップ・アンド・ビルドしかありません。2013年末に発表された防衛計画の大綱では、戦車の大幅な削減が打ち出されましたが、筆者はそれ以前から、戦車などを削減してホームランド・ディフェンスの能力が高い普通科を増強するべきだと主張していました。

 今後、本当に防衛費が倍増され、GDP比2%もの防衛予算が確保されるのであれば、まだ使用可能な戦車などを廃棄することなく、ホームランド・ディフェンスの能力を高めることができるでしょう。

 実際に防衛費が倍増されるかどうかは不透明ですが、もし可能であれば、敵基地攻撃能力などだけではなく、カラビニエリや州兵のようなホームランド・ディフェンスを担う新組織を編成すべきだと考えています。

 ◇

 2020年末現在、日本に中長期に滞在している中国人は77万8112人(194国中1位)です。 そのうち永住している中国人やその家族は29万1603人(2位)であり、それ以外の中国人が52万2072人だそうです。中国が国防動員法を発令した場合、国内在住の中国人がすべて破壊活動に参加しなくても、膨大な数の中国人がもし本当に破壊活動を行えば、11万人のホームランド・ディフェンス要因がそれを阻止できるのでしょうか。

 数多氏の提言は非常に貴重だと思いますが、現実には国防動員法を発令への抑止力を高めるしかないでしょう。もっとも日本国内にいる中国人が、アルカイダやIS、タリバンのようなテロや破壊活動を行えるか分かりません。

 可能な手段としては、中国がもし国防動員法を発令しようとするならば、在日中国人のすべてを国外退去にすると言って、中国に事前に申し入れることでしょう。その場合、日本で自由を経験した中国人の中の多くが、強制送還を拒否して国防動員法に従わないようになれば、一つの解決策にはなります。

 いずれにしても台湾有事にならないことが一番です。そのためには自由主義陣営が強く結束して、中国に対し経済や軍事の抑止力を働かせることでしょう。それはともかく、数多氏の提案の通りホームランド・ディフェンス組織を作るべきかも知れません。ただ平和になれきった日本国民が、その組織に応募するか、少し心配な点は残りますね。

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2021年11月18日 (木)

「竹島は日本の領土」地元学生解説員が若い世代へ継ぐ でもなぜ地元なのか 

Japanterritorytakeshimaandstudents003e16  今月16日、韓国の金昌龍・警察庁長官が竹島に上陸しました。これに対し日本は例によって「抗議」だけです。松野博一官房長官は記者会見で「竹島は歴史的事実に照らしても、国際法上も、明らかに日本固有の領土だ」と改めて強調した、とあります。

 「固有の領土」であれば、どうして自衛隊を派遣して、上陸を阻止しないのでしょう。日本の腰が引けた対応がいつまでも続きます。

 これには日本人の「竹島」に対する関心が低いこともあるでしょう。何しろ地元島根県開催の「竹島の日」記念日の式典に、首相はおろかどの閣僚も出席していません。メディアでも大きく扱われたことはないようです。まさか韓国に忖度しているのでしょうか。全く意味が分かりません。

 ところがこの「竹島」問題、なんと学生が取り上げました。産経新聞の藤原由梨氏が記述としたコラムから引用します。タイトルは『「竹島は日本の領土」学生解説員が若い世代へ継ぐ』(11/15公開 JAPANForward)です。

 ◇

韓国の不法占拠が続く竹島(島根県隠岐の島町)に関する資料を展示する松江市の竹島資料室に、10月から4人の大学生が「学生解説員」として配置された。事前に竹島について学習し、理解を深めた若者たちが、若者らしい視点で来場者に竹島問題を分かりやすく説明する。文部科学省の学習指導要領に基づき、学校現場でも竹島を固有の領土とする指導が段階的に始まっており、若い世代への啓発も進んでいる。

歴史を学ぶ

「みなさんは、竹島についてご存じでしょうか」

10月上旬の土曜日の午後、竹島資料室の一室で、いずれも島根県立大人間文化学部1年、坪井慶太さん(18)と綱井亘さん(19)が、呼びかける。2人は、竹島が日本の領土であることを学ぶ資料室のスライドを使って説明を始めた。

江戸時代の元禄9(1696)年に鳥取藩から江戸幕府に提出された竹島周辺の絵図を示したり、竹島の位置や形状を説明したりと基礎知識から入る。

2人は途中で説明役とスライド操作役を交代しながら、一生懸命に話を続ける。

そして、明治30年代以降、隠岐の人たちによる竹島でのアシカ猟やワカメ採取が行われていたことが分かる写真を提示して竹島が日本人の暮らしに結びついていたことを伝え、韓国による不法占拠の歴史、問題解決への国や県の取り組みも紹介。「竹島についての正しい知識をみんなで学びましょう」と約10分間の解説を締めくくった。

坪井さんは「基本のシナリオをただ読み上げるだけでなく、より伝わりやすいように、自分の言葉で話していきたい」と意気込む。資料室の啓発推進員、藤原弘さん(68)も「私みたいな年寄りが話すより、よっぽど若い人も興味を持ってくれますよ」と目を細める。

さらに深く

学生解説員による解説は、来年2月まで、毎週土曜の午後1~5時に希望者に対して行われる。昨年から県が始めた取り組みで、昨年の島根大に続き、今年は県立大の学生が担当することになった。

今年は坪井さん、綱井さんのほか、県立大2年の景山翔那(しょうな)さん(20)、1年の春山璃桜(りお)さん(18)の4人が協力する。事前に竹島の専門家から講義を受けるなど勉強会を重ね、解説に臨んでいる。

鳥取県出身の坪井さんは、子供のころからニュースで竹島について目にしたり、授業で学ぶ機会が多かったという。

「7月に大学で学生解説員を募集しているのを知り、さらに深く学んでみたいと応募した。解説員になるにあたって、竹島問題を調べるほど、この問題は一筋縄ではいかないとあらためて感じている」

香川県出身の綱井さんは「私はもともと領土問題に興味があった。募集を知って、日本の取り組みや韓国の主張をもっと具体的に知るチャンスだと応募した」と話す。

県竹島対策室の岩崎靖室長によると、県の調査で竹島問題を知らないという若い世代が増えているという。「大学生を通じて問題を周知することで、若者に関心を持ってもらえると考えた」

資料室の来館者も、平成30年度は約5千人、令和元年度は約6800人だったが、2年度は新型コロナウイルスの感染拡大もあり、約3800人に落ち込んだ。

岩崎室長は「竹島問題への関心が薄れているわけではないが、今後も継続して県民、国民に啓発を行いたい」と訴える。

小・中・高でも

学校現場でも、竹島問題に関する学習は広がっている。

島根県では平成21年度からすべての県内の公立小中学校・高校・特別支援学校で竹島学習が行われている。

全国でも文部科学省の学習指導要領の改訂により、竹島について「日本固有の領土」と指導するよう明記された。小学校では令和2年度から、中学校では今年度から、高校では来年度から社会などの授業で学習が行われる。

県教育庁教育指導課の担当者は「全国で竹島が固有の領土と指導されることはうれしく受け止めている」と話す。

学生解説員の綱井さんも言う。「私は竹島や領土問題に興味があったが、友人の中には『竹島という言葉は知っているけど、何が問題かよく分からない』という子もいた。問題が解決に至るよう、若い世代でも考えていきたい」

 ◇

 こういった取り組みには全面的に賛同します。でもなぜ地元主体で国が出て行かないのでしょうね。尖閣諸島の問題は米国も巻き込み、政府も本腰を入れているようですし、拉致問題も前進はないにしても、政府が前面に出て国民の間にも知れ渡っています。

 なぜ竹島問題は政府が前面に出ないのでしょう。韓国と裏取引でもあるのでしょうか。在日韓国人の組織「民団」が怖いのでしょうか。米国が、「現状維持が好ましい」と言っていることへの忖度でしょうか。そのあたりの背景と理由を政府ははっきり国民に示すべきでしょう。この学生の動きには感銘しますが、政府・外務省の見解をはっきり聞かない限り、日本の主権を問われているこの問題に関し、全く納得できませんね。

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2021年11月17日 (水)

何よりもカネを信じ、すぐ買い占めに走る「中国人」の心理

211123p17mangathumb720xauto294435  今回は中国の国民性を取り上げます。中国人と言っても14億人もいるわけですから、中国人は皆こうです、と言う断定的なことは言えないでしょう。日本人だって同じです。

 ところで一般的に、中国人の国民性というと「拝金主義」と口汚く言う人がいますが、あながち間違ってはいないようです。Newsweek誌に載った風刺コラムに、その一片を見ることができます。タイトルは『何よりもカネを信じ、すぐ買い占めに走る「中国人」の心理』(11/16)で、以下に引用します。

 ◇

<台湾で「買い占めが起きている」と中国メディアが報じると、中国で買い占めが起きた。その心理の根本にあるものとは?>

中国のCCTV(中国中央電視台)ネット版は10月31日、「42.6%の台湾民衆が台湾海峡での戦争を恐れ、一部は買い占めを始めた」という記事を報じた。根拠がない内容で、台湾人は平気で暮らしていたが、何と逆の事態が起きた。中国国内で買い占め騒動が発生したのだ。

きっかけは商務省が11月1日に出した「日常生活における緊急事態に対応するため、各家庭は一定の生活必需品を貯蔵すべき」という通知だ。これは中国人に台湾との戦争を連想させ、後に政府は例年同じ通知を出していると弁解したが、なかには300キロのコメを買い占めた人もいた。

中国人はなぜ買い占めに走るのか。かつて深刻な物資不足の時代を経験しているからだけではない。政府の朝令暮改、政策決定の不透明さ、情報公開不足に根本的な原因がある。中国人はデマを信じやすく不安になりがちで、ちょっとしたことでも慌てて食料や生活必需品を買い占めようとする。

高官が国民の投票でなく、上層部の「関係」によって決められることも政府不信の原因だろう。高官たちは自分より上の権力者の顔色をうかがいがちだ。

ミャンマー国境に接する雲南省瑞麗市は、中央政府の「新型コロナウイルスの感染ゼロ」目標を徹底するため、今年だけで5回もロックダウン(都市封鎖)した。工場や会社は休業となり、ほとんどの人はこの1年間無収入で政府から補助金ももらえない。一方でローンは支払わなければならず、「瑞麗の人々を助けて!」という投稿もネットに出現した。だが市長ら地元官僚は中央からの責任追及を恐れ「生活は安定しており、よそからの援助は必要ない」と、市民の窮状を断固否定した。

中国では、庶民の訴えが簡単に無視される。だから彼らはあれこれ知恵を絞ってカネを儲け、十分な量の食料や生活必需品をそばに置いて初めて安心できる。買い占めだけが唯一、自分と家族を守ってくれる手段なのである。

「中国共産党は中国人民の幸福を図ることを自らの使命としている」と、習近平(シー・チンピン)主席は昨年の重要講話の中で発言した。台湾統一も彼の使命だが、こんな「幸福」なら台湾人は断固お断りだろう。

 ◇

 日本でもオイルショックや緊急事態宣言下で、トイレットペーパーなどの買い占めが起こりました。しかし「デマ」を元にした買い占めは殆どないでしょう。あの「イソジンでコロナが抑えられる」と吉村知事が発言して、買いまくりが起こった件も、完全なデマとは言えないでしょう。

 それより中国人の「拝金主義」は、どうも共産党政府が信じられない、ということから来ているようです。我々外の人間から見ると、共産党が信じられないのは至極当たり前に思いますが、情報を完全に統制している中国においても、国民はうすうす気づいているのですね。共産党員自身も自国を信用できなくて、幹部になるほどアメリカなどに資産を移していることから、信じていないことが窺えます。

 そんな国民の不信感の中で、習近平氏は来年三期目の国家主席につくようですが、その任期5年のうちに、中国の崩壊が始まるかも知れません。神のみぞ知る、でしょうが。

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2021年11月16日 (火)

高市政調会長「10万円相当給付」合意への不満

Takaichi  日刊ゲンダイと言えば、左派(リベラルと言いたくないのでこの表現)の代表のようなタブロイド紙ですが、その記事の中に面白いのがありましたので取り上げます。

 タイトルは『高市政調会長「10万円相当給付」合意の内幕暴露 “蚊帳の外”に不満MAXで岸田首相に反乱か』(11/15)で、以下に引用します。

 ◇

 19日の経済政策決定まで、まだひと悶着ありそうだ。

 18歳以下を対象にした10万円相当の給付は、先週、岸田首相と山口代表との自公党首会談で、年収960万円以上の世帯は対象外とする所得制限を付けることで合意し、条件の「世帯」について岸田は児童手当のしくみと同じ「世帯主単位」だと明言。これだと、夫婦共に年収950万円を稼ぎ、世帯年収が1900万円でも支給対象になってしまうため、ネット上は批判で大荒れだったが、与党の政策責任者である高市政調会長までこれに噛みついた。12日放送のインターネット番組で「共働き家庭でそれぞれが960万円くらい稼いでいたらすごい金額になる。個人の収入だと非常に不公平が起きてしまう」と不満タラタラだったのだ。

 高市氏は公明党が選挙公約にした「18歳以下への10万円給付」に最初から反対し、「自民党の公約とは全く内容が違います」とバッサリ切り捨て、「自民党議員の事務所に抗議が殺到している」とツイートするほどだった。そうやって大騒ぎした結果、公明案は「所得制限付き」に修正されたわけだが、高市氏は納得していないようだ。

「幹事長同士で話をする」に不満タラタラ

 ネット番組の司会の櫻井よしこ氏に対し、「岸田首相から『幹事長同士で話をする』と電話があった。公約を書いた当事者(政調会長)同士だとハブとマングースの戦いになってしまうと、岸田首相と山口代表の判断だったのだろうと推測するが……」などと内情を暴露した上で、週明けの自民党内での政策を議論する会議で、世帯主単位の所得制限について異論が出る可能性を示唆したのだった。

「高市さんは暗に『なぜ政策責任者の私を外すのか』と訴えているのでしょう。岸田首相が高市さんを党三役に就けたのは、安倍元首相に配慮しただけ。政策通の茂木幹事長には、高市さんを抑える役目も期待している。外されたことが分かった高市さんが、このままおとなしくしているはずがなく、ネット世論をバックに反乱を起こしかねません」(自民党関係者)

 安倍元首相も、林外相の起用などの人事で岸田に対して不満を募らせている。今後、自民党内は「岸田・茂木vs安倍・高市」の暗闘が激しくなりそうだ。

 ◇

 ハブとマングースの戦いの方が、見応えもあり、死闘の末有効な案に落ち着いたのかも知れません。岸田首相への記者の質問に対し、首相は「所帯、所帯」と二度言った後に「所帯主」と答えているあたり、彼自身にも迷いがあったのでしょう。

 いずれにせよ、やはり党三役となれば幹事長が上という認識があります。従って、こと政策に関しても、政調会長より幹事長の方に決定権があるようです。であれば、次の党役員改選では高市氏に幹事長になってもらいたいですね。そして3年後には首相に、と言うのが我々の共通の願いでもあります。

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2021年11月15日 (月)

野党の体たらくが招く日本の不幸:「国民のための国会に」

2021110200000029nkgendai0001view  国会の改革が叫ばれて久しくなります。なぜ改革しなければならないのか、それは国会が国家、国民のために必要で十分な質疑を行い、法律を制定し、予算を決定し、条約締結のための承認を行い、憲法改正の発議をするところなのに、その機能や権限を十分に発揮していないところにあります。

 その原因は与野党の議論が国家、国民のためという大前提を外れ、党利党略に明け暮れているところにあります。特に野党側にその責任が大きい。つまり批判のための批判しかしない野党が多くを占めていることにあります。いわゆる「健全な野党」が育っていないのです。

 今回はその点に焦点を当てます。産経新聞の政治部長の大谷次郎氏が同紙のコラムで見解を述べています。タイトルは『「健全な野党」なぜ育たない 尾を引く立共「共闘路線」の失敗』で、以下に引用して掲載します。

 ◇

日本には政権交代可能な「健全な野党」が育っていない。今回の衆院選で立憲民主党と共産党は政権奪取した際の「限定的な閣外協力」で手を結び、野党候補の一本化に突き進んだが、結果は惨敗。国民は自民党と公明党の連立与党に軍配をあげた。緊張感のある政治を生むはずの健全な野党が誕生するだろうか。永田町の勢力図がどう変化するのか目が離せない。

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相いれない相手と

立憲民主党は12日、国会内で両院議員総会を開き、10月の衆院選で議席を減らした責任をとって辞意を表明していた枝野幸男代表の辞任を正式に了承した。枝野氏は吹っ切れたような表情で、「新しい代表のもと、政権獲得に向けて一致結束してもらいたい」と述べた。

立憲民主党は今回、公示前の110議席から14議席減らし、96議席にとどまった。その大きな要因は、枝野氏が今年9月に共産党の志位和夫委員長と合意した「限定的な閣外協力」だったといえる。複数の野党候補が互いの票を奪い合うことを避けるため候補者の一本化を狙ったとはいえ、あまりに拙速だった。

共産党は「日米安全保障条約の廃棄」「米軍基地の撤退」「自衛隊の解消」を掲げており、枝野氏の「日米同盟を軸とした現実的な外交・安全保障政策」とは本来、全く相いれない。

折しも、中国とロシアの海軍艦艇が日本を周回する特異な行動に出たほか、北朝鮮が新型とみられる弾道ミサイルの発射を繰り返している。日本を取り巻く安全保障環境は厳しさを増しており、立共「共闘」路線に国民が違和感を覚えたことは間違いない。

自民党幹部も一斉に批判を展開した。麻生太郎副総裁は街頭演説で「立憲民主党はいま『立憲共産党』になっている。日本のかじ取りを任せるわけにはいかない」と攻撃し、甘利明幹事長(当時)も「政府の意思決定に共産党の意思が入ってくる。日本の政治史上、一度もなかったことだ」と牽制(けんせい)した。

枝野氏は衆院選期間中、「閣外協力ではない。閣外『からの』協力だ」と共産党と一定の距離を置いたが、志位氏は「閣外協力」と言い続けた。共産党は「協力関係を発展させたい」として、来年夏の参院選に向けて共闘路線を続ける構えを見せる。

立憲民主党は枝野氏の代表辞任に伴う代表選を19日告示・30日投開票の日程で行う。新代表は共闘路線を継続するか、見直しにかじを切るのかが焦点となる。

二大政党制は遠く

「政権交代可能な二大政党制」「政策本位の政治体制」を目指した政治改革関連法が成立したのは平成6年のこと。その新しい小選挙区比例代表並立制で初めて衆院選が行われたのが、ちょうど四半世紀前の8年10月だ。以来9回の衆院選が行われている。

21年の衆院選で、当時の民主党が自民党から政権を奪取し、二大政党制が定着するかに思われた。ところが首相が約1年ごとに交代するなど迷走を続けた。政権運営は行き詰まり、「悪夢の民主党政権」とまでいわれた。

自民党が24年の衆院選で再び政権の座に就くと、安倍晋三元首相の長期政権が続く。国政選挙で勝利を重ね、自民党「1強」といわれた。

この間、野党勢力は離合集散を繰り返し「多弱」と揶揄(やゆ)されてきた。

ただ、立憲民主党は昨年9月、たもとを分かった旧国民民主党の大半の議員を取り込む形で、新たな立憲民主党を発足させる。今年4月の衆参3補選・再選挙で野党系候補が全勝した。野党勢力が結束すれば次期衆院選でも勝機が見いだせるとの空気が広まった。

立憲民主党は今回、全選挙区の7割以上にあたる213選挙区で共産党などと野党候補を一本化した。135選挙区で事実上の与野党一騎打ちの構図に持ち込むと、「政権交代を実現する」「政権選択の選挙だ」と息巻いた。

しかし、やはり拙速だったようだ。政策本位でなければ国民の目には単なる数合わせに映る。立憲民主党は支援団体である日本労働組合総連合会(連合)からも距離を置かれた。政権担当能力に疑問符がつくのは当然だ。立共共闘のつまずきは野党第一党の立場さえ揺るがしかねない。

疑似政権交代論

政権を担える「健全な野党」が存在しなければ、今後も自民党と公明党の連立政権が続くことになる。自民党内の「二大派閥体制」を持論とする麻生氏はかつて、こう語っていた。

「学生時代、二大政党が政権交代することが民主主義の最も正しい姿だと学んだ。だが、自民党の中で大きな政策集団(派閥)が切磋琢磨(せっさたくま)する形の方が、よほど政治が安定し、きちんとした政策ができる」

自民党の伝統派閥・宏池会の流れをくむ岸田派(宏池会=42人)と麻生派(志公会=53人)、谷垣グループ(有隣会)が再結集すれば、最大派閥の安倍派(清和政策研究会=93人)と勢力が拮(きっ)抗(こう)する2つの大きな派閥ができる。両派から交互に総裁を出し、党内で疑似政権交代を繰り返すことで政治は安定するという発想だ。

麻生氏は野党の凋落(ちょうらく)を受け、「自民党の二大派閥体制に収斂(しゅうれん)していくだろう。焦る必要はない」と周囲に語っている。今後も政権担当能力のある野党勢力は出てこない、と言わんばかりだ。安倍派は、約9年ぶりに細田派に戻った安倍氏が派閥会長に就任し、衣替えした。二大派閥体制の動きが進む可能性がある。

先の衆院選で、長期政権の「緩み」が指摘される自民党への批判・不満票が流れた先は、「共産アレルギー」も手伝って、立共「共闘」路線と一線を画した日本維新の会だった。「対立より解決」を掲げた国民民主党でもあった。

日本維新の会の松井一郎代表は今月6日、初当選した議員らを前に「41議席をとったから自分が国を動かすなんていうと、それはウソ八百だ。動かす力なんかない。衆院選で約束したことを一つ一つ確実にやることだ」と党内の引き締めを図った。

国民民主党の玉木雄一郎代表も4日の記者会見で「あらゆる政党と、ときには与党とも一致できるところは賛成する。マスコミの前でパフォーマンス的にやることは避けたい」と述べ、政策本位で判断していく考えを強調した。

両党は連携して国会対応などを行うことを確認したが、健全な野党として展望が描けているわけではない。自公連立政権に批判的な立場をとり続けたら立憲民主党などと同じだと見られてしまう。逆に自公政権に近寄り過ぎれば、からめ捕られかねない。第三極としての立ち位置は難しい。

これから立憲民主党が再び野党勢力を糾合する核になるか。第三極が存在感を示し、さらに勢力を拡大させるのか。

いずれにせよ、政権担当能力を備えた健全な野党が誕生するには時間がかかりそうで、自民党内の派閥による疑似政権交代が続く可能性が高い。

 ◇

 二大政党を目指すならば、アメリカやイギリスのような、両方の政党共に政権を担うことのできる、しっかりした理念や現実的な実行力を持たなければならないでしょう。残念ながら今の野党の何処も、外交や経済、安全保障や社会保障などのすべてにおいて、国を動かしていく力は持ち合わしていません。

 ですから結果として、何とか数を増やしたいがために、野合を重ねたり、与党を批判することでしか、存在感を示せないのだと思います。「健全な野党」を生むためにも、国会の機能の原点に返り、国や国民のため十分議論のできる国会議員作りをすることから始めるしかありません。国会議員の質が向上しない限り、「健全な野党」も二大政党制も空論に終わってしまうでしょう。

 また、二大政党制が日本の政治風土に合っているのかも、議論の対象になると思います。国会の制度改革をしっかりすれば、批判やスキャンダル追及だけの質疑はなくせますし、国益や国民の利益に沿わない、無駄な議論もなくせるでしょう。そうなれば多党の中での健全国会も成り立つと思います。要は議員一人一人の質の向上にかかっていますし、それはすなわち、議員を選ぶ側の国民一人一人の真剣な政治参画意識につながっているものだと思います。

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2021年11月14日 (日)

国家主権の概念なき「専守防衛」では国民は守れない

2e3f6434ec303d62d72d26a22690f1b3  日本の国防は「専守防衛」を基軸としていると聞きます。「専守防衛」は、オックスフォードランゲッジの定義によると「先制攻撃を行わず、相手国の攻撃を受けてから自国領土またはその周辺で、必要な軍事力を行使して守備と防衛に徹すること」とあります。

 私はこの「専守防衛」は、もし相手の攻撃を受けたとき、致命的な打撃を負ったらどうするのか、勝てないどころか対等な戦いもできない、と思います。しかも今やミサイルやサイバー攻撃の時代、「専守防衛」など意味がなくなっていると思います。

 産経新聞のコラムに、この件について、前統合幕僚長の河野克俊氏の見解が記述されていますので以下に引用します。タイトルは『「国家の品格」落とす専守防衛』(11/10)です。 

 ◇

9月の自民党総裁選では安全保障の問題が比較的活発に論じられ、なかでも「敵基地攻撃」をキーワードとする論争が展開された。だが、賛否両論が交錯し、結局、どのような形で実現するのか確たる方向性は見えてこなかった。

その後の衆院選でも状況は変わらないなかで「その前に考えておくべき重要な問題がある」と、前統合幕僚長の河野克俊氏が唱えていることを知り、さっそく話を聞いてみた。

河野氏は「専守防衛の見直し」が重要であるとずばり指摘する。専守防衛は戦後の防衛政策の背骨のようなもので、日本の抑止力の強化を妨げる弊害をもたらしてきた。防衛省のホームページや防衛白書などあらゆるところに「相手から武力攻撃を受けたときにはじめて防衛力を行使し、その態様も自衛のための必要最小限にとどめ、また、保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限るなど、憲法の精神に則(のっと)った受動的な防衛戦略の姿勢」と今も書かれている。

「専守防衛は憲法9条にはひと言も書かれていない。憲法の精神を受けて専守防衛にするということでやってきたが、政府は日本の国民を守らなければならない。日本がやられるまで攻撃しないというのは、本当に正しいのか。行き過ぎではないか」と河野氏は指摘する。また、専守防衛を厳格に解釈し、これを日米同盟のあり方にまで落とし込んできたことにも河野氏は危惧を示す。自衛隊は防御専門で米軍は他国への攻撃を担う「盾と矛」の役割分担のままでよいのかという問題意識である。

今こそ本音の議論

「攻撃はアメリカにお願いします、日本は汚れ仕事はやりませんというのは、国家の品格にかかわる。そのことを誰も不思議に思わないのはおかしい」

政府・与党内では、北朝鮮のミサイル発射などを受けては「敵基地攻撃」が議論に上る。専守防衛で日本の防衛政策が狭く解釈されてきた中でも、さすがに「日本人は野垂れ死にしてもよい」とは言えず、政府はこれが憲法上も認められると解釈してきた。ただ、あくまで例外的なケースと位置づけ、「やれるけれど政策的にはやらない」ということでその具体化は先送りされてきた。

また、敵基地攻撃の議論が起きると「攻撃はいつ正当化されるのか」「敵が燃料を注入しはじめたときか、半分くらい入ったらよいか」などと、自衛隊の戦術のレベルにもかかわる話が国会内外で盛り上がり、時間の経過とともに沈静化する。その繰り返しだった。

河野氏は「憲法の精神は本当にそういうものなのか。日本を守るために米国に攻撃を頼むということは、日本は攻撃の必要性を認めているということ。つまり、攻撃力が必要なことは知っている」と語る。常識的で本音の議論を求めている。

Large_210317_f4_01 専守防衛は自衛隊が「必要最小限の防衛力」という制約の下で活動するため、もっぱら国会対策、野党対策として用いられる概念だった点も大きい。昭和40年代に導入されたF4戦闘機(左図)は「長い航続距離は周辺国に脅威を与える」との異論があるため、空中給油装置が取り外された。いったい誰のための専守防衛か、という疑問は古くからある。

国家戦略改定時に

昨年末、敵の射程圏外から攻撃する「スタンド・オフ防衛能力の強化」が閣議決定された際、安倍晋三元首相が検討を求めた敵基地攻撃能力の保有にはあたらないと説明され、自衛隊員の安全確保と効果的な攻撃阻止が目的に挙げられた。戦闘機乗員の危険を低減するのは当然としても、攻撃能力の向上はあまり強調されず、しかもそれが中国の脅威に対処するためだと明確に説明されているわけではない。ここでも、空中給油と同様に「周辺国」への過剰な配慮がうかがえる。

専守防衛が抑止力を妨げることで、より多くの国民の生命が失われかねない。そのことに責任を負う意識を政治家は持っているか。そこが問われている。

「日本としてここまで攻撃力を持ちますということを議論すべきではないか」との観点から、河野氏は国家安全保障戦略の改定とともに専守防衛の考え方を整理すべきだと述べる。

岸田文雄首相は平成27年の「日米防衛協力のための指針」(新ガイドライン)の策定に外相としてあたった。安全保障環境の悪化や日米が共同対処する重要性はよく理解しているだろう。憲法改正に臨む原点として、国民を守る政治のありようを示してほしい。

 ◇

 剣道でもボクシングでも、相手が攻撃してくるまで攻撃しなければ、一撃でメンやドウを決められたり、強烈なフックを決められたり、始めから負けることを前提での試合になるでしょう。しかもこちらが先に攻撃しませんよ、と相手に分かっていればなおさらです。

 こんなことは子供でも分かるはずの理論でしょう。「専守防衛」は占領政策の中からできあがった、「もう二度と連合国には楯突きません」と誓わせた、日本弱体化の負の遺産だと思います。憲法9条と共にこの「専守防衛」を捨て去らなければ、河野氏の言うとおり「国家の品格」つまり「国家の主権」の放棄につながるものだと強く思います。

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2021年11月13日 (土)

真珠湾攻撃から80年 奇跡の大作戦は「職人芸」の結集だった

O1024043714454976796  もうすぐあの日米開戦から80年を迎えます。大東亜戦争の記憶と言えば、広島・長崎への原爆投下、ソ連参戦・シベリア抑留、沖縄戦での死闘や東京大空襲そして玉音放送と、日本の戦禍と敗戦の記憶が色濃く映し出されます。そして真珠湾攻撃に関しては、奇襲、だまし討ちという負の部分が多く語られます。

 しかし開戦の端緒となったこの真珠湾攻撃を、肯定的に捉えた記述もあります。決して戦争賛美ではありません、客観的にその攻撃を映し出しています。産経新聞の佐渡勝美氏のコラムがそれです。タイトルは『真珠湾攻撃から80年 奇跡の大作戦は〝職人芸〟の結集だった』(11/12)で、以下に引用して掲載します。

 ◇

今年の12月8日は、日本が対米開戦に踏み切った真珠湾攻撃から80年に当たる。この世界を震撼させた大作戦は単なる「奇襲」では断じてなく、当時の軍事技術の粋や日本の〝職人芸〟を結集させた、奇跡の作戦であった。ただ、現場からは不満もあがっていた。日米開戦50年の年(平成3年)に筆者が取材した3人の真珠湾攻撃参戦パイロットの証言を柱に、この作戦の一端をひもとく。

荒波の難ルート

話を聞いたのは、空母「赤城」の急降下爆撃隊中隊長だった阿部善次氏(真珠湾攻撃時25歳)▽空母「蒼龍」の水平爆撃隊員だった大多和達也氏(同22歳)▽空母「翔鶴」の戦闘機隊員だった小町定氏(同21歳)。30年前の取材時は70歳代だったが、すでに3人とも鬼籍に入った。

「あの荒波の難ルートで空母機動部隊が日本からハワイ北方までたどり着けたこと自体が、まず奇跡だった」(阿部氏)

空母6隻(艦載機399)、戦艦2隻、巡洋艦3隻、駆逐艦9隻、特殊潜航艇5隻などからなる旧日本海軍の機動部隊は昭和16(1941)年11月下旬、千島列島・択捉(えろろふ)島の単冠(ひとかっぷ)湾に密かに集結。11月26日に出港し、ハワイ・オアフ島の真珠湾を目指して進撃を始めた。

航路は、そのまま東に針路を取り、経度がハワイ諸島とほぼ同じ地点に達してから一気に北太平洋を南に縦断するというものだった。しかし、冬の北太平洋は暴風が常に吹き荒れて波が高く、到底、船舶の航行は不可能というのが当時の常識だった。

阿部氏によると「戦う前に機動部隊は北太平洋で難破してしまうのではないかと懸念する声も多かった」というが、まさにそこが連合艦隊司令長官・山本五十六大将の狙いであった。通常、日本からハワイを目指すのであれば、西太平洋横断ルートが常識だが、それでは他に航行する船舶、艦艇も多く、米軍の索敵活動も盛んなため、機動部隊の動きが把握されてしまうのは必至だった。

ありえない北太平洋縦断ルートをとることで、米軍に察知されることなく、ハワイに迫ろうとしたわけである。

高波は強烈だった。

「搭乗員はハンモックで寝ていたが、夜通し空母の揺れがひどくて隣の隊員とぶつかり、なかなか寝付けなかった」(大多和氏)

「初陣の興奮と揺れの激しさで寝られず、毎晩酒を飲んでいた」(小町氏)

ちなみに酒類は艦内で販売されており、搭乗員の飲酒は許されていたという。無寄港での片道約6000キロという空母の移動距離も、前例のない驚異的なものだった。このため、通常の燃料庫を満載にしただけでは必要量が積載できず、「隙間という隙間に燃料缶が積まれ、火気厳重注意が通達されていた」(小町氏)という。

神業的な技量

機動部隊の隠密行動は徹底された。航行中、無線発信は一切封印され、受信した暗号も12月2日に連合艦隊司令部から発せられた「新高山登レ1208」(ニイタカヤマノボレヒトフタマルハチ)という暗号電だけだった。

日米交渉の進展によっては、機動部隊は日本に引き返すこともあり得たが、この12月8日の真珠湾攻撃を命じる暗号電によって作戦遂行が最終決定された。

米国は真珠湾攻撃を受けた時点では日本の外交文書の暗号は解読していたが、海軍の暗号はまだ解読できていなかった。

米軍のレーダーの探知圏(約250キロ)外のハワイ諸島の北方約400キロに到達した機動部隊は、日本時間の12月8日午前1時30分(現地7日午前6時30分)、空母6隻から第1波攻撃隊183機(未帰還9機)を発進させた。

約1時間後に167機(未帰還20機)からなる第2波攻撃隊として赤城から出撃する阿部氏はこの時のことを「荒波で空母のヨーイング(左右の揺れ)は20度ぐらいあった。この状態での艦載機出撃は普通ならあり得ないが、真珠湾攻撃に選抜されたパイロットの技量レベルであれば問題なかった。全員、〝特技〟を身に着けていた」と話した。

特技とは、鹿児島湾(錦江湾)周辺の陸地での発着艦訓練で習得したもので、空母の飛行甲板に見立てた滑走路に搭乗機で上空からゆらゆらと水平に近づき、最後は速度がゼロになった段階で地上1メートル未満の地点からストンと落ちるように地上に降りる技だった。自在の職人技が、悪条件下での発着艦を可能にしていた。

第1波攻撃隊で蒼龍から出撃した大多和氏の任務は、97式艦上攻撃機を操縦し、同乗の爆撃手と呼吸を合わせて重さ800キロの徹甲弾を高度3000メートルから投下して一撃で戦艦の装甲を破る打撃(水平爆撃)を与えることだった。

しかし、命中させるには神業的技量が要求された。第1波、第2波攻撃で水平爆撃を担う計103機の97式艦上攻撃機が出撃したが、徹甲弾を米戦艦8隻に命中させたのは約30機とみられている。大多和氏は戦艦「ネバダ」を標的にし、雲で着弾は視認できなかったが、上がった火炎と風圧から命中を確信したという。

木製ひれが生んだ秘密兵器

破壊力は大きいが命中率の低さが難点だった水平爆撃に対して、高い命中率で威力を発揮したのが、雷撃機(計40機)による魚雷攻撃で、90%以上の命中率をあげた。しかし、当初は航空機による雷撃は真珠湾では不可能とみられていた。

それまでの航空機による魚雷攻撃は、約100メートルの上空から投下した魚雷が60~80メートルの海中にいったん沈んでから浮上し、直進して敵艦を目指すというものだった。しかし、真珠湾の水深は12メートルしかなかった。

パイロットの技量を高めて高度10メートルを切る超低空での飛行を可能にしても、鹿児島湾での実験では最低20メートルの水深が雷撃には必要であった。この状況を打開したのが、海軍技術将校の愛甲文雄大佐(開戦時40歳)のアイデアだった。

戦後は神奈川県逗子市でプラスチック製品製造工場を営んだ愛甲氏のまさに職人的発想が生んだ工夫は、魚雷尾部の縦舵と横舵部分に木製のひれ(長さ約60センチ)を取り付けるというもの。鹿児島湾での実験で木製のひれのさまざまな形態、長さ、角度を試し、高度20メートル程度から落としても10メートル以上は沈まず、直進の際の海中雷道も安定する浅海面魚雷が完成した。真珠湾攻撃3カ月前のことだった。

実は筆者は、平成3年11月、真珠湾攻撃50年を前に浅海面魚雷の開発秘話を聞こうと愛甲氏に取材を申し込んだのだが、「体調がすぐれない」(愛甲氏)という事情から、実現しなった。その3日後の同月14日未明、愛甲氏は火災で夫人とともに不慮の死を遂げた。

同日夜、逗子市の全焼した愛甲氏の自宅を尋ねると、次男の次郎氏(元ソニー専務)が「父は海軍時代から高松宮殿下と親交があり、殿下から『アメリカとの戦で勝ったのは、愛甲がかかわった一戦(真珠湾)だけだったね』といわれた、とよく自慢げに話していました」と思い出を語ってくれた。

幻の「空中決戦」

第2波攻撃隊の急降下爆撃隊中隊長として赤城から出撃した阿部氏が真珠湾に到達した頃には、上空は修羅場と化していた。反撃らしい反撃を受けなかった第1波攻撃隊と異なり、対空砲火による米軍の激しい反撃が始まっていたからだ。

「出撃前、主目標だった空母群が停泊していないと聞き、がっかりしたのを覚えている。このため指令は戦艦への重複攻撃だったが、とにかく視界が悪かった」(阿部氏)

火炎や煙で標的が見えづらく、阿部氏は対空砲火の弾道を逆にたどって決死の思いで急降下爆撃を仕掛けたという。しかし、阿部氏は「第2波攻撃は無駄ダマだった。すでに第1波攻撃で90%以上の戦果をあげており、重複攻撃は意味がなかった。第2波は攻撃目標を石油タンクや軍施設に切り替えるべきだった。そうすれば、戦局はさらに大きく変わっていたはずだ」と当時の思いを語った。

第2波攻撃が行われていたころ、小町氏は零式艦上戦闘機(ゼロ戦)に搭乗し、機動部隊の上空直掩(ちょくえん)の任務に当たっていた。米軍が航空機での機動部隊への反撃を試みてきた場合、これを迎撃し、味方艦艇を守るのが上空直掩だ。

ハワイの基地から飛び立って機動部隊を攻撃しようとした航空機は皆無だったが、当初、真珠湾に停泊しているとみられた2隻の空母「エンタープライズ」と「レキシントン」の所在が不明であったため、急襲される可能性は現実味を帯びていた。

「どこからでもかかってこいと、急襲に備えたが、結局、2時間ほどの飛行中、敵機は現れなかった」(小町氏)

この時、レキシントンはミッドウェー方面で展開中で参戦は不可能だったが、エンタープライズはオアフ島の西約320キロの地点にいた。大混乱に陥っていたハワイの司令部は、日本の空母を発見したら反撃するようにエンタープライズに命じ、実際、一矢を報いようと同艦からは攻撃隊が出撃した。

オアフ島の北約400キロで展開していた機動部隊も索敵機を飛ばして米空母を探したが、見つけられなかった。結局、日米双方が探し合っていた空母は遭遇することなく、史上初の空母艦載機同士による空中決戦は持ち越しとなった。

悔いを残しての帰投

阿部氏が赤城に帰還すると、甲板では第1波攻撃で出撃、帰還した航空機に燃料と兵器が補充され、第3波攻撃の準備がされていた。「現場は当然、第3波をやると思っていた」(阿部氏)が、下った命令は、作戦終了、日本への帰投だった。

阿部氏は「なぜだ、と信じられない思いだった。工廠など攻撃目標はまだ多数残っていたし、そもそも艦載機の半分を失ってでも徹底的に戦い抜くと申し合わせていたはずだ。空母だって探し出せただろう」と振り返った。

攻撃で出撃した350機のうち未帰還は29機にとどまり、艦艇は無傷だった。大多和氏も「ほとんどの搭乗員が地団駄を踏んで悔しがった。帰国の途では、真珠湾に大きな悔いを残してきた思いでいっぱいだった」と話した。

1997年に公開された米軍秘密文書によると、真珠湾攻撃の3日後、スターク海軍作戦部長はマーシャル陸軍参謀総長に送った書簡で「今、日本軍に中部太平洋で海戦を挑まれたら、米艦隊全滅もありうる。日本はハワイ全島占領や本土西海岸攻撃も可能だ」と戦況分析をしていた。

戦後、航空自衛隊で操縦教官を務めた大多和氏は昭和30年代に米海軍士官学校などに1年間、留学した。関係者に「ミスター・オオタワは真珠湾攻撃に参戦したパイロットだった」と紹介されると、称賛の拍手を受け、「なぜあのような作戦が敢行できたのだ」「どんな訓練を受けたのだ」と質問攻めにあったという。

「恨まれるかと思っていたら、軍人としての職務は職務として評価してくれたのはうれしかった」(大多和氏)。恩讐を超えた有意義な留学生活が過ごせたという。

 ◇

 80年前の装備であるからこそ、パイロットの技量に多くを委ねていたのでしょうし、この記事の通り日本の海軍パイロットは見事にその技量を発揮して戦果を得た、と言うことでしょう。今ではミサイルの時代、多くを誘導技術に委ね、パイロットを必要とする戦闘機や爆撃機もハイテク化が進んでいて、人の技能に頼る部分は少なくなっているものと思われます。

 いずれにしても、当時の海軍のパイロットの技量は素晴らしいものがあり、また陸軍においても、マレー作戦やシンガポール侵攻時の破竹の進撃は、歴史に残るものがあります。大東亜戦争開戦を肯定するものではありませんが、戦後あまりにも戦争の負の部分のみが強調され、軍を諸悪の根源のように取り扱うメディアや知識人が多いことに、非常に残念に思います。

 このコラムのように、開戦時の日本の兵の強かったことが、改めて日の目を見ることにより、もう一度強い日本、日本人を目指すきっかけになることを願います。もちろん兵士と言うことではなく、一般の人たちがOECDの中でも幸福度ランキングがかなり低く、将来に余り希望を持てないと言った、負け組のような考え方を払しょくし、強くたくましい姿を取り戻すことを願ってやみません。

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2021年11月12日 (金)

中国の核戦力増強と極超音速ミサイルの脅威 日本の対応は

2_20211112082701  最近、軍の装備で注目を集めている極超音速ミサイル。中国はこの開発を続けており、発射実験も繰り返しているようです。このミサイルは冷戦期に米国と旧ソ連が封印してきた同種のミサイルの発展系で、迎撃は不可能という恐怖の兵器です。

 その概要を産経新聞のコラム「中国的核心」のライター、前中国総局長の西見由章氏の記事から引用します。タイトルは『冷戦期の〝禁じ手〟で核戦力増強 極超音速兵器と融合』(11/10)です。

 ◇

中国共産党系の環球時報の胡錫進編集長は昨年5月、「米国の戦略的野心を抑止」するために核弾頭を短期間のうちに千発まで増やさなければならないとSNSで訴えた。実現すれば推定3倍増だ。当時、北京の日本人外交官の中には「もしこれが中国当局の(反応を見るための)アドバルーンで、戦略的な変更の試みならば日本の安全保障にとって絶対まずい」と危機感を持つ人もいた。

杞憂(きゆう)ではなかった。

中国はいま、米国とロシア(旧ソ連)が危険すぎるために冷戦時代から互いに封印してきた〝禁じ手〟の核兵器技術まで使って、米国に対する核抑止力を一気に高めようとしている。

撃墜不可能

「米当局者の認識をはるかに超える驚異的進歩だ」。英フィナンシャル・タイムズ紙は10月、中国が核弾頭を搭載できる「極超音速兵器」の発射実験を今夏に2回実施したと報じた。同兵器は標的を約40キロ外れたものの、地球の周回軌道に乗っており米の情報機関を驚かせたという。

極超音速兵器は滑空体(HGV)と巡航ミサイル(HCM)の2種類がある。今回実験が行われたHGVは弾道ミサイルで打ち上げられた後、宇宙空間で切り離されて大気圏に再突入する戦略兵器だ。放物線を描いて落下する大陸間弾道ミサイル(ICBM)とは異なり、マッハ5以上の極超音速で自由に運動しながら水平に滑空するため、現在の米国のミサイル防衛(MD)では撃墜不可能とされる。

極超音速兵器は米国や中国、ロシア、北朝鮮などが開発競争を繰り広げているが、すでに実戦配備しているのは中露だけだ。中国は2019年10月に北京で開催した建国70周年の軍事パレードで、HGVを搭載した射程約2500キロのミサイル「東風(DF)17」を初披露した。パレードに登場する兵器は実戦配備しているものがほとんどで、極超音速兵器の実用化をアピールする狙いがうかがえた。米国防総省は今年11月に発表した中国の軍事力に関する年次報告書で、DF17が20年に実戦配備されたと指摘している。いずれにせよ中国の極超音速兵器がすでに作戦能力を持っていることは間違いない。

そうした中で行われた今回の中国の発射実験。米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長は米テレビで、1957年に旧ソ連が史上初の人工衛星打ち上げに成功して全米に衝撃を与えた「スプートニク・モーメント」を引き合いに出し、「それに近い」と憂慮を示した。

米国の技術開発が中国に大きな後れを取っているという声が米軍関係者に広がる中、今回の中国の実験について「技術的なブレークスルー(飛躍)はさほど大きくない」と指摘するのは笹川平和財団の小原凡司(おはら・ぼんじ)上席研究員だ。

中国が実験したのは旧ソ連が60年代から開発していた「部分軌道爆撃システム(FOBS)」に近いとみられる。ミサイルを周回軌道上に投入して長距離を移動させ、攻撃の前に大気圏に落下させる仕組みだ。こうした旧技術とHGVを融合することで、極超音速兵器の射程は理論上無限になり、地球のどこでも攻撃することが可能になる。

小原氏によれば、ICBMなどは発射の兆候があれば弾道計算によって核報復攻撃の可否を決定することができる。しかしミサイルをいったん周回軌道に乗せて落とすFOBSの場合、どこから落ちるのか分からない〝奇襲〟となり、着弾地点を割り出すのは困難になる。

しかも理論上はどの方角からも攻撃できるため、ロシアや中国、北朝鮮などの弾道ミサイルを想定して米国が北側に配備したMD網をかわし、南側から攻撃するのが可能だ。

米ソは禁止で合意

ただ米ソは79年に調印した第2次戦略兵器制限交渉の中でFOBSを禁止することに合意した。「互いに攻撃のインセンティブ(動機付け)が高まる非常に危険な技術だと認識されたため」(小原氏)だという。中国は、この冷戦時代の〝亡霊〟をよみがえらせようとしている。

このように中国が漁夫の利を得る構図は、トランプ米政権が2019年に米露間の中距離核戦力(INF)全廃条約を失効させるまで、中国が条約に加盟していない利点を生かして中距離弾道ミサイル開発を独占し、米海軍を排除する「接近阻止・領域拒否」戦略の礎にしてきたことを彷彿(ほうふつ)させる。

中国外務省は今回の実験報道について「宇宙船の再利用実験だ」とシラを切ったが、額面通りには受け取れない。HGVが軌道を周回している段階では核兵器を搭載しているのかどうか、あるいは攻撃の意志があるのかすら不明確だ。ぎりぎりまで相手が反撃するのをためらうこの兵器の性質上、打ち上げは平和的な宇宙実験だと言い張り続けることが、自国にとって有利だと判断している可能性もある。

中国が核戦力を増強させる決意は固いようだ。米メディアは今年6~7月、中国甘粛省に核弾頭搭載の弾道ミサイルの地下格納庫(サイロ)が119カ所、新疆(しんきょう)ウイグル自治区にも110カ所がそれぞれ建設されていると相次いで報じた。先の米国防総省の年次報告書は、中国の核弾頭保有数が30年までに少なくとも千発まで増えそうだと分析している。

中国が極超音速兵器の開発や核弾頭数の拡大によって核戦力を一方的に増強した場合、米国の抑止力と「核の傘」の実効性は弱まり、日本の安全保障を大きく揺るがすことになる。

中国の極超音速兵器は台湾も狙っている。同兵器はもともと、米国が冷戦終結後に「使える戦略兵器」として開発を進めてきた経緯がある。核兵器は使用のハードルが高いが、極超音速兵器は核弾頭を搭載しなくてもピンポイントの長距離打撃能力がある。中国は近海や太平洋上に展開する米艦隊や米軍基地、さらには台湾本島を極超音速兵器の標的にすることで、台湾への武力侵攻に利用する可能性もあるのだ。

台湾海峡をめぐる米国と中国との緊張が長期化する見通しの中、中国は日本に対しても台湾問題に深入りしないよう軍事的に威嚇している。10月に中露海軍の艦艇計10隻が日本列島を周回した際、中国の官製メディアはこうした軍事作戦の常態化を宣言した。日本の有識者の間では、海上自衛隊艦艇も台湾海峡を通過すべきだとの主張のほか、日本が領海を〝放棄〟している津軽海峡など5つの特定海域の見直しを求める声もある。

中露艦隊の津軽海峡共同通過問題

中露の艦隊は10月18日に津軽海峡を通過し太平洋に出て、同22日には鹿児島県沖の大隅海峡を通って東シナ海に入った。この際、日本の排他的経済水域(EEZ)を通過しており、中国国防省は「国際法の関連規定を厳格に順守した」と強調した。実際、1982年に採択された国連海洋法条約は、EEZについて公海と同じ「航行・飛行の自由」を認めている。

一方で中国は、台湾海峡のEEZを米軍などの外国軍艦が通過することに対して「挑発」「内政干渉」などと非難してきた。国際法上、ダブルスタンダード(二重基準)を使い分けている形だが、海自艦艇は政治的配慮から台湾海峡を通過していない。

「日本側が台湾海峡を通らないことのほうが問題だ。行動しないということは国際法上、相手の言い分を認めたことになる」と指摘するのは海上自衛隊で自衛艦隊司令官を務めた香田洋二元海将だ。海自艦艇による台湾海峡の通過こそが日本の現実的対応であり、「日本は海洋国として国際法を機能させるためにもやらないといけない」と訴える。

中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報は社説で、台湾海峡が「政治・軍事的に世界で最も緊張している地域の一つ」であり津軽海峡とは異なると主張。米国とその同盟国の軍艦が台湾海峡を通過しているのは中国大陸に向けた「示威」であり、中露艦隊の「無害通航」とは違って「有害」だと強弁した。

しかし国連海洋法条約上、沿岸国の「平和、秩序または安全」を害しない「無害通航」は、外国船舶が領海を通過する際の条件であり、公海に準ずるEEZの通過には無関係だ。台湾海峡など自国EEZにおける外国軍艦の航行の自由を認めず、「無害通航」を条件としたい中国独自の思惑が背景にあるようだ。

また環球時報(電子版)の論評は、中露艦隊の航行が「日本を極めて大きく震撼(しんかん)させた」と存在を誇示しつつ、「こうした震撼は始まりにすぎない」として中露艦隊による「合同巡視航行」の常態化を宣言。今後、中露爆撃機による合同飛行との連携もあり得ると書いている。

東海大の山田吉彦教授(海洋安全保障)は「仮想敵国ともいえる国が目先の海を通過していく異常事態だ」と指摘。「日本の弱点を突いてプレッシャーをかけている。こうした示威行動を制約させるためにも、特定海域を領海にして守るべきだ」と主張する。

山田教授のいう「弱点」とは、日本が領海法で「特定海域」に指定している津軽や大隅などの5海峡だ。領海を通常の12カイリよりも狭い3カイリに制限し、海峡の中間部分を領海ではなくEEZにして各国に航行・飛行の自由を認めている。各国の商船などの自由な航行を保障することが「総合的国益の観点から不可欠」だというのが日本政府の公式見解だ。ただ実際は、これらの海峡を領海化した場合に核兵器を搭載した他国軍艦艇の領海通過を認めざるを得なくなり、日本の「非核三原則」に抵触するためとされる。

日本が特定海域を領海化すると、各国船舶には「無害通航権」ではなく、より航行・飛行の制限が緩い「通過通航権」が与えられる。国連海洋法条約は領海に覆われた「国際航行に使用されている海峡」で通過通航権の行使を認めており、5海峡はいずれも該当するためだ。

いずれにしろ各国船舶は、EEZで認められていた示威行為や軍事目的調査などはできなくなり、日本の権利は強化される。

ただし通過通航権は海峡全域に適用されるため、これまで制限の強い「無害通航権」だけが認められていた沿岸3カイリ以内の海域でも、潜水艦の潜没航行や軍用機の飛行が認められることになってしまう。また「わが国の主権を守る強制力が伴わなければ『有言不実行』となり国威が失墜する」(香田氏)リスクもある。しかし山田教授は「領海を主張しないほうが、通過通航権が行使されるデメリットよりもはるかに危険だ」と指摘する。

 ◇

 このコラム記事にあるように、中国の戦力増強や威嚇行為はますます増大しており、日本はその対応を迫られています。国会ではこの問題を取り上げ、安全保障の枠組みについて早急に議論を積み上げる必要があります。

 もちろん外交努力も必要です。しかし長期戦略に長け今や日本より強大な軍事力を備えた中国に、外交で尖閣の威嚇航行をやめろとか、台湾への圧力をかけるなとか言っても、全く効く耳は持たず、むしろ反論を矢のように繰り返し返してくるだけでしょう。

 様々な対応が必要です。米国を始めとした同盟国や、クワッドの枠組みのなかで中国を牽制するとか、経済的な対応を考えるとか、できる手は打たねばなりません。しかし最終的には日本も抑止力増強のため、この極超音速ミサイルや、原子力潜水艦、空母等の建設に早急に踏み出す必要があるかも知れません。核の問題も議論は避けて通れないでしょう。その前にまず非核3原則の見直しからスタートと言うことになるでしょうね。

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2021年11月11日 (木)

元党員が告発:「日本共産党」の政治詐欺と買収の実態

1218kyosanmain  先の衆議院選挙で、立憲民主党や他の野党を巻き込み、共闘で臨んだ結果は敢え無く議席減の敗北を喫した、「日本共産党」。その共産党の元党員が、党の実態を告発しました。

 共産党本部に勤務後、板橋区議を4期16年務め、その後共産党を除籍された松崎いたる氏。少し前になりますが、同氏が月刊hanadaプラスに寄稿した告発文を紹介します。タイトルは『日本共産党の政治詐欺と買収を告発』(8/31公開)で、以下に引用します。

 ◇

元共産党員が決意の告発!繰り返される政治詐欺や買収行為の横行。そして、激減する党員数。資金源である「しんぶん赤旗」購読者も減り続け、もはや党の存続すら危ういのが実態だ。遂に反日政党・日本共産党の「消滅カウントダウン」が始まった!

**********

日本共産党は反日政党

月刊『Hanada』2021年8月号で、安倍晋三前総理は東京五輪開催反対論について「共産党に代表されるように、歴史認識などにおいても一部から反日的ではないかと批判されている人たちが、今回の開催に強く反対しています」と指摘した。これに、日本共産党の志位和夫委員長が「自分に反対するものを『反日』とレッテルを貼る。こういう貧しくも愚かな発言を、一国の総理までつとめたものがしてはならない」(7月3日のツイッター)と反発している。

「貧しくも愚かな発言」というが、自分たちこそ反対するものに「反共」のレッテル貼りをしているではないか。そもそも、共産党は綱領で「日本の独占資本主義と対米従属の体制を代表する勢力から、日本国民の利益を代表する勢力の手に国の権力を移すこと」を目的としている。その倒すべき体制の代表者ともいえる前総理から「反日的」と評価されるのは当然であり、敵から「反日政党」との称号を賜るのはむしろ光栄なことだ。

歪んだ歴史認識は、もはや妄想の域

志位氏はツイッターで「このまま五輪開催に突き進めば、感染制御が成功しなかった場合に惨事が起こるだけでなく、かりに『五輪バブル』の中だけ『安全安心』になった場合には、『バブル』の外の日本国民から怨嗟の声が沸き起こるだろう」(5月21日)などと述べ、感染対策への五輪関係者の努力を省みず、国民の「怨嗟の声」を煽っている。  

さらに6月22日には、「かつての悲劇を想起させる」として「パンデミック下の五輪=真珠湾攻撃」 「スタジアムに1万人=インパール作戦」 「オリパラ期間中はテレワーク=欲しがりません、勝つまでは」 「子どもを観戦に動員=学徒出陣」などと、五輪を過去の戦争と同列視している。ここまで歪んだ歴史認識は、もはや妄想の域である。

なぜ「五輪中止」に執着するのか

共産党は「五輪中止」を東京都議選の「重点公約」にもしてしまった。だが、当選した新都議たちの任期初日は五輪開会式と同日の7月23日だ。もともと不可能な「中止」を公約するなど、政治的な詐欺行為だ。  

なぜ、共産党はそこまでして「五輪中止」に執着するのか? 政府を攻撃することで世論の注目と支持者の関心をつなぎ留め、党組織の弱体化を防ぎたいという願望が透けて見える。  

コロナ禍での国民の不安や不満を利用し、公約詐欺や「五輪=戦争」という妄想を党勢拡大の手段としなければならないほど、共産党の党員は減り続けているのだ。  

党員の減少は最近の出来事ではない。私が入党して以来、ずっと党員数は減り続けているというのが実感である。

激減する党員数

私は1985年、東京学芸大学に入学すると同時に民青同盟に加盟し、まもなく日本共産党に入党した。当時の学芸大学には約5,000人の学生が在籍していたが、そのなかで民青同盟員は100人以上の勢力を誇っていた。そのうち、学生党員は約半数としても50人以上いたと思われる。……といっても、それは私が入党する前年までの話である。  

私と一緒に民青に加盟した学生は30人ほど、入党までした学生も10人はいたと記憶しているが、そうした同期の民青同盟員、共産党員のなかで卒業時まで民青や党に残っていたのは、私を含めて3人だけだった。  

先輩党員からは、「3桁の同盟員と共産党員」の自慢話をよく聞かされたものだった。私は実際にはその「3桁」の勢力を目撃したことはないが、作り話と思ったことはなかった。なぜなら、大学1年のときから党が私に与えた任務は卒業した先輩同盟員・党員からカンパを集めることで、100人以上の氏名・連絡先が記載された名簿に片端から電話をかけ、手紙を送ることだったからだ。  

夏休み、冬休みは、地方出身の“同志”たちはほとんど実家に帰省してしまい、東京出身の私一人だけが都内に残って夏期カンパや年末カンパを集める電話をかけた。電話した相手のなかには民放テレビ局の若手アナウンサーもいて、「あの人も共産党員なんだ」と誇らしくも思ったが、「もう党も民青もやめた。仕事に差し障るからもう電話しないでくれ」と厳しく叱責され、電話を切られることもあった。  

他にも有名私立学校の教員、公務員、一流大企業の社員など、さまざまな先輩党員たちに電話をかけたが、実際にカンパを送金してくれたのは共産党の専従職員や党の地方議員になった人たちだけだった。ほとんどの学生党員は、卒業・就職と同時に党や民青と縁を切っていた。  

私の共産党員としての30年は、そうした党員数が激減していく30年でもあった。志位委員長が言うような、たった「1年4カ月」だけの現象ではないのである。

同盟員拡大のノルマ

ここで民青について説明しておこう。民青は、正式名称を日本民主青年同盟という。「共産党の下部組織」と言えば、必ず「民青は独立した青年組織で、下部組織というのはデマだ」と共産党と民青は声を揃えて反論するのだが、民青の「規約」には「日本共産党を相談相手に、援助を受けて活動」すること、「科学的社会主義と日本共産党の綱領を学ぶ」組織であることが明記されている。実態も、民青幹部は全員共産党員であり、その時々の活動方針も共産党が指示しており、党の下部組織そのものである。  

共産党が民青を重視するのは、民青が若い共産党員の供給源になっているからである。  

いくら政治的関心が高くても、いきなり共産党に入党する青年などいない。そこで「民青で政治や社会のことを一緒に勉強しよう」と誘いこむのである。中国や北朝鮮を見て共産党や社会主義への拒否感を持つ青年も多いが、それでも「本当の社会主義について議論してみよう」と誘う。  

だが、そのような「民青加盟→共産党入党」という基本路線も、私が入党した八〇年代には崩れ始めていた。そもそも、民青や共産党の話を聞こうという青年に出会えなくなっていた。  

私が現役の民青同盟員だったとき、年中、同盟員拡大のノルマ達成を迫られていた。大学の新入生歓迎(新歓)の時期が一番のかき入れ時だが、それ以外の時期も学生が住んでいそうなアパートを訪ねては「民青の学習会に参加しませんか」と対話を試みるのである。だが、初対面の人間が突然訪問してきて、話を聞いてくれるわけがない。一度も成功したことがなかった。

「コインランドリー勧誘」

それでもあるとき、東京都内の民青同盟員が集まる会議で、成果を上げたという経験報告があった。報告者は民青東京都委員会の幹部だったが、「月末になってもその月の同盟員拡大の成果がなく困った」という。そこでその幹部は深夜のコインランドリーに行き、洗濯に来る青年を待ち伏せたというのである。  

幹部が「夜のコインランドリーには孤独な青年たちが集まってきます。彼らは人とのつながりに飢えています。話ができるテーブルもイスもあり、コインランドリーは同盟拡大の絶好の場所です」と自慢気に話していたことをいまでもよく覚えている。  

当時から「そんなやり方はやり過ぎだろう」と感じていたが、学生の住む場所がアパートからオートロックのワンルームマンションに変わり、コインランドリーには防犯カメラが設置されるようになった現在では、当時のやり方はできなくなっている。  

いまではインターネット上でのSNSを重視しているようだ。勧誘の際の「売り」も、政治の学習会というより、たこ焼きパーティー、バーベキューなどの「お楽しみ会」がメインになってきている。

公選法違反の疑い

大学の新歓が勧誘の場として重視されていることに変わりはない。しかし、そこでも思うようにはいかなくなっている。  

共産党は新歓前の2020年3月13日に全国青年学生部長会議を開き、党青年学生委員会責任者の吉良佳子参院議員に「学生分野での党組織が危機的状況にある」ことを報告させている。  

そのうえ、コロナ禍によって大学への登校が制限され、新歓そのものがなくなった。こうしたなかで、共産党が新たに始めた勧誘手段が「ほっとまんぷくプロジェクト」である。  

これはコロナ禍によってバイトもできなくなり、生活費が不足している学生たちに対し、無償でコメやレトルト食品などを配布するイベントだ。日々の食費にも困っている学生たちをタダの食料品で釣り、政治問題のアンケートに答えさせ、民青加盟や共産党支持に誘導している。  

政治家・政党が有権者に金品(有価物)を提供すれば公選法違反の買収行為だが、共産党は民青を隠れ蓑にして、こうした買収を堂々と行っている。  

なりふりかまわぬ青年獲得作戦だが、それでも崖っぷちにあることには変わりはない。

ターゲットは不登校、引きこもり

共産党がいま、民青勧誘のターゲットにしているのは現党員の子供たちだ。党員を親に持つ彼らには「共産党の正しさ」を説くような政治教育は必要なく、むしろ「自分の親は何を考えていたのか」 「どうしてあんな苦労をしているのか」を知りたいと、自ら民青や党に近づいてくることもある。だが、家族頼みでは当然、党員拡大の数としては限界がある。  

そこでもう一つターゲットにしているのは、不登校、引きこもり、就職ができない、就職してもすぐにやめてしまうなどの問題を抱え、社会参加できていない青年たちである。  

民青や共産党は、そんな彼らに「仕事が続かないのは君のせいではない。政治や社会のしくみが悪くて君を苦しめている。一緒に政治を変えよう」と近づいていく。そして民青に入れば熱烈に歓迎され、たこ焼きパーティーなどで楽しい時間を過ごすことができる。  

学校や職場のように辛いこともない。なにより自分が必要とされていることを実感できる──そんな思いが彼らの民青加盟の動機になっている。  

問題なのは、そうした青年たちは自分の居場所を失わないようにするため、党の言うことは何でも鵜みにして逆らわず、共産党のロボットにされてしまうことだ。  

党員の子供たちにしても、党への批判は絶対に受け付けない。自分だけでなく親の人生まで否定してしまうことになるからだ。  

いまや共産党は、組織としても個々の党員としても自己保身が自己目的化した集団となっている。こうした組織には、日本社会の将来も世界平和も託すことはできない。

拡大数を上回る死亡者数

志位委員長は2020年3月2日の全国都道府県組織部長会議で、党員現勢が連続後退している状況を報告したうえで、「毎月、一定の党員拡大をやっていたとしても、どうしても亡くなる方がいます。それから、できるだけ減らしたいけれど離党される方もいる。そういうなかで、一定の党員拡大をやっても、それ以上に減っていれば、現勢はどんどん減っていくわけです」と発言している。  

減ったことを認めただけでも共産党にしては大きな変化だが、減った分をどう取り戻すのかについては、有効な手立てを示すには至っていない。  

志位氏は「全国に315の地区委員会があります。315の地区委員会のすべてが、1人以上の党員を増やす。力のある地区委員会は5人、10人、 20人と増やす。そうすれば、党員現勢でも前進することができます」と言う。  

しかし、党員拡大は志位氏の発言どおりには進まない。  

党員の死亡数については公表されていないが、しんぶん赤旗日刊紙には毎日、党員の訃報が掲載されている。1日に4~6人、月ごとに平均120~180人の訃報があるが、死去を公表しない党員遺族も多いので、実際の死亡者数ははるかに多い。2020年10月の新規入党者数が366人だったことが公表されているが、そのときですら「現勢から大幅に後退」している。つまり、1カ月に少なくとも360人は亡くなっていることになる。  

全国315ある共産党の各地区委員会が毎月1人ずつ党員拡大しても、死亡による減少分に追いつける数ではない。  

私が所属していた東京の板橋地区委員会は「力のある地区委員会」だろうが、それでも毎月1人以上の党員拡大を続けることは実現したことのない至難の業だった。  

党は「気軽に党員になってもらう話をしよう」と盛んに党支部に呼びかけていたが、数カ月ぶりに入党者が現れても、気軽に入党した人は気軽にやめてしまうのが実情だ。

酷使される高齢者、70歳は「若手」

それに高齢の党員が入党を誘う相手は高齢者であり、入党の動機は「政治を変える」という気概というより「茶飲み話の相手がほしい」というのが本当のところだ。茶飲み話にうってつけの話題は、「スガさんはひどいよね」などの総理大臣のこき下ろしだ。  

こうした共産党支部の現状は、政治団体というより高齢者の生き甲斐サークルだ。託児所ならぬ「“託老所”が共産党の役割」と自嘲気味に話すベテラン党員もいた。  

共産党員の高齢化についていえば、「党員の平均年齢が70歳を超えた」という内部情報がネット上に流れたことがあった。これを見たある新聞記者が、私にコメントを求めてきた。「高齢化していると言っても、70歳以上というのはあり得ないのではないか」というのが記者の見解だったが、私は「実感としては70歳以上というのは党の実態として正しいと思う」と答えた。  

党の基礎組織である支部では、80歳以上の人が支部長を続けている支部も多い。91歳の不破哲三氏が引退せずに常任幹部会委員であり続けることは、一般常識からすると異常なことだが、共産党内では高齢者が党活動の担い手であることは普通になっている。70歳ではむしろ「若手」である場合もあるほどだ。

「しんぶん赤旗」の危機、全党に指令

しんぶん赤旗の配達は、80歳後の高齢者が手押し車に赤旗を積んで歩いて配っている。以前は「紙の爆弾」として恐れられた全戸配布ビラも同様だ。危なくて自転車にも乗れない高齢者によって、党の基本的な活動が行われている。  

2019年10月、若林義春東京都委員長(当時)の名で「50年党員のみなさんへ」という檄文が全都の党支部に通達された。内容は、入党後50年以上のベテラン党員が党員と赤旗読者拡大の先頭に立って努力せよというものだが、18歳以上が入党の条件だから、50年党員とは68歳以上の党員のことでもある。党勢拡大は68歳以上の高齢者党員の奮闘次第だというわけだ。共産党は高齢者酷使の党になってしまった。  

高齢者党員が文字どおり命を削るような努力で配達集金し、読者拡大運動をしている機関紙・赤旗も、奮闘むなしく読者の減少に歯止めがかからない状況だ。  

2019年8月28日、党財務・業務委員会責任者の岩井鐵也氏が「『しんぶん赤旗』と党の財政を守るために」という声明を発表し、赤旗の日刊紙・日曜版の読者が「100万を割るという重大な事態に直面」していることを告白した。  

岩井氏はこのなかで「『しんぶん赤旗』の事業は党の財政収入の九割をしめるという決定的な役割を担っています。『しんぶん赤旗』の危機は、党財政の困難の増大そのものです」と窮状を訴え、死活問題として読者拡大に取り組むことを全党に指令した。  

共産党は後退の原因について、「読者拡大の独自追求の手だてが弱まっているため」(2020年2月15日、田中悠・党機関紙活動局長)として、責任を党員に押しつけているが、長年、読者拡大に取り組んできた私の経験からすれば、どんな手立てをとっても赤旗読者が増える可能性はほとんどない。

「元読者」を繰り返し訪問

「大運動」や「月間」で読者が増えたといっても、その内実は、以前読者となったもののその後購読をやめている人に再購読をお願いしているというものだ。そうした人たちを党内では「元読者」と呼び、読者拡大運動のたびに繰り返し訪問している。  

元読者は1、2カ月購読しては中止するということを繰り返している。決して長期の読者にはならないが、数カ月、半年、1年と間をあければ、「また(購読を)お願いしますよ」と気安くお願いできる対象でもあるので、党機関から読者拡大の圧力をかけられている党員たちからすれば便利な存在でもある。1カ月でも購読を約束してもらえれば、党機関に「読者拡大」の成果として報告できるからである。  

だが、そんな「成果」は元読者の使い回しに他ならず、赤旗読者が本質的に増えているわけではない。そして元読者も高齢化しており、死亡による自然減は避けられない。

コロナ禍でも花見を強行

見過ごせないのが、新型コロナウイルスの感染拡大という国民的危機のなかにあっても、共産党が感染予防よりも読者拡大運動を中断しようとせず、高齢者党員たちを外出させ、マスクもせずに住民宅を戸別訪問させていたことである。玄関先の換気の良い場所であっても、購読を勧めるには至近距離での対面対話が欠かせない。感染リスクを高める行為だ。  

私の地元である東京・板橋区では、都知事からの「花見宴会を自粛してほしい」との要請を無視し、共産党区議の後援会が2020年3月20日の春分の日に、「アベ政権を打倒しよう」とのスローガンで「お花見の会」を強行していた。これも、赤旗読者へのサービスと新読者獲得の場として企画された会だ。  

共産党は2020年4月3日の常任幹部会声明で、「新型コロナ危機のもと」でも党活動・党建設をすすめることを全党に指令した。  

この声明では「党員の感染防止、命と健康を守りつつ」としながらも、「党活動を断固として維持・発展させ、強く大きな党づくりに取り組むことを心から訴えます」と強い言葉で強調している。  

共産党員たちは、外出を自粛したくてもできない状況に追い込まれている。それは党外の一般国民にも感染リスクを高めているといっても過言ではないだろう。

公務員への拡大工作

元読者に次いで共産党が読者拡大の頼みの綱にしているのが、公務員たちである。下の資料をご覧いただきたい。(資料は略)

「4月異動の対策と実務処理について(案)」と題されたこの文書は、2002年当時、私が党専従職員として勤務していた共産党東京都議団事務局での打ち合わせ会議で配られた。都庁内での読者拡大工作の指示文書である。(案)とされているが、実務はこの内容どおりに進められた。  

拡大工作の基本は、異動が発表される前に都議が異動名簿を入手し、3月中に都議が手分けをして異動が予定されている都の局長・部長・課長ら幹部職員を訪問し、赤旗購読を要請するというものだ。今回示した資料は古いが、こうした工作は現在も続けられている。都庁以外の国の省庁、地方の県庁、市町村役場で、共産党議員によって同様のことが行われている。  

公務員を読者にする党のメリットは、政治的なものというより、安定した収入源になることにある。数カ月で購読と中止を繰り返す元読者とは違って、公務員読者は最短でも一年間、うまくいけば数年は読者になってもらえる。  

他方、公務員の側にも赤旗購読のメリットがある。それは、議員からの懇願を受け入れ、赤旗を購読することによって、議員より上の立場になれることである。  

よく「共産党は圧力をかけて無理矢理購読させている」という非難の声を聞くが、それは違う。全国どこでも万年野党、与党になっている自治体でも少数与党の共産党には、公務員が怖がるような圧力などかけられないのが実情だからである。  

私はむしろ、赤旗販売という商業活動を役所内に持ち込むことで、議員と公務員の関係が商人とその顧客の関係に変質してしまい、そのことが議会質問での手心や忖度の余地を生み、政治を歪めてしまうことが大問題だと思う。

赤旗販売の規制を求める陳情を採択する地方議会も増えてきた。採択に至らなくても審議のなかで問題点が浮かび上がってきて、調査や規制に乗り出す自治体もある。  

共産党は思想信条の自由を楯に規制に抵抗しているが、議員が役所で赤旗を売り歩いている実態を住民が知れば知るほど、共産党の抵抗に道理がないことが明らかになるだろう。

自己保身の党

日本共産党は、2022年に党創立100年を迎える。2020年1月の第28回党大会では「党創立100周年までに野党連合政権と党躍進を実現する」と決議したが、実情を見ようとしない空文句に過ぎない。  

党員も資金源である赤旗読者も減り続け、躍進や政権獲得どころか、党の存続すら危うい状況にある。党員の自然減は避けられないし、政府のコロナ対策の足をひっぱるだけの党の姿勢では、壊滅的議席減も覚悟しなくてはならない。  

この危機から抜け出すには、まずは現実的なコロナ対策のために政府・自治体との協調が必要だろう。そして党名を変え、拒否し続けてきた政党助成金を受け取るなど、抜本的な党改革が必要だろう。だが、不破氏や志位氏など現在の党指導部にはそんな気はさらさらないようだ。  

自己変革を拒み、自己保身の党となった共産党は、もはや革命政党ではない。彼らの掲げる赤旗の色は革命の血の色などではなく、落日の夕陽の色なのである。(初出:月刊『Hanada』2021年9月号)

 ◇

 「落日の共産党」との松崎氏の指摘は、かなり当を得た言い方だと思います。落日の先には「闇」が待っているわけで、そろそろ解党してもらいたいものです。そもそも党の目的が「反日」にあるわけですから、存在すら迷惑な党だと言うことでしょう。

 党員の高齢化や党財政の要の赤旗の購読者減も、松崎氏の記事によれば抜本的な対策はないようです。ただそうした中で、国政や地方政治において、なぜこれだけ多くの立候補者を立てられるのか、その資金源は政党助成金なしに、本当に赤旗の収益でまかなっているのか、不思議でなりません。

 どこかの国から裏金が流れてきているのでは、とか、大口の資金援助をする大富豪が裏にいるのでは、とか、勘ぐってしまいますね。

 とにかく衆議院選で、「与党に反対するだけの野党」の代表たるこの共産党と立憲民主党の敗北は、ようやく日本の政治の正常化の第一歩だと思います。立憲民主党の大改革と日本共産党の消滅が、今後の日本にとって何より重要な課題となるでしょう。

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2021年11月10日 (水)

「高市早苗総理」誕生も 週刊ポストが伝える今後の政局

2021110100000022nkgendai0001view  「真夏の夜の夢」ならぬ「秋の夜長の夢」はいかがでしょうか。高市早苗政調会長は自民党総裁選に出馬し、保守本流の立場を明確にし、一気に知名度を上げました。

 その高市氏が「総理大臣」になる? その夢のような話が「週刊ポスト」に登場しました。NEWSポストセブンに公開されたその記事、タイトルは『安倍氏と菅氏 “敵の敵は味方” タッグ結成なら「高市早苗総理」誕生も』(11/9)で、以下に引用して記載します。

 ◇

 キングメーカーの安倍晋三・元首相は総選挙で岸田文雄首相を十分脅かせる「数の力」を維持した。自民党の善戦で安倍チルドレンの多くが生き残り、「魔の3回生」も9割が4回生となった。そしていよいよ悲願だった最大派閥・細田派の会長に就任し、名実ともに「安倍派」へと衣替えさせる日が近づいている。11月10日に召集される特別国会で、細田派会長の細田博之氏が衆院議長に就任することが内定し、派閥の代替わりのチャンスが来た。

 議長は政治的中立を保つために離党するのが国会の慣例で、同時に派閥を離脱する。前衆院議長の大島理森氏も議長就任時に大島派会長を退任し、山東派(現在は麻生派に吸収合併)に衣替えした。

 実は、安倍氏には簡単には会長を継げない事情があった。政治ジャーナリストの野上忠興氏が語る。

「安倍氏は最初の首相就任時に清和研を離脱して以来、派閥に戻らなかった。2012年の総裁選では派閥から止められながら出馬して当時の清和研会長だった町村信孝氏と争い、首相に返り咲いても意趣返しで官房長官に無派閥の菅義偉氏を起用するなど細田派を重用しなかった。だから派内のベテラン組には安倍氏の派閥会長就任に強いアレルギーがある」

 そこで安倍氏は今回の総選挙で細田派候補の選挙区を重点的に応援に回り、恩を売って会長就任に向けた地ならしをしてきた。総仕上げが、細田氏を議長に祭りあげて会長の座を空けさせる人事だ。細田派中堅は、「細田議長就任後に開かれる派閥総会で安倍さんの復帰と会長就任が正式に承認される見通し」と言う。

 そうなれば、安倍氏は最大派閥の領袖としての発言力と、派閥横断的な安倍チルドレン勢力への影響力という2つの「数の力」を持つ。「大安倍派」の誕生だ。

 今の安倍氏は「大田中派」を率いて“闇将軍”と呼ばれた田中角栄氏と重なると指摘するのは、角栄氏の番記者だったジャーナリストの田中良紹氏だ。

「田中角栄は最大派閥の力で鈴木善幸、中曽根康弘を次々に首相に担ぎ上げたが、キングメーカーに甘んじるのではなく、自らの総理復帰を念頭に置いていた。だから総理は“ボロ神輿”で力が弱いほうがいいし、派内にも後継者、総裁候補をつくらなかった。

 安倍氏も同じだ。9月の総裁選には細田派から安倍氏と近い下村博文氏が出馬に動いたが、協力しなかったばかりか、無派閥の高市早苗氏を担ぎ出した。派内から総裁候補が出る動きを挫くのは自身3度目の首相登板を考えているからでしょう」

 だが、かつての角栄氏は田中派が141人と勢力最大になった途端、竹下登氏と金丸信氏に派内クーデターを起こされて病に倒れ、時の中曽根首相は角栄氏の影響下から独立した。

 安倍氏の誤算も、“傀儡”にするはずだった岸田文雄・首相が本気で独り立ちに向けて動き出したことだ。

「岸田首相が人事で甘利明氏や麻生派を重視してきたのは、岸田派、麻生派、谷垣グループが1つになる大宏池会構想で最大派閥の細田派に対抗し、安倍氏の力を削ぎたいという考えがある。

 今回の茂木敏充氏の幹事長起用も旧竹下派を味方に取り込むためです。安倍氏には、そうした岸田首相の行動がかつて“総理にしてくれた恩人”の角栄排除に動いた中曽根と重なって見えるから一層不信感と警戒感を強めている」(同前)

 安倍側近として知られる青山繁晴・自民党参院議員は、岸田首相と安倍氏の抗争の舞台裏をこう語る。

「大宏池会構想というものがあって、岸田派と麻生派と谷垣グループを統合し、大きな大宏池会にして、安倍さんや細田さんの派閥よりはるか上に行ってしまおうというものです。そういう派閥次元のことを岸田さんも考えていると党内で言われていて、それで宏池会の中心人物である林芳正さんを外務大臣に持って来ると。

 しかし、そうすると総理も外務大臣もすべて大宏池会に向かっての動きになるから、派閥抗争につながるわけです。とくに安倍さんは黙っていないですよね」

 安倍氏が「数の力」を強めれば、岸田首相も総選挙で善戦したことで党内求心力が強まる。選挙が終わると同時に起きた岸田VS安倍の“見えざる戦争”は今、天秤がどちらに傾くかの均衡点にあるといっていい。

タイミングは参院選前

 注目されるのは、安倍氏が「切り札」の高市氏をどのタイミングで使うかだろう。

「総選挙で思いのほか議席を得た岸田首相の力はこれからそれなりに強くなる。時間を置けば安倍氏は次第に押しやられ、不利になっていく。

 政治スケジュールを見ると、来年夏には参院選がある。総選挙で善戦したとはいえ、自民党内は現職幹事長だった甘利氏を落選させた岸田首相が選挙に強いとは思っていないから、安倍氏が高市氏を担いで“岸田降ろし”を仕掛けるなら参院選前のタイミングでしょう」(前出・田中氏)

 一方の岸田首相には大きな不安要因がある。新たな敵の出現だ。今回の総選挙では9月の自民党総裁選で“再起不能”に追い込まれたはずの菅前首相をはじめ、河野太郎氏、小泉進次郎氏、石破茂氏の「小石河トリオ」が全国を応援に回り、高市氏と並ぶ存在感を発揮した。“オレたちはまだ終わっていない”と反主流派が復権の糸口をつかんだ。

 これまでは安倍氏との権力闘争に全力を傾けることができた岸田首相だが、参院選を前に安倍―高市の“岸田降ろし”に連動して小石河が反岸田で動けば、腹背に敵を受けることになる。岸田VS安倍の権力闘争の最終場面では、この第3勢力の動きが鍵を握ることになる。

 ポイントは自民党内の権力バランスが総裁選当時と完全に変わっていることだ。

「小石河連合を数の力で打ち破った3Aトリオのうち甘利氏は失脚、大宏池会構想の提唱者の麻生太郎氏は岸田首相を支持しており、いまや3A体制は崩壊して敵味方に割れている。そこに岸田降ろしが起きたとき、菅氏や河野氏らが岸田首相側につくとは考えられない」(同前)

 反主流派のキーマンの菅氏にとって一番の政敵は政治手腕を全く評価していない岸田首相だ。3Aは自分を政権から引きずり降ろした敵ではあるが、もともと麻生氏や甘利氏とは肌が合わなかったのに対して、安倍氏は自分を官房長官、首相へと引き立ててくれた恩人でもある。

 3A体制が崩壊したことで、今度は安倍氏と菅氏が“敵の敵は味方”と手を組めば、まさかの来年6月政変、高市総理誕生のウルトラCもありうる。(週刊ポスト2021年11月19・26日号)

 ◇

 週刊誌記事のことですから、かなりの憶測が含まれています。そこで「秋の夜長の夢」と、題したわけですが、「火のないところに煙は立たず」とも言います。可能性はゼロではないかも知れません。

 ただ、党内の政局が動くとすれば、参議院選挙までに岸田首相が何か大きな失策をするか、閣僚が次々に失態を示すか、がなければ、なかなかそういう状況は生まれないかも知れません。また「小石河」連合と安倍氏や高市氏は理念においてかなり離れているのも気になります。

 ともあれ、もしこの週刊誌記事の内容が奇跡のように実現すれば、日本にとっては朗報ですし、自民党の動きを注視していく価値はありそうです。

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2021年11月 9日 (火)

太田光の「TBS選挙特番での暴走」、なぜヒドいことになったのか?

2021110501791249sspa0001view  SNS上で炎上し話題になった太田光氏の選挙特番。私は見ていませんので評価のしようがありませんが、「太田光」と聞いただけで、なぜか嫌悪感を感じます。上から目線で人を馬鹿にしたようなものの言い方、芸能人の多くがそうであるように、この人もコテコテの反日、反権力思想の持ち主。ですから番組を見ていなくても、おおよそ番組の状況は予想されます。

 ここではフリージャーナリストの片岡亮氏に登場願い、その内容について、現代ビジネスに投稿したコラムを紹介します。タイトルは『太田光の「TBS選挙特番での暴走」、なぜヒドいことになったのか? テレビディレクターの目から見えること』(11/6)で、以下に引用し掲載します。

「ご愁傷様でした」

マスコミ予想が大幅にハズレ、結局はフツーに自民党の勝利に終わった衆議院議員総選挙だが、賛否が渦巻いたのが、爆笑問題の太田光をMCとしたTBSの開票特番だった。

太田の政治家への物言いが無礼だったというのだが、同局ディレクターに話を聞きながら問題点を探ると、失敗したのは、無礼だったからではなく、ジャーナリズムが足りなかったからではないか、とも思える。

相手の容姿をイジったり感情を揺さぶるのは芸人の常套手段だが、今回は「どんな話を引き出したか」という観点で不満が残った。事実、番組側も既存キャスターでは引き出せないものを狙っていたが、それが果たせたとは言いにくいところがあった。

では、なぜそれが起きたのか。批判された点のひとつは、自民党・甘利明幹事長との中継で、「戦犯ですよね。負けたら」と追い込み、小選挙区で落選が濃厚となった相手に「ご愁傷様でした」と、敗北を茶化すように聞こえる発言があったこと。

また、当選した二階俊博前幹事長にも「いつまで政治家続けるつもりですか?」と聞き、「失礼だよ! 言葉を選びなさい」と怒られたが、一方で結果の良くない立憲民主党の枝野幸男代表には「僕は今回、立憲民主党に入れた」と、立場そっちのけで言っていた。

正直、その発言自体はあまり驚くことはない。バラエティー番組ではお決まりの手法ではある。お笑い芸人がバラエティー番組でゲストをイジる際、相手の表情を崩すような話を投げかけるのはセオリーだ。それで怒りや笑いを誘い、場が盛り上がる。

今回、太田が出演した番組の名称は「選挙の日2021 太田光と問う!私たちのミライ」で、お笑い芸人の冠番組である。常識的な報道スタイルで進めるなら、そもそも太田を起用しない。はなから「バラエティー番組のノリ」が期待されたものであり、それがイヤなら他番組を見ればいいというのが、TBSの出した方向性だ。

だから、わざわざこの番組を選んで見て、「無礼だ」と怒るなら、なぜ別の番組を選ばないのか、とも思う。

Maxresdefault-1_20211108183801 情報を引き出せていたか?

ただ、太田を同番組のMCとして見て不足があったとすれば、結局「視聴者の見たいものが見られたのか」という点で物足りなさがあった点だろう。今回の起用は、もともと同局の報道番組「news23」の企画「太田光と問う!」の延長で、遠慮せず政治家に質問をぶつけていた太田が評価されてのもの。チーフプロデューサーの山崎直史氏も、番組発表時に「政治家と『言葉』を介して向き合える唯一の芸人」と太田を評し、「政治家に忖度なく問います」としていた。

つまり、普段から政治取材しているキャスターやジャーナリストでは、政治家に遠慮してしまうところがあるから、しがらみのないタレントに自由に質問をぶつけたい狙いがあったわけだ。ジャーナリストの目線から見ても、それをやられたら「太田さんだからこそできたもの」と脱帽できる。

しかし、太田の質問が、単に政治家に意地悪な質問をするものなら、得られる「回答」がない。甘利幹事長への「戦犯ですよね」という投げかけも、大物政治家を困らせる姿を見せる「イジリ演出」にすぎない。それを見て喜ぶ層はいるかもしれないが、それは視聴者が知りたいことを引き出す「取材」ではない。

二階前幹事長に厳しい言葉を投げたこともまた、結局偉そうな政治家を怒らせただけで「太田さんだから聞けた質問だ!」とはならない。

選挙特番の見せ場は結果判明後の立候補者の言葉だ。そこには国民の知る権利を埋め込む「ジャーナリズム」の観点がないと、ただ政治をネタに遊んでいるように見えてしまう。

太田に飛んでいる批判には「無礼だ」というものが多いが、たとえ無礼でも、そのおかげで引き出せたものがあれば「知る」喜びの方が勝る。海外では日本よりも直球で質問するインタビュアーはごまんといるが、ちゃんと「回答」を引き出せれば、毒舌でも優秀なインタビュアーと評価される。太田は甘利幹事長に「日焼けしてますけどゴルフ焼け?」と聞いたが、これはバラエティー番組で相手とのやり取りに困ったときに出す“容姿イジリ”でしかなく、「回答」を引き出す技ではなかった。

反省の弁

テレビ番組として見ればそういう分析ができるのだが、ただし本件は「かなり怒っている自民党関係者がいて、局側が対応に追われているようだ」とTBS関係者。視聴者として残念だったという以前に、ヤバい空気があるようなのだ。そのせいか、2日後に放送の「爆笑問題カーボーイ」(TBSラジオ)では、この失敗を反省する話が全面的に流された。

同番組で「選挙特番はそんなに神聖な場所だったの?」と太田が言っていたのは、前述した問題の原因がまだ整理できていないことのあらわれに見えるが、妻で所属事務所の社長である光代さんから「口の聞き方気をつけなさいよ」と怒られたことを明かしたのは、リスナーよりも激怒する自民党サイドへの謝罪に見えた。「もう審判を待つしかないね。今後の仕事面においても」とまで言っており、これが別の意味で一大事であったことを匂わせる。

太田との仕事歴があるTBSディレクターに話を聞いてみると、「台本どおりにキッチリやる芸人MCが多い中、太田さんは事前にスタッフとあまり多くの言葉を交わさず、意向だけ聞いて本番で一気に流れを作るタイプ。だから、うまく流れが作れてないときは途中で修正させなきゃいけないんですが、それをするのがスタッフと綿密にやり取りする田中(裕二)さんで、彼がいなかったのが大きかったように見える」と言った。

「正直に言えば、MCの小川彩佳アナがその役をやるべきだったと思います。『太田さん、いまのはちょっと言い過ぎかも』と言って修正はできたはず」

そこをスタッフがカンペ(紙に書いての指示)で伝えるということもできなかったか。

「無責任に聞こえるかもしれませんが、スタッフ側では気を使いすぎちゃうところがあって、本番での勢いを削ぐからと待ったをかけにくい風潮があるんです。特に芸人さんは勢いで持っていきますから」

聞けば「番組前半で、進行上、長くCM休憩に入れなかった」ことも、修正を本人に伝える機会がなかった一因のようだが、そうなるとこれは太田ひとりの暴走という問題ではなくなる。なにしろ選挙特番は熟練ニュースキャスターであっても緊張を隠せない大仕事、それをあえて引き受けた太田をフォローするのも番組の仕事だ。

今回の視聴率(ビデオリサーチ調べ)は世帯平均でNHKが17.7%のトップ。太田の番組は6局中最下位の6.2%で、数字だけ見れば方向性も失敗だったといわれるだろうが、政治番組が予定調和のやり取りばかりになるのは報道としてのデメリットもあり、「別の角度から思いきった人選で政治家に忖度しない質問をぶつけたい」と考えた制作サイドの挑戦姿勢は前向きにとらえたい。

 ◇

 片岡氏は「制作サイドの挑戦姿勢は前向きにとらえたい」と言っていますが、TBSはテレビ朝日を凌ぐ反日、反権力の巣窟のような局。挑戦姿勢と来れば当然反与党、親野党となるわけで、そうした背景から甘利氏、二階氏、枝野氏への対応が、ものの見事に現れているとしか言い様がありません。

1_20211108183801  更には、枝野氏には「僕は今回、立憲民主党に入れた」というあたりは、偏向番組を地で行っていて、まったく呆れ返りますね。「選挙特番」ならぬ、太田光の「反与党、親野党、偏向特番」というタイトルにすれば、分かりやすかったと思いますね。高市早苗氏にも、森友学園や公文書改竄問題を執拗に問いただした様で、完全に野党側の立場で質問するあたり、太田氏とTBS両方の「地」が出てしまっています。

 炎上したのは当然として、その原因が「無礼」だと言うことだけに収めず、選挙という公平公正を必要とする報道で、こうした偏向報道をしたその罪を、しっかり問う必要があります。また太田光氏を二度と報道番組には使わないという確約を、テレビ局はするべきです。「思いあがりもいい加減にしろ!何様だと思っているのだ」、と私自身本人にそう言いたいですね。

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2021年11月 8日 (月)

朝日の記者が拡散した「南京大虐殺」は中国軍の仕業だった

Images_20211107211701  今回は「南京大虐殺」を取り上げます。この「南京大虐殺」は「慰安婦強制連行」と同様、戦後朝日新聞の記者が真実かどうか調査もせず拡散した、もっとも忌まわしい事件の一つです。私は以前この事件の詳細について、田中正明氏の著書「南京事件の総括」で知り得ました。

 ここではこの事件の概要を、元陸将補の森清勇氏が2年半前に、JBpressに寄稿したコラムから引用して掲載します。タイトルは『「南京大虐殺」は中国軍の仕業だった 南京入城時の内外紙の報道から検証した本当の歴史』(19/1/9)です。

 ◇

 中国江蘇省の「南京大虐殺記念館」が2017年12月14日、リニューアルを終えて一般公開を始めた。

 しかし、産経新聞の河崎真澄記者の報道(2017.12.15)によると、「南京大虐殺の史実を世界に周知させた」として顕彰された朝日新聞の本多勝一元記者らの写真と資料が撤去されていたことが分かったという。

 河崎記者は日本軍が朝鮮半島で女性を強制連行したとする吉田清治氏(故人)の証言報道が「虚偽だった」と朝日新聞が認めたことなどから、同紙の過去の報道の信頼性に疑念をもたれる恐れがあると判断した可能性があるとしている。

 一方、習近平主席が2015年の公式訪英時、エリザベス女王主催の晩餐会で「日本侵略者の暴行を暴く記事を発表した」などと英国人記者を称賛して中英の友情物語として紹介したことがある。

 ところが、岡部伸(産経新聞ロンドン支局長)氏の調査で件の記者は南京に行っていなかったことが判明した。筆者はこの失態の影響もあるのではないかと思料している。

 嘘は大きければ大きいほど愛国心が強い証とされた「愛国虚言」ゆえか、本多氏のルポルタージュ「中国の旅」(1971年)以来、「南京大虐殺」は拡大の一途をたどり独り歩きしてきたが、展示品の撤去や事実を確認しない虚偽の紹介は、矛盾の露呈ではないだろうか。

そもそも「南京事件」とは何か

 支那事変(日中戦争、日華事変とも呼称)は、北京近傍の盧溝橋事件(1937年7月7日)で始まり、3週間後の29日には日本人居住地を守っていた中国の守備隊が反乱を起こし、250人余の猟奇的殺害、処刑を行う通州事件が起きる。8月9日には上海に拡大した。

 「中国に深入りするのは泥沼に踏み込むようなものだ」と不拡大を主張していた参謀本部の第1部長石原莞爾少将や慎重論の米内光政海相も堪忍袋の緒を切らし、作戦を限定する方針のもとに上海への出兵に同意する。

 9月にかけて2個師団強(第3・第9師団、1個支隊)が松井石根大将を総司令官とする上海派遣軍として派遣された。

 他方、蒋介石の中国側はドイツから招いた将軍の指導下にチェコ製機関銃を配備するトーチカを構築して、75個師団(約75万人)の大兵力を布陣していた。

 日本側は苦戦を強いられ、11月には予備役まで招集した第10軍(第6・第101師団、1個支隊)を増派、北支から第16師団も転用して上海派遣軍に編入し、中支那方面軍(司令官松井大将)を編成した。

 5個師団基幹でも総兵力は約7万人で、国民党軍の10分の1以下でしかなかった。

 蒋介石は住民を盾にする戦術を採り、住民を巻き添えにしたくない日本軍は至る所で思わぬ抵抗を受け、20キロを進むのに1か月余を要した。

 その後の南京までの三百数十キロの追撃が30日であったことからも、上海戦の激烈さが分かる。

 日本軍が南京攻略戦を開始したのは12月8日である。蒋介石は前日に南京を脱出する。

 松井方面軍司令官は9日16:00に翌日正午までの停戦命令を出し降伏を勧告するが返答なく、10日13:00に攻撃を再開した。

 日本軍の攻城に耐え切れず南京防衛軍司令長官の唐生智が12日夜脱出すると、13日早朝に南京は落城する。その後城内の掃討戦を行い、17日に松井司令官を先頭に入城式を行う。

 日本軍の意向もあって、12月23日には早くも南京市自治委員会が成立し、翌1938年1月1日を期して発会式を挙行している。

 城壁上に上がった陶錫三会長は城下に集う民衆に対して「ここに敵の主都は甦生へのスタートを切った」と宣言する(「アサヒグラフ」昭和13年1月26日)。

 「南京事件」と言われたものは、米人宣教師たちが後々の布教のために、「城内における日本軍の暴行」をでっち上げ、国際世論や南京市民の支持を得るプロパガンダであったとされる。

 従って、城内の暴行報告は日本軍の南京入城(12月13日)から翌38年2月上旬までの約6週間であった。

 しかし、この間の暴行報告を見ても強姦、掠奪、放火などで数も多くなく、虐殺と思われるような事象は見られない。

 事実、南京戦以前は100万人いた市民の多くは戦火の拡大と共に脱出した。

 残った20万人もドイツ人ジョン・ラーベを長とする国際委員会が設定した安全地帯(安全区や難民区などの呼称もあり、皇居前広場の約4倍)に収容され、安全区外の城内にいる市民はほとんどいない状況であった。

 しかも、城内の人口は日本軍の入城後も減ることはなく、2月頃は25万人と推定されるまでになっていた。

 この時点で南京市民虐殺30万人説は成り立たず、「南京大虐殺」の虚構は崩れ去る。

 しかし、大虐殺は「あった」派は満足せず、何時しか上海戦から南京攻略に至るまでとしたり、南京攻略戦以降の数か月にわたる期間などとするように変化させていく。

 また、歴史家で「日本『南京』学会」理事でもある冨澤繁信氏は、大虐殺の出発点となった6週間内の「南京安全地帯の記録」を丁寧に翻訳・研究し、安全地帯の記録で「兵士」と書かれているのを一方的に「日本軍兵士」とする恣意的誤訳などを指摘している。

Unnamed_20211107211701 本多氏『中国の旅』での記述

 日本軍が南京に近づく状況を本多氏の『中国の旅』は、「ここに至るまでに、すでに膨大な数の住民が殺されています」と書いている。

 日本軍が入城すると、10万人以上いた蒋介石軍の高級将校は家族を連れ、また主な将校らも北側の2つの門から逃げ出し、門を閉め外から錠をおろして遮断する。

 そこに大衆が押し寄せると、「日本軍は機関銃・小銃・手榴弾などを乱射した。飢えた軍用犬も放たれ、餌として食うために中国人を襲った。二つの門に通ずる・・・大通りは、死体と血におおわれて地獄の道と化した」。

 日本軍は「二つの門を突破して、南京城外へくりだした。長江ぞいに下流(北東)へ、・・・と虐殺をすすめ、さらに南京城北7キロの燕子磯では10万人に及ぶ住民を川辺の砂原に追い出しておいて、機関銃で皆殺しにした。・・・このときまでに、南京城内も合せて約20万人が殺されたとみられている」と記している。

 本多氏に語る姜根福氏は「アヒルがたくさん浮いているかのように、長江の水面をたくさんの死体が流れていた光景が、今でもはっきりとまぶたに浮かびます」と語る。

 続けて、「虐殺は大規模なものから一人、二人の単位まで、南京周辺のあらゆる場所で行なわれ、日本兵に見つかった婦女子は片端から強姦を受けた。紫金山でも2000人が生き埋めにされている。こうして歴史上まれに見る惨劇が翌年二月上旬まで2カ月ほどつづけられ、約30万人が殺された」と語るのである。

 このわずかな引用でも異常な殺し方が見られるが、姜が伍長徳さんから聞いた話として次のような記述がある。

 「(日本兵は)逮捕した青年たちの両手足首を針金で一つにしばり、高圧線の電線にコウモリのように何人もぶらさげた」

 「・・・下で火をたき、火あぶりにして殺した。集めておいて工業用硝酸をぶっかけることもある。苦しさに七転八倒した死体の群れは、他人の皮膚と自分の皮膚が入れかわったり、骨と皮が離れたりしていた」

 「(化学工場では)強制連行に反対した労働者が、その場で腹をたち割られ、心臓と肝臓を抜きとられた。日本兵はあとで煮て食った」

 残酷な殺し方が出てくるが、日本人にはなじめない方法ばかりである。

 中国の古典『資治通鑑』にはこうした殺し方が記述されていると言われ、正しくこれらは中国4000年の歴史でしかないようだ。

 なお、南京は幾度も事変に見舞われ、その度にこうした殺戮が繰り返された都市でもある。

ごまかしに終わった藤岡氏との誌上討論

 「週刊文春」(2014.9.4号)が「朝日新聞 売国のDNA」で、「本多氏は事実とかけ離れた『南京大虐殺30万人説』を流布させた人物だ」として、上述の「歴史上まれに見る惨劇・・・」を引用したうえで、藤岡信勝拓殖大学客員教授の「この記事は本多氏が中国共産党の案内で取材し、裏付けもなく執筆したもので、犠牲者30万人などは、まったくのデタラメです」とのコメントをつけていた。

 このコメントに対し、「週刊金曜日」編集部から「週刊文春」編集部に「公開質問状」が届く。

 両者の意を受けた両編集部が相談した結果、誌上での公開討論を5回行うことになるが、藤岡氏の第1信に対する本多氏側の「週刊金曜日」からは本多氏とA記者が対談する変則的な形の第1信が届く。

 これでは2対1の討論で、しかも討論相手の本多氏の発言は10%位(全5信の文字数6000字中の比率)でしかないという。

 藤岡氏が「本多氏との誌上討論には同意したが、正体不明の『A記者』なるものと討論することを承諾した事実はない」から「心底驚き、呆れた」「卑怯であり卑劣である」「責任逃れ」だと詰るのも頷ける。

 平行線というか不毛に終わったように、日中間の最大の歴史戦は南京事件である。

 当時、南京に派遣された特派員は朝日新聞約80人、東京日日(現・毎日)新聞約70人、同盟通信社約50人など、総計200人超とみられ、また「アサヒグラフ」などの写真報道も盛んに行われた。

 こうした資料が「南京事件」を全くと言っていいほど扱っていないのは、そもそも事件は「なかった」という最大の傍証ではないだろうか。

 筆者がJBpress『欺瞞にみちた創作か、本多勝一氏の「中国の旅」―「柳条湖」をルポルタージュで「柳条溝」とした顛末から読み解く』に見たと同じく、当時の史料や関係者の発言などよりも中国側が長年にわたってシナリオを練り脚色した言説を信じるという「本多ルポルタージュの破産」(殿岡昭郎氏)ではないだろうか。

記者たちは真実の報道を怠ったのか

 南京城を陥落させるまでの数日間は城外で激戦が続くが、入城後に市民を虐殺したという報道はほとんどない。

 20万人と言われた市民のほぼ全員が安全区に避難し、安全区以外の城内外にいたのは中国の兵士だけであったとみられているからである。

 石川達三など一部の作家が日本兵士の悪逆非道ぶりを見たように東京裁判前に新聞に書いたが、後に「大殺戮の痕跡は一片も見ておりません。・・・(自分が以前書いた)あの話は私は今も信じてはおりません」と否定している。

 当時の各新聞やアサヒグラフ、支那事変画報(朝日版、毎日版)などが報道している内容は、平和な日常が返ってきたという印象の記事や写真がほとんどである。

 しかし、8年後の南京裁判と東京裁判で、突如として20万とも30万とも言われる虐殺を日本軍がやったとして被告席に立たされる。

 戦闘に関わった万を数える将兵や当時現地で取材したほとんどの記者たちも、初めて聞く話に驚き、狐につまされた感じであったと述べている。

 前述の通州事件はたった1日の出来事で、記者らしい記者もいなかったが、翌日からは各紙が報道した。

 一方、6週間にもわたった南京戦では200人を超す内外記者・カメラマン、作家・画家、内外の外交官などが居合わせながら、誰一人として「虐殺」など語らなかったのだ。

 松井石根・中支那方面軍司令官は入城に先立ち9日、唐生智・南京防衛司令官あてに降伏の勧告を行っている。

 主旨は南京には歴史遺産が多くあり破壊するに忍びないし、また罪のない民衆が傷つくおそれがあるので南京を開放せよというものであった。

 しかし、指定時刻になっても南京城からは何の反応もなく、勧告を無視したので攻撃命令が発せられた。日本軍は激しい攻城戦を繰り広げながら包囲網を確実に狭めていった。

 南京を逃れて重慶に政府を移転した蒋介石さえ、内外への宣伝と支援要請のため開いた300回もの記者会見で「虐殺」には言及していない。

 のちに政権を取る毛沢東も「自分が政権を取れたのは皇軍のお蔭」とは述べるが、虐殺非難など一切しなかった。

 「虐殺」ほど世界を驚かし、同情を誘い支援要請に好都合な宣伝であろうに、「一切しなかった」、いや「できなかった」のはなぜか。答えは言うまでもないであろう。

暴虐を働いたのは支那兵だった

 1937~38年の日中戦争当時、蒋介石や国民党軍の行動を実見した米国人ジャーナリストのフレデリック V. ウイリアムズは、『中国の戦争宣伝の内幕 日中戦争の真実』(田中秀雄訳)で、蒋介石の国民党が米国を巻き込んで、残虐極まる中国軍を糊塗して、悪逆非道の日本軍とするプロパガンダ大戦略を練り展開する状況を記している。

 本多氏の「中国の旅」は、中国にとっては「飛んで火にいる夏の虫」を捕えた場外延長戦ではなかったのだろうか。

 宣伝に長けた中国共産党のプロパガンダで、仕組まれた成果は「南京大虐殺記念館」の建設(1985年)にも繋がっていったのであろう。

 大阪朝日新聞(12年12月10日付)は、「負傷兵締め出し」「非人道極まる支那軍」の見出しで、ニューヨーク・タイムス南京特派員の9日の報道を転載している。

 日本軍に圧迫されつつある支那兵が化学戦研究所や金陵公園内の政府要路の大人たちの広大美麗な邸宅に放火しているというのである。

 同時に、中国人負傷兵が城内に入って中国軍から手当てを受けるのを締め出すために門を閉ざしたと伝える。

 それどころか、城内で治療を受けていた負傷者までが城外に追い出され、自力で城壁を迂回して揚子江へ出るか、野垂れ死にする以外にない状況に置かれたとの報道である。

 日本軍との城外での熾烈な戦闘の一方で、支那軍自身が自国民や負傷兵士を手当てするどころか、死に至らしめている状況を作り出していたのである。

 同紙はまた、「狂ふ支那軍の大破壊」「外人の軍事専門家呆れる」の見出しも掲げ、中立国の軍事専門家がニューヨーク・タイムス南京特派員に語ったことを報道している。

 それによると、「日本軍の空襲砲撃の与えた損害は殆んど軍事施設に限られてをり、これを全部合わせてもなほ支那軍自身の手によってなされた破壊の十分の一にもたらぬであろう」というのである。

 「支那軍は退却に当たり、不毛の原野や残煙立ち昇る廃墟を後に残して、これを日本軍に占領させた方が、ただ空しく退却するよりは、彼らの威信を高めるものだと信じてゐる」からだという。

 そして「今や日本軍の進撃を前に奥地に殺到する避難民は数百万に達してゐるが、支那政府が彼らを救済しようとしても何事もなしえぬ今日、彼らは如何にこの冬の衣食住を得んとするか、これは想像に余りあるものがあらう」とも述べる。

 日本軍の手の届かないところで、南京市民や負傷兵たちがほかならぬ中国軍によって死に追いやられている状況を遺憾なく示していたのである。

 このように、中国政府や中国軍は、市民たちをあっさり棄民として見捨て、われ先にと安全なところに逃げて行った。

 日本軍が入城した時に見た死体などの光景は、中国軍が自国の市民を死に追いやった姿であったのだ。

 姜根福が語った「南京城内も合せて約20万人が殺されたとみられている」というのは、中国軍の仕業であったことが図らずも証明されるのである。

全体的に平穏な南京城内

 同盟通信社の前田雄二記者は開城と共に入城するが、「まだ戦闘は終わってはいない。城内の中国軍は統制を失ってはいたが、各要所に立てこもって一歩もひこうとしない部隊であった」と相手のタフネスについてもしっかり記録している。

 そして「浅井、祓川、高崎などのカメラは、この市街戦をとり続けた」(『戦争の流れの中に』)と書いている。このように、城内の戦闘状況を撮りつづけていた同盟通信社のカメラマンだけでも3人がいたのである。

 当時の新聞などは戦闘状況を報道しているだけで、「南京事件」を報じていなかった。先ほど述べたように、むしろ退却する中国軍の悍ましい状況を報道している。

 当時のアサヒグラフなどの写真を見ても、大人も子供もにこやかな顔の写真が多く、日本軍の入城を歓迎したという話はあながち嘘でもなかったことが分かる。

 そうした中で、蒋介石の宣伝戦に協力する外国人(特に米国人宣教師など)や外国メディアが外電で針小棒大に事件を仕立てて報じたわけで、実際に戦争に関わっていた将兵や数百人もいた報道記者たちにとっては、初めて耳にすることで吃驚仰天以外の何物でもなかったというのである。

 戦後の中国共産党は、戦前・戦中の報道や東京裁判での判決などをベースに、日本に対し三戦でゆさぶりをかけているわけで、吟味なしに被災者たちの声を直接伝えることは、共産党の広報員になったも同然ではなかろうか。

 今日においても日常的に、自己正当化や数値の操作などは共産党が得意とするところである。

 南京の事象を日本軍の暴行として報道する外国人教授や米国人宣教師たちはどこにいたか、主として安全区に避難していた。

 危険地帯を歩き回っている記者やカメラマンらの目と、安全区に保護されている欧米人の目と、いずれが信ずるに足るというのだろうか。

 午後は残敵掃討戦になる。

 「敵は陣地を放棄する時は建物に火を放つので、黒煙がもうもうとあがる。砲火と銃声がひびきわたり、市内には凄愴の気がみなぎった。住民の巻きぞえをくうものもあり、中国軍の遺棄死体は多数にのぼった」と前田記者は記す。

 また「多くは兵服を脱いで住民に成りすました」とも述べている。

 前田記者は13日から15日にかけ、何回となく南京城内を車で見て回っている。旧支局が安全区内にあったということで、15日には安全区に入っている。

 「店はまだ閉じていたが、多くの住民が行き交い、娘たちの笑い合う姿があり、子供たちが戯れていた。生活が生き残り、平和が息を吹き返していたのだ。私は戦争で荒れた心が和むのを覚えた」という。

 報道写真からもそうした情景をみることができる。

 14日の状況について、東京朝日新聞(12月16日付)はどういう報道をしていたであろうか。

 「中山路の本社臨時支局にいても、もう銃声も砲声も聞こえない。14日午前表道路を走る自動車の警笛、車の音を聞くと、もう全く戦争を忘れて平常な南京に居るような錯覚を起こす。住民は一人も居ないと聞いた南京市内には尚十数万の避難民が残留する。ここにも又南京が息を吹き返して居る。兵隊さんが賑やかに話し合って往き過ぎる」

 しかし、当然のことながらこの前後にも小競り合いの戦闘は継続しており、16日には日本兵が捕虜を銃剣で処刑している場面に遭遇する。

 その後、下関の挹江門に回ると「まるで門をふさぐように中国兵の死体がぎっしり詰まっている」場面に出くわす。

 また他の場所では銃で処刑しているところも見ており、別の記者が日本の兵士に勧められて中国兵を射殺もしている。

 翌17日が入城式で、約100人の報道陣が集まり、その中には西条八十、大宅壮一氏などもいたという。

 翌日、再度城内を車で走ると挹江門の死体はすべて取り除かれていたが、護送中に反乱を起こした「夥しい中国兵の死体の山が(揚子江岸に)連なっている」のを目撃している。

 市民は安全区に保護されており、決して市民の死体などではない。

 戦いの相手であった国民党が発刊した当時の国民党軍の行動記録にも不法殺害や虐殺などの字は見出せない。

 前田記者たちは、同社の記者とは言うまでもないが、他の新聞社の記者らとも情報交換しており、自分一人の目で見たことではなく、南京戦場のあらゆるところから何百人もの記者らが見たり聞いたりした言行をベースに書いている。

 前田記者が城内を実見した状況や当時の朝日新聞が報道した内容、また国際連盟での中国代表であった顧維均等の発言・討議と、宣伝戦を得意とする中国共産党の息のかかった人物から本多氏が30余年後に聞き書きした内容と、どちらの信憑性が高いかは一目瞭然ではなかろうか。

 ◇

 このコラム記事にあるように、様々な当時の目撃証言によって、南京大虐殺は捏造である事が判明していますが、その捏造事件を自分で詳細に調査せず、中国共産党の息のかかった者たちからの聞き取りだけで、執筆拡散した朝日新聞の本多勝一元記者。これは故吉田清治の慰安婦強制連行捏造本の内容を、自身で現地調査もせずに書き続けた、同じ朝日新聞の植村隆元記者と同罪です。

 しかも中国軍が日本人を虐殺した「通州事件」と同じような内容の、身の毛がよだつような凄惨な殺し方を、南京で日本人が行ったと、中国人に言われるままに、調査もせず書籍にしたこの本多勝一は、果たして日本人でしょうか。

 朝日新聞は「南京大虐殺」と「慰安婦強制連行」という二大捏造の元を作った、史上最大の国家毀損犯罪新聞です。しかもそれに懲りずに今なお、日本を貶め中韓に媚びを売る売国新聞の実態を変えようともしていません。私にはこの新聞の目指すところがよく分かりません。政党のように目的、目標をはっきりさせてもらいたいと思います。まさか「反日が使命」と本当のことは言えないでしょうが。

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2021年11月 7日 (日)

政治は国力低下に歯止めをかけ、強い日本を蘇らせよう

20200313231606  日本では「失われた20年」という言葉が言われて久しくなりました。その後も、アベノミクスで多少は持ち直しましたが、根本的には解決できず低迷は続き、更に「失われた30年」と言われ始めています。このままでは「失われた40年」や「失われた50年」というのもあり得ないことではないでしょう。

 この経済低迷と国民の所得停滞には、様々な要因があるでしょう。少子化に伴う労働力人口の減少と国民負担を増大させる高齢者の増大、神戸淡路大震災や東日本大震災、それに毎年発生する大洪水などの大災害の影響、国際的なエネルギー価格の高騰など、いくつかあげられるでしょうが、しかし大きな要素として、政治の力不足というのもあげられるのではないでしょうか。

 自然災害は別にして、研究開発力やイノベーション力の世界での相対的低下も、また少子化や為替の意図的な変動などでさえも、政治の不作為と関連しています。

 高齢化に伴って不可欠の社会福祉支出など、分配を増やすためには、その原資を稼ぐ経済成長は欠かせません。この経済成長を力強く推進するためには、今までにない政治の力が必要です。これについて今回は、産経新聞編集委員の田村秀男氏のコラムを取り上げます。タイトルは『政治は国力低下に歯止めをかけよ』(11/6)で以下に引用します。

 ◇

経済成長こそが国力と経済安全保障を支える。先の衆院選では、与野党とも「分配優先」論に流されがちで、成長も経済安保も論議が極めて低調だったのは政治の怠慢である。

■ □ ■

四半世紀もの間、デフレが続く日本では企業が設備投資や雇用を抑え、債務を減らす。健全な経済では、家計の金融資産は企業と政府の負債が増えることで増えるが、日本はそうならない。

デフレの始まった1997年度末に比べた2021年6月末の部門別の金融純資産・純負債の増加額は家計純資産758兆円、一般政府純負債567兆円、対外純資産261兆円である。われわれの懐具合にかかわる名目国内総生産(GDP)は2020年度、1997年度に比べて5・8兆円以上も減った。

モノ需要不振の国内で行き場のないカネが、ニューヨーク・ウォール街に代表される強欲な国際金融資本と国際金融資本が仲介する低金利のドル資金を食っては肥える共産党独裁の中国を喜ばすという構図は、新型コロナウイルス禍でますますひどくなっている。

2020年度は新型コロナ・パンデミックによる打撃が世界の主要国のうち日本がもっともひどく、さらに21年になってもコロナ不況から抜け出せないのは、デフレ圧力が強いためである。経済のパイが縮んでいる中で、所得格差が広がる。金融資産課税を強化して低所得層に再分配せよとは言うは易(やす)しだが、株式をもつ中間層や年金世代も痛めつけられる。

そんな様で、経済安全保障と不可分である国力はどうなっているのか。国力を経済力と言い換えると、主要な構成要素はGDPと並んで対外購買力が挙げられる。各国通貨の対外購買力を表すのが実質実効相場と呼ばれる指標である。

通貨の相場を一定とすれば、実質実効相場は主要貿易相手国との物価、賃金、さらに名目GDPの増減率の差で上下する。円高の度合い以上に物価、賃金や名目GDPが下がると実質実効相場は低下するし、円安と物価、賃金、名目GDPの伸び率がゼロ%以下なら、実質実効相場は円安分だけ落ち込み、日本の対外購買力の低下と国民貧困化が同時進行する。経済協力開発機構(OECD、本部パリ)統計の円の実質実効相場指標をみると、2021年9月は消費者物価ベースで1977年初め、賃金ベースでは1974年初めの水準にまで落ち込んだが、まだ底が見えない。

■ □ ■

Photo_20211106155801 グラフは世界の中央銀行で構成される国際決済銀行(BIS、本部スイス・バーゼル)の統計が示す日本、米国、中国の実質実効為替レートと各国通貨建ての名目GDPを指数化し、円の対ドル相場を組み合わせている。指数は日本のデフレ元年の1997年を100とした。

実質実効相場と名目GDPともめざましい増勢基調を保ってきたのは中国だ。人民元の対ドル相場を人為的に安定させて外国からの直接投資と輸出を増やす基本政策のもとで、2008年9月のリーマン・ショック以降は固定資産投資を急増させる。消費者物価上昇率を穏当な水準で保つことにより、名目GDPを膨張させてきた。2020年は1997年に比べ、名目GDPは12・7倍、実質実効相場が28・7%上昇した。

対極にあるのが日本である。それぞれ0・9%減、29・2%減。この間の日中のギャップは実質実効相場では57ポイントにもなる。中国はドル・ベースでみた名目GDPは1997年に日本の21%だったが、今や約3倍になる。しかも対外購買力を日本に比べて5割以上高めた。中国にとってみれば日本のモノ、技術、人材、中小企業、東京都心の不動産や北海道などの山林原野に至るまですべてが安いということになる。しかも、中国市場の巨大化につられた日米欧の企業が先端技術を中国に持ち込み、投資する。中国は軍事に限らず、経済安全保障という観点に立てば日本を圧倒する勢いだ。

他方で、米国は名目GDPを2・4倍とし、ドルの実質実効相場水準の安定を保っている。中国の脅威増大の現実からすれば、同盟国日本の国力衰退は覇権国米国にとって痛いはずだ。しかし、デフレ日本のカネ余りが米国の金融市場を支えている。米国が日本に脱デフレ圧力をかけてこなかった背景がそれだ。

日本みずから経済安保強化と、国力低下に歯止めをかける決意が問われよう。

 ◇

Photo_20211106155901  自民党政調会長の高市早苗氏が、自民党総裁選に先駆けて「日本経済強靱化計画」(このブログでも紹介)を発表していますが、その政策を是非実行して欲しいと思います。今や戦後は終わって、謝罪外交やそれに伴う賠償政策は終息しました。まだ騒いでいる国はありますが、これからはひとえに国力を増すための経済政策と、防衛政策を第一優先にしなければなりません。

 幸い、何でも反対の左向き野党は今回の衆議院選で議席を減らしました。中道の野党と連携しながら、日本国民のために国力増強に政治が一丸となって、突き進むことを期待します。

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2021年11月 6日 (土)

野党共闘でも「立憲民主党が惨敗」した「本当のワケ」

6330989  立憲民主党は先月末の衆議院選で政権交代を訴え、共産党を加えた野党共闘で臨みました。事前の、議席を大幅に伸ばすという予想に反し、10議席以上を減らし敢え無く敗北しました。

 その原因について、様々な意見がありますが、週刊現代の記者の小川匡則氏が、現代ビジネスに寄稿した記事を取り上げます。タイトルは『枝野幸男よ、さらば…! 野党共闘でも「立憲民主党が大惨敗」した"本当のワケ”  総選挙の「舞台裏」で起きていたこと』で、以下に引用して掲載します。

 ◇

「無敗の男」が敗れた

10月31日午後10時6分。中村喜四郎の敗北が伝えられると陣営には暗い雰囲気が漂った。

「地域を挙げて懸命にご支援をいただいたにもかかわらず、残念ながら一敗地に塗れる結果になってしまいました。しっかりとした結果を出せなかったことは私自身の不徳の致すところと深く反省し、お詫び申し上げます」

茨城7区の中村喜四郎は支援者を前にこう語った。15回目の選挙にして初めての敗戦の弁であった。

敗北が決まり、支援者を前に挨拶をする中村喜四郎

最大の敗因は保守系無所属の立場から立憲民主党に移ったことだろう。

「『立憲民主党なら応援できない』といろんな人に言われた。それに、野党に移ってから県議は1人(息子の中村勇太県議)を除いて全員自民党になった。喜四郎さんのおかげで当選した県議すらも向こうについた。離れた票を埋められなかった」(中村陣営選対関係者)

この4年間、立憲民主党は「大きな塊を作る」として国民民主党との合流、共産党との連携で「野党候補の一本化」に努めてきた。「1対1ならば与党に勝てる」という戦略だった。

投票日の午後には「自民党単独過半数割れ」の可能性が伝えられ、一定の成果が出るかと思われた。しかし、「野党共闘」の効果は限定的だった。

立憲民主党は96議席に終わり、選挙前の109議席から13議席も減らす「惨敗」に終わった。

枝野辞任へ

もともと立憲民主党内では「小選挙区では上手くいけば30くらい増やせるかもしれないが、比例は前回立憲と希望の党で獲得した議席から大きく減らすことは確実。立憲自体の人気がないからだ。現有議席を維持できれば良い方なのでは」(中堅議員)という冷静な見方もあった。それにしても、ここまで減らすとは想定外だっただろう。

「現有議席を下回る大変残念な結果となりました。ひとえに私の力不足です。新しい代表のもと、新しい体制を構えて来年の参院選挙、そして次の政権選択選挙に向かっていかなければならないと決断いたしました」

選挙戦を終えた枝野代表は11月2日に開いた執行役員会の冒頭で辞任を表明した。

野党共闘の効果が全くなかったわけではない。秋田2区では前回約1700票差で勝利した元法務大臣の金田勝年が、今回は立憲民主党の緑川貴士に約8000票差をつけられて敗れた。

金田の得票は前回より900票程度減らした一方、緑川は8700票近く増やした。前回共産党が獲得した1万3000票余りの多くが乗ったとみられる。

金田に野党共闘の影響はあったかと尋ねると、「猛烈にあった。共産党の票が相手に乗った」と認めた。

立憲民主党への期待がまったく伸びなかった…

同様に野党候補が一本化して逆転勝利したのが前回は共産党に加えて社民党も候補者を出していた福島4区だ。前回約1100票差で敗れた立憲民主党の小熊慎司は「(前回8000票取っている)社民党が合流し、その票は確実に入った」としながらも、「前回も勝っている1区の金子恵美さん、3区の玄葉光一郎さんがともに票差を詰められている」と指摘した。

前回、共産党が候補者を出さなかったことも手伝って小選挙区で勝利した辻元清美(大阪10区)、川内博史(鹿児島1区)、黒岩宇洋(新潟3区)はいずれも比例復活すらできずに落選した。これは立憲民主党の党勢が全く上向かなかったことを示している(黒岩は前回無所属で当選)。

枝野代表の埼玉5区も同様に、前回も共産党が候補者を擁立しなかった。ところが前回、牧原秀樹に4万票以上つけていた差が今回は6000票差まで詰められ、日付が変わってからようやく当確が出る苦戦ぶりだった。

「立憲民主党と共産党に私たちは負けるわけにはいかないんです!この組み合わせに負けたら日本は再びあの悪夢のような時代に逆戻りしてしまいます!」

10月21日、大宮駅西口に駆けつけた安倍晋三元首相はこう叫んだ。「共産党と一緒にやっている勢力に政権を任せるわけにはいかない」という主張は安倍に限らず各地の自民党・公明党の候補者が叫んでいた。

組織力で劣勢区を次々ひっくり返した自民党

牧原の元には岸田首相や菅前首相、小泉前環境大臣ら大物が連日駆けつける攻勢で差を縮め、枝野は最終日最後の演説は大宮に戻らざるを得なかった。党勢の低迷に加え、自民党は組織力を発揮していた。

小泉進次郎は激戦区の東京23区に2日間も入り勝利に導いた

過去4回連続で比例復活当選を果たしながらも今回は初めて落選となった立憲民主党の前職・今井雅人は選挙戦をこう振り返る。

「10月10日頃の情勢調査ではこっちが3ポイントほど勝っていた。それで自民党に火がついてしまった。組織をフル回転させた引き剥がしがすごかった。県連からの引き締めが始まり、数多くいる地方議員が全力で動いた。こんなことは過去にないことだった。

ここ(岐阜4区)のような地方では町内会ごとにコミュニティができているが、その町内会単位で『共産党と組んでいる今井に入れていいのか』と訴えて回っていた。引き剥がしの口実に野党共闘が使われた面はある。その上で岸田首相や閣僚級が何人も応援に入ってきた」

岐阜4区では前回と有効投票数はほとんど変わらなかった。前回1万8000票余りを獲得した共産党は候補者を降ろしたが、今井の得票は約1000票減少した。その一方、自民党の金子俊平は3000票以上積み増し、前回約1万5000票の差が1万9000票以上に広がった。

今井の惜敗率は82%。立憲民主党には惜敗率90%以上の候補が32人もいた。自民党は終盤に重点区として30の接戦区をテコ入れした。そのほとんどを逆転した結果、「単独過半数割れ」の危機を脱することに成功した。

今井は「自民党の底力はすごい。自分が10年以上かけて一生懸命積み上げてきたものがわずかほんの2週間でひっくり返されてしまった」とうなだれる。

有権者は「自民党に代わる選択肢」を求めていた

では、自民党が積極的に支持されたのかというとそうではない。

「非立憲・共産」野党の勢力が伸ばしたからだ。

日本維新の会は自民党と対決した大阪15の選挙区で全勝。比例も含めて41議席と選挙前の11議席から大幅に増やした。兵庫でも多くの選挙区で「自民党に代わりうる政党」として認識され始め、兵庫6区では勝利した。

さらに、「小選挙区全員当選」を目標に掲げていた国民民主党は「厳しい」と言われていた前回比例復活の浅野哲(茨城5区)も含めて全員当選を果たした。さらに比例でも5議席を獲得し、結果的に選挙前の8を上回る11議席を獲得した。福島伸享(茨城1区)、米山隆一(新潟5区)、北神圭朗(京都4区)、仁木博文(徳島1区)、緒方林太郎(福岡9区)、吉良州司(大分1区)と過去に民進党の党籍を持っていた野党系無所属候補が当選を果たしたことも注目される。特に北神と緒方は共産党候補が出る中で自民党候補に1万5000票以上の差をつけて勝利した。これは「野党共闘」以上の期待感を有権者から得られたからだろう。

もう一つ今回の選挙で目立ったのは「世代交代」である。

投票に行かない高齢者

立憲民主党では過去3回の厳しい選挙に勝ち抜いてきた小沢一郎(79歳)、中村喜四郎(72歳)、篠原孝(73歳)、中川正春(71歳)が敗れた。いずれも「選挙に強い政治家」として名高かった。

自民党でも野田毅(80歳)、原田義昭(77歳)、三原朝彦(74歳)、山本幸三(73歳)、甘利明(72歳)、塩谷立(71歳)、ら70代のベテラン議員が次々と敗れた。これは「現状を変えて欲しい」という有権者の強い声と見るべきだろう。

ベテラン勢は二階俊博、麻生太郎など一部の候補者以外は苦しい選挙戦となった。13選を決めた衛藤征士郎(80歳、大分2区)は公示前から「新人議員並みに選挙区を回っていた」(自民党関係者)というほどの危機感で活動していたが、それでもわずか654票差の薄氷での勝利だった。

前回の1万9000票差から大幅に詰められた衛藤はこう振り返る。

「この選挙区では浮動票はほとんど私に入らない。選挙で勝つには保守票を固めることが最重要だが、今回はコロナの影響で10回やる予定だった個人演説会が3回しか開けなかったのが痛かった。結果、投票に行かない高齢者を多く出してしまった」

強固な後援会を誇るベテラン議員ほど、後援会の高齢化やコロナ禍での活動量の低下といった影響を強く受けた面もあるようだ。

幹事長だった甘利明、若宮健嗣万博大臣も野党共闘の前に敗れた

「野党がまとまれば自民党に勝てる」

今回の選挙では、野党がこの数年ずっと主張していたこの戦略の見直しを国民が迫ったものだ。

「政権交代可能な野党」はできるのか

国民民主党の玉木雄一郎代表は選挙結果を受けての記者会見で、立憲民主党との今後の関係について釘を刺した。

「我々は改革中道。自衛隊が違憲だとか日米安保がダメだとか言っているところとは政権は共にできない。そこと立憲民主党がどういう関係を再構築されるのかをよく見定める」

「野党が大きな塊を作る」という方向に進むには立憲民主党の路線変更が不可欠になった。

どういう路線で「政権交代可能な野党」を作るか。それがこれから始まる代表選の争点になる。今回示された民意を読み解き、「国民の声を聞く」ことができるのかにかかっている。

 ◇

 天皇制を否定し、日米安保を破棄すると言った、日本の主権や国体を否定する共産党と組んだことが、やはり国民に拒否感を抱かせたと同時に、事前の予測で過半数割れもあると言った自民党が、全力でその劣勢を跳ね返したことが大きな要因でしょう。

 しかしその自民党も議席は減らしています。大物議員も落選しています。自民党の古い負の部分も見逃されたわけではありません。そして立憲民主党、自民党の減らした議員の数は、是々非々の野党、日本維新の会に取って代わった、と言うことでしょう。

 共産党、社民党というこれも古い体質や理念の野党や、れいわ新選組という「バラマキ」野党は、消滅した方が日本のためになると思います。そして立憲民主党も代表が替わり、「何でも反対」で「政策なし」の野党から、真に国民のための提案と議論の野党にならなければ、これ以上の党勢拡大はまず無理でしょう。
 
 それでもやはり、国のため、国民のために与党と議論できる健全な野党というものは必要です。今後そうした野党の塊ができてくれば二大政党へ足がかりとなり、日本の政治も安定するかも知れません。ただ多党の存在が常態化している日本で、それがこの国の風土に合っているのかは分かりませんが。

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2021年11月 5日 (金)

在日ウイグル人が語る、中国共産党のジェノサイドの実態

Maxresdefault_20211104174301   日本でも中国共産党によるウイグル民族弾圧の報道はよく目にします。しかしその詳細をウイグル人が直接語った記事は少ないかも知れません。欧米を中心とする世界中の民主国家から非難が寄せられているこの問題、日本は今ひとつ積極的に非難をしてきていないように見えます。

 中国の内政問題としては済まされないその実態を、我々は詳しく知るべきでしょう。文藝春秋に記載された、在日ウイグル人で日本ウイグル協会会長の于田ケリム氏と副会長ハリマト・ローズ氏、それに南モンゴル・オルドス高原生まれで静岡大学人文社会科学部教授を務める楊海英氏による『ジェノサイド国家中国の真実』から、その一部を抜粋した記事を文春オンラインから引用して以下に紹介します。2部構成でタイトルはそれぞれ『子供の名前を自由に付けられない、家の中でもウイグル語は禁止…中国政府による“ウイグル人弾圧”のヤバい実情』『「ジェノサイドを見過ごした漢民族も日本企業も共犯者」“ウイグル人弾圧”を見て見ぬふりする日本に抱く思い』(11/3)です。

 ◇

 いまだ解決の糸口が見えない、中国による新疆ウイグル自治区でのウイグル人への弾圧問題。国際社会で問題視され始めたが、習近平政権が推し進める「ウイグル人根絶」政策の実態をまだ知らない方も多いだろう。

 ここでは、日本ウイグル協会会長の于田ケリム氏、南モンゴル・オルドス高原生まれで静岡大学人文社会科学部教授を務める楊海英氏による『ジェノサイド国家中国の真実』(文藝春秋)の一部を抜粋。にわかには信じがたい弾圧の実情を紹介する。

**********

<第一部>

弾圧者も弾圧される

于田 ウイグルでの弾圧がさらに厳しくなった一つのきっかけは、チベット自治区共産党書記としてチベット人弾圧で「成果」を上げた陳全国が、2016年に「新疆ウイグル自治区」の党書記に就任したことがあります。

 彼がまず行なったのは、ホータン地区の党・政府責任者97名を免職処分にすることで、処分対象のほとんどはウイグル人でした。「タバコを吸ったこと」が理由ならまだしも、「宗教指導者の前でタバコを吸うことを躊躇った」として懲戒免職された人もいます。

 宗教的規範を守っているとして、処分の対象になったわけですね。

于田 ウイグルでは、公安関係者も弾圧の恐怖に晒されています。ホータン、カシュガル、ウルムチなどの公安局幹部が次々に拘束されました。とくにウルムチ市公安局のカディル・メメット元副局長とジュレット・イブラヒム前副局長などは、ウイグル人を冷酷に弾圧する側の人物として知られていたのに、2019年に相次いで拘束されました。詳細は不明ですが、強制収容所の内情などを知り過ぎていたからだろうとも言われています。

 もともと「新疆ウイグル自治区」と言っても、形式的に自治区主席がウイグル人というだけで、党書記を始め自治区幹部の多くは漢民族です。

 その主席にしても、「両面人」のウイグル人が共産党に指名されるわけです。

于田 ですから、トップと言っても、発言内容は党が決めるので、発言権などありません。

 モンゴルも同じです。自治区レベルだけではなく、下級単位の自治州、自治県、自治郷に至るまで、「党委員会書記」は、必ず漢民族です。地方政府機関では、「正職」は漢民族、「副職」は少数民族に決まっています。稀に漢民族の副部長や副課長がいると、「お前、少数民族か」と冗談を言われる。それぐらい徹底しています。

于田 私が大学にいたときは、珍しく大学院の党書記がウイグル人でしたが、一見、漢民族の大学院長より地位が高いように見えても、実際は、ウイグル人の方が地位が低く、自分では何も決めることができませんでした。

 名目上の地位があっても、実権を与えないんです。

 新疆で第一に感じたのは、ウイグル人がすっかり気力を失っていることでした。あまりにも長期間、植民地的な抑圧政策を受けてきたために、やる気を失くしているんです。

 私などは「なぜ漢民族に抵抗しないんだ! 殴られたらやり返せばいいじゃないか!」と言うのですが、「いやいや、とても無理だ」という反応で、どこか暗いというか、非常に鬱屈したものを感じました。それだけ徹底的に弾圧されてきたということです。個人で奮闘したところで、すぐに逮捕、投獄され、テロリストのレッテルを貼られるだけ。そういう諦めのようなものも感じました。

公共空間での中国語の強要

于田 自治区の会議では、上にウイグル語、下に中国語で掲示が出ていましたが、今はウイグル語の掲示はないかもしれません。新疆大学のロゴマークも、ウイグル語と中国語の大きさが同じぐらいでしたが、ウイグル語がだんだん小さくされて、やがて削除されてしまいました。その後、ウイグル語表記は復活はしたのですが、元は英語の「ユニバーシティ」を意味するウイグル語だったのに、中国式の「大学」に変えられました。

 内モンゴルでも、2020年あたりからモンゴル語の看板が大量に外されて、書店からは、モンゴル文化やチンギス・ハーン関係の本が姿を消しています。建物には「公共の場につき、中国語を使いなさい」というスローガンが掲げられて、公共の場でウイグル語やモンゴル語で喋っていると、「あいつは信頼できない。減点だ」ということになります。

于田 まさに「『内心』で中国政府に反対している民族主義者だ」ということになるわけです。

「中国共産党」は、かつてはウイグル語式で「ジュングォコムルスパルティ」と言っていましたが、今では中国語式で「チュングォゴンチュワンダン」と呼ぶようになりました。

 「中国」は、ウイグル語で「ジュングォ」と言うのに、「チュングォ」と言わなければダメになったんです。「キタイ」というテュルク語系の言い方もありましたが、これもダメです。

「党」も、「パルティ」というウイグル語ではなく、「ダン」という中国語読みにしろ、と。以前はいかにも中国的な用語は中国語で発音しろということでしたが、今から見れば、まだ序の口で、その後、全面的に中国語化が進められたわけです。

子供の名前も自由に付けられない

于田 いまの新疆では、子供の名前も自由に選べません。「モハメッド」といったイスラーム色の強い名前は、明確に禁止されています。しかも名前に使う漢字にも制限があります。

 少数民族の名前だと、どうしても漢字は当て字になるのに、そこで「この字を使え」と限定される。文革期の南モンゴルでもそうでした。モンゴル人で「衛東(=毛沢東をまもる)」「東風(=西側に勝つ)」「文革」といった名前だと、文革期の生まれだとすぐに分かります。

于田 町や通りの名前も、ウイグル語名から中国語名に変えられました。
 中国人は、少数民族の言語による地名があるのに、すべて中国語に変えてしまう。元の地名の発音は中国人には難しいし、そもそも発音を学ぶ気すらないんでしょう。

 内モンゴルでは、「盟」や「旗」という行政組織名も「市」に変えられ、「ジェリム盟」は「通遼市」、「ジョーウダ盟」は「赤峰市」になりました。それが進歩のシンボルだと言うんです。

 私の名前も、文化大革命の時代に「オーノス・チョクト」というモンゴル名ではいじめられるということで、中国名に変えられました。今の日本名の「大野旭」は、モンゴル名の「オーノス」に「大野」という当て字をして、「旭」はモンゴル名の「チョクト」を意味的に訳したものです。

于田 私の名前の「于田(ウダ)」は、ウイグルの地名です。ホータンの近くで、中国語では「ウーティエン」と読みます。本当はこの漢字は使いたくないのですが、日本への帰化を申し込んだ時に、「簡単な漢字を使っていただけますか」と言われて、この字にしました。

「ウダ」は、私の父の家族が生まれた場所です。私が死んでも、誰かが私の名前を検索すれば、新疆のホータン付近の地名が出てくるので、「この人は日本人ではなくウイグル人かな」と考えてくれるかもしれない。帰化したウイグル人は、皆、そんなふうに日本名をつけています。

 例えば「和田」は、中国語読みでは「ホータン」になります。「アクス」は「白い水」という意味なので「白水」。天山山脈から取って「天山」という名前にした人もいます。

 自分に縁のある土地の名を苗字にして、「自分たちの出自を忘れないでほしい」という思いで、子供たちに渡すんです。というのも、ウイグルでは、学校だけでなく、公共活動、集団活動でも、ウイグル語の使用が禁止されているからです。

「ホームステイ」という名の家庭内監視

于田 中国共産党の幹部が、ウイグル人の家庭に住み着いて「指導(監視)」することまでなされています。住民と「双親(親戚)」になり、住民の「宗教意識」や「共産党への忠誠度」を調べ、一人一人に点数を付けるんです。家族が収容所に入れられて若い女性だけが残った家に、漢民族の男性が「親戚」として寝泊まりするケースもあるようです。

 まずは共産党として信頼できない人の家が優先対象なのでしょうが、漢民族の公務員の数は多いので、結局はすべてのウイグル人家庭に入ろうとしているように思えます。

 国際人権組織ヒューマン・ライツ・ウォッチも、「ウイグル人密集地域の一般家庭が、近年、政府幹部による定期的な『ホームステイ』の受け入れを強いられている」と報告しています。2017年のある官製メディアの報道によると、当局が職員100万人を農村へ派遣して、ウイグル人家族と「共に食べ、共に住み、共に労働し、共に学習」させると宣伝しています。

 そこで皆が心配するのは、子供が何かまずいことを言ってしまうことです。子供の言ったことを理由に両親が拘束されたケースもあります。

 文革期の内モンゴルもまさにそうでしたが、子供が毛沢東の悪口などをうっかり言うと、子供も逮捕されるし、親も逮捕されるんです。

于田 公共空間ではなく、家庭内のプライベート空間なのに、「中国語で話せ!」と強要されます。「アッサラーム・アライクム」(アラビア語で「こんにちは」)と言うのも禁止です。「ごちそうさま」をウイグル語で言うこともできない。

**********

<第二部>

弾圧は「一部の過激派」だけの責任ではない

 現在のウイグル人弾圧は、文化大革命期に内モンゴルで行なわれていたことと同じです。時代が違うだけで、やり方は同じなんです。私が『墓標なき草原──内モンゴルにおける文化大革命・虐殺の記録』などで書いたことについて、読者から「こんなこと、本当にあったんですか?」と驚かれますが、いずれも、本人が実名で名誉回復を政府に陳情した時の報告書に書かれていたことです。

 文化大革命が終わってから、中国政府も「あれは間違いでした。一部の過激な人間がやったことです」と否定しました。しかし調査研究で当時のモンゴル人に話を聞くと、関わっていたのは「一部の過激な人間」だけではありません。文化大革命でのモンゴル人の粛清や虐殺には、共産党幹部、人民解放軍、漢民族の労働者や農民が動員されていました。

 とにかく中国は、一種の「巨大な暴力装置」になっています。文革中だけでなく、今もそうです。内部に対しても、外部に対しても、「中国」という存在自体が常に「暴力」の形を取って現れています。

 例えば、ウイグル人が酷い目に遭っていても、漢民族で「ちょっとやりすぎだよ」「やめるべきだ」と諫める人がいない。文革中にモンゴル人が大量虐殺に遭っていた時も、正義感のある漢民族の人が出てきて「やめろ」と言った事例は残念ながら見当たりません。だから虐殺が10年も続いてしまったんです。

ローズ ウイグル人が強制収容所に入れられていることは、新疆にいる漢民族の中国人全員が分かっています。しかし、それに反対する漢民族の話は聞いたことがありません。

 例えば、新疆北部のタルバガタイは、もともと漢民族とウイグル人が共存していて、大きな揉め事もない町でした。それほど格差もなく一緒に暮らしていたのに、いまは漢民族とウイグル人が別々に暮らすようになりました。2013年に訪れた際には、どこへ行っても警備のポスターが貼られ、警察車両がずっと巡回していて、異様な雰囲気でした。

 私が2013年に新疆を訪れた時も、ウルムチで最も洗練されたマンション地区に住んでいるのは漢民族で、夕方になると、漢民族は上等な地区へ帰り、ウイグル人は、日干し煉瓦の旧市街地区へ帰っていて、完全に「住み分け」をしていました。「あの地区はウイグル人のテロリストの巣窟だ。あそこに行ったらウイグル人に襲われる。危ない地区だ」と分離を煽って、「ゲットー」をつくっているんです。

于田 考えてみると、ウイグル人学校と漢民族学校は、建物からしてまったく違っていました。2004年に南新疆の町へ行った時も、漢民族学校の建物の立派さに驚いたことがあります。

学校と家庭の双方で行なわれる「中華思想的な教育」

 漢民族の人は、エリートかどうかに関係なく、常に政府と一緒になる傾向があります。ウイグルやモンゴルに来た字も読めないような漢民族でも、知識人と同様に「ウイグル人は野蛮だ。モンゴル人は遅れている」と言います。

 学校で「ウイグル人やモンゴル人は野蛮で遅れている」と教えているし、家庭でも同じような会話をしているのでしょう。漢民族の「中華思想的な教育」は、学校と家庭の双方で行なわれています。

 2020年に、内モンゴルでモンゴル語教育の廃止に向けた政策が始まった時も、漢民族の人たちは、「今の時代、モンゴル語を話してどうするんだ」とか「モンゴル語は遅れた少数者の言語で、近代化に不向きだ」と平気で言うんです。

「では、あんた、明日から日本語を話しなよ。日本はあんた方より科学技術が進んでいるんだから」と言い返すと、「それは嫌だ」と。

 東京でモンゴル人がデモをしても、漢民族の中国人がすれ違いざまに、「何を時代錯誤的なことをやってるんだ」と言う。

 100万人以上のウイグル人が強制収容所に入れられても、「それは間違っている」と言い出す漢民族はほぼいない。海外にいる漢民族もほとんど発言していません。

ローズ 現在、欧米各国が「中国のウイグル弾圧はジェノサイドだ」と批判し始めましたが、やがてすべての歴史が明らかにされた時、「陳全国のせいだ」「中国共産党のせいだ」「習近平のせいだ」では済まされません。「ジェノサイドに反対せず、黙って見過ごした漢民族も共犯者だ」ということになると思います。

 これは中国全体の話ですね。共産党だけの話でもない。習近平は漢民族のなかの一人であって、これは「漢民族全体の問題」です。

于田 漢民族で、政府に反対する民主活動家でも、ウイグル人やモンゴル人やチベット人に対する政府の政策には同意する人が多いんです。

 日本では「中国共産党が悪い」と言われます。「悪いのは共産党で、中国人は悪くないんだ」と。しかし我々からすると、「漢民族の中華思想」そのものが問題なんです。

 例えば、最近も、天安門事件(第一次、1976年)のリーダーの魏京生が、「ウイグル人は、皆、テロリストだ」と発言していました。彼は14年以上も中国の刑務所に収監され、その後、アメリカに亡命しましたが、「中国の民主化運動」の象徴のような人が、アメリカという民主主義の国で、ウイグル人を「テロリスト」呼ばわりしているわけです。これが「漢民族全体の問題」だと言わざるを得ない所以です。

日本の責任

 中国の過酷な仕打ちに対して、イスラーム諸国も黙っています。同じテュルク系民族のウズベキスタン、カザフスタンも黙っている。かつて中国のウイグル弾圧を「大量虐殺」と呼んでいたトルコのエルドアン大統領も、現在は、この問題で中国と衝突することは避けています。「イスラーム世界のリーダー」を自任するイランやサウジアラビアも、何も言わない。ウイグル人は「孤立無援」の状態にあります。

ローズ まずは口にだけでも出して、中国を非難してほしいです。人口300万人に満たないリトアニアが、ウイグルでの弾圧を「ジェノサイド」と認定しました。しかし、人口約1億3000万人で、世界3位の経済大国である日本の反応は、「注視しています」という程度です。

于田 ウイグル人の人口は、中国全体のわずか1%以下です。とは言っても、1000万人以上いるわけです。人口が1000万人に満たない国も、世界に数多くあります。ですから、人口の規模だけで問題を軽く扱っては、そうした国々を軽視するようなメッセージにもなりかねません。

ローズ 多くのウイグル人が日本で証言しています。まずはこうした証言を一つ一つきちんと調べてほしいです。私もNHKなどで証言してから、ウイグルにいる兄と連絡が取れなくなっています。妹たちもどうなっているのか心配です。

 2021年3月30日、公明党の山口那津男代表が、「わが国が制裁措置を発動するとすれば、(中国当局の)人権侵害を根拠を持って認定できるという基礎がなければ、いたずらに外交問題を招きかねない」と述べて、ウイグル問題を理由にした対中制裁に慎重姿勢を見せました。

 公明党は、「日中友好政党」であっても、政権与党ですから、これは非常に無責任な言い方だと思います。国会議員には調査権がありますから、プロジェクトチームでもつくって、在日ウイグル人を調査すればいい。あるいは公明党として独自に調査をすればいい。その上で「人権侵害はない」と言うのなら、それはそれでいい。ところが、山口代表は、何の調査もせずに「証拠不十分」と言っています。

日本は「ジェノサイドの共犯者」になる前に行動を

ローズ まず第一歩として、欧米各国が「中国は悪い」と非難してくれました。日本がそれもしないのは、どうかと思います。

 これまで日本は、言わば「見て見ぬふり」をしてきました。中国の民族問題は非常に深刻で、悪化していることも分かっていたのに、さまざまな理由から、発言や関与を控えてきたわけです。

于田 日本は、イスラーム諸国と良好な関係を保っています。今のところ、強く発言してくれたのは欧米諸国ですが、もし日本がウイグルのために発言してくれれば、その声は、これまで以上にイスラーム諸国にも広まると思います。

 また中国と地理的に近い日本がウイグルについて発言するのは、欧米諸国の発言以上に信頼度が高いものとなるはずです。ですから、日本が発言してくれることが非常に重要なんです。

 ウイグル人への弾圧は、欧米メディアが報じてから、日本でも取り上げられるようになりましたが、そもそも、こういう発言をする我々に対して、日本のメディアは、結構冷淡なところがあります。「反中の右翼に利用されるだけだ」と受け止められてしまうんです。しかし、「ジェノサイド」に右も左もありません。とくに「人権擁護」を標榜しているはずのリベラル派が、この問題を黙って見過ごすのは、おかしいと思います。

于田 日本の大手企業も同様で、ウイグル人の強制労働で作られた製品などを使い続けていたら、「ジェノサイドの共犯者」になってしまいます。

「自由」と「民主主義」の国で、世界のリーダーの一員である日本の皆さんに、ウイグルの現状を知っていただきたい。そして日本政府に対しても、勇気を持って明確な行動を起こしていただきたいと心から願っています。

 ◇

 『中国は、一種の「巨大な暴力装置」』と言う記事中の文章が印象に残ります。そして『「ジェノサイドに反対せず、黙って見過ごした漢民族も共犯者だ」』、という文は漢民族そのものが少数民族に対する異様な優越感を持ち、ジェノサイドに対しても罪悪感を持たない元凶になっていると言っているように思われます。(もちろん共産党のすることに楯突けば自分の身に危険が及ぶという背景もあるかも知れません。)

 そうであれば日本が傍観者的な態度を取れば、彼等にとって同様に共犯者と見られかねません。確かに中国に経済の首根っこを押さえられている日本は、なかなか正面だって批判はしにくいかも知れませんが、欧米であっても経済依存をしている国も多い。ここは公明党の態度は別にして、非難決議をすべきでしょう。国会でできなければ政府としてやるべきです。それが民主国家としての役目だと思います。

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2021年11月 4日 (木)

岸田首相の「日本を守り抜く」 果たして現行憲法下で可能なのか

Img_07316ec1164fc79e0cf09477d04231ae1640  衆議院選で絶対安定多数の議席数を確保し、第二次岸田政権がスタートしますが、日本周辺の安全保障環境は急激に変化し、中国の覇権の進行と共に「台湾有事」が迫ってきているようです。そうした状況の中日本の対応が問われています。

 ジャーナリストの加賀孝英氏がzakzakにその辺の状況を寄稿しています。タイトルは『自民、衆院選勝利の陰で台湾有事「近い」 艦隊列島一周に米は戦略爆撃機で“中露威嚇” 「弱腰だ」米側は岸田政権の対応に不満』 (11/3)で、以下に引用し掲載します。

 ◇

 岸田文雄首相(自民党総裁)は2日朝、衆院選での「絶対安定多数」(261議席)獲得を手土産に、英国での国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)の首脳級会合出席のため、政府専用機で羽田空港を出発した。中国の軍事的覇権拡大が進むなか、ジョー・バイデン米大統領との日米首脳会談も注目される。4年ぶりの政権選択選挙でも焦点となったが、東アジアの緊張は高まっている。中国とロシアの海軍艦隊による日本列島一周の意味と、「台湾有事」の危機とは。ジャーナリストの加賀孝英氏が最新情報を報告する。

 *********

 「米軍と米情報当局が極度に緊張している。米国は以前、『中国軍による台湾侵攻(台湾有事)は2025年前後』と分析していた。ところが、『近い』という極秘情報が急浮上している。『台湾有事』は『沖縄有事』『日本有事』に直結する。日本が危ない」

 外事警察関係者は、そう語った。

 衆院選が終わった。岸田首相率いる自民党は単独で絶対安定多数に達し、公明党や保守系無所属を合わせて与党294議席を獲得した。

 安定した政治体制は維持されたが、政権運営の要である甘利明幹事長が小選挙区で敗北し、辞任する意向を固めた。岸田首相は後任に、茂木敏充外相を充てる人事を決めた。後任の外相には、林芳正元文科相の起用案が浮上している。

 よくお聞きいただきたい。衆院選の「政治空白」を突いて、台湾情勢が一気に緊迫している。日本はいま、「最大の危機」に直面している。

 台湾の蔡英文総統は10月28日に放映された米CNNのインタビューで、次のように発言した。

「(中国の軍事的脅威は)日に日に(増している)」「長い(米台)関係を考えれば、われわれは米国とともにいるし、(中国による台湾侵攻時に)議会や政権だけでなく米国民の支援があることを信じている」

 蔡氏はまた、米軍特殊部隊が台湾の陸上部隊を訓練していることを、台湾総統として初めて認めた。台湾有事が迫っている証拠だ。それを全世界に訴える、蔡氏の悲痛な叫びだ。

 中国は激高し、国防部報道官は28日、「断固たる制裁と反撃措置を講じる」と宣戦布告を匂わせた。外交部報道官は「(台湾統一=侵攻は)歴史の正しい道だ」「台湾の独立は死に至る一本道で、独立を支持することも死に至る道だ」と、台湾殲滅(せんめつ)を示唆し、吠えた。

 全身全霊の怒りを込めていう。ふざけるな。

 外務省関係者は「バイデン氏はこれまで、中国の習近平国家主席の顔色をうかがい、弱腰だった。ところが、突然変わった。オーストラリアも『中国が台湾を攻撃した場合、米国とともに行動する』と宣言した。習氏は『台湾統一を必ず実現させる』と全人民に約束している。破れば失脚する。習氏は追い詰められた。必死だ」といった。

 バイデン氏の「台湾防衛支援」に関する重要発言は次の通りだ。

 (1)CNNが10月21日に主催した対話集会で、司会者から「米国は台湾を守るつもりか」と質問され、バイデン氏は「その通りだ。私たちにはそうする責任がある」と言い切った。

 (2)オンラインの東アジアサミット(EAS)で同月27日、バイデン氏は中国の台湾への行動は威圧的で、「地域の平和と安定を脅かす」と主張。米国の台湾への関与は「揺るがない」と強調した(=ロイター通信)。

 「台湾侵攻のXデーは近い」とみており、「米国は台湾のために血を流す」という決意表明と受け止められる。

 ◆米は岸田政権の対応に不満

 仰天情報がある。以下、日米情報当局関係者から入手したものだ。

 中国とロシアの海軍艦艇計10隻が同月17~23日、日本列島をほぼ一周して日本を威嚇した、前代未聞の一件の背景だ。

 「南シナ海や台湾、尖閣有事の際、日本や米国、英国、オーストラリアなどの自由主義同盟に対し、反米の『中露同盟軍が戦う』という決起宣言に等しい。日本では報道されていないが、米軍は17日と19日、超音速戦略爆撃機B-1B『ランサー』をロシア国境に接近させた。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領への『米国は本気だ』という警告だ」

 「一方、岸田政権の中露艦隊への対応に、米国側から不満が噴き出ている。『弱腰だ。命をかけて自国を守る覚悟、体制がまったく見えない。台湾防衛支援も、もっと大声で宣言すべきだ』と」

 岸田首相とバイデン氏による初めての日米首脳会談は、COP26が開催されている英国で調整されている。

 「日本を守り切る」という岸田首相の覚悟が本物かどうか、それがいま問われている。

 ◇

 「日本を守り抜く」という発言は頼もしくも思えますが、憲法9条がそのままで、しかもそれ以前に自衛隊条項も加えられていない憲法下で、どうやって守り切れるのでしょうか。まさか米軍の完全な支援の元で、と言う前提付きでは覚悟が見えません。しかも米軍が日本を守り切ってくれるかも分かりません。

 「台湾有事」が近いと言って、どれだけの国会議員がその状況に注視しているのでしょうか、自民党は総裁選もそして総選挙も終わり、ようやくその体制がとれる時期に入ったとは言え、野党第一党の立憲民主はこれから代表選で、外交など上の空でしょう。ここは日本維新の会と国民民主党の改憲賛成議員を巻き込み、躊躇する公明党の尻を叩いて、早く憲法改正の発議にこぎ着けるべきでしょう。

 9条改定のような難問は後回しにしてでも、とにかく改憲の糸口を作ることが今大事です。そうすれば中露も日本の変化を敏感に嗅ぎ取って、今までのような「なめきった」行動は控えるかも知れません。ただいずれにしろ近いうちの9条は改訂すべきでしょう。そうでなければ「日本を守り抜く」は、口先だけになる恐れは十分にあります。

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2021年11月 3日 (水)

櫻井よし子氏:日本を守る意思のない無節操な野党共闘

20140401sp_58ex01-1  衆議院選挙は終わりました。岸田総裁は幹事長の交代というアクシデントに見舞われましたが、装い新たに今後の政治の舵取りを、しっかりしたものにしていって欲しいと思います。

 今回の選挙で戦後初の共産党を交えた、政権交代のための野党共闘が実現しましたが、見事に敗退、失敗に終わりました。国民はそれを許さなかったと言うことでしょう。この点に関してジャーナリストの櫻井よし子氏が、産経新聞の「美しき勁き国へ 櫻井よしこ」、というコラムに寄稿していますので、以下に引用します。タイトルは『日本を守らぬ野党共闘』(11/2)です。

 ◇

自民党が想定外の勝利をおさめ、立憲民主党と日本共産党は想定外の大惨敗を喫した。今回の衆院選を特徴づける右の2つの「想定外」は、日本が直面する危機の本質をメディアや政治家よりも、国民の方が正確に理解していたことを示している。

Vb2jgxqrz5ni7lmgaqfkszrute 2つの野党の合体は単なる政権交代への道ではなく、自由と民主主義の政治体制か、共産党の影響を強く受ける政治体制かの体制選択選挙そのものだった。また立民と共産の共闘は後述するように、日本国を安全にするものでも日本国民を幸せにするものでもない。そのことに国民の多くが気付いたのではないか。

安倍晋三元首相、菅義偉前首相への非難に多くの時間を割いた立民・共産両党の思惑の向こうに、共産党主導の政治体制が出現し得ることや、両党の共闘に肩入れするメディア報道の偏向などを見てとった有権者は多かったのではないか。

事前予想では、自民党は公示前の議席数を大幅に減らし、過半数の233議席の確保が焦点だった。結果は261議席、絶対安定多数を得た。日本維新の会は4倍近くの41議席、公明党の32議席を入れて334議席。共産党と対立した3党が憲法改正に十分な数を得た。

他方、立民は大幅増を期待されたが、議席は14も減らして96だった。共産党は得票850万票、得票率15%の目標を横に置いて「閣外協力」の名の下に事実上の2党合体に踏み出したが失敗した。

国の形について大きく考えの異なる政党共闘のいかがわしさを国民が嫌うのは当然だ。たとえば焦眉の急の国防政策である。共産党は綱領で日米同盟の「廃棄」をうたう。「アメリカ軍とその軍事基地を撤退させる。対等平等の立場にもとづく日米友好条約を結ぶ」「いかなる軍事同盟にも参加せず、非同盟諸国会議に参加する」とする。

日米安保条約を軍事的要素のない「友好条約」に置きかえ、自衛隊は「憲法第9条の完全実施に向かっての前進をはかる」。「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」が憲法9条2項であるから、自衛隊は解消ということになる。これでどのようにして日本を守れるのか。

皇室について共産党は「一人の個人が世襲で象徴となるという現制度は、民主主義および人間の平等の原則と両立するものではなく」、天皇制(皇室)の「存廃は、将来、情勢が熟したときに、国民の総意によって解決されるべき」とする。共産党は皇室をなくすのであろう。他方、立民は日米同盟、自衛隊、皇室については存続の立場だ。立民は国柄の根本に関してこれほど異なる共産党と連携した。一体どんな国をつくろうというのか。この節操のなさが野党共闘の実態だ。

いま、国際社会は自由と民主主義の国々が、専制独裁の共産主義諸国と対立する構図の中にある。相互に深く経済でつながりながらも、人間の自由を厳しく制限し、各民族、各国の宗教、政治信条、言語、文化、歴史に非寛容な中国などの専制独裁国と私たちは相対峙(たいじ)している。

侵略を受けないために重要なのが安全保障の力だ。つい10日ほど前、中露の海軍艦艇10隻が日本列島を周回した。中国版トマホークを積んだ最新鋭の巡洋艦を投入した中国はこの演習を「より実戦的で、対抗性が大幅に向上した」と誇った。脅威は日々、目に見える形で増大している。

そうした中、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」、日米豪印4カ国(クアッド)などに見られるように、日本が貢献していることは非常に多い。日本への国際社会の期待度は高く、岸田政権の仕事は日本を強く勇気のある国にすることだ。そのための応分の責任を果たせる法整備を進めることだ。

たとえば中国がアジアから米国を排除するためにこだわる第一列島線である。第一列島線の島々は日本国の領土である南西諸島だ。日本は自国領である島々で米国と協力し、豪印英仏独などとも協力して東シナ海、南シナ海、台湾を守る態勢を構築できるのだ。わが国の安全のために、岸田首相には自衛隊強化の公約の実行が期待されている。

衆院選投開票日直前、岸田首相はインターネット番組「言論テレビ」に出演し、「国家安全保障戦略、防衛大綱、中期防衛力整備計画(中期防)の改定」の公約実行を強調した。

首相は改定の時期には言及しなかったが、来年冬までにこれら3つの戦略を根本的に見直し、令和5年には防衛力強化に力強く踏み込むのが望ましい。選挙で力強い支持を受けたのである。自信をもって公約をやり遂げることが負託に応える道であろう。憲法改正についても岸田首相は多弁だった。

「国民との対話の中で、一票の格差、緊急事態、自衛隊の明記など改正の意義を十分理解できると気付いてくれる人々が多かったことを実感した。国民の世論形成と国会議員との議論、これを並行してやっていきたい」

憲法改正には固い決意と幅広い支持が必要だ。日本維新の会は力強い賛同者であろう。自民、維新で公明党を巻き込むのだ。3党で全議員の3分の2以上の議席を得たのは天命であろう。憲法改正実現こそ岸田首相の公約で責務である。

 ◇

 日本の主権と国体を脅かす共産党と共闘した立憲民主党は、事前の予想に反して議席を大きく減らしました。国民の選択は正しい方向に向かったと見ていいでしょう。もちろん自民党も同様に議席を減らしましたが、事前予想よりかなり少ない議席減で留まりました。議席減については、反省すべき点は真摯に反省すべきでしょう。

 いずれにせよ、櫻井氏の言うとおり、国際社会の中で急激に台頭してきた覇権国家中国に立ち向かうために、ソフト、ハードあらゆる点から、国を強くしていく必要があります。そのためには新たな法整備が必要ですし、もちろんその大本の憲法にも、踏み込む必要があります。周辺国忖度の政治から、民主主義の本質を踏まえた、強い国作りのための政治へと、突き進む政権となって欲しいと思います。

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2021年11月 2日 (火)

朝日新聞:「報道の自由」を振り翳し、民主主義を破壊するメディア

Img_5bc4671d929e9804ce5a108eea3b04c43019  一昨日の衆議院選で、殆どの新聞が「立憲民主の大幅議席増、自民の過半数割れかかろうじて維持か」と、予測していましたが見事に外れました。この予測の外れは、アメリカでもトランプ前大統領を予測できなかったので、日本だけの現象ではありませんが。「報道の自由」を狡猾に利用し、「言論という権力」をほしいままにしているのは日本特有かも知れません。

 元東京大学史料編纂所教授の酒井信彦氏が、産経新聞に寄稿したコラムに、その概要を見ることができます。タイトルは『新聞に喝! 隣国に付き従う歪な「報道の自由」』(10/31)で、以下に引用して掲載します。 

 ◇

8日、今年のノーベル平和賞が、フィリピンのマリア・レッサ氏とロシアのドミトリー・ムラトフ氏に贈られることが発表された。ジャーナリストに対する授賞は、1935年以来というから、90年近く前の話である。この事実には、大きな疑問を持った。言論の自由が平和にとって大切だと言うなら、もっと多くの受賞者がこの間にあってもいいはずである。

そして今回はフィリピンとロシアからであるが、2人が受賞したのは、両国にそれだけ自由があるからであり、さらに深刻に自由なき国が存在する。それは9日の朝日新聞朝刊2面に出ている、国境なき記者団による「世界報道自由度ランキング」で、フィリピン・ロシアより下位の中国である。ノルウェー・ノーベル委員会は、平和賞授与がノルウェーとの国際問題に発展した中国の作家・人権活動家、劉暁波(りゅう・ぎょうは)氏の前例(2010年受賞)に懲りて、中国の報復を恐れているのか。

ところでこのランキングの日本の順位はあまりにも異常である。日本は67位で、韓国の42位、アメリカの44位のはるかに下なのは、明らかに作為的におとしめられている。以前ははるかに上位にあったものが、近年急速に下落したようだ。国境なき記者団が、日本の実情を知っているとは考えられないから、記者団側に情報を提供している、つまり入れ知恵をしている日本人がいるはずである。

私がこのように判断するのは、慰安婦問題の前例があるからである。国連の人権委員会で、慰安婦は性奴隷だと日本人がロビー活動し、それが勧告に盛り込まれて世界に流布して、日本の名誉と尊厳は著しく傷つけられた。報道の自由度ランキングにも、まったく同じメカニズムが働いているのではないか。

9日の朝日社説では、「為政者が事実を語らず、不都合な報道を封じる社会に、健全な民主主義はありえない。それは、日本を含む各国の指導者が改めて認識すべきである」というが、虚弱な日本の国家権力に、報道を封じる力など存在しない。日本の民主主義を破壊しているのは一部の主流メディア自身である。

社説はさらに、「もちろん一方で、報道機関が権力に付き従い、国全体が誤った道に進んだ歴史の反省も忘れてはなるまい」とも言う。しかしこの現象は決して過去のことではなく、現在のことである。しかも日本の一部の主流報道機関が付き従っているのは、外国の国家権力である。それは、世界最悪レベルの言論報道弾圧を行う中華人民共和国の国家権力に他ならない。

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 酒井氏は実に本質を突いた見解を展開しています。「虚弱な日本の国家権力に、報道を封じる力など存在しない。日本の民主主義を破壊しているのは一部の主流メディア自身である。」、全くその通りだと思います。「(国境なき)記者団側に情報を提供している、つまり入れ知恵をしている日本人がいるはずである。」、これもその通りだと思います。更に「日本の一部の主流報道機関が付き従っているのは、外国の国家権力である。それは、世界最悪レベルの言論報道弾圧を行う中華人民共和国の国家権力に他ならない」、ここまで言い切っていますが、まさに真実でしょう。

 昨日の朝日新聞の社説は『岸田政権、継続へ 真価問われる「丁寧な政治」』というタイトルでした。内容には『「1強」体制に歯止めをかけ、政治に緊張感を求める民意の表れとみるべきだ。』、とか、『議論する国会を取り戻し、野党との建設的な対話を通じて、直面する内外の諸課題への処方箋(せん)を探る。首相が掲げる「丁寧で寛容な政治」の真価が問われるのは、これからである』、また『 与野党の議席差が縮まった今回の選挙結果を、強引で恣意(しい)的な政権運営の見直しにつなげねばならない。これまで首相官邸に追従し、内部から自浄作用を発揮できなかった与党議員は自らを省み、進んで「言論の府」の再生に尽くすべきだ。』、さらに『森友・加計・桜を見る会など一連の疑惑の真相解明も、政権が動かないのなら、国会こそが、その役割を果たすべきだ。』と、政権与党がこうあるべきだと言うことを、蕩々と述べています。

 しかしそこには、「反対ばかりで政策なき野党」や、「国会をスキャンダル追及の場と勘違いしている野党」や、「日本の国体を否定する共産党と組んだ立憲民主が議席を減らした野党連合の大失敗」など一つも記述していません。そして最後に付け足しのように『野党の責任も重い。政権へのチェックのみならず、開かれた政策論争を通じて、多様な民意を政治に反映させる力とならねばならない。』、と結んでいますが、全体の文脈からは、朝日自身「立憲と共産の代弁者」だとしか思えません。朝日新聞自体が、国民の審判を受けて敗退したと言うべきでしょう。もっとも絶対反省しない朝日ですからこのままでしょうが、これも廃刊への一里塚であって欲しいと思います。

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2021年11月 1日 (月)

台湾の半導体大手TSMCを招致した真の理由は?

25 昨日の衆議院選挙の結果は、事前の予測に反して野党の選挙協力が不発で、立憲民主、共産党共に議席数を減らしたのが印象的でした。自民党も議席を減らしましたが、絶対安定多数は確保し、今後の政権運営には支障がないことになりました。

 是々非々で憲法改正にも前向きな野党、維新が躍進したのと、国民民主も現有議席を伸ばし、何でも反対の野党勢力が減退したのは、日本政治にとって朗報です。国民が賢明の選択をしたと思います。

 話は変わりますが、日本の半導体は、1980年代の世界制覇状態から現在はシェアを大きく奪われ、無残な姿に陥っています。そうした中、台湾の大手半導体メーカーTSMCを日本に招致する話が浮上し、熊本県に建設するという計画が明らかになりました。

 日本がなぜ、日本の半導体メーカーの増設ではなしにTSMCの招致にしたのか、またなぜTSMCが日本に進出しようとしたのか。そのあたりの事情を、日経BP記者を経て現在はコンサルタントと執筆活動を行っている加谷珪一氏が現代ビジネスに寄稿したコラムから紐解きます。タイトルは『経産省が、台湾の半導体大手TSMCに「日本での工場建設」を"懇願"してきたワケ 追い込まれる日本』(10/27)です。

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半導体受託生産(ファウンドリー)の世界最大手・台湾積体電路製造(TSMC)が日本では初となる工場を熊本県に建設する計画を明らかにした。なぜ日本メーカーではなく、台湾メーカーがわざわざ日本国内に工場を建設するのだろうか。

経産省の根本的な戦略転換

TSMCは世界各国の半導体メーカーから半導体の製造を受託している。半導体産業は水平分業化が進んでおり、工場を持たずに半導体の設計に特化する企業(ファブレス企業)と、ファブレス企業から製造を請け負う企業との間で明確な役割分担が出来上がっている。画像処理やAI(人工知能)チップを手がける米エヌビディアやスマホ向け半導体を開発する米クアルコムなどは典型的なファブレス・メーカーで、自ら製造は行わない。

世界最大の半導体メーカーである米インテルは、製品の開発から製造まで一貫して行っているが、多くのメーカーが生産を外部に委託するようになっており、中でもTSMCは世界シェアの半分を占めるなど突出した存在である。米アップルのiPhoneに搭載されているチップの製造を同社が一手に引き受けるなど、ファウンドリー企業がなければ、世界の半導体産業は回らないという状況になっている。

日本の半導体産業は致命的な戦略ミスが続き、ほぼ壊滅状態となっており、製造技術という点でもすでに台湾勢に先を越されている。経済産業省は「日の丸半導体」の復活を掲げ、巨額の税金を投入して支援を続けてきたが、ほとんど効果を発揮しなかった。

日本メーカーの完全敗北という現実を前に、同省はようやく現実に気付き、半導体メーカーを復活させるのではなく、半導体メーカーに部材や製造装置などを提供する国内メーカーが存続できるよう支援するという現実的戦略に切り替えた。そこで同省が秋波を送ったのが世界最大手のTSMCである。

同省はTSMCに日本国内に製造拠点を作ってもらえるよう要請を繰り返したが、話は簡単には進まなかった。台湾は半導体産業が高度に集約しており、高い技術を必要とする最先端プロセスの工場は台湾に建設した方がよいに決まっている。日本に最先端プロセスの工場を建設すれば、台湾から日本に技術が流出する可能性もあるので、当然、TSMC側は警戒する(一昔前までは、日本が海外に進出する際、技術が流出するのではないかと懸念する声が上がっていたが、今や状況は完全に逆転した)。

一方でファウンドリー企業は、それほど高い技術を要しない旧世代のプロセスについても、製品ニーズがある限り、製造拠点を維持する必要がある。旧世代のプロセスを用いた工場を誘致するという選択肢もあるが、こうした製造拠点はコスト要求が厳しいので、日本は適地とは言えない。日本は中国や米国などと比較すると半導体の購入額が小さく、TSMCにとって大口顧客とは言えず、専用に工場を建設するインセンティブが小さいというのが現実だ。

米中対立が風向きを変えた

一時はTSMCの日本誘致は暗礁に乗り上げたと見られていたが、思わぬ神風が吹いた。コロナ危機をきっかけとした全世界的な半導体不足と米中対立による経済安全保障である。

コロナ危機の発生でテレワークが普及したことで、全世界的にパソコンなどの需要が急拡大した。加えて、コロナ後の社会ではビジネスのIT化が急激に進むとの予想から、各国企業がIT投資を加速。その結果、全世界的に半導体が極度の品薄になるという異常事態が発生した。

しかも米国は安全保障の観点から、米国内に半導体工場を積極的に建設するようTSMCに要請を行っている。現時点において、全世界における半導体製造の約7割が台湾で行われており、台湾海峡で有事が発生した際には、半導体のサプライチェーンに深刻な影響が及ぶのは確実である。

米国はリスク分散を図る必要があり、一連の事情に配慮したTSMCは米国アリゾナ州に最先端プロセスの工場建設を決めた。経済産業省はこうした動きをうまく利用し、TSMCに対して日本進出を再度要請。とうとうTSMC側が了承し、今回の発表となった。

もっとも米国とは異なり、日本はTSMCにとって大口顧客ではないため、日本側からの一方的な「お願い」にならざるを得ない。同社が日本に建設するのは、回路線幅が22ナノメートルと28ナノメートルの製造ラインで、一世代前の古い技術である。加えて日本政府は、TSMCに対してかなりの支援を行うとみられ、岸田政権は2021年度補正予算に同社への支援を念頭に数千億円の予算を確保する。

今回の工場建設には政府が支援すると同時に、ソニーやデンソーも出資することが決まっている。新工場はソニーの半導体製造拠点の近くに建設される予定で、新工場で製造された半導体はソニーやデンソーなど国内メーカーが購入すると思われる。TSMCにしてみれば、巨額の建設資金について支援を受けることができ、古い技術であることから日本に技術が流出する心配がなく、しかも製品を買ってくれる相手が最初から決まっているという破格の好条件といってよいだろう。

日本の現実を考えると妥当な選択

今回の工場誘致については、日本の半導体産業の復活にはつながらない、投入する税金の割に効果が少ない、といった批判の声も上がっている。確かに外国メーカーに多額の資金を税金から供与するというのは、あまりにもお人好し過ぎるとの意見が出るのはやむを得ない。だが、今回の決断はギリギリ妥当なものであると筆者は考えている。

国内では半導体産業の復活を願う声がいまだに存在しているが、現実問題としてそれは不可能である。高付加価値な半導体の設計では圧倒的に欧米企業が強く、チップの製造においては台湾勢や韓国勢が突出している。日本メーカーはどちらの分野においても太刀打ちできる状況ではなく、日本はこの現実を受け入れる必要がある。

国内に工場を誘致して雇用を生み出し、そこで製造される製品を国内企業が利用するというのは、典型的な発展途上国の産業政策であり、こうしたやり方について快く思わない人もいるだろう。だが、国際競争力を著しく失った今の日本の半導体産業にとって、もはや残された選択肢は少ない。

ワクチンの確保でもそうだったが、日本は世界に対して完全に買い負け状態となっており、国内では多くの製品が手に入りにくい状況となっている。カーナビやプリンターはずっと品切れが続いているし、自動車も一部のモデルでは納車が半年待ちである。このままでは日本は常にモノ不足に悩まされる国に成り下がってしまうだろう。

労働者の賃金という点でもメリットが大きい。本来であれば、サービス産業の付加価値を上げ、平均賃金を引き上げる必要があるが、それには時間がかかる。現時点では製造業とサービス業には大きな賃金差があり、地方にとって工場が建設されることは、賃金が大きく上昇することを意味している。

半導体の工場に部材や検査装置を納入するメーカーにとっても朗報となる。同じ縁の下の力持ちといっても、東京エレクトロンなどトップメーカーは、半導体がどこで製造されようが製品を輸出できる。だが中堅以下のメーカーの場合、国内に工場がなければビジネスを継続できないというケースが出てくる可能性が高い。とりあえず外資で古いプロセスとはいえ、国内に工場が存続することはそれなりの時間稼ぎになる。

もっとも、こうした戦略はあくまでも暫定的な措置であり、これで日本の産業が本格的に復活するわけではない。日本は国内消費市場を活用した内需拡大で成長すべきであり、半導体企業の誘致は、それまでの現実解であるとの割り切りが必要だ。

 ◇

 記事中TSMCの誘致は「典型的な発展途上国の産業政策」とありますが、いつまでも先進国の奢りを持っていては、ワクチン同様、第2、第3の半導体産業が生まれるでしょう。

 政治の焦点に分配政策や格差是正も必要でしょうが、こうした産業の疲弊をおさえ、再興し、また新しい産業の育成を真剣になって進めなければ、明日の日本はますます危うくなっていくでしょう。日本経済の強靱化が待ったなしです。

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