櫻井よし子氏:日本を守る意思のない無節操な野党共闘
衆議院選挙は終わりました。岸田総裁は幹事長の交代というアクシデントに見舞われましたが、装い新たに今後の政治の舵取りを、しっかりしたものにしていって欲しいと思います。
今回の選挙で戦後初の共産党を交えた、政権交代のための野党共闘が実現しましたが、見事に敗退、失敗に終わりました。国民はそれを許さなかったと言うことでしょう。この点に関してジャーナリストの櫻井よし子氏が、産経新聞の「美しき勁き国へ 櫻井よしこ」、というコラムに寄稿していますので、以下に引用します。タイトルは『日本を守らぬ野党共闘』(11/2)です。
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自民党が想定外の勝利をおさめ、立憲民主党と日本共産党は想定外の大惨敗を喫した。今回の衆院選を特徴づける右の2つの「想定外」は、日本が直面する危機の本質をメディアや政治家よりも、国民の方が正確に理解していたことを示している。
2つの野党の合体は単なる政権交代への道ではなく、自由と民主主義の政治体制か、共産党の影響を強く受ける政治体制かの体制選択選挙そのものだった。また立民と共産の共闘は後述するように、日本国を安全にするものでも日本国民を幸せにするものでもない。そのことに国民の多くが気付いたのではないか。
安倍晋三元首相、菅義偉前首相への非難に多くの時間を割いた立民・共産両党の思惑の向こうに、共産党主導の政治体制が出現し得ることや、両党の共闘に肩入れするメディア報道の偏向などを見てとった有権者は多かったのではないか。
事前予想では、自民党は公示前の議席数を大幅に減らし、過半数の233議席の確保が焦点だった。結果は261議席、絶対安定多数を得た。日本維新の会は4倍近くの41議席、公明党の32議席を入れて334議席。共産党と対立した3党が憲法改正に十分な数を得た。
他方、立民は大幅増を期待されたが、議席は14も減らして96だった。共産党は得票850万票、得票率15%の目標を横に置いて「閣外協力」の名の下に事実上の2党合体に踏み出したが失敗した。
国の形について大きく考えの異なる政党共闘のいかがわしさを国民が嫌うのは当然だ。たとえば焦眉の急の国防政策である。共産党は綱領で日米同盟の「廃棄」をうたう。「アメリカ軍とその軍事基地を撤退させる。対等平等の立場にもとづく日米友好条約を結ぶ」「いかなる軍事同盟にも参加せず、非同盟諸国会議に参加する」とする。
日米安保条約を軍事的要素のない「友好条約」に置きかえ、自衛隊は「憲法第9条の完全実施に向かっての前進をはかる」。「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」が憲法9条2項であるから、自衛隊は解消ということになる。これでどのようにして日本を守れるのか。
皇室について共産党は「一人の個人が世襲で象徴となるという現制度は、民主主義および人間の平等の原則と両立するものではなく」、天皇制(皇室)の「存廃は、将来、情勢が熟したときに、国民の総意によって解決されるべき」とする。共産党は皇室をなくすのであろう。他方、立民は日米同盟、自衛隊、皇室については存続の立場だ。立民は国柄の根本に関してこれほど異なる共産党と連携した。一体どんな国をつくろうというのか。この節操のなさが野党共闘の実態だ。
いま、国際社会は自由と民主主義の国々が、専制独裁の共産主義諸国と対立する構図の中にある。相互に深く経済でつながりながらも、人間の自由を厳しく制限し、各民族、各国の宗教、政治信条、言語、文化、歴史に非寛容な中国などの専制独裁国と私たちは相対峙(たいじ)している。
侵略を受けないために重要なのが安全保障の力だ。つい10日ほど前、中露の海軍艦艇10隻が日本列島を周回した。中国版トマホークを積んだ最新鋭の巡洋艦を投入した中国はこの演習を「より実戦的で、対抗性が大幅に向上した」と誇った。脅威は日々、目に見える形で増大している。
そうした中、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」、日米豪印4カ国(クアッド)などに見られるように、日本が貢献していることは非常に多い。日本への国際社会の期待度は高く、岸田政権の仕事は日本を強く勇気のある国にすることだ。そのための応分の責任を果たせる法整備を進めることだ。
たとえば中国がアジアから米国を排除するためにこだわる第一列島線である。第一列島線の島々は日本国の領土である南西諸島だ。日本は自国領である島々で米国と協力し、豪印英仏独などとも協力して東シナ海、南シナ海、台湾を守る態勢を構築できるのだ。わが国の安全のために、岸田首相には自衛隊強化の公約の実行が期待されている。
衆院選投開票日直前、岸田首相はインターネット番組「言論テレビ」に出演し、「国家安全保障戦略、防衛大綱、中期防衛力整備計画(中期防)の改定」の公約実行を強調した。
首相は改定の時期には言及しなかったが、来年冬までにこれら3つの戦略を根本的に見直し、令和5年には防衛力強化に力強く踏み込むのが望ましい。選挙で力強い支持を受けたのである。自信をもって公約をやり遂げることが負託に応える道であろう。憲法改正についても岸田首相は多弁だった。
「国民との対話の中で、一票の格差、緊急事態、自衛隊の明記など改正の意義を十分理解できると気付いてくれる人々が多かったことを実感した。国民の世論形成と国会議員との議論、これを並行してやっていきたい」
憲法改正には固い決意と幅広い支持が必要だ。日本維新の会は力強い賛同者であろう。自民、維新で公明党を巻き込むのだ。3党で全議員の3分の2以上の議席を得たのは天命であろう。憲法改正実現こそ岸田首相の公約で責務である。
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日本の主権と国体を脅かす共産党と共闘した立憲民主党は、事前の予想に反して議席を大きく減らしました。国民の選択は正しい方向に向かったと見ていいでしょう。もちろん自民党も同様に議席を減らしましたが、事前予想よりかなり少ない議席減で留まりました。議席減については、反省すべき点は真摯に反省すべきでしょう。
いずれにせよ、櫻井氏の言うとおり、国際社会の中で急激に台頭してきた覇権国家中国に立ち向かうために、ソフト、ハードあらゆる点から、国を強くしていく必要があります。そのためには新たな法整備が必要ですし、もちろんその大本の憲法にも、踏み込む必要があります。周辺国忖度の政治から、民主主義の本質を踏まえた、強い国作りのための政治へと、突き進む政権となって欲しいと思います。
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