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2021年11月 7日 (日)

政治は国力低下に歯止めをかけ、強い日本を蘇らせよう

20200313231606  日本では「失われた20年」という言葉が言われて久しくなりました。その後も、アベノミクスで多少は持ち直しましたが、根本的には解決できず低迷は続き、更に「失われた30年」と言われ始めています。このままでは「失われた40年」や「失われた50年」というのもあり得ないことではないでしょう。

 この経済低迷と国民の所得停滞には、様々な要因があるでしょう。少子化に伴う労働力人口の減少と国民負担を増大させる高齢者の増大、神戸淡路大震災や東日本大震災、それに毎年発生する大洪水などの大災害の影響、国際的なエネルギー価格の高騰など、いくつかあげられるでしょうが、しかし大きな要素として、政治の力不足というのもあげられるのではないでしょうか。

 自然災害は別にして、研究開発力やイノベーション力の世界での相対的低下も、また少子化や為替の意図的な変動などでさえも、政治の不作為と関連しています。

 高齢化に伴って不可欠の社会福祉支出など、分配を増やすためには、その原資を稼ぐ経済成長は欠かせません。この経済成長を力強く推進するためには、今までにない政治の力が必要です。これについて今回は、産経新聞編集委員の田村秀男氏のコラムを取り上げます。タイトルは『政治は国力低下に歯止めをかけよ』(11/6)で以下に引用します。

 ◇

経済成長こそが国力と経済安全保障を支える。先の衆院選では、与野党とも「分配優先」論に流されがちで、成長も経済安保も論議が極めて低調だったのは政治の怠慢である。

■ □ ■

四半世紀もの間、デフレが続く日本では企業が設備投資や雇用を抑え、債務を減らす。健全な経済では、家計の金融資産は企業と政府の負債が増えることで増えるが、日本はそうならない。

デフレの始まった1997年度末に比べた2021年6月末の部門別の金融純資産・純負債の増加額は家計純資産758兆円、一般政府純負債567兆円、対外純資産261兆円である。われわれの懐具合にかかわる名目国内総生産(GDP)は2020年度、1997年度に比べて5・8兆円以上も減った。

モノ需要不振の国内で行き場のないカネが、ニューヨーク・ウォール街に代表される強欲な国際金融資本と国際金融資本が仲介する低金利のドル資金を食っては肥える共産党独裁の中国を喜ばすという構図は、新型コロナウイルス禍でますますひどくなっている。

2020年度は新型コロナ・パンデミックによる打撃が世界の主要国のうち日本がもっともひどく、さらに21年になってもコロナ不況から抜け出せないのは、デフレ圧力が強いためである。経済のパイが縮んでいる中で、所得格差が広がる。金融資産課税を強化して低所得層に再分配せよとは言うは易(やす)しだが、株式をもつ中間層や年金世代も痛めつけられる。

そんな様で、経済安全保障と不可分である国力はどうなっているのか。国力を経済力と言い換えると、主要な構成要素はGDPと並んで対外購買力が挙げられる。各国通貨の対外購買力を表すのが実質実効相場と呼ばれる指標である。

通貨の相場を一定とすれば、実質実効相場は主要貿易相手国との物価、賃金、さらに名目GDPの増減率の差で上下する。円高の度合い以上に物価、賃金や名目GDPが下がると実質実効相場は低下するし、円安と物価、賃金、名目GDPの伸び率がゼロ%以下なら、実質実効相場は円安分だけ落ち込み、日本の対外購買力の低下と国民貧困化が同時進行する。経済協力開発機構(OECD、本部パリ)統計の円の実質実効相場指標をみると、2021年9月は消費者物価ベースで1977年初め、賃金ベースでは1974年初めの水準にまで落ち込んだが、まだ底が見えない。

■ □ ■

Photo_20211106155801 グラフは世界の中央銀行で構成される国際決済銀行(BIS、本部スイス・バーゼル)の統計が示す日本、米国、中国の実質実効為替レートと各国通貨建ての名目GDPを指数化し、円の対ドル相場を組み合わせている。指数は日本のデフレ元年の1997年を100とした。

実質実効相場と名目GDPともめざましい増勢基調を保ってきたのは中国だ。人民元の対ドル相場を人為的に安定させて外国からの直接投資と輸出を増やす基本政策のもとで、2008年9月のリーマン・ショック以降は固定資産投資を急増させる。消費者物価上昇率を穏当な水準で保つことにより、名目GDPを膨張させてきた。2020年は1997年に比べ、名目GDPは12・7倍、実質実効相場が28・7%上昇した。

対極にあるのが日本である。それぞれ0・9%減、29・2%減。この間の日中のギャップは実質実効相場では57ポイントにもなる。中国はドル・ベースでみた名目GDPは1997年に日本の21%だったが、今や約3倍になる。しかも対外購買力を日本に比べて5割以上高めた。中国にとってみれば日本のモノ、技術、人材、中小企業、東京都心の不動産や北海道などの山林原野に至るまですべてが安いということになる。しかも、中国市場の巨大化につられた日米欧の企業が先端技術を中国に持ち込み、投資する。中国は軍事に限らず、経済安全保障という観点に立てば日本を圧倒する勢いだ。

他方で、米国は名目GDPを2・4倍とし、ドルの実質実効相場水準の安定を保っている。中国の脅威増大の現実からすれば、同盟国日本の国力衰退は覇権国米国にとって痛いはずだ。しかし、デフレ日本のカネ余りが米国の金融市場を支えている。米国が日本に脱デフレ圧力をかけてこなかった背景がそれだ。

日本みずから経済安保強化と、国力低下に歯止めをかける決意が問われよう。

 ◇

Photo_20211106155901  自民党政調会長の高市早苗氏が、自民党総裁選に先駆けて「日本経済強靱化計画」(このブログでも紹介)を発表していますが、その政策を是非実行して欲しいと思います。今や戦後は終わって、謝罪外交やそれに伴う賠償政策は終息しました。まだ騒いでいる国はありますが、これからはひとえに国力を増すための経済政策と、防衛政策を第一優先にしなければなりません。

 幸い、何でも反対の左向き野党は今回の衆議院選で議席を減らしました。中道の野党と連携しながら、日本国民のために国力増強に政治が一丸となって、突き進むことを期待します。

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