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2021年12月 1日 (水)

SDGsの不都合な真実…誰にも反論できない「きれい事」のウラに潜む落とし穴

Sdgsgoalslogo  最近「SDGs」が、環境対策と関連してメディアを賑わせています。言葉の持つ意味の曖昧性も有り、なんとなく地球上の人間一人一人が従い、目指すべきもの、と言ったイメージが先行していますが、果たしてどうなんでしょうか。

 作家で大学の客員教授である川口マーン惠美氏が現代ビジネスに寄稿した記事から、彼女の見解を覗いてみましょう。タイトルは『SDGsの不都合な真実…誰にも反論できない「きれい事」のウラに潜む落とし穴 極論は捨て現実に即した努力を』(11/26)で、以下に引用して掲載します。

 ◇

SDGsはビジネスチャンスなのか

本稿は『SDGsの不都合な真実 「脱炭素」が世界を救うの大嘘』(12人の著者による共著)の紹介。先週(投資目的の「脱炭素政策」は人類を幸せにするか)の続きである。

繰り返しになるが、SDGsというのは持続可能なより良い世界を目指すための目標で、「貧困を無くそう」、「すべての人々に健康と福祉を」、「平和と公正をすべての人に」などから「パートナーシップで目的を達成しよう」までの合計17項。2015年に国連が提唱し、加盟国が2030年までに達成することを目指すもの。

一方、ESGとはEnvironment=環境、Social=社会、Governance=企業統治の略で、いわば良い企業が満たしているべき条件とされる。要するに、ESGを重視する良い企業が増えればSDGsを達成することができるはずという「正論」が、現在、産業界を支配している。

藤枝一也氏(素材メーカー環境・CSR担当)は、「企業『環境・CSR担当』が告白 SDGsとESG投資の空疎な実態」と、「海洋プラごみ削減には全く無意味『レジ袋有料化』の目的と効果を再考する」の2稿を著しており、どちらもとびきり面白い。

「SDGsを広めたいコンサルタントなどの専門家は『SDGsはビジネスチャンスです』と繰り返す。(略)しかしながら、ビジネスチャンスとは本来、気が付いた人が誰にも言わずに密かに取り組むことで利益を得るものである。したがって、国連が作成し全世界に公開されている17分類169項目の文書がビジネスチャンスになるはずがない」

というのには笑ったが、ただ、ふと我に返り、そのためにいったいどれだけの国富が失われようとしているのかと考えると、悲しくなる。

氏の論考からは、SDGsの深部まで知り尽くした人のみが発することのできる警告が満載だ。必読の稿である。

「名ばかりESG」の横行

一方、ESGを金融界の新しい投資の流れとして冷静に観察しているのが伊藤博敏氏だ(ジャーナリスト)。タイトルは「小泉純一郎元首相も騙された! 魑魅魍魎が跋扈『グリーンバブル』の内幕」。

昨今は、ESGに配慮しない企業は投資の対象から外されてしまう。世界持続的投資連合という組織の発表では、2020年に世界のESG投資額が35兆3000億ドル(約3900兆円)を超えたとか。

「近年、2桁台の急成長で、全運用資産に占める比率は35.9%に達している」

しかし実際には懐疑的な声も多い。

「ESG投資を謳い文句にする投資信託が急増、純資産額は2021年6月末までの1年間でそれまでの約5倍、約2兆3000億円に膨らんだが、いずれもESGの根拠は曖昧で、運用成績もさほど良くはない。(略)『名ばかりESG』の横行である」

さらに伊藤氏は、ESG投資やSDGsという誰にも反論できない「きれい事」のウラで、怪しい人脈が蠢いて起こった二つの事件を追っていく。

一つは東京地検特捜部が21年5月に摘発した、再生エネルギー会社「テクノシステム」の詐欺事件で、もう一つの焦点が東芝だ。前者には、菅前首相に近い人物や、さらには小泉元首相などが関わっているというが、詳しくは同書に目を通されたい。

伊藤氏はSDGsやESG投資について、「正しさの裏には必ず落とし穴があり、制度を悪用する魔物が潜み、それが道を誤らせる」と警鐘を鳴らす。同書の中で唯一、事件としてのSDGsを扱っている稿として迫力がある。

「環境原理主義」という代替宗教

日本のエネルギー政策に役人としても民間人としても深く関与し、これまでCOPに16回も参加してきた有馬純氏(東京大学公共政策大学院特任教授)は、現在の脱炭素の流れを科学としてだけではなく、「環境原理主義」として社会学的、あるいはイデオロギーの観点から考察しているのが興味深い。

「ソ連が崩壊した1990年以降、マルクス主義の退潮と期を一にして地球温暖化を中心とした環境原理主義が大きく盛り上がってきたことは間違いない。地球環境保全という誰も否定できない錦の御旗を立てれば、資本主義の権化ともいうべき企業を遠慮会釈なく攻撃できる。

温室効果ガス削減のために企業や工場の排出を管理し、排出量を割り当てるという発想は、計画経済的・社会主義的であると同時に、自然に合わせて人の行動変容を求めるという点は、かつてのナチズムとも共通している」

つまり、この運動の、全体主義、および社会主義との親和性を指摘しているわけだ(氏の最新著は『亡国の環境原理主義』)。

ちなみに『SDGsの不都合な真実』の編著者である杉山氏は、現在の環境運動は、宗教の意味の薄れた現代における代替宗教ではないかとも問うている。

なお、有馬氏にとっての「環境原理主義」は単なるイデオロギーというよりも、「政治家や官僚、学者、環境活動家、ロビイスト、メディアが連なり、その人的ネットワークを通じて政府の施策に影響力を及ぼす」一大利益複合体だ。

そして彼らが、「再生可能エネルギーなどの便益を過大評価、コストを過小評価することにより、巨大な再生可能エネルギー補助金を誘導」する。

「環境意識の高い米国西海岸では、長者やヘッジファンドが環境NGOや気候学者に膨大な資金を供給(略)、富裕層にとって、環境分野への支援は自分たちの富への攻撃を避ける免罪符である」

ちなみに、エネルギー分野におけるNGOの力の増大については、私が著した稿と共通する点も多い。

環境科学者たちの大ウソ

さて、掛谷英紀氏(筑波大学システム情報系准教授)は、「科学者の合意」がいかに危ういものであるかを、新型コロナ起源論争を例に挙げて論じている。

新型コロナウイルスに関しては、武漢の研究所流出説が当初からあった。しかし、その主張がずっと陰謀論扱いされてきた理由は、裏に科学者たちの政治的暗躍があったからだという。「現在の科学者たちがいかに真理の探究からかけ離れた存在になってしまったか」と掛谷氏。

興味深いのは、カリフォルニア大学バークレー校の物理学者、リチャード・ムラー教授の話だ。

ムラー氏はその著書『エネルギー問題入門』により日本で一躍有名になったが、その彼が新型コロナの起源を調べはじめた。ところが、生物学の専門家が誰も協力してくれない。理由は、「もし研究所起源説を調べているとわかったら、中国の研究者と共同研究ができなくなるから」。米国の研究の自由は、すでに中国という独裁国家によってコントロールされている。

また、研究所起源説はトランプ大統領が唱えているからという理由で、協力を拒否した科学者もいたという。「もしトランプの言っていることが正しいと証明されれば、トランプが大統領選に勝ってしまう。そんなことに協力できるわけがない」とその科学者は言ったそうだ。

「(再エネは)不安定でベースロード電源として使えないのに加え、エネルギー密度が低いので大量の自然破壊を伴う。(略)それを『自然にやさしい』としてきた環境科学者のウソは糾弾されてしかるべき」という掛谷氏の指摘は、世界の多くの学者に向けられている。

水素エネルギー礼賛の問題点

松田智氏(元静岡大学工学部教員)の水素エネルギーについての論考はとりわけ勉強になった。タイトルは、「問題山積の『水素エネルギー』を盲信 政府が推進する水素政策のナンセンス」。

原発も石炭も止めるつもりのドイツ人がやけに落ち着いているのは、水素の効用を吹き込まれ、安心しているからだろうと、私は前々から感じていた。ニュースを聞いていると、余った再エネ電気を水素として貯蔵し、車も工場もすべて水素で動かすことができ、ドイツがまさしく水素の先駆者として世界に君臨する日は近いと思えてくる。 

ところが松田氏の稿を読むと、その幻想が一つ、また一つと崩れる。なぜなら、「水素礼賛マスコミ記事の大半は、水素が抱えている問題点にほとんど触れていない」と氏。

水素を作る方法はいろいろあるが、CO2を出さずに作るとして、今の段階で現実的なのは水の電気分解だそうだ。そして、その水素を最も効率的に使うには、燃料電池を用いること。そうすれば、水素を余った電気の貯蔵に使える。

ただ、電気→水素→燃料電池→電力を実践すると、エネルギーは→ごとに目減りしていくので、具体的には最初の電力は64%減って、ほぼ3分の1になるという。「蓄えたら64%も電力が減る蓄電池を使う人が、どこにいるだろうか?」と松田氏。とてもわかりやすい。

また、水素を日本国内で作るのは無理なので、海外からの輸入が考えられているが、適当な土地はあまりない。そもそも、水素1万トンを作るには水が9万トンもいるのだそうだ。

しかも、水素を日本に運ぶには、マイナス253度で液体にして、日本で再び水素に戻さなければならない。そうするうちに、今の技術では、外国から運んできた水素の正味の総合エネルギー効率は、なんと、20%以下になってしまうという。

だから、菅前首相が就任直後の演説で言った「無尽蔵にある水素」は意味不明と松田氏。氏の稿の結びはごく明快だ。

「本来、エネルギー政策立案は、科学・技術・環境の各側面から綿密に検討されたものだけが採用されるべきである。水素政策は、そのような検討には耐えられないので、結論として、水素政策は捨てるべきである」

SDGs第1項の達成に本当に必要なこと

最後に、11月14日に閉会したCOP26について少し触れたい。

オブザーバーの環境NGOが多く参加していた中、日本の若者たちも、政府に石炭火力の早期廃止を求めて気勢を上げていたが、勘違いも甚だしい。

日本製の石炭火力プラントは世界一クリーンで、燃焼効率が良く、だからこそ世界中で引っ張り凧だった。ところが政府はEUに歩調を合わせ、火力プラントの輸出支援は停止する方向で検討している。政府系金融機関による低金利融資が止まれば、火力にはお金が回らなくなる。これを環境派の勝利と喜んでいる場合ではない。

世界には、電気のない生活をしている人たちがまだ14億人もいるという。電気がなければ産業の発達は望めず、快適な生活はもちろん、教育も平等も自由も何も手に入れることはできない。

彼らが必要としているのは安価で安定した電気であり、それを実現可能にするのは石炭火力発電所だ。それとも私たちは石炭を排除して高価なガスを使いながら、途上国の人々には、「あなた方は再エネで経済発展を試みてください。それなら援助します」というのだろうか。

日本政府が途上国の開発援助でできる最良のことは、クリーンなハイテク火力発電所を建てることだ。しかも、それが日本の輸出の目玉産業であるのだから、日本政府は全力で応援してしかるべきだろう。

スマホを見ながら「豊かさなどいらない」と言っている若い人たちは、今の豊かさを得るため、先人がどれだけ苦労をしたのか考えてほしい。SDGsの第1項「貧困をなくそう」は、安価で安定した電気なしには達成できない。

この際、極論は捨て、先進国においても、途上国においても、環境保全と経済発展の均衡を見出す努力をすることが何より大切だと思う。

 ◇

 太陽光発電やレジ袋の有料化など、確かにそれ自体は悪いことではありませんが、費用対効果やその実施による問題点など、すぐにいくつかあげられるでしょう。それがもっと上位の、脱炭素やSDGsと言う課題になれば、環境にいいという点とは裏腹にかなりの問題点があるはずです。

 そうした不都合な点はどうしても隠されがち、そこはメディアの突っ込みどころでもあるはずです。しかし実態は、日本は脱炭素が遅れている、SDGsへの取り組みに消極的だという点ばかり強調され、不都合な真実への掘り下げは遅れているようです。

 川口氏の言うように、不都合な点にも目をやって、コスト的にも効果的にも問題のある取り組みは、もっと検証すべきでしょう。『スマホを見ながら「豊かさなどいらない」と言っている若い人たちは、今の豊かさを得るため、先人がどれだけ苦労をしたのか考えてほしい。』という一文は、まさに的を得ていると感じました。

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