朝日新聞:「報道の自由」を振り翳し、民主主義を破壊するメディア
一昨日の衆議院選で、殆どの新聞が「立憲民主の大幅議席増、自民の過半数割れかかろうじて維持か」と、予測していましたが見事に外れました。この予測の外れは、アメリカでもトランプ前大統領を予測できなかったので、日本だけの現象ではありませんが。「報道の自由」を狡猾に利用し、「言論という権力」をほしいままにしているのは日本特有かも知れません。
元東京大学史料編纂所教授の酒井信彦氏が、産経新聞に寄稿したコラムに、その概要を見ることができます。タイトルは『新聞に喝! 隣国に付き従う歪な「報道の自由」』(10/31)で、以下に引用して掲載します。
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8日、今年のノーベル平和賞が、フィリピンのマリア・レッサ氏とロシアのドミトリー・ムラトフ氏に贈られることが発表された。ジャーナリストに対する授賞は、1935年以来というから、90年近く前の話である。この事実には、大きな疑問を持った。言論の自由が平和にとって大切だと言うなら、もっと多くの受賞者がこの間にあってもいいはずである。
そして今回はフィリピンとロシアからであるが、2人が受賞したのは、両国にそれだけ自由があるからであり、さらに深刻に自由なき国が存在する。それは9日の朝日新聞朝刊2面に出ている、国境なき記者団による「世界報道自由度ランキング」で、フィリピン・ロシアより下位の中国である。ノルウェー・ノーベル委員会は、平和賞授与がノルウェーとの国際問題に発展した中国の作家・人権活動家、劉暁波(りゅう・ぎょうは)氏の前例(2010年受賞)に懲りて、中国の報復を恐れているのか。
ところでこのランキングの日本の順位はあまりにも異常である。日本は67位で、韓国の42位、アメリカの44位のはるかに下なのは、明らかに作為的におとしめられている。以前ははるかに上位にあったものが、近年急速に下落したようだ。国境なき記者団が、日本の実情を知っているとは考えられないから、記者団側に情報を提供している、つまり入れ知恵をしている日本人がいるはずである。
私がこのように判断するのは、慰安婦問題の前例があるからである。国連の人権委員会で、慰安婦は性奴隷だと日本人がロビー活動し、それが勧告に盛り込まれて世界に流布して、日本の名誉と尊厳は著しく傷つけられた。報道の自由度ランキングにも、まったく同じメカニズムが働いているのではないか。
9日の朝日社説では、「為政者が事実を語らず、不都合な報道を封じる社会に、健全な民主主義はありえない。それは、日本を含む各国の指導者が改めて認識すべきである」というが、虚弱な日本の国家権力に、報道を封じる力など存在しない。日本の民主主義を破壊しているのは一部の主流メディア自身である。
社説はさらに、「もちろん一方で、報道機関が権力に付き従い、国全体が誤った道に進んだ歴史の反省も忘れてはなるまい」とも言う。しかしこの現象は決して過去のことではなく、現在のことである。しかも日本の一部の主流報道機関が付き従っているのは、外国の国家権力である。それは、世界最悪レベルの言論報道弾圧を行う中華人民共和国の国家権力に他ならない。
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酒井氏は実に本質を突いた見解を展開しています。「虚弱な日本の国家権力に、報道を封じる力など存在しない。日本の民主主義を破壊しているのは一部の主流メディア自身である。」、全くその通りだと思います。「(国境なき)記者団側に情報を提供している、つまり入れ知恵をしている日本人がいるはずである。」、これもその通りだと思います。更に「日本の一部の主流報道機関が付き従っているのは、外国の国家権力である。それは、世界最悪レベルの言論報道弾圧を行う中華人民共和国の国家権力に他ならない」、ここまで言い切っていますが、まさに真実でしょう。
昨日の朝日新聞の社説は『岸田政権、継続へ 真価問われる「丁寧な政治」』というタイトルでした。内容には『「1強」体制に歯止めをかけ、政治に緊張感を求める民意の表れとみるべきだ。』、とか、『議論する国会を取り戻し、野党との建設的な対話を通じて、直面する内外の諸課題への処方箋(せん)を探る。首相が掲げる「丁寧で寛容な政治」の真価が問われるのは、これからである』、また『 与野党の議席差が縮まった今回の選挙結果を、強引で恣意(しい)的な政権運営の見直しにつなげねばならない。これまで首相官邸に追従し、内部から自浄作用を発揮できなかった与党議員は自らを省み、進んで「言論の府」の再生に尽くすべきだ。』、さらに『森友・加計・桜を見る会など一連の疑惑の真相解明も、政権が動かないのなら、国会こそが、その役割を果たすべきだ。』と、政権与党がこうあるべきだと言うことを、蕩々と述べています。
しかしそこには、「反対ばかりで政策なき野党」や、「国会をスキャンダル追及の場と勘違いしている野党」や、「日本の国体を否定する共産党と組んだ立憲民主が議席を減らした野党連合の大失敗」など一つも記述していません。そして最後に付け足しのように『野党の責任も重い。政権へのチェックのみならず、開かれた政策論争を通じて、多様な民意を政治に反映させる力とならねばならない。』、と結んでいますが、全体の文脈からは、朝日自身「立憲と共産の代弁者」だとしか思えません。朝日新聞自体が、国民の審判を受けて敗退したと言うべきでしょう。もっとも絶対反省しない朝日ですからこのままでしょうが、これも廃刊への一里塚であって欲しいと思います。
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